説明

超音波治療器

【課題】超音波照射器において施術者や治療者に生じる不快感を抑制することを課題とする。
【解決手段】患部Aに対して超音波を照射して治療を行う超音波治療器であって、超音波を照射可能な照射面11aが形成された超音波振動子11と超音波振動子11の照射面11aを外部に露出させた状態で超音波振動子11を支持する第一筐体12とを有する第一ユニットと、外部から入力された超音波の設定値に応じて超音波振動子11の駆動信号を生成する制御器と制御器を収容する第二筐体とを有する第二ユニットと、を備え、第一筐体12には、第一筐体12の厚さ方向の一方側に超音波の設定値を表示可能な表示器13が設けられていると共に、第一筐体12の厚さ方向の他方側において超音波振動子11が厚さ方向に突出して設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患部に対して超音波を照射して、患部の治療促進効果を図る超音波治療器が知られている。
【0003】
この超音波治療器としては、超音波を照射可能な照射面が形成された超音波振動子と超音波振動子の照射面を外部に露出させた状態で超音波振動子を支持する筐体とを有する超音波プローブと、外部から入力された超音波の設定値に基づいて超音波振動子の駆動信号を生成する制御器と制御器を収容する筐体とを有する超音波治療器本体と、を備えたものがある(関連する技術として下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−25468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の超音波治療器を用いて患部を治療する際には、通常、患部と超音波プローブとに位置ずれが生じないように双方の位置関係を確認しつつ超音波を照射する。
しかしながら、従来の超音波治療器は、超音波の設定値を表示する表示器が超音波治療器本体に設けられているので、患部の治療中において超音波の設定値を変更する場合に、超音波治療器本体の表示器へ視線を向けなければならず、超音波プローブと患部とに位置ずれが生じて治療し難いという不都合がある。この不都合を解消する手段としては、超音波プローブに表示器を設けて、患部と超音波プローブとから視線を変更させないようにする構成が考えられる。
【0006】
しかし、上記の超音波治療器においては、患部の治療中に、超音波プローブを把持する施術者の手や、超音波振動子に当接する患部あるいは患部近傍の肌により、超音波プローブと外気との接触面積が限定される。このため、超音波治療器を長時間に亘って使用する場合には、表示器及び制御器に生じた熱が外気に排出されずに、筐体内部に篭って超音波プローブが昇温し易くなる。そうすると、超音波プローブを把持する施術者や超音波プローブを当てられる治療者に不快感を与えてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、超音波照射器において施術者や治療者に生じる不快感を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る超音波治療器は、患部に対して超音波を照射して治療を行う超音波治療器であって、前記超音波を照射可能な照射面が形成された超音波振動子と前記超音波振動子の照射面を外部に露出させた状態で前記超音波振動子を支持する第一筐体とを有する第一ユニットと、外部から入力された前記超音波の設定値に応じて前記超音波振動子の駆動信号を生成する制御器と前記制御器を収容する第二筐体とを有する第二ユニットと、を備え、前記第一筐体には、前記第一筐体の厚さ方向の一方側に前記超音波の設定値を表示可能な表示器が設けられていると共に、前記第一筐体の厚さ方向の他方側において前記超音波振動子が前記厚さ方向に突出して設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、第一筐体の厚さ方向の他方側において超音波振動子が突出して設けられているので、超音波振動子の先端と第一筐体との間において、超音波振動子の外周部が外気と接触する。これにより、第一筐体の内部に生じた熱を、超音波振動子の外周部から外気に向けて放出することができる。
また、第一筐体の厚さ方向の他方側において超音波振動子が突出して設けられているので、第一筐体と治療者の肌との間に放熱空間が確保される。これにより、第一筐体の内部に生じた熱を、放熱空間に排出することができる。
これらにより、第一筐体の内部に熱が篭るのを抑えて第一ユニットの昇温を軽減するので、第一ユニットを把持する施術者や治療者に不快感を与えることを抑制することができる。
さらに、第一筐体と治療者の肌との間に放熱空間が確保されているので、第一筐体と治療者の肌とが接触し難くなる。これにより、仮に第一ユニットが昇温したとしても治療者に不快感を与えることを抑制することができる。
【0009】
また、前記表示器と前記超音波振動子とは、前記厚さ方向に見た場合に、それぞれの少なくとも一部が重なっていることを特徴とする。
この構成によれば、表示器と超音波振動子とのそれぞれの少なくとも一部が重なっているので、表示器と超音波振動子とが重なっていない場合に比べて、表示器と超音波振動子との最短距離が小さくなる。これにより、表示器で生じた熱が超音波振動子に向けて伝達され易くなるので、第一ユニットの昇温を更に軽減することができる。
【0010】
また、前記第一筐体は、前記患部に塗布される液状体が前記第一筐体の内部に侵入しないように水密に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第一筐体が水密に形成されているので、液状体が第一筐体の内部に侵入することを阻止ことができる。一方、第一筐体を水密に形成すると第一筐体の内部に熱が篭り易くなるが、超音波振動子が突出して設けられているので、第一筐体の内部に熱が篭るのを抑えて第一ユニットの昇温を軽減することができる。
なお、本明細書において、液状体とは、超音波伝達媒体等のゲル体の他、消毒液等の液体を含む。
【0011】
また、前記超音波振動子は、前記第一筐体の厚さ寸法よりも小さい寸法となるように突出していることを特徴とする。
この構成によれば、前記第一筐体の厚さ寸法よりも小さい寸法となるように突出しているので、取り扱いの容易性を損なわない。
【0012】
また、前記第一筐体は、前記厚さ方向と交差する方向に延び、前記超音波振動子の内部と前記第一筐体とを区画する区画壁を備え、前記区画壁には、前記超音波振動子の内部と前記第一筐体の内部とを連通させる冷却貫通孔が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、超音波振動子の内部と第一筐体の内部とを区画した場合に、区画壁に冷却貫通孔が形成されているので、区画壁の冷却貫通孔を介して、第一筐体の内部から超音波振動子への熱移動を促進させることができる。
【0013】
また、前記超音波振動子は、圧電素子と前記圧電素子を被覆するケースとを有し、前記ケースがアルミニウムで形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、比較的に熱伝導率が高いアルミニウムでケースが形成されているので、第一筐体の内部の熱を、外気に向けて更に放出し易くすることができる。
【0014】
また、前記第二ユニットは、前記第二筐体の内部に外部空気を取り込む送風機構を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、第二ユニットが第二筐体の内部に外気を取り込む送風機構を備えているので、比較的に多量の熱を生じさせる制御器を十分に冷却することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る超音波治療器及び超音波治療装置によれば、超音波照射器において施術者や治療者に生じる不快感を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波治療装置Uの概略構成斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る超音波治療装置Uのブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の概略構成斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の正面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の下面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の要部断面図であって、図5における一部破断断面図である。なお、本図は図9のII−II線断面図に相当する。
【図9】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の要部断面図であって、図8におけるI−I線断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る台座3の平面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る台座3の側面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の治療開始時の把持方法を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の超音波照射時の把持方法を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施形態に係る第一ユニット1の超音波照射時の放熱作用を示す一部破断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る超音波治療装置Uの概略構成斜視図である。
図1に示すように、超音波治療装置Uは、第一ユニット1と第二ユニット2とを有する超音波治療器Tと、台座3とを具備している。
【0018】
図2は超音波治療器Tのブロック図であり、図3は第一ユニット1の概略構成斜視図であり、図4は第一ユニット1の平面図であり、図5は第一ユニット1の側面図であり、図6は第一ユニット1の正面図であり、図7は第一ユニット1の下面図であり、図8は図5の一部破断断面図であり、図9は図8のI−I線断面図である。
なお、図1は第一ユニット1を台座3に着座させた状態で示しているのに対して、図3は第一ユニット1を台座3から離間させた状態で示している。また、図8は図9のII−II線断面図に相当する。
【0019】
第一ユニット1は、図2に示すように、超音波を照射可能な照射面11a(図5〜図7参照)が形成された超音波振動子11と、超音波振動子の照射面11aを外部に露出させた状態で超音波振動子11を支持する第一筐体12と、第一筐体12に設けられ、超音波の設定値を表示可能な表示器13と、第一筐体12に設けられ、超音波の設定値を変更操作可能な操作キー14と、緊急時等に警告音を出力するブザー15と、表示器13、操作キー14及びブザー15と第二ユニット2の制御器21(後述する。)との間で各種信号のやり取りを行うインターフェース16とを備えている。
【0020】
超音波振動子11は、制御器21から供給される駆動信号に応じた超音波を照射面11aから照射する。超音波振動子11は、図8に示すように、電気信号を印加すると超音波振動する圧電素子51と、圧電素子51を被覆するケース52とを備えている。
【0021】
ケース52は、図8に示すように、フランジ筒部53と先端ケース部54とを備えている。このケース52は、本実施形態においては、アルミニウムを用いて形成している。
【0022】
フランジ筒部53は、筒軸方向の両端が開放されており、筒軸方向一端側にフランジ部53aが形成される一方、筒軸方向他端側における外周部に雄ネジ部53bが形成されている。
このフランジ筒部53は、図10に示すように、第一筐体12に、第一筐体12の内部からネジ53cによって第一筐体12に固定されている(図9参照)。
【0023】
先端ケース部54は、有底筒状に形成されており、内周部の開放端54a側に形成された雌ネジ部54bが、フランジ筒部53の雄ネジ部53bにOリング11rを介して螺着しており、先端ケース部54の開放端54aをフランジ筒部53(フランジ部53a)に突き合わせている。
【0024】
圧電素子51は、先端ケース部54の底部54cに貼着されており、ターミナル基板11bと接続されている。この圧電素子51は、圧電素子51の中心を、基板側部材18と共にピン部材51aに挿通されており、基板側部材18との相対移動が拘束されている。
ターミナル基板11bは、底部54cに沿って支持されており、制御器21(後述する。)との入出力信号を伝達するシールド線(不図示)と、圧電素子51と接続されているリード線11dと、ケース52に接続されたリード線11eとが接続されている。このターミナル基板11bは、図8に示すように、基板側部材18と共に二つのピン部材11x(図9参照)に挿通されており、基板側部材18との相対移動が拘束されている。
【0025】
第一筐体12は、合成樹脂等からなり、扁平状に形成され、図4及び図7に示すように、平面視した場合に小判形状となっている。この第一筐体12は、図5及び図6に示すように、第一筐体12の厚さ方向の一方側に主板部12bが、第一筐体12の厚さ方向の他方側に基板部12aが形成されている。
【0026】
この第一筐体12は、図5及び図6に示すように、それぞれ容器状(皿状)に形成された主板側部材17と基板側部材18とで構成されている。
主板側部材17は、図5及び図6に示すように、平坦状に形成された天壁17aと、この天壁17aの周縁から天壁17aの周囲に向けて延出すると共に延出方向を次第に下方側に向ける側周壁17bとを備えている。図4に示すように、天壁17aには、表示器13を視認可能に被覆するための透明窓17cと、操作キー14を突出させるための貫通孔17dとが、主板側部材17の長手方向一方側から他方側に向けて上記の順に形成されている。
また、貫通孔17dは、可曉性を有する合成樹脂で形成されたシート17eによって覆われることで防水処理がなされている。
【0027】
基板側部材18は、図5及び図6に示すように、平坦状に形成された底壁18aと、この底壁18aの周縁から底壁18aの周囲に向けて延出すると共に延出方向を次第に上方側に向ける側周壁18bとを備えている。底壁18aの、基板側部材18の長手方向一方側においては、図7及び図8に示すように、溝断面形状が略方形となった環状溝18cが形成されている。
【0028】
これら主板側部材17と基板側部材18は、側周壁17bの先端と側周壁18bの先端とが互いに突き合わされることにより、第一筐体12を構成していると共に第一筐体12の内部空間を画定している。つまり、主板側部材17の天壁17aが第一筐体12の主板部12bに、基板側部材18の底壁18aが第一筐体12の基板部12aにそれぞれ相当しており、側周壁17bと側周壁18bとが第一筐体12の周壁12xを構成している。
これら主板側部材17と基板側部材18は、図8に示すように、シールリング17rを介して、側周壁17bの先端と側周壁18bの先端とが互いに突き合わされてネジ止めされている。
【0029】
また、図4及び図6に示すように、第一筐体12の円弧基端部12fにおいては、周壁12xから、第二ユニット2に接続された接続コード19が延出している。
【0030】
このような構成の第一筐体12は、図5及び図6に示すように、基板部12aから超音波振動子11が、第一筐体12の厚さ寸法の略半分程度の寸法だけ突出している。より具体的には、ケース52のフランジ筒部53が、図8に示すように、環状溝18cに嵌め込まれた状態で、第一筐体12の内部からネジ53cによって第一筐体12にネジ止めされている。これら環状溝18cとフランジ筒部53とは、互いの間に配設されたOリング18rをそれぞれ押圧した状態で固定されている。
また、第一筐体12の内部と超音波振動子11のケース52の内部とは、環状溝18cの内側に延びる区画壁18dによって区画されている。
区画壁18dには、ピン部材11xが挿通された一対の挿通孔18f,18fが形成されており、また、第一筐体12の内部と超音波振動子11の内部とを連通させる一対の冷却貫通孔18e,18eが形成されている。これら一対の挿通孔18f,18f及び一対の冷却貫通孔18e,18eは、図9に示すように、一対の挿通孔18f,18fを結ぶ仮想直線と、一対の冷却貫通孔18e,18eを結ぶ仮想直線とが互いに交差する位置に形成されている。
【0031】
表示器13は、具体的にはLCDであり、図8に示すように、インターフェース16を構成するプリント基板16aに実装されており、図3及び図4に示すように、第一筐体12の主板部12bの透明窓17cに重なるように配設されている。この表示器13は、超音波振動子11に背向しており、第一筐体12の厚さ方向に見て超音波振動子11に一部を重ねている。
この表示器13は、出力値、デューティ比等の超音波の設定値のほか、予め記憶部(不図示)に記憶させた治療プログラムの番号やバッテリー残量、タイマー等を表示する。
【0032】
操作キー14は、図3及び図5に示すように、主板部12bの貫通孔17dから第一筐体12の厚さ方向に突出しており、超音波振動子11の超音波の設定値を変更可能である。より具体的には、操作キー14は、押下に応じてインターフェース16(図2参照)に対して操作信号を出力し、この操作信号がインターフェース16を介して制御器21に入力されるようになっている。この操作キー14は、貫通孔17d及びブザー15と共にシート17eによって覆われている。
【0033】
ブザー15は、例えば過大な出力値が入力された場合や電源に異常が生じた場合に、この異常を検知したインターフェース16あるいは制御器21から供給される信号に基づいて、警告音を出力する。
【0034】
インターフェース16は、電子部品が実装されたプリント基板16aからなり、第二ユニット2から第一ユニット1へと入力される入力信号及び第一ユニット1から第二ユニット2へと出力される出力信号を総括する。すなわち、インターフェース16は、制御器21から入力された入力信号が、表示器13に表示する情報や文字に関連するものであった場合に、この情報や文字に対応する表示信号を表示器13に出力する。また、操作キー14から操作信号が入力されると、この操作信号に対応する出力信号を制御器21に対して出力する。同様に、インターフェース16が異常を検知したり、あるいは、制御器21からの入力信号が異常を指し示すものであったりした場合に、ブザー15に警告音を出力させるための信号を供給する。インターフェース16を構成するプリント基板16aは、図8に示すように、天壁17aに沿って主板側部材17に固定されている。
【0035】
このような構成の第一ユニット1は、Oリング11r,18r、シールリング17r及びシート17eにより、患部に塗布される超音波伝達促進ジェルや患部に散布される消毒液が、第一筐体12の内部に侵入しないように水密に構成されている。
【0036】
第二ユニット2は、図2に示すように、制御器21と、第二筐体22とを備えている。
制御器21は、具体的には単数又は複数のプリント基板に各種電子部品が実装されて構成されており、図2に示すように、外部電源から電力が供給されるようになっている。この制御器21は、メイン制御部21Aと駆動信号生成部21Bと電源回路21Cとを有している。
【0037】
メイン制御部21Aは、外部電源に接続された電源回路21Cから駆動電源が供給される。このメイン制御部21Aは、第一筐体12のインターフェース16と各種信号の授受を行う他、インターフェース16を介して操作キー14から操作信号が入力されると、操作信号に応じて設定値を変更し、変更された設定値に応じた駆動信号を駆動信号生成部21Bに生成させる。
駆動信号生成部21Bは、電源回路21Cから駆動電源が供給される。この駆動信号生成部21Bは、メイン制御部21Aに制御されて駆動信号を生成すると共に、生成した駆動信号を超音波振動子11に出力する。
電源回路21Cは、外部電源から電源が供給されるようになっており、駆動信号生成部21B及びメイン制御部21Aに電源を供給する。
【0038】
第二筐体22は、合成樹脂等からなり、図1に示すように、箱型に形成されて制御器21を収容している。この第二筐体22の長手方向における一端には、制御器21と第一ユニット1とを接続する接続コード19が延出している。
【0039】
この第二筐体22は、外気を第二筐体22の内部に取り込んで外部に排出する送風機構23を備えている。この送風機構23は、第二筐体22の上面において長手方向の一端側に形成された取込孔23aと、第二筐体の長手方向における他端に形成された排出孔23bと、第二筐体22の内部において排出孔23bの近傍に配設されたクーリングファン23cとで概略構成されている。
クーリングファン23cは、電源回路21Cから駆動電源が供給され、取込孔23aを介して第二筐体22の内部に外気を取り込むと共に、第二筐体22の排出孔23bを介して第二筐体22の内部の空気を外部に排出する。
【0040】
図10は台座3の平面図であり、図11は台座3の側面図である。
台座3は、図3、図10及び図11に示すように、第一ユニット1の基板部12a側に嵌合可能に形成された座面31を有している。
座面31は、図11に示すように、台座3の長手方向における先端3a側が基端3b側よりも高くなるように、底部32に対して傾斜して形成されている。この座面31の先端3a側には、超音波振動子11を挿入収容可能な収容孔33が形成されている。つまり、座面31は、第一ユニット1の長手方向を台座3の長手方向に向けた状態で、超音波振動子11を収容孔33に収容すると共に第一ユニット1の基板部12a側を嵌合させるようになっている。
このような構成により、台座3は、図1及び図3に示すように、第一ユニット1を着座・離間可能となっている。
【0041】
次に、上記の構成からなる超音波治療装置Uを用いた超音波治療方法について、主に図12から図14を用いて説明する。以下の説明においては、施術者と治療者とが異なる者である場合について説明する。
【0042】
まず、図1及び図12に示すように、第一ユニット1が台座3の座面31に着座している状態において、施術者が第一ユニット1を把持して台座3から離間させる。
そして、図13に示すように、超音波振動子11の照射面11aを患部Aに当接させ、予め患部A又は超音波振動子11の照射面11aに塗布したジェルを介して患部Aに超音波が照射される。
【0043】
この状態においては、図14に示すように、超音波振動子11の照射面11aを患部Aに当接させると、超音波振動子11が第一筐体12から突出して設けられていることから、治療者の患部Aと第一ユニット1の第一筐体12との間に放熱空間Sが形成される。
【0044】
第一ユニット1を長時間使用する場合には、表示器13やプリント基板16aが発熱する。また、第一ユニット1のように水密に構成されていると、第一ユニット1の内部に生じた熱hが第一ユニット1の内部に篭り易くなる。この第一筐体12の内部によって生じた熱hは、第一筐体12が把持され、かつ、超音波振動子11が患部Aに当接していることから、主に以下に説明する熱伝達経路を辿って外気に放出される。
【0045】
すなわち、表示器13やプリント基板16aで生じた熱hの一部は、第一筐体12の内部から超音波振動子11のケース52の内部に伝熱する。この際の熱移動は、区画壁18dを介して行われることとなるが、区画壁18dに形成された一対の冷却貫通孔18e,18eにおいては第一筐体12の内部と超音波振動子11のケース52の内部とが連通していることから、これら一対の冷却貫通孔18e,18eを介して第一筐体12の内部から超音波振動子11のケース52の内部への熱移動が促進される。超音波振動子11のケース52の内部に移動した熱hは、超音波振動子11の外周部11fから外気へと熱放出される。この際、放出される熱hの一部が放熱空間Sに放出される。
【0046】
上記のように、表示器13やプリント基板16aで生じた熱hは、超音波振動子11の外周部11fから外気へと熱放出される他、基板側部材18の底壁18aを介して熱放出スペースに放出される。
【0047】
このような熱伝達経路を辿って、第一筐体12の内部で生じた熱hが外気に放出されることから、第一筐体12の昇温が抑制される。つまり、第一筐体12を把持する手や、第一筐体12が治療者の患部Aや肌に触れたとしても不快感を生じさせない。
【0048】
一方、第二ユニット2においては、電源回路21Cやメイン制御部21Aが大きな発熱源となる。この第二ユニット2においては、送風機構23によって冷却が促進される。すなわち、クーリングファン23cの回転によって第二筐体22に形成された取込孔23aから、第二筐体22の内部に外気を取り込む。第二筐体22の内部に取り込まれた外気は、第二筐体22の内部を長手方向に向けて流れ、この過程において電源回路21Cやメイン制御部21Aが構成されたプリント基板を冷却する。そして、この冷却後の空気を、クーリングファン23cの回転によって第二筐体22に形成された排出孔23bから外部に排出する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る超音波治療器Tによれば、第一筐体12から超音波振動子11が突出して設けられているので、超音波振動子11の照射面11aと第一筐体12との間において、超音波振動子11の外周部11fが外気と接触する。これにより、第一筐体12の内部においてプリント基板16aや表示器13に生じた熱hを、超音波振動子11の外周部11fから外気に向けて放出することができる。
また、超音波振動子11が第一筐体12から突出して設けられているので、第一筐体12と治療者の肌との間に放熱空間Sが確保される。これにより、第一筐体12の内部においてプリント基板16aや表示器13に生じた熱hを、放熱空間Sに排出することができる。
これらにより、第一筐体12の内部に熱hが篭るのを抑えて第一ユニット1の昇温を軽減するので、第一ユニット1を把持する施術者や治療者に不快感を与えることを抑制することができる。
さらに、第一筐体12と治療者の肌との間に放熱空間Sが確保されているので、第一筐体12と治療者の肌とが接触し難くなる。これにより、仮に第一ユニット1が昇温したとしても治療者に不快感を与えることを抑制することができる。
【0050】
また、表示器13と超音波振動子11とのそれぞれの一部が重なっているので、表示器13と超音波振動子11とが重なっていない場合に比べて、表示器13と超音波振動子11との最短距離が小さくなる。これにより、表示器13で生じた熱hが超音波振動子11に向けて伝達され易くなるので、第一ユニット1の昇温を更に軽減することができる。
【0051】
また、第一筐体12が水密に形成されているので、ジェルや消毒液が第一筐体12の内部に侵入することを阻止することができる。一方、第一筐体12を水密に形成すると第一筐体12の内部に熱hが篭り易くなるが、超音波振動子11が突出して設けられているので、第一筐体12の内部に熱hが篭るのを抑えて第一ユニット1の昇温を軽減することができる。
【0052】
また、第一筐体12の厚さ寸法の略半分の寸法だけ突出しているので、外気と接触する超音波振動子11の外周部11fを十分に確保することができると共に、取り扱いの容易性を向上させることができる。
【0053】
また、超音波振動子11の内部と第一筐体12の内部とを区画した場合に、区画壁18dに冷却貫通孔18e,18eが形成されているので、区画壁18dの冷却貫通孔18e,18eを介して、第一筐体12の内部から超音波振動子11のケース52の内部への熱移動を促進させることができる。
【0054】
また、比較的に熱伝導率が高いアルミニウムでケース52が形成されているので、第一筐体12の内部の熱hを、外気に向けて更に放出し易くすることができる。
【0055】
また、第二ユニット2が第二筐体22の内部に外気を取り込む送風機構23を備えているので、比較的に多量の熱hを生じさせる制御器21を十分に冷却することができる。
【0056】
本発明に係る超音波治療器T及び超音波治療装置によれば、超音波照射器において施術者や治療者に生じる不快感を抑制することができる。
【0057】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した実施の形態においては、施術者と治療者とが異なる者である場合について説明したが、施術者と治療者とが同一の者であってもよい。
【0058】
また、上述した実施の形態では、インターフェース16を備える構成としたが、表示器13、操作キー14及びブザー15と、制御器21とが直接信号を入出力する構成にしてもよい。
【0059】
また、上述した実施の形態では、外部電源から制御器21に電力を供給する構成にしたが、内蔵電源を設けて電力を供給してもよい。
【0060】
また、上述した実施の形態では、操作キー14を第一筐体12に設ける構成としたが、操作キー14を例えば第二ユニット2に設ける構成としてもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態では、表示器13と超音波振動子11とのそれぞれの一部を重ねたが、放熱効果はやや低下するものの必ずしも重ねる必要はないし、放熱効果を更に高めるために表示器13と超音波振動子11との全部を重ねてもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態では、比較的に熱伝導率が高いアルミニウムでケース52を形成したが、他の材料、例えばアルミ合金やステンレス等でケース52を形成してもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態では、区画壁18dを設けて第一筐体12の内部と超音波振動子11のケース52の内部とを区画したが、区画壁18dを省略してもよい。
また、上述した実施の形態では、区画壁18dに冷却貫通孔18eを二つ形成したが、冷却貫通孔18eを省略してもよいし、一つ設けてもよいし、三つ以上設けてもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態では、超音波振動子11を第一筐体12の厚さ寸法の略半分程度の寸法だけ基板部12aから突出させたが、第一筐体12の厚さ寸法程度であれば、取り扱いの容易性を損なわないで放熱効果を向上させることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…第一ユニット
2…第二ユニット
11…超音波振動子
11a…照射面
11f…外周部
12…第一筐体
13…表示器
18d…区画壁
18e…冷却貫通孔
21…制御器
22…第二筐体
23…送風機構
52…ケース
A…患部
S…放熱空間
T…超音波治療器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患部に対して超音波を照射して治療を行う超音波治療器であって、
前記超音波を照射可能な照射面が形成された超音波振動子と前記超音波振動子の照射面を外部に露出させた状態で前記超音波振動子を支持する第一筐体とを有する第一ユニットと、
外部から入力された前記超音波の設定値に応じて前記超音波振動子の駆動信号を生成する制御器と前記制御器を収容する第二筐体とを有する第二ユニットと、を備え、
前記第一筐体には、前記第一筐体の厚さ方向の一方側に前記超音波の設定値を表示可能な表示器が設けられていると共に、前記第一筐体の厚さ方向の他方側において前記超音波振動子が前記厚さ方向に突出して設けられていることを特徴とする超音波治療器。
【請求項2】
前記表示器と前記超音波振動子とは、前記厚さ方向に見て、それぞれの少なくとも一部が重なっていることを特徴とする請求項1に記載の超音波治療器。
【請求項3】
前記第一筐体は、前記患部に塗布される液状体が前記第一筐体の内部に侵入しないように水密に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波治療器。
【請求項4】
前記超音波振動子は、前記第一筐体の厚さ寸法よりも小さい寸法となるように突出していることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の超音波治療器。
【請求項5】
前記第一筐体は、前記厚さ方向と交差する方向に延び、前記超音波振動子の内部と前記第一筐体とを区画する区画壁を備え、前記区画壁には、前記超音波振動子の内部と前記第一筐体の内部とを連通させる冷却貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の超音波治療器。
【請求項6】
前記超音波振動子は、圧電素子と前記圧電素子を被覆するケースとを有し、前記ケースがアルミニウムで形成されていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の超音波治療器。
【請求項7】
前記第二ユニットは、前記第二筐体の内部に外気を取り込む送風機構を備えていることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の超音波治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−157386(P2012−157386A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17132(P2011−17132)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(591032518)伊藤超短波株式会社 (69)
【Fターム(参考)】