説明

超音波探触子及びその製造方法

【課題】微細なピッチの、かつ、精度の高い信号箔を生産性良く得るとともに、圧電素子の切断溝のダイシングカット時の負荷及び信号箔の折曲時の曲げ応力を小さくして、圧電素子の破損等の不良を低減する。
【解決手段】母材20を準備し、該母材20の表面に絶縁層21を形成する工程と、リソグラフィ技法により、前記絶縁層21を露光、現像、剥離してパターニングし、該パターニングに沿って前記母材20の上面に達するキャビティ23を形成する工程と、前記キャビティ23内に銅メッキ24、半田メッキ25の順でメッキを施して信号箔26を形成する工程と、前記キャビティ23から形成した前記信号箔26を離型する工程と、からなる、アディティブ法によりパターニングした銅箔からなる信号箔を有することを特徴とする、超音波探触子の製造方法及びこの製造方法により製造した超音波探触子

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子及びその製造方法に係り、とくに、アディティブ法によりパターニングした金属(銅)箔からなる信号箔を用いた超音波探触子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波探触子の圧電素子群は、図12に示すように、多数の圧電素子1からなる圧電素子群2をダンパー台3に取り付けられたダンパー(バッキング)材4の上に並べて、電極6aをエッチングによりパターニングした第1のフレキシブルプリント基板により千鳥状に互い違いに配列して導出する。図12に示す従来例では、例えば、80チャンネル分に相当する圧電素子1の電極6aを、銀線9を経て、第のフレキシブルプリント基板7の導電路8により導出する。この第のフレキシブルプリント基板7は、ダンパー台3の外表面に被着され、その表面に20チャンネルずつの4グループに分けた2列の電極ランドを有する。そして、4個のピンコネクタ12が、4グループのそれぞれに対応して補強板11を介在させて配設され、各電極ランドと入力ピンとが、それぞれ接続される。次いで、残余の40チャンネルに相当する圧電素子1の電極を、銀線9を経て、第及び第のフレキシブルプリント基板(図示せず)により導出する。そして、第及び第のフレキシブルプリント基板は、ダンパー台3の両側で第1のフレキシブルプリント基板7に重畳して接着され、電極ランドに設けられた先端側に、補強板11を介在させて、別のピンコネクタが配設される。そして、送受波面側の電極6bは、例えば、導線路により共通に接続され、フレキシブルプリント基板の導電路に接続される(特許文献1)
【0003】
このような構成の従来例の超音波探触子では、前述したように、信号引き出しのためにチャンネル分割したパターンを有するフレキシブルプリント基板あるいはベタ状(平坦)銀箔または銅箔を、例えば、圧電板(圧電素子群、チタン酸ジルコン酸鉛等からなる)電極に半田で接合し、圧電板に形成した切断溝に合せて、作業者が顕微鏡下でチャンネル毎に信号箔をカット(分割)して使用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−254088号公報
【特許文献2】特開2009−147365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の超音波探触子では、フレキシブルプリント基板が、パターニングされているので、銅箔等を接合した後、圧電板(圧電素子群)をダイシングカットすることで、所望のチャンネルに分割される。しかし、ベースフィルム、銅箔、接着剤と圧電素子群が積層されて構成されているため、ダイシングピッチが細い探触子を製造する際、ダイシングカットの難易度が極めて高く、かつ、切断の際、圧電素子が破損する等の問題点があるほか、フレキシブルプリント基板が硬いため、それを折り曲げて圧電素子(圧電板)の側面に当接させる際の曲げ応力によって圧電素子が破損する問題点があった。
【0006】
さらに、ベタ状の銅箔を用いた信号箔の製造では、圧電素子群をダイシングカットした後、チャンネル毎(例えば、80チャンネル)に、作業者が手作業によりカミソリ等を用いて、顕微鏡下で銅箔を圧電素子に形成した切断溝に合せ分割する作業が不可欠であり、そのため、製造工数が余分にかかるとともに、カミソリによる分割(カット)時の負荷で圧電素子が折損してしまう等の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、本発明の超音波探触子の製造方法は、母材を準備し、該母材の表面に絶縁層を形成する工程と、リソグラフィ技法により、前記絶縁層を露光、現像、剥離してパターニングし、該パターニングに沿って前記母材の上面に達するキャビティを前記絶縁層に形成する工程と、次いで、前記キャビティ内に銅メッキ、半田メッキの順でメッキを施して信号箔を形成する工程と、前記キャビティから形成した前記信号箔を離型する工程と、からなるアディティブ法によりパターニングした銅箔からなる信号箔を有する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明では、前記信号箔を圧電板に接合する際、前記圧電板の超音波放射面を上面にし、前記圧電板の下面に左右一対の前記信号箔の端部が、前記圧電板の長軸方向に沿って重なって接合されることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明では、前記信号箔を下面に接合した前記圧電板を上方向から加圧して、接着剤を介し、ダンパー材に接合し、次いで前記信号箔を直角に折り曲げて前記ダンパー材の側面に当接させることを特徴とする。
【0010】
さらにまた、本発明では、前記圧電板を前記ダンパー材に接合する際、前記ダンパー材の上面に接着剤層を形成して、全面接着することを特徴とする。
【0011】
また、さらに本発明では、前記圧電板を前記ダンパー材に接合する際、前記圧電板と前記信号箔の端部との間に逃がし部を形成して接合することを特徴とする。
【0012】
また、本発明では、前記圧電板をダイシングブレードで切断して切断溝を形成する際、1回目のダイシングを所定のピッチで行い、切断溝を形成し、1回目のダイシングで形成した切断溝を樹脂で充填した後、2回目のダイシングを1回目の切断溝の中間を狙って行って切断溝の形成を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明では、前記信号箔への信号配線を行う際、1チャンネル単位で前記信号箔とフレキシブルプリント基板とを信号配線用銀線でブリッジさせ、まず、前記フレキシブルプリント基板に、すべての前記銀線を半田付けしてから、前記信号箔を半田付けすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記の製造方法で製造した超音波探触子に関する。
【0015】
さらに、本発明は、アディティブ法によりパターニングした銅箔からなる信号箔と、 前記信号箔を下面に接合した圧電板と、前記圧電板を上面に接合し、かつ、前記信号箔を直角に折り曲げて側面に当接させたダンパー材と、前記信号箔に1チャンネル単位で信号配線用銀線によりブリッジさせたフレキシブルプリント基板と、前記圧電板の上面に設けた音響整合層と、前記音響整合層の上面に装着した音響レンズと、からなる探触子本体を有することを特徴とする超音波探触子に関する。
【0016】
本発明は、前記探触子本体と、その駆動素子と、前記駆動素子へ給電する給電ケーブルと、 前記探触子本体と、前記駆動素子と、前記給電ケーブルとを格納するハウジングと、からなることを特徴とする超音波探触子に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、アディティブ法により信号箔を製造するので、従来の銅箔をエッチングしたフレキシブルプリント基板よりも微細なピッチの、かつ、精度の高い信号箔が高生産性で得られる。また、圧電素子の切断溝のダイシング・カット時の負荷及び信号箔の折曲時の曲げ応力も小さくなるので、圧電素子の破損等の不良が激減する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のアディティブ法による超音波探触子用信号箔の製造方法の工程を示す工程図である。
【図2】図1に示す製造方法で製造した信号箔の模式的部分平面図である。
【図3】図3(a)は、従来の製造方法により製造した信号箔の、また、図3(b)は、本発明の製造方法により製造した信号箔の溝部の部分拡大写真である。
【図4】本発明の製造方法により製造した信号箔を圧電板に半田付け(ウェルド)した状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示した信号箔をウェルドした圧電板をダンパー材に接着し、信号箔をダンパー材とダンパー台の側面に当接するように直角に折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の製造方法で製造した信号箔をウェルドした圧電板の接着方法を示し、(a)は、両信号箔間と圧電板の下面との隙間に厚い接着剤層を形成して接着した状態を、また、(b)は、当該隙間に薄い接着剤層を形成して接着させ、信号箔のダンパー材表面と圧電板の下面との間に逃げを設けて接着した状態を示す正面図である。
【図7】図5に示した圧電板を接着したダンパー材をダイシングソーにより切断加工して切断溝を形成した状態を示す斜視図である。
【図8】図7でダイシング加工したダンパー材に装着した信号箔に信号配線をした状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示した信号箔に信号配線した圧電板の上に音響整合層を装着した状態の斜視図を示す。
【図10】図9に示した側面コート及びダンパー台・ダンパー材の側面にシールドテープを接着し、かつ、音響整合層上に音響レンズを装着して構成した探触子本体(センサー)の斜視図を示す。
【図11】図10に示した探触子本体を格納した本発明の超音波探触子を示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図を示す。
【図12】従来から用いられている超音波探触子の圧電素子群の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明のアディティブ法による超音波探触子用信号(導出)箔の製造方法の工程を示す工程図である。
【0020】
ここで、アディティブ法とは、一般に、絶縁板あるいはベースフィルム上に導体パターンを形成する技法である(特許文献2参照)。
【0021】
本発明の信号箔の製造方法では、絶縁板あるいはベースフィルムに代えてステンレススチール(SUS)板上に導体パターンを形成して、信号箔を製造する。
【0022】
図1は、本発明の製造方法の各工程に用いる母材(SUS材)、絶縁層及びメッキ層の縦断面を示す。
【0023】
まず、工程(a)では、母材(SUS材)20を準備し、母材20の表面にネガ型レジストを塗布して絶縁層21を形成する。
【0024】
ここで、SUS材20は、板状のものを、電気を通す必要性のためと製造工程の最後に製品(信号箔)を母材20から剥がしやすくするために用い、その厚さは、例えば、約0.1mm、のものを用いる。また、絶縁層21は、フィルム状のレジストで半生状のものを用い、その厚さは、約20μmである。
【0025】
次いで、工程(b)で、リソグラフィ技法により、マスク22を介して絶縁層21を露光、現像して、絶縁層21の一部を剥離し(パターニング)、絶縁層21内に母材(SUS材)20の上面まで貫通したキャビティ23がパターニングに沿って形成る。とくに、本発明の製造方法では、エッチングに代えて、絶縁層21の一部を剥離してキャビティ23を形成するので、エッチングの際の異方性の影響がないので、母材20の厚み方向に平行な内壁をもつキャビティ23が形成される。
【0026】
さらに、工程(c)で、キャビティ23内に、Cu(銅)メッキ24、半田メッキ25の順で、メッキを行い信号箔26を形成する。
【0027】
最後に、工程(d)で、キャビティ23内からCuメッキ24と半田メッキ25からなる信号箔26を離型すると、図2に示すような、予めチャンネル分割したパターン(溝26a,ブレード26b)を有する信号箔26(厚み:10〜20μm)が製造される。
【0028】
ここで、従来、信号箔として用いられているフレキシブルプリント基板では、ポリイミド系樹脂がそのベース材として用いられているため、その腰が強くなり、曲げにくくなっている。そのため、フレキシブルプリント基板の屈曲時の応力によって圧電素子が破損する恐れがあった。しかし、本発明では、信号箔の製造に用いたSUS母材は、あくまでも、その製造時に使用するだけであって、探触子本体の信号箔は、銅箔のみからなるから、軟らかく曲げやすいので、屈曲時の圧電素子の破損が回避される。
【0029】
次に、図4に示すように、前述のようにして製造された溝26a(30〜50μm巾)とブレード26b(30μm巾)とが形成された信号箔26を超音波放射面27aを上側にした圧電板27の下面に半田(図1の工程(c)でメッキした半田)接合(ウェルド)する。
【0030】
ここで、圧電板27には、図4に符号eで示すように、一対の信号箔26の端部が、その長軸方向に重なって(約0.5mm)接合されるとともに、信号箔26には、各側(左あるいは右側)が奇数チャンネルと偶数チャンネルに分けて出力するように、千鳥状にずらしてパターンが配列される。ウェルド後、信号箔26の不要部分(図4に示す信号箔26の両端に仮想線で示す部分26c)は切除される。
【0031】
さらに、図5に示すように、信号箔26をウェルド(半田接合)した圧電板27を、図5に示すA方向(上方向)から加圧して、接着剤を介して圧電板27とダンパー材28、ダンパー台(基台)29とを接着し、その後、信号箔26を直角に折り曲げて、ダンパー材28とダンパー台29の側面に当接させる。そして、図5に仮想線で示す部分26dは、後に切除されて、信号箔が1チャンネルずつに分割される。
【0032】
また、ウェルドの際、図6に示すように、信号箔26を半田付けした圧電板27は、圧電板27を振動させたとき制振の役目をするダンパー材28の上面に接着剤を用いて厚い接着剤層28aを形成し全面接着される(図6(a)参照)。この接着に用いられる接着剤は、エポキシ系接着剤が適しているが、顧客の要求特性にしたがい、圧電板27とダンパー材28とにサンドウィッチされる信号箔26の端部との間に“逃がし”部33を形成して薄い接着剤により接合してもよい(図6(b)参照)。
【0033】
ここで、接着剤29は、ダンパー材28の表面にのみ塗布するが、圧電板27とダンパー材28とを重ね合せた後、作業者が指圧で不要な接着剤と気泡を押し出す作業が不可欠である。その際、圧電板27が割れたり、あるいは治具を用いた加圧によって所定位置がずれて接着され、不良が発生するおそれがある。
【0034】
しかし、図6(a)に示すように、ダンパー材28の上面全面に信号箔26と同じ厚みの接着剤層28aを形成した場合は、圧電板27の感度が良く、また、図6(b)に示すように、薄い接着剤層28a形成して信号箔26を接着させ信号箔26の逃がし部33を形成した場合には、圧電板27の感度は低くなるが、圧電板27の振動の収まり(周波数帯域が大きくなる)が良くなる。
【0035】
またさらに、図7に示すように、圧電素子が3素子で1チャンネルを構成している圧電素子群では、同一チャンネル間は、電気的な絶縁性(DC100V、5MΩ以上)で満足させるため、例えば、25μm以上の厚さのダイシングブレートで切断して、切断溝30を形成する。ここで、1チャンネル当りの圧電素子数は、圧電板27の振動効率の良い辺比(圧電素子の巾/圧電素子の厚さ:例えば、60%)に近くなるように、圧電素子数と最適なダイシングブレードを選定する。
【0036】
しかしながら、圧電素子の切断溝30のピッチが極めて小さい超音波探触子において、すべての圧電素子を1回で切断することは、極めて難しい(例えば、ピッチ:0.15mm/チャンネルを2分割等する場合)。ここで、上記した事例の場合、1回で、すべての圧電素子を切断する場合は、0.075mmピッチでダイシングにより切断することになり、圧電素子の厚みが薄いため割れてしまって、歩留まりが著しく悪くなる。そのため、本発明の実施例では、1回目の切断を0.15mmピッチのチャンネル間のみで行い、1回目の切断溝30に樹脂を装填して固めた後、2回目のダイシングによる圧電素子の切断を1回目の切断溝30の中間を狙って0.15mmピッチで行うように、圧電素子の切断を2回に分けて行う。このような2回に分けた圧電素子の切断方法により、圧電素子が破損することなく、狭いピッチをもつ圧電素子の切断ができるようになる。
【0037】
最後に、図8に示すように、信号箔26への信号配線を行う。
【0038】
すなわち、図8に示すように、1チャンネル単位で信号箔26とフレキシブルプリント基板32とを信号配線用銀線31(直径:例えば、0.1mm)でブリッジさせる。このため、1チャンネル当り、2カ所で半田付けが必要となるので、まず、最初にフレキシブルプリント基板32側にすべての銀線31を半田付けしてから、次いで、信号箔26を半田付けする。
【0039】
さらに、図8に示した信号箔に信号配線した圧電板を探触子本体(センサー)として構成するためには、図9に示すように、ダンパー材28の長軸方向の角部に接着した信号箔26の上に装着した圧電板27の上にさらに第一音響整合層34を加温・加圧接着し、側面コート36と側面板37で第一音響整合層34とダンパー材28及びダンパー台29を覆った後、さらに、第二音響整合層35を側面コート36の上面に接着する。また、ケーブル配線用のフレキシブルプリント基板32が信号箔26に電気的に接続されており、さらに、フレキシブルプリント基板の表面に電源に接続するコネクタ38が設けられている。
【0040】
また、図10に示すように、図9に示した側面コート36と側面板37ならびにダンパー材28とダンパー台29の表面にはシールドテープ33が接着されるとともに、第二音響整合層35の上面に音響レンズ39が装着される。
【0041】
このようにして構成された探触子本体(センサー)は、図11に示すようなハウジング40内に格納され、給電ケーブル41を介して振動子部(駆動素子)が駆動されるようになっている。
【0042】
ここで、本発明の超音波探触子の実施例を、リニアアレイプローブ(電子走査式探触子)の実施例について説明したが、コンベックスアレイプローブ、3D式(回転・搖動式)探触子にも本発明を適用できる。
【0043】
ここで、信号箔側の半田付けでは、半田用の“こて先”を長時間、接合部に当てすぎると、信号箔26と圧電素子の半田付け部の半田が溶けてしまい、断線する。また、“こて先”を接合部に強く当てすぎると、信号箔26自体が損傷し、断線する。
【0044】
そこで、例えば、現在、表面に半田メッキを形成した信号箔26を圧電素子に半田接合しているが、先の半田メッキの代わりに信号箔26の表面に金メッキをして、圧電素子と信号箔26とを接着剤により面接着することにより、導通を取ることもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 圧電素子
2,27 圧電板
3,29 ダンパー台
4,28 ダンパー材
28a 接着剤層
5,26 信号箔
6 電極
7,32 フレキシブルプリント基板
8 導電路
9,31 信号配線用銀線
11 補強板
12 コネクタピン
30 切断溝
34,35 音響整合層
39 音響レンズ
40 ハウジング
41 給電ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材を準備し、該母材の表面に絶縁層を形成する工程と、
リソグラフィ技法により、前記絶縁層を露光、現像、剥離してパターニングし、該パターニングに沿って前記母材の上面に達するキャビティを前記絶縁層に形成する工程と、
前記キャビティ内に銅メッキ、半田メッキの順でメッキを施して信号箔を形成する工程と、
前記キャビティから形成した前記信号箔を離型する工程と、
からなる、アディティブ法によりパターニングした銅箔からなる信号箔を有することを特徴とする超音波探触子の製造方法。
【請求項2】
前記信号箔を圧電板に接合する際、前記圧電板の超音波放射面を上面にし、前記圧電板の下面に左右一対の前記信号箔の端部が、前記圧電板の長軸方向に重なって接合されることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項3】
前記信号箔を下面に接合した前記圧電板を上方向から加圧して、接着剤を介し、ダンパー材に接合し、次いで前記信号箔を直角に折り曲げて前記ダンパー材の側面に当接させることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項4】
前記圧電板を前記ダンパー材に接合する際、前記ダンパー材の上面に接着剤層を形成して、全面接着することを特徴とする請求項3に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項5】
前記圧電板を前記ダンパー材に接合する際、前記圧電板と前記信号箔の端部との間に逃がし部を形成して接合することを特徴とする請求項3に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項6】
前記圧電板をダイシングブレードで切断して切断溝を形成する際、1回目のダイシングを所定のピッチで行い、切断溝を形成し、1回目のダイシングで形成した切断溝を樹脂で充填した後、2回目のダイシングを1回目の切断溝の中間を狙って行って切断溝の形成を行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項7】
前記信号箔への信号配線を行う際、1チャンネル単位で前記信号箔とフレキシブルプリント基板とを信号配線用銀線でブリッジさせ、まず、前記フレキシブルプリント基板に、すべての前記銀線を半田付けしてから、前記信号箔を半田付けすることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7に記載の製造方法により製造した超音波探触子。
【請求項9】
アディティブ法によりパターニングした銅箔からなる信号箔と、
前記信号箔を下面に接合した圧電板と、
前記圧電板を上面に接合し、かつ、前記信号箔を直角に折り曲げて側面に当接させたダンパー材と、
前記信号箔に1チャンネル単位で信号配線用銀線によりブリッジさせたフレキシブルプリント基板と、
前記圧電板の上面に設けた音響整合層と、
前記音響整合層の上面に装着した音響レンズと、
からなる探触子本体を有することを特徴とする超音波探触子。
【請求項10】
前記探触子本体と、
前記探触子本体の駆動素子と、
前記駆動素子へ給電する給電ケーブルと、
前記探触子本体と、前記駆動素子と、前記給電ケーブルとを格納するハウジングと、
からなることを特徴とする請求項9に記載の超音波探触子。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−109942(P2012−109942A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207200(P2011−207200)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】