説明

超音波探傷器及び超音波探傷検査結果表示方法及び超音波探傷検査結果表示プログラム

【課題】本発明は、例えば、画像データの合成が容易に可能で、かつ探触子からの受信信号を高速で読出しが可能となる超音波探傷器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る超音波探傷器100は、探触子120からアナログ波形信号502を受信する受信部112と、アナログ波形信号502をディジタル波形信号504に変換するアナログ・ディジタル変換部114と、変換したディジタル波形信号504を記録する第1の波形記録部210及び第2の波形記録部220と、ディジタル波形信号504を入力し圧縮波形データ506を出力する波形圧縮部230と、第2の波形記録部220に記録されたディジタル波形信号504を入力・分析し画像データ600を生成して出力するCPU部140と、圧縮波形データ506と画像データ600とを重ね合わせる波形表示合成部240と、画像表示部134とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、非破壊検査を行うための超音波探傷器に関する。特に、探触子と表示装置とを備え、超音波探傷を行った結果を解析し、解析した結果を表示装置に表示する超音波探傷器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波探傷器では専用のソフトウェアが必要となり、製造コストや開発コストが高額になる他、動作速度が遅くなる。
従来の超音波探傷装置として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2006−214847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の超音波探傷器では生波形データの読出し変換が高速化できないために画像表示に同期した波形データを取得できないという課題があった。さらに、探触子の走査に伴うソフトウェアによる画像表示の制御が遅いという課題があった。
【0004】
本発明は、上記に示す課題を解決するためになされたものであり、例えば、画像データの合成が容易で、かつ探触子からの受信信号を高速で読出しが可能な超音波探傷器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る超音波探傷器は、探触子と表示装置とを備えた超音波探傷器において、
探触子からアナログ波形信号を受信する受信部と、
受信部が受信したアナログ波形信号をディジタル波形信号に変換するアナログ・ディジタル変換部と、
アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号を記録する第1の波形記録部と、
アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号を記録する第2の波形記録部と、
第1の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力して、ディジタル波形信号の波形を圧縮して、圧縮波形データを出力する波形圧縮部と、
第2の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力して、ディジタル波形信号を分析して、ディジタル波形信号の波形を画像表示する際に波形とともに画像表示する画像データを生成して出力するCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)部と、
波形圧縮部から出力された圧縮波形データとCPU部から出力された画像データとを重ね合わせて、重ね合わせ画像を合成する波形表示合成部と、
波形表示合成部で合成された重ね合わせ画像を表示装置に表示する画像表示部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の超音波探傷器によれば、第1の波形記録部と第2の波形記録部を備えているため送受信制御部からの一定周期の繰り返しタイミング信号に同期してアナログ・ディジタル変換部にてアナログ・ディジタル変換したディジタル信号を、第1の波形記録部と第2の波形記録部に記録し、波形圧縮部とCPU部とへ同時に送出することが可能となるため、波形圧縮部とCPU部の処理が並列に行われ、画像表示部に表示する画像を高速に表示させることが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0008】
図1は、本実施の形態に係る超音波探傷器100の機能構成の一例を示すブロック構成図である。図2は、本実施の形態に係る超音波探傷器100が有する波形表示合成部240の機能構成の一例を示す図である。図3は、本実施の形態に係る超音波探傷器100のハードウェア構成の一例を示す図である。図4は、本実施の形態に係る超音波探傷器100が表示装置に画像を表示する際の動作を示すフローチャートである。図5及び図6は、波形表示合成部240が合成する重ね合わせ画像507の例を示す図である。
【0009】
まず、本実施の形態で示す超音波探傷器100の機能構成について図1を用いて説明する。
本実施の形態の超音波探傷器100は、送信部110、受信部112、アナログ・ディジタル変換部114(図では、A/D変換部と表示している。また、以下の説明でA/D変換部と略す場合がある)、送受信制御部116、探触子120、CPU部140、第1の波形記録部210、第2の波形記録部220、波形圧縮部230、波形表示合成部240、表示制御部130、タイミング制御部132、画像表示部134を備えている。
【0010】
送受信制御部116は、送信部110に送信パルス信号501を生成するよう送信制御信号509を出力する。
【0011】
送信部110は、送信パルス信号501を生成し、生成した送信パルス信号501を探触子120に印加する。探触子120は、電気信号(送信パルス信号)を超音波信号に変換し、試験体に超音波を送出する。試験体中を伝搬した超音波信号は音響的不連続部や試験体底面で反射して再び探触子120に戻る。探触子120は、戻った超音波信号を電気信号(アナログ波形信号502)に変換して受信部112に入力する。
【0012】
受信部112は、探触子120から電気信号をアナログ波形信号502として受信し、受信したアナログ波形信号502を増幅しアナログ・ディジタル変換部114に出力する。
送受信制御部116は、送信部110に送信制御信号509を出力し、また、受信部112に受信制御信号510を出力することにより、送信部110と受信部112の動作タイミングをそれぞれコントロール(制御)する。送受信制御部116は、CPU部140と制御信号511を送受信して動作する。
【0013】
探触子120からのアナログ波形信号502を受信部112で増幅し、アナログ・ディジタル変換部114でディジタル波形信号504に変換する。さらに、アナログ・ディジタル変換部114は、アナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号504を、第1の波形記録部210及び第2の波形記録部220に同時に送出(出力)する。第1の波形記録部210と第2の波形記録部220とには、同一のディジタル波形信号504が記録される。
【0014】
第1の波形記録部210は、アナログ・ディジタル変換部114がアナログ・ディジタル変換し、送出したディジタル波形信号504を記録する。第2の波形記録部220も、第1の波形記録部210と同様に、アナログ・ディジタル変換部114がアナログ・ディジタル変換し、送出したディジタル波形信号504を記録する。
【0015】
第1の波形記録部210は、波形圧縮部230からアクセスされ(リードされ)記録したディジタル波形信号504を波形圧縮部230に送出(出力)する。第2の波形記録部220は、CPU部140からアクセスされ(リードされ)記録したディジタル波形信号504をCPU部140に送出(出力)する。
【0016】
波形圧縮部230は、CPU部140のプロセッサとは異なるプロセッサ(圧縮波形用ディジタルシグナルプロセッサ、DSP)を有し、第1の波形記録部210に記録されたディジタル波形信号504を入力し、ディジタル波形信号504の波形を圧縮して、圧縮波形データ506を出力する。ここでは圧縮という文言を使っているが、波形圧縮部230では、圧縮処理または拡大処理が施される。具体的な圧縮又は拡大の処理は、ディジタル波形信号504の波形データを画像表示部134の横軸及び縦軸の表示ドット(ピクセル)数に合わせるべく処理するものである。
まず、時間軸に対応する横軸について説明する。A/D変換部114におけるサンプリングデータの数が、画像表示部134の横軸の表示ドット数に比べて大きい場合には、圧縮処理が施される。このとき、ディジタル波形信号504の波形データをN個(Nは2以上の整数)おきに間引くことになるが、単に間引いたままで圧縮波形データ506として出力するのではなく、振幅に対応する縦軸についてのデータは、ディジタル波形信号504の波形データにおいて連続して隣り合うN個の振幅データ(集約区間内の振幅データ)の中の最大値を、集約区間内の代表データとして出力する。なお場合によっては、集約区間内の振幅データの平均値、あるいはその中の最小値を代表データとして出力することもある。
A/D変換部114におけるサンプリングデータの数が、画像表示部134の横軸の表示ドット数に比べて小さい場合には、拡大処理が施される。このときは、ディジタル波形信号504の波形データを補間処理する。すなわちディジタル波形信号504の第1番目の波形データをM個(Mは2以上の整数)続けて圧縮波形データ506として出力し、次にディジタル波形信号504の第2番目の波形データをM個(Mは2以上の整数)続けて圧縮波形データ506として出力する。以下、第3番目以降も同様である。補間処理はこれに限定されるものではなく、ディジタル波形信号504の隣り合う2個の波形データの間を適切な近似式を用いて補間して、これによって得られる結果を圧縮波形データ506として出力しても良い。この補間処理の方が時間的に滑らかに変化する圧縮波形データ506が得られる。
なお、A/D変換部114におけるサンプリングデータの数が、画像表示部134の横軸の表示ドット数と同一の場合には、横軸に関しては、波形圧縮部230は、ディジタル波形信号504の波形データをそのまま圧縮波形データ506として出力する。
次に、振幅方向に対応する縦軸方向についての圧縮処理について説明する。この圧縮処理はA/D変換部114のA/D変換に係わるビット数が大きい場合、すなわち振幅方向に関する量子化単位が小さい場合に採用される。例えば、A/D変換部114のビット数が12ビットとすると縦軸方向は、2の12乗である4096段階のデータとなるが、画像表示部134の縦軸の表示ドット数が410ドットの場合などで採用される。この場合はディジタル波形信号504の波形データは振幅方向に関して410と4096の比、すなわち約10分の1に圧縮されて(縮尺されて)、圧縮波形データ506として出力される。なお通常、A/D変換部114のビット数は上記の例のように大きなものを採用するので、縦軸方向についての拡大処理の説明は省略する。
波形圧縮部230は、ディジタル波形信号504に上述した圧縮処理又は拡大処理を施した後、圧縮波形データ506を波形表示合成部240に送出する。
【0017】
CPU部140は、波形圧縮部230の圧縮波形用ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)とは異なるプロセッサ(処理プロセッサ:CPU)を有し、第2の波形記録部に記録されたディジタル波形信号504を入力し、ディジタル波形信号504を分析して、ディジタル波形信号の波形を画像表示する際に波形とともに画像表示する画像データ600を生成し、波形表示合成部240に出力する。CPU部140が生成する画像データ600とは、例えば、ゲートマーカーやスケールといった波形を見易く表示する(視認性を高める)ための画像のデータである。CPU部140は、例えば、波入力された波形の振幅を計測し、それにあわせた目盛を表示する画像を作成する。また、一定のゲートレベル以上部分には色をつける処理を行ってもよい。また、波形データの振幅が最も高い部分に矢印表示し強調した画像を作成してもよい。ディジタル波形信号を、二つの記録部(メモリ)に分散して記録し、一方をCPU部140により分析することによりCPU部140の負荷が軽減される。
【0018】
波形表示合成部240は、波形圧縮部230から出力された圧縮波形データ506とCPU部140から出力された画像データ600とを重ね合わせ、重ね合わせ画像507(画像表示用データ)を合成する。即ち、圧縮波形データ506と画像データ600とをスーパーインポーズ処理を行うことにより、重ね合わせ画像507を作成している。合成又は作成された重ね合わせ画像507は、表示制御部130に出力される。
【0019】
タイミング制御部132は、CPU部140から出力されるタイミング制御信号516を基にして、表示制御部130とアナログ・ディジタル変換部114に同期信号515を出力している。
【0020】
表示制御部130は、タイミング制御部132が入力した同期信号515により制御して画像表示部134に波形表示合成部240が合成した重ね合わせ画像507を出力する。表示制御部130は、重ね合わせ画像507に、さらに、CPU部140で作成された、検査の時刻や日時等の情報(画面表示用情報514)をCPU部140から入力して、重ね合わせ画像507に追加して画面表示用画像508を作成し、画面表示用画像508を画像表示部134に出力しても構わない。画像表示部134は入力した重ね合わせ画像507又は画面表示用画像508を表示装置に表示する。
【0021】
次に、本実施の形態における波形表示合成部240の機能構成について図2を用いて説明する。図2は、波形表示合成部240の構成を詳細に示した機能ブロック図である。超音波探傷器100の波形表示合成部240は、図2に示すとおり、合成部245、第1のパレット241、第2のパレット242、第3のパレット243、第4のパレット244、パレット優先選択制御部246を備えている。
【0022】
本実施の形態において、パレットとは、例えば、画像データを一時的に保持しておくメモリであり、CPU部140が作成した画像データを入力し記録している。パレットは、RAMなどのメモリ領域であり、レイヤーと呼ぶ場合もある。
【0023】
本実施の形態における超音波探傷器の波形表示合成部240は、波形圧縮部230から出力された圧縮波形データ506に基づく波形イメージを記録する波形イメージパレットと、CPU部140から出力された画像データに基づく画像イメージを記録する画像イメージパレットとを備えている。
波形イメージパレットと画像イメージパレットとは、図2に示す第1のパレット241〜第4のパレット244のうち、いずれかのパレットである。図2では、波形圧縮部230から出力される圧縮波形データ506は、第2のパレット242に入力されており、波形イメージパレットの役割を果たしている。そして、第1,第3,第4のパレットが、画像イメージパレットの役割を果たしている。第1のパレット〜第4のパレットには、CPU部140から出力される画像データ605〜608が入力されている。第2のパレットには、圧縮波形データ506とCPU部140からの画像データ606とが入力されており、波形イメージパレットと画像イメージパレットの両方の役割を果たしている。例えば、ある一定以上の閾値(ゲート)の波形に別の色を付けて表示する場合の処理として、波形圧縮部230からの圧縮波形データ506に重ね合わせるように、CPU部140が作成した色を付けた圧縮波形データの画像データを第2のパレット242に入力する。このように、波形イメージパレットに、CPU部140が画像データを追加しても構わない。
【0024】
なお、本実施の形態では4個のパレットを備えているが、画像表示の形態に応じてパレットの数は容易に増減可能である。即ち、パレットの数は2つでもよいし、5つ以上備えていても構わない。また、波形圧縮部230から出力される圧縮波形データ506は、第2のパレット242以外に記録されてもよい。また、波形圧縮部230は、第1のパレット〜第4のパレットのうち、いずれか任意のパレットを波形イメージパレットとして自由に選択できるようにしてもよい。
【0025】
本実施の形態において、第1のパレット241は、例えば、画像表示部に表示するゲートマーカーのイメージ(画像データ605)を記録するゲートマーカーイメージパレットである。第2のパレット242は、例えば、ゲートマーカー内における判定値以上の領域で指定された色情報(画像データ606)を記録する色情報パレットである。第3のパレット243は、例えば、画像表示部134に表示する矢印のイメージや別の検査等で取得した波形の形状イメージ(画像データ607)などを表示し記録する情報イメージパレットである。第4のパレット244は、例えば、波形の時間情報と振幅情報とを読み取るためのスケールイメージ(画像データ608)を記録するスケールイメージパレットである。
【0026】
本実施の形態で示す超音波探傷器100では、波形圧縮部230から送出された圧縮波形データ506は、第2のパレット242に送出される。ほぼ同時に(しかし、非同期に)、CPU部140が、例えば、ゲートマーカー(画像データ605)を第1のパレット241に記録し、上記ゲートマーカー内における判定値以上の領域で指定された色情報を第2のパレット242に記録し、波形を第3のパレット243に記録し、波形の時間情報と振幅情報を読み取るためのスケールを第4のパレット244とに記録する。第2のパレット242では、波形圧縮部230から取得した圧縮波形データ506と、CPU部140からの色情報を含めた画像データ606を重ね合わせた画像イメージ602を記録し出力する。最終的に、合成部245は、第1のパレット241が記録する画像イメージ601、第2のパレットが記録する画像イメージ602、第3のパレットが記録する画像イメージ603、第4のパレット244が記録する画像イメージ604を合成部245で合成し、重ね合わせ画像507を作成する。波形表示合成部240は、合成部245により合成・作成された重ね合わせ画像507を表示制御部130に出力する。
【0027】
また、波形表示合成部240は、パレット優先選択制御部246を備えている。パレット優先選択制御部246は、CPU部140からの優先選択信号609による指示により、合成部245で合成される画像データの階層の優先度を制御するパレット制御信号610を出力する。合成部245は、第1のパレットから第4のパレットに記録されている画像イメージを優先度順に重ね合わせ(スーパーインポーズともいう)、重ね合わせ画像507を合成する。さらに、合成部245は、合成した重ね合わせ画像507を表示制御部130に対して出力・送出する。出力された重ね合わせ画像507は画像表示部134により表示装置に表示される。表示制御部130では、さらに、CPU部140からの画面表示用情報514を用いて画面表示用画像508を作成してもよい。パレット優先選択制御部246は、各パレットの表示のON/OFFの制御も行う。
【0028】
本実施の形態において、図1及び図2を用いて説明した、「〜部」は、すべてマイクロコンピューターとソフトウェアによって構成されてもよいが、ハードウェアとソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって構成されていても構わない。
【0029】
次に、図3を用いて、超音波探傷器100のハードウェア資源の一例について説明する。
図3において、超音波探傷器100は、CPU部140のプロセッサとしてプログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、処理プロセッサ、中央処理装置、処理装置、演算装置ともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信装置915、表示装置901(画像表示部134に対応)、入力機器902、表示コントローラ919(波形表示合成部240と表示制御部130とに対応)、記憶装置920、送信部110、受信部112と接続されてこれらのハードウェアデバイスを制御する。また、探触子120は、送信部110と受信部112を経由してCPU911と接続されている。記憶装置920は、例えば、磁気ディスク装置、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などである。
【0030】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、記憶装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶部の一例である。第1の波形記録部210と第2の波形記録部220は共に記憶部であるため、RAM914若しくは記憶装置920を利用するが、データを書き込み速度、読み込み速度を考慮するとRAM914の方が高速であるため、RAM914を用いる方が望ましい。
【0031】
また、超音波探傷器100は、CPU911とは別に、波形圧縮部230のプロセッサとして、ディジタル波形信号504から圧縮波形データ506とするためのディジタルシグナルプロセッサ918を備えている。図3では、ディジタルシグナルプロセッサ918とRAM914や記憶装置920と接続するバス912は1個の汎用バスであるが、ディジタル波形信号504を入力し、圧縮波形データ506を出力するために、ディジタルシグナルプロセッサ918とRAM914や記憶装置920やパレット917とを接続する専用バスを別個に設けていてもよい。
【0032】
また、表示装置901は画像を記録する複数のパレット917と、複数のパレット917を合成した出力用の画像(重ね合わせ画像507、画面表示用画像508)を記録するVRAM916(Video RAM)とを備えている。
【0033】
通信装置915、入力機器902、探触子120などは、入力部、入力装置の一例である。
また、通信装置915、表示装置901、探触子120などは、出力部、出力装置の一例である。
【0034】
通信装置915は、例えば、ファクシミリ機、電話器、LAN等に接続されている。通信装置915は、LANに限らず、インターネット網、ISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。
記憶装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、プログラム群922、ファイル群923が記憶されている。プログラム群922のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921により実行される。
【0035】
上記プログラム群922には、実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群923には、実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」として説明するデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
また、各実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてバスや信号線を介したデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、パレット917やVRAM916やRAM914のメモリ、記憶装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0036】
また、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、以下に述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、以下に述べる「〜部」の手順をコンピュータに実行させるものである。
【0037】
以下に、本実施の形態における超音波探傷器100の動作について図4を用いて説明する。
まず、最初のステップS101において、送信部110が、探触子120に送信パルス信号501(電気信号)を送信する。即ち、送信部が生成した送信パルス信号501を探触子120に印加させる。探触子120は、印加された送信パルス信号501を超音波信号に変換して、試験体に超音波を送出する。
次に、ステップS102において、試験体中を伝搬した超音波信号が反射して再び探触子に戻り、探触子120が受信した超音波信号をアナログ波形信号502である電気信号に変換して受信部に入力する。すなわち、受信部112は探触子120からアナログ波形信号502を受信する。
ステップS103において、受信部112で増幅し出力したアナログ波形信号502をアナログ・ディジタル変換部114に出力しディジタル波形信号504に変換する。アナログ・ディジタル変換部114は、変換したディジタル波形信号504を、同時に、第1の波形記録部210と第2の波形記録部220とに出力する。
【0038】
ステップS104において、第1の波形記録部210は入力されたディジタル波形信号504を記録する。
次に、ステップS105において、波形圧縮部230がディジタル波形信号504を圧縮又は拡大し圧縮波形データ506に変換する。ステップS106において、波形圧縮部230は、圧縮又は拡大した圧縮波形データ506を波形イメージとしてパレット(波形イメージパレット)に出力する。
【0039】
一方、ステップS107において、第2の波形記録部220は、アナログ・ディジタル変換部が出力したディジタル波形信号504を記録する。
次に、ステップS108において、CPU部140が、第2の波形記録部220に記録されたディジタル波形信号504を入力して、ディジタル波形信号504を分析する。CPU部140は分析した結果に基づき、ディジタル波形信号504の波形を画像表示する際に波形と共に画像表示する画像データ600(605〜608)を生成する。
ステップS109において、CPU部140は、圧縮波形信号560のパレットへの出力とは非同期に、画像データ600を画像イメージパレットに随時出力する。
また、CPU部140は、画面表示用情報514をVRAM916に出力する。
なお、第1の波形記録部210と波形圧縮部230とによるステップS104〜ステップS106と、第2の波形記録部220とCPU部140とによるステップS107〜ステップS109とは同時平行に実行される。
【0040】
ステップS110において、波形表示合成部240は、波形圧縮部230から出力された圧縮波形データとCPU部140から出力された画像データとが画像イメージとして記録された各パレットを用いてイメージを重ね合わせ、重ね合わせ画像507を合成する。
最後に、ステップS111において、画像表示部134が表示装置に重ね合わせ画像507を表示する。
本実施の形態の超音波探傷器は所定のタイミング又は周期で上記の処理(ステップS101〜S111)を行う。タイミング制御部132から出力される同期信号515により、同期することが可能となっている。
【0041】
次に、本実施の形態の波形表示合成部240が合成する重ね合わせ画像507の例について、図5と図6を用いて説明する。図5及び図6は、波形表示合成部240が合成する画像表示用データの例を示す図である。
重ね合わせ画像507のサイズは、例えば、480×512ドット(ピクセル)である。画面表示用画像508のサイズは、例えば、480×640、又は、768×1024ドット(ピクセル)である。画面表示用画像508は、重ね合わせ画像507と画面表示用情報514とがVRAM916に記録されることにより合成される。
【0042】
まず、図5を用いて、ケース1C101について説明する。図に向かって最も左にある列に、最終的に合成された重ね合わせ画像507を示している。図に向かって右側4列は、各ケースにおけるパレットの内容を示している。パレット優先選択制御部246により、パレットの優先順位は左に行くほど高く、右に行くほど低く設定されている。優先順位が高い場合は、上位に位置して表示され、他のパレットの内容により上書きされることはない。例えば、第4のパレットには、ディジタル波形信号を表示する際の目盛が描かれている。目盛は、ディジタル波形の大きさ等を計測するときに参考にするものであるため、最も優先順位は低く設定している。
また、パレット優先選択制御部246により、各パレットの表示のON/OFFも容易にすることが可能であり、例えば、目盛が不要である場合は、第4のパレット244の表示をOFFとすればよい。
【0043】
ケース1では、第1のパレット241は閾値であるゲート1を示す画像を記録している。第2のパレット242は、圧縮波形と、ゲート1で示すレベル以上の色分けの範囲を指定した画像を記録している。第3のパレット243は、過去に記録した波形のデータを示す情報を記憶している。第4のパレット244では、目盛の画像データを記録している。
各パレットに記録された画像イメージ601〜604を用いて合成部245が重ね合わせ画像507を合成する。
【0044】
ケース2について図6を用いて説明する。ケース2は優先順位を入れ替えた例である。第1のパレット241は閾値であるゲート1を示す画像を記録している。第2のパレット242は、圧縮波形と、ゲート1で示すレベル以上の色分けの範囲を指定した画像を記録している。第3のパレット243は、M線及びL線を画像として記録している。第4のパレット244では、目盛の画像データを記録している。
各パレットに記録された画像イメージ601〜604を合成部245が重ね合わせ画像507を合成する。ただし、パレット優先選択制御部246により第3のパレットに記録しているM線又はL線を強調するため、パレットの優先順位を変更し、合成部245は重ね合わせ画像507を合成する。
【0045】
ケース3について図6を用いて説明する。ケース3は、波形の視認性を増すため、CPU部140で分析し、波形の特徴部分に矢印を表示するように画像を作成し、第3のパレットに記録している。ケース2と同様に、パレット優先選択制御部246がパレットの優先順位を変更し、合成部245が重ね合わせ画像507を合成する。
【0046】
本実施の形態で説明した超音波探傷器100について特徴を以下にまとめる。
【0047】
本実施の形態に係る超音波探傷器は、探触子と表示装置とを備えた超音波探傷器において、
受信部112が、探触子120からアナログ波形信号502を受信し、
アナログ・ディジタル変換部114が、受信部112が受信したアナログ波形信号502をディジタル波形信号504に変換し、
第1の波形記録部210が、アナログ・ディジタル変換部114がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号504を記録し、
第2の波形記録部220が、アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号504を記録し、
波形圧縮部230が、第1の波形記録部210に記録されたディジタル波形信号504を入力して、ディジタル波形信号504の波形を圧縮して、圧縮波形データ506を出力し、
CPU部140が、第2の波形記録部220に記録されたディジタル波形信号504を入力して、ディジタル波形信号504を分析して、ディジタル波形信号504の波形を画像表示する際に波形とともに画像表示する画像データ600を生成して出力し、
波形表示合成部240が波形圧縮部230から出力された圧縮波形データ506とCPU部140から出力された画像データ600とを重ね合わせて、重ね合わせ画像507を合成し、
画像表示部134が、波形表示合成部240で合成された重ね合わせ画像507を表示装置に表示することを特徴とする。
【0048】
本実施の形態に係る超音波探傷器100は、第1の波形記録部210と第2の波形記録部220とが同時にディジタル波形信号504を記録し、かつ、波形圧縮部230の波形の圧縮から圧縮波形データの出力までの処理と、CPU部140のディジタル波形信号504の分析から画像データ600の出力までの処理とが、並列に実行されることを特徴とする。
【0049】
本実施の形態で説明した超音波探傷器100の波形表示合成部240は、
波形圧縮部230から出力された圧縮波形データ506に基づく波形イメージを記録する波形イメージパレット(第1のパレット241〜第4のパレット244のいずれかひとつのパレット)と、CPU部140から出力された画像データ600に基づく画像イメージを記録する画像イメージパレット(第1のパレット241〜第4のパレット244の少なくともいずれかひとつのパレット)とを備えたことを特徴とする。波形圧縮部230からの出力と、CPU部140からの出力は、個別のパレットにされるので、出力は同時平行して行われる。
【0050】
上記画像イメージパレットは、波形の時間情報と振幅情報とを読み取るためのスケールイメージを記録するスケールイメージパレットを備えたことを特徴とする。
【0051】
上記画像イメージパレットは、さらに、画像表示部に表示するゲートマーカーのイメージを記録するゲートマーカーイメージパレットと、
上記ゲートマーカー内における判定値以上の領域で指定された色情報を記録する色情報パレットを備えたことを特徴とする。
【0052】
上記波形表示合成部は、さらに、
上記波形イメージパレットとスケールイメージパレットとゲートマーカーイメージパレットと色情報パレットのうちどのパレットをどの順に重ねるかという階層制御を行うパレット優先選択制御部を備えたことを特徴とする。
【0053】
また、本実施の形態で説明した超音波探傷器100の特徴について別の表現を用いて以下に説明する。
【0054】
本実施の形態における超音波探傷器100は、探触子を駆動させるための送信部110と探触子の受信信号を増幅する受信部112とアナログ波形信号502をディジタル波形信号504に変換するアナログ・ディジタル変換部114とディジタル波形信号504に変換した波形を表示する画像表示部134と操作制御を行うCPU部140を備えた超音波探傷器100において、探触子120からのアナログ波形信号502をアナログ・ディジタル変換してディジタル波形信号504として記録する第1の波形記録部210と第2の波形記録部220と、第1の波形記録部210に保存された波形を圧縮させる波形圧縮部230と、判定領域を指定するゲートマーカーや波形表示のスケール等をそれぞれ画像データ600として記録するCPU部140と、波形圧縮部230に記録された波形とCPU部140に記録されたそれぞれの画像データ600を合成させる波形表示合成部240と、画像表示部134を制御する表示制御部130と、波形表示合成部240で重ね合わせられた画像を表示する画像表示部134を備えたことを特徴とする。
【0055】
本実施の形態で説明した超音波探傷器100は、第1の波形記録部と第2の波形記録部を備えているため、送受信制御部116からの一定周期の繰り返しタイミング信号に同期してアナログ・ディジタル変換部114にてアナログ・ディジタル変換したディジタル信号を第1の波形記録部210に送出し、さらに第2の波形記録部220を経由してCPU部140へ送出する。そのため、CPU部140で波形の分析を行い画像表示する画像データの作成・生成が可能となり、画像表示部134に表示する画像を高速に表示させることが可能になるという効果を奏する。
【0056】
また、波形圧縮部の波形の圧縮から圧縮波形データの出力までの処理と、CPU部のディジタル波形信号の分析から画像データの個別のパレットへの出力までの処理とは、並列に実行されるため、短時間で処理するため、より高速に表示させることが可能となる。
【0057】
本実施の形態に係る超音波探傷器100は、複数のパレットと、パレット優先選択制御部246とを備えているため超音波探傷器100の画像表示で必要な、ゲートマーカーの表示、ゲートマーカー内における判定値以上の領域で指定された色による波形表示、波形の時間情報と振幅情報を読み取るためのスケール表示などが容易となる。さらに、各パレットの表示色の制御やその他のマーカー表示など表示画像の見易さを優先とした表示形態の変更も容易となり、屋外の太陽光のもとでの作業においても視認性を大幅に向上できる。
【0058】
本実施の形態に係る超音波探傷器100は、複数のパレットを備えたことにより、超音波探傷器100は、波形表示合成部240により、CPU部140が作成した画像を容易に合成することが可能となる。さらに、パレット優先選択制御部246を備えたことにより、各パレットの優先順位を容易に設定することが可能となり視認性の高い画面表示用画像を作成することが可能となる。
第1の波形記録部210と第2の波形記録部220という記録部と、波形イメージパレットと画像イメージパレットとCPU部140と波形圧縮部230とを備えているので、第1の波形記録部210と波形圧縮部230とが行う処理と、第2の波形記録部220とCPU部140とが行う処理とが完全に同時平行して独立非同期に行うことが可能となる。
【0059】
実施の形態2.
本実施の形態について、図7と図8を用いて説明する。図7は、本実施の形態における超音波探傷器100の構成を示す機能ブロック図である。図8は、本実施の形態における超音波探傷器100の動作を示すフローチャートである。本実施の形態に係る超音波探傷器100のブロック構成図は、実施の形態1で説明した超音波探傷器100のブロック構成図と略同様である。実施の形態1との相違点は、第1の切替部251、第2の切替部252、第3の切替部253を付加したことである。他の構成と動作は実施の形態1と同一であるため、説明を省略する。
【0060】
予め、第1の切替部251〜第3の切替部253において、CPU部140からのスイッチタイミング制御信号701〜703により、第1の波形記録部210にディジタル波形信号504が入力され、処理できるように設定されているものとする(ステップS200)。
ステップS201からステップS203までの処理は、実施の形態1のステップS101からステップS103の動作と同様である。
ステップS204において受信部112に入力されたアナログ波形信号502は増幅された後にアナログ・ディジタル変換部114でディジタル波形信号504に変換されて、第1の切替部251に出力される。
第1の切替部251は、アナログ・ディジタル変換部114が変換したディジタル波形信号504を、第1の波形記録部210に出力(送出)する。
【0061】
第1の波形記録部210が出力するディジタル波形信号504のCPU部140と波形圧縮部230とへの入力は、リードオンリーなので、シリアル・パラレル・ランダムのいずれでも構わない。
すなわち、第1の波形記録部210が出力するディジタル波形信号504の第2の切替部252と第3の切替部253とへの入力は、シリアル・パラレル・ランダムのいずれでも構わない。第1の波形記録部210がデュアルポートを有し、同時出力してもよい。
【0062】
第2の切替部252は、第1の波形記録部210ディジタル波形信号504を入力し、波形圧縮部230に出力する(ステップS205)。
波形圧縮部230は、第2の切替部252から出力されたディジタル波形信号504を入力して、ディジタル波形信号の波形を圧縮する。さらに、圧縮した波形データを圧縮波形データとして波形表示合成部240に出力する(ステップS206)。
【0063】
第3の切替部253は、第1の波形記録部210からディジタル波形信号504の波形を入力してCPU部140に出力する。
CPU部140は、第3の切替部から出力されたディジタル波形信号を入力し、入力したディジタル波形信号を分析して、ディジタル波形信号の波形を画像表示する際に波形とともに画像表示する画像データを生成してパレットに出力する(ステップS208〜ステップS209)。
【0064】
ステップS210からステップS211の動作は実施の形態1におけるステップS110とステップS111と動作と同様である。
【0065】
重ね合わせ画像507を出力した段階で、CPU部140からのスイッチタイミング制御信号701〜703により、第1の切替部251〜第3の切替部253が第2の波形記録部側にディジタル波形信号504が入力されるよう設定される(ステップS300)。
ステップS301〜ステップS311までの動作は、ステップS201からステップS211までの動作と同様であるため説明を省略する。
第2の波形記録部220が出力するディジタル波形信号504のCPU部140と波形圧縮部230とへの入力は、リードオンリーなので、シリアル・パラレル・ランダムのいずれでも構わない。
すなわち、第2の波形記録部220が出力するディジタル波形信号504の第2の切替部252と第3の切替部253とへの入力は、シリアル・パラレル・ランダムのいずれでも構わない。第2の波形記録部220はデュアルポートを有し、同時出力してもよい。
【0066】
第1の波形記録部210または第2の波形記録部220に保存されたディジタル波形信号504は第2の切替部252で第1の切替部251と同様に切り替えられて波形圧縮部230に送出される。
【0067】
第1の波形記録部210または第2の波形記録部220のディジタル波形信号504は、第3の切替部253により、アナログ・ディジタル変換部114から第1の波形記録部210と第2の波形記録部220とのうちディジタル波形信号504が送出されていない側の波形記録部からCPU部140へディジタル波形信号504を送出する。
【0068】
また、波形圧縮部230に送出されたディジタル波形信号504は画像表示部134の表示サイズに合わせて波形の時間軸と振幅方向に圧縮又は拡大を行い波形表示合成部240に送出する。波形表示合成部240では探触子120からの受信信号をディジタル変換した波形データとその他の画像データ(ゲートマーカーやスケール等)とを合成することにより画像表示用データを作成して表示制御部130に送出する。
表示制御部130は、タイミング制御部132が出力する同期信号を入力し、同期信号に基づいて制御することにより画像表示部134に、波形表示合成部240が合成した重ね合わせ画像507を表示する。
【0069】
図8において、第1の切替部251と第2の切替部252と第3の切替部253は、探触子120による1回の検査(1回の送信パルス信号501)毎に同時に切り替えられるものである。
【0070】
本実施の形態における超音波探傷器100は、第1の切替部251がディジタル波形信号504を交互に出力し、第1の波形記録部210と第2の波形記録部220に交互に記録している。また、第2の切替部が第1の波形記録部と第2の波形記録部220に交互に記録されたディジタル波形信号504を波形圧縮部230に出力している。さらに、第3の切替部253が第1の波形記録部210と第2の波形記録部220に記録されたディジタル波形信号504をCPU部140に交互に出力している。
【0071】
第1の切替部251と第2の切替部252と第3の切替部253は、同時に切り替えられる必要はなく、データの連続性やアクセスの必要性を確保するために個別に切り替えてもよい。
第1の波形記録部210又は第2の波形記録部220のどちらか一方がCPU部140にディジタル波形信号504を送出しているタイミングでは、アナログ・ディジタル変換部114からのディジタル波形信号504を受信できない場合があるため、CPU部140と交信していない他方の波形記録部に処理を切り替えて処理を継続続行してもよい。具体的には、第1の切替部251は、第1の波形記録部210がCPU部140にディジタル波形信号504を送出している場合、第2の波形記録部220に対してディジタル波形信号504を送出するように切り替える。
また、第1の波形記録部210が波形圧縮部230にディジタル波形信号504を送出することができなかった場合も同様に、第1の切替部251が、波形圧縮部230と交信していない第2の波形記録部220に送出先を切り替えて、ディジタル波形信号504を送出することにより処理を継続・続行することが可能となる。
こうして、第1の切替部251により入力されるディジタル波形信号504を途切れることなく、表示装置に表示することが可能となる。
【0072】
波形記録部が1個しかないと、CPU部140に波形データを送出しているタイミングではアナログ・ディジタル変換部114からのディジタル波形信号504を受信できなかったり、波形圧縮部230にディジタル波形信号504を送出できなかったりするために、波形記録部を2個設けてCPU部140と交信していない側の第1の波形記録部210または第2の波形記録部220を切替選択する。従って、第1の切替部251と第2の切替部252と第3の切替部253は、CPU部140と交信していない側の第1の波形記録部210または第2の波形記録部220を切替選択するものであればよい。
即ち、第1の切替部251と第2の切替部252と第3の切替部253は、各アクセスが終了したタイミングで、CPU部140により個別に切り替えればよい。
【0073】
以上のように、超音波探傷器100は、第1の切替部251の切り替えにより、第1(又は、第2)の波形記録部が、ディジタル波形信号を入力してディジタル波形信号を記録している場合には、第2の切替部252の切り替えにより、波形圧縮部が第2(又は、第1)の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力して波形を圧縮し、かつ、第3の切替部253の切り替えにより、CPU部が第2(又は、第1)の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力し分析することを特徴とする。
【0074】
以上の通り説明した超音波探傷器100を超音波探傷検査に用いれば、実施の形態1で示した同様の効果を得ることが可能である。
【0075】
また、図4及び図8のフローチャートに示したフローは、超音波探傷器100を実現するコンピュータ上で実行される超音波探傷器100のプログラムの処理手順として実現されもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施の形態1に係る超音波探傷器100の機能構成の一例を示すブロック構成図。
【図2】実施の形態1に係る超音波探傷器100が有する波形表示合成部240の機能構成の一例を示すブロック構成図。
【図3】実施の形態2に係る超音波探傷器100のハードウェア構成の一例を示す図。
【図4】実施の形態1に係る超音波探傷器100が表示装置に画像を表示する際の動作を示すフローチャート。
【図5】波形表示合成部240が合成する重ね合わせ画像507の例を示す図。
【図6】波形表示合成部240が合成する重ね合わせ画像507の例を示す図。
【図7】実施の形態2に係る超音波探傷器100の機能構成の一例を示すブロック構成図。
【図8】実施の形態2に係る超音波探傷器100が表示装置に画像を表示する際の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
100 超音波探傷器、110 送信部、112 受信部、114 アナログ・ディジタル変換部、116 送受信制御部、120 探触子、130 表示制御部、132 タイミング制御部、134 画像表示部、140 CPU部、210 第1の波形記録部、220 第2の波形記録部、230 波形圧縮部、240 波形表示合成部、241 第1のパレット、242 第2のパレット、243 第3のパレット、244 第4のパレット、245 合成部、246 パレット優先選択制御部、251 第1の切替部、252 第2の切替部、253 第3の切替部、501 送信パルス信号、502 アナログ波形信号、504 ディジタル波形信号、506 圧縮波形データ、507 重ね合わせ画像、509 送信制御信号、510 受信制御信号、514 画面表示用情報、515 同期信号、516 タイミング制御信号、601,602,603,604 画像イメージ、600,605,606,607,608 画像データ、701,702,703 スイッチタイミング制御信号、911 CPU、912 バス、901 表示装置、902 入力機器、913 ROM、914 RAM、915 通信装置、918 ディジタルシグナルプロセッサ、917 パレット、916 VRAM、920 記憶装置、921 オペレーティングシステム、922 プログラム群、923 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探触子と表示装置とを備えた超音波探傷器において、
探触子からアナログ波形信号を受信する受信部と、
受信部が受信したアナログ波形信号をディジタル波形信号に変換するアナログ・ディジタル変換部と、
アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号を記録する第1の波形記録部と、
アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号を記録する第2の波形記録部と、
第1の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力して、ディジタル波形信号の波形を圧縮して、圧縮波形データを出力する波形圧縮部と、
第2の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力して、ディジタル波形信号を分析して、ディジタル波形信号の波形を画像表示する際に波形とともに画像表示する画像データを生成して出力するCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)部と、
波形圧縮部から出力された圧縮波形データとCPU部から出力された画像データとを重ね合わせて、重ね合わせ画像を合成する波形表示合成部と、
波形表示合成部で合成された重ね合わせ画像を表示装置に表示する画像表示部と
を備えたことを特徴とする超音波探傷器。
【請求項2】
探触子と表示装置とを備えた超音波探傷器において、
探触子からアナログ波形信号を受信する受信部と、
受信部が受信したアナログ波形信号をディジタル波形信号に変換するアナログ・ディジタル変換部と、
アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号を記録する第1の波形記録部と、
アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号を記録する第2の波形記録部と、
アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号を入力して、ディジタル波形信号を第1の波形記録部と第2の波形記録部とに交互に出力する第1の切替部と、
第1の波形記録部と第2の波形記録部とに交互に記録されたディジタル波形信号を交互に入力して出力する第2の切替部と、
第1の波形記録部と第2の波形記録部とに交互に記録されたディジタル波形信号を交互に入力して出力する第3の切替部と、
第2の切替部から出力されたディジタル波形信号を入力して、ディジタル波形信号の波形を圧縮して、圧縮波形データを出力する波形圧縮部と、
第3の切替部から出力されたディジタル波形信号を入力して、ディジタル波形信号を分析して、ディジタル波形信号の波形を画像表示する際に波形とともに画像表示する画像データを生成して出力するCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)部と、
波形圧縮部から出力された圧縮波形データとCPU部から出力された画像データとを重ね合わせて、重ね合わせ画像を合成する波形表示合成部と、
波形表示合成部で合成された重ね合わせ画像を表示装置に表示する画像表示部と
を備えたことを特徴とする超音波探傷器。
【請求項3】
上記波形表示合成部は、
波形圧縮部から出力された圧縮波形データに基づく波形イメージを記録する波形イメージパレットと、
CPU部から出力された画像データ基づく画像イメージを記録する画像イメージパレットとを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の超音波探傷器。
【請求項4】
上記画像イメージパレットは、
波形の時間情報と振幅情報とを読み取るためのスケールイメージを記録するスケールイメージパレットを備えたことを特徴とする請求項3記載の超音波探傷器。
【請求項5】
上記画像イメージパレットは、さらに、
画像表示部に表示するゲートマーカーのイメージを記録するゲートマーカーイメージパレットと、
上記ゲートマーカー内における判定値以上の領域で指定された色情報を記録する色情報パレットを備えたことを特徴とする請求項4記載の超音波探傷器。
【請求項6】
上記波形表示合成部は、さらに、
上記波形イメージパレットとスケールイメージパレットとゲートマーカーイメージパレットと色情報パレットのうちどのパレットをどの順に重ねるかという階層制御を行うパレット優先選択制御部を備えたことを特徴とする請求項5記載の超音波探傷器。
【請求項7】
波形圧縮部の波形の圧縮から圧縮波形データの出力までの処理と、CPU部のディジタル波形信号の分析から画像データの出力までの処理とは、並列に実行されることを特徴とする請求項1〜6何れかに記載の超音波探傷器。
【請求項8】
第1の切替部の切り替えにより、第1の波形記録部が、ディジタル波形信号を入力してディジタル波形信号を記録している場合には、第2の切替部の切り替えにより、波形圧縮部が第2の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力して波形を圧縮し、かつ、第3の切替部の切り替えにより、CPU部が第2の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力し分析することを特徴とする請求項2〜6何れかに記載の超音波探傷器。
【請求項9】
探触子と表示装置とを備えた超音波探傷器が行う超音波探傷検査結果表示方法において、
受信部が探触子からアナログ波形信号を受信する受信処理と、
アナログ・ディジタル変換部が、受信部が受信したアナログ波形信号をディジタル波形信号に変換するアナログ・ディジタル変換処理と、
第1の波形記録部が、アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号を記録する第1の波形記録処理と、
第2の波形記録部が、アナログ・ディジタル変換部がアナログ・ディジタル変換したディジタル波形信号を記録する第2の波形記録処理と、
波形圧縮部が、第1の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力して、ディジタル波形信号の波形を圧縮して、圧縮波形データを出力する波形圧縮処理と、
CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)部が、第2の波形記録部に記録されたディジタル波形信号を入力して、ディジタル波形信号を分析して、ディジタル波形信号の波形を画像表示する際に波形とともに画像表示する画像データを生成して出力する画像データ生成処理と、
波形表示合成部が、波形圧縮部から出力された圧縮波形データとCPU部から出力された画像データとを重ね合わせて、重ね合わせ画像を合成する波形表示合成処理と、
画像表示部が波形表示合成部で合成された重ね合わせ画像を表示装置に表示する画像表示処理と
からなることを特徴とする超音波探傷検査結果表示方法。
【請求項10】
請求項9記載の超音波探傷検査結果表示方法をコンピュータに実行させる超音波探傷検査結果表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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