説明

超音波流量計

【課題】超音波センサーを測定管へ取付ける組立作業において、その作業効率を高めた超音波流量計を提供する。
【解決手段】流体が流れる流路9を有する測定管2を有し、該流路9の上流側と下流側に位置し、かつ、該測定管の軸に対して傾斜する線上に配置される少なくとも1対の超音波センサー5,5を配設し、該超音波センサー5,5間で、超音波の送受を行って流体の流量を計測する超音波流量計1であって、前記超音波センサー5をセンサーケース3内に固設し、該センサーケース3を、前記測定管2に対し、この測定管2の軸方向と直交した方向から固設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気体が流れる測定管の上流側と下流側とに取付けられ、かつ、測定管の軸心に対して斜めに傾斜する方向に設けられた1対の超音波センサー間で、超音波の送受を行い、気体の流量を計測する超音波流量計として、図18に示すような超音波流量計101が知られている。
【0003】
前記超音波流量計101は、図18に示すように、内部に被計測流体であるガス等の気体が流通する流路102aを形成した測定管102を有し、該測定管102には、その軸心に対して傾斜して外側方向に突出し、かつ、相互に対向するソケット部103,103が一体に形成されている。前記1対のソケット部103と103は、その軸が、同一直線上に位置するようにして配置され、該両ソケット部103,103には、超音波センサー104が固設されている。該超音波センサー104は、その側面が円筒状に形成され、該超音波センサー104の周面を、円筒状のソケット部103に直接嵌合して固設するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の超音波流量計101は、ソケット部103が、測定管102の軸から外側方向に傾斜して一体に固着して突出しているため、その突出したソケット部103内に超音波センサー104を取り付ける作業を行う際の作業スペースを、測定管102の軸方向に、広く取る必要があるという問題がある。
【0005】
また、測定管102とソケット部103とが一体に形成されているため、そのソケット部103に超音波センサー104を、直接取り付ける必要があり、作業効率が悪いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題を解決できる超音波流量計を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、流体が流れる流路を有する測定管を有し、該流路の上流側と下流側に位置し、かつ、該測定管の軸に対して傾斜する線上に配置される少なくとも1対の超音波センサーを配設し、該超音波センサー間で、超音波の送受を行って流体の流量を計測する超音波流量計であって、
前記超音波センサーをセンサーケース内に固設し、
該センサーケースを、前記測定管に対し、この測定管の軸方向と直交した方向から固設したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記測定管に、該測定管の軸方向と直交する軸を中心軸とする取付穴を有する取付部をを設け、前記センサーケースに筒部を形成し、
前記測定管における取付部の取付穴に、前記センサーケースの筒部を嵌合することにより、前記センサーケースを、測定管の軸方向と直交した方向から測定管に固設したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記超音波センサーとセンサーケースとの間に隙間を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2又は3記載の発明において、前記超音波センサーとセンサーケースとの間に弾性材を配設したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の発明において、前記センサーケース内と前記測定管内とを連通する通路を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、予め、超音波センサーをセンサーケース内に固設して、これを、測定管とは別体にユニット化することにより、このユニット化する組立工程を、測定管への組み付けとは別工程とすることができ、超音波流量計の本組立工程の作業効率を上げることができる。
【0013】
また、超音波センサーをセンサーケース内に固設する細かな作業は、超音波流量計の本組立場所とは、別の小さな作業スペースで行うことができる。
【0014】
また、ユニット化したセンサーケースを、測定管の軸方向と直交した方向から固設するようにしたことで、前記従来の超音波流量計のように、測定管の軸に対して斜め上方から作業を行う必要がなく、前記従来の超音波流量計と比較して、狭い作業スペースで組立作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例における超音波流量計の斜視図。
【図2】図1の正面図。
【図3】図1の側面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】図3のA−A線に平行し、かつ、図1の実施例に用いる端子の軸心を通る断面線で切断した部分拡大断面図。
【図6】本発明の実施例に用いる測定管の斜視図。
【図7】図6の平面図。
【図8】図6において、図4に相当する部分の断面図。
【図9】本発明の実施例に用いるセンサーブラケットに超音波センサーを取付けた状態の斜視図。
【図10】図9の側面図。
【図11】図10の下側から見た底面図。
【図12】図10の右側から見た正面図。
【図13】図10の左側から見た背面図。
【図14】図11のB−B線断面図。
【図15】本発明の実施例に用いるセンサーケースの斜視図。
【図16】図15おいて、図4に相当する部分の断面図。
【図17】図15の下側から見た斜視図。
【図18】従来の超音波流量計を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態を図1乃至図17に示す実施例に基づいて説明する。
本発明の実施例の超音波流量計1は、測定管2と、センサーケース3と、センサーブラケット4と、超音波センサー5と、流量演算表示部6とを有する。
【0017】
前記測定管2は、ステンレス等の金属で成形され、その内部に、気体等の流体が流通し、かつ、両端が開口し、両開口部間を連通する流路9が形成されている。
【0018】
該流路9の上流側と下流側とには、図4に示すように、一対の超音波センサー5,5が、その軸Yを、流路9の軸心方向(X−X)に対し、傾斜する直線上に位置させて設けられている。すなわち、一対の超音波センサー5,5間で、流路2の軸X−Xに対し斜めに横切る方向で超音波の送受を行うことができるようになっている。そして、上流側から下流側への超音波センサー5,5間での超音波の伝播時間と、下流側から上流側への超音波センサー5,5間での超音波の伝播時間に基づいて、流路9内を通過する流体の流量を計測することができるようになっている。
【0019】
前記流量演算表示部6は、受信側の超音波センサー5からの受信信号に基づいて流量が演算され、かつ、表示できるようになっている。
【0020】
前記測定管2の流路9は、図3,4に示すように、円筒状に形成され、その内径は、軸心X−X方向の全長にわたって略同径に形成されている。前記測定管2の両端部には、該測定管2から径方向の外側に突出するフランジ10,10が設けられている。
【0021】
この夫々のフランジ10,10には、流路9の軸心X−Xを中心とする周方向に、適宜間隔を有して貫通穴10aが複数個形成されている。前記夫々のフランジ10,10の軸方向X−Xの外側に、流体を流通させる送給パイプ(図示しない)を連接し、フランジ10の貫通穴と、送給パイプに設けた貫通穴とにボルトを挿通し、該ボルトとナットを螺合することにより測定管2と送給パイプとを接続できるようになっている。接続する送給パイプにより、流路9の軸方向X−Xが、垂直方向や水平方向等の任意の方向に位置するように配置することができる。また、フランジ10の貫通穴と、送給パイプの貫通穴との相互の接続位置を変えることにより、送給パイプに対する超音波流量計1の周方向での取付角度を変えることができるようになっている。
【0022】
図2〜4に示すように、流路9の軸方向X−Xが水平方向で、かつ、流量演算表示部6の表示台6aの軸方向が鉛直方向(流量演算表示部6が上方)に位置するように配置した場合に、図3において、水平方向に対する超音波センサー5,5の軸を結ぶ線の角度θが、22.5度となるようになっている。
【0023】
前記測定管2の周壁には、図6,7に示すように、前記流量演算表示部6の表示台6aを取付けるための取付穴11が形成されている。
【0024】
前記測定管2の周壁には、図6〜8に示すように、前記超音波センサー5を有するセンサーケース3を取付けるための取付部12,12が、図8の左部と右部に、すなわち、測定管2の軸方向X−Xにおける上流側寄りと下流側寄り位置して、夫々1個、計2個設けられ、かつ、測定管2の周方向に180度離れた位置に設けられている。すなわち、夫々の取付部12に、超音波センサー5を取付けた際に、一方の超音波センサー5が流路9の上流側に位置し、他方の超音波センサー5が流路9の下流側に位置し、両超音波センサー5,5間でお互いに送受波できる位置に、超音波センサー5,5を取付けることができるように、取付部12,12が設けられている。
【0025】
前記取付部12には、図6〜8に示すように、測定管2の内外に貫通する円筒状の取付穴12aが、この取付穴12aの軸Z−Zと測定管2のX−X、すなわち、流路9の軸X−Xとが直交するようにして形成されている。該取付穴12aの軸方向における内側部(測定管2の内周面側)で、かつ、測定管2の軸方向X−Xにおける内側部の壁は、取付穴12aの軸方向Z−Zにおける外側から内側方向に向かって拡径する傾斜面12bに形成されている。また、前記取付部12の外面は、取付穴12aの軸Z−Zに対して直交し、すなわち、測定管2の軸心X−Xと直交する軸Z−Zに対し直交し、かつ、円形の取付面12cに形成されている。該取付面12cには、図6,7に示すように、取付穴12の軸を中心とする周方向に、適宜間隔で雌ネジ12dが4個刻設されている。
【0026】
取付面12cにおける測定管2の軸方向X−Xの中央部側には、外周面が取付部12の軸心Z−Zを中心とする円弧状で、内側面が平面状の位置決め手段13が、取付面12cから測定管2の径方向の外側に突出して設けられている。
【0027】
次に、前記センサーケース3について詳述する。
前記センサーケース3は、ステンレス等の金属で成形され、図15〜図17に示すように、取付部15と、筒部16と、接続部17と、収納部18と、首部19が一体に構成されている。
【0028】
前記筒部16は、図16,17に示すように、横断面の外形が円形の筒状に形成され、その外径R1は、前記取付部12の取付穴12aの内径R2と同じか若干小さく設定されている。該筒部16の基部には、その周方向全体に亘って、Oリング55を嵌合するための溝部16aが形成され、図16における下端面(測定管2の軸心側の面)は、図4,16に示すように、測定管2の軸方向X−Xにおける内側から外側に向かうほど、測定管2の軸心側に向って傾斜する傾斜面16bに形成されている。傾斜面16bの周縁部には、センサーブラケット4を取け付るための取付穴16cが、図17に示すように、2個設けられ、該取付穴16c内には雌ネジが刻設されている。
【0029】
前記筒部16の基部には、筒部16の軸C−Cと直交し、かつ、該筒部16から外側方向に突出する鍔状の前記取付部15が一体に形成されている。該取付部15は、図15に示すように、その外面形状が略円形の平板状に形成され、取付部15の外径と、前記取付部12の取付面12cの外径は、略同一に設定され、前記取付部12の位置決め手段13に相当する部分には、その部分を切欠いた切欠部15aが形成されている。そして、前記取付部12にセンサーケース3を取付ける際に、前記切欠部15aを、位置決め手段13の内側面に当接させることにより、取付部12に対するセンサーケース3の取付位置の位置決めをすることができるようになっている。取付部15の筒部16側には、筒部16の軸C−Cと直交する平面状の取付面15cが形成されている。
【0030】
取付部15には、前記取付面12cの雌ネジ12dに対応する位置に、4個の貫通穴15bが形成されている。
【0031】
取付部15における測定管2の軸心から径方向の外側部(図16における上部)には、図15,16に示すように、首部19が設けられ、該首部19の測定管2の軸心から径方向の外側部(図16における上部)には、前記測定管2の軸心X−Xと並行する方向に突出する接続部17が設けられている。該接続部17には、図1に示す配管20の継手21を挿入するための開口部17aが形成され、該開口部17aと連通する空間(通路)22が形成されている。該空間22の内壁には、前記継手21に設けた雄ネジと螺合する雌ネジ17bが、開口部17aの開口端から内側方向に所定の長さで刻設されている。
【0032】
前記接続部17の図16の上部には、前記空間22と外部とを連通する穴17cが形成され、空間22の内側における前記穴17cと対向する壁22aには、後述する気密端子35を取付けるための取付穴23が2個形成されている。該取付穴23により、前記空間22と収納部18内が連通している。
【0033】
前記筒部16と取付部15と首部19の内部には、センサーブラケット4を収納できる収納部18が形成され、該収納部18は、前記筒部16の傾斜面16b側に開口部18aを有し、傾斜面16bと反対側の奥部に前記壁22aを有する有底状に形成されている。該収納部18は、図16に示すように、その軸心F−Fが筒部16の軸C−Cに対して傾斜し、収納部18の開口部18aが、測定管2の軸方向における内側方向に向くように形成されている。
【0034】
前記収納部18は、測定管2の径方向の内側方向に位置する円筒状の大径部18bと、該大径部18bの内径より小さい内径で、測定管2の径方向の外側方向に位置する円筒状の小径部18cを有する。
【0035】
前記筒部16の周壁には、その外部と小径部18c内とを連通する通路26が形成されているとともに、該通路26の外部側の開口部26aは、図3,4に示すように、センサーケース3を測定管2に取付けた際に、流路9内に開口するように形成されている。すなわち、通路26により、センサーケース3の収納部18(センサーブラケット4)内と、測定管2の流路9内とが連通している。
【0036】
次に、前記センサーブラケット4と超音波センサー5等について図9乃至図14により詳述する。
前記センサーブラケット4は、樹脂で一体に成形されている。該センサーブラケット4は、その軸E−Eを中心とする円周の一部で形成する板状の一対の側壁30,30を有し、周方向における両側壁30,30間には無壁の開口部30aを有する。該側壁30,30における軸方向E−Eの一方の端部には、円形状の底板31が固設されている。該底板31の内側面には、内側方向に突出する突出部31a,31aが2個設けられ、夫々の突出部31aの軸心部には、その軸方向に貫通する穴31bが形成され、該穴31bは底板31の外側部に開口している。底板31における穴31bの外側部には、突出部31aに設けた穴の内径よりも大きな内径を有する大径穴31cが形成されている。
【0037】
夫々の穴31b,31cには、図14に示すように、2本の金属製の端子32,32が挿通され、該端子32の両端部は、穴31b,31cから内外方向に突出している。穴31cから外側方向に突出している端子32の外周部には絶縁ゴム33が固設されている。該絶縁ゴム33は、その一端が大径穴31cに嵌合し、該大径穴31cから外側方向に向かって徐々に縮径する裁頭円錐状に形成されている。前記絶縁ゴム33から外側方向に、前記端子32が突出している。前記底板31の外面の前記端子32,32の周縁部には、図13に示すように、絶縁ゴム34が配設されている。前記端子32と絶縁ゴム33により気密端子35を構成している。
【0038】
両側壁30,30の他方の端部には、その両側壁30と30間に亘って、センサーブラケットの軸を中心とする円弧状の補強部材36が設けられている。該補強部材36は、両側壁30,30の周方向の一方のみに1個設けられ、該補強部材36と対向する側の両側壁30,30間は開口している。
【0039】
前記両側壁30,30及び補強部材36には、その側壁30及び補強部材36から、前記底板31とは逆(超音波センサー5)方向に向かって突出する3本の腕部38,38,38が、センサーブラケットの軸E−Eを中心とする周方向に適宜間隔(実施例においては略等間隔)を有して固設されている。したがって、周方向における腕部38,38間には空隙を有する。前記腕部38,38,38の先部(側壁30と逆側部)には、鍔状の取付部39が、腕部38から(センサーブラケットの軸E−Eから)外側方向に突出するように設けられている。そして、取付部39の中心部の穴39aと前記3本の腕部38の内側の空間により、センサー収納部50が形成されている。
【0040】
前記腕部38は、図10,11,14に示すように、その基端が、センサーブラケットの軸から外側方向に拡径する拡径部38aと、該拡径部38aから前記取付部39に向かって、センサーブラケットの軸E−Eと略平行に形成された支持部38bとで構成されている。支持部38bの基端側の内側には、溝40が形成されている。
【0041】
前記取付部39には、図9,図12に示すように、取付用の貫通穴39bが2個設けられている。
【0042】
前記3本の腕部38の内側におけるセンサー収納部50には、前記超音波センサー5が嵌合配設されている。該超音波センサー5は、図14に示すように、その一端に超音波を送受信するための送受波面41を有し、該送受波面41が取付部39の穴39aに位置するように設けられている。また、前記超音波センサー5の送受波面41の外周面と、取付部39の穴39aの内周面との間には隙間45が形成されている。すなわち、超音波センサー5とセンサーケース3との間に隙間45が形成されている。
【0043】
前記超音波センサー5には、その側周部の側面全体に亘って、筒状のゴム等の弾性材42が、超音波センサー5と係止して配設されている。該弾性材42は、筒状に形成されて前記送受波面41及び裏面5aには設けられていない。すなわち、超音波センサー5の外周面と腕部38との間に、前記弾性材42が配設され、超音波センサー5が、センサーブラケット4と直接接触することなく、弾性材42を介して接触している。
【0044】
該弾性材42の基部には、図14に示すように、超音波センサー5の軸心から外側方向に突出する突出部42aが全周に亘って一体に形成されており、該突出部42aは、前記腕部38の溝40内に係合するようになっている。突出部42aを溝40内に係合することにより、超音波センサー5及び弾性材42を、腕部38に係止保持できるようになっている。
【0045】
超音波センサー5の裏面5aから、図10,14に示すように、超音波センサー5に接続されたリード線46が突出しており、該リード線46の先端が、前記端子32に接続され、該端子32と流量演算表示部6は、図5に示すように、配管20内に配設された接続線47で接続されている。配管20の両端には、雄ネジを有する継手21が固設されている。
【0046】
次に、超音波流量計1の組立方法について説明する。
先ず、超音波センサー5の側周部に、弾性材42を嵌合して取付ける。
【0047】
次に、センサーブラケット4の取付部39の穴39aから、前記弾性材42とともに超音波センサー5を、センサー挿入部50内へ挿入し、弾性材42の突出部42aを、センサーブラケット4の腕部38の溝40に係合させて、図14に示すように、超音波センサー5をセンサーブラケット4に取付け、超音波センサー5を、3本の腕部38の内側に係止させる。
【0048】
次に、超音波センサー5のリード線46を、図14に示すように、端子32に半田付けして電気的に導通する。
【0049】
次に、測定管2に取付けられていない状態のセンサーケース3に対し、前記センサーブラケット4を、端子32側からセンサーケース3の開口部18aを通じて収納部18内に収納するとともに、気密端子35の絶縁ゴム33を、収納部18の取付穴23内に嵌合し、端子32を取付穴23から収納部18と反対側方向に突出させる。
【0050】
次に、センサーブラケット4の取付部39の穴39bと、センサーケース3の取付穴16cにボルトを挿通し、取付穴16c内の雌ネジに螺合して、センサーケース3にセンサーブラケット4を固設する。すなわち、センサーケース3に対し、超音波センサー5を固設する。
【0051】
次に、溝部16aにOリング55を嵌合する。
次に、測定管2の外側より、センサーケース3の筒部16を、測定管2の軸心X−Xと直交する方向から、測定管2の取付部12の取付穴12aに嵌合し、センサーケース3の取付部15の切欠部15aの外面を、位置決め手段13の内面に当接させるとともに、取付部15の取付面15cを取付部12の取付面12cに当接させる。
【0052】
次に、センサーケース3の取付部15の貫通穴15bにボルト51を挿通し、該ボルト51を測定管2の取付面12cの雌ネジ12dに螺合して、測定管2に対し、流路9の軸方向と直交した方向に1組のセンサーケース3,3を固定する。
【0053】
次に、流量演算表示部6の表示台6aを、測定管2の取付穴11に取付ける。
次に、配管20の継手21を、接続部17の開口部17aから挿入し、継手21のネジと、雌ネジ17bとを螺合して、配管20を接続部17に接続するとともに、穴17cを作業用穴として、接続線47の一端を、端子32に半田付けし、穴17cに蓋52を嵌合する。配管20の他端は、図1に示すように、流量演算表示部6に接続され、配管20内の接続線47の他端も流量演算表示部6に接続されている。これにより、超音波センサー5と流量演算表示部6とが、電気的に接続され、超音波流量計1となる。
【0054】
前記実施例の超音波流量計1は、前記のような構造を有することにより次のような作用、効果を奏する。
【0055】
センサーケース3を測定管2に取付ける前に、予め、超音波センサー5を、センサーブラケット4に取付けるとともに、該センサーブラケット4を、センサーケース3に取付けて、これらを、測定管2とは別体のユニット化し、このユニット化したものを、測定管2に取付けるため、ユニット化する工程と、このユニット化したものを測定管2の取付ける組立工程とを、別工程とすることができる。これにより、超音波流量計1の組立作業は、前記従来の超音波流量計101の組立作業と比較して、作業効率を上げることができる。
【0056】
また、前記ユニット化したものを、測定管2の軸方向X−Xと直交する向から測定管2に固設するようにしたので、前記従来の超音波流量計101のように、測定管の軸に対して斜めから作業を行う必要がなく、前記従来の超音波流量計101の組立作業に必要な作業スペースと比較して、狭い作業スペースで組立作業を行うことができる。
【0057】
また、超音波センサー5を、センサーブラケット4に取付け、更に、センサーブラケット4を、センサーケース3内に固設する細かな作業は、ユニット化したものを測定管2の取付ける組立工程とは別の小さな作業スペースで行うことができ、超音波流量計1の組立に必要な作業スペースは、前記従来の超音波流量計101の組立作業に必要な作業スペースと比較して狭くすることができる。
【0058】
前記従来の超音波流量計101は、超音波センサー104の側面が円筒状に形成され、円筒状のソケット部103に対して、直接嵌合して設けられ、超音波センサー104の側面とソケット部103との間は密接している。このため、超音波センサー104とソケット部103との接触面積が大きく、一方の超音波センサー104から発生した振動等が、ソケット部103及び測定管102を伝播して、他方の超音波センサー104に伝わりノイズが発生する虞があるいう問題がある。
【0059】
また、ソケット部103内における超音波センサー104の周囲に、流路9内を流通する気体に含まれるドレインや油等が溜る虞があり、この超音波センサー104から発生した振動等が、溜ったドレインや油等を伝って、他方の超音波センサー104に伝わりノイズが発生する虞があるという問題がある。
【0060】
これに対し、本発明の超音波流量計1は、超音波センサー5とセンサーブラケット4やセンサーケース3との間に隙間45等が形成されるとともに、超音波センサー5の側周面全体とセンサーブラケット4との間には弾性材42を配設し、この弾性材42を、相互が離間した3本の腕部38,38,38で保持して、超音波センサー5の周囲の弾性材42に対するセンサーブラケット4の接触面積を減らすことにより、一方の超音波センサー5から他方の超音波センサー5へ伝わるノイズを低減することができる。
【0061】
また、超音波センサー5とセンサーブラケット4やセンサーケース3との間に隙間45を設けたことにより、ドレインや油等は、超音波センサー5の周囲にとどまることなく、前記隙間45を通って、センサーケース3の収納部18(センサーブラケット4)内に入るとともに、センサーケース3の収納部18(センサーブラケット4)内に入ったドレインや油等の一部は、通路26を通って、測定管2の流路9内に抜ける(戻す)ことができる。
【0062】
これにより、超音波センサー5の周囲にドレインや油等を溜り難くくし、一方の超音波センサー5から発生した振動等が、溜ったドレインや油等を伝って、他方の超音波センサー5に伝わるノイズを低減することができる。
【0063】
また、図4に示すように、流路9の軸方向X−Xが水平方向で、かつ、流量演算表示部6が上方に位置するように配置した場合には、図3に示すように、水平方向に対する超音波センサー5,5の軸を結ぶ線の角度θが、22.5度となるようにしたことにより、流路9の鉛直下部に超音波センサー5が位置しておらず、超音波センサー5に大量のドレインや油等が付着することを防止できる。
【0064】
なお、測定管2に対し1対の超音波センサー5,5を取付けたが、2対や3対等の複数対の超音波センサー5,5を測定管2に対して取り付け、複数の測線(超音波の伝播経路)で、超音波を送受信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 超音波流量計
2 測定管
3 センサーケース
5 超音波センサー
9 流路
12 取付部
12a 取付穴
16 筒部
26 通路
45 隙間
42 弾性材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる流路を有する測定管を有し、該流路の上流側と下流側に位置し、かつ、該測定管の軸に対して傾斜する線上に配置される少なくとも1対の超音波センサーを配設し、該超音波センサー間で、超音波の送受を行って流体の流量を計測する超音波流量計であって、
前記超音波センサーをセンサーケース内に固設し、
該センサーケースを、前記測定管に対し、この測定管の軸方向と直交した方向から固設したことを特徴とする超音波流量計。
【請求項2】
前記測定管に、該測定管の軸方向と直交する軸を中心軸とする取付穴を有する取付部をを設け、前記センサーケースに筒部を形成し、
前記測定管における取付部の取付穴に、前記センサーケースの筒部を嵌合することにより、前記センサーケースを、測定管の軸方向と直交した方向から測定管に固設したことを特徴とする請求項1記載の超音波流量計
【請求項3】
前記超音波センサーとセンサーケースとの間に隙間を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記超音波センサーとセンサーケースとの間に弾性材を配設したことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の超音波流量計。
【請求項5】
前記センサーケース内と前記測定管内とを連通する通路を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の超音波流量計。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−33389(P2011−33389A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177701(P2009−177701)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000116633)愛知時計電機株式会社 (126)
【Fターム(参考)】