説明

超音波内視鏡及び挿入補助具

【課題】本発明は、超音波内視鏡の挿入部の挿入性を向上させ速やかに被検体内に挿入することができる超音波内視鏡及び挿入補助具を提供する。
【解決手段】本発明の超音波内視鏡は、挿入部と、前記挿入部の先端部に設けられた開口部であって、処置具を前記先端部の挿入軸に沿って突出可能に設けられた処置具挿通口と、超音波を送受するための超音波振動子を有してなり、前記処置具挿通口よりも先端方向に突出し、前記超音波の走査面を含む平面が前記処置具挿通口を通過するように配設された超音波観察部と、前記走査面に直交する方向から見た場合に、前記超音波観察部の表面のうちの前記処置具挿通口に面した表面に接する又は交わり、かつ前記超音波観察部の表面と接する又は交わる部位から基端側に向かうにつれて、前記超音波観察部から離れるように前記挿入軸に対して傾斜した面からなる斜面部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部に超音波を送受するための超音波観察部を具備してなる超音波内視鏡及び超音波内視鏡に着脱可能な挿入補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
人体等の被検体内の超音波断層像を取得する装置として、体内へ挿入される挿入部に超音波を送受するための超音波観察部を具備してなる超音波内視鏡が知られている。超音波内視鏡は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている超音波内視鏡は、挿入部の先端部に、挿入軸に対して略直交する先端面を有し、この先端面に、処置具を突出させるための処置具挿通口や、光学像を撮像するための光学観察部が配設されている。また、特許文献1に開示されている超音波内視鏡は、先端面から先端方向に突出するように配設された超音波観察部を具備して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−260381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているような超音波内視鏡を、例えば食道のような入口が狭い部位に挿入する場合、食道の入り口の結節が挿入軸に対して略垂直な先端面に対して略直交する方向から当接するため、挿入部を挿入する力に対して抵抗する力が発生する。すなわち、特許文献1に開示されているような超音波内視鏡を食道に挿入する場合、挿入動作に引っかかりが生じてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、超音波内視鏡の挿入部の挿入性を向上させ速やかに被検体内に挿入することができる超音波内視鏡及び挿入補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の超音波内視鏡は、挿入部と、前記挿入部の先端部に設けられた開口部であって、処置具を前記先端部の挿入軸に沿って突出可能に設けられた処置具挿通口と、超音波を送受するための超音波振動子を有してなり、前記処置具挿通口よりも先端方向に突出し、前記超音波の走査面を含む平面が前記処置具挿通口を通過するように配設された超音波観察部と、前記走査面に直交する方向から見た場合に、前記超音波観察部の表面のうちの前記処置具挿通口に面した表面に接する又は交わり、かつ前記超音波観察部の表面と接する又は交わる部位から基端側に向かうにつれて、前記超音波観察部から離れるように前記挿入軸に対して傾斜した面からなる斜面部と、を具備して構成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の挿入補助具は、挿入部、前記挿入部の先端部に設けられた開口部であって、処置具を前記先端部の挿入軸に沿って突出可能に設けられた処置具挿通口、及び超音波を送受するための超音波振動子を有してなり、前記処置具挿通口よりも先端方向に突出し、前記超音波の走査面を含む平面が前記処置具挿通口を通過するように配設された超音波観察部、を具備する超音波内視鏡の先端部に着脱可能な挿入補助具であって、前記先端部に装着された状態において、前記走査面に直交する方向から見た場合に、前記超音波観察部の表面のうちの前記処置具挿通口に面した表面に接する又は交わり、かつ前記超音波観察部の表面と接する又は交わる部位から基端側に向かうにつれて、前記超音波観察部から離れるように前記挿入軸に対して傾斜した面からなる斜面部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、超音波内視鏡の挿入部の挿入性を向上させ速やかに被検体内に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態の超音波内視鏡の構成を説明する図である。
【図2】第1の実施形態の超音波内視鏡の挿入部の先端部の斜視図である。
【図3】第1の実施形態の超音波内視鏡の挿入部の先端部を、走査面に直交する方向から見た側面図である。
【図4】第1の実施形態の超音波内視鏡の挿入部の先端部を、先端側から見た正面図である。
【図5】第1の実施形態の超音波内視鏡の作用を説明するための図である。
【図6】第1の実施形態の第1変形例の先端部の側面図である。
【図7】第1の実施形態の第2変形例の先端部の斜視図である。
【図8】第2の実施形態の先端部の斜視図である。
【図9】第2の実施形態の先端部の正面図である。
【図10】第3の実施形態の先端部の斜視図である。
【図11】第3の実施形態の変形例の先端部の斜視図である。
【図12】第4の実施形態の先端部の斜視図である。
【図13】第4の実施形態において、挿入補助具を先端部から取り外した状態を示す側面図である。
【図14】第4の実施形態において、挿入補助具を先端部に装着した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態を説明する。図1に示す本実施形態の超音波内視鏡101は、人体等の被検体の体内の所定の部位に超音波を送受することにより前記所定の部位を超音波断層像により観察可能とするものである。
【0013】
内視鏡101は、被検体の体内に導入される挿入部102と、挿入部102の基端に位置する操作部103と、操作部103の側部から延出するユニバーサルコード104とを具備して主に構成されている。
【0014】
前記ユニバーサルコード104の基端部には図示しない光源装置に接続される内視鏡コネクタ104aが設けられている。この内視鏡コネクタ104aからは図示しないカメラコントロールユニットに電気コネクタ105aを介して着脱自在に接続される電気ケーブル105及び図示しない超音波観測装置に超音波コネクタ106aを介して着脱自在に接続される超音波ケーブル106が延出されている。
【0015】
挿入部102は、先端に配設される先端部120、先端部120の基端側に配設される湾曲自在な湾曲部108、及び湾曲部108の基端側に配設され前記操作部103の先端側に接続される可撓性を有する可撓管部109が連設されて構成されている。
【0016】
操作部103には、湾曲部108の湾曲を操作するためのアングルノブ111、先端部120に設けられた開口部であるノズル60からの流体の送出動作の制御を行うための送気・送水ボタン112、及び後述する先端部120に設けられた開口部である処置具挿通口201からの吸引動作の制御を行うための吸引ボタン113等が設けられている。
【0017】
本実施形態の超音波内視鏡101の挿入部102の詳細な構成を以下に説明する。挿入部102内には、処置具挿通管路200が設けられている。処置具挿通管路200は、先端部120に設けられた処置具挿通口201と、操作部103に設けられた管路口金210の開口部211と、を連通する管路である。
【0018】
本実施形態の超音波内視鏡101では、例えば、管路口金210の開口部211から処置具を挿入することにより、処置具を処置具挿通管路200を介して先端部120の処置具挿通口201から突出させ、処置具を被検体の体内に導入することができる。なお、処置具の種類は特に限定されるものではないが、被検体の所定の部位の組織や体液を採取するための吸引生検針又は鉗子等が適用され得る。また、上述したように管路200は、流体の吸引に用いられる。
【0019】
図2、図3及び図4を参照して、本実施形態の超音波内視鏡101の挿入部102の先端部120の詳細な構成を以下に説明する。図2に示すように、先端部120には、処置具挿通口201、超音波観察部20、光学観察部30、照明光出射部40、ノズル60、液体送出口50及び傾斜部10が配設されている。
【0020】
処置具挿通口201は、上述したように、処置具を突出させるための先端部120に設けられた開口部であり、処置具挿通管路200に連通している。処置具挿通口201は、先端部120の先端方向に面した先端面121に形成されている。本実施形態では一例として、先端面121は、先端部120の挿入軸Aに略直交する平面部である。
【0021】
処置具挿通口201は、処置具挿通管路200内を挿通された処置具が、先端部120の挿入軸A方向と略平行に突出するように設けられている。具体的には、処置具挿通口201近傍における処置具挿通管路200の中心軸Bが、先端部120の挿入軸A方向と略平行となるように配設されている。この構成により、処置具挿通管路200内を挿通されて処置具挿通口201から突出する処置具は、先端部120の挿入軸A方向と略平行な方向に突出する。
【0022】
超音波観察部20は、超音波振動子21及び超音波振動子21を保持する保持部22を具備して構成されている。本実施形態では、超音波観察部20は、処置具挿通口201よりも先端方向に突出するように設けられている。
【0023】
超音波観察部20は、いわゆるコンベックス走査式と称される形態を有し、超音波振動子21を構成する円弧状に配列された複数の超音波振動子を所定のタイミングで駆動することにより、挿入軸Aに略平行な平面に沿って超音波ビームを略扇状に走査することが可能である。この、超音波振動子21により電子走査が行われる面を、走査面20aと称するものとする。
【0024】
なお、超音波振動子21を構成する超音波振動子には、例えば圧電セラミクス等の圧電素子や電歪素子、又はマイクロマシン技術による超音波トランスデューサ(MUT;Micromachined Ultrasonic Transducer)等が適用され得る。
【0025】
超音波観察部20は、略扇状の走査面20a上に、処置具挿通口201から突出される処置具が位置するように配設されている。言い換えれば、本実施形態の超音波内視鏡101では、処置具挿通口201から突出される処置具が、超音波観察部20により観察される領域である超音波断層像内に存在するように、処置具挿通口201と超音波観察部20とが位置決めされて配設されている。
【0026】
超音波観察部20は、走査面20aが処置具挿通口201よりも挿入軸の先端側に位置し、さらに走査面20aを含む平面が処置具挿通口201の中心軸Bと略平行であり、かつ走査面20aを含む平面が処置具挿通口201内を通過するように配設されている。
【0027】
そして、処置具挿通口201から突出される処置具が走査面20a上に位置するようにするようにするために、超音波観察部20は、処置具挿通口201よりも先端側に突出し、かつ略扇状の走査面20aの中心軸が挿入軸Aに対して処置具挿通口201側に傾くように配設されている。
【0028】
本実施形態では、超音波観察部20は、略円弧状の表面を有しており、前記略円弧状の表面を有する部位に、超音波振動子21が配設されて構成されている。そして、超音波観察部20は、超音波振動子21が配設された略円弧状の表面の少なくとも一部が、処置具挿通口201が設けられた方向に面するように配設されている。
【0029】
光学観察部30は、結像光学系部材と撮像素子を具備してなり、光学像を撮像するものである。光学観察部30は、上述した電気ケーブル105を介してカメラコントロールユニットに電気的に接続される。なお、光学観察部30は、電子的に光学像を撮像する形態に限られるものではなく、光学像を光ファイバーケーブルを介して操作部103に設けられた接眼部へ導く構成であってもよい。
【0030】
本実施形態では、光学観察部30は、先端部120の先端面121に、結像光学系部材の光軸が挿入部102の挿入軸Aと略平行となるように配設されている。言い換えれば、本実施形態における光学観察部30は、挿入軸Aに沿った先端方向を視野の略中央に捉えるように配設されている。
【0031】
図4に示すように先端部120を挿入軸Aに沿って先端側から見た場合に、光学観察部30は、走査面20aを含む平面に対して一方の側(図4において、図面に正対して右側)に配設されている。
【0032】
照明光出射部40は、光学観察部30の視野内を照明するための照明光を出射するものである。照明光出射部40は、上述した内視鏡コネクタ104aが接続された光源装置から出射され、光ファイバーケーブルを介して先端部120にまで導かれた光を出射するように構成されている。なお、照明光出射部40は、LED等の光源を挿入部102の先端部120に具備する構成であってもよい。
【0033】
本実施形態では一例として、一対の照明光出射部40が、先端部120に配設されている。図4に示すように先端部120を挿入軸Aに沿って先端側から見た場合に、一対の照明光出射部40は、走査面20aを含む平面を挟むように配設されている。なお、一つの照明光出射部40から出射される照明光の強度及び範囲が、体内において光学観察部30の視野内を照明するのに十分なものである場合には、照明光出射部40は先端部120に一つだけ配設される形態であってもよい。
【0034】
ノズル60は、光学観察部30を洗浄するために、光学観察部30に向けて流体を送出するものである。ノズル60は、光学観察部30に隣接する位置に配設されている。ノズル60は、挿入部102内に挿通された流体送出管路61に連通している。
【0035】
本実施形態の超音波内視鏡101では、操作部103に設けられた送気・送水ボタン112を操作することによって、流体がノズル60から送出される。ここで、ノズル60から送出される流体は、空気等の気体及び生理食塩水等の液体の少なくとも一方である。本実施形態の超音波内視鏡101では、ノズル60から流体を送出することによって、光学観察部30の先端面の洗浄を行うことができ、光学観察部30により得られる光学像を明瞭な状態に保つことができる。
【0036】
液体送出口50は、先端部120の挿入軸A方向へ液体を送出するためのものである。液体送出口50から送出される液体により、光学観察部30により観察する部位の洗浄を行うことができる。
【0037】
そして、本実施形態の超音波内視鏡1では、挿入部102の先端部120に、傾斜部10が配設されている。傾斜部10は、先端部120の先端面121と、超音波観察部20の表面との双方に接するように設けられた部材であり、挿入軸Aの先端方向に面する部位に斜面部11を具備して構成されている。
【0038】
斜面部11は、超音波観察部20の表面のうちの処置具挿通口201側に面した表面に接する又は交わり、かつ超音波観察部20の表面と接する又は交わる部位から基端側に向かうにつれて、超音波観察部20から離れるように挿入軸Aに対して傾斜した面によって構成されている。
【0039】
また、傾斜部10は、前述した処置具挿通口201、光学観察部30、照明光出射部40、液体送出口50及びノズル60の動作を妨げないように、これらを避ける形状を有している。例えば、傾斜部10が処置具挿通口201と重なる場合には、処置具挿通口201からの処置具の突出を妨げないように、重なる領域に貫通孔が設けられる。また例えば、傾斜部10が光学観察部30と重なる場合には、光学観察部30視界及びノズル60から光学観察部30に向けて送出される流体を妨げないように、重なる領域に貫通孔や切り欠きが設けられる。
【0040】
なお、傾斜部10は、先端部120の先端面121及び超音波観察部20の表面の一方又は双方と一体に形成される形態であってもよいし、先端部120及び超音波観察部20とは別に形成された後に所定の位置に固定される形態であってもよい。
【0041】
具体的に本実施形態では、傾斜部10は、先端部120の先端面121、及び先端面121から先端方向に突出した略円弧状の超音波観察部20の表面、の双方に接する曲面からなる斜面部11を具備して構成されている。
【0042】
図3に示すように走査面20aに略直交する方向から先端部120を見た場合に、傾斜部10は、先端面121及び超音波観察部20の略円弧状の表面から突出するように設けられている。そして、傾斜部10の先端側の表面には、先端面121と超音波観察部20の表面とを滑らかに接続する曲面である斜面部11が形成されている。本実施形態においては、斜面部11は、基端方向に凹形状の曲面からなる。
【0043】
このように、光学観察部30及び照明光出射部40近傍に配設される傾斜部10の斜面部11を基端方向に向かって凹形状の曲面とすることにより、光学観察部30の視野及び照明光出射部40から出射される照明光に関して、傾斜部10が遮ってしまう範囲をより小さくすることができる。
【0044】
また本実施形態では、傾斜部10は、超音波振動子21の走査面20aと重ならない位置に配設されている。本実施形態では、先端部120に一対の傾斜部10が配設されている。図4に示すように先端部120を挿入軸Aに沿って先端側から見た場合に、一対の傾斜部10は、走査面20aを挟んだ両側において、超音波振動子21よりも外側にそれぞれ配設されている。このように、傾斜部10を走査面20aと重ならないように配設することにより、走査面20aを処置具挿通口201近傍にまで近づけることができる。
【0045】
また傾斜部10の液体送出口50と重なる領域には、液体送出口50からの液体の送出を妨げないように、貫通孔が形成されている。また、傾斜部10の光学観察部30及びノズル60と重なる領域は、これらの動作を妨げないように切り欠きが形成されている。
【0046】
次に、以上に説明した構成を有する本実施形態の超音波内視鏡101の作用を説明する。図5は、被検体である人体内の食道1と気管2との分岐部において、挿入部102を食道1内に挿入する状態を示している。
【0047】
食道1と気管2との分岐部において、超音波内視鏡101の挿入部102を食道1に挿入する場合には、まず、先端部120から先端方向に突出している超音波観察部20を食道1の入口に入り込ませる。このとき、食道1の入口にある小角結節等の結節3は、傾斜部10の斜面部11に当接する。
【0048】
斜面部11は、基端側に向かうにつれて超音波観察部20から離間するように挿入軸Aに対して傾斜していることから、先端部120に挿入軸A方向に押す力が加えられると、斜面部11に当接している結節3には、結節3を気道2側へ押す方向の力が加えられる。すなわち、本実施形態では、いわゆるくさびのような斜面部11の作用によって、先端部120を食道1内に挿入する際に、食道1の入口が押し広げられる。
【0049】
このため、本実施形態においては、挿入部102の先端部120が食道の入口において結節3に引っかかってしまうことがなく、滑らかに挿入部102を食道1内に挿入させることができる。すなわち、本実施形態の超音波内視鏡101は、良好な挿入性を有し、挿入部102を速やかに被検体内に挿入することができる。
【0050】
上述した本実施形態では、斜面部11は、基端方向に凹形状の曲面からなるが、斜面部11の形態は本実施形態に限られるものではない。例えば、図6に示す第1変形例のように、斜面部11は、平面によって構成される形態であってもよい。図6に示す変形例であっても、斜面部11は、基端側に向かうにつれて超音波観察部20から離間するように挿入軸Aに対して傾斜していることから、くさびのように食道1の入口を押し広げることができる。
【0051】
また、上述した実施形態では、先端部120において、傾斜部10と光学観察部30が隣接して配設されているが、先端部120における光学観察部30の位置は、上述した実施形態に限られるものではない。例えば、図7に示す第2変形例のように、光学観察部30を、傾斜部10から離間した位置に配設してもよい。図7に示す第2変形例は、上述した実施形態に比して、照明光出射部40を一つのみとし、空いた領域に光学観察部30を配設した点が異なる。
【0052】
図7に示す第2の変形例であっても、傾斜部10の斜面部11が、上述した実施形態と同様に、くさびのように食道1の入口を押し広げるため、同様の効果を奏することは言うまでもない。また、図7に示す変形例では、光学観察部30が、先端面121から突出する傾斜部10から離れた位置に配設されているため、上述した実施形態に比して、光学観察部30の視野角をより広くすることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、挿入部102の先端部120の構成のみが第1の実施形態と異なる。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0054】
上述した第1の実施形態では、先端部120を挿入軸Aに沿って先端側から見た場合に、一対の傾斜部10が走査面20aを含む平面の両側に配設されているが、傾斜部10は、走査面20aを含む平面に対していずれか一方の側にのみ配設される形態であってもよい。
【0055】
本実施形態では、図8及び図9に示すように、傾斜部10は、走査面20aを含む平面に対して、光学観察部30が配設された側とは反対の側に配設されている。言い換えれば、本実施形態では、光学観察部30の近傍に傾斜部10が設けられていない。
【0056】
このように、走査面20aに対して一方の側のみに傾斜部10を設けた本実施形態であっても、傾斜部10の斜面部11は、第1の実施形態と同様に、くさびのように食道1の入口を押し広げることができるため、同様の効果を奏する。
【0057】
そして、本実施形態では、先端面121から突出する傾斜部10が、光学観察部30から離れた位置に配設されているため、第1の実施形態に比して、光学観察部30の視野角をより広くすることができる。
【0058】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、挿入部102の先端部120の構成のみが第1の実施形態と異なる。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0059】
本実施形態の超音波内視鏡では、図10に示すように、斜面部11を有する傾斜部10が、先端部120の径方向全域にわたって設けられている。このような本実施形態によれば、第1の実施形態に比して先端部120の表面の凹凸を少なくすることができるため、より良好な挿入部102の挿入性を得ることができる。
【0060】
なお、傾斜部10が、超音波を透過することが可能な材料によって形成される場合には、図11に示す変形例のように、傾斜部10は、超音波振動子21に重なるように配設される形態であってもよい。この場合、傾斜部10を構成する材料は、軟性な合成樹脂のような、音響インピーダンスが生体に近いものであることが好ましい。図11に示す変形例では、走査面20aを、上述した本実施形態よりも処置具挿通口201に近づけることができるため、超音波断層像による観察下における処置具を用いた処置をより容易に行うことができる。
【0061】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、斜面部11が先端部120とは別の部材に設けられている点のみが第1の実施形態と異なる。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0062】
本実施形態のでは、図12から図14に示すように、斜面部11は、超音波内視鏡の挿入部102の先端部120に着脱可能な挿入補助具13に設けられている。具体的には、挿入補助具13は、先端部120の外周に嵌合可能な略筒状の部材である。そして、斜面部11は、略筒形状の挿入補助具13の先端側の端部に形成されている。
【0063】
斜面部11は、図14に示すように走査面20aに略直交する方向から先端部120を見た場合に、挿入補助具13が先端部120外周に嵌合された状態において、超音波観察部20の表面に接する又は交わり、かつ基端側に向かうにつれて超音波観察部20から離れるよう形成されている。
【0064】
斜面部11は、超音波観察部20の表面のうちの処置具挿通口201側に面した表面に接する又は交わり、かつ超音波観察部20の表面と接する又は交わる部位から基端側に向かうにつれて、超音波観察部20から離れるように挿入軸Aに対して傾斜した面によって構成されている。
【0065】
本実施形態の挿入補助具13は、例えば特開2007−260381号公報に開示されているような従来の超音波内視鏡の先端部に装着することが可能である。そして、本実施形態のように、先端部120に着脱可能な部材である挿入補助具13に斜面部11が設けられる場合であっても、挿入補助具13が装着された状態において斜面部11は、基端側に向かうにつれて超音波観察部20から離間するように挿入軸に対して傾斜していることから、くさびのように食道1の入口を押し広げることができる。本実施形態の挿入補助具13を用いれば、従来の超音波内視鏡の挿入性を向上させることができる。
【0066】
なお、挿入補助具13は、合成樹脂等の透明な材料によって構成されることが好ましい。挿入補助具13が透明であれば、挿入補助具13を装着することによって光学観察部30の視野が狭くなってしまうことを防止できる。
【0067】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う超音波内視鏡及び挿入補助具もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
上述のように、本発明は、挿入部の先端部から突出する超音波観察部を具備してなる超音波内視鏡に対して好適である。
【符号の説明】
【0069】
1 食道、
2 気管、
3 結節、
10 傾斜部、
11 斜面部、
13 挿入補助具、
20 超音波観察部、
20a 走査面、
21 超音波振動子、
22 保持部、
30 光学観察部、
40 照明光出射部、
50 液体送出口、
60 ノズル、
101 超音波内視鏡、
102 挿入部、
103 操作部、
104 ユニバーサルコード、
105 電気ケーブル、
105a 電気コネクタ、
106 超音波ケーブル、
106a 超音波コネクタ、
108 湾曲部、
109 可撓管部、
111 アングルノブ、
112 送気・送水ボタン、
113 吸引ボタン、
120 先端部、
121 先端面、
200 処置具挿通管路、
201 処置具挿通口、
A (先端部120の)挿入軸、
B (処置具挿通口201の)中心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部と、
前記挿入部の先端部に設けられた開口部であって、処置具を前記先端部の挿入軸に沿って突出可能に設けられた処置具挿通口と、
超音波を送受するための超音波振動子を有してなり、前記処置具挿通口よりも先端方向に突出し、前記超音波の走査面を含む平面が前記処置具挿通口を通過するように配設された超音波観察部と、
前記走査面に直交する方向から見た場合に、前記超音波観察部の表面のうちの前記処置具挿通口に面した表面に接する又は交わり、かつ前記超音波観察部の表面と接する又は交わる部位から基端側に向かうにつれて、前記超音波観察部から離れるように前記挿入軸に対して傾斜した面からなる斜面部と、
を具備して構成されることを特徴とする超音波内視鏡。
【請求項2】
前記斜面部は、前記走査面と重ならないように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項3】
前記挿入軸に沿って先端側から見た場合に、前記斜面部は、前記走査面に対して一方の側に配設されることを特徴とする請求項2に記載の超音波内視鏡。
【請求項4】
前記先端部に光学像を観察するための光学観察部を具備し、
前記挿入軸に沿って先端側から見た場合に、前記光学観察部は、前記斜面部と前記走査面を挟んで反対側に配設されることを特徴とする請求項3に記載の超音波内視鏡。
【請求項5】
前記斜面部は、基端方向に向かって凹形状の曲面からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波内視鏡。
【請求項6】
前記斜面部は、前記走査面と重なるように配設され、少なくとも前記走査面と重なる部位が、超音波を透過可能な材料によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項7】
前記斜面部は、前記先端部に対して着脱可能な挿入補助具に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波内視鏡。
【請求項8】
挿入部、
前記挿入部の先端部に設けられた開口部であって、処置具を前記先端部の挿入軸に沿って突出可能に設けられた処置具挿通口、及び
超音波を送受するための超音波振動子を有してなり、前記処置具挿通口よりも先端方向に突出し、前記超音波の走査面を含む平面が前記処置具挿通口を通過するように配設された超音波観察部、を具備する超音波内視鏡の先端部に着脱可能な挿入補助具であって、
前記先端部に装着された状態において、前記走査面に直交する方向から見た場合に、前記超音波観察部の表面のうちの前記処置具挿通口に面した表面に接する又は交わり、かつ前記超音波観察部の表面と接する又は交わる部位から基端側に向かうにつれて、前記超音波観察部から離れるように前記挿入軸に対して傾斜した面からなる斜面部を具備することを特徴とする挿入補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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