説明

超音波照射装置

【課題】必要箇所には強い超音波照射を照射し、且つ、広い範囲に超音波を照射する。
【解決手段】当該超音波照射装置の超音波素子110は、図中Aで示した領域の凹レンズ形状の曲面を有する圧電素子と、図中Bで示した領域の平面形状の圧電素子とを兼ね備える。このため、Oで示した焦点には、超音波が集束し、圧電素子の面積あたりの超音波により与えられるエネルギーは焦点においては高い。一方、非集束超音波が伝播される範囲は与えられるエネルギーは低いが、圧電素子の面積あたりの超音波を照射される領域の面積は大きい。従って、当該超音波素子110を用いると、強い超音波を照射する必要がある部分には集束超音波を照射し、それと同時に、強い超音波の照射を要しない部分には非集束超音波を照射することができる超音波照射装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、悪性腫瘍の根治療法として外科切除術は最も良く選択される手技の一つである。その際、周辺リンパ節に腫瘍細胞の転移が疑われる場合には、リンパ節郭清術と呼ばれる、ガン摘出部分付近のリンパ節を含む一定の領域を切除することが行われている。リンパ節廓清術では、比較的広い領域を切除するため手間及び時間がかかる。このため、超音波照射装置による目標組織への超音波照射によって、当該組織を発熱させ、当該組織を凝固させる装置があり、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
一般に、血流近傍の組織は、加熱しても血流による冷却効果があるため、超音波照射による組織の凝固において、その他の組織に対する場合と比べて強い超音波を照射しなければならない。そこで、特許文献1には、照射する超音波の範囲や強度が異なる超音波照射器具を用途に応じて交換して用いる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−113254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の通り、リンパ節郭清術その他の超音波照射による組織の凝固を行う処置において、一般に、血流近傍の組織に対して等、強い超音波を照射する必要がある場合には、集束させた超音波を用いる。集束超音波は、強いエネルギーを与えることができる一方で、超音波の発生源である超音波素子の大きさに対して、照射できる範囲が狭くなる。このため、リンパ節郭清術のような一度に広い領域を凝固させたい場合には、集束超音波を用いると、一度に照射できる範囲が狭いため、超音波を照射したい全領域に超音波を照射するのに要する時間が長くなるという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、必要箇所には強い超音波照射を照射でき、且つ、超音波を照射したい全領域に超音波を照射するのに要する時間を短くできる超音波照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を果たすため、本発明の超音波照射装置の一態様は、対象領域に焦点を形成する集束超音波を発生する第1の超音波発生源と、対象領域に焦点を形成しない非集束超音波を発生する第2の超音波発生源と、前記第1の超音波発生源及び前記第2の超音波発生源を同時に制御する制御手段と、前記制御手段による制御に従って前記第1の超音波発生源及び前記第2の超音波発生源を駆動する駆動手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に依れば、強い超音波を照射する必要がある部分には集束超音波を照射し、それと同時に、強い超音波の照射を要しない他の照射対象領域には非集束超音波を照射することができるので、全対象領域への超音波の照射に要する時間を短縮できる超音波照射装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の各実施形態に係る超音波照射装置の構成の一例を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る超音波素子の概形の一例を示す図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る超音波素子から照射される超音波の伝播範囲の一例の概略を示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る超音波素子と被験体と超音波伝播媒体層との位置関係の一例を示す図。
【図5】本発明の各実施形態に係るイメージング用超音波プローブによって取得される画像を説明する為の図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る重畳部が作成する重畳画像を説明する為の図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る超音波素子の概形の一例を示す図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る超音波素子によって出力する超音波の位相を説明する為の図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る超音波素子から照射される超音波の位相による集束超音波の焦点距離の変化を説明する為の図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る超音波素子におけるA群の圧電素子とB群の圧電素子との配置例を示す図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る超音波素子におけるA群の圧電素子とB群の圧電素子との配置例を示す図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る超音波素子の概形の一例を示す図。
【図13】本発明の第2の実施形態の変形例に係る超音波素子の概形の一例を示す図。
【図14】本発明の第2の実施形態の変形例に係る超音波素子におけるA群の圧電素子とB群の圧電素子との配置例を示す図。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る超音波素子から照射される超音波の位相と焦点位置の関係を説明する為の図。
【図16】本発明の第2の実施形態の変形例に係る超音波素子の概形の一例を示す図。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る超音波素子を構成するcMUTの構成例の概略を示す図。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る超音波素子の概形の一例を示す図。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る腹腔鏡手術システムの構成の一例を示すブロック図。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る腹腔鏡手術システムのイメージング用超音波プローブによって取得される画像を説明する為の図。
【図21】本発明の第4の実施形態に係る腹腔鏡手術システムの重畳部が作成する重畳画像を説明する為の図。
【図22】本発明の第4の実施形態に係る腹腔鏡手術システムの重畳部が作成する重畳画像を説明する為の図。
【図23】本発明の第5の実施形態に係る腹腔鏡手術システムにおいて作成する時間−信号強度曲線の一例の概略図。
【図24】本発明の第5の実施形態に係る腹腔鏡手術システムの動作の一例を説明するタイミングチャート。
【図25】本発明の第5の実施形態に係る腹腔鏡手術システムの動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る超音波照射装置は、図1(a)に示す通り、先端部100と、先端部100の操作などを行うための操作部200とを有する。先端部100は、超音波素子110と、イメージング用超音波プローブ150とを有する。操作部200は、超音波素子駆動部210と、超音波素子制御部220と、超音波素子操作部230と、内部画像取得部250と、重畳部260と、表示部270とを有する。
【0011】
超音波素子110は、本実施形態に係る超音波照射装置の超音波発生源である。超音波素子110は、例えばチタン・ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O;PZT)等の圧電素子等であり、例えば図2にその概略を示す様な形状を有する。図2において上段は超音波発生源を上から見た図、下段は中心断面形状を示す。
【0012】
図2(a)に示す超音波素子110は、中心にイメージング用超音波プローブ150を備え、その周囲に凹レンズ形状の曲面を有するPZT(図中Aで示した領域)を備え、更にその周囲に平面状のPZT(図中Bで示した領域)を備える。図2(b)に示す超音波素子110は、中心にイメージング用超音波プローブ150を備え、その周囲に平面状のPZT(図中Bで示した領域)を備え、更にその周囲に凹レンズ形状の曲面を有するPZT(図中Aで示した領域)を備える。図2(c)に示す超音波素子110は、中心にイメージング用超音波プローブ150を備え、その周囲に平面状のPZT(図中B(B1)で示した領域)を備え、更にその周囲に凹レンズ形状の曲面を有するPZT(図中Aで示した領域)を備え、更にその周囲に平面状のPZT(図中B(B2)で示した領域)を備える。図2に示した形状は一例であり、平面状のPZT及び凹レンズ形状の曲面を有するPZTを両方備える形状であれば良い。また、イメージング用超音波プローブ150を配置する位置は、中心でなくても良い。
【0013】
例えば、当該超音波照射装置によって生体組織を凝固させる事を目的としたり、超音波造影剤であるマイクロバブルを破裂させてキャビテーションを発生させる事を目的としたりする場合には、超音波素子110が照射する超音波の周波数は、1〜2MHz程度が適当である。
【0014】
尚、超音波素子110は、単純なPZTに限らず、ポリマー材とPZTを組み合わせた複合圧電材料(コンポジット型圧電材料)その他の圧電材料によって構成されても良い。
【0015】
ここで、図2に示した超音波素子110から出力される超音波の照射領域について説明する。図2(a)乃至(c)に示した形状の超音波素子110から照射される超音波の伝播領域の概略を、図3中の網掛けで示す。即ち、超音波素子110の、図中にAで示した凹レンズ形状の曲面を有するPZTから照射された超音波は、図中Oに示す焦点に集束する。以降、この様な焦点に集束する超音波を集束超音波と呼ぶ。一方、超音波素子110の、図中にBで示した平面状のPZTから照射する超音波は、平面波として直進する。以降、この様な超音波を非集束超音波と呼ぶ。前記Oで示した焦点では、超音波が集束しているので、超音波により与えられるエネルギーは高い。これに比べると、非集束超音波が伝播される範囲に与えられるエネルギーは低い。以上の様に、当該超音波素子110を用いると、広い範囲に比較的弱い非集束超音波を照射することができると共に、焦点には強い集束超音波を照射することができる。
【0016】
超音波素子110は、図1(a)に示す通り超音波素子駆動部210と接続している。超音波素子110は、図2に示す様な形状のPZT全体が一体に形成されていても良い。この場合、超音波素子110は一配線により超音波素子駆動部210と接続している。その結果、超音波素子110は、常に一体として動作し、集束超音波と非集束超音波を同時に照射する。この様な構成は、省配線化できるという利点を有する。
【0017】
一方、図2中にAで示した領域と、Bで示した領域とを、別個の要素としてPZTで形成し、それらを組み合わせて超音波素子110を構成しても良い。このような構成では、別個に形成された要素の各々が配線により超音波素子駆動部210と接続している。その結果、駆動の制御方法により、超音波素子110は、集束超音波のみを出力することができるし、非集束超音波のみを出力することもできるし、集束超音波と非集束超音波の両方を同時にもしくは交互に出力することもできる。また、集束超音波と非集束超音波の出力の強度を別々に調節することもできる。
【0018】
図1(a)に示す超音波素子操作部230は、操作者の超音波照射に関する操作指示を受ける部分である。超音波素子操作部230は、入力された操作指示を、超音波素子制御部220に出力する。超音波素子制御部220は、超音波素子操作部230からの入力に基づいて、超音波素子駆動部210を介して、超音波素子110の例えばON、OFF、出力強度等、出力を制御する。超音波素子駆動部210は、超音波素子制御部220からの指令に基づいて、超音波素子110を駆動させる駆動手段である。
【0019】
イメージング用超音波プローブ150は、当該超音波照射装置で超音波を照射する対象である被験体の内部を観察するための手段である。イメージング用超音波プローブ150は、内部画像取得部250の制御の下、超音波を照射し、反射波を受信する。イメージング用超音波プローブ150は、受信した反射波の情報を、内部画像取得部250に出力する。イメージング用超音波プローブ150が照射する超音波の周波数は、例えば、当該超音波を生体組織の内部観察に用いる場合は、2〜20MHz程度が適当である。
【0020】
内部画像取得部250は、イメージング用超音波プローブ150が照射する超音波の強度や向きなどを制御し、イメージング用超音波プローブ150を駆動する。また、内部画像取得部250は、イメージング用超音波プローブ150から入力された、反射波の情報に基づいて被験体の内部の画像を再構成する。内部画像取得部250は、再構成した被験体の内部画像を、重畳部260に出力する。
【0021】
重畳部260は、内部画像取得部250から入力された被験体の内部画像に、図1(b)に示す超音波素子制御部220の重畳情報出力部221から取得した、超音波素子110が照射する超音波の伝搬領域や焦点位置等の情報を重畳し、重畳画像を作成する。重畳部260は、作成した重畳画像を表示部270に出力する。表示部270は、重畳部260が作成した重畳画像を表示する。
【0022】
この様に、例えば超音波素子110の図2中にAで示した領域は、集束超音波を発生する第1の超音波発生源として機能し、例えば超音波素子110の図2中にBで示した領域は、非集束超音波を発生する第2の超音波発生源として機能し、例えば超音波素子制御部220は、第1の超音波発生源及び第2の超音波発生源を同時に制御する制御手段として機能し、例えば超音波素子駆動部210は、第1の超音波発生源及び第2の超音波発生源を駆動する駆動手段として機能し、例えば超音波素子操作部230は、集束超音波の目標焦点位置を指示する焦点位置指示手段として機能し、例えばイメージング用超音波プローブ150及び内部画像取得部250は全体として、被験体内画像を取得する被験体内画像取得手段として機能し、例えば重畳部260は、集束超音波の焦点の位置を示す第1のマーカー並びに集束超音波及び非集束超音波が照射される領域を示す第2のマーカーのうち少なくとも何れか一方を重畳した重畳画像を作成する重畳手段として機能する。
【0023】
また、制御手段として機能する超音波素子制御部220は図1(b)に示すように、重畳情報出力部221の他、素子群指定部222、位相制御部223、モード切替部224、及び周波数制御部225を備えていても良い。超音波素子制御部220内に必要な構成を適宜設けることで、超音波素子制御部220は必要な制御を行うことができる。本実施形態では、前記の通り、超音波素子制御部220は重畳情報出力部221を備えている。尚、素子群指定部222、位相制御部223、モード切替部224、及び周波数制御部225については、これら構成が必要な実施形態の説明に記載する。
【0024】
次に、本実施形態に係る超音波照射装置の動作を説明する。本実施形態に係る超音波照射装置の使用にあたっては、図4に示す通り、超音波照射の対象である被験体310に対して、音響インピーダンスを整合するための超音波伝播媒体層320を挟んで、先端部100を接触させる。超音波伝播媒体層320は、例えば被験体310が生体組織である場合には、脱気水を入れた水袋や、超音波診断装置や超音波治療装置で一般に用いられる樹脂やゼリー状の物質から成る超音波伝播媒体等である。
【0025】
当該超音波照射装置において、イメージング用超音波プローブ150は、内部画像取得部250の制御の下、観察用の超音波を被験体310に向けて照射する。その周波数は、例えば生体に対しては2〜20MHz等であり、持続時間が数μ秒程度の高周波パルス波列等である。尚、周波数等は、被験体310の種類等によって最適値が異なることもあり用途に応じる。イメージング用超音波プローブ150は、照射した超音波が被験体310内で反射されて戻ってくる反射波を受信し、反射波の情報を内部画像取得部250に出力する。
【0026】
内部画像取得部250は、イメージング用超音波プローブ150から入力された情報に基づいて、例えば図5に模式的な図を示す様な、被験体310の内部の画像を構築する。ここで図中の画像取得範囲350は、イメージング用超音波プローブ150及び内部画像取得部250によって得られる画像範囲である。内部画像取得部250は、構築した被験体310の内部の画像を重畳部260に出力する。尚、イメージング用超音波プローブ150及び内部画像取得部250による画像取得には公知の超音波画像取得技術を用いる。
【0027】
重畳部260は、内部画像取得部250から被験体310の内部の画像を入力する。また、重畳部260は、超音波素子制御部220に含まれる重畳情報出力部221より、超音波素子110の形状によって決まっている集束超音波及び非集束超音波の伝播領域360の範囲、並びに集束超音波の焦点370の位置を取得する。そして、重畳部260は、内部画像取得部250から取得した画像取得範囲350内の画像に、集束超音波及び非集束超音波の伝播領域360の範囲、並びに集束超音波の焦点370の位置を重畳し、図6にその一例を示す様な重畳画像を作成する。重畳部260は、作成した重畳画像を表示部270に出力する。表示部270は、重畳部260から入力された重畳画像を表示する。
【0028】
当該超音波照射装置の操作者は、この表示部270に表示された重畳画像を確認しながら当該超音波照射装置を操作することになる。尚、表示部270に表示される重畳画像における伝播領域360の範囲及び焦点370の位置の表示の有無を、操作者が選択できるように構成しても良い。即ち、操作者から伝播領域360の範囲及び焦点370を重畳画像に表示する指示を受けた場合には、重畳部260は前記の通りに重畳画像を作成し、それを表示部270に出力する一方で、操作者から伝播領域360の範囲及び焦点370を重畳画像に表示しない指示を受けた場合には、重畳部260は伝播領域360の範囲及び焦点370を重畳せずに、内部画像取得部250から入力された被験体310の内部の画像をそのまま表示部270に出力するようにしても良い。
【0029】
超音波素子操作部230は、表示部270に表示された重畳画像を確認しながら当該超音波照射装置の操作をしている操作者の、超音波照射に関する操作指示を受ける。ここで前記操作指示とは、例えば、超音波素子110が一体に形成されている構成の場合は、超音波照射のON又はOFFや、その出力強度等である。集束超音波を照射する素子と非集束超音波を照射する素子とが別個に成形され、集束超音波と非集束超音波を別々に出力できる構成の場合には、集束超音波と非集束超音波それぞれに関する超音波照射のON又はOFFや、その出力強度等である。従って、超音波素子操作部230は、例えばスイッチボタンやボリュームつまみ等の入力手段で構成されてもよいし、その他PC等とその入力装置であるマウスやキーボード等であっても良い。
【0030】
超音波素子操作部230は、入力された操作指示を、超音波素子制御部220に出力する。超音波素子制御部220は、超音波素子操作部230からの入力に基づいて、超音波素子110から出力する超音波の繰り返し周波数、照射時間、及び強度等、超音波出力の各種パラメータを決定する。超音波素子制御部220は、決定した超音波出力のパラメータに基づいて、超音波素子駆動部210に、超音波素子110の駆動の指令を出力する。超音波素子駆動部210は、超音波素子制御部220からの指令に基づいて、超音波素子110より超音波を照射させる。
【0031】
以上に説明した本実施形態に係る超音波照射装置に依れば、広い領域にエネルギーが低い非集束超音波を照射すると同時に、狭い領域にエネルギーが高い集束超音波を照射することができる。このため、広い範囲に低エネルギーの超音波を照射する必要がありつつ一部に高エネルギーの超音波を照射する必要がある場合に、それらを同時に行うことができるので全体として照射に要する時間を短縮することができる。また、操作者は、表示部270に表示された重畳画像を見て、集束超音波及び非集束超音波が照射される領域を確認しながら、超音波素子操作部230を操作し、超音波の照射の指示を行うことができる。
【0032】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態に係る超音波素子110は、例えば図2に示す様な形状のため、集束超音波と非集束超音波を同時に照射できる。これに対して本実施形態の超音波素子110は、フェーズドアレイを利用して集束超音波を形成し、それと同時に非集束超音波も照射できるように構成したものである。以下、本実施形態の超音波照射装置について図面を参照して説明する。ここで本実施形態の説明では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0033】
本実施形態に係る超音波素子110は、例えばPZT等の圧電素子である。その形状は、例えば図7にその概略を示す様に、同心円状に複数の圧電素子を配置して構成されており、超音波の照射面は平面である。尚、図7において上段は超音波素子110を上から見た図、下段は中心断面図を示す。ここで、同心円状の圧電素子は、それぞれ別の配線によって超音波素子駆動部210に接続しており、それぞれ別個に駆動される。尚、第1の実施形態の場合と同様に、超音波素子110は、単純なPZTに限らず、ポリマー材とPZTを組み合わせた複合圧電材料(コンポジット型圧電材料)その他の圧電素子によって構成されても良い。
【0034】
また、本実施形態に係る超音波素子制御部220は、重畳情報出力部221、素子群指定部222、及び位相制御部223を有している。
【0035】
前記の様な同心円形状の超音波素子110を用いて、図8(a)に示す様に、中心部の圧電素子から外周部の圧電素子にかけて、照射する超音波の位相を徐々にずらすと、集束超音波を生成することができる。一方、図8(b)に示す様に、中心部の圧電素子から外周部の圧電素子にかけて、照射する超音波の位相を全てそろえると、平面波である非集束超音波を生成することができる。従って、超音波素子制御部220に含まれる位相制御部223が、各圧電素子から照射される超音波の位相を制御することで、当該超音波素子110は、集束超音波と非集束超音波の何れも出力することができる。また、集束超音波を照射する場合、位相制御部223による制御によって、各圧電素子から照射される超音波の位相のずれを変化させると、図9に、中段に超音波素子110の断面、下段に各圧電素子から照射される超音波の位相、並びに上段に照射される超音波の波面及び焦点Oの位置を模式図で示す通り、集束超音波の焦点距離を変化させることができる。
【0036】
当該超音波素子110は、同心円状に複数並んでいる圧電素子の全てを用いて、集束超音波若しくは非集束超音波の何れか一方を生成するに限らず、超音波素子制御部220が有する素子群指定部222が指定する複数ある圧電素子のうち一部を用いて集束超音波を照射し、それ以外の圧電素子を用いて非集束超音波を照射することができる。従って、当該超音波素子110は、集束超音波と非集束超音波を同時に照射することができる。以降、複数ある圧電素子のうち、集束超音波を生成する圧電素子をA群の圧電素子112と呼び、非集束超音波を生成する圧電素子をB群の圧電素子114と呼ぶこととする。
【0037】
この様に、素子群指定部222は、同心円状に複数並んでいる圧電素子のうち、その一部をA群の圧電素子に指定し、その他のうち一部又は全部をB群の圧電素子に指定する機能を有する。また、位相制御部223は、それぞれの圧電素子から出力させる超音波の位相を制御する役割を担う。
【0038】
本実施形態に係る超音波素子110は、素子群指定部222による制御によって、図10に示す様に、A群の圧電素子112とB群の圧電素子114を自在に設定することができる。即ち、集束超音波の強度は比較的弱くても良く、広い範囲に非集束超音波を照射したい場合には、素子群指定部222は、図10(a)に示す様に、A群の圧電素子112の数を比較的少なく、B群の圧電素子114の数を比較的多くするように指定する。一方で、集束超音波の強度は比較的強い必要があり、非集束超音波を照射する範囲は狭く制限しても良い場合には、素子群指定部222は、図10(c)に示す様に、A群の圧電素子112の数を比較的多く、B群の圧電素子114の数を比較的少なくするように指定する。同様に、図10(a)に示す場合と図10(c)に示す場合の間の状態を求める場合には、素子群指定部222は、図10(b)に示す様に、A群の圧電素子112の数とB群の圧電素子114の数を調節する。
【0039】
また、図10に示す様にA群の圧電素子112を中心部に集める必要はなく、B群の圧電素子114を中心部に集めても良い。更に、A群の圧電素子112及びB群の圧電素子114は集中させて配置する必要はなく、図11に示す様に、分散させ配置させても良い。図11に示す様な場合も、素子群指定部222が、A群の圧電素子112の数とB群の圧電素子114の数の比やその配置を調節する事によって、集束超音波と非集束超音波の強度や範囲を変化させることができる。
【0040】
この様に、例えばA群の圧電素子112は、集束超音波を発生する第1の超音波発生源としての第1の超音波発生素子群を構成し、例えばB群の圧電素子114は、非集束超音波を発生する第2の超音波発生源としての第2の超音波発生素子群を構成し、例えば位相制御部223は、目標焦点位置に集束超音波の焦点が形成されるように、第1の超音波発生素子群に属する超音波発生素子から照射される超音波の各々の位相を制御する位相制御部として機能し、例えば素子群指定部222は、超音波を発生する複数の超音波発生素子の中から、目標焦点位置に基づいて集束超音波を発生する第1の超音波発生源を構成するための第1の超音波発生素子群を指定すると共に、残りの超音波発生素子を非集束超音波を発生する第2の超音波発生源を構成するための第2の超音波発生素子群に指定する素子群指定部として機能する。
【0041】
以上説明した本実施形態に係る超音波素子110に依れば、非集束超音波の照射範囲、非集束超音波と集束超音波の強度の比、及び集束超音波の焦点距離を変化させることができる。この本実施形態に係る超音波素子110を、第1の実施形態に係る超音波素子110と置き換えて超音波照射装置を構成することができる。
【0042】
本実施形態において、重畳部260は、重畳情報出力部221から、後に説明する様にして決定した非集束超音波及び集束超音波の伝播領域360の範囲、並びに集束超音波の焦点370の位置を取得する。そしてこれら伝播領域360の範囲及び焦点370の位置を、内部画像取得部250から入力された被験体310の内部の画像に重畳し、重畳画像を作成する。重畳部260は、作成した重畳画像を表示部270に出力する。表示部270は、重畳部260から入力された重畳画像を表示する。重畳画像の作成に関して、その他の動作は第1の実施形態と同様である。
【0043】
当該超音波照射装置の操作者は、この表示部270に表示された重畳画像を確認しながら当該超音波照射装置を操作することになる。
【0044】
超音波素子操作部230は、表示部270に表示された重畳画像を確認しながら当該超音波照射装置の操作をしている操作者の、超音波照射に関する操作指示を受ける。本実施形態においては、超音波素子110による超音波の照射について、非集束超音波の照射範囲、非集束超音波と集束超音波の強度の比、及び集束超音波の焦点距離も変化させることができる。従って、超音波素子操作部230は、これらのパラメータも入力できるものとする。超音波素子操作部230は、入力された操作指示を、超音波素子制御部220に出力する。素子群指定部222は、超音波素子操作部230からの入力に基づいて、複数ある圧電素子のうち何れの圧電素子をA群の圧電素子112及びB群の圧電素子114に割当てるかを所定の方法により決定する。この割当ての方法は、例えば、非集束超音波と集束超音波の強度の割合毎に、A群の圧電素子112及びB群の圧電素子114の割当てのパターンを予め決めて記憶しておいても良い。また、位相制御部223は、集束超音波の目標とする焦点距離に応じて、A群の圧電素子112の各圧電素子の出力の位相を決定する。重畳情報出力部221は、素子群指定部222及び位相制御部223が決定した非集束超音波及び集束超音波の伝播領域360の範囲、集束超音波の焦点370の位置、並びに非集束超音波及び集束超音波の強度を、重畳部260に出力する。
【0045】
また、超音波素子制御部220は、超音波素子操作部230からの入力に基づいて、第1の実施形態と同様に、超音波素子110から出力する超音波の繰り返し周波数、照射時間、強度等、超音波出力の各種パラメータを決定する。超音波素子制御部220は、決定した超音波出力に関する各種パラメータに基づいて、超音波素子駆動部210に、超音波素子110の駆動の指令を出力する。超音波素子駆動部210は、超音波素子制御部220からの指令に基づいて、超音波素子110より超音波を照射させる。
【0046】
この様に、超音波素子操作部230は、集束超音波の焦点の位置を設定する焦点位置指示手段として機能する。
【0047】
以上の様な構成を有する本実施形態に係る超音波照射装置に依れば、第1の実施形態と同様に、広い領域にエネルギーが低い非集束超音波を照射すると同時に、狭い領域にエネルギーが高い集束超音波を照射することができる。このため、広い範囲に低エネルギーの超音波を照射する必要がありつつ一部に高エネルギーの超音波を照射する必要がある場合に、全体として照射に要する時間を短縮することができる。
【0048】
また、操作者は、表示部270に表示された重畳画像を見て、集束超音波及び非集束超音波が照射される領域を確認しながら、超音波素子操作部230を操作し、超音波の照射の指示を行うことができる。更に本実施形態に依れば、非集束超音波の照射範囲、非集束超音波と集束超音波の強度の比、及び集束超音波の焦点距離も変化させることができる。
【0049】
また、前記説明における超音波素子110は、同心円状に複数の圧電素子を配置して構成された圧電素子として説明したが、超音波素子110は、図12に示す通り、対角線の交点を一致させた複数の四角形の圧電素子を配置した形状でも良い。このような構成を有する超音波素子110を用いても、第2の実施形態の場合と同様に作用し、同様の効果を得ることができる。
【0050】
[第2の実施形態の変形例]
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。ここで本変形例の説明では、第2の実施形態との相違点について説明し、第2の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
前記第2の実施形態における超音波素子110は、複数の圧電素子が同心円状に配置されて構成されている。これに対して、本変形例の超音波素子110は、図13に示す様に、圧電素子が格子状に配置されて構成されている。この様な構成の超音波素子110を用いると、第2の実施形態の場合と同様に、図14(a)乃至(c)に示す通り、素子群指定部222がA群の圧電素子112とB群の圧電素子114の割合を変化させることにより、集束超音波と非集束超音波の強度の比を変化させることができる。尚、A群の圧電素子112とB群の圧電素子114の配置は、図14(a)乃至(c)に示す様に中心部と周縁部に分けて配置するのみならず、図14(d)乃至(f)に示す通り、自由に配置することができる。
【0051】
更に、A群の圧電素子112のうち、それぞれの圧電素子から照射される超音波の位相を、超音波素子制御部220に含まれる位相制御部223が適切に制御することによって、超音波素子110は、様々な位置に焦点を結ぶ超音波を照射することができる。即ち、例えば図15(a)及び(b)に、中段に超音波素子110の断面、下段に各圧電素子から照射する超音波の位相、及び上段に照射される超音波の波面を模式図で示す通り、照射超音波の位相を制御することで超音波の焦点位置を変化させることができる。尚、図13及び図14においては簡単のため、圧電素子が縦横にそれぞれ8個並んだ図を示したが、この数はいくつでも良い。
【0052】
本変形例においては、前記第2の実施形態で説明した動作に加えて、当該超音波素子110は集束超音波の焦点の距離のみならず方向も変更できるので、超音波素子操作部230は、操作者による集束超音波の焦点位置の指定を受けることができるように構成される。例えば、超音波素子操作部230は、表示部270に表示された被験体310の内部の画像中で位置を指定するマウスやタッチパネル等でも良い。
【0053】
また、超音波素子制御部220は、超音波素子操作部230から入力された集束超音波の目標とする焦点の位置を決定する。そして決定にされた目標焦点位置に応じて、位相制御部223は、A群の圧電素子112の各圧電素子の出力の位相を決定する。また、重畳情報出力部221は、位相制御部223が決定した集束超音波の焦点位置を重畳部260に出力し、重畳部260はそれを被験体310の内部画像に重畳する。
【0054】
超音波素子110は、四角形の格子状に配置するのみならず、図16に示す様に、同心円形状を更に円周方向に分割した様な形状に圧電素子を配置する構成でも良い。この場合も、前記と同様に、非集束超音波の照射範囲、非集束超音波と集束超音波の強度の比、集束超音波の焦点位置、及び集束超音波の焦点距離を、変化させることができる。
【0055】
以上の様に、本変形例で説明した様な構成を有する超音波素子110を用いた超音波照射装置に依っても、第2の実施形態と同様に、広い領域に弱い非集束超音波を照射すると共に、狭い領域に集束超音波を照射することができ、また、操作者は、表示部270に表示された重畳画像を見て、集束超音波及び非集束超音波が照射される領域を確認しながら、超音波素子操作部230を操作し、超音波照射の指示をすることができる。更に非集束超音波の照射範囲、非集束超音波と集束超音波の強度の比、並びに、超音波素子110に対する距離及び向きを含む集束超音波の焦点位置も変化させることができる。
【0056】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。ここで本実施形態の説明では、第1の実施形態及び第2の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0057】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、超音波素子110は、振動子として、PZTや、ポリマー材とPZTを組み合わせた複合圧電材料等の圧電素子を用いている。これに対して、本実施形態に係る超音波素子110は、静電容量型振動子(capasitive Micromachined Ultrasonic Transducer;cMUT)を用いている。
【0058】
cMUT400は、図17にその概略を模式図で示す様な構成を有する振動子である。即ち、下部基板401上に下部電極402が形成してあり、その更に上にはシリコン基板403が存在する。そして、シリコン基板403の上には、空隙404を形成する様にメンブレン部405が形成されている。メンブレン部405の上には、上部電極406が形成されている。本実施形態のcMUT400の空隙404の平面形状は円形である。このような構成を有するcMUTは、下部電極402及び上部電極406に電圧を印加することにより、それら電極の間に形成される電気容量の変化によって、メンブレン部405が振動する。このメンブレン部405の振動によって、外部に振動エネルギーを出力することができる。即ち、超音波を含む音波を出力することができる。
【0059】
前記cMUTを超音波振動子として用いる本実施形態の特徴の一つは、下部電極402及び上部電極406に印加する電圧の周波数を変化させることによって、出力する超音波の周波数を変化させることができる点である。
次に前記cMUT400を複数個並べて形成された、cMUTアレイ410について図18を参照して説明する。図18においてcMUTアレイ410は、cMUT400が縦横にそれぞれ12個ずつ並んだ図により示されているが、この数は、いくつでも良い。cMUTアレイ410を構成する各cMUT400は、それぞれ超音波素子駆動部210に接続されており、それぞれ別個に動作する。また、本実施形態に係る超音波素子制御部220は、重畳情報出力部221、素子群指定部222、位相制御部223、及び周波数制御部225を有している。周波数制御部225は、cMUTアレイ410の出力周波数を制御する。
【0060】
前記のような構成を有するcMUTアレイ410は、第2の実施形態の変形例と同様に機能する。即ち、素子群指定部222がcMUTアレイ410を構成する複数のcMUT400のうち、A群の圧電素子112として機能させるcMUT400と、B群の圧電素子114として機能させるcMUT400との数の割合を変化させることによって、集束超音波と非集束超音波の強度の比を変化させることができる。そして、位相制御部223が、cMUTアレイ410を構成する複数のcMUT400から出力する超音波の位相を制御することで、集束超音波と非集束超音波を生成することができる。更に、位相制御部223が、A群の圧電素子112のうち、それぞれの圧電素子から照射される超音波の位相を適切に制御することによって、超音波素子110は、様々な位置に焦点を結ぶ超音波を照射することができる。
【0061】
以上説明したcMUTアレイ410を、第2の実施形態に係る超音波素子110と置き換えて超音波照射装置を構成することができる。
一般に、物質内を伝播する超音波は、超音波の周波数が高いほど減衰が大きい。前記の通りcMUT400を用いると、照射する超音波の周波数を変化させることができる。従って、cMUTアレイ410を用いると、超音波を照射する目標位置の深さに応じて、適切な周波数を選択することにより、非集束波を照射する深さ方向の範囲を限定することができる。例えば、高めの周波数を設定すれば浅部のみに照射範囲を限定し、低めの周波数を設定することにより浅部から深部まで照射範囲を拡大することができる。
【0062】
本実施形態においては、前記第2の実施形態で説明した動作に加えて、当該超音波素子110は、出力周波数を変化させることができるので、超音波素子操作部230は、操作者による集束超音波及び非集束超音波の周波数の指定又は超音波を到達させたい深さの情報等を受けることができるように構成される。また、周波数制御部225は、操作者の入力に基づいて、超音波素子110から出力する超音波の周波数を決定する。そして周波数制御部225の制御に基づいて、超音波素子駆動部210は、超音波素子110を駆動する。
【0063】
前記の通り構成されたcMUTアレイ410を超音波素子110として用いると、当該超音波照射装置は、第2の実施形態と同様に、広い領域に弱い非集束超音波を照射すると共に、狭い領域に集束超音波を照射することができ、また、操作者は、表示部270に表示された重畳画像を見て、集束超音波及び非集束超音波が照射される領域を確認しながら、超音波素子操作部230を操作し、超音波照射の指示をすることができる。更に非集束超音波の照射範囲、非集束超音波と集束超音波の強度の比、並びに、超音波素子110に対する距離及び向きを含む集束超音波の焦点位置も変化させることができる。
【0064】
更に、cMUT400は照射する超音波の周波数を変化させることができるので、cMUTアレイ410を用いると超音波素子110とイメージング用超音波プローブ150の超音波照射部を一つのcMUTアレイ410で兼ねることができる。この場合、超音波素子駆動部210、超音波素子制御部220、及び内部画像取得部250は、連携し、照射する超音波の周波数、パルスの持続時間、振幅、パルスの繰り返し周波数、休止時間、及び振動子の領域選択を順に切り替えてcMUTを駆動する。例えば、まずイメージング用超音波プローブ150の超音波照射部として2〜20MHzの内部画像取得用の超音波パルスを照射し、次に超音波素子110として1〜2MHzの集束超音波及び非集束超音波を照射し、次に同様に内部画像取得用の超音波パルスを照射するということを繰り返すように制御しても良い。このように超音波素子110とイメージング用超音波プローブ150の超音波照射部を兼ねる様に構成すると、先端部100の構成を単純化することができる。
【0065】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、前記第1の実施形態乃至第3の実施形態に係る超音波照射装置を有する腹腔鏡手術システムである。ここで本実施形態の説明では、前記実施形態との相違点について説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0066】
図19に示す通り、本実施形態の先端部100は、超音波素子110と、イメージング用超音波プローブ150とに加え、観察用光学器具160と、光源165とを有する。観察用光学器具160は、本実施形態に係る超音波照射装置で、超音波を照射する部分の近傍の外観を光学的に観察するための器具であり、例えば観察用光ファイバーや観察用CCDカメラ等である。光源165は、観察用光学器具160で観察する際に必要な照明の光源である。
【0067】
操作部200は、超音波素子駆動部210と、超音波素子制御部220と、超音波素子操作部230と、内部画像取得部250と、重畳部260と、表示部270とに加えて、外部画像取得部280と、表示部290とを有する。
【0068】
観察用光学器具160は、受像信号を外部画像取得部280に出力する。外部画像取得部280は、観察用光学器具160から入力された受像信号に基づいて画像を取得する。外部画像取得部280は、取得した画像を表示部290に出力する。表示部290は、外部画像取得部280から入力された画像を表示する。
【0069】
本実施形態に係る超音波照射装置を有する腹腔鏡手術システムは、先端部100を保持する保持アーム510を備えている。この保持アーム510は、保持アーム制御部512及び保持アーム操作部514に接続されている。保持アーム操作部514は、操作者の指示を受ける。保持アーム操作部514は、操作者の指示を保持アーム制御部512に出力する。保持アーム制御部512は、保持アーム操作部514からの入力に基づいて、保持アーム510の動作を決定し、保持アーム510の動きを制御する。
【0070】
尚、当該腹腔鏡手術システムは、保持アーム510を具備せず、先端部100を操作者が手で保持するものでも良い。また、保持アーム510は、本実施形態の様に能動的なものでなく、先端部100を支えるだけの受動的なものであっても良い。
また、本実施形態に係る超音波照射装置の先端部100の先端近傍には、例えばX線用の位置マーカー520が取り付けられている。そして、当該超音波照射装置は、例えばCTスキャナである外部診断機器522と、位置情報取得部523と、表示部524とを備える。これは、例えば腹腔鏡手術時に、先端部100が臓器等を掻き分けて脂肪部分の深部に入ることもあり、その様な場合に、外部から先端部100の位置を把握するためのものである。
【0071】
外部診断機器522は、先端部100及び被験体310並びにその周囲を撮影し、得られた撮影情報を、位置情報取得部523に出力する。位置情報取得部523は、外部診断機器522から入力された撮影情報に基づいて、被験体310とそれに対する位置マーカー520の位置を示す画像を作成し、また、位置マーカー520の位置情報の取得等を行う。そして得られた結果を表示部524及び外部内部情報重畳部526に出力する。表示部524は、位置情報取得部523から入力された画像や、位置マーカー520の位置情報等を表示する。
【0072】
重畳部260は、内部画像取得部250から取得した被験体310の内部の画像と、超音波素子制御部220から取得した非集束超音波の伝播領域360の範囲及び集束超音波の焦点370の位置と、作成した重畳画像とを、外部内部情報重畳部526に出力する。外部内部情報重畳部526は、重畳部260から入力された情報と、位置情報取得部523から入力された情報とを用いて、被験体310の外観及び内部透視画像に加えて超音波の伝播範囲を重ね合わせた3次元画像を作成する。外部内部情報重畳部526は、作成した3次元画像を表示部527に出力する。表示部527は、外部内部情報重畳部526から入力された3次元画像を表示する。
【0073】
尚、本実施形態においては、外部診断機器522としてCTスキャナを用いているが、CTスキャナに限らず、例えばMRI、PET、PET−CT等、他の画像取得手段を用いても良い。また、特開2000−279425号公報に開示されている様な光学的手法で、先端部100の位置を検出する様にしても良い。
【0074】
更に、必要に応じて図示しない可動冶具を、先端部100付近に備えても良い。この可動治具は、例えば腹腔鏡手術時に、臓器等を掻き分けて、先端部100を目標位置に到達させるために用いたり、臓器の切除や縫合を行うために用いたりする器具である。
【0075】
尚、表示部270と表示部290と表示部524と表示部527とは、例えばモニタを別個に一つずつ用意しても良いし、一つのモニタで、全ての画像を表示しても良いし、幾つかのモニタでそれぞれ一つ以上の表示をするように組み合わせて用いても良い。
【0076】
次に、本腹腔鏡手術システムの動作について説明する。ここでは、リンパ節郭清術に、本腹腔鏡手術システムを用いる場合を例に挙げて説明する。本実施形態の説明で例に挙げるリンパ節郭清術は、超音波照射によって、超音波が照射された組織を発熱させ、その熱によって組織を凝固させる処置である。一般に、血流近傍の組織は、血流によって冷やされるため、超音波照射によって組織を凝固させるためには、血流から遠位の組織に比べて、強い超音波を照射しなければならない。一方で、処置時間短縮のため、血管以外の部分は、できるだけ広い範囲に同時に、超音波を照射したい。そこで、本実施形態に係る本腹腔鏡手術システムでは、本実施形態に係る超音波照射装置を用いて、血流近傍組織には集束超音波を照射し、それ以外の部分には非集束超音波を照射する。
【0077】
ここで操作者は、リアルタイムに更新される、例えば観察用光学器具160で取得し表示部290に表示される画像や、外部診断機器522で取得し表示部524に表示される画像や、その他図示しない画像取得手段により取得された画像や、目視による情報を参照し、当該腹腔鏡手術システムの操作を行い、先端部100を超音波照射したい組織の近傍に移動させる。
【0078】
本実施形態においては、操作者は、各種画像を確認しながら保持アーム操作部514を操作し、先端部100を凝固させたいリンパ節郭清領域に接近させる。このとき、保持アーム510は、保持アーム操作部514より入力された操作者の指示を受け取り、保持アーム制御部512に出力する。保持アーム制御部512は、公知のマニピュレータ制御方法によって、保持アーム510の動きを制御し、図示しない保持アーム510の駆動手段によって先端部100を、操作者が希望する位置に移動させる。
【0079】
この際、光源165によって照らされた先端部100の先端の近傍を、例えばCCDカメラである観察用光学器具160は撮影する。観察用光学器具160は、撮影した画像情報を、外部画像取得部280に出力する。外部画像取得部280は、観察用光学器具160から入力された画像情報に基づいて、画像を構築し、表示部290に出力する。表示部290は、外部画像取得部280から入力された画像を表示する。また、これらの動作と同時に、外部診断機器522は、先端部100及び被験体310並びにその周囲を撮影し、得られた撮影情報を、位置情報取得部523に出力する。位置情報取得部523は、外部診断機器522から入力された撮影情報に基づいて、被験体310とそれに対する位置マーカー520の位置を示す画像を作成し、また、位置マーカー520の位置情報の取得等を行う。そして得られた結果を表示部524に出力する。表示部524は、位置情報取得部523から入力された画像や、位置マーカー520の位置情報等を表示する。また、位置情報取得部523は、被験体310とそれに対する位置マーカー520の位置を示す画像の情報を、外部内部情報重畳部526に出力する。
【0080】
操作者は、例えば先端部100を目標位置に近づけた後等、被験体310の内部を観察したいとき、イメージング用超音波プローブ150による画像取得を指示する。
操作者によるイメージング用超音波プローブ150による画像取得の指示を受けたら、内部画像取得部250は、イメージング用超音波プローブ150が照射する超音波の強度や向きなどを制御し、イメージング用超音波プローブ150を駆動する。イメージング用超音波プローブ150は、内部画像取得部250の制御の下、観察用の超音波を被験体310に向けて照射する。その周波数は、例えば2〜20MHzであり、パルス持続時間が数μ秒程度の高周波パルス波である。イメージング用超音波プローブ150は、照射した超音波が、被験体310内で反射して当該イメージング用超音波プローブ150に返ってきた反射波を受信する。イメージング用超音波プローブ150は、受信波の情報を内部画像取得部250に出力する。
【0081】
内部画像取得部250は、イメージング用超音波プローブ150から入力された信号に基づいて、例えば図20に模式的な図を示す様な、被験体310の内部の画像を構築する。ここで図中の画像取得範囲350は、内部画像取得部250によって画像が得られる範囲である。この例では、画像取得範囲350内には、凝固させたい組織が写っており、その一部に血管382が観察できる場合とする。内部画像取得部250は、構築した被験体310の内部の画像を重畳部260に出力する。先に述べた理由のため、血管近傍には集束超音波を照射し、それ以外の部分には非集束超音波を照射する。
【0082】
(第1の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合)
本実施形態に係る超音波照射装置に、第1の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合は、以下の様に動作する。即ち、重畳部260は、内部画像取得部250から被験体310の内部の画像を入力する。また、重畳部260は、超音波素子制御部220に含まれる重畳情報出力部221より、超音波素子110の形状によって予め設定されている非集束超音波の伝播領域360の範囲及び集束超音波の焦点370の位置を取得する。そして、重畳部260は、画像取得範囲350内の画像に、非集束超音波の伝播領域360の範囲及び集束超音波の焦点370の位置を重畳し、図21に示す様な画像を作成する。重畳部260は、作成した重畳画像を表示部270に出力する。表示部270は、重畳部260から入力された重畳画像を表示する。
【0083】
また、重畳部260は、作成した重畳画像の情報を、外部内部情報重畳部526に出力する。外部内部情報重畳部526は、位置情報取得部523から入力された被験体310とそれに対する位置マーカー520の位置を示す画像の情報と、重畳部260より入力された重畳画像の情報に基づいて、被験体310の外観及び内部透視画像に加えて超音波の伝播範囲を重ね合わせた3次元画像を作成する。外部内部情報重畳部526は、作成した3次元画像を表示部527に出力する。表示部527は、外部内部情報重畳部526から入力された3次元画像を表示する。
【0084】
当該超音波照射装置の操作者は、表示部270に表示された重畳画像や、表示部527に表示された3次元画像を確認しながら、超音波素子操作部230を操作して、超音波素子110から超音波を照射させる。このとき出力される超音波の周波数は、1〜2MHz程度である。表示部270に表示された重畳画像により、凝固の程度を確認しながら、焦点370が血管382を含む周辺領域をなぞるように、保持アーム操作部514を操作して、先端部100を移動させつつ、超音波素子操作部230を操作して、超音波を照射する。
【0085】
この様にして、血管近傍領域に対しては、照射範囲が狭くてエネルギー強度が強い集束超音波を照射し、これらの組織を確実に凝固させるとともに、血管から遠位の部分には、照射範囲が広くエネルギー強度が弱い非集束超音波を照射して、その領域を凝固させることができる。このとき、第1の実施形態で説明した通り、集束超音波を照射する圧電素子(図2の例ではAで示した領域)と、非集束超音波を照射する圧電素子(図2の例ではBで示した領域)とを、別々に駆動することができる構成の場合は、勿論、集束超音波と非集束超音波を同時に照射する他、どちらか一方のみ照射することも可能である。
【0086】
尚、凝固させた組織は、凝固前に比べて、超音波の透過率が悪くなる。そのため、組織の凝固にあたっては、組織を凝固させたい範囲の、奥(先端部100から遠い側)から手前(先端部100に近い側)に順に集束超音波を照射して、奥から手前に順に凝固させることが望ましい。
【0087】
また、前記凝固の手順を操作者の指示に依らず、操作者が指定した凝固希望範囲を所定の手順で凝固する様に当該腹腔鏡手術システムを構成しても良い。即ち、当該腹腔鏡手術システムは、入力部532とシステム制御部534を有していても良い。この場合、操作者が、表示部270を確認しながら、凝固させたい範囲を、入力部532を用いて指定する。入力部532は、例えば、表示部270に表示された被験体310の内部の画像のうち凝固させたい範囲をマウスやタッチパネルで選択するものでも良い。入力部532は、操作者が指定した範囲を、システム制御部534に出力する。システム制御部534は、入力部532から操作者が指定した凝固させたい範囲を入力する。一方、保持アーム制御部512から、現在の保持アーム510の位置及び姿勢を入力する。また、超音波素子制御部220から、非集束超音波の伝播領域360の範囲及び集束超音波の焦点370の位置を取得する。
【0088】
これら、入力された凝固させたい範囲、現在の保持アーム510の位置及び姿勢、非集束超音波の伝播領域360の範囲、及び集束超音波の焦点370に基づいて、保持アーム制御部512に、先端部100を移動させる指示を出力する。この際、システム制御部534は、まず、操作者が指定した範囲の最深部に超音波を照射できる先端部100の位置を算出し、それを保持アーム制御部512に出力する。そして、システム制御部534は、超音波素子制御部220に超音波照射の指示を出力する。次に、システム制御部534は、保持アーム制御部512に、先端部100の位置を順に手前に移動させるように指令を出力する。また、これと組み合わせて、システム制御部534は、操作者が指定した凝固させたい範囲内に超音波を照射するように、面内方向にも先端部100の位置を順に移動させるよう指令を出力する。システム制御部534は、保持アーム制御部512に前記指令を出力しながら、超音波素子制御部220に超音波照射の指示を出力する。この際、内部画像取得部250から被験体310の内部の画像(音響インピーダンスの情報)を入力し、該画像を解析して組織が凝固されたと判断されたときに、保持アーム制御部512に、先端部100の移動を指令する様に構成しても良い。
【0089】
(第2の実施形態及びその変形例に係る超音波素子110を用いる場合)
次に、本実施形態に係る超音波照射装置に、第2の実施形態及びその変形例に係る超音波素子110を用いる場合を説明する。ここでの説明では、第1の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合との相違点について説明し、同一の部分についてはその説明は省略する。
【0090】
本実施形態に係る超音波照射装置に、第2の実施形態に係る超音波素子110を用いる腹腔鏡手術システムは、以下の様に動作する。即ち、重畳部260は、内部画像取得部250から被験体310の内部の画像を入力する。また、重畳部260は、重畳情報出力部221から、超音波の伝播領域360の範囲及び集束超音波の焦点370の位置を取得する。そしてこれら伝播領域360及び焦点370を、内部画像取得部250から入力された被験体310の内部の画像に重畳し、重畳画像を作成する。重畳部260は、作成した重畳画像を表示部270に出力する。
【0091】
当該超音波素子110は、前記第2の実施形態の説明の通り、素子群指定部222が、A群の圧電素子112とB群の圧電素子114の数の割合を変化させたり、位相制御部223が、A群の圧電素子112が出力する超音波の位相を変化させたりすることによって、超音波の伝播領域360の範囲及び集束超音波の焦点370の位置、非集束超音波と集束超音波の強度の比等を変化させることができる。そこで、操作者は、これら超音波素子操作部230を操作して、超音波の伝播領域360の範囲及び集束超音波の焦点370の位置等を操作する。このとき、重畳部260は、重畳情報出力部221から、素子群指定部222及び位相制御部223が決定した超音波の伝播領域360の範囲及び集束超音波の焦点370の位置、非集束超音波と集束超音波の強度の比等を再取得して、重畳画像中に表示される伝播領域360及び焦点370の位置を変更し、重畳画像を再作成して表示部270に出力する。このとき、超音波の伝播領域360の範囲及び集束超音波の焦点370の位置のみならず、図22に模式図を示す様に、非集束超音波と集束超音波の強度の比等を例えば色などを用いて表現する画像を作成しても良い。
【0092】
当該超音波照射装置の操作者は、この表示部270に表示された重畳画像を確認しながら、超音波素子操作部230及び保持アーム操作部514を操作して、第1の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合と同様に、組織を凝固させる。
また、凝固の手順を操作者の指示に依らず、操作者が指定した凝固希望範囲を所定の手順で凝固する様に、入力部532とシステム制御部534を有する腹腔鏡手術システムを構成しても良い。このとき、第1の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合の様に、凝固させる組織の位置に応じて、保持アーム510によって先端部100の位置を移動させるに限らず、A群の圧電素子112のうち、それぞれの圧電素子から照射される超音波の位相を前記位相制御部223が適切に制御することによって変化させることができる集束超音波の焦点位置の変化も用いることができる。また、圧電素子から照射される超音波の位相の制御によって変化させる非集束超音波の照射範囲、非集束超音波と集束超音波の強度の比、集束超音波の焦点位置、及び集束超音波の焦点距離を利用して、組織の凝固を制御することができる。
【0093】
(第3の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合)
次に、本実施形態に係る超音波照射装置に、第3の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合を説明する。本実施形態に係る超音波照射装置に、第3の実施形態に係る超音波素子110を用いる腹腔鏡手術システムは、第1の実施形態に係る超音波素子110及び第2の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合と同様に機能する。
【0094】
第1の実施形態及び第2の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合の機能及び効果に加えて、第3の実施形態に係る超音波素子110に用いられているcMUTは、照射する超音波の周波数を変化させられるという特徴による機能及び効果がある。第3の実施形態の説明に記載した通り、超音波の周波数が高いほど減衰が大きい。そこで超音波素子110から照射する超音波の周波数を変化させられることを利用すると、超音波を照射する目標位置の深さに応じて、適切な周波数を選択すれば、例えば、非集束波を照射する深さ方向の範囲を限定したい場合、高めの周波数を照射する等が考えられる。その他は、第1の実施形態に係る超音波素子110及び第2の実施形態に係る超音波素子110を用いる場合と同様である。
【0095】
以上の様に構成された腹腔鏡手術システムに依れば、第1の実施形態乃至第3の実施形態による効果によって、以下の効果を得る。超音波素子110によって、その一部分を用いて集束超音波を生成し、他の部分で非集束超音波を生成し、それらを同時に照射することができる。そして、集束波では大きなリンパ管やリンパ節、及び血管近傍の組織を凝固させ、非集束波では広い領域を凝固させることが可能となる。これによって一度に対象領域全体を凝固することができるようなり、効率的な凝固が達成され、流体が流れる部分等凝固させにくい部分を確実に凝固させつつ、処置時間を短縮することができる。
【0096】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態について説明する。ここで本実施形態の説明では、第4の実施形態との相違点について説明し、第4の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
一般に、超音波照射によって組織を凝固させるとき、凝固させたい部分にマイクロバブルを投与し、超音波照射によってマイクロバブルを崩壊させると、組織を凝固させる効率が上昇することが知られている。そこで、本実施形態では、超音波による組織凝固にマイクロバブルを用いる場合を考える。
【0097】
組織を凝固させたい部分、即ち標的位置に存在するマイクロバブルは、組織の凝固に有効であるが、焦点手前にマイクロバブルが存在すると超音波エネルギーがそのマイクロバブルにより吸収散乱されるため焦点まで到達するエネルギーが減少してしまう。
そこで本実施形態では、組織の凝固のための超音波照射の前に、弱い超音波照射によって不要なマイクロバブルを消去する。即ち、操作者が、イメージング用超音波プローブ150で取得し、表示部270に表示された被験体310の内部画像によって、超音波を照射する標的位置を確認したら、まず、浅部から深部へと集束波の焦点370を深さ方向にスキャンしながら、マイクロバブル除去用超音波照射を行う。次に、標的位置に集束波の焦点370を設定し、組織凝固用超音波照射を行う。本実施形態に係る超音波素子制御部220は、モード切替部224を有する。
【0098】
ここで、マイクロバブル除去用超音波照射及び組織凝固用超音波照射をそれぞれ第1の照射モード及び第2の照射モードと呼ぶことにする。超音波素子制御部220に含まれるモード切替部224は、前記第1の照射モード及び第2の照射モードを切換えて、それぞれのモードに適切な出力の指示を行う。第1の照射モード及び第2の照射モードに用いる超音波の周波数は、共に1〜2MHz程度である。マイクロバブルを除去するための第1の照射モードでは、モード切替部224は、超音波出力を、例えば2〜3パルスのみ等、照射時間を短くして、照射するエネルギーを小さくするように指示をする。標的位置の深度に応じて照射する超音波強度を強くしても良いが、マイクロバブルが壊れ、且つ凝固が起きない程度とする。尚、第1の照射モードの超音波照射によって、不要なマイクロバブルが除去される様子は、イメージング用超音波プローブ150で取得し表示部270に表示された被験体310の内部画像によって確認することができる。標的位置の手前までのマイクロバブルが消えたら、標的位置に組織凝固用超音波を照射する第2の照射モードに移る。ここで、組織凝固用の第2の照射モードでは、モード切替部224は、超音波照射に連続波を用いるように指示をする。
【0099】
マイクロバブル除去用の第1の照射モードに用いる超音波のエネルギー強度と、組織凝固用の第2の照射モードに用いる超音波のエネルギー強度とを異ならせることによって、第1の照射モードにおける超音波照射による、意図しない組織等への不要なダメージを低減することができる。
【0100】
イメージング用超音波プローブ150から照射するイメージング用の超音波と、超音波素子110から照射するマイクロバブル除去用超音波及び組織凝固用超音波とが、干渉を起こし、それが問題となる場合には、イメージング用超音波照射と、マイクロバブル除去用超音波照射、又は組織凝固用超音波を、同時に出力せずに交互に一方ずつ出力しても良い。ここで、組織凝固用に用いる超音波の周波数は、深さによる減衰を考慮しつつマイクロバブルによる増強効果が最も効果的に得られる周波数を選択する。例えば、マイクロバブルの共振周波数付近を用いるのが良いが、標的位置が深く、減衰が大きい場合には、周波数を下げるなどを考慮する。
【0101】
このような、第1の照射モードにおけるマイクロバブル除去用の超音波は手前から奥に順に照射していくが、マイクロバブルを用いる場合も、第2の照射モードにおける組織凝固用の超音波は、奥から手前に順に照射し、順に凝固させる。ここで、第1の照射モードにおける超音波照射において、照射位置を深さ方向に移動させるには、保持アーム510による先端部100の移動を用いる。また、第2の実施形態及び第3の実施形態に係る超音波素子110を用いている場合は、各A群の圧電素子112から照射される超音波の位相を、位相制御部223が制御することによる、焦点位置の変更も併用できる。
【0102】
また、マイクロバブル除去用超音波照射に、非集束超音波を用いても良い。マイクロバブル除去用超音波照射に、非集束超音波を用いる場合、集束超音波の伝播領域と非集束超音波の伝播領域の、与えられるエネルギーに応じて、表面から一定の深さまでのマイクロバブルが除去されることになる。
【0103】
また、イメージング用超音波プローブ150から照射される超音波を用いて、図23の様な、時間−信号強度曲線(Time Intensity Curve;TIC)を作成し、超音波素子110から照射される超音波の伝播経路内に流入するマイクロバブルが一定以上になった場合は、組織凝固用超音波照射を中止し、マイクロバブル除去用超音波照射を行うようにしても良い。
【0104】
本処置に関するタイミングチャートを図24に示す。この図に示す通り、イメージング用超音波プローブ150からは、比較的高周波数のイメージング用超音波パルスを繰り返し照射しつづけて、被験体310の内部の画像を取得する。一方、超音波素子110は、まず第1の照射モードにより、手前からマイクロバブル除去用超音波照射を行う。当該照射部分の超音波照射によって、マイクロバブルが除去されたことを画像で確認したら、先端部100の位置を奥に移動させる。そして、超音波素子110は、再び第1の照射モードによるマイクロバブル除去用超音波照射を行う。このようにして手前から奥の目標照射位置に向けて、徐々に先端部100の位置を移動させながらマイクロバブル除去を行い、目標照射位置に達したら、第2の照射モードによる組織凝固用超音波照射を実施する。時間経過に伴い、超音波の伝播経路内のマイクロバブルの量が所定の値以上になったら、先端部100の位置を手前に移動させ、再び同様に第1の照射モードによるマイクロバブル除去を行いながら手前から奥に向けて、徐々に先端部100の位置を移動させ、続いて標的位置において第1の照射モードによる組織凝固用超音波照射を行う。
【0105】
また、第3の実施形態に係るcMUTアレイ410からなる超音波素子110を用いる場合、イメージング用超音波プローブ150を別個に設けず、1つの超音波素子110からイメージング用超音波、マイクロバブル除去用超音波、及び組織凝固用超音波を照射するように構成しても良い。その場合、イメージング用には比較的高周波数の超音波をパルス状に照射し、マイクロバブル除去用には第1の照射モードで超音波を照射し、組織凝固用には第2の照射モードで超音波を照射する様に、超音波基本周波数、パルスの持続時間、振幅、繰り返し周波数及び休止時間、並びにA群の圧電素子112として働くcMUT400とB群の圧電素子114として働くcMUT400との指定等を切換えて、1つの超音波素子110を用いる。
【0106】
前記第1の照射モードによるマイクロバブル除去用超音波照射と第2の照射モードによる組織凝固用超音波照射との切り替えの手順は、操作者が手動で行っても良いが、システム制御部534が所定の手続きに基づいて実施するようにしても良い。例えば図25に示すフローチャートのような処理が考えられる。操作者が表示部270に表示された内部画像を確認しながら入力部532を用いて凝固させたい標的範囲を指定する。
【0107】
ステップS1においてシステム制御部534は、入力部532から、前記標的範囲を取得する。
ステップS2においてシステム制御部534は、保持アーム制御部512に、先端部100を初期位置に移動させるよう指令する。まず第1の照射モードにより、手前から順にマイクロバブル除去用超音波照射を行うので、この初期位置は、標的位置よりも手前側に超音波を照射することができる位置となる。
【0108】
ステップS3においてシステム制御部534は、内部画像取得部250から、内部画像を取得する。
ステップS4においてシステム制御部534は、ステップS3で取得した内部画像より、現在の先端部100の位置における超音波素子110の超音波照射位置が標的位置より手前か判断する。ステップS4の判断の結果、超音波照射位置が標的位置より手前でなければ、処理をステップS9に移す。
【0109】
ステップS4の判断の結果、超音波照射位置が標的位置より手前であれば、システム制御部534は、ステップS5において超音波照射位置に標的位置に超音波を照射することの障害となるマイクロバブルがあるか否かを、ステップS3で取得した内部画像に基づき判断する。
【0110】
ステップS5の判断の結果、障害となるマイクロバブルがある場合、ステップS6において、システム制御部534は、超音波素子制御部220に、第1の照射モードによるマイクロバブル除去用超音波照射を行わせるよう指令する。
ステップS7においてシステム制御部534は、内部画像取得部250から、内部画像を取得する。その後、システム制御部534は、処理をステップS5に戻す。尚、この後のステップS5における判断は、ステップS7で取得した内部画像に基づく。
【0111】
ステップS5の判断の結果、マイクロバブルがない場合、ステップS8において、システム制御部534は、保持アーム制御部512に、先端部100を所定の値だけ奥へ移動させるよう指令する。
ステップS9においてシステム制御部534は、超音波素子制御部220に、第2の照射モードによる組織凝固用超音波照射を行うよう指令する。
【0112】
ステップS10においてシステム制御部534は、内部画像取得部250から、内部画像を取得する。
ステップS11においてシステム制御部534は、超音波照射位置における組織の凝固が十分か否かをステップS10で取得した内部画像に基づき判断する。ステップS11の判断の結果、凝固が十分であれば、システム制御部534は処理を終了する。
【0113】
ステップS11の判断の結果、凝固が十分でなければ、ステップS12においてシステム制御部534は、標的より手前に標的位置に超音波を照射することの障害となるマイクロバブルの量が閾値以上あるか否かをステップS10で取得した内部画像に基づき判断する。ステップS12の判断の結果、障害となるマイクロバブルが閾値より少ない場合、システム制御部534は、処理をステップS9に移す。ステップS12の判断の結果、マイクロバブルの量が閾値以上ある場合、ステップS13においてシステム制御部534は、保持アーム制御部512に、先端部100を照射開始位置へ戻すよう指令し、処理をステップS3に戻す。
【0114】
ここには、不要なマイクロバブルを除去するための奥行き方向の動きのみを記したが、第4の実施形態の説明に記載した通り、凝固させたい部分について奥から手前に順に超音波を照射する動きや、広範囲に超音波を照射するために面方向に順に超音波を照射する動きを可能とする様に構成しても良い。
【0115】
この様に、マイクロバブル除去用超音波照射は、集束超音波の伝播領域内かつ目標とする焦点位置とは異なる一つ以上の点に焦点を結ぶ集束超音波を第1の超音波発生源から照射する第1の照射モードとして機能し、組織凝固用超音波照射は、目標とする焦点位置に焦点を結ぶ集束超音波を第1の超音波発生源から照射する第2の照射モードとして機能する。
【0116】
尚、マイクロバブルが関心領域に充満するのには、例えば特開2002−191599号公報に開示されている様に、3〜5秒かかることが知られているので、マイクロバブル除去用超音波照射の終了から組織凝固用超音波照射開始までの時間は3秒以内であることが望ましいと考えられる。従って、本実施形態においてもマイクロバブル除去用超音波照射の終了から組織凝固用超音波照射開始までの時間、即ち第1の照射モードから第2の照射モード間での切換時間は3秒以内とする。マイクロバブル除去用超音波照射の終了から組織凝固用超音波照射開始までの時間を3秒以内にすることで、不要なマイクロバブルによる照射超音波の減衰が防止でき、組織凝固を効率的に行うことができる。
【0117】
以上の様に構成された腹腔鏡手術システムに依れば、焦点手前のマイクロバブルのみを消去し、且つ、標的位置のマイクロバブルを残存させることが可能になる。その結果、標的位置におけるマイクロバブルによる凝固能力の増強効果をより高めることができる。
【0118】
尚、第4の実施形態及び第5の実施形態の説明においては腹腔鏡を例に挙げたが、先端部100の形状や、操作部200から先端部100までの接続態様や、照射する超音波のエネルギーや、周波数を適当に設定することで、同様の構成で、内視鏡、術中型、体外型、及びその他の形態を構成することもできる。
【0119】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。例えば、第4の実施形態及び第5の実施形態における位置マーカー520、外部診断機器522、位置情報取得部523、及び表示部524や、外部内部情報重畳部526及び表示部527は実施にあたって不要であれば削除することもできるし、観察用光学器具160及び光源165は、先端部100に設置せずに、別に既存の腹腔鏡を併用することに代えても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0120】
100…先端部、110…超音波素子、112…A群の圧電素子、114…B群の圧電素子、150…イメージング用超音波プローブ、160…観察用光学器具、165…光源、200…操作部、210…超音波素子駆動部、220…超音波素子制御部、221…重畳情報出力部、222…素子群指定部、223…位相制御部、224…モード切替部、225…周波数制御部、230…超音波素子操作部、250…内部画像取得部、260…重畳部、270…表示部、280…外部画像取得部、290…表示部、310…被験体、320…超音波伝播媒体層、350…画像取得範囲、360…伝播領域、370…焦点、382…血管、400…cMUT、401…下部基板、402…下部電極、403…シリコン基板、404…空隙、405…メンブレン部、406…上部電極、407…質量部、410…第1のcMUTアレイ、510…保持アーム、512…保持アーム制御部、514…保持アーム操作部、520…位置マーカー、522…外部診断機器、523…位置情報取得部、524…表示部、526…外部内部情報重畳部、527…表示部、532…入力部、534…システム制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域に焦点を形成する集束超音波を発生する第1の超音波発生源と、
対象領域に焦点を形成しない非集束超音波を発生する第2の超音波発生源と、
前記第1の超音波発生源及び前記第2の超音波発生源を同時に制御する制御手段と、
前記制御手段による制御に従って前記第1の超音波発生源及び前記第2の超音波発生源を駆動する駆動手段と、
を具備することを特徴とする超音波照射装置。
【請求項2】
前記集束超音波及び前記非集束超音波が照射される領域の少なくとも一部を含む領域の画像である被験体内画像を取得する被験体内画像取得手段と、
前記被験体内画像に、前記集束超音波の焦点の位置を示す第1のマーカー並びに前記集束超音波及び前記非集束超音波が照射される領域を示す第2のマーカーのうち少なくとも何れか一方を重畳した重畳画像を作成する重畳手段と、
を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の超音波照射装置。
【請求項3】
前記集束超音波の目標焦点位置を指示する焦点位置指示手段を更に具備し、
前記第1の超音波発生源は複数の超音波発生素子を有し、
前記制御手段は更に、前記焦点位置指示手段による目標焦点位置に前記集束超音波の焦点が形成されるように、前記複数の超音波発生素子が発生する超音波の各々の位相を制御する位相制御部を含む
ことを特徴とする請求項1及び請求項2のうち何れか1項に記載の超音波照射装置。
【請求項4】
前記集束超音波の目標焦点位置を指示する焦点位置指示手段を更に具備し、
前記制御手段は更に、
超音波を発生する複数の超音波発生素子の中から、目標焦点位置に基づいて前記集束超音波を発生する第1の超音波発生源を構成するための第1の超音波発生素子群を指定すると共に、残りの超音波発生素子を前記非集束超音波を発生する第2の超音波発生源を構成するための第2の超音波発生素子群に指定する素子群指定部を有し、
前記目標焦点位置に前記集束超音波の焦点が形成されるように、前記第1の超音波発生素子群に属する前記超音波発生素子が発生する超音波の各々の位相を制御する位相制御部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波照射装置。
【請求項5】
前記集束超音波の目標焦点位置を指示する焦点位置指示手段を更に具備し、
前記制御手段は更に、
超音波を発生する複数の超音波発生素子の中から、目標焦点位置に基づいて前記集束超音波を発生する第1の超音波発生源を構成するための第1の超音波発生素子群を指定すると共に、残りの超音波発生素子を前記非集束超音波を発生する第2の超音波発生源を構成するための第2の超音波発生素子群に指定する素子群指定部を有し、
前記目標焦点位置に前記集束超音波の焦点が形成されるように、前記第1の超音波発生素子群に属する前記超音波発生素子が発生する超音波の各々の位相を制御する位相制御部と、
前記重畳手段における前記第1のマーカー及び/又は第2のマーカーの重畳のために、前記第1の超音波発生素子群に属する前記超音波発生素子が発生する超音波の各々の位相を制御することで形成される焦点の位置を示す情報及び/又は、前記第1の超音波発生素子群に属する前記超音波発生素子から発生する超音波が照射される領域及び前記第2の超音波発生素子群に属する前記超音波発生素子から発生する超音波が照射される領域を示す情報を前記重畳手段に出力する重畳情報出力部を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波照射装置。
【請求項6】
前記第1の超音波発生源と前記第2の超音波発生源は、一体に形成された圧電材料で構成されていることを特徴とする請求項1及び請求項2のうち何れか1項に記載の超音波照射装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1の超音波発生源の出力と前記第2の超音波発生源の出力を、個別に制御することを特徴とする請求項1及び請求項2のうち何れか1項に記載の超音波照射装置。
【請求項8】
前記超音波発生素子は、同心円形状に複数の圧電材料を配置して構成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のうち何れか1項に記載の超音波照射装置。
【請求項9】
前記制御手段は更に、
目標とする焦点位置に前記集束超音波を照射する場合に前記集束超音波の伝播領域内かつ前記目標とする焦点位置とは異なる一つ以上の点に焦点を結ぶ集束超音波を前記第1の超音波発生源から照射する第1の照射モードと、
前記目標とする焦点位置に焦点を結ぶ前記集束超音波を前記第1の超音波発生源から照射する第2の照射モードとを切り替えるモード切替部を含む
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち何れか1項に記載の超音波照射装置。
【請求項10】
前記第1の照射モードにおいて照射する超音波のエネルギーは、前記第2の照射モードにおいて照射する超音波のエネルギーより小さいことを特徴とする請求項9に記載の超音波照射装置。
【請求項11】
前記第2の照射モードにおける超音波の照射は、前記第1の照射モードにおける超音波の照射の終了後3秒以内に実施することを特徴とする請求項9に記載の超音波照射装置。
【請求項12】
少なくとも前記第1の超音波発生源が静電容量型振動子によって構成され、
前記制御手段は更に、前記静電容量型振動子から照射される超音波の周波数を変更するための周波数制御部を含む
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち何れか1項に記載の超音波照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−188924(P2011−188924A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56299(P2010−56299)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】