説明

超音波映像カテーテルのパッケージ化および流体充填

【課題】超音波映像カテーテルのパッケージ化および流体充填を提供する。
【解決手段】映像カテーテル組立体(62)が提供される。映像カテーテル組立体(62)は、映像カテーテルチップ(26)を含む映像カテーテル(14)を含む。さらに、映像カテーテル組立体(62)は、映像カテーテル(14)に接続されて映像カテーテルチップ(26)の近位端を通して流体を配送するように構成された流体リザーバ(64)を含む。映像カテーテル組立体(62)は、作動されたときに映像カテーテルチップ(26)に流体の配送をもたらすように構成された解除機構(66)も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に超音波映像カテーテルに関し、より詳細には、機械的にスキャンする超音波映像カテーテルをパッケージ化するための方法、およびこれらの映像カテーテルを使用するときまたはその間近に音響結合流体で充填するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2007年5月15日に出願した「METHODS FOR PACKAGING AND FLUID FILLING OF MECHANICALLY SCANNING ULTRASOUND IMAGING CATHETERS」という名称の米国仮出願第60/917,993号の優先権を主張するものである。
【0003】
音響変換器は医用画像に用途が見出されており、音響プローブが患者に対して保持されて超音波を送受信する。受け取られたエネルギーは、次に患者の組織の映像を容易にすることができる。例えば、患者の心臓を映像するために変換器が使用されてよい。
【0004】
カテーテルベースの超音波映像技術は、大腿静脈などの静脈または動脈に、映像カテーテルなどのプローブを挿入することを一般に含む介入手順である。カテーテルベースの超音波映像技術は、心房細動を監視するときおよび/または処置を指図するときなど、心臓を映像するために使用されてよいことが理解されよう。したがって、カテーテル内に使用される変換器組立体が、2次元映像および/またはリアルタイムの3次元映像が可能であるのは非常に望ましいことである。そのような用途は、非常に小さな変換器パッケージを必要とするにもかかわらず大規模な情報量の収集ができることと、かなり要求が厳しいものである。
【特許文献1】米国出願公開第2007/0167813号公報
【特許文献2】米国出願公開第2007/0167821号公報
【特許文献3】米国出願公開第2007/0167824号公報
【特許文献4】米国出願公開第2007/0167825号公報
【特許文献5】米国出願公開第2007/0167826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかの環境では、変換器組立体と周囲の容器との間に何らかの形態の音響結合を与えるのが望ましいことがある。音響結合の形態によっては、出荷に先立ってプローブを検査するのが望ましいことがある。しかし、出荷される製品内に残留物がないように、そのような検査は浄化可能であるべきである。さらに、出荷時にプローブ内に結合機構がないかぎり、エンドユーザにとって所望の音響結合を与えることが簡単であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡潔には、本技術の態様によれば、映像カテーテル組立体が提供される。映像カテーテル組立体は、映像カテーテルチップを含む映像カテーテルを含む。さらに、映像カテーテル組立体は映像カテーテルに接続された流体リザーバを含み、映像カテーテルチップの近位端を通して流体を配送するように構成される。映像カテーテル組立体は、作動したとき映像カテーテルチップに流体の配送をもたらすように構成された解除機構も含む。
【0007】
本技術の別の態様によれば、パッケージ組立体が提供される。パッケージ組立体は、映像カテーテルチップおよび充填機構を含む映像カテーテルを含む。パッケージ組立体は、映像カテーテルチップを充填配向に保持するように構成されたパッケージも含み、充填機構の作動に際して映像カテーテルチップを音響結合流体で充填するのを容易にする。
【0008】
本技術の別の態様によれば、映像の方法が提供される。映像の方法は、流体リザーバから映像カテーテルチップ内へ、バイアス要素に音響結合流体を移動させるステップを含む。映像の方法は、患者に映像カテーテルチップを挿入するステップも含む。さらに、映像の方法は、映像カテーテルチップの遠位の部分内に配設された変換器組立体を使用して超音波映像データを収集するステップを含む。
【0009】
本技術のさらなる別の態様によれば、映像カテーテルを製造して検査する方法が提供される。この方法は、映像カテーテルを組み立てるステップを含む。映像カテーテルは、モータ組立体および変換器組立体を含む映像カテーテルチップを含む。この方法は、モータ組立体および変換器組立体の回転を検査するステップも含む。さらに、この方法は、映像カテーテルチップに検査流体を注入するステップを含む。さらに、この方法は、映像カテーテルチップの音響性能および映像性能を検査するステップを含む。また、この方法は、映像カテーテルチップから検査流体を除去するステップを含む。この方法は、映像カテーテルを乾燥させて殺菌するステップをさらに含む。
【0010】
本技術の別の態様によれば、映像カテーテル組立体が提供される。映像カテーテル組立体は、映像カテーテルチップを含む映像カテーテルを含む。映像カテーテルチップは、解除機構が作動したときに流体リザーバから自動的に充填されるように構成される。
【0011】
本技術のさらなる別の態様によれば、充填機構が提供される。充填機構は、映像カテーテルチップに接続してこの映像カテーテルチップに流体を配送するように構成された流体リザーバを含む。充填機構は、作動したとき映像カテーテルチップに流体の配送をもたらすように構成された解除機構も含む。
【0012】
本発明の、これらおよび他の特徴、態様および利点は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を解読するときに一層よく理解されるであろう。図面を通して同じ符号は同じ部分を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
リアルタイムの3次元超音波映像を得るための変換器組立体を含む映像プローブは、映像プローブの軸のまわりで変換器組立体を振動させるためのモータ組立体を使用してよい。そうする際に、変換器組立体は、3次元ボリュームを通して2次元スライスをスイープすることにより、リアルタイムの3次元超音波画像を得ることが可能であり得る。変換器と周囲の容器との間の効果的または適当な音響の移行をもたらすために、変換器組立体と共に音響結合流体が使用されてよい。そのような映像プローブは、製造時に、一般に音響結合流体で充填される。また、そのような映像プローブは、流体で充填された変換器を収容する空間からモータを分離するために、一般に流体バリアを含む。動いている変換器にモータを結合する駆動シャフトがバリアを貫通する。駆動シャフトに対する流体シールは、変換器空間からモータ空間への流体の漏れを防ぐかまたは最小限にする。
【0014】
映像プローブが、空間が抑制された領域で映像化するように意図されたカテーテルチップまたは他の非常に小さいデバイスであるとき、この空間抑制が、流体で充填された変換器空間からモータを単離するのを妨げることがある。そのようなシナリオでは、使用する前に、映像カテーテルチップ内に音響結合流体が長期間存在することが問題になることがある。例えば、モータおよび関連する変速機へ流体が徐々に漏出し、性能劣化の危険性を増加させる恐れがある。類似の理由で、保存寿命故障の危険性が増加することがある。また、そのような長期間、映像カテーテルチップ内に流体が入っているので、腐食および浸出が起こることがある。その上、製造時に映像カテーテルチップを充填するとき、滅菌は、より困難なことがある。これらの問題のすべてが、映像カテーテルの性能低下をもたらす恐れがある。さらに、映像カテーテルチップを充填するための一般的な方法の多くにはバブルを生成する傾向があり、これが画像データ収集中に問題を起こすことがある。
【0015】
上記に留意して、前述の制限は、本技術を用いて、映像カテーテルを使用するときまたはその間近に音響結合流体で映像カテーテルを充填することによって克服することができる。使用時の充填のシナリオについては、少なくとも2つの別個の解決方法が可能であり得る。第1の方法は、映像カテーテルの遠位端から、映像カテーテルを音響結合流体で充填することでよい。例えば、映像カテーテルの遠位端の自己密封口へ注射器を挿入してよい。この方法は可能かもしれないが、遠位の充填口のその後の密封を保証することが困難であると判明することがある。この方法は、電気的絶縁および患者の安全性を達成するために、映像カテーテルの近位端で絶縁変圧器または他のいくつかの機構の使用を必要とすることもある。さらに、遠位の自己密封口によって、遠位のチップの堅い長さが増加することもある。そうすることによって、本体内のカテーテルの操縦性が低下する恐れがある。
【0016】
したがって、近位端から映像カテーテルを充填する第2の方法が、より有利であると判明し得る。そのような方法を用いて、流体を映像カテーテルチップの内部に導くために配管を使用してよい。この方法は、最高性能を維持する一方で映像カテーテルチップ内へ音響結合流体を導入するために望ましいと判明し得る。さらに、モータおよび関連する変速機内へ流体を押し込む可能性を最小限にするために、この方法を用いて、制御された速度で、映像カテーテルチップを音響結合流体で充填することが可能であり得る。この制御された速度によって、映像カテーテルチップ内にバブルが閉じ込められる危険性も低下し得る。映像カテーテルチップを下方へ向けても、閉じ込められるバブルを最小限にすることができる。音響結合流体と共に使用するための適当な映像カテーテルチップは、本明細書およびすべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Warren Leeらが2008年4月16日に出願した「FLUID-FILLABLE ULTRASOUND IMAGING CATHETER TIPS」という名称の米国出願でも説明されている。
【0017】
示されたシステムおよび方法によって、試験あるいは映像のセッションまたは予約に先立って短期間またはその期間内などの使用時に、音響結合流体で映像カテーテルチップを充填することが可能になる。一実施形態では、使用の直前に充填管を通して音響結合流体を導入するために、ばね上げ式の注射器が使用されてよい。そのような実施形態では、充填管が映像カテーテル本体の一部を通って伸びてよく、映像カテーテルチップに達する。ガス抜き管によって空気も抜かれてよい。あらかじめバイアスがかかった機構(ばね上げ式注射器など)が使用される実施形態では、流体充填プロセスは、オペレータと無関係に反復可能なやり方で正確に実行することができる。さらに、あらかじめバイアスがかかった機構を使用する流体充填プロセスは、臨床医が実行するのが簡単であると判明し、したがってユーザの受諾を改善し得る。
【0018】
前述の全般的な論議に留意して、以下に本技術の具体的な実施を論じる。図1は、本技術の態様によって超音波映像で使用される例示のシステム10のブロック図である。当業者によって理解されるように、図は説明の目的のためであり、必ずしも原寸に比例しない。システム10は、映像カテーテル14によって患者12からの超音波画像データの取得を容易にするように構成されてよい。例えば、映像カテーテル14は、心臓領域または肺領域など患者12の関心領域を表す超音波画像データを取得するように構成されてよい。本技術の態様によれば、映像カテーテル14は、侵襲性のプローブとして機能するように構成されてよい。示された実施形態はカテーテルベースのプローブの関連で説明されるが、内視鏡、腹腔鏡、手術プローブ、経直腸的プローブ、経膣プローブ、窩内プローブ、介入手順に適合されたプローブまたはそれらの組合せなど他のタイプの侵襲性プローブも本技術と共に企図されることにも留意されたい。参照符号16は、静脈に挿入されるなどして患者12の内部に配設された映像カテーテル14の一部を表す。参照符号18は、より詳細に図2に示された映像カテーテル14の一部を示す。
【0019】
システム10は、映像カテーテル14と関連して作用しかつ超音波映像データの取得を容易にするように構成された超音波映像システム20も含んでよい。以下に示される例示の実施形態は、超音波映像システムなど医用画像システムとの関連で説明されるが、他の映像システムおよび用途(例えば非破壊検査、ボアスコープ、および限定された空間内で超音波映像が使用され得る他の用途などの工業用途)も企図されることに留意されたい。その上、以下に図示されかつ説明される例示の実施形態は、他の映像モダリティ、位置追跡システムまたは他のセンサシステムと共に超音波映像を使用する多重モダリティ映像システムに用途を見出し得る。
【0020】
さらに、超音波映像システム20は、患者12内の映像カテーテルチップの現在位置を表す画像を表示するように構成されてよい。図1に示されるように、超音波映像システム20は、表示区域22およびユーザインターフェイス区域24を含んでよい。本技術の態様によれば、超音波映像システム20の表示区域22は、映像カテーテル14によって取得された画像データを基に超音波映像システム20によって生成された2次元または3次元の映像を表示するように構成されてよい。例えば、表示区域22は、超音波画像を見ることができる適当なCRTまたはLCDの表示装置でよい。ユーザインターフェイス区域24は、映像されるべき関心領域の特定においてオペレータを援助するように構成されたオペレータインターフェイスデバイスを含んでよい。オペレータインターフェイスは、キーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック、タッチスクリーンまたは他の任意の適当なインターフェイスデバイスを含んでよい。
【0021】
図2は、映像カテーテル14(図1参照)の一部18(図1参照)の拡大図を示す。図2に示されるように、映像カテーテル14は可撓性シャフト28の遠位端上にチップ26を含んでよい。本明細書に論じられるような変換器組立体およびモータ組立体を収容するのは、この遠位のチップ26である。映像カテーテル14は、オペレータが可撓性シャフト28を操作するのを容易にするように構成された柄30も含んでよい。この開示の文脈では、柄30に近い映像カテーテル14内の点は近位と呼ばれてよく、また柄30から遠い映像カテーテル内の点は遠位と呼ばれてよい。変換器組立体と柄30との間の距離は、プローブおよび用途のタイプ次第で、約10cmから約150cmまでの範囲でよい。
【0022】
図3は、映像カテーテルチップ26の例示の実施形態を示す。図示の実施形態では、映像カテーテルチップ26は、とりわけモータ34、モータ保持具36、変換器38、変換器保持具40、および適宜レンズ42を含む容器32を含む。類似の映像カテーテルチップは、それぞれがWarren Leeらの出願であってすべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2007年1月18日出願の米国出願公開番号第2007/0167813号、2005年11月30日出願の米国出願公開番号第2007/0167821号、2006年1月11日出願の米国出願公開番号第2007/0167824号、2006年1月11日出願の米国出願公開番号第2007/0167825号、および2006年1月11日出願の米国出願公開番号第2007/0167826号、ならびに2008年4月9日出願の米国出願第12/099862号に説明されている。モータ34は、軸44のまわりで変換器38を振動させるために使用されてよい。変換器38は、例えば64要素のフェイズドアレイでよく、3次元ボリュームにわたって2次元スライスをスイープすることによりリアルタイムの3次元映像を生成するために、軸44のまわりで振動してよい。
【0023】
図示の実施形態では、モータ保持具36は、モータ34に関するいくつかの目的に役立つことができる。第1に、モータ保持具36は、管内の特定位置(例えば軸44に対して中央)にモータ34を固定するのに役立ち得る。第2に、モータ保持具36は、映像カテーテルチップ26の他の構成要素を支持するかまたは抑制するのに役立ち得る。モータ保持具36に支持されてよい構成要素の一例に、映像カテーテルチップ26の近位端から伸びて変換器38に接続し得る可撓性の相互接続ケーブル46がある。この可撓性の相互接続ケーブル46は、映像化中に、超音波映像システム20と変換器38との間の電気信号の送受のために使用され得る。図示の実施形態では、サーミスタ48は、モータ34およびモータ保持具36の温度を監視するために使用され得る。
【0024】
本技術を用いて、映像カテーテルチップ26は、映像カテーテルチップ26を使用するときまたはその間近に音響結合流体で充填され得る。例えば、映像カテーテルチップ26は、映像データを収集するために映像カテーテルチップ26が使用される試験中に、またはその試験の直前に充填され得る。図示の実施形態では、充填管50は、映像カテーテルチップ26の近位端から映像カテーテルチップ26の遠位の部分へ音響結合流体を配送するために、映像カテーテルチップ26を使用するときまたはその間近に使用されてよい。音響的に適当な結合流体が使用されるのであれば、レンズ42を除外して変換器38だけを映像に使用することが可能であり得る。レンズ42を除外することの利点には、設計がより単純化されること、レンズの減衰が低下することにより信号対雑音比が向上すること、およびモータ34に負荷する摩擦がより低下することが含まれ得る。
【0025】
音響結合流体は、充填口52で充填管50によって導入されてよい。図示の実施形態では、充填口52は、変換器保持具40の近位端の近くに配置されてよいが、他の実施形態では、充填口52は、変換器保持具40に対して、示されているものより遠位かまたは近位の場所に位置されてよい。一実施形態では、映像カテーテルチップ26の遠位端が下方へ向いている間に映像カテーテルチップ26の遠位の部分が充填される。そのような実施形態では、変換器38(および使用されているならばレンズ42)と映像カテーテルチップ26の容器32との間の毛管作用によって、音響結合流体が映像カテーテルチップ26の遠位の部分を充填し得る。音響結合流体は、映像カテーテルチップ26の遠位の部分を、すべての部分が充填されるまで充填してよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、充填管50は金属管または他の剛体の管でよい。しかし、映像カテーテル14の可撓性シャフト28を通って、充填管50はいくぶん可撓性である必要性があり得る。したがって、充填管50は、可撓性シャフト28を通る長い可撓性管に結合された映像カテーテルチップ26内の剛体の管の組合せでよい。可撓性シャフト28内では、充填管50は、カテーテル内の大きな管腔に挿入された個別の管でよい。あるいは、充填管50は、カテーテル構造体に一体化された1つまたは恐らく複数の管腔でよい。しかし、いずれの設計でも、充填管50は、映像カテーテルチップ26および充填口52への、漏れを密封した圧力対応の接続をもたらす。
【0027】
図示の実施形態において映像カテーテルチップ26の遠位の部分に音響結合流体が導入されるとき、音響結合流体中にバブルが生じることがある。しかし、示された実施形態では、変換器保持具40の遠位端でガス抜き口54が使用されてよい。このガス抜き口54は、バブルの除去を容易にすることができる。映像カテーテルチップ26のオペレータが、単純な「輪縄」運動を用い、求心力に応じてガス抜き管56を通してバブルを強制的に除去することも可能であり得る。換言すれば、ガス抜き口54およびガス抜き管56は、バブルに映像カテーテルチップ26を出るために通る経路を与える。映像カテーテルチップ26から排出された空気および過剰な音響結合流体を受け取ることができるガス抜き管56は、充填管50に類似のものでよく、またはカテーテル内の管腔の一部でもよい。ガス抜き管56も漏れを密封するべきであるが、実施形態によっては必ずしも高圧力の持続が可能である必要性はない。他の実施形態では、排出された空気および過剰な音響結合流体は、信号ケーブルおよび配線など映像カテーテルチップ26内の他の構成要素のまわりを単純に通過してよい。
【0028】
本技術と共に使用するための音響結合流体は、(1)水に類似した音速および密度、(2)ガスを放出する傾向が弱いこと(充填後のバブル形成を最小限にするため)、(3)生物学的適合性、(4)映像カテーテルチップ26の内側面を湿らせる能力、などの特性の1つまたは複数を有してよい。いくつかの流体が検査され、音響結合流体向けに可能な候補であると特定されている。これらの流体には、(1)プロピレングリコール、(2)水、(3)エタノール、(4)ポリエチレングリコール、(5)3M社のFC−3283フロリナートなどが含まれる。このリストは単なる例示を意味するので、他の流体も適当であると判明する可能性がある。
【0029】
プロピレングリコールが音響結合流体である一実施形態では、使用に先立ってカテーテルをフラッシングすることなどの標準的な実践が、音響結合流体の粘性に適応するために調整されなければならないことがある。例えば、プロピレングリコールは、充填管50を通して映像カテーテルチップ26内へ流体を押し込むために、食塩水または水と比べてより長い期間より高い圧力を必要とする可能性がある。一実施形態では、本技術を用いて映像カテーテルチップ26を充填する手順は、ポンプ機器などの個別の機器を利用せず、実質的なオペレータの関与または行為を必要としない。
【0030】
図4は、本技術と共に使用するための映像カテーテル組立体62の例示の実施形態の透視側面図である。この実施形態では、映像カテーテル14は、無菌の音響結合流体があらかじめ装填されている注射器などの流体リザーバ64と共にパッケージ化されてよい。流体リザーバ64は、注射器、バッグ、ボトル、または他の適当な流体容器でよい。流体リザーバ64は、音響結合流体が装填され、簡単に映像カテーテル14に結合され、充填管50を通して映像カテーテル14内へ音響結合流体を押し込むために簡単に圧縮されたとき滅菌され得る。いくつかの実施形態では、流体リザーバ64は、映像カテーテルの柄30に一体化されてよく、したがって、解除機構66を例外としてオペレータに見えない可能性があり、解除機構66は、映像カテーテルの柄30上でボタンまたは掛け金の形態をとってよい。
【0031】
一実施形態では、オペレータは、流体リザーバ64内のピストン70に対して既知量の力を作用させ得るバイアス要素68を解除して、解除機構66を作動させてよい。次に、このことが流体リザーバ64へピストン70を押し込み得て、充填管50内への音響結合流体の配送をもたらす。充填管50は、可撓性映像カテーテルシャフト28の全長にわたって伸びてよい。図示の実施形態では、バイアス要素68は、制御された力または制御された速度の移動を伝えるように構成されたスプリングであり、全移動を制限するストッパを含んでよい。このようにして、映像カテーテルチップ26に導入される音響結合流体の総量が制限され得る。
【0032】
解除機構66の作動に基づいて、流体リザーバ64が、音響結合流体で映像カテーテルチップ26を充填するのを可能にすることによって、映像カテーテルチップ26内に正確な量の音響結合流体が配送されることを保証するばかりでなく、流体充填プロセスが単純化され得る。そのため、流体充填プロセスは、より正確かつ反復可能なものになり得る。さらに、本技術を用いると、あらかじめ測定された量の音響結合流体が流体リザーバ64に置かれ、また、音響結合流体を適切に移動するための解除機構66およびバイアス要素68の機械的特徴を決定することができるので、オペレータが絶えずプロセスを監視することを必要とせずに流体充填プロセスが実行され得る。解除機構66およびバイアス要素68のこれら特定の機械的特徴は、流体リザーバ64のサイズ、充填管50の長さおよび内径、映像カテーテルチップ26の内部容量、音響結合流体の粘性などを含む、使用される映像カテーテル14および音響結合流体の多くの特徴に左右され得る。
【0033】
前述のように、流体リザーバ64、解除機構66、バイアス要素68およびピストン70は、映像カテーテルの柄30内に一体化されてよい。しかし、いくつかの実施形態では、これらの構成要素も映像カテーテル14とは別個に与えられてもよい。このシナリオでは、音響結合流体は、注射器などの流体リザーバ64が結合される映像カテーテル14の近位端の口を通って配送されてよい。さらに、流体リザーバ64から音響結合流体を押し出す解除機構66、バイアス要素68、およびピストン70は、単一の使い捨てユニットとして流体リザーバ64に一体化されてよく、または個別で再使用可能でもよい。
【0034】
次に図5を参照すると、映像カテーテルのパッケージ72が自動的な充填機能に適応するように設計されている実施形態が示される。以下でより詳細に説明される製造および検査の方法を用いて映像カテーテル14を検査した後に、映像カテーテル14は、無菌の音響結合流体があらかじめ装填されている流体リザーバ64と共にパッケージ化されてよく、この時点で、映像カテーテルのパッケージ72は、映像カテーテル14のエンドユーザに向けて出荷されてよい。そのため、音響結合流体を用いた流体リザーバ64のあらかじめの装填および映像カテーテルチップ26の最終的な充填は、様々な場所で様々な期間に行われてよい。例えば、流体リザーバ64のあらかじめの装填は製造工場で行われてよく、その一方で、映像カテーテルチップ26の実際の充填は、患者から超音波画像を収集するために映像カテーテル14が使用される病院で試験中に行われてよい。したがって、流体リザーバ64のあらかじめの装填は、映像カテーテルチップ26が実際に充填されるときの数日、数週間、または数か月前でも行われてよい。
【0035】
そのようなパッケージ化実装形態の1つでは、オペレータは、パッケージ72から映像カテーテルチップ26を取り外してパッケージ72内のチップ保持具74内に置いてよい。例えば、映像カテーテル14は、初めからパッケージ72内で巻かれていてよい。次いで、パッケージ72の開封に際して、オペレータは、パッケージ72から映像カテーテル14をほどき、チップ保持具74内に映像カテーテルチップ26を置いてよく、この保持具は、映像カテーテルチップ26を保持するように構成されたパッケージ72内の切欠きでよい。チップ保持具74は、充填プロセス中に映像カテーテルチップ26の遠位端が下方へ向くことを保証することができる。いくつかの実施形態では、映像カテーテルチップ26が下方へ配向されているときしかチップは充填されないことを保証するように、解除機構66が位置されるか、または解除機構66が適切に配向されたときしか作動できないようにする機構を組み込んでよい。
【0036】
図6は、本技術を用いた映像カテーテルパッケージ72の別の例示の実施形態の透視側面図である。図示の実施形態では、映像カテーテルチップ26、シャフト28、および柄30を含む映像カテーテル14の全体は、箱76内で映像カテーテルチップ26の遠位端が下方へ向くように、片側を下にして立てられるように設計されるかまたはラベルを貼られた箱76内にパッケージ化されてよい。例えば、一実施形態では、箱76は、オペレータが箱76をどの方向へ配向するか決定するのを助けることができる「こちら側を上へ」ラベルを有してよい。それに加えて、または代替として、箱76は、不適当な面を下にして立てられるのを防ぐ丸くなったエッジまたは側面を有してよい。したがって、箱を適切に配向する際に、オペレータは、流体充填に先立って映像カテーテルチップ26を下方へ配向する。
【0037】
オペレータは、使用に先立って解除機構66を作動させてよく、これが、次に、音響結合流体が映像カテーテル14を通って映像カテーテルチップ26内へ動くようにバイアス要素68を解除する。映像カテーテル14がまだパッケージ72内にある間に解除機構66を作動させてよい。例えば、オペレータが、パッケージ72から映像カテーテル14を取り出すことなく解除機構66を作動させ、それによって映像カテーテルチップ26を流体で充填することができるように、解除機構66がパッケージを介して作動されてよい。あるいは、解除機構66は、パッケージ72またはパッケージ内の窓を開いた後に作動されてよい。さらに、上記で論じられたように、解除機構66は、適切に配向されたときしか作動できないようにする機構を組み込まれてよい。
【0038】
前述の議論は、流体で充填することができる映像カテーテルチップ26のパッケージ化に関するものであるが、映像カテーテル14は、パッケージ化する前に製造して検査する必要がある。図7は、映像カテーテル14を製造して検査する例示の方法78のプロセス流れ図である。この方法は、ステップ80で、映像カテーテル14および関連する映像カテーテルチップ26の最終組立から始まる。最終組立80の後に、映像カテーテル14の検査はステップ82で始まってよく、このステップでは、モータ34が回転の全許容域にわたって変換器38を振動させることができるのを確認するために、モータ34および変換器38の回転が検査される。
【0039】
次に、ステップ84では、映像カテーテルチップ26は検査流体を注入されてよい。検査流体は、短い期間しか必要とされないことがあり、また、映像カテーテル14を高温および低圧(すなわちオーブン、真空、または真空オーブン)に置くことにより検査後にこれが蒸発し得るように、粘性が低く蒸気圧が高いものであってよい。検査流体は、動作中に映像カテーテル14と共に使用されることになる音響結合流体と同一でよく、または異なってもよい。映像カテーテル14の使用中に通常使用される音響結合流体がより高い粘性を有することがあり、したがって、最終的なパッケージ化に先立って除去するのがより困難な可能性があるので、実際には、多くの例において別の流体で検査することが有効であり得る。例えば、検査流体として、水またはFC−3283フロリナートなどの比較的揮発性で低残留性の音響結合流体を使用することが有効であり得る。いくつかの実装形態では、前述の回転検査が実行される前に、映像カテーテルチップ26に検査流体が注入されてよい。
【0040】
ステップ86では、音響性能および映像性能の検査が行われてよい。音響検査および映像検査を行なうために、映像カテーテルチップ26を検査流体で完全に充填するのは不要なことがある。むしろ、映像カテーテルチップ26は、検査を完結するのに十分なだけにのみ充填されてよい。そうすることで、検査中にモータ34内への漏れの可能性を低下させることができる。さらに、モータ34に対する負荷が最小限になり、また、実際の使用のためにモータ34の性能をできるだけ保つことができる。
【0041】
次に、ステップ88で検査流体が除去されてよい。その除去は様々なやり方で達成することができる。例えば、映像カテーテル14を完全に乾燥させるために、映像カテーテル14は、真空を適用して35℃と80℃との間(例えば約50℃)に加熱するように、真空オーブン内に置かれてよい。さらに、蒸発した検査流体の除去を促進し、それによって、チップ内の検査流体の分圧を低く保持し、かつ蒸発および乾燥を促進するために、窒素などの乾燥した不活性ガスが、ある期間カテーテルを通ってフラッシュされてよい。検査流体の除去に続いて、ステップ90で、乾燥した映像カテーテル14が、最終出荷に向けて殺菌されパッケージ化されてよい。滅菌は、例えばエチレンオキシド(EtO)滅菌を使用して達成されてよい。
【0042】
本発明の、特定の特徴のみが本明細書に示され説明されてきたが、当業者なら多くの修正形態および変更形態を思いつくことができるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような修正形態および変更形態のすべてが、本発明の真の精神の範囲内に入るように対象として含むように意図されていることを理解されたい。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本技術の態様による例示の超音波映像システムのブロック図である。
【図2】図1に示された本技術の態様によるシステムで使用される例示の映像カテーテルチップおよび変換器組立体を含む侵襲性プローブの一部分の側面図である。
【図3】本技術の態様による映像カテーテルチップの例示の実施形態の透視側面図である。
【図4】本技術の態様による映像カテーテル組立体の例示の実施形態の透視側面図である。
【図5】本技術の態様による映像カテーテルパッケージ化の例示の実施形態の透視側面図である。
【図6】本技術の態様による映像カテーテルパッケージ化の別の例示の実施形態の透視側面図である。
【図7】本技術の態様によって映像カテーテルを製造して検査する例示の方法のプロセス流れ図である。
【符号の説明】
【0044】
10 システム
12 患者
14 映像カテーテル
16 映像カテーテルの一部
18 映像カテーテルの一部
20 超音波映像システム
22 表示区域
24 ユーザインターフェイス区域
26 映像カテーテルのチップ
28 映像カテーテルのシャフト
30 映像カテーテルの柄
32 容器
34 モータ
36 モータ保持具
38 変換器
40 変換器保持具
42 レンズ
44 軸
46 可撓性の相互接続ケーブル
48 サーミスタ
50 充填管
52 充填口
54 ガス抜き口
56 ガス抜き管
58 回転抑制
60 ポイント
62 映像カテーテル組立体
64 流体リザーバ
66 解除機構
68 バイアス要素
70 ピストン
72 パッケージ
74 チップ保持具
76 箱
78 映像カテーテルを製造して検査する方法
80 映像カテーテルチップの最終組立
82 モータおよび変換器に対して回転検査を行なう
84 映像カテーテルチップに検査流体を注入する
86 音響性能および映像性能の検査を行なう
88 映像カテーテルから検査流体を除去する
90 乾燥した映像カテーテルの滅菌および最終的なパッケージ化

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像カテーテルチップ(26)を備える映像カテーテル(14)と、
前記映像カテーテル(14)に接続されて前記映像カテーテルチップ(26)の近位端を通して流体を配送するように構成された流体リザーバ(64)と、
作動されたときに前記映像カテーテルチップ(26)に前記流体の配送をもたらすように構成された解除機構(66)とを備える映像カテーテル組立体。
【請求項2】
前記流体リザーバ(64)からの流体を移動するように構成されたピストン(70)と、
前記解除機構(66)が作動されたとき、前記ピストン(70)に対して力を作用させるように構成されたバイアス要素(68)とを備える請求項1記載の映像カテーテル組立体。
【請求項3】
前記流体リザーバ(64)、前記解除機構(66)、前記ピストン(70)および前記バイアス要素(68)が前記映像カテーテル(14)の柄(30)に一体化される請求項2記載の映像カテーテル組立体。
【請求項4】
前記流体リザーバ(64)および前記解除機構(66)が前記映像カテーテル(14)の柄(30)に一体化される請求項1記載の映像カテーテル組立体。
【請求項5】
前記映像カテーテル(14)と、前記流体リザーバ(64)と、前記解除機構(66)とを保持するように構成されたパッケージ(72)を備え、前記パッケージ(72)が、前記解除機構(66)が作動されたとき前記映像カテーテルチップ(26)を下方へ配向して保持するように適合される請求項1記載の映像カテーテル組立体。
【請求項6】
モータ組立体および変換器組立体を備える映像カテーテルチップ(26)を備える映像カテーテル(14)を組み立てるステップ(80)と、
前記モータ組立体および前記変換器組立体の回転を検査するステップ(82)と、
前記映像カテーテルチップ(26)に検査流体を注入するステップ(84)と、
前記映像カテーテルチップ(26)の音響性能および映像性能を検査するステップ(86)と、
前記映像カテーテルチップ(26)から前記検査流体を除去するステップ(88)と、
前記映像カテーテル(14)を乾燥させて殺菌するステップ(90)とを含む、映像カテーテルを製造して検査するための方法(78)。
【請求項7】
前記映像カテーテル(14)を乾燥させるステップが、真空オーブン内に前記映像カテーテル(14)を置くステップを含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記映像カテーテル(14)を乾燥させるステップが、前記映像カテーテル(14)を通して乾燥ガスを流すステップを含む請求項6記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの変換器(38)および1つの充填管(50)を備える映像カテーテルチップ(26)を備える映像カテーテル(14)を備える映像カテーテル組立体であって、
前記映像カテーテルチップ(26)が、流体リザーバ(64)が前記充填管(50)に取り付けられ、かつ解除機構(66)が作動されるときに、前記充填管(50)を介して自動的に充填されるように構成される映像カテーテル組立体。
【請求項10】
映像カテーテルチップ(26)に接続して前記映像カテーテルチップ(26)に流体を配送するように構成された流体リザーバ(64)と、
作動されたときに前記映像カテーテルチップ(26)に前記流体の配送をもたらすように構成された解除機構(66)とを備える充填機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−284363(P2008−284363A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128232(P2008−128232)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】