説明

超音波内視鏡

【課題】バルーン内への給排水時間を短縮することができる超音波内視鏡を提供する。
【解決手段】超音波内視鏡1は、送気装置に接続可能な送気口金45と、挿入部10に配置され、送気口金45に連通しているバルーン送液管路67と、吸引器に接続可能な吸引口金47と、挿入部10に配置され、吸引口金47に連通しているバルーン吸引管路69とを有する。また、超音波内視鏡1は、挿入部10の所定の位置でバルーン送液管路67及びバルーン吸引管路69を合流される合流部71と、合流部71に連通しており、挿入部10の所定の位置から先端硬質部29にかけて配置される複数のバルーン送液排液管路60a及び60bと、先端硬質部29で開口し、複数のバルーン送液排液管路60a及び60bに連通している複数の送液排液開口部61a及び61bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波内視鏡は、挿入部の先端部に超音波を送受信するための超音波探触子部が設けられている。また、この超音波内視鏡では、被検体の観察対象と超音波探触子部との間に、超音波を伝達する超音波媒体である液体を介在させるためのバルーンが挿入部の先端部に装着される。
【0003】
そのため、超音波内視鏡では、バルーン内へ液体を供給するためのバルーン送液管路と、バルーン内から液体を排出するためのバルーン排液管路とが挿入部内に挿通配置されている。
【0004】
例えば、特開2005−110745号公報には、バルーン内に送り込まれる液体が通過するバルーン送液管路と、バルーン内から排出される液体が通過するバルーン排出管路とが挿入部内に全長にわたって挿通配置された超音波内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−110745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような超音波内視鏡では、挿入部の外径が太くなることを防ぐため、バルーン送液管路管路及びバルーン排液管路を細径にする必要がある。挿入部内に全長にわたって挿通配置されているバルーン送液管路管路及びバルーン排液管路を細径にすると、バルーン内へ液体を供給する及びバルーン内から液体を排出する給排水に時間がかかることになる。
【0007】
そこで、本発明は、バルーン内への給排水時間を短縮することができる超音波内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、被検体内に挿入可能な挿入部と、前記挿入部の先端に配置された先端硬質部と、前記先端硬質部の先端方向に配置された超音波探触子部と、送気装置に接続可能な送気口金と、前記挿入部に配置され、前記送気口金に連通しているバルーン送液管路と、吸引器に接続可能な吸引口金と、前記挿入部に配置され、前記吸引口金に連通しているバルーン吸引管路と、前記挿入部の所定の位置で前記バルーン送液管路及び前記バルーン吸引管路を合流される合流部と、前記合流部に連通しており、前記挿入部の所定の位置から前記先端硬質部にかけて配置される複数のバルーン送液排液管路と、前記先端硬質部で開口し、前記複数のバルーン送液排液管路に連通している複数の送液排液開口部と、を備えることを特徴とする超音波内視鏡を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の超音波内視鏡によれば、バルーン内への給排水時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る超音波内視鏡の構成を示す図である。
【図2】挿入部の先端部の上面図である。
【図3】挿入部の先端部の側面図である。
【図4】超音波内視鏡の管路構成について説明するための図である。
【図5】バルーン送液管路に液体が送水された際の液体の流れについて説明するための図である。
【図6】バルーン吸引管路に液体が吸引された際の液体の流れについて説明するための図である。
【図7】エアレーション時の気体の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
まず、図1から図4に基づき、本発明の一実施の形態に係る超音波内視鏡の構成を説明する。図1は、本実施の形態に係る超音波内視鏡の構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の超音波内視鏡1は、被検体内において超音波ビームを走査することによって、被検体内の所定の観察部位の超音波断層像を撮像する構成を有する。
【0014】
超音波内視鏡1は、被検体の体内に挿入可能な挿入部10と、挿入部10の基端に位置する操作部30と、操作部30の側部から延出するユニバーサルコード40とを具備して主に構成されている。
【0015】
挿入部10は、先端に配設される先端部11、先端部11の基端側に配設される湾曲自在な湾曲部12、及び湾曲部12の基端側に配設され操作部30の先端側に接続される可撓性を有する可撓管部13が連設されて構成されている。
【0016】
挿入部10の先端部11には、詳しくは後述するが、光学像を撮像するための撮像装置15及び照明装置16や、超音波断層像を撮像するための超音波探触子部50等が配設されている。また、先端部11には、処置具を突出させるための処置具挿通口17が設けられている。
【0017】
操作部30には、湾曲部12の湾曲を操作するためのアングルノブ31、先端部11に設けられた流体送出部14からの流体の送出動作及び後述するバルーン52への液体の送出動作の制御を行うための送気・送水ボタン32、処置具挿通口17からの吸引動作及びバルーン52からの吸引動作の制御を行うための吸引ボタン33、及び処置具挿通口17に連通する管路口金34等が設けられている。また、操作部30には、挿入部10の先端部11の処置具挿通口17から突出された処置具の突出方向を操作するための、処置具起上レバー35が設けられている。
【0018】
ユニバーサルコード40の基端部には図示しない光源装置に接続される内視鏡コネクタ41が設けられている。光源装置から発せられた光は、ユニバーサルコード40、操作部30及び挿入部10に挿通された光ファイバーケーブルを伝わって、先端部11の照明装置16から出射される。なお、超音波内視鏡1は、LED等の光源装置を先端部11に備える構成であってもよい。
【0019】
内視鏡コネクタ41には、ビデオケーブルが接続されるビデオコネクタ42及び超音波コネクタ44が設けられている。また、内視鏡コネクタ41には、後述する図4に示すように、光源装置に設けられた送気装置に接続可能な送気口金45と、送液タンクに接続可能な送水口金46と、吸引器に接続可能な吸引口金47とが設けられている。
【0020】
ビデオコネクタ42は、図示しないビデオケーブルを介してカメラコントロールユニットに電気的に接続される。カメラコントロールユニットは、ビデオケーブルを介して、先端部11に設けられた撮像装置15に電気的に接続される。カメラコントロールユニットは、図示しない画像表示装置に電気的に接続され、撮像装置15によって撮像された画像を画像表示装置に出力する。
【0021】
超音波コネクタ44は、図示しない超音波観測制御部に超音波ケーブルを介して着脱自在に接続される。超音波観測制御部は、超音波ケーブルを介して、先端部に設けられた超音波探触子部50に電気的に接続され、超音波探触子部50を駆動する。
【0022】
次に、超音波内視鏡1の挿入部10の先端部11の詳細な構成を図2及び図3を用いて説明する。
【0023】
図2は、挿入部の先端部の上面図であり、図3は、挿入部の先端部の側面図である。図2及び図3に示すように、先端部11には、撮像装置15、照明装置16、流体送出部14、超音波探触子部50、及び処置具挿通口17が設けられている。
【0024】
撮像装置15は、結像光学系部材と撮像素子を具備してなり、光学像を撮像するものである。撮像装置15は、少なくとも先端部11の先端方向を視野内に捉えるように配設されている。なお、撮像装置15は、電子的に光学像を撮像する形態に限られるものではなく、光学像を光ファイバーケーブルを介して操作部に設けられた接眼部へ導く構成であってもよい。照明装置16は、光源装置から発せられた光を、撮像装置15の視野内に出射するものである。
【0025】
流体送出部14は、先端部11に設けられた開口部であって、挿入部10内に挿通された後述する送気送水管路70に連通している。本実施の形態では、操作部30に設けられた送気・送水ボタン32を操作することによって、流体が送気送水管路70を介して流体送出部14から送出される。ここで、流体送出部14から送出される流体は、空気等の気体及び生理食塩水等の液体の少なくとも一方である。
【0026】
超音波探触子部50は、超音波振動子を備え、超音波を送受信するためのものである。超音波探触子部50の形態は特に限定されるのではないが、本実施の形態では一例として、超音波探触子部50は、いわゆるコンベックス走査式と称される形態を有する。具体的に超音波探触子部50は、円弧状に配列された複数の超音波振動子を具備してなり、複数の超音波振動子を所定のタイミングで駆動することにより、円弧の径方向外側に向かって超音波ビームを略扇状に走査することが可能である。
【0027】
なお、超音波探触子部50は、コンベックス走査式に限られるものではない。例えば超音波探触子部50は、直線状に複数の超音波振動子が配列される形態であってもよい。また、例えば超音波探触子部50は、行列状に複数の超音波振動子が配列されてなる、3次元走査が可能な形態であってもよい。また、超音波探触子部50は、電子走査式に限られるものではなく、超音波振動子を移動させて走査する、いわゆる機械走査式であってもよい。
【0028】
また、超音波振動子には、例えば圧電セラミクス等の圧電素子や電歪素子、又はマイクロマシン技術による超音波トランスデューサ(MUT;Micromachined Ultrasonic Transducer)等が適用され得る。
【0029】
処置具挿通口17は、処置具を突出させるための開口部であり、吸引管路18に連通している。この吸引管路18は、処置具を管路口金34から挿入して処置具挿通口17から突出させる際に、処置具が挿通される管路も兼ねる。処置具挿通口17は、先端部11に設けられた凹形状の収容部25内に設けられている。収容部25は、先端部11の中心軸に沿って先端部11の側面部に掘られた溝である。収容部25は、先端部11の先端方向及び側方に開口するように設けられている。
【0030】
本実施の形態の超音波内視鏡1では、例えば、管路口金34の開口部から処置具を挿入することにより、処置具を吸引管路18を介して先端部11の処置具挿通口17から突出させ、処置具を被検体の体内に導入することができる。なお、処置具の種類は特に限定されるものではないが、例えば穿刺針、生検鉗子、又は細胞診ブラシ等が挙げられる。
【0031】
また、本実施の形態の超音波内視鏡1では、先端部11の収容部25内に、処置具挿通口17から突出される処置具の突出方向を変更するための、処置具起上台19が設けられている。処置具起上台19は、周知のものであるためその詳細な説明は省略するものとするが、操作部30に設けられた処置具起上レバー35の動きに連動して揺動し、処置具挿通口17から突出される処置具の突出方向を変更する構成を有する。
【0032】
また、本実施の形態の超音波内視鏡1では、処置具挿通口17と超音波探触子部50との間に、穿刺針等の径が細い処置具が突出した際のブレを防止するためのガイド用部材21が設けられている。従来では、処置具挿通口17の径に対して、穿刺針の径が細いため、穿刺針が上下左右方向にブレ易く、特に左右方向にブレた場合には超音波画像上で穿刺針が確認できなくなってしまう。そこで、従来では、穿刺針のブレを防止するため、処置具起上台19にガイド溝を設けていた。
【0033】
これに対し、本実施の形態の超音波内視鏡1では、穿刺針等の処置具は、処置具起上台19にガイド溝を設けない、あるいは処置具起上台19自体を設けない場合でも、処置具挿通口17と超音波探触子部50との間に設けられたガイド用部材21に沿って突出されるため、特に穿刺針のブレが少なくなり、超音波画像上で狙った位置に確実に穿刺可能となる。
【0034】
以下に、先端部11のより詳細な構成について説明する。先端部11は、例えば金属または樹脂からなる先端硬質部29に、前述した、撮像装置15、照明装置16、流体送出部14、超音波探触子部50、及び処置具挿通口17等が配設されて構成されている。
【0035】
先端硬質部29は、挿入部10先端に配置されており、先端部11の挿入方向に沿う軸を中心軸とした略軸状の部材である。先端硬質部29には、中心軸に対して傾斜した平面状の部位である斜面部24が形成されている。斜面部24は、先端部11の先端側から基端側へ向かうにつれて、先端硬質部29の中心軸から離れるように設けられている。言い換えれば、斜面部24が形成された箇所において、先端硬質部29は、先端部11の先端側から基端側へ向かうにつれて太くなる。斜面部24には、撮像装置15、照明装置16及び流体送出部14が設けられている。
【0036】
収容部25は、先端硬質部29の斜面部24が形成された部位に形成されており、斜面部24が形成された箇所において、先端方向に開口している。ここで、収容部25は、底面部25aまで先端方向に向かって開口している。このように、処置具起上台19が収容された溝状の収容部25を、底面部25aまで先端方向に向けて開口させることによって、超音波内視鏡1の洗浄時において処置具起上台19を目視しやすくなり、また、ブラシ等による洗浄作業が容易となる。
【0037】
また本実施の形態では、収容部25は、先端硬質部29と、処置具起上台19の側方を覆うように先端硬質部29に固定されたカバー26との間にできた空間部である。本実施の形態では、カバー26は、樹脂等の透明な材料によって形成されている。このため、本実施の形態の超音波内視鏡1では、処置具起上台19が収容された収容部25内の汚れを目視によって容易に観察することができ、処置具起上台19周囲の洗浄を容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施の形態では、先端部11を構成する先端硬質部29及びカバー26の基端側の外周部は、被覆部材27によって被覆されている。被覆部材27は、ゴム等の電気絶縁性の材料からなる。カバー26の基端側を被覆部材27によって先端硬質部29と共に覆うことにより、先端部11の外周部において水分が溜まりやすい溝状の形状の部分を少なくすることができる。先端部11の外周部に水分が溜まりにくくすることによって、高周波電流を用いる処置具の使用時において、高周波電流が先端部11の外周部に流れることを防止することができる。
【0039】
先端硬質部29の先端側には、先端方向へ突出するように超音波探触子部50が配設されている。そして先端部11の超音波探触子部50よりも基端側には、周方向に彫設された環状のバルーン取付溝51が設けられている。バルーン取付溝51は、バルーン52を先端部11に装着するためのものである。バルーン52は、伸縮自在の材料からなり、バルーン取付溝51に装着された場合に超音波探触子部50の周囲を覆う形状を有する。
【0040】
バルーン52は、液体である超音波媒体を貯留し、超音波内視鏡1による超音波断層像の撮像時に、超音波媒体によって撮像対象と超音波探触子部50との間における超音波の伝達を行うためのものである。このような、バルーン52及びバルーンを装着するバルーン取付溝51については周知のものであるため、詳細な説明を省略するものとする。
【0041】
また、先端部11には、開口部20が設けられている。開口部20は、先端部11において、先端部11の外周部に設けられた凹部である。開口部20は、先端部11の外周部において、径方向外側に向かって開口する凹形状を有する。開口部20は、先端部11の軸方向について所定の幅で開口している。
【0042】
また、開口部20内には、先端硬質部29で開口している複数、ここでは、2つの送液排液開口部61a及び61bが設けられている。これらの送液排液開口部61a及び61bは、洗浄作業を行うために、ブラシ等を挿入することができる開口をそれぞれ有している。また、送液排液開口部61a及び61bには、挿入部10内に挿通された複数、ここでは、2つのバルーン送液排液管路60a及び60bがそれぞれ接続されている。バルーン送液排液管路60a及び60bは、バルーン52へ液体を送出及びバルーン52から液体を排出するためのものである。
【0043】
このように、開口部20は、バルーン取付溝51にバルーン52が装着されている場合に、袋状のバルーン52によって囲われた領域内に設けられている。本実施の形態では、開口部20は、超音波探触子部50とバルーン取付溝51との間に配設されている。
【0044】
また、バルーン送液排液管路60a及び60bに連通する送液排液開口部61a及び61bは、溝形状である開口部20の基端側側面部に設けられている。
【0045】
したがって、本実施の形態の超音波内視鏡1のバルーン送液排液管路60a及び60bは、バルーン取付溝51にバルーン52が装着されている場合に、袋状のバルーン52によって囲われた領域内に、送液排液開口部61a及び61bを介して連通する。
【0046】
次に、超音波内視鏡1の管路構成について図4を用いて説明する。
【0047】
図4は、超音波内視鏡の管路構成について説明するための図である。
【0048】
図4に示すように、内視鏡コネクタ41には、光源装置に設けられた送気装置に接続可能な送気口金45と、送液タンクに接続可能な送水口金46と、吸引器に接続可能な吸引口金47とが設けられている。
【0049】
送気口金45には、ユニバーサルコード40に配置された送気管路63が連通している。送気管路63は、送気・送水ボタン32を介して、挿入部10に配置された送気管路64に連通している。
【0050】
送水口金46には、ユニバーサルコード40に配置された送水管路65が連通している。送水管路65は、送気・送水ボタン32を介して、挿入部10に配置された送水管路66及びバルーン送液管路67に連通している。また、送水口金46は、送気管路63を介して、送気口金45に連通している。そのため、挿入部10に配置された送水管路66及びバルーン送液管路67は、送気・送水ボタン32、送水管路65及び送気管路63を介して、送気口金45に連通する。
【0051】
吸引口金47には、ユニバーサルコード40に配置された吸引管路68が連通している。吸引管路68は、吸引ボタン33を介して、挿入部10に配置された吸引管路18及びバルーン吸引管路69に連通している。このように、挿入部10に配置された吸引管路18及びバルーン吸引管路69は、吸引ボタン33及び吸引管路68を介して、吸引口金47に連通する。
【0052】
挿入部10の配置された送気管路64及び送水管路66は、挿入部10の先端付近で合流し、送気送水管路70を構成する。送気送水管路70は、流体送出部14に連通する。
【0053】
また、挿入部10の所定の位置には、バルーン送液管路67及びバルーン吸引管路69を合流させる合流部71が配置される。なお、合流部71は、挿入部10を太径化させる虞があるため、例えば、操作部30に合流部71を設けるようにしてもよい。これにより、挿入部10の太径化を防ぐことができる。
【0054】
また、合流部71には、複数、ここでは、2つのバルーン送液排液管路60a及び60bが連通している。なお、2つのバルーン送液排液管路60a及び60bに限定されるものではなく、3つ以上のバルーン送液排液管路が合流部71に連通する構成であってもよい。
【0055】
バルーン送液排液管路60a及び60bは、挿入部10の所定の位置に配置された合流部71から先端硬質部29にかけて配置されており、先端硬質部29で開口している送液排液開口部61a及び61bにそれぞれ連通する。
【0056】
次に、このように構成された超音波内視鏡1の作用について説明する。
【0057】
まず、送気送水時の作用について説明する。送気口金45が送気装置に接続されると、送気管路63を介して送気・送水ボタン32に気体が送気される。送気・送水ボタン32には、図示しない孔が設けられており、送気・送水ボタン32に送気された気体は、送気・送水ボタン32に設けられた孔から外部に放出される。ユーザがこの孔を押さえると、送気・送水ボタン32に送気された気体は、挿入部10の送気管路64に送気され、送気送水管路70を介して流体送出部14から送気される。
【0058】
ユーザが送気・送水ボタン32を1段階押し込むと、送気管路64の図示しない弁が閉じ、送気管路64への気体の供給が停止される。これにより、ユニバーサルコード40内の送気管路63に送気された気体が送水口金46を介して送液タンクに供給され、送液タンク内の圧力が高くなり、送液タンクから送水管路65に液体が送水されることになる。送水管路65に送水さえた液体は、送気・送水ボタン32に送水される。送気・送水ボタン32に送水された液体は、挿入部10の送水管路66に送水され、送気送水管路70を介して流体送出部14から送水される。
【0059】
ユーザが送気・送水ボタン32を2段階押し込むと、送水管路66の図示しない弁が閉じ、バルーン送液管路67の図示しない弁が開放する。これにより、送気・送水ボタン32に送水された液体は、バルーン送液管路67に送水される。
【0060】
ここで、バルーン送液管路67に液体が送水された際の液体の流れについて説明する。
【0061】
図5は、バルーン送液管路に液体が送水された際の液体の流れについて説明するための図である。
【0062】
バルーン送液管路67に送水された液体は、合流部71で分流され、バルーン送液排液管路60a及び60bに供給される。バルーン送液排液管路60a及び60bに供給された液体である超音波媒体は、送液排液開口部61a及び61bからバルーン52に供給される。
【0063】
このように、バルーン送液管路67に送水された液体は、合流部71に連通している複数、ここでは、2つのバルーン送液排液管路60a及び60bに分流され、バルーン52に供給される。そのため、従来のように1つのバルーン送液管路でバルーン52に液体を供給していた場合に比べ、バルーン送液管路67に供給する液体の量を増やすことができ、バルーン52への送水時間を短縮することができる。
【0064】
次に、吸引時の作用について説明する。ユーザが吸引ボタン33を1段階押し込むと、吸引管路18の図示しない弁が開放する。吸引管路18は、ユニバーサルコード40内の吸引管路68及び吸引口金47を介して、吸引器に連通する。これにより、吸引管路18及び吸引管路68を介して、体内の体液等が吸引器に吸引される。
【0065】
ユーザが吸引ボタンを2段階押し込むと、吸引管路18の図示しない弁が閉じ、バルーン吸引管路69の図示しない弁が開放し、バルーン吸引管路69は、ユニバーサルコード40内の吸引管路68及び吸引口金47を介して、吸引器に連通する。また、バルーン吸引管路69は、合流部71を介して、バルーン送液排液管路60a及び60bに連通している。これにより、バルーン送液排液管路60a、60b、合流部71、バルーン吸引管路69及び吸引管路68を介して、バルーン52内の液体が吸引器に吸引される。
【0066】
ここで、バルーン吸引管路69に液体が吸引された際の液体の流れについて説明する。
【0067】
図6は、バルーン吸引管路に液体が吸引された際の液体の流れについて説明するための図である。
【0068】
バルーン送液排液管路60a及び60bに吸引されたバルーン52内の液体は、合流部71で合流し、バルーン吸引管路69に吸引され、吸引管路68を介して吸引器に吸引される。
【0069】
このように、バルーン52内の液体は、バルーン送液排液管路60a及び60bから吸引する。そのため、従来のように1つの管路でバルーン52から液体を吸引していた場合に比べ、バルーン52から排液する液体の量を増やすことができ、バルーン52からの排液時間を短縮することができる。
【0070】
以上のように、本実施の形態の超音波内視鏡1は、バルーン送液管路67とバルーン吸引管路69とを合流される合流部71を設け、この合流部71に連通し、バルーン52に液体を送液及び排液する複数のバルーン送液排液管路60a及び60bを設けるようにした。これにより、超音波内視鏡1は、バルーン送液管路67に供給する液体の量及びバルーン52から排液する液体の量を増やすことができ、バルーン52の給排水の時間を短縮することができる。
【0071】
よって、本実施の形態の超音波内視鏡によれば、バルーン内への給排水時間を短縮することができる。
【0072】
また、このように構成された超音波内視鏡1は、消毒滅菌処理後のエアレーションの時間を短縮することができる。
【0073】
図7は、エアレーション時の気体の流れを説明するための図である。
【0074】
このエアレーションでは、消毒滅菌処理後に各管路内に付着した消毒液等を取り除くために、送気管路63、送水管路65及び吸引管路68から気体を送気している。
【0075】
送気管路63及び送水管路65から送気・送水ボタン32に供給された気体は、送気管路64、送水管路66及びバルーン送液管路67に送気される。このとき、送気・送水ボタン32に供給された気体は、送気管路64の径、送水管路66の径及びバルーン送液管路67の径の比率によって分流され、送気管路64、送水管路66及びバルーン送液管路67に供給される。送気管路64の径、送水管路66の径及びバルーン送液管路67の径は、略同じであり、図7に示すように、送気管路64、送水管路66及びバルーン送液管路67への気体の送気量も略同じになる。
【0076】
一方、吸引管路68から吸引ボタン33に供給された気体は、吸引管路18及びバルーン吸引管路69に供給される。吸引管路18は、処置具を管路口金34から挿入して処置具挿通口17から突出させる際に、処置具が挿通される管路も兼ねる。そのため、吸引管路18は、バルーン吸引管路69に比べ、処置具が挿通できるように太径化されている。
【0077】
吸引ボタン33に供給された気体は、吸引管路18の径とバルーン吸引管路69の径の比率によって分流され、吸引管路18及びバルーン吸引管路69に供給される。そのため、図7に示すように、太径化されている吸引管路18への気体の送気量が多くなり、バルーン吸引管路69への気体の送気量が少なくなる。
【0078】
例えば、従来のように、バルーン吸引管路69が先端硬質部29まで連通している場合、上記のようにバルーン吸引管路69へ分岐する気体量が少ないため、バルーン吸引管路69のエアレーションに時間がかかってしまう。
【0079】
これに対して、本実施の形態の超音波内視鏡1は、バルーン送液管路67とバルーン吸引管路69とが合流する合流部71を設け、合流部71から先端硬質部29にかけて連通しているバルーン送液排液管路60a及び60bに、バルーン送液管路67から供給される気体が分岐して供給されるようにしている。この結果、超音波内視鏡1は、図7に示すように、合流部71から先端硬質部29に連通しているバルーン送液排液管路60a及び60bに、バルーン送液管路67とバルーン吸引管路69との2箇所から気体を供給できるため、消毒滅菌処理後のエアレーションの時間を短縮することができる。
【0080】
また、上述したように、合流部71を操作部30に設けるようにすることで、気体の供給量の少ないバルーン吸引管路69の長さが短くなり、エアレーションの時間をさらに短縮することができる。
【0081】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1…超音波内視鏡、10…挿入部、11…先端部、12…湾曲部、13…可撓管部、14…流体送出部、15…撮像装置、16…照明装置、17…処置具挿通口、18…吸引管路、19…処置具起上台、20…開口部、21…ガイド用部材、24…斜面部、25…収容部、25a…底面部、26…カバー、27…被覆部材、29…先端硬質部、30…操作部、31…アングルノブ、32…送気・送水ボタン、33…吸引ボタン、34…管路口金、35…処置具起上レバー、40…ユニバーサルコード、41…内視鏡コネクタ、42…ビデオコネクタ、44…超音波コネクタ、45…送気口金、46…送水口金、47…吸引口金、50…超音波探触子部、51…バルーン取付溝、52…バルーン、60a,60b…バルーン送液排液管路、61a,61b…送液排液開口部、63…送気管路、64…送気管路、65…送水管路、66…送水管路、67…バルーン送液管路、68…吸引管路、69…バルーン吸引管路、70…送気送水管路、71…合流部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部の先端に配置された先端硬質部と、
前記先端硬質部の先端方向に配置された超音波探触子部と、
送気装置に接続可能な送気口金と、
前記挿入部に配置され、前記送気口金に連通しているバルーン送液管路と、
吸引器に接続可能な吸引口金と、
前記挿入部に配置され、前記吸引口金に連通しているバルーン吸引管路と、
前記挿入部の所定の位置で前記バルーン送液管路及び前記バルーン吸引管路を合流される合流部と、
前記合流部に連通しており、前記挿入部の所定の位置から前記先端硬質部にかけて配置される複数のバルーン送液排液管路と、
前記先端硬質部で開口し、前記複数のバルーン送液排液管路に連通している複数の送液排液開口部と、
を備えることを特徴とする超音波内視鏡。
【請求項2】
前記複数のバルーン送液排液管路は、前記超音波探触子部の基端側に装着され、かつ、前記超音波探触子部の周囲を覆う形状を有するバルーンへ液体を送出及び前記バルーンから前記液体を排出することを特徴とする請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項3】
前記合流部は、前記挿入部の基端に配置された操作部に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−245061(P2012−245061A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117205(P2011−117205)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】