説明

超音波流速流量計

【課題】本発明は流路への超音波振動を低減し、より精度の高い流速流量計測が可能とした超音波流速流量計を提供することを目的とする。
【解決手段】被測定流体が流れる流路部5と、流路部の上流と下流に配置される一対の超音波送受波器8と、超音波送受波器8を固定する超音波送受波器固定部1、2と、超音波送受波器8間の超音波伝播時間を計測する計時手段13と、計時手段13により得られた超音波伝播時間に基づいて被測定流体の流量を演算する演算手段14とを備える超音波流速流量計において、超音波送受波器固定部1、2と流路部5とを別部品で構成し、超音波送受波器固定部1、2と流路部5とを複数の接合部6で一体化する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体(特に気体)中に超音波を送信、または、流体中を伝搬する超音波を受信するための超音波送受波器を用いる超音波流速流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の超音波流量計は、例えば図8に示すように、被測定流体が流れる計測流路50と、この計測流路50に対向配置されて超音波を送受信する少なくとも一対の超音波振動子51、52と、前記超音波振動子間の超音波伝搬時間を計測する計測制御部53と、前記計測制御部からの信号に基づいて流量を算出する演算部54とを備え、前記超音波振動子は天部と、側壁部と、この側壁部の外側に設けた支持部と、前記天部の内壁面に固定された圧電体を有する超音波振動子と、前記側壁部に当接し側壁部の振動を低減する制振体と、前記支持部を保持する保持部を有する振動伝達抑止体55とを備え、前記超音波振動子は前記保持部を介して取付けた構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−159551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、ノイズとなる不要な超音波振動を流路に伝達しないようにするために、超音波送受波器の形状に合わせて、複雑な形状の振動伝達抑制体を用いる必要があり、振動伝達抑制体が高価になるだけでなく、取り付けも煩雑であるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、より簡便に振動伝達抑制体となるシール手段を取り付けることが出来、流路へのノイズとなる超音波振動を低減することによって、より精度の高い流速流量計測を可能とした超音波流速流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明の超音波送受波器は、被測定流体が流れる流路部と、前記流路部の上流と下流に設けられた開口部と、前記開口部から前記流路部内に向けて超音波を発射するように配置される一対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器を保持すると共に前記流路に固定される超音波送受波器固定部と、前記一対の超音波送受波器間の超音波伝播時間を計測する計時手段と、前記計時手段により得られた超音波伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を演算する演算手段とを備え、前記超音波送受波器固定部と前記流路部とを別部品で構成し、前記超音波送受波器固定部と前記流路部とを複数の接合部で一体化する構成としたものである。
【0007】
これによって、流路部と超音波送受波器固定部との接合する部位が減少するため、計測の邪魔となる流路への超音波振動を低減することが出来る。また、流路自体で、ノイズとなる不要な振動を減衰するため、振動伝達抑制体となるシール手段が不要であるか、あるいは、より簡便な構成のシール手段とすることが出来る。
【0008】
また、本発明の超音波流速流量計は、前記超音波送受波器固定部と流路部との接する面にシール手段を当接するように配置する構成とした超音波流速流量計としたものである。
これによって、シール手段自体によって超音波振動を低減することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の超音波流速流量計は、より簡便に振動伝達抑制体を取り付けることが出来、計測のノイズとなる、流路を伝播する超音波振動を低減することが出来、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における超音波流速流量計の要部断面図、(b)同側面断面図
【図2】(a)本発明の実施の形態2における超音波流速流量計の要部断面図、(b)同側面断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態2における他の実施例を示す超音波流速流量計の要部断面図、(b)同側面断面図
【図4】(a)本発明の実施の形態3における超音波流速流量計の要部断面図、(b)同側面断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態4における超音波流速流量計の要部断面図、(b)同側面断面図
【図6】(a)本発明の実施の形態4における他の実施例を示す超音波流速流量計の要部断面図、(b)同側面断面図
【図7】(a)本発明の実施の形態5における超音波流速流量計の要部断面図、(b)同側面断面図
【図8】従来の超音波流速流量計の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、被測定流体が流れる流路部と、前記流路部の上流と下流に設けられた開口部と、前記開口部から前記流路部内に向けて超音波を発射するように配置される一対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器を保持すると共に前記流路に固定される超音波送受波器固定部と、前記一対の超音波送受波器間の超音波伝播時間を計測する計時手段と、前記計時手段により得られた超音波伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を演算する演算手段とを備え、前記超音波送受波器固定部と前記流路部とを別部品で構成し、前記超音波送受波器固定部と前記流路部とを複数の接合部で一体化する構成としたことにより、流路を伝播する超音波振動を低減することが出来、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0012】
第2の発明は、特に第1の発明において、超音波送受波器固定部と流路部との接する面にシール手段を配置した構成としたことにより、シール手段を介して、超音波振動が伝えられるだけでなく、シール手段自体で流路に伝えられる超音波振動を低減することが出来、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0013】
第3の発明は、特に第1の発明において、超音波送受波器固定部と流路部との接する面の少なくとも一方の面に、複数の凸部を備える構成としたことにより、超音波送受波器固定部と流路部の一方あるいは両方に、凸部を形成することによって、流路を伝播する超音波振動が反射することで減衰し、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0014】
第4の発明は、特に第1の発明において、連続するように形成した凸部間にシール手段を配置する構成としたことにより、流路を伝播する超音波振動が反射することによって減衰し、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0015】
第5の発明は、特に第1の発明において、超音波送受波器固定部と流路部との接合面の開口部近傍において空間を設け、前記超音波送受波器固定部と流路部とは、前記開口部より離れた端部で固定及びシールを行う構成としたことにより、流路を伝播する超音波振動が端部を迂回して伝播するため、効率よく減衰し、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0016】
第6の発明は、特に第1から5のいずれか1つの発明において、一対の超音波送受波器を流路部の同一面に配置し、一つの超音波送受波器固定部で前記一対の超音波送受波器を保持する構成としたことにより、部品点数を削減できるだけでなく、超音波送受波器を固定するだけで、被測定流体を伝播する超音波の伝播経路が確保され、その結果、安価でありかつ高精度な流量計測することが出来る。
【0017】
第7の発明は、特に第1から6のいずれか1つの発明において、超音波送受波器固定部は樹脂成型体とし、前記樹脂成型体内部に複数の独立した空隙を備える構成としたことにより、超音波送受波器固定部内に存在する独立気泡によって、超音波送受波器固定部に伝播する超音波が乱反射し、結果的に、超音波振動が減衰し、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0018】
第8の発明は、特に第1から7のいずれか1つの発明において、超音波送受波器固定部と流路部とは、熱可塑性樹脂成型体で構成し、前記超音波送受波器固定部と流路部との接合部は、複数の接合部を溶着法によって固定する構成としたことにより、超音波送受波器固定部と流路部とをより安価に、より簡便に製造することが出来る。
【0019】
第9の発明は、特に第1から8のいずれか1つの発明において、超音波送受波器は、有底筒状のケースと、前記ケースに収容される圧電体と、前記圧電体に導電ゴムを介して接続された端子と、前記ケースの開口を閉鎖するとともに前記端子を外部に突出させた状態で支持する端子板とを有し、前記ケースの音波放射面に被測定流体に直接接触する音響整合体が取り付けられている構成とすることにより、圧電体に形成された電極の酸化反応、硫化反応が抑えられるだけでなく、圧電体と前記ケースの接合状態が長期にわたって安定化することが出来るため、信頼性の高い流速流量の計測が可能となる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1(b)は、本発明の第1の実施の形態における超音波流速流量計の流れ方向の断面図を示しており、図1(a)は、図1(b)において、図中に記載したAA’の線分における矢視断面図を示している。
【0022】
図1(a)において、超音波送受波器固定部1、2と、流体を一方の開口端3から他方の開口端4へ通す流路部5とは複数の接合部6で固定されている。超音波送受波器固定部1、2にはそれぞれ、超音波送受波器7,8が固定されている。また、流路部5には、開口部5a、5bが設けてあり、超音波送受波器7から発射された超音波は、開口部5aから流路部5内に放出され、流路部5内の被計測流体を伝わり、開口部5bを通過して他方の超音波送受波器8で受信される様に構成されている。超音波送受波器7、8は、超音波送受波器固定部1、2に固定され、超音波送受波器との間に、超音波送受波器シール手段9を配置し、超音波送受波器シール手段9を圧縮するよう、超音波送受波器背面より固定板10によって固定する構成となっている。
【0023】
流路部5および超音波送受波器固定部1、2は、例えば、熱可塑性樹脂の樹脂成型体で
構成するのが好ましい。流路部5および超音波送受波器固定部1、2はともに、被計測流体である都市ガス、あるいはLPガス、空気、メタンなどの気体に直接接触するため、これらのガスに対して耐性のある樹脂である必要がある。そのため、たとえば、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、液晶高分子などがより好ましい。これらの樹脂のほかに、計測ガスに耐性のある材料であれば特に限定されない。
【0024】
これらの成型樹脂に、音響インピーダンスの異なる材料を添加することによって、成型体内部に伝播する音を乱反射させ、より効果的に超音波伝播をより早く減衰させることが出来る。この音響インピーダンスの異なる材料としてたとえば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、シラスバルーンなどの内部に空隙を持った材料が特に好適である。あるいは、樹脂に対して音響インピーダンスの大きいガラス粉、ガラス繊維、鉄粉、酸化チタン、などを加えても効果がある。
【0025】
また、これら成型体に空隙を直接形成する方法も効果がある。その空隙の形成方法は、流路部5および超音波送受波器固定部1、2の成型時に、あらかじめ発泡剤含んだ成型樹脂を成型することによって、成型時の熱によって発泡剤が熱分解してガスが発生し、そのガスによって発砲させる方法、あるいは、二酸化炭素、窒素などの気体を超臨界状態で溶融させて成型する成型方法によっても可能である。
【0026】
発泡剤としては、たとえば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウムなどがあげられる。
【0027】
流路部5と超音波送受波器固定部1、2との接合は、複数の接合部6で接合される構成となっている。例えば、流路部5と超音波送受波器固定部1、2の材質を前記のような熱可塑性樹脂とした場合は、溶着プロセスによって容易に接合することが出来る。溶着プロセスは、所定の形状の加熱ヘッドを用意し、一定時間樹脂を過熱、溶融することによって接合部6を一時的に溶融させ、冷却後、固化することで実現できる。
【0028】
また、この接合部の溶着方法として、超音波による溶着方法も挙げられる。いずれの方法によっても、良好に流路部および超音波送受波器固定部を接合することが出来る。
【0029】
以上のように構成された超音波流速流量計について、以下その動作、作用を説明する。
【0030】
流体の流れる流量計測部12に,超音波送受波器7、8を、流体が流れる方向に対し一対斜めに、かつ対向するように配置し、超音波送受波器7、8は被計測流体に直接接する構成となっている。
【0031】
L1は、上流側に配置された超音波送受波器7から伝搬する超音波の伝搬経路を示しており、L2は下流側に配置された超音波送受波器8の超音波の伝搬経路を示している。
【0032】
管の中を流れる流体の流速をV、流体中を超音波が伝播する速度をC、流体の流れる方向と超音波パルスの伝搬方向の角度をθとする。
超音波送受波器7を超音波送波器、超音波送受波器8を超音波受波器として用いたときに、超音波送受波器7から出た超音波パルスが超音波送受波器8に到達する伝搬時間t1は、
t1 = L /(C+Vcosθ) ・・・(1)
で示される。
【0033】
次に超音波送受波器8から出た超音波パルスが超音波送受波器7に到達する伝搬時間t2は、
t2 = L /(C−Vcosθ) ・・・(2)
で示される。
【0034】
そして、(1)と(2)の式から流体の音速Cを消去すると、
V = L /2cosθ(1/t1−1/t2) ・・・(3)
の式が得られる。
【0035】
従って、Lとθが既知なら、計時手段13にてt1とt2を測定すれば流速Vが求められる。必要に応じて、この流速Vに流路部5の断面積Sと補正係数Kを乗じれば、流量Qを求めることができる。演算手段14は、上記Q=KSVを演算するものである。
【0036】
ここで、流量計測時に超音波送受波器7から出た超音波パルスが超音波送受波器8に到達したときには、被計測流体を通って伝播する流体を通って伝播する振動と、超音波送受波器固定部1、2を通って、流路部5に伝播し、超音波送受波器固定部2を伝播する振動(以下、筐体伝播振動という)とが観測される。
【0037】
本実施の形態では、流路部と超音波送受波器固定部1、2とは、熱可塑性樹脂の成型体で行うため、成型時の変形などによって認められる隙間などがあるため、本実施の形態のように、流路部と超音波送受波器固定部1、2とを分離し、かつ複数の接合部で一体化する構成とすることで、超音波送受波器固定部1、2から流路部へ伝播する計測のノイズとなる筐体伝播振動が効果的記に減衰され、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、超音波送受波器固定部流路および流路部を樹脂成型体とし、加えて、樹脂内部に音響インピーダンスの異なる部材を加えることによって、超音波送受波器固定部流路および流路部で、計測のノイズとなる筐体伝播振動が効果的に減衰するため、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0039】
(実施の形態2)
図2(b)は、本発明の第2の実施の形態における超音波流速流量計の流れ方向の断面図を示しており、図2(a)は、図2(b)において、図中に記載したAA’の線分における矢視断面図を示している。
【0040】
図2(a)において、超音波送受波器固定部1、2と、流体を一方の開口端3から他方の開口端4へ流れる流路部5とは、シール手段20を介して、複数の接合部6で固定されている。超音波送受波器固定部1、2にはそれぞれ、超音波送受波器7,8が固定されている。前記超音波送受波器7、8は、超音波送受波器固定部1、2に固定され、超音波送受波器との間に、超音波送受波器シール手段9を配置し、超音波送受波器シール手段9を圧縮するよう、超音波送受波器7、8背面より固定板10によって固定する構成となっている。
【0041】
シール手段20としては、たとえば、二トリルゴム、シリコンゴムなど、ゴム弾性を示す材料であれば特に限定されない。また、ペースト状のエラストマー材料、発砲弾性体材料を塗布形成することでも、シール手段を形成することが出来る。本実施の形態においては、図2に示すように、シート状のシール手段を用いているが、図3に示すように、Oリングのような形状のシール手段21でも実施可能である。
【0042】
なお、その動作、作用に関しては、実施の形態1と同様のため省略する。
【0043】
また、本実施の形態では、流路部5と超音波送受波器固定部1、2とは、熱可塑性樹脂の成型体で行い、かつ、シール手段を当接するように配置する構成とするため、超音波送受波器固定部1、2から流路部5へ伝播する計測のノイズとなる筐体伝播が効果的記に減衰され、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0044】
(実施の形態3)
図4(b)は、本発明の第3の実施の形態における超音波流速流量計の流れ方向の断面図を示しており、図4(a)は、図4(b)において、図中に記載したAA’の線分における矢視断面図を示している。
【0045】
図4(a)において、超音波送受波器固定部1、2と、流体を一方の開口端3から他方の開口端4へ流れる流路部5とは、シール手段22を当接するように圧縮して固定し、複数の接合部6で固定されている。超音波送受波器7、8は、超音波送受波器固定部1、2に固定され、超音波送受波器7、8との間に、超音波送受波器シール手段9を配置し、超音波送受波器シール手段9を圧縮するよう、超音波送受波器7、8の背面より固定板10によって固定する構成となっている。
【0046】
シール手段22としては、たとえば、二トリルゴム、シリコンゴムなど、ゴム弾性を示す材料であれば特に限定されない。本実施の形態においては、Oリング形状とし、圧縮するようにして固定する。
【0047】
なお、その動作、作用に関しては、実施の形態1と同様のため省略する。
【0048】
また、本実施の形態では、流路部5と超音波送受波器固定部1、2とは、熱可塑性樹脂の成型体で行い、かつ、シール手段を当接するように配置し、超音波送受波器固定部1、2は、一対の超音波送受波器7、8を同一の固体に備える構成とするため、部品点数が削減でき、低コスト駆ることが出来る。また、超音波の伝播経路は、ひとつの部品で構成した場合に、ずれが生じることないため、安定して流量計測することができる。
【0049】
(実施の形態4)
図5(b)は、本発明の第4の実施の形態における超音波流速流量計の流れ方向の断面図を示しており、図5(a)は、図5(b)において、図中に記載したAA’の線分における矢視断面図を示している。
【0050】
図5(a)において、凸部25を備えた超音波送受波器固定部1、2と、流体を一方の開口端3から他方の開口端4へ流れる流路部5とは、複数の凸部25で当接し、複数の接合部6で固定されている。
【0051】
超音波送受波器固定部1にはそれぞれ、超音波送受波器7,8が固定されている。前記超音波送受波器7、8は、超音波送受波器固定部1、2に固定され、超音波送受波器7、8との間に、超音波送受波器シール手段9を配置し、超音波送受波器シール手段9を圧縮するよう、超音波送受波器7、8の背面より固定板10によって固定する構成となっている。
【0052】
なお、複数の凸部25は、超音波送受波器固定部1,2に形成されているが、流路部5に形成してもよい。
【0053】
本実施の形態では、流路部5と超音波送受波器固定部1、2とは、熱可塑性樹脂の成型体で行い、かつ、複数の凸部25で当接し、複数の接合部6で固定されている構成とする
ため、超音波送受波器固定部1、2から流路部5へ伝播する計測のノイズとなる筐体伝播が効果的記に減衰され、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0054】
また、図6に示すように、前記複数の凸部25にシール手段23を配置することによって、より効果的に筐体伝播を低減する効果がえられる。
【0055】
なお、その動作、作用に関しては、実施の形態1と同様のため省略する。
【0056】
(実施の形態5)
図7(b)は、本発明の第5の実施の形態における超音波流速流量計の流れ方向の断面図を示しており、図7(a)は、図7(b)において、図中に記載したAA’の線分における矢視断面図を示している。
【0057】
図7に示す様に、超音波送受波器固定部1、2の流路部5と接合する面は、空間30を形成するような形状としており超音波送受波器固定部1、2と流路部5との接合面では、開口部5a、5bの近傍に空間が設けられている。そして、超音波送受波器より離れた端部31で、複数の接合部6によって固定されている。
【0058】
超音波送受波器固定部1、2にはそれぞれ、超音波送受波器7,8が固定されている。超音波送受波器7、8は、超音波送受波器固定部1に固定され、超音波送受波器との間に、超音波送受波器シール手段9を配置し、超音波送受波器シール手段9を圧縮するよう、超音波送受波器背面より固定板10によって固定する構成となっている。この複数の凸部は、超音波送受波器固定部1、2に形成されているが、流路部5に形成してもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、流路部5と超音波送受波器固定部1、2とは、熱可塑性樹脂の成型体で行い、かつ、超音波送受波器固定部1、2と流路部5の接合面に、空間を設け、超音波送受波器7、8よりはなれた端部31で、複数の接合部6によって固定されている構成とするため、超音波送受波器固定部1、2から流路部へ伝播する計測のノイズとなる筐体伝播が効果的に減衰され、その結果、被測定流体を安定して流量計測することができる。
【0060】
なお、その動作、作用に関しては、実施の形態1と同様のため省略する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明にかかる音響整合体、超音波送受波器またはそれを用いた超音波流速流量計は、安定した流量計測が可能となるため、家庭用流量計、産業用流量計等の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0062】
1、2 超音波送受波器固定部
5 流路部
5a、5b 開口部
6 接合部
8 超音波送受波器
13 計時手段
14 演算手段
20、22、23 シール手段
25 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体が流れる流路部と、前記流路部の上流と下流に設けられた開口部と、前記開口部から前記流路部内に向けて超音波を発射するように配置される一対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器を保持すると共に前記流路に固定される超音波送受波器固定部と、前記一対の超音波送受波器間の超音波伝播時間を計測する計時手段と、前記計時手段により得られた超音波伝播時間に基づいて前記被測定流体の流量を演算する演算手段とを備え、前記超音波送受波器固定部と前記流路部とを別部品で構成し、前記超音波送受波器固定部と前記流路部とを複数の接合部で一体化する構成とした超音波流速流量計。
【請求項2】
超音波送受波器固定部と流路部との接する面にシール手段を配置した構成とした請求項1記載の超音波流速流量計。
【請求項3】
超音波送受波器固定部と流路部との接する面の少なくとも一方の面に、複数の凸部を備える構成とした請求項1記載の超音波流速流量計。
【請求項4】
連続するように形成した凸部間にシール手段を配置する構成とした請求項3に記載の超音波流速流量計。
【請求項5】
超音波送受波器固定部と流路部との接合面の開口部近傍において空間を設け、前記超音波送受波器固定部と流路部とは、前記開口部より離れた端部で固定及びシールを行う構成とした請求項1記載の超音波流速流量計。
【請求項6】
一対の超音波送受波器を流路部の同一面に配置し、一つの超音波送受波器固定部で前記一対の超音波送受波器を保持する構成とした請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波流速流量計。
【請求項7】
超音波送受波器固定部は樹脂成型体とし、前記樹脂成型体内部に複数の独立した空隙を備える構成とした請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波流速流量計。
【請求項8】
超音波送受波器固定部と流路部とは、熱可塑性樹脂成型体で構成し、前記超音波送受波器固定部と流路部との接合部は、複数の接合部を溶着法によって固定する構成とした請求項1から7のいずれか1項に記載の超音波流速流量計。
【請求項9】
超音波送受波器は、有底筒状のケースと、前記ケースに収容される圧電体と、前記圧電体に導電ゴムを介して接続された端子と、前記ケースの開口を閉鎖するとともに前記端子を外部に突出させた状態で支持する端子板とを有し、前記ケースの音波放射面に被測定流体に直接接触する音響整合体が取り付けられている構成とすることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の超音波流速流量計。

【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−226910(P2011−226910A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96804(P2010−96804)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】