説明

超音波診断システム

【課題】超音波診断装置を用いて乳房を診断する場合の左右の取り違えを低減する。
【解決手段】本発明に係る小規模診断システム1によれば、制御装置3のCPU31は、CR装置2bにより生成された乳房画像を超音波診断装置2aによる超音波撮影時の参照用に超音波診断用画面352の参照画像表示欄352aに表示させるとともに、表示された乳房画像の付帯情報に含まれる左右の区別を示す情報を当該乳房画像上に表示させる。また、超音波診断装置2aから超音波画像が取得されると、取得された超音波画像の画像データに、参照画像表示欄352aに表示した乳房画像の付帯情報(少なくとも患者情報及び乳房の左右の区別を示す情報を含む)を対応付けて一時記憶部331又はサーバ4の画像DB40に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線撮影装置を超音波診断装置や内視鏡等の他の装置と組み合わせて用いることが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、内視鏡の先端位置確認を行うためにX線装置を用い、一つのディスプレイに内視鏡画像とX線画像を同時に表示する装置が記載されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、X線画像信号から超音波プローブの血管内における移動位置を読み出して表示する技術が記載されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、超音波撮像装置から取得された断層画像と他の画像診断装置の過去の画像情報を並べて表示する画像診断システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−285087号公報
【特許文献2】特開平5−64638号公報
【特許文献3】特開2009−22626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献3に記載のように、X線撮影された乳房画像を参照しながら、腫瘤陰影と思しき領域等に対し、超音波診断装置で乳房の精密診断を行う場合、左の乳房画像を参照しながら右の乳房にプローブをあてて診断を行ってしまう恐れがある。
【0008】
乳房をX線撮影する際には、撮影された乳房画像が右乳房のものであるか左乳房のものであるかを示すための鉛マーカが被写体とともに撮影されている。そこで、乳房画像上の鉛マーカの表示を参照することで医師が診断対象が右であるか左であるかをある程度意識することはできる。しかし、稀に撮影時に配置された鉛マーカが間違っていることがある。また、画像回転処理等により鉛マーカの表示が見づらい方向となってしまうこともある。
【0009】
また、超音波診断装置により取得された超音波診断画像(以下、超音波画像という)を保存する際、診断エビデンスとして、或いは、インフォームドコンセント用等の為に、X線撮影された乳房画像と同様に、左右のいずれの画像であるのかを示す情報を超音波画像に対応付けておく必要がある。しかし、この対応付けを手動により行わせると、この時点で左右の取り違えが起こる可能性がある。
【0010】
乳房に限らず、人体に2つある部位を被検体として超音波診断を行う場合にも同様に2つの部位の取り違えが起こる可能性がある。
【0011】
本発明の課題は、超音波診断装置を用いて人体の部位を診断する場合の医師による入力作業工数を低減すると共に、部位等の取り違えを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
被検体に対して超音波を送受して超音波診断画像を得る超音波診断画像取得手段と、前記超音波診断画像取得手段により取得された超音波診断画像を保存する保存手段と、を有する超音波診断システムにおいて、
付帯情報を有する参照画像を取り込み、前記参照画像及び前記付帯情報を前記超音波診断画像と並列して表示する表示手段と、
前記超音波診断画像の前記保存手段への保存時に、前記参照画像が有する付帯情報の内容を当該超音波診断画像の付帯情報として当該超音波診断画像に対応付けて保存する制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記付帯情報はボディマークであることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、
前記被検体は、人体に2つある部位であって、前記付帯情報は前記被検体が2つのどちらの部位かを示す情報であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記被検体は乳房であり、前記付帯情報は乳房の左右の区別を示すものであることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記参照画像の前記付帯情報に基づいて、前記表示されている参照画像が人体に2つある部位のどちらの画像であるかを音声出力手段により音声出力させることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、
前記表示手段における前記参照画像の表示領域には、前記乳房の選択された左右いずれかのCC画像とMLO画像は同時表示可能である。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の発明において、
前記表示手段は、メイン表示手段とサブ表示手段により構成され、前記メイン表示手段及び前記サブ表示手段のそれぞれは、前記超音波診断用画像、前記参照画像及び前記付帯情報の表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、超音波診断装置を用いて人体の部位を診断する場合の部位の取り違えを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における小規模診断システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1の小規模診断システムを適用した場合の各装置の医療施設における配置例を示す図である。
【図3】図1の制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4A】図1の小規模診断システムにおける動作を示すフロー図である。
【図4B】図1の小規模診断システムにおける動作を示すフロー図である。
【図5】ビューア画面の一例を示す図である。
【図6】超音波画像表示前の超音波診断用画面の一例を示す図である。
【図7】超音波画像が表示された超音波診断用画面の一例を示す図である。
【図8】超音波診断用画面の画面レイアウトの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態においては、本発明を小規模な乳腺科専門の医療施設における小規模診断システムに適用した場合を例にとり説明するが、これに限定されるものではない。
【0022】
小規模診断システム1は、開業医やクリニック等の小規模施設に適用される超音波診断システムであり、図1に示すように、画像生成装置2としての超音波診断装置2a及びCR装置2bと、制御装置3と、サーバ4と、レセプト用コンピュータ(以下、レセコンという。)5とから構成されており、各装置は、例えば図示しないスイッチングハブ等を介してLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク(以下単に「ネットワーク」という)6に接続されている。
【0023】
病院内の通信方式としては、一般的に、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格が用いられており、LAN接続された各装置間の通信では、DICOM MWM(Modality Worklist Management)やDICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)が用いられる。なお、本実施形態に適用可能な通信方式はこれに限定されない。
【0024】
開業医やクリニック等のような小規模施設においては、各装置は図2に示すように配置される。
すなわち、入口10を入ると患者の受付けを行う受付11と待合室12がある。受付11には窓口担当が配置され、当該担当は、来院した患者に対して、受付順に個々の患者を区別するための受付番号(本日の受付順の通し番号)が印刷された受付番号札を付与する。また、受付11には、保険点数計算、会計計算等を行うレセコン5が設けられており、窓口担当は、患者の氏名を聞き取り、レセコン5に受付番号と患者氏名との対応付けを入力する。更に、窓口担当は、患者の診察終了後カルテ情報に基づき、レセコン5に会計及びレセプト(会計計算や保険点数請求計算)に関する情報の必要事項を入力する作業も行う。
【0025】
待合室12の隣には、ドア等を隔てて医師が患者の診察、診断等を行う診察室13が設けられている。例えば診察室13内の診察用のデスク(図示せず)の上には、医師が患者の撮影画像を表示して画像診断を行うための制御装置3と、撮影画像の画像データを保存する画像DB(Data Base)40を備えたサーバ4が配置されている。また、診察室13内には超音波診断装置2aが設置されている。
【0026】
また、廊下14を隔てて診察室13の向かい側にはX線撮影を行うX線撮影室15が設けられている。X線撮影室15内には、撮影装置22と読取装置23とから構成されるCR装置2bが配設されている。X線撮影室15の隣には検査室16が設けられている。
【0027】
以下、小規模診断システム1について詳述する。
まず、各装置の構成について説明する。
【0028】
超音波診断装置2aは、超音波画像を取得する超音波診断画像取得手段であり、超音波を出力する超音波プローブと、超音波プローブに接続され、超音波プローブで受信された音波(エコー信号)を内部組織の撮影画像の画像データに変換する電子装置とから構成されている(いずれも図示せず)。超音波診断装置2aは、超音波プローブから体内に超音波を送り、体内組織に反射した音波(エコー信号)を再び超音波プローブで受信して、このエコー信号に応じた撮影画像を電子装置によって生成するようになっている。
【0029】
超音波診断装置2aには、アナログ信号からデジタル信号への変換等を行う変換手段(コンバータ)である変換装置20が接続されており、超音波診断装置2aは、変換装置20を介してネットワーク6に接続されている。このように変換装置20を介することにより、ネットワーク6に接続された他の外部機器の規格(例えば、通信プロトコル)等に合わない形式のデータが超音波診断装置2aから出力される場合でも適宜変換してネットワーク6に接続された外部機器との間でデータの送受信を行うことができる。
【0030】
CR装置2bは、X線により乳房画像を撮影する装置であり、撮影装置22と読取装置23を含んで構成される。
CR装置2bを構成する撮影装置22は、図示しない放射線源を有し、被写体である乳房に放射線を照射して乳房画像を撮影する。撮影時には前記放射線源から照射される放射線の照射領域内に、例えば放射線エネルギーを蓄積する輝尽性蛍光体シートを備える放射線画像変換プレートが内蔵された放射線画像変換媒体(いずれも図示せず)が配置されるようになっており、放射線源からの照射放射線量に対する被写体の放射線透過率分布に従った放射線量が放射線画像変換媒体に内設された輝尽性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層に蓄積し、この輝尽性蛍光体層に放射線画像情報を記録する。
【0031】
読取装置23は、被写体である乳房の放射線画像情報が記録された放射線画像変換媒体の輝尽性蛍光体シートに励起光を照射し、これによりシートから発光される輝尽光を光電変換し、得られた画像信号をA/D変換して、乳房画像の画像データを生成するようになっている。
CR装置2bの撮影装置22と読取装置23とは一体であっても別体であってもよい。
【0032】
制御装置3は、例えば診察室13に設置され、超音波診断装置2aやCR装置2bから送信された画像データを表示して医師が診断を行うためのワークステーションであり、一般的なPC(Personal Computer)に用いられるモニタ(表示部)よりも高精細のモニタを備えるものであってもよい。また、制御装置3は、超音波診断装置2aやCR装置2bから送信された画像データに付帯情報を対応付けて一時記憶部331やサーバ4に保存させる。
【0033】
図3は、制御装置3の機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように制御装置3は、CPU31、RAM32、記憶部33、入力部34、表示部35、通信部36、サブ表示部37、音声出力部38等を備えて構成されており、各部はバス39により接続されている。
【0034】
CPU31は、記憶部33に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAM32に展開し、展開されたプログラムに従って、図4A〜図4Bに示す制御装置3側の処理を始めとする各種処理を実行する。
【0035】
RAM32は、CPU31により実行制御される各種処理において、記憶部33から読み出されたCPU31で実行可能な各種プログラム、入力若しくは出力データ、及びパラメータ等の一時的に記憶するワークエリアを形成する。例えば、RAM32は、レセコン5から受信された患者情報リストを一時的に記憶する患者情報領域を形成する。
【0036】
記憶部33は、HDD(Hard Disc)や半導体の不揮発性メモリ等により構成される。
記憶部33には、CPU31で実行されるシステムプログラムや、各種プログラムが記憶されているほか、CR装置2bで撮影された乳房画像に画像処理を行う画像処理パラメータ(階調処理に用いる階調曲線を定義したルックアップテーブル、周波数処理の強調度等)、ユーザへのガイダンス用の音声データ等が記憶されている。
【0037】
また、記憶部33は、画像生成装置2から送信された画像データと患者情報等の付帯情報とを対応付けて一時的に保存する一時記憶部331を有している。
なお、画像生成装置2から送信された画像データは、まず一時記憶部331に保存しておき、一日の診療が終了してから(あるいは所定の日数経過毎に)まとめてサーバ4に送信して画像DB40に保存することとしてもよいし、直接画像サーバ4に送信して保存することとしてもよい。
【0038】
入力部34は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号としてCPU31に出力する。
【0039】
表示部35は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、CPU31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0040】
通信部36は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワーク6に接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0041】
サブ表示部37は、CRTやLCD等のモニタである。サブ表示部37は、超音波診断装置2aにおける診断対象の患者に表示画面が向くようにして設けられ、CPU31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0042】
音声出力部38は、音声変換部、増幅器、スピーカ等を備え、音声データを音声信号に変換して出力する。
【0043】
図1に戻り、サーバ4は、CPU、RAM、HDD等により構成される記憶部、ネットワーク6に接続された各装置との通信を制御する通信部(いずれも図示せず)等を備えて構成されたコンピュータである。サーバ4は、画像DB40を備えておりCPUと記憶部に記憶されたプログラムとの協働によるソフトウエア処理により、通信部を介して制御装置3から書込み指示された画像データ及びその付帯情報を対応付けて画像DB40に格納するとともに、制御装置3からの要求に応じて画像DB40を検索して要求に応じた画像データ及びその付帯情報を読み出し、制御装置3に送信する。
【0044】
レセコン5は、CPU、RAM、HDD等により構成される記憶部、キーボードやマウス等により構成される入力部、CRTやLCD等により構成される表示部、ネットワーク6に接続された各装置との通信を制御する通信部(いずれも図示せず)等を備えて構成され、来院した患者の受付登録、会計計算、保険点数計算等を行うためのコンピュータ装置である。レセコン5は、入力部より受付入力画面の表示が指示されると、CPUと記憶部に記憶されたプログラムとの協働によるソフトウエア処理により、表示部に図示しない受付入力画面を表示する。受付入力画面を介して入力部により受付情報(受付番号+患者情報)が入力されると、受付された患者の患者情報リストを作成(更新)して記憶部に記憶し、制御装置3からの患者リスト送信要求に応じて通信部により制御装置3へ送信する。
【0045】
(小規模診断システム1の動作)
次に、小規模診断システム1の動作について説明する。
図4A〜図4Bは、小規模診断システム1の装置間で実行される処理の流れを示すフロー図である。図4A〜図4Bに示す制御装置3側の処理は、CPU31と記憶部33に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0046】
まず、RAM32から患者情報のリストが読み出され、表示部35に、患者情報リスト画面が表示される(ステップS1)。入力部34により診断対象となる患者の患者情報が患者情報リスト画面上から指定されると(ステップS2)、指定された患者のビューア画面351が表示部35に表示される(ステップS3)。
【0047】
図5に、ビューア画面351の一例を示す。
図5に示すように、ビューア画面351には、患者表示欄71、リスト画面ボタン72、画像表示欄73、各種ツールボタン74、超音波ボタン75、診断終了ボタン76等が設けられている。
【0048】
患者表示欄71は、診断対象として指定された患者の患者ID及び患者氏名を表示する。この患者表示欄71により、現在どの患者のビューア画面351が表示されているかを医師が視認できるようになっている。
リスト画面ボタン72は、患者情報リスト画面に戻る指示を入力するためのボタンである。
画像表示欄73は、CR装置2bで撮影された乳房画像を表示するための領域である。なお、図5においては、画像表示欄73に乳房画像を表示した場合を示しているが、ステップS3でビューア画面351が表示される際には、まだ撮影が行われていないため、画像は表示されない。
各種ツールボタン74は、画像表示欄73に表示された乳房画像を見やすく表示するための各種機能を実行させるためのボタンである。ツールボタン74としては、例えば、表示された乳房画像に濃度コントラスト調整処理、白黒反転処理、拡大縮小処理等の画像処理を施すための各種画像処理ボタン、病変部に重畳するアノテーションの形状を選択するためのボタン等がある。
超音波ボタン75は、超音波診断装置2aによる診断に移行することを指示するためのボタンである。
診断終了ボタン76は、ビューア画面351を閉じて患者情報リスト画面に戻る指示を入力するためのボタンである。
【0049】
患者が指定されると、医師又は撮影技師等の、乳房撮影を実施する撮影実施者は、患者を連れてX線撮影室15に移動し、CR装置2bを操作して撮影を行う。
乳房撮影時においては圧迫圧による痛さの関係から片方の乳房を連続して撮影しない。即ち、左右の上下方向(CC)と斜位方向(MLO)の4枚の乳房の撮影を行う場合、例えば、撮影順が(1)MLO−L→(2)CC−R→(3)CC−L→(4)MLO−R(又は、(1)MLO−R→(2)CC−L→(3)CC−R→(4)MLO−L)のように、予め定められた順序で左右交互に撮影を行う。本実施の形態においては、(1)MLO−L→(2)CC−R→(3)CC−L→(4)MLO−Rの順に撮影が行われることとする。
CR装置2bにおいては、撮影実施者の操作に応じて撮影が行われ、乳房画像の画像データが生成される(ステップS4)。そして、ネットワーク6を介して制御装置3に送信される(ステップS5)。
撮影が終了すると、撮影実施者は、患者を連れて診察室13に移動する。
【0050】
制御装置3においては、通信部36によりCR装置2bから乳房画像が受信されると、受信した乳房画像に、ステップS2で指定された患者情報、撮影方向(MLO又はCC)及び左右の区別(L、R)、画像受信日時を含む付帯情報が対応付けられて一時記憶部331又はサーバ4の画像DB40に記憶される(ステップS6)。例えば、乳房画像のヘッダ情報に、患者情報、撮影方向、及び左右の区別(即ち、被写体部位)の情報、画像受信日時等の付帯情報が書き込まれる。撮影方向及び左右の区別としては、受信順に、MLO−L、CC−R、CC−L、MLO−Rが対応付けて記憶される。
【0051】
次いで、比較読影用の胸壁合わせ画像が作成される(ステップS7)。胸壁合わせ画像は、医師が左右の乳房の比較読影をしやすいように、左右の乳房画像の一方を回転させて胸壁を合わせて並べて配置した画像である。
【0052】
作成された比較読影用の胸壁合わせ画像は、表示部35のビューア画面351の画像表示欄73に表示される(ステップS8)。図5に、胸壁合わせ画像が表示されたビューア画面351を示す。
ここで、医師は、表示部35に表示された比較読影用の胸壁合わせ画像を観察し、異常陰影(病変部)である領域があるか否かの診断を行う。明白な異常陰影(明白な病変部)では無いが、異常陰影の可能性のある領域(疑わしい領域)が発見された場合には、医師は入力部34により超音波ボタン75を押下して、当該領域の精密検査を行うべく、超音波診断(超音波画像の撮影)への移行の指示を行う。
【0053】
入力部34により超音波ボタン75が押下されず(ステップS9;NO)、診断終了ボタン76が押下されると(ステップS20;YES)、本処理は終了する。
尚、明白な異常陰影領域しか存在しない場合、一般的には、超音波診断(超音波画像の撮影)は実施されないことが多い。
一方、超音波ボタン75が押下され、超音波診断への移行が指示されると(ステップS9;YES)、表示部35及びサブ表示部37に超音波診断用画面352が表示される(ステップS10)。
図6(a)、(b)に、超音波診断用画面352の一例を示す。図6(a)、(b)に示すように、超音波診断用画面352には、X線撮影等により得られた参照画像表示欄352a、超音波画像表示欄352b、参照画像選択欄352c、取込ボタン352d、診断終了ボタン352e等が設けられている。
【0054】
参照画像表示欄352aは、超音波診断を行う際に参照されるX線乳房画像を表示するための領域である。本実施の形態においては、ステップS7において作成された胸壁位置合わせ画像がデフォルトで表示される。なお、参照画像表示欄352aに表示させる画像は、参照画像選択欄352cにより変更することができる。
超音波画像表示欄352bは、変換装置20を介して超音波診断装置2aから送信された超音波画像を表示するための欄である。
参照画像選択欄352cは、参照画像表示欄352aに表示する参照画像(ここでは、CR装置2bにより撮影された乳房画像)を選択するための欄である。参照画像選択欄352cには、例えば、ステップS2で指定された患者について撮影された過去画像の撮影日付等が一覧表示されており、参照画像表示欄352aに参照画像として表示する乳房画像を選択することができる。選択された乳房画像は、サーバ4の画像DB40又は一時記憶部331から読み出されて参照画像表示欄352aに表示される。
取込ボタン352dは、超音波画像表示欄352bに表示されている超音波画像のフレーム画像の取り込み(保存)を指示するためのボタンである。
診断終了ボタン352eは、超音波診断用画面352を閉じて患者情報リスト画面に戻る指示を入力するためのボタンである。
【0055】
超音波診断用画面352は、表示部35の他、患者の見やすい位置に配置されたサブ表示部37にも表示される。超音波診断用画面352には、後述するように診断対象となっている乳房の左右の区別が表示されるので、表示されている左右の区別と同じ側の乳房を医師が正しく診断しているか否かを患者が監視することができる。そして、万が一誤りがあった場合に、患者から指摘をすることも可能となるので好ましい。
【0056】
ここで、超音波診断用画面352においては、超音波診断装置2aにおける診断対象(左又は右の区別)を入力部34により入力しなければ、超音波診断装置2aからの超音波画像の取得は開始されないようになっている。医師による左右の取り違えを低減するために、左右のいずれを診断対象とするかを入力させることにより、医師に自分がどちらを診断するのかを意識させてから診断を開始するようにするためである。そこで、例えば、超音波診断用画面352に「診断対象が左であればLを、右であればRを入力してください」等のメッセージをポップアップ表示する、又は音声出力部38により音声出力する等により、医師が行うべき操作をガイダンスすることが好ましい。
【0057】
入力部34によりL又はRの区別が入力されると(ステップS11)、胸壁合わせ画像の他方の画像(L(左)が入力されたときはR(右)の画像、Rが入力されたときはLの画像)が参照画像表示欄352aから消去される(ステップS12)。これにより、図6(b)に示すように、診断対象の参照画像のみが表示された状態となる。具体的には、他方の画像の消去は、左右の乳房画像を一時的に組み合わせて胸壁合わせ画像を表示している場合には、他方の乳房画像を画面から消去し、一枚の胸壁合わせ画像を表示している場合には、他方の画像に相当する領域を黒化処理する。医師が診断しているうちに他方の参照画像を参照してしまうことを防止するためである。なお、参照画像表示欄352aに表示される参照画像は、表示部35の画面サイズが十分に大きい場合にライフサイズとすることが好ましい。
【0058】
次いで、表示されている参照画像の付帯情報に基づいて、L、Rの区別を示す情報AM(例えば、アノテーション等)が、視認しやすい大きな文字で、参照画像上にオーバーレイ表示される(ステップS13)。また、表示されている参照画像の付帯情報に基づいて、「診断対象はLです。」等のメッセージが音声出力部38により出力される(ステップS14)。
ステップS13、S14により、目と耳の双方から左右のいずれを診断対象としているのかを医師に意識させることができる。また、患者用のサブ表示部37に於いても、同様の表示(音声告知含む)がなされることが好ましい。
【0059】
超音波診断装置2aの超音波プローブが操作されると、超音波診断装置2aにおいては、超音波プローブで受信された音波に基づく超音波画像(フレーム画像)が順次生成され、変換装置20を介して制御装置3に送信される(ステップS15)。
制御装置3においては、通信部36により各フレーム画像(各超音波画像)が受信されると、表示部35及びサブ表示部37の超音波画像表示欄352bに受信された各超音波画像が順次切替表示される(ステップS16)。
図7に、ステップS16において超音波画像が表示された超音波診断用画面352の一例を示す。図7に示すように、ステップS16においては、表示されている参照画像の付帯情報に基づいて、超音波画像上に、左右の区別等を示すボディマークBMが表示される。ボディマークBMには、プローブマークPMが表示されており、画像がどこの断面を示すかを操作者が認識することができる。
【0060】
入力部34により取込ボタン352dが押下されると(ステップS17;YES)、押下されたタイミングに表示されていた超音波画像のフレーム画像が、参照画像表示欄352aに表示されている参照画像の付帯情報と対応付けて一時記憶部331又はサーバ4に保存され(ステップS18)、処理はステップS19に移行する。例えば、保存される超音波画像のヘッダ情報に参照画像の付帯情報に含まれる患者情報や左右の区別等の内容が付帯情報として書き込まれる。ここで、上述のように、超音波診断装置2aによる診断対象となっている患者及び乳房の左右の区別は、参照画像と同一のはずである。そこで、超音波画像の画像データを保存する際に、自動的に参照画像の付帯情報に含まれる患者情報や乳房の左右の区別を当該超音波画像に対応付けることで、医師による操作を低減して患者情報や左右の区別等の付帯情報を入力する手間を省くことができる。また、医師の勘違いや入力ミスにより誤った付帯情報が対応付けられることを防止することができる。
【0061】
ステップS19においては、入力部34により診断終了が指示されたか否かが判断される。診断終了が指示されていないと判断されると(ステップS19;NO)、処理はステップS15に戻る。入力部34により診断終了が指示されたと判断されると(ステップS19;YES)、本処理は終了する。
【0062】
なお、超音波診断用画面352は、医師により診断対象としてRが入力されたときとLが入力されたときとで異なる画面レイアウトとしてもよい。例えば、Lが選択されたときには、図8(a)に示す画面レイアウトにし、Rが選択されたときには、図8(b)に示すように、Lのときとは参照画像表示欄352a及び超音波画像表示欄352bの配置を逆にした画面レイアウトとする。このように診断対象としてLが入力されたときとRが入力されたときとで異なる画面レイアウトとすることで、医師及び患者がより一層現在の診断対象が左右のどちらなのかを意識することが可能となる。なお、Lを選択したときとRの選択したときの画面レイアウトを医師毎に入力部34から設定可能な構成としてもよい。
【0063】
以上説明したように、小規模診断システム1によれば、制御装置3のCPU31は、CR装置2bにより生成された乳房画像を超音波診断装置2aによる超音波画像を用いた診断時の参照用に超音波診断用画面352の参照画像表示欄352aに表示させるとともに、表示された乳房画像の付帯情報に含まれる左右の区別を示す情報を当該乳房画像上に表示させ、超音波診断装置2aから超音波画像が取得されると、取得された超音波画像の画像データに、参照画像表示欄352aに表示した乳房画像の付帯情報(少なくとも患者情報及び乳房の左右の区別を示す情報を含む)を対応付けて一時記憶部331又はサーバ4の画像DB40に記憶させる。
【0064】
従って、医師が現在左右のいずれの乳房を診断対象としているのかを認識することが可能となる。また、超音波画像を用いた診断時に参照している乳房画像の付帯情報を取得された超音波画像に自動的に付帯するので、人間が手動により超音波画像に付帯情報を対応付ける操作が不要となり、左右の取り違えにつながるミスを低減することが可能となる。
【0065】
参照画像表示欄352aに比較読影用の左右乳房の胸壁合わせ画像を表示した場合、CPU31は、撮影実施者に診断対象が左右のいずれであるかを入力部34により選択させ、当該選択された方の乳房画像のみを参照画像表示欄352aに表示させる。また、参照画像表示欄352aに表示されている乳房画像の付帯情報に基づいて、診断対象の乳房画像が左右の何れであるのかを音声出力部38に音声出力させる。従って、撮影実施者に視覚と聴覚の両面から診断対象について意識させることが可能となるとともに、診断対象が左右のいずれであるかを認識させることが可能となる。また、患者も診断対象を知ることができるので、医師のプローブ操作に誤りがないかを確認することができる。その結果、左右の取り違えを低減することができる。
【0066】
また、被写体である患者に対向する位置に超音波診断用画面を表示するためのサブ表示部37を設けることで、医師が左右乳房の取り違えなく撮影を行っているかを監視し、誤りがあれば医師に指摘することが可能となる。
【0067】
なお、上述した本実施の形態における記述は、本発明に係る実施の形態の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0068】
例えば、上記実施の形態においては、放射線撮影を行う装置としてCR装置2bを備える小規模診断システムを説明したが、これに限定されない。例えば、FPD(Flat Panel Detector)を用いて撮影を行う撮影装置を備える構成としてもよい。
【0069】
また、参照画像表示欄352aには、左右が同一の乳房画像であれば、超音波画像による診断時に複数の乳房画像を表示しておくことも可能である。例えば、診断対象の側の乳房のCC画像とMLO画像を同時に参照画像表示欄352aに表示させることとしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態においては、医師が超音波診断装置2aによる撮影を行うこととして説明したが、撮影技師が行うこととしてもよい。
【0071】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0072】
また、上記の説明では、医師により、参照画像の確認を行うこととしたが、X線画像等の参照画像の医師観察に代えて、当該X線画像等の参照画像にCAD処理を行い、明白な異常陰影領域では無く、疑わしい異常陰影候補領域のみを抽出せしめ、アノテーション表示することとしても良い。また、当該疑わしい異常陰影候補領域が存在する場合には、自動的に、当該領域の精密検査を行うべく、超音波診断(超音波画像の撮影)へ移行するフローとしても良い。
なお、CADアルゴリズムの異常陰影候補抽出閾値を2段階で設定し、両閾値の間に位置する領域のみを抽出することで、TPかFPかが疑わしい異常陰影候補領域を抽出することができる。
【0073】
また、上記実施の形態においては、乳房の超音波診断画像を取得して保存する場合を例にとり説明したが、本発明は、人体に2つある部位、例えば、左右の手、脚、腎臓等を被検体として超音波診断を行う場合にも適用可能である。
【0074】
その他、小規模診断システム1を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 小規模診断システム
2 画像生成装置
2a 超音波診断装置
2b CR装置
3 制御装置
31 CPU
32 RAM
33 記憶部
331 一時記憶部
34 入力部
35 表示部
36 通信部
37 サブ表示部
38 音声出力部
39 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波を送受して超音波診断画像を得る超音波診断画像取得手段と、前記超音波診断画像取得手段により取得された超音波診断画像を保存する保存手段と、を有する超音波診断システムにおいて、
付帯情報を有する参照画像を取り込み、前記参照画像及び前記付帯情報を前記超音波診断画像と並列して表示する表示手段と、
前記超音波診断画像の前記保存手段への保存時に、前記参照画像が有する付帯情報の内容を当該超音波診断画像の付帯情報として当該超音波診断画像に対応付けて保存する制御手段と、
を有することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項2】
前記付帯情報はボディマークであることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項3】
前記被検体は、人体に2つある部位であって、前記付帯情報は前記被検体が2つのどちらの部位かを示す情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波診断システム。
【請求項4】
前記被検体は乳房であり、前記付帯情報は乳房の左右の区別を示すものであることを特徴とする請求項3に記載の超音波診断システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示手段に表示されている前記参照画像の前記付帯情報に基づいて、前記表示されている参照画像が人体に2つある部位のどちらの画像であるかを音声出力手段により音声出力させることを特徴とする請求項2または3に記載の超音波診断システム。
【請求項6】
前記表示手段における前記参照画像の表示領域には、前記乳房の選択された左右いずれかのCC画像とMLO画像は同時表示可能である請求項4または5に記載の超音波診断システム。
【請求項7】
前記表示手段は、メイン表示手段とサブ表示手段により構成され、前記メイン表示手段及び前記サブ表示手段のそれぞれは、前記超音波診断用画像、前記参照画像及び前記付帯情報の表示を行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の超音波診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−135428(P2012−135428A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289543(P2010−289543)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】