超音波細胞破砕装置
【課題】 超音波発振器から発振される超音波の振動エネルギーを効率よく密閉容器に伝達させ、密閉容器内の細胞を確実に破砕できる超音波細胞破砕装置を提供する。
【解決手段】 超音波細胞破砕装置1は、上部に蓋22が被せられ、内部に液体が収容される槽7と、この槽7の上部に被せられるギア板11と、このギア板11に設けられるとともに内部に細胞分散液Tが封入される複数の密閉容器20と、槽7の下方に設けられ超音波を発振する超音波発振器3、およびこの超音波発振器3から発振される超音波を槽7に伝達して槽7内の液体Wに振動エネルギーを付与する振動子5を含む超音波発生手段6と、槽7の内部に設けられ超音波発生手段6の超音波発振器3から発振される超音波を捕捉して集束する集束部材24を備えている。
【解決手段】 超音波細胞破砕装置1は、上部に蓋22が被せられ、内部に液体が収容される槽7と、この槽7の上部に被せられるギア板11と、このギア板11に設けられるとともに内部に細胞分散液Tが封入される複数の密閉容器20と、槽7の下方に設けられ超音波を発振する超音波発振器3、およびこの超音波発振器3から発振される超音波を槽7に伝達して槽7内の液体Wに振動エネルギーを付与する振動子5を含む超音波発生手段6と、槽7の内部に設けられ超音波発生手段6の超音波発振器3から発振される超音波を捕捉して集束する集束部材24を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波細胞破砕装置に係り、更に詳しくは、密閉容器内に、被破砕体としての細胞を溶かした溶液を密閉収容するとともに、この状態で、密閉容器に対して超音波を放射して、密閉容器内の溶液等に加えられる超音波衝撃作用と、密閉容器自体の超音波共振とに基づく細胞分散液のキャビテーション作用等によって細胞を破砕するようにした超音波細胞破砕装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医学や農芸化学、その他各種の分野で、バイオテクノロジー、臨床検査時の尿、血清検査等において、動植物の細胞を含む各種の細胞内の生化学的解析等が必要になっており、細胞の機械的破砕が要望されている。
【0003】
細胞の機械的破砕を行うために、超音波による破砕装置が用いられている。この破砕装置としては、従来、ビーカーまたは試験管等の非密閉性の容器内に細胞を溶かした細胞分散液を収容して、その容器の上方から容器内にホーンまたはチップを浸漬し、その状態で超音波発振器の出力により振動子を励振させ、ホーン等を介して容器中の細胞溶液に超音波振動を加え、容器にキャビテーション現象等を生じさせて、細胞等の細胞膜を破砕する構成のものが使用されていた。
【0004】
以上のような超音波による破砕装置においては、破砕すべき細胞が分散している液の同一のものを大量に破砕できる特徴を有している反面、次のような不具合点を有している。
【0005】
すなわち、まず、数種類の細胞を同時に破砕することができないという点が挙げられる。また、ホーンを通すために容器が開口しているので、エアゾールが容器より飛散するおそれがあり、ウィルス、細胞等を扱う検査者、研究者にとっては、極めて危険である。さらに、外部よりの細菌類によって細胞が汚染される可能性もあり、水分の漏出やPHの変化が生じる場合もある。
【0006】
そこで、本出願人は、図11、図12に示すように、破砕すべき細胞を溶かした液Tを収容できる容器本体301と蓋312よりなる密閉容器308を備え、上記密閉容器308の容器本体310部分を槽307の液W中に浸漬せしめると共に、上記槽307の底面から超音波を放射せしめて上記密閉容器308内の細胞分散液中の細胞を破砕するようにした細胞の超音波細胞破砕装置において、上記容器本体308の底壁310Aの中央部分の外周壁に、奥へ行くに従い小径となる小さい溝310Bを形成した細胞の超音波細胞破砕装置301を開発した(特許文献1参照)。
【0007】
この細胞の超音波細胞破砕装置によれば、比較的微量の細胞を一度に数種類破砕することができる。また、容器が密閉されているのでエアゾールが飛散することがなく、かつ、水分が漏れることがない。さらに、容器が密閉されているのでPHの変化を生じることがなく、また、温度や時間によって起こる変化を少なくすることができる。
【0008】
【特許文献1】特許2671135号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1では、密閉容器を用いることにより、エアゾールが飛散することがなく、同時に数種類の細胞を破砕できる。超音波作用が密閉容器に及び密閉容器の固有振動で共振することで、密閉容器内の細胞分散液にキャビテーションが生じ、その結果、密閉容器内の細胞を破砕することができる。密閉容器の底壁に形成された溝に放射超音波の振動エネルギーがロスなく集中されるので、密閉容器内部の細胞に破砕作用が及び、確実に細胞を破砕することができる、等の効果が得られるが、超音波振動のエネルギーが槽内の液を伝播して密閉容器に達するものがある一方で、液中を伝播するだけで消滅するものもあり、エネルギーのロスが生じ、必ずしも振動エネルギーを効率よく密閉容器に伝えられない、という問題点が生じている。
【0010】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、超音波発振器から発振される超音波の振動エネルギーを効率よく密閉容器に伝達させ、密閉容器内の細胞を確実に破砕できる超音波細胞破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を解決するために、本発明の請求項1に記載の超音波細胞破砕装置1は、上部が開放されるとともに内部に液体Wが収容される槽7と、この槽7の上記上部に被せられる蓋部材11と、この蓋部材11に設けられるとともに内部に細胞分散液Tが封入される少なくとも一個の密閉容器20と、上記槽7の下方に設けられ超音波を発振する超音波発振器3、およびこの超音波発振器3から発振される超音波を上記槽7に伝達して当該槽7内の上記液Tに超音波の振動エネルギーを付与する振動子5を含む超音波発生手段6と、上記槽7の内部に設けられ上記超音波発生手段6の超音波発振器3から発振される超音波を捕捉して集束する集束部材24を備えて構成され、この集束部材24は、上記超音波発生手段6側内径が大きく反対側内径が小さなテーパ状の側面を有するスカート形状に形成されるとともに、上記少なくとも一個の密閉容器20を囲んで配置されていることを特徴とする超音波細胞破砕装置1である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、集束部材が、スカート状に形成されているので、超音波による振動エネルギーは、槽の液中を伝播して集束部材の内面に衝突したのち反射し、槽の中央部に容易に集束されて集束部材に囲まれた内部の密閉容器に衝突し、密閉容器を振動させる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の超音波細胞破砕装置は、上記集束部材24が、上記蓋部材11の裏面に設けられていることを特徴とする超音波細胞破砕装置1である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、蓋部材を槽に被せることで上記集束部材が、密閉容器20と共に槽内の液体W中に浸漬される。
【0013】
本発明の請求項3に記載の超音波細胞破砕装置は、上記集束部材34(24)が、上記槽7内に配置されたアタッチメント15に設けられ、このアタッチメント15は上記蓋部材11に吊設されていることを特徴とする超音波細胞破砕装置31(1)である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、蓋部材を槽に被せることで集束部材34の上端が槽内の液体W上面近傍に配置される。
【0014】
本発明の請求項4に記載の超音波細胞破砕装置は、上記集束部材44(24)が、上記槽7の内部に取付け部材43を介して設けられ、上記集束部材44(24)の上端部は上記密閉容器20の上端部と略同じ高さとなっていることを特徴とする超音波細胞破砕装置41(1)である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、蓋部材を槽に被せることで集束部材の上端部が、上記密閉容器の上端部と略同じ高さ位置に保持される。
【0015】
本発明の請求項5に記載の超音波細胞破砕装置は、上記槽7、超音波発振器3および振動子5がケース1内に設けられ、このケース2の上端部には中心に開口部8Aが形成されたケース用蓋部材8が設けられ、上記槽7の蓋部材11は上記ケース用蓋部材8の開口部8Aを塞ぐとともに、槽7の蓋部材11の外周にはギアが形成され、このギアは、上記ケース用蓋部材8に設けられた電動モータ9により駆動するギア10と噛合し、上記蓋部材11および集束部材24(34,44)は回動可能となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の超音波細胞破砕装置1(31)である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、電動モータの駆動によりケース用蓋部材を介して集束部材が槽の液中で回動される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の効果を奏する。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、超音波発振器から発振される超音波の振動エネルギーを効率よく密閉容器に伝達させ、密閉容器内の細胞を確実に破砕できる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、集束部材を蓋部材に予め取付けておくことで、蓋部材を槽に被せると同時に集束部材を設けることができるので、集束部材を取付ける手間が省ける。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、集束部材がアタッチメントに取付けられ、このアタッチメントが蓋部材に吊設されているので、集束部材の高さ寸法を短くすることができ、これにより、集束部材の小型化を図ることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、集束部材の上端部が密閉容器の上端部と略同じ高さとなっているので、集束部材で捕捉された超音波の振動エネルギーを確実に密閉容器に伝達することができ、密閉容器内の細胞を確実に破砕することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、各密閉容器に放射される超音波が不均一であっても、集束部材が回動可能となっているので、複数の密閉容器全体の平均は等しくなり、超音波エネルギーを均一に伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1〜図3には、超音波細胞破砕装置1の実施例1が示されている。図1は本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例1を示す全体縦断面図、図2は上記実施例1の要部を示す分解斜視図、図3は上記実施例1の要部を示す分解斜視図である。
【0024】
図1に示すように、超音波細胞破砕装置1は、例えば四角形の箱状のケース2を備えている。このケース2の底部には、超音波発振手段6が配置されている。超音波発振手段6は、超音波を発振する超音波発振器3と、この超音波発振器3の上方に設けられ当該超音波発振器3により駆動される励振コイル4と、この励振コイル4と接続されたフェライト磁歪振動子等の複数個の振動子5とを含み構成されている。
【0025】
ケース2内において、励振コイル4および振動子5の上方には、上部が開放された例えば円筒状の槽7が、振動子5と当接状態となって設けられている。従って、槽7には、振動子5から超音波の振動エネルギーが付与されるようになっている。
【0026】
この槽7は、ケース2の上面を覆うケース用蓋部材としてのケース蓋8の裏面に、当該ケース蓋8と一体的に設けられている。槽7の内部には液Wが所定レベルまで収容されている。そのため、超音波発振器3から発振される超音波が槽7の底部から液W中を伝播するようになっている。
【0027】
ケース蓋8の中央部には、槽7の外径よりわずかに小さな径の開口部8Aが形成されている。この開口部8Aには、外周にギアが形成された槽7の蓋部材としてのギア板11が被せられている。
【0028】
ケース蓋8の上面には電動モータ9が設けられ、この電動モータ9の主軸にはギア10が取付けられている。このギア10には、上記ギア板11のギアが噛合しており、電動モータ9の駆動により、ギア板11は回転自在となっている。
【0029】
ギア板11の中央部には、ナット13により止められた状態でホルダ棒14が上記槽7 内に垂設されている。ホルダ棒14の上部にはねじ部14Aが形成されており、このねじ部14Aと上記ナット13との螺合により、ホルダ棒14の高さ方向の位置調整が自在となっている。
【0030】
このようなホルダ棒14の下部には、アタッチメントである回転ホルダ15を取付けるための雄ねじ14Bが螺設されている。
【0031】
上記回転ホルダ15は、円板16と、この円板16の蓋17とで構成されており、円板16は、図2に詳細を示すように、円板本体16Aとこの円板本体16Aの外周に立設されたほぼ垂直な縁部16Bとで形成され、円板16はほぼ皿状に形成されている。そして、以上のような回転ホルダ15は、上記ギア板11よりやや小径となっている。
【0032】
上記円板16の円板本体16Aには、その外周側の円周上に、複数の密閉容器20を挿着するための丸孔16C(図3参照)が形成されている。また、円板本体16Aの中央部には、雌ねじ16Dが螺設されている。この雌ねじ16Dには、上記ホルダ棒14の下部の雄ねじ14Bが螺合するようになっており、両ねじ16D、14Bの螺合により、回転ホルダ15がホルダ棒14に取付けられている。この際、ホルダ棒14の雄ねじ14Bの部分は上記蓋17の下方に位置している。
【0033】
前述のように、ホルダ棒14はナット13との協働によって高さ方向の位置調整が自在となっているので、ホルダ棒14に取付けられた回転ホルダ15は、槽7の大きさ、槽7内部の液Wのレベルに対応して高さを調整することができる。
【0034】
密閉容器20は、図3に詳細を示すように、容器本体21と容器蓋22とで構成されている。容器本体21は、その底壁21Aの方に行くに従い次第に細径となるテーパ状に形成されており、底壁21Aの中央部の外周壁に、奥に行くに従い次第に小径となる小さい溝21Bが形成されている。
【0035】
以上のような容器本体21としては、特に高硬度材質で形成されることが望ましく、例えば、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン、アクリル、高密度ポリエチレン、ポリスチレン等のいずれかで形成されることが好ましい。
【0036】
ホルダ棒14の雄ねじ14Bが円板本体16Aの中央部の雌ねじ16Dに螺合したとき、円板本体16Aに取付けられた上記密閉容器20の天面20Aと、回転ホルダ15の蓋17の裏面17A間には、図3に示すように、寸法S1のクリアランスが予め設定されている。このため、蓋17が接触して密閉容器20を押圧することがないので、密閉容器20自体を超音波振動により確実に共振させることができる。
【0037】
図1に示すように、上記ギア板11の裏面には、超音波による振動エネルギーを集束する集束部材24が設けられている。
【0038】
すなわち、集束部材24は、超音波発生手段6側内径が大きく反対側内径が小さなテーパ状の側面を有するスカート状、すなわち、本実施例では、中空の截頭円錐形に形成され、回転ホルダ15の周囲を囲むように配置されている。このような集束部材24は、上記反対側、つまり上端部がギア板11の裏面に固着され、超音波発生手段6側、つまり下端側が槽7の底部に向かって延出され、このとき、集束部材24の下端と槽7の底面との間隔はS2となっている。また、上端部と下端部とは角度αの傾斜のテーパとなっており、この角度αは、例えば30度程度とされているが30度には限定されるものではない。
【0039】
以上の集束部材24はギア板11に取付けられているので、ギア板11と一体的に回転自在である。そして、以上の集束部材24は、例えばステンレス、あるいは耐蝕性等に優れた合成樹脂等で形成されているが、ギア板11と同じ材質のものを使用すると、取付けが容易である等の点で好適である。
【0040】
次に、以上のような構成の超音波細胞破砕装置1の使用方法を説明する。
【0041】
まず、複数の密閉容器20内に、所定の細胞が混入された細胞分散液が混入された液を投入した後、各密閉容器20に容器蓋22を被せて密閉する。この際、複数の密閉容器20はすべて同一種類の細胞分散液が封入されたものであってもよく、あるいはそれぞれ異なる種類のものが封入されているものを同時に使用してもよい。
【0042】
その後、回転ホルダ15の蓋17を開けておいて、円板本体16Aの複数の丸孔16Cに各密閉容器20を挿着し、円板本体16Aに蓋17をする。そして、ホルダ棒14の雄ねじ14Bを円板本体16Aの雌ねじ16Dに螺合させて、ホルダ棒14に回転ホルダ15を取付ける。
【0043】
次いで、裏面に集束部材24を固着したギア板11に、回転ホルダ15を取付けたホルダ棒14をナット13で固定して高さ方向の位置を調整して所定位置に吊設させる。
【0044】
この際、集束部材24を超音波細胞破砕装置1の槽7の液W中に浸漬させ、ギア板11をケース蓋8の開口部8Aに被せる。このとき、ギア板11のギアと電動モータ9のギア10とを噛合させる。
【0045】
回転ホルダ15を超音波細胞破砕装置1の槽7の液W中に浸漬するとき、槽7の液Wのレベルが密閉容器20内の細胞分散液のレベルより上方になるようにセットする。
【0046】
以上のような準備が終了したら、電動モータ9を駆動させてギア板11および回転ホルダ15等を回転させるとともに、超音波発振器3を駆動させる。超音波発振器3により超音波を放射すると、超音波の一部は直進して槽7内の液Wを伝播しながら密閉容器20に向かい、かつ衝突して密閉容器20を振動させる。また、超音波の一部は集束部材24のテーパ形状の内面に衝突した後、反射して密閉容器20側に向かい、かつ衝突して密閉容器20を振動させる。
【0047】
集束部材24は、中空の截頭円錐形に形成されているので、集束部材24の内面に衝突した放射超音波はすべてが集束部材24の中心側に反射する。
【0048】
密閉容器20は、放射超音波振動の振動数下で共振する固有振動を有しているので、超音波放射により共振する。この共振により細胞分散液T中に二次的な振動が生じ、溶液中にキャビテーションが生じ、細胞分散液T中の細胞が破砕される。つまり、細胞膜が破砕され細胞小器官に分離される。
【0049】
密閉容器20が共振すると、密閉容器20内の細胞分散液Tがその超音波作用下で激しい振動を受ける。その結果、細胞は激しい振動エネルギーによって容器本体21の底壁21Aの内壁面に激しくたたきつけられる。さらに、密閉容器20の底壁21Aの中央部の外周壁に小さい溝21Bが形成されているので、超音波の振動エネルギーが溝21Bに集中し、その結果、密閉容器20の底壁21Aが激しく振動して、底壁21A部分に収容されている細胞分散液Tが底壁面にたたきつけられ、内部の細胞がより確実に破砕される。
【0050】
以上のような実施例1によれば、次のような効果が得られる。
【0051】
(1)槽7の下方から超音波発振手段6により放射される超音波が、振動エネルギーとして槽7の内部で集束部材24により捕捉され、かつ集束される。特に、集束部材24はスカート状、すなわち、中空の截頭円錐形形状に形成されているので、振動エネルギーは衝突した後、反射し、中央部に容易に集束される。そのため、超音波の振動エネルギーが槽7の液中を伝播して、集束部材24で囲まれた密閉容器20に衝突し、密閉容器20を振動させる。従って、超音波発振器3から発振される超音波の振動エネルギーを効率よく密閉容器20に伝達させることができ、これにより、密閉容器20自体、および密閉容器20内の細胞分散液あるいは液が振動して、その内部に混入している細胞を確実に破砕できる。
【0052】
(2)集束部材24が槽7内に配置される回転ホルダ15に設けられ、この回転ホルダ15はギア板11に吊設されているので、集束部材24の高さ寸法を小さくすることができ、これにより、集束部材24を小型化することができる。
【0053】
(3)回転ホルダ15を取付けるホルダ棒14は、その上部のねじ部14Aとナット13との螺合により、高さ方向の位置調整が自在となっているので、槽7の液Wのレベルに対応させて、密閉容器20、ひいては回転ホルダ15の高さ位置を容易に調整でき、密閉容器20の内部の細胞分散液Tを最適の高さ位置に保持することができる。
【0054】
(4)密閉容器20に放射される超音波が不均一であっても、集束部材24が回動可能となっているので、複数の密閉容器20全体の放射される超音波の振動エネルギーが平均化される。その結果、超音波の振動エネルギーを均一に伝達することができる。
【0055】
(5)超音波細胞破砕装置1は、複数の密閉容器20を備えているので、細胞分散液T内の細胞、あるいは微細物を、大量に、かつ、同時に破砕することができる。
【実施例2】
【0056】
次に、図4に基づいて本発明の実施例2を説明する。図4は本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例2を示す全体縦断面図である。本実施例および以下の実施例において、上記実施例1と同一構造および同一使用部材には、同一符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0057】
実施例2の超音波細胞破砕装置31は、集束部材34を上記回転ホルダ15に取付けたものである。すなわち、集束部材34は、回転ホルダ15の円板本体16Aの下面外周に、槽7の下面側に延びて設けられている。集束部材34は、上記実施例1の集束部材24と同様の中空の截頭円錐形形状となっているが、ギア板11の裏面と回転ホルダ15の円板本体16Aとの差分だけ短い高さ寸法に形成されている。
【0058】
このような実施例2によれば、上記実施例1と同様の作用、および(1)、(3)〜(5)の効果と同様の効果を得ることができる他、(6)集束部材34が回転ホルダ15に取付けられ、この回転ホルダ15は、ホルダ棒14により、ギア板11の下方に吊設されているので、ギア板11の高さ位置と、回転ホルダ15の高さ位置との差の分だけ集束部材34の高さ寸法を小さくすることができ、その結果、集束部材34を小型化することができる、という効果が得られる。
【実施例3】
【0059】
次に、図5に基づいて本発明の実施例3を説明する。図5は本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例3を示す全体縦断面図である。
【0060】
この実施例3の超音波細胞破砕装置41は、集束部材44を上記回転ホルダ15の槽7に取付けたものである。すなわち、槽7の上部内面には、回転ホルダ15の外周と槽7の外周との間に配置可能な幅寸法のリング状の取付け部材としての取付け板43が固着されている。集束部材44は、上記取付け板43の内径側下面に取付けられている。そして、取付け板43の高さ位置は、回転ホルダ15の円板本体16Aの高さ位置とほぼ同一高さとなっている。
【0061】
集束部材44は、上記実施例2の集束部材34とほぼ同様の形状となっているが、この実施例3では、集束部材44は槽7に取付けられているので、回転できない構造となっている。ただし、ギア板11、回転ホルダ15は回転するので、集束部材44は相対的に回転可能とされていることになる。
【0062】
このような実施例3によれば、上記実施例1、および実施例2と同様の作用、および実施例1の(1)、(3)〜(5)の効果、実施例2の(6)の効果と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0063】
次に、図6に基づいて本発明の実施例4を説明する。図6は本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例4を示す全体縦断面図である。
【0064】
この実施例4の超音波細胞破砕装置51は、上記各実施例で使用した電動モータ9、ギア10、ギア板11、回転ホルダ15等を設けずに、ケース2に被せたケース蓋57の開口部に、槽7の蓋53を被せ、この蓋53に上記密閉容器20を挿着するとともに、集束部材54を取付けたものである。
【0065】
すなわち、槽7の上部開口を塞ぐ蓋53の裏面には、上記集束部材24とほぼ同一形状の集束部材54が槽7の底部側に延びて取付けられている。
【0066】
このような実施例4によれば、上記第1〜実施例3と同様の作用、および(1)、(5)の効果と同様の効果を得ることができる。
【0067】
なお、本発明は前述の実施例に限定されるものではなく、例えば、上記各実施例では、集束部材24,34,44,54は、所定のテーパを有する中空の截頭円錐形に形成されているが、例えば図7に示すように、パラボナアンテナのように、全体が湾曲した形状の集束部材64を使用してもよい。このような実施例では、超音波が集束部材64のどの内面に衝突しても中央側に集まるようになっているので、より効率よく振動エネルギーを集束することができる。
【0068】
また、上記各実施例では、密閉容器20として、奥に行くに従って小径となるものを使用していたが、これに限らず、例えば図8に示すような、同一径で形成され丸底の密閉容器60を使用してもよい。
【0069】
さらに、図9に示すような密閉容器70を使用してもよい。この密閉容器70は、容器本体71と、蓋72とを備えており、容器本体71の内部には金属棒73が収容されている。この金属棒73の上部にはねじ部74が形成され、このねじ部74にナット75が螺合することで、金属棒73が支持される。この密閉容器70では、金属棒73の共振を利用して容器本体71の内部の細胞を破砕するようになっている。
【0070】
また、図10に示すような構成の密閉容器80を使用してもよい。この密閉容器80は上記密閉容器70の大容量化を図ったもので、容器本体81が密閉容器70の容器本体71より大きく形成されているものである。したがって、蓋82も容器本体81に合わせて大きく形成されている。
【0071】
また、上記実施例4では蓋53の裏面に集束部材54を取付けたが、これに限らず、実施例4の超音波細胞破砕装置51の槽7に、実施例3の集束部材44を取付けるのと同じように、槽7の内径面に取付け部材を介して集束部材を取付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例1を示す全体縦断面図である。
【図2】上記実施例1の要部を示す分解斜視図である。
【図3】上記実施例1の要部を示す縦断面図である。
【図4】本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例2を示す全体縦断面図である。
【図5】本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例3を示す全体縦断面図である。
【図6】本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例4を示す全体縦断面図である。
【図7】本発明の集束部材の変形例を示す縦断面図である。
【図8】本発明の密閉容器の変形例を示す縦断面図である。
【図9】本発明の密閉容器の他の変形例を示す縦断面図である。
【図10】本発明の密閉容器のさらに他の変形例を示す縦断面図である。
【図11】従来の超音波細胞破砕装置を示す全体縦断面図である。
【図12】上記従来の超音波細胞破砕装置で使用される密閉容器を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1,31,41,51 超音波細胞破砕装置
2 ケース
3 超音波発振器
4 励振コイル
5 振動子
6 超音波発振手段
7 槽
8 ケース蓋(ケース用蓋部材)
9 電動モータ
10 ギア
11 ギア板(蓋部材)
13 ナット
14 ホルダ棒
14A ねじ部
14B 雄ねじ
15 回転ホルダ(アタッチメント)
16 円板
16A 円板本体
16B 縁部
16C 丸孔
16D 雌ねじ
17 蓋
17A 裏面
20,60,70,80 密閉容器
20A 天面
21,71,81 容器本体
21A 底壁
21B 溝
22 容器蓋(蓋)
24,34,44 集束部材
43 取付け板(取付け部材)
53 蓋
54,64 集束部材
57 ケース蓋
72 蓋
73 金属棒
74 ねじ部
75 ナット
82 蓋
T 細胞分散液
W 液体
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波細胞破砕装置に係り、更に詳しくは、密閉容器内に、被破砕体としての細胞を溶かした溶液を密閉収容するとともに、この状態で、密閉容器に対して超音波を放射して、密閉容器内の溶液等に加えられる超音波衝撃作用と、密閉容器自体の超音波共振とに基づく細胞分散液のキャビテーション作用等によって細胞を破砕するようにした超音波細胞破砕装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医学や農芸化学、その他各種の分野で、バイオテクノロジー、臨床検査時の尿、血清検査等において、動植物の細胞を含む各種の細胞内の生化学的解析等が必要になっており、細胞の機械的破砕が要望されている。
【0003】
細胞の機械的破砕を行うために、超音波による破砕装置が用いられている。この破砕装置としては、従来、ビーカーまたは試験管等の非密閉性の容器内に細胞を溶かした細胞分散液を収容して、その容器の上方から容器内にホーンまたはチップを浸漬し、その状態で超音波発振器の出力により振動子を励振させ、ホーン等を介して容器中の細胞溶液に超音波振動を加え、容器にキャビテーション現象等を生じさせて、細胞等の細胞膜を破砕する構成のものが使用されていた。
【0004】
以上のような超音波による破砕装置においては、破砕すべき細胞が分散している液の同一のものを大量に破砕できる特徴を有している反面、次のような不具合点を有している。
【0005】
すなわち、まず、数種類の細胞を同時に破砕することができないという点が挙げられる。また、ホーンを通すために容器が開口しているので、エアゾールが容器より飛散するおそれがあり、ウィルス、細胞等を扱う検査者、研究者にとっては、極めて危険である。さらに、外部よりの細菌類によって細胞が汚染される可能性もあり、水分の漏出やPHの変化が生じる場合もある。
【0006】
そこで、本出願人は、図11、図12に示すように、破砕すべき細胞を溶かした液Tを収容できる容器本体301と蓋312よりなる密閉容器308を備え、上記密閉容器308の容器本体310部分を槽307の液W中に浸漬せしめると共に、上記槽307の底面から超音波を放射せしめて上記密閉容器308内の細胞分散液中の細胞を破砕するようにした細胞の超音波細胞破砕装置において、上記容器本体308の底壁310Aの中央部分の外周壁に、奥へ行くに従い小径となる小さい溝310Bを形成した細胞の超音波細胞破砕装置301を開発した(特許文献1参照)。
【0007】
この細胞の超音波細胞破砕装置によれば、比較的微量の細胞を一度に数種類破砕することができる。また、容器が密閉されているのでエアゾールが飛散することがなく、かつ、水分が漏れることがない。さらに、容器が密閉されているのでPHの変化を生じることがなく、また、温度や時間によって起こる変化を少なくすることができる。
【0008】
【特許文献1】特許2671135号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1では、密閉容器を用いることにより、エアゾールが飛散することがなく、同時に数種類の細胞を破砕できる。超音波作用が密閉容器に及び密閉容器の固有振動で共振することで、密閉容器内の細胞分散液にキャビテーションが生じ、その結果、密閉容器内の細胞を破砕することができる。密閉容器の底壁に形成された溝に放射超音波の振動エネルギーがロスなく集中されるので、密閉容器内部の細胞に破砕作用が及び、確実に細胞を破砕することができる、等の効果が得られるが、超音波振動のエネルギーが槽内の液を伝播して密閉容器に達するものがある一方で、液中を伝播するだけで消滅するものもあり、エネルギーのロスが生じ、必ずしも振動エネルギーを効率よく密閉容器に伝えられない、という問題点が生じている。
【0010】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、超音波発振器から発振される超音波の振動エネルギーを効率よく密閉容器に伝達させ、密閉容器内の細胞を確実に破砕できる超音波細胞破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を解決するために、本発明の請求項1に記載の超音波細胞破砕装置1は、上部が開放されるとともに内部に液体Wが収容される槽7と、この槽7の上記上部に被せられる蓋部材11と、この蓋部材11に設けられるとともに内部に細胞分散液Tが封入される少なくとも一個の密閉容器20と、上記槽7の下方に設けられ超音波を発振する超音波発振器3、およびこの超音波発振器3から発振される超音波を上記槽7に伝達して当該槽7内の上記液Tに超音波の振動エネルギーを付与する振動子5を含む超音波発生手段6と、上記槽7の内部に設けられ上記超音波発生手段6の超音波発振器3から発振される超音波を捕捉して集束する集束部材24を備えて構成され、この集束部材24は、上記超音波発生手段6側内径が大きく反対側内径が小さなテーパ状の側面を有するスカート形状に形成されるとともに、上記少なくとも一個の密閉容器20を囲んで配置されていることを特徴とする超音波細胞破砕装置1である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、集束部材が、スカート状に形成されているので、超音波による振動エネルギーは、槽の液中を伝播して集束部材の内面に衝突したのち反射し、槽の中央部に容易に集束されて集束部材に囲まれた内部の密閉容器に衝突し、密閉容器を振動させる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の超音波細胞破砕装置は、上記集束部材24が、上記蓋部材11の裏面に設けられていることを特徴とする超音波細胞破砕装置1である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、蓋部材を槽に被せることで上記集束部材が、密閉容器20と共に槽内の液体W中に浸漬される。
【0013】
本発明の請求項3に記載の超音波細胞破砕装置は、上記集束部材34(24)が、上記槽7内に配置されたアタッチメント15に設けられ、このアタッチメント15は上記蓋部材11に吊設されていることを特徴とする超音波細胞破砕装置31(1)である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、蓋部材を槽に被せることで集束部材34の上端が槽内の液体W上面近傍に配置される。
【0014】
本発明の請求項4に記載の超音波細胞破砕装置は、上記集束部材44(24)が、上記槽7の内部に取付け部材43を介して設けられ、上記集束部材44(24)の上端部は上記密閉容器20の上端部と略同じ高さとなっていることを特徴とする超音波細胞破砕装置41(1)である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、蓋部材を槽に被せることで集束部材の上端部が、上記密閉容器の上端部と略同じ高さ位置に保持される。
【0015】
本発明の請求項5に記載の超音波細胞破砕装置は、上記槽7、超音波発振器3および振動子5がケース1内に設けられ、このケース2の上端部には中心に開口部8Aが形成されたケース用蓋部材8が設けられ、上記槽7の蓋部材11は上記ケース用蓋部材8の開口部8Aを塞ぐとともに、槽7の蓋部材11の外周にはギアが形成され、このギアは、上記ケース用蓋部材8に設けられた電動モータ9により駆動するギア10と噛合し、上記蓋部材11および集束部材24(34,44)は回動可能となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の超音波細胞破砕装置1(31)である。
上記の超音波細胞破砕装置によれば、電動モータの駆動によりケース用蓋部材を介して集束部材が槽の液中で回動される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の効果を奏する。
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、超音波発振器から発振される超音波の振動エネルギーを効率よく密閉容器に伝達させ、密閉容器内の細胞を確実に破砕できる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、集束部材を蓋部材に予め取付けておくことで、蓋部材を槽に被せると同時に集束部材を設けることができるので、集束部材を取付ける手間が省ける。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、集束部材がアタッチメントに取付けられ、このアタッチメントが蓋部材に吊設されているので、集束部材の高さ寸法を短くすることができ、これにより、集束部材の小型化を図ることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、集束部材の上端部が密閉容器の上端部と略同じ高さとなっているので、集束部材で捕捉された超音波の振動エネルギーを確実に密閉容器に伝達することができ、密閉容器内の細胞を確実に破砕することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、各密閉容器に放射される超音波が不均一であっても、集束部材が回動可能となっているので、複数の密閉容器全体の平均は等しくなり、超音波エネルギーを均一に伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1〜図3には、超音波細胞破砕装置1の実施例1が示されている。図1は本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例1を示す全体縦断面図、図2は上記実施例1の要部を示す分解斜視図、図3は上記実施例1の要部を示す分解斜視図である。
【0024】
図1に示すように、超音波細胞破砕装置1は、例えば四角形の箱状のケース2を備えている。このケース2の底部には、超音波発振手段6が配置されている。超音波発振手段6は、超音波を発振する超音波発振器3と、この超音波発振器3の上方に設けられ当該超音波発振器3により駆動される励振コイル4と、この励振コイル4と接続されたフェライト磁歪振動子等の複数個の振動子5とを含み構成されている。
【0025】
ケース2内において、励振コイル4および振動子5の上方には、上部が開放された例えば円筒状の槽7が、振動子5と当接状態となって設けられている。従って、槽7には、振動子5から超音波の振動エネルギーが付与されるようになっている。
【0026】
この槽7は、ケース2の上面を覆うケース用蓋部材としてのケース蓋8の裏面に、当該ケース蓋8と一体的に設けられている。槽7の内部には液Wが所定レベルまで収容されている。そのため、超音波発振器3から発振される超音波が槽7の底部から液W中を伝播するようになっている。
【0027】
ケース蓋8の中央部には、槽7の外径よりわずかに小さな径の開口部8Aが形成されている。この開口部8Aには、外周にギアが形成された槽7の蓋部材としてのギア板11が被せられている。
【0028】
ケース蓋8の上面には電動モータ9が設けられ、この電動モータ9の主軸にはギア10が取付けられている。このギア10には、上記ギア板11のギアが噛合しており、電動モータ9の駆動により、ギア板11は回転自在となっている。
【0029】
ギア板11の中央部には、ナット13により止められた状態でホルダ棒14が上記槽7 内に垂設されている。ホルダ棒14の上部にはねじ部14Aが形成されており、このねじ部14Aと上記ナット13との螺合により、ホルダ棒14の高さ方向の位置調整が自在となっている。
【0030】
このようなホルダ棒14の下部には、アタッチメントである回転ホルダ15を取付けるための雄ねじ14Bが螺設されている。
【0031】
上記回転ホルダ15は、円板16と、この円板16の蓋17とで構成されており、円板16は、図2に詳細を示すように、円板本体16Aとこの円板本体16Aの外周に立設されたほぼ垂直な縁部16Bとで形成され、円板16はほぼ皿状に形成されている。そして、以上のような回転ホルダ15は、上記ギア板11よりやや小径となっている。
【0032】
上記円板16の円板本体16Aには、その外周側の円周上に、複数の密閉容器20を挿着するための丸孔16C(図3参照)が形成されている。また、円板本体16Aの中央部には、雌ねじ16Dが螺設されている。この雌ねじ16Dには、上記ホルダ棒14の下部の雄ねじ14Bが螺合するようになっており、両ねじ16D、14Bの螺合により、回転ホルダ15がホルダ棒14に取付けられている。この際、ホルダ棒14の雄ねじ14Bの部分は上記蓋17の下方に位置している。
【0033】
前述のように、ホルダ棒14はナット13との協働によって高さ方向の位置調整が自在となっているので、ホルダ棒14に取付けられた回転ホルダ15は、槽7の大きさ、槽7内部の液Wのレベルに対応して高さを調整することができる。
【0034】
密閉容器20は、図3に詳細を示すように、容器本体21と容器蓋22とで構成されている。容器本体21は、その底壁21Aの方に行くに従い次第に細径となるテーパ状に形成されており、底壁21Aの中央部の外周壁に、奥に行くに従い次第に小径となる小さい溝21Bが形成されている。
【0035】
以上のような容器本体21としては、特に高硬度材質で形成されることが望ましく、例えば、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン、アクリル、高密度ポリエチレン、ポリスチレン等のいずれかで形成されることが好ましい。
【0036】
ホルダ棒14の雄ねじ14Bが円板本体16Aの中央部の雌ねじ16Dに螺合したとき、円板本体16Aに取付けられた上記密閉容器20の天面20Aと、回転ホルダ15の蓋17の裏面17A間には、図3に示すように、寸法S1のクリアランスが予め設定されている。このため、蓋17が接触して密閉容器20を押圧することがないので、密閉容器20自体を超音波振動により確実に共振させることができる。
【0037】
図1に示すように、上記ギア板11の裏面には、超音波による振動エネルギーを集束する集束部材24が設けられている。
【0038】
すなわち、集束部材24は、超音波発生手段6側内径が大きく反対側内径が小さなテーパ状の側面を有するスカート状、すなわち、本実施例では、中空の截頭円錐形に形成され、回転ホルダ15の周囲を囲むように配置されている。このような集束部材24は、上記反対側、つまり上端部がギア板11の裏面に固着され、超音波発生手段6側、つまり下端側が槽7の底部に向かって延出され、このとき、集束部材24の下端と槽7の底面との間隔はS2となっている。また、上端部と下端部とは角度αの傾斜のテーパとなっており、この角度αは、例えば30度程度とされているが30度には限定されるものではない。
【0039】
以上の集束部材24はギア板11に取付けられているので、ギア板11と一体的に回転自在である。そして、以上の集束部材24は、例えばステンレス、あるいは耐蝕性等に優れた合成樹脂等で形成されているが、ギア板11と同じ材質のものを使用すると、取付けが容易である等の点で好適である。
【0040】
次に、以上のような構成の超音波細胞破砕装置1の使用方法を説明する。
【0041】
まず、複数の密閉容器20内に、所定の細胞が混入された細胞分散液が混入された液を投入した後、各密閉容器20に容器蓋22を被せて密閉する。この際、複数の密閉容器20はすべて同一種類の細胞分散液が封入されたものであってもよく、あるいはそれぞれ異なる種類のものが封入されているものを同時に使用してもよい。
【0042】
その後、回転ホルダ15の蓋17を開けておいて、円板本体16Aの複数の丸孔16Cに各密閉容器20を挿着し、円板本体16Aに蓋17をする。そして、ホルダ棒14の雄ねじ14Bを円板本体16Aの雌ねじ16Dに螺合させて、ホルダ棒14に回転ホルダ15を取付ける。
【0043】
次いで、裏面に集束部材24を固着したギア板11に、回転ホルダ15を取付けたホルダ棒14をナット13で固定して高さ方向の位置を調整して所定位置に吊設させる。
【0044】
この際、集束部材24を超音波細胞破砕装置1の槽7の液W中に浸漬させ、ギア板11をケース蓋8の開口部8Aに被せる。このとき、ギア板11のギアと電動モータ9のギア10とを噛合させる。
【0045】
回転ホルダ15を超音波細胞破砕装置1の槽7の液W中に浸漬するとき、槽7の液Wのレベルが密閉容器20内の細胞分散液のレベルより上方になるようにセットする。
【0046】
以上のような準備が終了したら、電動モータ9を駆動させてギア板11および回転ホルダ15等を回転させるとともに、超音波発振器3を駆動させる。超音波発振器3により超音波を放射すると、超音波の一部は直進して槽7内の液Wを伝播しながら密閉容器20に向かい、かつ衝突して密閉容器20を振動させる。また、超音波の一部は集束部材24のテーパ形状の内面に衝突した後、反射して密閉容器20側に向かい、かつ衝突して密閉容器20を振動させる。
【0047】
集束部材24は、中空の截頭円錐形に形成されているので、集束部材24の内面に衝突した放射超音波はすべてが集束部材24の中心側に反射する。
【0048】
密閉容器20は、放射超音波振動の振動数下で共振する固有振動を有しているので、超音波放射により共振する。この共振により細胞分散液T中に二次的な振動が生じ、溶液中にキャビテーションが生じ、細胞分散液T中の細胞が破砕される。つまり、細胞膜が破砕され細胞小器官に分離される。
【0049】
密閉容器20が共振すると、密閉容器20内の細胞分散液Tがその超音波作用下で激しい振動を受ける。その結果、細胞は激しい振動エネルギーによって容器本体21の底壁21Aの内壁面に激しくたたきつけられる。さらに、密閉容器20の底壁21Aの中央部の外周壁に小さい溝21Bが形成されているので、超音波の振動エネルギーが溝21Bに集中し、その結果、密閉容器20の底壁21Aが激しく振動して、底壁21A部分に収容されている細胞分散液Tが底壁面にたたきつけられ、内部の細胞がより確実に破砕される。
【0050】
以上のような実施例1によれば、次のような効果が得られる。
【0051】
(1)槽7の下方から超音波発振手段6により放射される超音波が、振動エネルギーとして槽7の内部で集束部材24により捕捉され、かつ集束される。特に、集束部材24はスカート状、すなわち、中空の截頭円錐形形状に形成されているので、振動エネルギーは衝突した後、反射し、中央部に容易に集束される。そのため、超音波の振動エネルギーが槽7の液中を伝播して、集束部材24で囲まれた密閉容器20に衝突し、密閉容器20を振動させる。従って、超音波発振器3から発振される超音波の振動エネルギーを効率よく密閉容器20に伝達させることができ、これにより、密閉容器20自体、および密閉容器20内の細胞分散液あるいは液が振動して、その内部に混入している細胞を確実に破砕できる。
【0052】
(2)集束部材24が槽7内に配置される回転ホルダ15に設けられ、この回転ホルダ15はギア板11に吊設されているので、集束部材24の高さ寸法を小さくすることができ、これにより、集束部材24を小型化することができる。
【0053】
(3)回転ホルダ15を取付けるホルダ棒14は、その上部のねじ部14Aとナット13との螺合により、高さ方向の位置調整が自在となっているので、槽7の液Wのレベルに対応させて、密閉容器20、ひいては回転ホルダ15の高さ位置を容易に調整でき、密閉容器20の内部の細胞分散液Tを最適の高さ位置に保持することができる。
【0054】
(4)密閉容器20に放射される超音波が不均一であっても、集束部材24が回動可能となっているので、複数の密閉容器20全体の放射される超音波の振動エネルギーが平均化される。その結果、超音波の振動エネルギーを均一に伝達することができる。
【0055】
(5)超音波細胞破砕装置1は、複数の密閉容器20を備えているので、細胞分散液T内の細胞、あるいは微細物を、大量に、かつ、同時に破砕することができる。
【実施例2】
【0056】
次に、図4に基づいて本発明の実施例2を説明する。図4は本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例2を示す全体縦断面図である。本実施例および以下の実施例において、上記実施例1と同一構造および同一使用部材には、同一符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0057】
実施例2の超音波細胞破砕装置31は、集束部材34を上記回転ホルダ15に取付けたものである。すなわち、集束部材34は、回転ホルダ15の円板本体16Aの下面外周に、槽7の下面側に延びて設けられている。集束部材34は、上記実施例1の集束部材24と同様の中空の截頭円錐形形状となっているが、ギア板11の裏面と回転ホルダ15の円板本体16Aとの差分だけ短い高さ寸法に形成されている。
【0058】
このような実施例2によれば、上記実施例1と同様の作用、および(1)、(3)〜(5)の効果と同様の効果を得ることができる他、(6)集束部材34が回転ホルダ15に取付けられ、この回転ホルダ15は、ホルダ棒14により、ギア板11の下方に吊設されているので、ギア板11の高さ位置と、回転ホルダ15の高さ位置との差の分だけ集束部材34の高さ寸法を小さくすることができ、その結果、集束部材34を小型化することができる、という効果が得られる。
【実施例3】
【0059】
次に、図5に基づいて本発明の実施例3を説明する。図5は本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例3を示す全体縦断面図である。
【0060】
この実施例3の超音波細胞破砕装置41は、集束部材44を上記回転ホルダ15の槽7に取付けたものである。すなわち、槽7の上部内面には、回転ホルダ15の外周と槽7の外周との間に配置可能な幅寸法のリング状の取付け部材としての取付け板43が固着されている。集束部材44は、上記取付け板43の内径側下面に取付けられている。そして、取付け板43の高さ位置は、回転ホルダ15の円板本体16Aの高さ位置とほぼ同一高さとなっている。
【0061】
集束部材44は、上記実施例2の集束部材34とほぼ同様の形状となっているが、この実施例3では、集束部材44は槽7に取付けられているので、回転できない構造となっている。ただし、ギア板11、回転ホルダ15は回転するので、集束部材44は相対的に回転可能とされていることになる。
【0062】
このような実施例3によれば、上記実施例1、および実施例2と同様の作用、および実施例1の(1)、(3)〜(5)の効果、実施例2の(6)の効果と同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0063】
次に、図6に基づいて本発明の実施例4を説明する。図6は本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例4を示す全体縦断面図である。
【0064】
この実施例4の超音波細胞破砕装置51は、上記各実施例で使用した電動モータ9、ギア10、ギア板11、回転ホルダ15等を設けずに、ケース2に被せたケース蓋57の開口部に、槽7の蓋53を被せ、この蓋53に上記密閉容器20を挿着するとともに、集束部材54を取付けたものである。
【0065】
すなわち、槽7の上部開口を塞ぐ蓋53の裏面には、上記集束部材24とほぼ同一形状の集束部材54が槽7の底部側に延びて取付けられている。
【0066】
このような実施例4によれば、上記第1〜実施例3と同様の作用、および(1)、(5)の効果と同様の効果を得ることができる。
【0067】
なお、本発明は前述の実施例に限定されるものではなく、例えば、上記各実施例では、集束部材24,34,44,54は、所定のテーパを有する中空の截頭円錐形に形成されているが、例えば図7に示すように、パラボナアンテナのように、全体が湾曲した形状の集束部材64を使用してもよい。このような実施例では、超音波が集束部材64のどの内面に衝突しても中央側に集まるようになっているので、より効率よく振動エネルギーを集束することができる。
【0068】
また、上記各実施例では、密閉容器20として、奥に行くに従って小径となるものを使用していたが、これに限らず、例えば図8に示すような、同一径で形成され丸底の密閉容器60を使用してもよい。
【0069】
さらに、図9に示すような密閉容器70を使用してもよい。この密閉容器70は、容器本体71と、蓋72とを備えており、容器本体71の内部には金属棒73が収容されている。この金属棒73の上部にはねじ部74が形成され、このねじ部74にナット75が螺合することで、金属棒73が支持される。この密閉容器70では、金属棒73の共振を利用して容器本体71の内部の細胞を破砕するようになっている。
【0070】
また、図10に示すような構成の密閉容器80を使用してもよい。この密閉容器80は上記密閉容器70の大容量化を図ったもので、容器本体81が密閉容器70の容器本体71より大きく形成されているものである。したがって、蓋82も容器本体81に合わせて大きく形成されている。
【0071】
また、上記実施例4では蓋53の裏面に集束部材54を取付けたが、これに限らず、実施例4の超音波細胞破砕装置51の槽7に、実施例3の集束部材44を取付けるのと同じように、槽7の内径面に取付け部材を介して集束部材を取付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例1を示す全体縦断面図である。
【図2】上記実施例1の要部を示す分解斜視図である。
【図3】上記実施例1の要部を示す縦断面図である。
【図4】本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例2を示す全体縦断面図である。
【図5】本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例3を示す全体縦断面図である。
【図6】本発明に係る超音波細胞破砕装置の実施例4を示す全体縦断面図である。
【図7】本発明の集束部材の変形例を示す縦断面図である。
【図8】本発明の密閉容器の変形例を示す縦断面図である。
【図9】本発明の密閉容器の他の変形例を示す縦断面図である。
【図10】本発明の密閉容器のさらに他の変形例を示す縦断面図である。
【図11】従来の超音波細胞破砕装置を示す全体縦断面図である。
【図12】上記従来の超音波細胞破砕装置で使用される密閉容器を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1,31,41,51 超音波細胞破砕装置
2 ケース
3 超音波発振器
4 励振コイル
5 振動子
6 超音波発振手段
7 槽
8 ケース蓋(ケース用蓋部材)
9 電動モータ
10 ギア
11 ギア板(蓋部材)
13 ナット
14 ホルダ棒
14A ねじ部
14B 雄ねじ
15 回転ホルダ(アタッチメント)
16 円板
16A 円板本体
16B 縁部
16C 丸孔
16D 雌ねじ
17 蓋
17A 裏面
20,60,70,80 密閉容器
20A 天面
21,71,81 容器本体
21A 底壁
21B 溝
22 容器蓋(蓋)
24,34,44 集束部材
43 取付け板(取付け部材)
53 蓋
54,64 集束部材
57 ケース蓋
72 蓋
73 金属棒
74 ねじ部
75 ナット
82 蓋
T 細胞分散液
W 液体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放されるとともに内部に液体Wが収容される槽7と、
この槽7の上記上部に被せられる蓋部材11と、
この蓋部材11に設けられるとともに内部に細胞分散液Tが封入される少なくとも一個の密閉容器20と、
上記槽7の下方に設けられ超音波を発振する超音波発振器3、およびこの超音波発振器3から発振される超音波を上記槽7に伝達して当該槽7内の上記液Tに超音波の振動エネルギーを付与する振動子5を含む超音波発生手段6と、
上記槽7の内部に設けられ上記超音波発生手段6の超音波発振器3から発振される超音波を捕捉して集束する集束部材24を備えて構成され、
この集束部材24は、上記超音波発生手段6側内径が大きく反対側内径が小さなテーパ状の側面を有するスカート形状に形成されるとともに、上記少なくとも一個の密閉容器20を囲んで配置されていることを特徴とする超音波細胞破砕装置1。
【請求項2】
上記集束部材24が、上記蓋部材11の裏面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波細胞破砕装置1。
【請求項3】
上記集束部材34(24)が、上記槽7内に配置されたアタッチメント15に設けられ、このアタッチメント15は上記蓋部材11に吊設されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波細胞破砕装置31(1)。
【請求項4】
上記集束部材44(24)が、上記槽7の内部に取付け部材43を介して設けられ、上記集束部材44(24)の上端部は上記密閉容器20の上端部と略同じ高さとなっていることを特徴とする請求項1に記載の超音波細胞破砕装置41(1)。
【請求項5】
上記槽7、超音波発振器3および振動子5がケース1内に設けられ、このケース2の上端部には中心に開口部8Aが形成されたケース用蓋部材8が設けられ、上記槽7の蓋部材11は上記ケース用蓋部材8の開口部8Aを塞ぐとともに、槽7の蓋部材11の外周にはギアが形成され、このギアは、上記ケース用蓋部材8に設けられた電動モータ9により駆動するギア10と噛合し、上記蓋部材11および集束部材24(34,44)は回動可能となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の超音波細胞破砕装置1(31)。
【請求項1】
上部が開放されるとともに内部に液体Wが収容される槽7と、
この槽7の上記上部に被せられる蓋部材11と、
この蓋部材11に設けられるとともに内部に細胞分散液Tが封入される少なくとも一個の密閉容器20と、
上記槽7の下方に設けられ超音波を発振する超音波発振器3、およびこの超音波発振器3から発振される超音波を上記槽7に伝達して当該槽7内の上記液Tに超音波の振動エネルギーを付与する振動子5を含む超音波発生手段6と、
上記槽7の内部に設けられ上記超音波発生手段6の超音波発振器3から発振される超音波を捕捉して集束する集束部材24を備えて構成され、
この集束部材24は、上記超音波発生手段6側内径が大きく反対側内径が小さなテーパ状の側面を有するスカート形状に形成されるとともに、上記少なくとも一個の密閉容器20を囲んで配置されていることを特徴とする超音波細胞破砕装置1。
【請求項2】
上記集束部材24が、上記蓋部材11の裏面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波細胞破砕装置1。
【請求項3】
上記集束部材34(24)が、上記槽7内に配置されたアタッチメント15に設けられ、このアタッチメント15は上記蓋部材11に吊設されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波細胞破砕装置31(1)。
【請求項4】
上記集束部材44(24)が、上記槽7の内部に取付け部材43を介して設けられ、上記集束部材44(24)の上端部は上記密閉容器20の上端部と略同じ高さとなっていることを特徴とする請求項1に記載の超音波細胞破砕装置41(1)。
【請求項5】
上記槽7、超音波発振器3および振動子5がケース1内に設けられ、このケース2の上端部には中心に開口部8Aが形成されたケース用蓋部材8が設けられ、上記槽7の蓋部材11は上記ケース用蓋部材8の開口部8Aを塞ぐとともに、槽7の蓋部材11の外周にはギアが形成され、このギアは、上記ケース用蓋部材8に設けられた電動モータ9により駆動するギア10と噛合し、上記蓋部材11および集束部材24(34,44)は回動可能となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の超音波細胞破砕装置1(31)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−180756(P2006−180756A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376727(P2004−376727)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(390015864)東湘電機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(390015864)東湘電機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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