説明

超音波撮像法の下で視認されるカテーテルの視覚化の改善

シャフトセクションを有した、患者の身体内腔内で用いるためのカテーテルであって、そのシャフトセクションが、超音波画像アーチファクトと、シャフト表面およびその内部の部品の直接的な超音波画像の明るさをと最小限にすると共に、広範囲な撮像角度で、好ましくは超音波による視覚化の下で患者の身体内腔の周囲組織と実質的に変わらない強度で自らの画像を生じさせるように構成されている、カテーテルである。そのシャフトセクションは、カテーテルの所望の用途のために操作可能であるにも拘わらず、超音波撮像システムを用いて、当該シャフトセクションの形状および位置を精確に撮像することを容易にすると共に、隣り合う解剖学的構造の画像を過度に不明瞭とすることなく、当該シャフトセクションを周囲の解剖学的構造から容易に区別するように構成されてもいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2005年12月2日に出願されて係属中の先の米国特許出願第11/293,420号の一部継続出願であるところの、2008年3月7日に出願されて係属中の先の米国特許出願第12/044,704号の一部継続出願であり、それらの出願両方の全体が本明細書に援用される。
[技術分野]
本発明は医療装置の分野に関し、更に特定すれば、診断上および/または治療上の手技を行うために患者の身体内腔や体腔の内部へと挿入するように構成された、ニードルカテーテルなどのカテーテルや他の細長い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターベンショナル・カテーテルを用いて心臓組織や心血管の疾患を治療したり診断したりする際の本質的な処置は、患者内部の所望の位置にカテーテルを適切に配置することであり、従って患者内部におけるカテーテル位置の正確な撮像を必要とする。患者内部のカテーテルを撮像する様々な方法が可能であるが、(音波、音響、またはエコー撮像法とも呼ばれる)超音波撮像法は、いくつかの利点をもたらすかもしれない。例えば、超音波撮像法は、CT/EBCT(電子ビーム・コンピュータ断層撮影法)や2方向X線透視法などの患者をX線に曝す撮像方法とは違って、カテーテルの診断上および/または治療上の案内に要すると予想される長い撮像時間に対しても極めて安全である。その上、超音波は、MRIやCT/EBCTなどの他の撮像手段に比べて相対的に費用がかからない。また、超音波は、これらの費用の掛かる撮像手段がもたらす(心臓壁の運動や厚さの情報などの)機能的な診断の多くをもたらすことができる。
【0003】
しかしながら、1つの難点が視覚化の異常となっており、この視覚化の異常は、カテーテルの超音波画像における、アーチファクト、カテーテル部分の画像の欠如、並びに、他のカテーテル部分の過度に明るい、および/または大きい画像を含むものである。そのようなアーチファクトは、患者の解剖学的構造内におけるカテーテルの形状および/または位置についての紛らわしくて不正確な印象をもたらし得る。カテーテルの各要素は、特に解剖学的構造を撮像するのに典型的に用いるゲイン設定においては、解剖学的構造に対するそれらの要素の直接的な高い音波反射特性のせいで、超音波画像上で非常に明るく大きく現れる(「ブルーミング」と呼ばれる)ことがあり、これにより隣り合う解剖学的構造の画像がカテーテルの画像によって不明瞭になってしまう。例えば、カテーテルの金属部分は、強い/大きな振幅の直接的なエコー(明るい画像)を生じさせ得ると共に、三次元超音波撮像システム上ではピラミッド形の残響(「リンギング」)画像の形態で、二次元超音波撮像システム上では三角形状の残響画像の形態の、視認方向へ次第に薄れてゆくリンギング・アーチファクトを生じさせ得る。同様に、殆どの熱可塑性カテーテルシャフトの表面は、カテーテル材料の界面ないしは視認方向に対して垂直な表面から超音波トランスデューサへ直接的に戻る音波エネルギーの反射によって形成される、強い/大きい振幅の直接的なエコーを生じさせる。カテーテルシャフトセクションの画像を、その画像とアーチファクトの明るさを減少させることによって改善するために、超音波撮像システムのゲイン設定を減少させたときには、解剖学的構造の画像が、殆ど見えないか全く見えない位まで薄れてしまう。その上、殆どの熱可塑性カテーテルシャフトとそれらの部品が滑らかである(即ち、対象となる超音波周波数において滑らかな面としてふるまう表面/材料界面である)と仮定すれば、傾斜した角度で撮像されるカテーテルシャフトの部分は、超音波トランスデューサから遠ざかるように音波エネルギーを反射して、カテーテルシャフト表面の非常に微かな/小さな画像を生じさせるか、或いはカテーテルシャフト表面の画像を全く生じさせず、それは明らかに問題がある。例えば、表示された画像においてカテーテルシャフトが画像を全く生じさせない位置は、カテーテルの遠位端部の位置として誤って解釈されるかもしれず、カテーテルの不適切な、或いは望まれていない位置決めという結果になるかもしれない。しかし、カテーテルシャフトのこれらの部分の画像を改善するために超音波撮像システムのゲイン設定を大きくした(その画像の明るさを増した)ときには、解剖学的構造の画像、直接エコーのカテーテル表面/材料界面の画像、および如何なるアーチファクトも、拡大して相当に明るくなり、それらがカテーテルシャフトの画像や隣り合う組織表面の位置を不明瞭にする度合いを増大させる。従って、診断上および/または治療上の手技の間に患者の解剖学的構造内でカテーテルを案内したり視覚化したりする能力を強化するために、二次元および三次元の超音波撮像システムによる撮像の特性が改善されたカテーテルを提供することは、著しい進歩となるであろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、シャフトセクションを有した、患者の身体内腔内で用いるためのカテーテルであって、そのシャフトセクションが、超音波画像アーチファクトと、シャフトの表面およびその内部の部品の直接的な超音波画像の明るさとを最小限にすると共に、広範囲な撮像角度で、好ましくは超音波による視覚化の下で患者の身体内腔の周囲組織と実質的に変わらない強度で自らの画像を生じさせる(即ち、現れる)ように構成されている、カテーテルを対象としている。そのシャフトセクションは、カテーテルの所望の用途のために操作可能であるにも拘わらず、超音波撮像システムを用いて、当該シャフトセクションの形状および位置を精確に撮像することを容易にすると共に、隣り合う解剖学的構造の画像を過度に不明瞭とすることなく、当該シャフトセクションを周囲の解剖学的構造から容易に区別するように構成されてもいる。
【0005】
目下の好適な実施形態において、このカテーテルは、患者の身体内腔内に薬剤(例えば流体)を投与するように構成されたポートのある屈撓性遠位シャフトセクションを有した薬剤投与カテーテルである。シャフトの表面、および/または、遠位シャフトセクションを可逆的に屈撓性にすると共に薬剤を供給するように構成されたその内部の部品は、典型的には、画像アーチファクトを生じさせると共に、身体内腔内において高度に反射的である。それは、シャフトの場所や形状(例えば屈撓の度合い)を誤って示し得る、視認方向へ次第に薄れてゆく残響(「リンギング」)画像によって引き起こされるアーチファクト、および/または大きな振幅のサイドローブ反射を伴って、超音波撮像システム上に(周囲組織の明るさに対して)非常に明るく大きいシャフトの直接的な反射エコー画像を生じさせる、という意味においてである。超音波システムのプローブ/トランスデューサは、典型的には、トランスデューサの表面から傾斜した角度で遠ざかるように伝わる、サイドローブと呼ばれる、より低いレベルの音波エネルギーを伝送する。これらのサイドローブの音波エネルギーがトランスデューサへ戻るように強く反射されたときには、トランスデューサから直接的に遠ざかるように(トランスデューサの表面に対して垂直に)移動する音波エネルギーからの反射がエコーであるという仮定の元で、受信したエコーから画像が形成される。従って、サイドローブ反射から、シャフトの実際の位置ではない位置に画像が形成されてしまう。その上、カテーテルシャフトおよびそれらの材料界面は、超音波トランスデューサから遠ざかる方向へ斜めに反射された音波エネルギーを送る非外傷性の滑らかな表面/界面をしばしば有しており、従って、シャフト画像を全く生じさせないか、或いは非常に微かな/小さなシャフト画像しか生じさせない。カテーテルシャフトが金属製の部品を含むときには、それらの部品が吸収する音波エネルギーは、本質的には当該部品の内部を巡って暫くの間はね返り、次いでその一部が当該部品から超音波プローブ/トランスデューサの方向へ間隔を置いて出てゆき、カテーテルシャフトや金属部品の実際の位置の背後(即ち、超音波トランスデューサからより遠い距離)に「リンギング」画像を生じさせ得る。この「リンギング」画像が傾斜した撮像角度で生じたときには、カテーテルシャフトや金属部品の実際の位置の背後に唯一の画像が現れることとなる。カテーテルの遠位シャフトセクションを形成するのに一般的に用いられる熱可塑性のポリマーやポリマー混合物はしばしば、その高い反射率のせいで、直接的な反射のアーチファクトを生じさせる。そのアーチファクトは、組織を撮像する条件下において、2D超音波撮像システム上での大きな明るい斑点、または3D超音波撮像システムのディスプレイ上での(実際のシャフトに対して直角な)長くて明るい曲線上に中心のある大きな明るい斑点である。しかし、本発明のカテーテルは、少なくとも屈撓性遠位シャフトセクションの少なくとも一部の上に、音響インピーダンスの選択された1つないし複数のエコー拡散・減衰性ポリマー層を有している。それらの層は、普通ならば高度に直接的にエコージェニックな(エコー源性の)、および/またはアーチファクトを生じさせる屈撓性遠位シャフトセクションを、実質的にエコールーセントにするように構成されていることが好ましい。屈撓性遠位シャフトセクションには、少なくとも当該屈撓性遠位シャフトセクションの改善された超音波画像をもたらすように構成されたエコージェニック部材が設けられてもいる。その改善された超音波画像は、屈撓性遠位シャフトセクションの超音波画像が、好ましくは、本質的に当該屈撓性遠位シャフトセクションにおけるエコージェニック部材の音波の反射および/または伝送から成るようにしてもたらされる(屈撓性遠位シャフトセクションは、さもなければエコー拡散・減衰性層によって実質的にエコールーセントにされてしまうのである)。一実施形態において、カテーテルは概して、少なくとも1つのエコー拡散・減衰性ポリマー層と、このエコー拡散・減衰性ポリマー層内に少なくとも部分的に埋め込まれたエコージェニック部材とを有している。そのエコー拡散・減衰性ポリマー層は、ある音響インピーダンスを有した外側層であるが、この層の音響インピーダンスは、血液の音響インピーダンスと、エコー拡散・減衰性ポリマー層の下にあるシャフトのセクションにおける隣り合う層の音響インピーダンスとの間にある。しかし、目下の好適な実施形態において、カテーテルは、エコー拡散・減衰性の外側層の内側表面に沿って延びる、エコー拡散・減衰性の内側層を更に含んでいる。これら内側と外側のエコー拡散・減衰性内側層および外側層は、互いに異なる音響インピーダンスを有して、超音波撮像システムの超音波周波数の範囲内で互いに弱め合うように干渉する音波反射を生じさせるように構成されている。
【0006】
主に、屈撓性遠位カテーテルシャフトセクションを超音波撮像システムによって撮像されるように構成することについて議論したが、本発明の内腔内カテーテルが、より一般的には、少なくとも本発明により超音波撮像のために構成されたセクションを有するものであることを理解されたい。超音波撮像のために構成されたシャフトセクションは、シャフトの少なくとも1つのセクションに沿って、典型的には、少なくともシャフトの遠位セクションに沿って延びる。そのシャフトセクションは、少なくとも部分的に金属部材で形成されるか、或いは、金属製の、ガイドワイヤのような部材、内腔、または他の部品、材料、若しくは構造を含んでいるが、それらは通常、強い直接的なエコーを生じさせ、および/または傾斜した角度から弱いエコーを生じさせ、および/またはリンギング・アーチファクトを生じさせる。その上にあるエコー拡散・減衰性層は、(それらの層がなければ、リンギング・アーチファクトを呈するであろう、および/または隣り合う組織に対して高度に直接的にエコージェニックであるであろう)シャフトセクションを、実質的にエコールーセントにする。そして、2つの層同士の間に配置されたエコージェニック部材が、当該シャフトセクションの所望の超音波画像をもたらす。
【0007】
エコー拡散・減衰性層は、1つないし複数のポリマー材料で形成されると共に、所望の音響インピーダンスおよび音波拡散・減衰特性を達成するために、当該ポリマー材料に比べて高い密度を有した金属粒子などの粒子と随意に混合される。
【0008】
エコージェニック部材は、遠位シャフトセクションに沿って螺旋状に延びるか、或いは遠位シャフトセクションの回りを円周方向に延びる、1つないし複数の丸い部材や湾曲した部材、例えば当該シャフトセクションの回りにコイル状に巻かれた丸い金属ワイヤであることが好ましい。エコージェニック部材は、2つのエコー拡散・減衰性層同士の間に配置されることが好ましい。また、エコージェニック部材は、入射音波エネルギーの一部を、広範囲な入射角で超音波撮像システムのトランスデューサへ戻るように拡散的に反射するよう、少なくとも部分的に湾曲した表面を伴って構成されて、撮像角度(直接的であるか、傾斜しているか)に拘わらず、隣り合う組織の明るさに近い明るさでシャフト画像を生じさせる。主にコイル状に巻かれた金属ワイヤ部材について議論したが、もっと取り付け易くない(従って、もっと好ましくない)他の構成、例えば、湾曲した外側表面を有し、当該シャフトセクションの長さに沿って互いに間隔を置いて円周方向に取り付けられた一連のリングやビード(突条)などを、様々な適切な断面形状を有したエコージェニック部材として代わりに用いることができる。目下の好適な実施形態において、エコージェニック部材は、少なくとも部分的に、金属、または、1つないし複数の金属を含むブレンド/合金で構成される。エコージェニック部材は、エコー拡散・減衰性の各層をその上に有している遠位シャフトセクションの金属部材とは異なる部材であることを理解されたい。金属を含有するエコージェニック部材は、そのエコージェニック部材を薄くすること、従って、そのエコージェニック部材によって当該シャフトセクションの外径を実質的に増大させないことを可能とする。このことは、少なくとも部分的に好ましい。それは、より小径のシャフトは、挿入部位に関する厄介な問題がより少なくなるからである。目下の好適な実施形態において、遠位シャフトセクションは実質的に滑らかな外側表面を有している。他の実施形態において、エコージェニック部材は、シャフトの外径部分に小さく隆起した表面を生じさせる。
【0009】
一実施形態において、シャフトの遠位セクションは、少なくともエコー拡散・減衰性の外側層に埋め込まれるか、或いはこれと接触している、電極または他の検知部品や伝送部品(例えば、トランスデューサ、電気的センサ、光ファイバセンサ)を有している。そして本発明の一態様は、その検知部品や伝送部品を、シャフト上における当該部品の位置の超音波による視覚化を容易にする明るさを有しつつ、当該部品のエコー振幅およびアーチファクトを最小限とするように構成すると共に、入射音波エネルギーの一部を、広範囲な入射角で超音波撮像システムのトランスデューサ/プローブへ戻るように拡散的に反射するように構成して、当該部品の超音波による視覚化を広範囲な撮像角度(音波エネルギーの入射角)で容易にすることを対象としている。屈撓性遠位シャフトセクション上に検知/伝送部品(例えば電極)が取り付けられている実施形態において、エコー拡散・減衰性層によって実質的にエコールーセントにされるシャフトのセクションは、そこに取り付けられる検知/伝送部品を有していない屈撓性遠位セクションの残部であることを理解されたい。目下の好適な実施形態において、検知/伝送部品はエコージェニック部材に接続される。この実施形態において、エコージェニック部材は、導体や光ファイバの組立体であり、また、カテーテルの近位部分まで延びてカテーテルコネクタへの電気ケーブルおよび/または光ファイバケーブルとして機能したり、そのようなケーブルへ連動的に接続されたりしてもよい。主に電極のための電気的な接続をもたらす点について議論したが、エコージェニック部材は、他の実施形態でシャフト上に取り付けられる様々なトランスデューサおよび/またはセンサのためのケーブルの役目を果たしてもよい、ということを理解されたい。
【0010】
目下の好適な一実施形態において、本発明のカテーテルは、近位端部、遠位端部、管状部材、および屈撓性遠位シャフトセクションを有した細長いシャフトを備えている。その管状部材は、シャフトの近位端部から遠位端部まで延びる薬剤投与内腔を画成している。また、屈撓性遠位シャフトセクションは屈撓復元性の金属ケージを有し、この金属ケージはその内部を延びる薬剤投与管状部材の遠位セクションを有している。屈撓性遠位シャフトセクションは、エコー拡散・減衰性ポリマーの内側層と、エコー拡散・減衰性ポリマーの外側層とを有している。その内側層は、ケージの外側表面上にあると共に、他のシャフトの部品や構造によって占められていないシャフトやケージの内部の空間を満たしている。また外側層は、内側層の外側表面上にあって、好ましくは滑らかな外側表面を有している。ポリマー材料、および外側層の厚さは、内側層と外側層が互いに異なる音響インピーダンスを有するように選択される。それらの音響インピーダンスは、実質的に互いに等しい振幅で超音波トランスデューサへ伝わって、対象となる超音波周波数で互いに弱め合うように干渉する直接的な、或いは直接的なものにごく近い音波反射(エコー)を各層の外側表面で生じさせるものである。内側層と外側層の外側表面から生じるエコー同士の超音波トランスデューサまでの経路長の差のせいで、それらのエコー同士が互いに弱め合うように干渉するのである。内側層の外側表面で反射する音波エネルギー(エコー)が、外側層の厚さを通ってシャフト内へと伝わり、それからまた外側層の厚さを通ってシャフトの外へと伝わらなければならないのに対して、外側層の外側表面で反射する音波エネルギーは、この距離を伝わらないのである。このことは、内側層と外側層の外側表面から超音波トランスデューサに到達する正弦曲線状の音波エネルギー反射同士の間に位相のずれをもたらす。その位相のずれは、外側層の厚さと外側層内の音速とで決まる周波数において、それらの音波エネルギー反射同士が互いに弱め合うよう干渉する(トランスデューサで検出される音波エネルギーの振幅を低下させる)ようなものである。
【0011】
エコージェニックな湾曲した表面の金属ワイヤ部材が、内側層と外側層との間で、それらの層に沿って縦方向へ螺旋状に延びているが、これは、屈撓性遠位シャフトセクションの超音波画像が本質的に、屈撓性遠位シャフトセクション内の金属ワイヤ部材から生じる音波の反射ないし伝送から成るようにするものである。さもなければ、この屈撓性遠位シャフトセクションは、エコー拡散・減衰性の内側層と外側層、および、その滑らかな外側表面によって、実質的にエコールーセントにされるのである。
【0012】
2つのエコー拡散・減衰性層同士の間にコイル状に巻かれた金属ワイヤ部材その他のエコージェニック部材を有している屈撓性遠位シャフトセクションは、患者の心臓その他の隣り合う解剖学的構造を最適に撮像するように超音波撮像システムのゲインが設定された状態で、次のようなシャフト画像を生じさせるように構成されることが好まししい。即ち、同時に生じる患者の身体内腔における周囲組織の画像と実質的に同じ明るさで、解剖学的構造内におけるシャフトの実際の位置か、或いはそれに近い位置にあり、シャフトの実際の寸法と実質的に等しいシャフト画像の寸法/幅を生じさせるエコーの振幅およびタイミングを伴ったシャフト画像である。二次元(2D)超音波撮像システムと共に用いるためには、連続的な(即ち、細長い管形状の)シャフトの画像であるシャフト画像を生じさせるように屈撓性遠位シャフトセクションを構成することが好ましい。これに対して、三次元(3D)撮像の用途のためには、屈撓性遠位シャフトセクションが、少なくとも当該シャフトセクションの一部に沿って、不連続的なシャフト画像(例えば、一連の短い斜線、破線、および/または点線)を生じさせることが好ましい。二次元撮像の用途においては、不連続的な画像は、シャフトの識別可能な画像を欠いた表示画像に帰着し得るので、好ましくない。しかし、三次元撮像の用途においては、不連続的なシャフト画像は、最も有用な三次元画像表示フォーマット(例えば、シースルーフォーマットやサーフェスフォーマット)において、一連の短い斜線、破線、および/または点線として撮像ボリューム内に表示される。三次元画像表示フォーマットにおいては、不連続的なシャフト画像は、解剖学的構造の画像とはかなり異なるので、隣り合う解剖学的構造からシャフト画像が極めて容易に区別される。従って、シャフトの少なくとも一部についての不連続的なシャフト画像は好ましい。その上、不連続的なシャフト画像は多くの利点を有しているが、それらの利点には、画像モニタ上に現在見えているエコージェニック部材の不連続的なセグメントの数を医師がカウントできるようにする、ということが含まれる。それらのセグメントの数をカウントするのは、患者の解剖学的構造内において寸法や距離を判断するためや、カテーテルの要部が画像内に含まれているかどうかを決定するためである。例えば、カテーテルの不連続的な画像部分が、カテーテルの遠位先端部分や作業要素の所かその近傍に位置するときには、エコージェニック部材の見えている不連続的なセグメントの数をカウントして既知の総数と比較することにより、遠位先端部分や作業要素が画像内にあることが保証されることとなる。不連続的なシャフト画像セグメントの変化は、シャフトの異なる領域同士の区別を助けるのに利用することもできる。
【0013】
連続的なシャフト画像のみを生じさせる3Dの実施形態(以下、「連続画像カテーテル」)は、少なくとも部分的には、生きた解剖学的構造内でシャフトの位置を見つけるのが困難なため、目下のところ好ましくない。これは、解剖学的構造の2Dや3Dの両方のエコー画像も、連続的な画像となる傾向があるためである。例えば、連続画像カテーテルが心室、静脈、または動脈の壁に押し付けられているとき、そのカテーテルの画像は、当該壁の画像と連なって、当該壁を、僅かに変形して現れるように、および/または僅かにより明るく現れるようにするが、これは2Dと3Dの両方のエコー撮像フォーマットにおいて、見い出したり調べたりするのが困難なものである。連続画像カテーテルが心室空間内にあるときに、2Dと3Dの両方のエコー撮像フォーマットにおいて、その連続画像カテーテルを乳頭筋や腱索の画像と区別することも同様に困難である。そのような困難性によって、2Dや3Dのエコー撮像フォーマットにおける連続画像カテーテルの位置の検出を容易にするために連続画像カテーテルをわざと移動させることが必要となるかもしれないが、これは明らかに理想的なものではなく、また多くの場合、シャフトの検出を試みるには非常に問題のある手段である。
【0014】
本発明の一つの態様は、患者の身体内腔内における超音波撮像法の下で改善された画像で現れるシャフトセクションを有したカテーテルの製造方法を対象としている。この方法は概して、普通ならば(撮像される組織の反射率に比べて)極めて直接的な反射性のシャフトセクションを、エコー拡散・減衰性ポリマーの内側層および外側層を当該シャフトセクションに設けることによって、実質的にエコールーセントなものとすること、並びに、外側層および/または内側層の上または内部にエコージェニック部材を設けて、当該シャフトセクションの超音波画像が本質的に、(エコージェニック部材がなければ実質的にエコールーセントな)当該シャフトセクションのエコージェニック部材より生じるエコーから成るようにすること、を含んでいる。前者の当該シャフトセクションを実質的にエコールーセントなものとすることにおいては、内側層および外側層の外側表面が、トランスデューサへ戻るように伝わる互いに実質的に等しい振幅の音波反射であって、直接的な反射角かそれに近い反射角において対象となる超音波周波数で互いに弱め合うように干渉する音波反射を生じさせるように、内側層と外側層の両方が層のポリマー材料内に添加された粒子を有していないか、或いは内側層と外側層の一方ないし両方が層のポリマー材料内に添加された粒子を有すると共に、外側層が患者の身体内腔内で周囲の血液とは異なる音響インピーダンスを有し、内側層が外側層とは異なる音響インピーダンスを有している。
【0015】
一実施形態において、カテーテルは概して、近位端部と、遠位端部と、少なくとも部分的に金属部材で形成された遠位シャフトセクションとを有する細長いシャフトを備えており、その遠位シャフトセクションは、当該遠位シャフトセクションの外側表面上にあるエコー拡散・減衰性ポリマーの内側層と、この内側層の外側表面上にあるエコー拡散・減衰性ポリマーの外側層と、これらの内側層と外側層との間にあって外側表面を有したエコージェニック部材とを有しており、当該遠位シャフトセクションは、不連続的なシャフト画像を生じさせるように構成された第1の縦方向部分と、連続的なシャフト画像を生じさせるように構成された第2の縦方向部分とを有すると共に、その第1の縦方向部分に沿って、エコージェニック部材が内側層および外側層によって完全に包み込まれると共に、第2の縦方向部分に沿って、エコージェニック部材が完全には包み込まれないように、エコージェニック部材の外側表面が、内側層および外側層の近接して取り囲んでいる表面から隙間によって部分的に引き離されている。典型的には、第2の部分(即ち、連続的な画像を生じさせる部分)に沿った内側層と外側層は、内側層の外周の相当な割合の回りで互いに接触してはいるが、そこの回りで互いに融着されるなどして互いに密接に接触しているわけではない。これに対して、内側層と外側層は、第1の(不連続的な画像の)部分に沿っては、典型的に互いに融着されている。目下の好適な実施形態において、連続的な画像の部分は屈撓性遠位シャフトセクションの近位部分であり、不連続的な画像の部分は屈撓性遠位シャフトセクションの遠位部分である。
【0016】
本発明のカテーテルは、次のような結果をもたらす。すなわち、超音波撮像システムのディスプレイ上におけるカテーテルの少なくとも一部の画像が、シャフトの位置を誤って示したり大きくて非常に明るい画像で隣り合う組織の画像を不明瞭にしたりする通常のシャフト画像アーチファクトを実質的に免れるという結果である。このカテーテルは少なくとも、周囲の解剖学的構造における組織の明るさ/強度と同様な明るさ/強度で、シャフトの実寸と実質的に同様の寸法(直径)のシャフト画像を生じさせるシャフトセクションを有する。その上、当該カテーテルシャフトは、この画像を広範囲の撮像角度から生じさせる。生成されたシャフトセクションの画像は、画像表示フォーマットにとって、またシャフトの対象となる部分にとって好ましいように、連続的な画像や不連続的な画像であってもよく、或いは1つないし複数の連続的な画像部分と不連続的な画像部分とを含んでいてもよい。さらに、超音波撮像法の下でのカテーテルの視覚化を改善することに加えて、当該カテーテルシャフトは、医療上の手技を行うための、操作性遠位端部の非外傷性の進行、操作、および患者の身体内腔内の所望位置への定置を容易にするように構成される。本発明のこれらの利点や他の利点は、以下の詳細な説明および添付の例示的な図面から、より明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の特徴を具体化している薬剤投与ニードルカテーテルの、部分的に断面で示す立面図。
【図2】請求項1のカテーテルの2―2線に沿って切った拡大縦断面図。
【図3】図2のカテーテルの3―3線に沿って切った横断面図。
【図4】図2のカテーテルの4−4線に沿って切った横断面図。
【図5】図1のカテーテルにおける円−5内の縦断面を示す図。
【図6】図5のカテーテル上の検知/伝送部品の斜視断面図。
【図7】医療的な手技中に患者の心臓の左心室内にある図1のカテーテルを示す図。
【図8】本発明の特徴を具体化している薬剤投与ニードルカテーテルの遠位セクションであって、遠位部分と近位部分とを有し、その遠位部分に沿って、エコージェニック部材が内側層および外側層によって完全に包み込まれると共に、近位部分に沿って、エコージェニック部材が完全には包み込まれないようにエコージェニック部材の外側表面が内側層および外側層の近接して取り囲む表面から隙間によって部分的に引き離されている遠位セクションの立面図。
【図9】図8のカテーテルの9−9線に沿って切った横断面図。
【図10】図8のカテーテルの10−10線に沿って切った横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、超音波撮像システム(図示せず)を用いた超音波撮像法の下で視認されるように構成された、本発明の特徴を具体化するカテーテル10を示している。図1に示す実施形態において、カテーテル10は、概して細長いシャフト11を備えた薬剤投与ニードルカテーテルであって、そのシャフト11は、近位端部、遠位端部、屈撓性遠位シャフトセクション12、および近位シャフトセクション13を有している。シャフト11は遠位先端部材14を有しており、シャフト11の内腔内に滑動可能に配置された針16が、延伸形態と引込み形態(図示せず)とを有している。その延伸形態においては、針の遠位端部が、シャフトの先端部分の遠位端部から遠位側へ延びる。また、引込み形態においては、針の遠位端部が、カテーテルの内腔内へと近位側に引き込まれる(例えば、遠位先端部材14の中へと引き込まれる)。シャフトの近位端部上にある近位側アダプタ19が、シャフトの屈撓、針の延伸長さ、および針の位置を制御すると共に、ポート20を有するコネクタのような操作コネクタを提供する。そのポート20は、針16の内腔を通じた薬剤投与や吸引のための針16へのアクセスをもたらすように構成されている。カテーテル10の所望の用途に応じて、近位側アダプタの所に様々な操作コネクタを設けてもよい。所望の治療位置へ薬剤を投与するためには、カテーテルが、患者の曲がりくねった血管系を通じて、患者の身体内腔内における所望の治療位置へと進行させられ、その治療位置の所で遠位先端部材14から身体内腔の壁の中へと針16が延ばされ、この針16から身体内腔壁内へと薬剤が注入され、それから、針16がカテーテル10内へと引き戻され、カテーテルが定置し直されるか、或いは患者の身体内腔から取り去られる。
【0019】
図1は、カテーテル10を部分的に断面で、具体的には屈撓性遠位シャフトセクション12の外側層21を部分的に破断して示しているが、これは、外側層21の下の内側層22と、外側層21と内側層22との間で螺旋状に延びるエコージェニックな金属ワイヤ部材23とを示すためである。外側層21および内側層22は、エコー拡散・減衰性ポリマー層である。好適な実施形態においては、外側層21と内側層22のうちの一方が、その層のポリマー材料内に添加された粒子を有している。また、これらの層21,22は、内側層と外側層とが互いに異なる音響インピーダンスを有して、対象となる周波数にて実質的に直接的な撮像角度で互いに弱め合うように干渉する実質的に等しい振幅の音波反射を患者の身体内で生じさせるように構成されている。この構成は、以下でより詳細に議論するように、屈撓性遠位シャフトセクション12の超音波画像が、当該屈撓性遠位シャフトセクションにおけるエコージェニックなワイヤ部材23の音波反射から本質的に構成されるようなものである。さもなければ、屈撓性遠位シャフトセクションは、エコー拡散・減衰性の内側層および外側層によって、実質的にエコールーセント(超音波撮像システム上で非常に微かな画像を生じさせるか、或いは全く画像を生じさせないこと)とされてしまうのである。
【0020】
図2は、図1のカテーテルの2―2線に沿って切った拡大縦断面図を示しており、図3および図4は、それぞれ図2のカテーテルの3―3線および4−4線に沿って切った横断面図である。図示の実施形態において、シャフト11は、互いに接合された複数の部材やセクションから成る管状部材50を備えており、屈撓性遠位シャフトセクション12に沿って相対的にしなやかなセクションで、近位シャフトセクション13に沿って相対的にしなやかでないセクションとなっている。より具体的には、カテーテルシャフト11は、当該シャフト11の近位端部から遠位端部まで延びる薬剤投与内腔25を画成する管状部材26を有している。その内腔25内には、薬剤投与針16が滑動可能に配置されている。屈撓性遠位シャフトセクション12は屈撓復元性の金属ケージ27を有しており、この金属ケージ27は、その内部を延びる薬剤投与針16および管状部材26の遠位セクションを有している。図示の実施形態における遠位シャフトセクション12の金属ケージ27は、例えば米国特許出願第10/676,616号(その全体が本明細書に援用される)に記載されているように、開いた円弧状のセクションを形成している当該ケージのセクションに沿ってスロットその他の大開口のある金属チューブで形成されており、これは当該ケージが横方向に屈撓するように構成されるようなものである。図示の実施形態において、(図2で管状部材26の背後にある部分が破線で示された)円弧状セクション38は、図2の4−4線で切った横断面を示す図4に最も良く示されるように、周囲約90度に延びている。ケージ27は、円弧状セクション38の両端に、管状の近位端部および遠位端部36,37を有している。それらの近位端部および遠位端部36,37の所では、ケージの壁が360度の円周を巡って連続的に延びている(ケージの管状遠位端部37を示す図4の破線を参照)。但し、このケージは、シャフトの屈撓性遠位セクション12に復元力をもたらす、ワイヤ、薄い金属ストリップ、チューブ、または複合構造を含んだ様々な適切な構造で形成することができる。
【0021】
カテーテル10は、その遠位端部を屈撓させるために、近位側アダプタ19の屈撓制御機構31に連結された屈撓部材30(例えば、テンドンワイヤ)を有している。カテーテルの遠位端部を効果的に屈撓させるためには、屈撓(湾曲)部分においてセクション38からできるだけ遠く離れたシャフトの表面付近に屈撓部材30があるのが好ましい。しかし、本発明によるエコー拡散・減衰性層21,22とエコージェニック部材23とを有するカテーテルは、非屈撓型の構成を含む様々な適切なカテーテル構成を有することができる。屈撓部材30は、第2の内側管状部材32の内腔内に延びると共に、管状本体部材50の遠位端部に近接してシャフトに固定されている。図示の実施形態においては、典型的に二腔型の押出品を含んで成る安定化管状部材29が、ケージ27の少なくとも一セクション内に配置されて、その中にある内側管状部材26,32の位置を安定させている。この安定化部材29は、チューブの単一のセクション、または縦方向に隣り合う複数のセクションで形成されると共に、典型的にケージ27内に配置されるか、或いはその近位側の短い距離に配置された近位端部を有している。目下の好適な一実施形態においては、安定化部材29、或いは金属ケージ27の内側表面に沿って延びているシャフト11の他の管状部分が、内側層22と同じポリマー材料で形成される。ケージの円弧状セクション38に沿って、内側層22の一部がケージによって安定化部材29から隔てられているのに対して、内側層の残りの部分は(その外周回りが)安定化部材29に融着されている。図示を容易にするため、図2、並びに図3、図4および図5の対応する断面図には、ケージ27の内側表面と安定化部材29の外側表面との間の僅かな隙間が示されているが、ケージの内側表面は、その下にある安定化部材29のセクションに接触していることを理解されたい。図2に示す実施形態において、カテーテルの遠位端部は、電極として機能すると共に、電気コネクタ41に対して電気的に接続されている。その電気コネクタ41は、カテーテル10を診断や治療用の装置(図示せず)に接続するために、近位側アダプタ10の所に設けられたものである。具体的には、図示の実施形態において、遠位先端部分14内の金属ピン34がテンドンワイヤ30に対して電気的に接続されおり、そのテンドンワイヤ30は、ピン34をコネクタ41に対して電気的に接続する導線の役目を果たす。また、以下でより詳細に議論するように、屈撓性遠位セクション12上に帯状電極60が取り付けられている。
【0022】
外側層および内側層21,22は、コイル部材23の音波反射を別にすれば屈撓性遠位シャフトセクション12を実質的にエコールーセントにするように設計された組成および寸法(厚さ)上の特性を有している。実質的にエコールーセントな遠位セクションとは、シャフト上に取り付けられる帯状電極60のような金属の帯を有していないシャフトの全長を指すものであると理解されたい。実質的にエコールーセントなシャフトの部分は、撮像システムのプローブ/トランスデューサによって受信される直接的なエコー振幅を生じさせるが、このエコー振幅は、隣り合う解剖学的構造によって生じるエコー振幅に実質的に近いか、好ましくは後者のエコー振幅よりも小さい。従って、実質的にエコールーセントなシャフトの部分は、隣り合う解剖学的構造の画像を不明瞭にする、および/またはシャフトの位置や形状を誤って示すアーチファクトを取り除く。その結果、身体内腔の外側の超音波撮像システムから身体内腔の内側のカテーテルに差し向けられ、コイル部材23から反射ないしは伝送されて、撮像システムのトランスデューサで受信された音波エネルギーが、トランスデューサによって検出される反射音波エネルギーの大部分であり、それにより、主にコイル部材23の音波の反射ないし伝送から成るカテーテルの画像を生じさせる。かくして、屈撓性遠位シャフトセクション12の表面および内側部分、特にケージ27や針16などの金属製の内側部分から生じるエコーによって引き起こされる超音波画像アーチファクトや過度に明るい画像は、2つの層21,22のおかげで防止され、或いは最小限にされる。
【0023】
外側層および内側層21,22は、患者の身体内で互いに略等しい振幅のエコーを生じさせるように設計されているが、それらのエコーは、超音波トランスデューサに向けてエコーを送る実質的に直接的な撮像角度で、互いに弱め合うように干渉する。外側層および内側層21,22の外側表面は、対象となる超音波周波数において滑らかとなるように設計されており、従って、実質的に傾斜した撮像角度にて超音波トランスデューサから遠ざかって進むエコーを反射する。これは、層21,22の外側の界面における(即ち、血液と外側層21の外側表面との間の界面、および内側層22の外側表面と外側層21との間の界面での)音波反射が、超音波撮像システムによって表示されるカテーテルの画像に対して殆ど、或いは全く寄与しないという結果になる。さらに、層21,22および安定化部材29は、それらを通じて伝わり、シャフトの内側部分(即ち、内側層22および安定化部材29の内側のシャフトの部分)から各層を通じて戻るように反射ないし伝送する如何なる音波エネルギーをも拡散/減衰させる。かくして、内側層および外側層22,21は互いに協力して、シャフトの直接的に反射された(トランスデューサへ戻る)エコーの振幅を最小限にし、3D撮像システムのディスプレイ上で画像のブルーミング・アーチファクトやサイドローブの湾曲画像アーチファクトを抑制して最小限にする。
【0024】
層21,22のポリマー材料、好ましくはエラストマー材料は、音波エネルギーの伝播に応じて動き、これがポリマー分子同士の間、および(もしあれば)ポリマーに混入された粒子とポリマー分子との間に摩擦作用を引き起こし、音波エネルギーの一部を熱へと変換して、音波エネルギーの振幅を減少させる。このことが、層21,22の減衰特性の基礎となる。音波エネルギーの一部はポリマーに混入された粒子で反射し、これが充填層内での音波エネルギーの経路長および滞留時間を増大させると共に、音波エネルギーをランダムな方向に転向させる。層21,22(および安定化部材29)内での音波エネルギーの経路長が長くなるほど、音波エネルギーの減衰がより大きくなる。音波エネルギーのランダムな方向への転向は、層の拡散特性の基礎となる。また、内部のシャフト部品は、管状部材26や第2の内側管状部材32の管形状のように、湾曲した表面を有するように選択することが好ましい。その湾曲した表面は、拡散的な反射を生じさせて、外側層および内側層21,22の界面を貫通する如何なる音波エネルギーをも拡散させるのを更に助ける。2つの層21,22のエコー反射率は、身体内腔内における血液の音響インピーダンスに対する外側層の音響インピーダンス、および外側層に対する内側層の音響インピーダンスを調整することによって制御される。「音響インピーダンス」は、当該技術において周知の材料特性であり、その材料中での音速にその材料の密度を乗じたものと定義されている。目下の好適な実施形態において、外側層21は、血液の音響インピーダンスと、内側層22(内側層22の無い場合には、シャフトの当該セクションにおける他の隣り合う内側の層)の音響インピーダンスとの間の音響インピーダンスを有している。具体的には、外側層21は、隣り合う解剖学的構造と実質的に等しいか、或いはより小さい振幅の直接的な音波反射を生じさせるように、血液や身体内腔内の流体の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有している。また、第1のエコー減衰性ポリマー内にあるか、或いは当該ポリマーと接触しているエコージェニック部材は、直接的な撮像角度および傾斜した撮像角度にて、隣り合う解剖学的構造と実質的に等しい振幅のエコーを生じさせるように構成されている。この構成は、遠位シャフトセクションの超音波画像が本質的に、遠位シャフトセクション内におけるエコージェニック部材23の音波の反射ないし伝送から成るようなものである(さもなければ、遠位シャフトセクションは、エコー減衰性ポリマーによって実質的にエコールーセントにされてしまうのである)。
【0025】
単一のポリマー材料が所望の値をもたらさないときには、所望の音響インピーダンスや音速を有した層材料を作り出すためにポリマー材料同士がブレンドされる。また、ポリマー材料やポリマー材料ブレンドを更に調整して、所望の音響インピーダンスや音速を達成したり、放射線不透過性のような他の所望の特性を達成したりするために、そのポリマーの材料や材料ブレンドを(ポリマーに比べて)高密度の金属粒子のような粒子と混合してもよい。外側層の材料内での音速は、対象となる超音波周波数で弱め合う干渉を生じさせるのに必要な外側層の厚さを決定する。血液、外側層、および内側層の相対的な音響インピーダンス(並びに、外側層の音波エネルギー散逸特性)は、周知の関係/方程式に従って、各材料界面での反射音波エネルギーの相対的な振幅を決定する。最適な弱め合い干渉は、次のときに発生する。即ち、外側層の厚さが、当該外側層内での音速にて対象となる超音波周波数における4分の1波長に等しいか、或いはそれに近く、かつ、血液/外側層界面で反射した音波エネルギーと、外側層/内側層界面で反射した(そして外側層内を通って血液内へと進む)音波エネルギーとが互いに実質的に等しいときである。対象となる超音波周波数は、撮像システムの超音波プローブ/トランスデューサの中心周波数ないしはそれに近い周波数、プローブの超音波帯域幅内の周波数(概して電力半値周波数成分同士の間の周波数範囲)、および/または、超音波撮像システムによって画像を作り出すのに用いられるエコー超音波周波数である。いくつかのエコーシステムモードにおいて、また予想されるエコーシステムにおいては、一次周波数レンジの高調波である、或いは一次周波数レンジの高域端を示す受信エコー周波数が、画像を作り出すのに優先的に用いられる。
【0026】
カテーテル10を構成する際には、ある実用的に考慮すべき事項によって、層21,22の厚さが制限される。具体的には、外側層の組成が、その内部での音速を相対的に高くするようなものであるときには、外側層は、4分の1波長の厚さか、それに近い厚さになるように相対的に厚く作らねばならないこととなる。このことは、カテーテルの性能に不利な分量だけシャフトの外径を増大させるかもしれない。これに対して、外側層内での音速が非常に低いときには、外側層は、費用のかかる、および/または時間を費やす製造工程がなければ十分に制御できないほど薄く作らねばならぬであろう。一般的には、0.002インチから約0.010インチの範囲内にある外側層の厚さを適用し得るが、この外側層の厚さは、シャフトの外径を過度に増大させることなく、従来のカテーテルシャフトの構成方法や工程を用いて十分に制御し得るものである。
【0027】
かくして、外側層21は4分の1波長の厚さか、それに近い厚さで施されるが、これは、2つの層21,22の外側表面から反射された2つのエコー波形同士の間に約2分の1波長のずれを引き起こして、特に音波エネルギーがシャフト表面に対して90度の角度、ないしは90度にごく近い角度(直接的撮像角度/直接的エコー)で差し向けられたときに2つのエコー同士の弱め合う干渉を生じさせるためである。より具体的には、目下の好適な実施形態において、外側層21の厚さは、超音波撮像装置によって放出される超音波の中心周波数における波長の4分の1である。
【0028】
層の音響インピーダンスは、ポリマー材料(即ち、単一のポリマー、ないしはポリマー材料同士の混合物)、および当該ポリマーと混合される任意の粒子の量を選択することによって調整される。目下の好適な実施形態において、外側層21は、当該外側層のポリマー材料と混合されたタングステン粒子の充填物/粉末を有している。但し、タングステン粒子は、それに加えて内側層22内にも、或いはそれに代えて内側層22内の方に与えられるかもしれない。それらの粒子は、音波エネルギーを散逸および拡散させるのを助けるように構成された寸法および組成を有している。ポリマーと界接する粒子の総表面積が大きいほど、ブレンドの散逸性がより大きくなるので、より小さい粒子が好ましい(粒子によって音波エネルギーを効果的に反射するためには、粒子が小さいほど、周波数がより高くなければならないことに留意されたい)。また、ポリマーの組成と粒子との間の音響インピーダンスの差が大きいほど、混合物内の粒子によって、より多くの音波エネルギーがランダムに反射されて、音波エネルギーの散逸や拡散を増大させることとなる。外側層21(或いは内側層22)に混入するための代替的な粒子には、ガラス、カルシウム、炭酸カルシウム、アセタール、シリコーン、および、音響特性の適切な多くの他の材料や混合物が含まれる。もっと複雑な実施形態においては、ガスを充填した空所が音波的に微粒子として機能することができ、また所望の音波散逸・拡散特性を達成するために、互いに異なる寸法や組成の粒子を用いてもよい。タングステンその他の高密度の粒子はシャフトをX線不透過性にするが、そのX線不透過性は、身体内腔内での遠位シャフトセクション12のX線透視的な視認を容易にするのに充分なものである。外側層21や内側層22における放射線不透過性粒子の添加率は、ブレンドの約0重量%から約90重量%の範囲とすることができる。
【0029】
外側層21および内側層22の外側表面は、実質的に滑らかである(即ち、通常の製造公差内で滑らかであり、意図的に粗されていたり凸凹であったりしない)ことが好ましい。外側層は、例えばある実施形態におけるように、摩擦嵌めによって内側層に付け加えてもよい。その実施形態においては、ポリウレタンなどのエラストマー材料で層21が形成され、一時的に拡張された層21が内側層22上へと収縮するに任せることによって、この層21が付加される。これに代えて、或いはこれに加えて、外側層は、熱収縮融着型の方法を用いて内側層22上に形成してもよい。一般的に、熱収縮融着法においては、内側層22を覆って外側層材料のチューブを配置し、この外側層材料のチューブを覆って熱収縮性チューブを配置し、この熱収縮性チューブに熱を加えて、熱収縮性チューブを収縮させながら外側層材料を溶融させて、内側層22を覆って外側層21を形成し、それから熱収縮性チューブを取り除く。また、他の周知のポリマージャケット付加法を用いてもよい。90度ないしはそれに近い角度ではシャフトに入射しない(傾斜した撮像角度の)音波エネルギーは、滑らかな外側表面によって超音波トランスデューサから遠ざかるように反射し、従って何も画像を生じさせない。かくして、この滑らかな表面は、トランスデューサから遠ざかるように差し向けられた音波反射の割合を最大限にすることで、実質的に滑らかな外側表面から反射した音波反射によってもたらされる、屈撓性遠位シャフトセクションの超音波画像に対する寄与を最小限とするように構成されている。滑らかな外側層21の外側表面はまた、粗されていたり凸凹だったりする外側表面よりも、血管内で前進したり後退したりするときの外傷性が小さいのである。
【0030】
外側層および内側層21,22、並びに安定化管状部材29が、屈撓性遠位シャフトセクションを実質的にエコールーセントにするので、シャフトの屈撓性遠位セクションの超音波画像をもたらすため、遠位シャフトセクション12上にエコージェニック部材23が設けられている。図示の実施形態において、エコージェニック部材は、内側層22と外側層21との間で、これらの層22,21に沿って縦方向へ螺旋状に延びる丸い金属ワイヤ部材23である。このワイヤ23は典型的には、2つの層21,22同士の間に埋め込まれた小さな外径(例えば、0.004インチ)の絶縁された電気導体ワイヤであり、目下の好適な実施形態においては、扁平性やシャフトの進行性の向上のために、屈撓性遠位シャフトセクション12の外側表面に沿って突出してはいない。トランスデューサに面したシャフトの部分にあるワイヤ23の湾曲した外側表面は、入射した音波エネルギーの一部を、広範囲の音波エネルギー入射角からトランスデューサへ戻るように反射する。その結果、当該ワイヤは、遠位シャフトセクション12によって生じたエコーを、トランスデューサからシャフトの表面への音波エネルギーの入射角に対して相対的に鈍感なものとする。その上、ワイヤ23に入って内部を進み、そしてワイヤ23を出るかもしれない音波エネルギーを、ワイヤ23と接触している層21,22が減衰させる。その結果、さもなければワイヤ23によって生じるであろうリンギング画像が最小限にされる。別の実施形態においては、2つ以上のワイヤ23をシャフト内へ組み込んでもよい。エコージェニック部材23は、ケージ27並びに外側層および内側層21,22の長さと実質的に等しい長さを有していることが好ましい。
【0031】
図示の実施形態においては、螺旋状のワイヤ23が外側層21と内側層22との界面にあるが、エコージェニック部材は、これらの層に対する他の位置でシャフト内へ組み込むことができる。たとえば、外側層21がエコージェニック部材の所望の厚さよりもかなり厚いときには、エコージェニック部材は、全体的に外側層内にあるのが最善かもしれないが、少なくともシャフトに沿った縦方向のいくつかの位置において、シャフトの外径上に露出する部分を有していてもよい。螺旋状ワイヤ23の露出した部分は、ECG検知電極の役目を果たしてもよい。他の例において、外側層が薄い、および/または外側層がエコージェニック部材の所望の厚さに比べて薄いときには、エコージェニック部材は、全体的に内側層22内にあるのが最善かもしれない。従って、エコージェニックな螺旋状部材23は、図示の実施形態においては、外側層21の外径よりも小さい外径(即ち、内側層22の回りにワイヤ23を螺旋状に巻くことによって形成された管状構造の直径)を有している。しかし、別の実施形態においては、エコージェニック部材は、外側層21の外側表面に螺旋状の隆起を形成するもっと大きな外径か、或いはもっと小さな外径を有することができる。
【0032】
カテーテルは、連続的または不連続的なシャフト画像を生じさせるように構成してよい。ワイヤ部材23は、コイルの巻回部分(一巻ずつの部分)同士が互いに間隔を置いて配置された状態で施されるが、連続的なシャフト画像が望まれるときには、互いに隣り合う個々の巻回部分からのエコー同士が連なって連続的なシャフト画像を形成するように、その間隔が構成される。具体的には、ワイヤからのリンギングの残りの量と、外側層21によるワイヤのエコーの拡散とが、コイル状に巻かれたワイヤ23の互いに間隔を置いて隣り合う個々の巻回部分からのエコー同士を連ならせて、連続的なシャフト画像を形成する。その連続的なシャフト画像は、解剖学的構造内におけるシャフトの実際の位置に、シャフトの実寸と実質的に等しいシャフト画像の寸法を生じさせるエコー振幅および音波エネルギーの滞留時間にて形成される。それに加えて、或いはそれに代えて、ワイヤのエコーの拡散を増大させて、ワイヤ23の互いに隣り合う巻回部分のエコー同士の連なりを生じさせるように、外側層21の粒子添加率を調整してもよい。コイル状に巻かれたワイヤ23は、典型的には、その上に外側層を付け加える前に、内側層の上へ施される。コイル状に巻かれたワイヤ23としては、外側層21や内部層22の中に予め埋め込まれたものが代わりに用いられるかもしれない。このコイルは、シャフト11の外周を巡ってその近傍を同軸状に延びているので、カテーテルの内腔の内側に配置されたコイルとは異なり、その超音波画像は、カテーテルシャフト11の寸法および形状とぴったり合わせることができる。また、このコイル23は、シャフトの輪郭を増大させたり、或いはシャフトの強度を著しく低下させるような態様や範囲でシャフトの壁のスペースを使ったりすることは、なるべくしない。
【0033】
不連続的なシャフト画像が望まれるときには、ワイヤ部材23が拡大されたピッチで施されるが、そのピッチは、互いに隣り合う個々の巻回部分からのエコー同士が連ならないように構成される。ワイヤからのリンギングの残りの量と、外側層21によるワイヤのエコーの拡散とが、コイル状に巻かれたワイヤ23の互いに間隔を置いて隣り合う個々の巻回部分からのエコーに、個々の画像を形成させる。それらの個々の画像は、解剖学的構造内におけるシャフトの実際の位置に、シャフトの実寸と実質的に等しい(但し、一連の斜線、破線、および/または点として示される)不連続的なシャフト画像の寸法を生じさせるエコー振幅および音波エネルギーの滞留時間にて形成される。それに加えて、或いはそれに代えて、ワイヤのエコーの拡散を減少させて、ワイヤ23の互いに隣り合う巻回部分のエコー同士が連ならない状態を生じさせるように、外側層21の粒子添加率を調整してもよい。
【0034】
コイルおよびシャフトの直径に対する、コイルの互いに隣り合う巻回部分同士の間の間隔は、必ずしも図2における比率(これは図示を容易にするためのものである)とすべきものではない。単位長さあたりのコイル巻回部分の数が大きいほど、それによって生じる超音波画像は、より明るくなると共に、より連続的なものになりやすくなる。一実施形態において、コイルのピッチは、それ以外は同一のシャフトセクションにおいて、不連続的なシャフト画像のためには約4mm以上であり、連続的なシャフト画像のためには約3mm以下である。エコージェニック部材23の構造は、画像試験の結果に基づいて所望のシャフト画像を得るように容易に操作される。コイルの巻回間隔に加えて、ワイヤの壁の厚さ、螺旋の直径、およびエコージェニック部材23と接触している材料の性質などの多くの要因が、螺旋状部材23によって生じる画像に影響を与える。例えば、他の全てのパラメータが等しいとき、エコージェニック部材の厚さや質量が大きいほど、シャフトの画像がより明るく(外径(OD)が)大きくなると共に、自らのリンギング・アーチファクトを生じさせる傾向がより強くなり、また互いに隣り合うエコージェニック部材ないしエコージェニック部材巻付体同士の間の距離がより大きくなってもなお連続的なシャフト画像を生じさせるかもしれず;コイルの直径が大きいほど、シャフト(のOD)の画像はより大きくなることとなり;エコージェニック部材と直接接触している層材料の音波エネルギー散逸(減衰)特性が高いほど、或いはエコージェニック部材の散逸性材料との接触面積が大きいほど、連続的なシャフト画像を生じさせるためには隣り合うエコージェニック部材ないしエコージェニック部材巻付体同士が互いにより接近しなければならず、より小さい(ODの)シャフト画像が現れることとなり;ポリマーやポリマー混合物は、その弾性率が低いほど、より音波エネルギー拡散性(減衰性)が強くなることとなり;エコージェニック部材と直接接触している(層の)材料が拡散性の強いものであるほど、或いはエコージェニックな材料の拡散性材料との接触面積が大きいほど、互いに隣り合うエコージェニック部材ないしエコージェニック部材巻付体同士がより遠く離れてもなお連続的なシャフト画像を生じさせるかもしれず、より大きい(ODの)シャフト画像が現れることとなる。
【0035】
例えば、連続的なシャフト画像の部分と不連続的なシャフト画像の部分とが望まれるときには、連続的な画像の部分よりも大きなピッチで巻き付けられたワイヤ23で不連続的な画像の部分を構成する設計によって、それを得るようにしてもよい。別の実施形態では、不連続的な撮像の望まれるシャフト部分を覆って施される外側ジャケット21を、連続的な撮像の望まれるシャフト部分に施される外側ジャケット21よりも拡散性が低くなる、および/または減衰性が高くなるように設計することによって、それを得るようにしてもよい。別の実施形態では、不連続的な画像になるシャフト部分を、連続的な画像になるシャフト部分のワイヤ23に比べて層21,22の外側表面のより近くに配置されるより小さいODのワイヤ23を有するように設計することによって、それを得るようにしてもよい。当然、より複雑な実施形態においては、適切な連続的および/または不連続的な画像になるシャフト部分を作り出すように、多数の設計パラメータを調整してもよい。
【0036】
不連続的な画像の性質は、カテーテルの案内や位置決めを容易にするのに利用することができる。これは、不連続的な画像が解剖学的構造の画像とはかなり異なっているために、カテーテル画像が隣り合う解剖学的構造から極めて容易に区別されるからだけではない。カテーテルを、その不連続的な画像に特定の既知数の斜線、破線、または点を有するように設計することにより、医師が(例えば、連続的なシャフト画像を生じさせる近位シャフト部分その他の画像上の目印から数えて)斜線、破線、または点の全てを視認することができないときには、解剖学的構造の現在の3D像がカテーテルのその部分の像を含んでいないことが明らかである。そして医師は、対象となるカテーテルの部分を含める/撮像する/視認するように視野/画像/撮像プローブ(トランスデューサ)を調整し、追跡し、「点同士を連結」して、不連続的なカテーテル画像の部分が湾曲したり屈撓したりしているときでさえ、もし先端部分が画像内に見えたならばその先端部分があるであろう場所を推定することができる。これに対して、連続的なシャフト画像については、カテーテルの画像における如何なる断絶(例えば、カテーテル画像の、解剖学的構造の壁や他の構造の画像との連なり)も、カテーテルのエコージェニック部材の遠位端部と容易に間違えられ、位置決めや場所の誤りに帰着し得る。別の例では、カテーテルが対象となる2つ以上の部分(例えば、装置の取付部位や、配置したり機能させたりするために異なる解剖学的構造の部位に定置せねばならないカテーテルの部分)を有していてもよい。この場合、対象となる各装置部分は、その互いに隣り合う、或いは段々に進む不連続的な撮像部分の間隔、形状、寸法、および/または明るさの違いによって画像内で区別されるかもしれない。その上、例えば、不連続的な撮像部分が等間隔の斜線、破線、または点を有するときには、画像内でのそれらの短縮法描写は、従来のモニタ画面上に表示するよう制限された画像の直観的な3D的性質を増大させる。そのように等間隔にすることはまた、解剖学的構造の寸法や対象となる画像位置同士の間の距離を測定したり、それらの寸法や距離を知覚するのを助けたりするための便利なスケールを画面上にもたらすかもしれない。
【0037】
本発明の代替的な実施形態において、カテーテルの屈撓性遠位シャフトセクションは、ある少なくとも1つの部分を有している。その少なくとも1つの部分に沿っては、結果として得られる当該部分の画像が連続的なものであるように、エコージェニック部材が層によって完全には包み込まれておらず、またエコー拡散・減衰性の層同士が互いに密接に接触してはいないことが好ましい。遠位シャフトセクションは、当該遠位シャフトセクションの隣接した部分によって不連続的な画像が生じるように構成することが好ましい。その隣接した部分に沿っては、エコージェニック部材が完全に包み込まれており、またエコー拡散・減衰性の層同士が互いに密接に接触していることが好ましい。下記でより詳細に議論される図8から図10は、そのような実施形態の1つを示しており、その実施形態において生じるシャフト画像は、連続的な画像部分と不連続的な画像部分とを含んでいる。
【0038】
目下の好適な実施形態において、エコージェニック部材23は、少なくとも部分的に、1つないし複数の金属や合金で構成される。金属の、ないしは金属を含むワイヤ部品が好ましい。それは、入射音波エネルギーのうち金属のワイヤ部品の内部へと結合された部分が、金属の中を素早く進んで、外側の拡散・減衰性層内へと、従って超音波トランスデューサへと音波エネルギーを送り返して、ワイヤ部品23の長さに沿ったシャフト画像を生じさせることとなるからである。この実施形態においては、エコージェニック部材23と接触している1つないし複数の層の減衰特性が、金属のワイヤ部品の内部へと結合された音波エネルギーを素早く散逸させて、エコージェニック部材から如何なる有意性のリンギング・アーチファクトも生じないようにする。
【0039】
銅や銅合金で形成されるのが好ましいが、コイル23用の代替材料には、ニッケル・チタン合金(NiTi)、ステンレス鋼、アルミニウム、または他の導電性の金属や合金が含まれる。いくつかの実施形態においては、導電性のワイヤが、絶縁性のジャケットやコーティングで包まれる。エコージェニック部材を導電性のリード線として用いない実施形態においては、エコージェニック部材は、(その外側表面と接触する層に比べて)十分に高い音響インピーダンスを有する、および/または、その長さに沿って十分な反射性があるように賦形されたポリマーや、光ファイバケーブル/ガラス材料で形成されていてもよく、或いは材料内の空所(これは、空気やガスで満たされるのが好ましい)で形成されていてさえよい。また、一体的なコイル状に巻かれたワイヤとして例示されているが、カテーテルの1つないし複数の層に埋め込まれた、2つ以上のワイヤから成るコイル、一連のリング、C字形のバンド、こぶ、円板、鋲などのような、コイル状に巻かれたワイヤと同様なパターンをもたらす一連の部材を、代わりに用いることができる。コイル状に巻かれた部材23は、過度に明るい残響性の画像(リンギング画像)が生じるのを避けるように構成されているが、その画像は典型的には、カテーテルシャフト構造において補強部材として一般的に用いられる、編組され、単層ないし多層のコイル状に巻かれた層によって生み出されるものである。具体的には、好適な実施形態において、コイル状に巻かれた部材23は、(ワイヤの外径に対して)コイルの巻回部分同士の間の隙間が相対的に大きな、単一の交差していない/オーバーラップしているストランドであり、カテーテルの相対的に短い遠位端部セクション(例えば、屈撓性遠位セクション12)のみに沿って、金属ケージ27を覆って設けられる(その金属ケージ27は、それ自体、その場所に沿ってシャフトを補強するものである)。従って、このコイル状に巻かれた部材23は、典型的な編組されたりコイル状に巻かれたりしたシャフトセクションとは違って、シャフトの強度を実質的に増大するようには構成されない。実際には、結果として得られるカテーテルの寸法が許容できるならば、コイル状に巻かれた部材23は、シャフト構造にさしたる支持や剛性も与えないことが明らかな状態で、シャフト構造から完全に切り離すことができるが、それでもなお本発明のカテーテルにおけるエコージェニック部材として機能するのである。
【0040】
図示の実施形態におけるエコー拡散・減衰性層21,22およびエコージェニック部材23は、屈撓性遠位シャフトセクション12の金属ケージ部材27に沿ってしか延びていない。但し、それに代わる実施形態においては、特に金属ケージ部材27が非常に短い実施形態の視覚化を改善するために、層21,22およびエコージェニック部材23が、近位セクション13上へと近位側に延びていてもよい。一般的に、エコー拡散・減衰性層21,22およびエコージェニック部材23は、少なくとも、改善されたシャフト画像が望まれる場所、および/または隣り合う解剖学的構造の画像が不明瞭にならないことが望まれる場所で、解剖学的構造内で撮像されることが予想できるシャフトの部分に沿って延びることとなる。
【0041】
図2の実施形態において、層21,22およびエコージェニック部材23の遠位端部に近接して、リング電極60が取り付けられている。この電極60は、典型的にはペーシング、ECG検出、またはマッピングのために設けられ、シャフト上にしっかり取り付けるためにシャフトの外周回りに連続的に延びる帯であることが好ましい。従来のカテーテルシャフト電極は、特に縦方向へより長い電極による電極−組織間接触の確率向上が望まれるペーシングの用途においては、概して、縦方向に平坦な表面を有する薄い壁の金属チューブであり、その外側表面が完全に露出するように取り付けられ、一般的には縦方向の長さが1ミリメートル以上である。この発明の電極60は、薄い壁の金属チューブの切片として構成されると共に、1ミリメートル未満の露出した縦方向長さを有することが好ましい。短い電極の縦方向露出長さ(血液その他の内腔流体に曝される電極の縦方向の長さ)と薄い壁とが、電極のエコー振幅とアーチファクトを最小限にする。電極60の全長は、典型的には、エコージェニック部材23や層21,22の長さよりも実質的に短い。
【0042】
電極60の少なくとも一部は露出しているが、目下の好適な実施形態において、電極60は、リンギング・アーチファクトを防止/最小化するために、拡散・減衰性層の一方ないし両方の中へ部分的に埋め込まれている。図5は、外側層21内にある電極60の縦断面図を示している。図5の実施形態において、電極の近位端部および遠位端部は、外径および内径を縮めて湾曲された端部を有して、それらの端部が露出しないようになっている。電極の近位部分および/または遠位部分を拡散・減衰性層内に埋め込むことで、それらの部分のリンギング・アーチファクトが更に減らされる。更に、電極60の縦方向に湾曲した外側表面は、入射音波エネルギーの一部を、広範囲な入射角で超音波撮像システムのトランスデューサ/プローブへと戻るように拡散的に反射すると共に、隣り合うシャフトの画像により近い(好ましくは、それよりも僅かに明るい)電極画像を生じさせて、シャフト上における電極の位置の視覚化を容易にするように構成されている。電極60は、湾曲した凸状の外側表面と、相応して湾曲した凹状の内側表面とを有している。この構成は、所望の湾曲した外側表面および埋め込まれた両端部と共に、所望の薄い壁の厚さをもたらす。図6は、互いに相応して湾曲した内側および外側の表面を有している湾曲した電極帯60の(半分に切った)斜視断面図を示している。電極60の埋め込まれた端部同士の間の中央部分は露出しているが、これは、その中央部分が外側層21の外側表面の上を延びているという意味である。
【0043】
電極−組織間接触の確率を高くすることが望まれる用途においては、有効な電極の露出長さを増やすために、2つ以上の互いに隣り合って電気的に接続された電極60を、それらの電極同士の間に拡散・減衰性層材料のある状態で用いてもよい。2つ以上のシャフト電極60を伴った、いくつかの実施形態においては、付加的なエコージェニック部材を、付加的な電極のリード線として用いてもよい。いくつかの実施形態においては、所望のシャフト画像をもたらすために、エコージェニック部材(例えばワイヤ23)が、それと電気的に接続された電極の遠位側へ延びていてもよい。
【0044】
主に電極60について議論したが、電極60に代えて、或いは電極60に加えて、トランスデューサ、電気的センサ、または光ファイバセンサなどの、他の電気的部品やセンサ部品を用いることができる。光ファイバセンサを有した実施形態においては、従ってエコージェニック部材23が、光ファイバセンサ用の光導体ファイバとして機能するように少なくとも部分的にガラスで形成されるかもしれないが、そのガラスは、上記で議論したような所望のエコージェニック度(エコー輝度)をもたらすように構成され、および/または覆われる。
【0045】
シャフトの表面の所/近くにある金属の帯なので、電極60は超音波撮像システム上に現れることとなる。従って、エコー拡散・減衰性層によって実質的にエコールーセントにされるシャフトのセクションは、電極60から縦方向に間隔を置かれた、屈撓性遠位セクションの残りの部分であることを理解されたい。同様に、屈撓性遠位セクション上に取り付けられた他の金属の/エコージェニックな部材は、超音波撮像法の下で視認できることとなるが、エコージェニック部材23が屈撓性遠位シャフトセクションの精確な超音波画像をもたらすこととなるにも拘わらず、その遠位シャフトセクションの管状本体50は本発明により実質的にエコールーセントなものとされる。
【0046】
図7は、ニードルカテーテル10の遠位端部が患者の心臓46の左心室45内にある状態で、当該カテーテル10を示している。このカテーテル10は、典型的には、大腿動脈内へと挿入されるイントロデューサ(誘導針)シースの内腔を通じて、大動脈47内を逆行するやり方で進行させられる。図1の実施形態に示すカテーテル10は、ガイドワイヤ上での進行のために構成されてはいない。但し、これに代わる実施形態や投与部位(例えば静脈や動脈の中へ)においては、内部にガイドワイヤを滑動可能に受け入れるために、シャフト11内にガイドワイヤ腔が設けられる。また、そのような血管への適用においては、最初にイントロデューサ内へと挿入されるガイディング・カテーテルを用いて、ガイドワイヤとカテーテルとを所定の位置内へと挿入してもよい。この心臓内への適用においては、屈撓機構が望まれる。屈撓制御機構31を用いて屈撓部材30を作動させることにより、カテーテルの遠位端部がシャフト11の縦軸線から遠ざかるように屈撓させられる。かくして位置決めされた球状の遠位先端部分14の遠位端部が心室壁の所望の部位と接触した状態で、球状の遠位先端部分の電極34から電気的なデータを収集することができる。電気的なデータ(例えば、組織接触ECG)は、(エコー画像による心室壁運動計測との組み合わせにおいて)当該部位を治療すべきか否かを決定するための組織診断を容易にする。当該部位は、生物学的ないし化学的な薬剤などの治療薬を針16から直接的に注射することによって治療することができる。図7は、心室壁に押し付けられた球状の遠位先端部分14の遠位端部およびポート28を、延伸形態にある針16がポート28から心室壁の心臓組織48内へと進出した状態で示している。かくして、本発明のカテーテルを用いて、左心室内部の多くの部位にアクセスして治療をすることができる。
【0047】
心室内にて例示されたが、本発明のカテーテルは、血管壁内へ、或いは血管を介して心筋層その他の近接した組織内へ注射するのに用いることができる。従って、遠位側の針ポート28は、図1の実施形態のカテーテルの縦軸線と同軸な球状の遠位先端部分14の最も遠位側の端部にある(その際、針は、当該カテーテルの縦軸線と一直線に並んで延びている)が、これに代わる実施形態(図示せず;例えば、血管内へ、或いは血管を介して注射するためのもの)において、カテーテル10は、当該カテーテルの縦軸線からある角度で遠ざかるように針を導くよう構成された針ポートを有している。例えば、針がそこを通って延びるポートは、カテーテルの縦軸線に対して偏心して、或いは遠位先端部分の遠位端部に対して近位側にあるカテーテルの側壁内に配置することができる。
【0048】
図8は、シャフトセクションの代替的な実施形態を示している。そのシャフトセクションは、遠位シャフトセクションが超音波により視覚化されるときに連続的な画像を生じさせるように構成された第1の縦方向部分81と、不連続的な画像を生じさせるように構成された第2の縦方向部分82とを有している。このシャフトセクションは、図1のニードルカテーテル10における屈撓性遠位シャフトセクション12と同様の屈撓性遠位シャフトセクションである。但し、様々な適切なカテーテルの、様々な適切な位置にシャフトセクションが設けられるかもしれない。目下の好適な実施形態においては、不連続的な画像の第2の部分82が、連続的な画像の第1の部分81に対して遠位側にある。様々な長さの屈撓性遠位シャフトセクションを与えられた一連の屈撓性ニードルカテーテルにおいて、互いに異なるカテーテルでの屈撓性遠位シャフトセクションの全長に関係なく、不連続的な画像になる遠位部分の長さを同じに保つ能力は、撮像の一貫性をもたらすと共に、医療上の手技の間にカテーテルの操作性の遠位先端部分が視界内にあるかどうかを決定することを容易にする。限定された視覚化領域内においては、現在のリアルタイム3Dエコー画像と同様、長い(視覚化領域よりも長い、或いは容易に視認可能な解剖学的構造よりも長い)遠位シャフトセクションが不連続的な画像部分しか生じさせていなかったとすれば、医療上の手技の間に視界に入っている不連続的な画像の遠位シャフトセクションの端部が、その不連続的な画像部分の遠位端部なのか、それとも逆に近位端部なのかを決定するのは容易ではないかもしれない。それは、画像全体が、不連続的なシャフト画像しか含んでいないかもしれないからである。しかし、図8の実施形態においては、カテーテルの遠位端部における遠位側の区分のみが、不連続的な撮像部分を生じさせて、容易に認識される。それは、不連続的な画像部分の近位端部が、連続的な画像部分と隣り合っていることによって、難なく同定されるからである。かくして、医師はカテーテルの遠位端部を容易に認識することができる。さもなければ、カテーテルを視認しているときにカテーテルの向きがどうなっているかを医師は必ずしも知っているわけではないという事実を考慮すると、カテーテルの遠位端部を認識することは困難となり得るのである。
【0049】
図8に示す実施形態において、カテーテル80は概して、細長いシャフト11を含んでおり、そのシャフト11が、近位端部(図示せず)、遠位端部、近位シャフトセクション13、および遠位シャフトセクション83を有している。その遠位シャフトセクション83は、少なくとも部分的に金属部材(例えば、ケージ27および/または針16)で形成されている。遠位シャフトセクション83の外側表面上にはエコー拡散・減衰性ポリマーの内側層84があり、この内側層84の外側表面上にはエコー拡散・減衰性ポリマーの外側層85がある。また、これらの内側層84と外側層85との間には、エコージェニック部材86がある(図8の9−9線および10−10線に沿って切った横断面をそれぞれ示す図9および図10を参照)。内側層および外側層84,85並びにエコージェニック部材86の性質および材料は、下記で議論する場合を除いて、図1の実施形態に関して本明細書で議論したようなものである。図9および図10に最もよく示されるように、不連続的なシャフト画像を生じさせるように構成された第2の縦方向部分82(以下、不連続的なシャフト画像の部分82)に沿って、エコージェニック部材86が内側層および外側層84,85によって完全に包み込まれている。これに対して、連続的なシャフト画像を生じさせるように構成された第1の縦方向部分81(以下、連続的なシャフト画像の部分81)に沿っては、エコージェニック部材86が完全には包み込まれないように、エコージェニック部材86の外側表面が、内側層および外側層の近接して取り囲んでいる表面から隙間87によって部分的に引き離されている。用語「完全に包み込まれ」は、エコージェニック部材86の全直径部分/外周の外側表面が層85,86と接触していることを意味するものと理解されたい。隙間87は、エコージェニック部材の外側表面の充分な部分(例えば、エコージェニック部材の外径部分/外周の約75から約20%)が内側層84と外側層85のいずれとも接触しないような寸法にされる。
【0050】
連続的なシャフト画像の部分81に沿って、内側層と外側層は、エコージェニック部材86の回り以外では、互いに密接な物理的接触状態にあることが好ましい。但し、内側層と外側層は、部分81の長さに沿って互いに融着されたり、結合されたり、さもなければ接合されたりはしていないことが好ましい。具体的には、内側層84の外周の充分な割合の周囲で、内側層84の外側表面は、外側層85の内側表面に対して接触してはいるが、融着されてはいない。これに対して、不連続的なシャフト画像の部分82に沿っては、内側層と外側層とが互いに融着結合されていることが好ましい。
【0051】
図示の実施形態において、外側層は、エコージェニック部材86の回りを「テント状に覆う」ようにされ、これにより隙間87を形成している。具体的には、内側層84は実質的に円形の横断面形状を有し、エコージェニック部材は、内側層84の外側表面に接触する第1の接触部90(図9参照)と、この第1の部分とは反対の側にあって外側層85の内側表面に接触する第2の接触部91とを有している。それは、エコージェニック部材86が、外側層の内側表面を、隣り合う内側層の外側表面から半径方向に離れるように持ち上げて、第1の接触部90と第2の接触部91との間のエコージェニック部材86の両側に隙間87が形成されるようなものである。但し、エコージェニック部材が完全には包み込まれないように、エコージェニック部材の外側表面を、これと隣り合って取り囲む内側層および外側層の表面から部分的に引き離すようにする様々な適切な構成を用いることができる。そのような構成としては、例えば、エコージェニック部材を受け入れるけれどもエコージェニック部材よりも広かったり深かったりする溝路を形成するように、内側層や外側層を成型するか、さもなければ賦形することがある。図8の実施形態において外側層でテント状に覆うことで、第1の部分に沿った外側層の外側表面が、外側層の下のエコージェニック部材によって形成された隆起を有することになる。これに対して、第2の部分に沿った外側層の外側表面は、実質的に滑らかな外側表面を有している。他の実施形態、例えば外側層のOD部分における適切な寸法の溝路内にエコージェニック部材が定置される実施形態においては、テント状に覆うことは生じないかもしれず、従って、外側層の隆起は殆ど、或いは全く存在しないこととなるが、エコージェニック部材のODの一部が内側層または外側層とは接触しないこととはなる。
【0052】
図8に示す実施形態においては、不連続的なシャフト画像の部分82の長さが、連続的なシャフト画像の部分81の長さと略等しいが、様々な適切な相対的長さを用いることができる。様々な長さの屈撓性遠位シャフトセクションを有した、一連の互いに異なる寸法のカテーテルの一実施形態においては、不連続的なシャフト画像の部分82がそれぞれのカテーテルにおいて約5cmであるのに対して、連続的なシャフト画像の部分81は、屈撓性遠位シャフトセクションの全長に応じて約1cmから約5cmまで変化する。
【0053】
図示の実施形態においては、第1の縦方向部分81に対して近位側に配置された第3の縦方向部分93に沿って、内側層と外側層とが互いに融着されている。第3の縦方向部分93は、近位側で隣接するシャフトのセクション13に対する結合部を形成している。それと同時に、第3の縦方向部分93は、遠位シャフトセクション83の内側層および外側層84,85から、シャフトの近位側に隣接するシャフトセクションへの滑らかな移り変わりをもたらしてもいる。その上、第3の縦方向部分93は、互いの間にエコージェニック部材のある内側層および/または外側層の、下にある屈撓性遠位シャフトセクション組立体に対するアンカー(係留体)の役目を果たす。第3の縦方向部分93は、たとえカテーテルのこの部分が撮像されても、近位シャフト13の(編組のせいで)明るい画像がその部分と連なって、部分93による不連続的な画像が何ら生じないほど充分に短く形成されることが好ましい。
【0054】
エコージェニック部材を改変する(例えば、巻回部分同士を互いに近づけ、或いは当該部材をより大径のワイヤで形成し、および/または外側層の外側表面に対するその位置を変える)ことによって、或いは(例えば、外側層内のタングステン粒子の形状および/または添加率を操作することによって)拡散性がより大きくなる、および/または減衰性がより小さくなるように外側層を操作することによって、シャフトによって生じる画像を不連続的な画像から連続的な画像へと変化させる方法とは違って、連続的な画像の部分81は、そのようなエコージェニック部材や層の構成の操作を伴うことなくもたらされる。かくして、図8の実施形態のエコージェニック部材86は、当該エコージェニック部材の互いに隣り合う巻回部分同士の間に実質的に均一な間隔を置いた状態で、内側層の外周の回りを延びている。同様に、外側層85は、その全長に沿って実質的に均一な構成を有している。図8の実施形態は、所望の内側層および外側層並びにエコージェニック部材の仕様にて連続的なシャフト画像をもたらすのに必要な相対的に高いタングステンの添加率では層84,85のポリマー材料が機械的な結着性を保たないときには、特に有用である。その上、図8の実施形態は、不連続的な画像の部分の隣に連続的な画像の部分をもたらすために内側と外側のエコー拡散・減衰性層および/またはエコージェニック部材の組成や構造を操作する方法とは違って、屈撓性セクションが屈撓時に連続的な単一半径の曲線を形作るよう2つの部分81,82の曲げ特性(弾性率)を実質的に同様にすることを容易にする。目下の好適な実施形態において、外側層はポリマー材料内に添加された金属、ガラス、またはセラミックのエコージェニックな粒子を有し、内側層は本質的にポリマー材料から成る。一実施形態において、外側層85は、約10重量%から約35重量%の添加率でタングステン粒子を有している。
【0055】
理論によって縛られたくはないが、融着工程を省略することは、普通では不連続的な撮像部分であろうものを、幾つかの効果の結果として、連続的な撮像部分とするということが信じられている。外側層からエコージェニック部材内へと結合された音波エネルギーは、不連続的な撮像部分の中で散逸/減衰されるほど急速には散逸/減衰されない。それは、内側層および外側層と接触しているエコージェニック部材の表面がより少なくなっているからである。このことは、エコージェニック部材内での音波エネルギーの減衰/散逸を低下させて、音波エネルギーをエコージェニック部材の長さに沿ってより遠くまで伝わることができるようにし、より長いシャフトの長さに渡って相当な音波エネルギーを外側層内へと(従って、トランスデューサへと)送り返すことができるようにする。また、この外側層内へと結合された音波エネルギーは、外側層の内側層とは接触していない部分において外側層へ進入し、従って、この音波エネルギーのうちの僅かしか内側層内へは結合されない。不連続的な撮像部分において、エコージェニック部材付近で内側層内へと結合されていたであろう音波エネルギーの大部分は、今や外側層内へと戻るように殆ど完全に反射され、その一部がトランスデューサへ戻る方向に拡散される。かくして、連続的な撮像部分におけるエコージェニック部材付近の外側層の部位は、不連続的な撮像部分における長さよりも長いエコージェニック部材の両側での長さに渡って、相当な音波エネルギーをトランスデューサへ送り返すのである。これらの効果の両方によって、連続的な撮像部分におけるエコージェニック部材およびエコージェニック部材付近の部位の画像が、シャフトの長さに沿ってより広く現れる(撮像する)ようになり、かくして、互いに連なって連続的な画像を形成するようになる。但し、たとえ連続的な撮像部分ではエコージェニック部材内へと結合される音波エネルギーの減衰がより小さくなるとはいえ、連続的な撮像部分の全体的な画像の明るさは、不連続的な撮像部分の全体的な画像の明るさからは、さほど変化しない。これは、連続的な撮像部分においては、外側層と接触するエコージェニック部材の表面積がより小さくなることで、エコージェニック部材内へと結合される音波エネルギーがより少なくなるからである。
【0056】
連続的な画像を生じさせる第1の縦方向部分と、不連続的な画像を生じさせる第2の縦方向部分とを有したシャフトセクションを作る方法においては、内側および外側のエコー拡散・減衰性層が、それらの層同士の間にエコージェニック部材がある状態で、当該シャフトセクション上に定置され、次に、互いに異なるエコー画像を生じさせるための異なるやり方で加工されるが、それらのエコー画像は、隣り合う組織の界面と略同じ振幅のものであることが好ましい。例えば、一実施形態においては、内側層と外側層を、溶融させて互いに融着させ、エコージェニック部材を完全に包み込まさせて、不連続的な画像を生じさせる第2の部分を形成する。これに対して、第1の部分に沿った組立加工の間には、内側層と外側層の溶融を殆ど、或いは全く生じさせず(さもなければ、各層を互いに結合させてエコージェニック部材を完全に包み込んでしまう)、その部分を結果的に、超音波により視覚化されたときに連続的な画像を生じさせる第1の部分とする。
【0057】
一実施形態においては、次のことを行うことによって、図8の実施形態の遠位シャフトセクション83が作成される。まず、エコー拡散・減衰性ポリマーの内側層および外側層を、それらの層同士の間にエコージェニック部材86がある状態で、当該シャフトセクションの外側表面上に付け加える。そして、外側層の外側表面上に熱および半径方向内向きの圧力を加えて、内側層および外側層を、当該シャフトセクションの第2の縦方向部分に沿って第1の高温まで加熱すると共に、当該シャフトセクションの第1の縦方向部分に沿って第2のより低い高温まで加熱する。その第1の高温は、第2の部分に沿って内側層と外側層を溶融させて互いに融着させるのに足るものである。また、第2の高温は、第1の部分に沿って内側層と外側層が溶融されて互いに融着されはしないほど充分に低いものであることが好ましい。その結果として、第2の部分に沿って内側層と外側層がエコージェニック部材を完全に包み込むのに対して、第1の部分に沿っては、エコージェニック部材が完全には包み込まれないように、エコージェニック部材の外側表面が、近接して取り囲む内側層および外側層の表面から隙間によって部分的に引き離されたままになっている。エコージェニック部材の異なる包み込み方を生じさせるべく第1および第2の縦方向部分に対して差異のある熱および/または圧力を加えるのに、様々な適切な方法を用いることができる。一実施形態において、当該方法は、第1および第2の部分に沿って外側層を覆って第1の熱収縮性シースを配置すると共に、第1の部分に沿って第1の熱収縮性シースの外側表面上に第2の熱収縮性シースを配置することを含んでいる。これらの熱収縮性シースの配置は、第2の部分よりも熱収縮性材料を厚くすることによって、加えられた熱から第1の部分が遮蔽される(従って、第2のより低い高温を層が被るという結果になる)ようなものである。
【0058】
本発明によれば、2つの層21,22(または84,85)は、特定の音響インピーダンス値を有するように設計される。2つの層の音響インピーダンスの設計においては、超音波試験のデータ、材料仕様書、並びに、標準的な音波反射の方程式および材料の混合物のための方程式が用いられる。また、2つの層21,22の特性を調整して所望の音響特性をもたらす(例えば、直接的な反射のシャフトアーチファクトを抑制する)ために、カテーテルのシャフトセクションに2つの層21,22を付け加えることによって起こる反射を推定することができる。これらの層は、特定の超音波撮像システムの特定の中心周波数および帯域幅にて撮像されるように構成される。以下の実施例は、本発明を具体化したものを例示している。
【実施例】
【0059】
図1の実施形態で記述されているような、金属ケージと、安定化管状部材と、内腔を画成する内側管状部材とを有したニードルカテーテルの屈撓性遠位シャフトセクションを、ポリウレタン・ブロック共重合体(ダウ社のペレタン2363−90AEポリウレタン樹脂)ポリマー材料の0.0070の厚さの層(即ち「内側層」)で覆った。これは、屈撓性遠位シャフトセクションの金属ケージ部材の上へ当該ポリマー材料のチューブを装着することによって行われた。内側層を形成するチューブと安定化管状部材とは、互いに同じポリマー材料である。組立体を覆って1本の熱収縮性チューブを配置し、これを高温で熱収縮させる。それは、安定化管状部材と内側層を形成するチューブとが溶融して互いに融着し、ケージおよび管状部材を包むようにするものである。冷却後、熱収縮したチューブを切り開いて取り除き、廃棄した。0.004インチ直径のコンスタンタンTCタイプT・H−ML黒色絶縁ワイヤを、約5mmのピッチおよび組立体上の内側層の外径より僅かに小さな内径で内側層の回りに賦形し/巻付けて、エコージェニックなコイル部材を形成し、そして組立体の内側層を覆って定置した。次に、84%のテコフレックスEG80Aポリウレタン樹脂と、1.44%のダウ社ペレタン2363−90AEポリウレタン樹脂とのブレンドに、このブレンドの14.56重量%の分量でタングステン粉末を添加した0.007インチの外側層を付け加えた。これは、調製されたブレンドポリマー材料のチューブを、組立体のコイル状に巻かれたワイヤを覆って装着することによって行われた。この実施例においては、ニードルカテーテルの遠位セクションを覆って熱収縮性チューブを再び装着し、そして外側層のチューブが内側層組立体およびエコージェニックなコイル部材と密接に適合するように、外側層のチューブを溶融および流動させるのに充分な熱で、熱収縮性チューブを収縮させた。冷却後には、熱収縮したチューブを取り除いて廃棄した。内側層、外側層、およびコイル部材は、互いに同軸であり、約6cmの全長で本質的に同延長であった(実質的に同じ長さに沿って延びていた)。超音波撮像の間、心臓の解剖学的構造を良好に撮像する通常のゲイン設定で超音波システムをセットした。結果として得られたカテーテルは、シャフト表面に対する広範囲の撮像角度にて、周囲の心臓組織構造の画像と略同じ明るさの強度で、遠位シャフトセクションの位置に対応する不連続的なシャフト画像(互いに分離した斜線)を生じさせた。コイル部材を含まないニードルカテーテルの遠位セクションの比較例においては、カテーテルシャフトの反射は、3D画像において小さな点にまで縮小されたその直接的な反射画像を除けば、カテーテルの画像が心臓の画像から殆ど消えてしまうほど弱くなるように示されていた。かくして、2つの層によって覆われたシャフト内部のより深くにある他のシャフト部品からの反射を、これらの層は、検出可能な画像やアーチファクトをそれらの部品が全く発生させない程度にまで効果的に減衰させた。例えば、結果として得られる覆われた屈撓性遠位シャフトセクションから超音波撮像システムへ戻るように直接的に反射される入射音波エネルギーの割合は、(一般的な従来のマルチ周波数放出プローブの中心周波数に略等しい)約2.25MHzの超音波については、約0.04パーセントに過ぎないと計算された。比較のため、心筋層による直接的な反射は、入射音波エネルギーの約0.055パーセントに過ぎないことが計算で示されている。
【0060】
実質的にエコールーセントなシャフトセクションを構成するため、最終的には所望のカテーテルシャフトセクションに帰着するために、材料の区分、層特性の計算、試験、および材料調整を用いる。例えば、既知の正確に測定した厚さのポリマーないしポリマーブレンドを超音波撮像システムで撮像すると共に、その撮像された厚さを測定することによって、そのポリマーないしポリマーブレンド内での音速を計算することが可能となる。そして、ポリマーないしポリマーブレンドの密度を測定し、或いは製造元から入手するとすれば、そのポリマーないしポリマーブレンドの(一般に、音響学的な語法で「剛性係数」と呼ばれる)弾性率と音響インピーダンスとを、周知の方程式を用いて計算してもよい。例えば既知の材料密度および弾性率を有した既知量の不混和性粒子の添加によって材料組成が変化するときには、新たな材料密度および弾性率を計算することができる。そして、この新たな弾性率および密度を、今度は新たな粒子/ポリマーブレンドの音速および音響インピーダンスを計算するのに用いてもよい。外側層21と身体内腔の血液との間の界面などの、既知の音響インピーダンスの2つの材料同士の間の界面で反射した音波エネルギーの微小な量を計算してもよい(血液、様々な組織、および水の音響インピーダンスや音速は、周知であったり文献にて入手可能であったりする)。また、対象となる周波数で算定された/既知の振幅で一定の径路長差(外側層の厚さの2倍)の2つの反射音波同士の重ね合わせも計算することができる。
【0061】
本明細書で具体的に議論されるような場合を除いて、カテーテルシャフトの管状部材はカテーテルの構成に一般的に用いる様々な適切な材料で形成することができ、また融着や接着を含む慣用技術を用いて部品同士を互いに固定することができる。内側管状部材26は、典型的には、カテーテルの近位端部から遠位端部まで延びる単層で一体型のワンピースチューブで形成されるが、内腔同士が互いに連通した多数のチューブのセクションおよび/または多層チューブを代わりに用いることもできる。近位シャフトセクション13は、内腔内カテーテルについて従来知られているような様々な適切なシャフト構造を有することができる。カテーテル10の近位シャフトセクション13は、典型的には、編組されたりコイル状に巻かれたりした金属フィラメントで補強されたポリマーや、ハイポチューブや、溝付金属チューブのように、少なくとも部分的に金属で形成されるが、それに代えて、或いはそれに加えて、高弾性ポリマーから成っていてもよい。図示の実施形態において、シャフト11は、カテーテルの近位端セクションから遠位側へ延びる編組本体層53を有すると共に、巻回された管状の支持層を包み込むポリマー材料を備えており、その管状の支持層は、典型的にはステンレス鋼などの金属の編組されたフィラメントで形成されている。編組は外側層によって包み込まれるが、その外側層は典型的には、カテーテルの長さに沿う剛性の推移をもたらすために、端部同士の接合された、互いに異なるデュロメータ/ポリマーの多数のセクションで形成される。編組は、ポリマーのコア層54を覆って形成されている。
【0062】
カテーテル10は球状の遠位先端部分14を伴って図示されているが、層21,22およびコイル部材23によってもたらされる、制御された振幅でエコーを反射/拡散および減衰させるシャフト部分は、球状の遠位先端部分14を有していないカテーテルを含む様々な適切なカテーテルで用いられるかもしれない。球状の遠位先端部分14は、この遠位先端部分の超音波による撮像を容易にするように構成される。従って、本質的にコイル部材23の音波反射から成る屈撓性遠位シャフトセクション12の超音波画像は、自らに沿って部材21,22および23を有しているシャフトのセクションに由来する画像を指すものであり、カテーテル10の他のセクションに由来する画像を指すものではない、ということを理解されたい。
【0063】
さらに、本発明のカテーテルは、超音波撮像の間に、超音波によって案内され得る、および/または解剖学的構造内に存在していなければならない、様々な適切なカテーテル/他の装置とすることができる。従って、用語「カテーテル」は、様々な医療用装置を指すよう広く理解されたい。また、このカテーテルの特徴は2Dや3Dの超音波撮像システムで使用するのに有用ではあるが、カテーテルの案内の目的にとっては、2Dエコーシステムによって提供される「スライス」画像よりも3Dエコーシステムの方が好ましいということに留意されたい。2Dエコーシステムは、解剖学的構造とカテーテルを通る非常に薄い平面スライスを視認するのに似た画像を生じさせ、カテーテルを識別/発見すること、カテーテルをその先端部分その他の関連部分まで追跡すること、および、カテーテルの関連部分が、解剖学的構造内のどこへ配置され/方向付けられているのか、或いは以前の位置/方向に対してどこに配置され/方向付けられているのかを決定することを極めて困難なものとする。典型的な3Dエコーシステムは、解剖学的構造およびカテーテルの3Dボリュームの透過描写と、解剖学的構造およびカテーテルの3D表面画像とのいずれかであり得る画像を生じさせる。リアルタイムの3D画像は、固有の音波伝達限界のせいで、小さな視認セクションを適用範囲とするだけであるが;望むならば、これらの視認セクションも、典型的には数回の心拍周期の期間に渡って寄せ集められて、より大きな再編成画像を創り出す。3D画像においては、当該画像内に解剖学上の基準点が数多くあり、(本出願に記載したような)適切にエコージェニックなカテーテルにて、画像ボリューム内のカテーテルの全ての部分が見えるであろうし、本明細書に記載したように、解剖学的構造に対するカテーテルシャフトの方向が容易に視覚化される。主に患者の身体内腔の外側にある超音波撮像システムを用いた超音波撮像法の下での視覚化されることについて議論したが、本発明のカテーテルは、例えば心腔内・心エコー(ICE)や経食道・心エコー(TEE)用のエコーシステムのような、患者の体内にトランスデューサを設置するエコーシステムで視覚化することができる。可能なことではあるが、血管の内部から撮像する血管内超音波(IVUS)撮像カテーテルを用いて本発明のカテーテルを視覚化することは、目下の好適な実施形態ではない。
【0064】
本発明の一実施形態の個々の特徴を、本明細書で議論したり当該一実施形態の図面に示したりし、他の実施形態においてはそうしていないが、一実施形態の個々の特徴を、別の実施形態の1つないし複数の特徴や、複数の実施形態からの特徴と組み合わせてもよいことは明らかなはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体内腔の外側にある超音波撮像システムを用いた超音波撮像法の下で視認できるように構成された、患者の身体内腔内で用いるためのカテーテルであって、
a)近位端部と、遠位端部と、少なくとも部分的に金属部材で形成された遠位シャフトセクションとを有する細長いシャフトを備え、
b)遠位シャフトセクションは更に、当該遠位シャフトセクションの外側表面上にあるエコー拡散・減衰性ポリマーの内側層と、この内側層の外側表面上にあるエコー拡散・減衰性ポリマーの外側層と、これらの内側層と外側層との間にあって外側表面を有したエコージェニック部材とを有しており、当該遠位シャフトセクションは、連続的なシャフト画像を生じさせるように構成された第1の縦方向部分と、不連続的なシャフト画像を生じさせるように構成された第2の縦方向部分とを有すると共に、その第1の縦方向部分に沿って、エコージェニック部材が完全には包み込まれないように、エコージェニック部材の外側表面が、内側層および外側層の近接して取り囲んでいる表面から隙間によって部分的に引き離されると共に、第2の縦方向部分に沿って、エコージェニック部材が内側層および外側層によって完全に包み込まれている、カテーテル。
【請求項2】
第1の部分に沿った内側層と外側層とが、内側層の外周の相当な割合の回りで互いに接触している、請求項1記載のカテーテル。
【請求項3】
内側層と外側層とが、第2の部分に沿って互いに融着されていて、第1の部分に沿っては互いに融着されていない、請求項2記載のカテーテル。
【請求項4】
内側層は実質的に円形の横断面形状を有し、エコージェニック部材は、内側層の外側表面に接触する第1の接触部と、この第1の部分とは反対の側にあって外側層の内側表面に接触する第2の接触部とを有しており、これは、エコージェニック部材が、外側層の内側表面を、隣り合う内側層の外側表面から半径方向に離れるように持ち上げて、第1の接触部と第2の接触部との間のエコージェニック部材の両側に隙間が形成されるようなものである、請求項1記載のカテーテル。
【請求項5】
第1の部分に沿った外側層の外側表面は、実質的に滑らかな外側表面である、請求項1記載のカテーテル。
【請求項6】
第2の部分に沿った外側層の外側表面は、外側層の下のエコージェニック部材によって形成された隆起を有している、請求項5記載のカテーテル。
【請求項7】
第1の部分は、第2の部分に対して近位側にある、請求項1記載のカテーテル。
【請求項8】
第1の縦方向部分に対して近位側にある第3の縦方向部分を含み、この第3の縦方向部分に沿って内側層と外側層とが互いに融着されており、第3の縦方向部分は、遠位シャフトセクションに対して近位側で隣接するシャフトのセクションに結合されている、請求項7記載のカテーテル。
【請求項9】
第3の縦方向部分は、近位側で隣接するシャフトの画像と連なるのに充分なほど長さが短い、請求項7記載のカテーテル。
【請求項10】
エコージェニック部材は、内側層と外側層との間で、それらの層に沿って縦方向へ螺旋状に延びる丸い金属ワイヤ部材である、請求項1記載のカテーテル。
【請求項11】
エコージェニック部材は、内側層の外周を巡って、当該エコージェニック部材の互いに隣り合う巻回部分同士の間に実質的に均一な間隔を置いて延びている、請求項1記載のカテーテル。
【請求項12】
外側層は、当該外側層の全長に沿って実質的に均一な組成を有している、請求項11記載のカテーテル。
【請求項13】
外側層は、金属またはガラスのエコージェニックな粒子を有し、内側層は、本質的にポリマー材料から成る、請求項12記載のカテーテル。
【請求項14】
外側層は、約10%から約35%の添加率でタングステン粒子を有している、請求項13記載のカテーテル。
【請求項15】
外側層は、おおよそ、超音波撮像システムによって放出される超音波の中心周波数における波長の4分の1である1/4波長の厚さである、請求項14記載のカテーテル。
【請求項16】
外側層は、少なくとも部分的に、内側層とは異なるポリマー材料で形成されている、請求項1記載のカテーテル。
【請求項17】
内側層と外側層は、互いに異なる音響インピーダンスを有すると共に、それらの層の外側表面からの、互いに弱め合うように干渉する実質的に互いに等しい振幅の直接的な音波反射を生じさせ、これは、遠位シャフトセクションの超音波画像が本質的に、遠位シャフトセクションにおけるエコージェニック部材の音波の反射または伝送から成るようなものであり、その遠位シャフトセクションは、さもなければエコー拡散・減衰性の内側層および外側層によって実質的にエコールーセントにされてしまうものである、請求項1記載のカテーテル。
【請求項18】
当該カテーテルは薬剤投与カテーテルであり、シャフトは薬剤投与管状部材を有し、この薬剤投与管状部材は、金属で形成されると共に、シャフトの近位端部から遠位端部まで延びる薬剤投与内腔を画成しており、遠位シャフトセクションは、屈撓復元性の金属ケージを有した屈撓性遠位シャフトセクションであり、屈撓復元性の金属ケージは、その上に内側層を有すると共に、当該金属ケージ内を延びる薬剤投与管状部材の遠位セクションを有しており、エコー拡散・減衰性の内側層および外側層並びにエコージェニックな金属部材の長さは、ケージの長さと実質的に等しい、請求項1記載のカテーテル。
【請求項19】
患者の身体内腔内で用いるためのカテーテルを製造する方法であって、そのカテーテルは、患者の身体内腔の外側にある超音波撮像システムを用いた超音波撮像法の下で視認できるように構成されており、当該方法は、
a)エコー拡散・減衰性ポリマーの内側層および外側層を、それらの層同士の間にエコージェニック部材がある状態で、シャフトセクションの外側表面上に付け加えること、並びに、
b)外側層の外側表面上に熱および半径方向内向きの圧力を加えて、内側層および外側層を、シャフトセクションの第2の縦方向部分に沿って第1の高温まで加熱すると共に、シャフトセクションの第1の縦方向部分に沿って第1の高温よりも低い第2の高温まで加熱すること、
を含み、
第1の高温までの加熱は、内側層および外側層が第2の部分に沿ってエコージェニック部材を完全に包み込むようなものであり、第2の高温までの加熱は、第1の部分に沿って、エコージェニック部材が完全には包み込まれないように、エコージェニック部材の外側表面が、近接して取り囲む内側層および外側層の表面から隙間によって部分的に引き離されるようにするものであって、
3D超音波画像フォーマット上において、第1の部分が連続的なシャフト画像を形成すると共に、第2の部分が不連続的なシャフト画像を形成する、方法。
【請求項20】
第1の高温は、第2の部分に沿って内側層と外側層を溶融させて互いに融着させるのに足るものであり、第2の高温は、第1の部分に沿って内側層と外側層が溶融されて互いに融着されはしないほど充分に低いものである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
b)は、第1および第2の部分に沿って外側層を覆って第1の熱収縮性シースを配置すると共に、第1の部分に沿って第1の熱収縮性シースの外側表面上に第2のより短い熱収縮性シースを配置することを含んでおり、これは、第1の部分が、加えられた熱から第1の部分よりも多く遮蔽されるようなものである、請求項19記載の方法。
【請求項22】
患者の身体内腔の外側にある超音波撮像システムを用いた超音波撮像法の下で視認できるように構成された、患者の身体内腔内で用いるためのカテーテルであって、
a)近位端部と、遠位端部と、少なくとも部分的に金属部材で形成された遠位シャフトセクションとを有する細長いシャフトを備え、
b)遠位シャフトセクションは更に、当該遠位シャフトセクションの外側表面上にあるエコー拡散・減衰性ポリマーの内側層と、この内側層の外側表面上にあるエコー拡散・減衰性ポリマーの外側層と、これらの内側層と外側層との間にあって外側表面を有したエコージェニック部材とを有しており、当該遠位シャフトセクションは不連続的なシャフト画像を生じさせるように構成されている、カテーテル。
【請求項23】
患者の身体内腔の外側にある超音波撮像システムを用いた超音波撮像法の下で視認できるように構成された、患者の身体内腔内で用いるためのカテーテルであって、
a)近位端部と、遠位端部と、少なくとも部分的に金属部材で形成された遠位シャフトセクションとを有する細長いシャフトを備え、
b)遠位シャフトセクションは更に、当該遠位シャフトセクションの外側表面上にあるエコー拡散・減衰性ポリマーの内側層と、この内側層の外側表面上にあるエコー拡散・減衰性ポリマーの外側層と、これらの内側層と外側層との間にあって外側表面を有したエコージェニック部材とを有しており、当該遠位シャフトセクションは連続的なシャフト画像を生じさせるように構成されている、カテーテル。
【請求項24】
患者の身体内腔内で用いるためのカテーテルを製造する方法であって、そのカテーテルは、患者の身体内腔の外側にある超音波撮像システムを用いた超音波撮像法の下で視認できるように構成されており、当該方法は、
a)エコー拡散・減衰性ポリマーの内側層および外側層を、それらの層同士の間にエコージェニック部材がある状態で、シャフトセクションの外側表面上に付け加えること、並びに、
b)外側層の外側表面上に熱および半径方向内向きの圧力を加えて、内側層および外側層を加熱し、エコージェニック部材を完全に包み込んで、3D超音波画像フォーマット上で不連続的なシャフト画像を形成すること、
を含んでいる、方法。
【請求項25】
患者の身体内腔内で用いるためのカテーテルを製造する方法であって、そのカテーテルは、患者の身体内腔の外側にある超音波撮像システムを用いた超音波撮像法の下で視認できるように構成されており、当該方法は、
a)エコー拡散・減衰性ポリマーの内側層および外側層を、それらの層同士の間にエコージェニック部材がある状態で、シャフトセクションの外側表面上に付け加えること、並びに、
b)外側層の外側表面上に熱および半径方向内向きの圧力を加えて、内側層および外側層を加熱し、エコージェニック部材を完全に包み込んで、3D超音波画像フォーマット上で連続的なシャフト画像を形成すること、
を含んでいる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−515616(P2012−515616A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547993(P2011−547993)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/020235
【国際公開番号】WO2010/085374
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(591040889)アボット、カーディオバスキュラー、システムズ、インコーポレーテッド (42)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT CARDIOVASCULAR SYSTEMS INC.
【Fターム(参考)】