説明

超音波診断装置及びプログラム

【課題】操作者が誤った項目を選択する可能性を低減することができる超音波診断装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】実施の形態の超音波画像診断装置では、位置情報取得装置14は、被検体に対する超音波プローブ11の位置を示す位置情報を取得する。そして、表示制御部162は、位置情報取得装置14によって取得された位置情報に基づいて、タッチコマンドスクリーン12d又はモニタ13にて表示させる表示内容を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、超音波診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの他の医用画像診断装置に比べ装置規模が小さく、また、超音波プローブを体表から当てるだけの簡便な操作により、診断対象の動きの様子をリアルタイムで表示可能な装置であることから、今日の医療において重要な役割を果たしている。また、被曝のおそれがない超音波診断装置には、片手で持ち運べる程度に小型化された装置も開発されており、かかる超音波診断装置は、産科や在宅医療などの医療現場においても容易に使用することができる。
【0003】
ここで、超音波診断装置は、診断部位ごとに設定された各種機能を有している。例えば、超音波診断装置は、診断部位ごとに設定された機能として、生成した画像に描出された関心領域のサイズなどを計測する計測機能や、画像に注釈を付与するアノテーション(Annotation)機能、また、画像に診断部位及びプローブの位置を示す大まかな概略図であるピクトグラム(Pictogram)を付与するピクトグラム機能などを有している。
【0004】
例えば、操作者は、画像に関心領域が描出された場合に、計測機能を起動させ、タッチパネルなどに表示された計測メニューから所望する計測項目を選択して関心領域を計測する。同様に、操作者は、アノテーション機能又はピクトグラム機能を起動することでタッチパネルなどに表示されたアノテーションメニュー又はピクトグラムメニューから所望する項目を選択し、選択した項目を関心領域が描出された画像に対して付与する。なお、ピクトグラムは、ボディマークと呼ばれる場合もある。
【0005】
しかしながら、従来技術においては、計測メニュー、アノテーションメニュー及びピクトグラムメニューが診断部位ごとに仕分けされているため、操作者が誤った項目を選択する可能性があった。例えば、頚動脈のように体軸を中心として左右にそれぞれ位置する部位であっても、頚動脈として仕分けされているため、各メニュー画面において同一画面上に左右それぞれに対する項目が表示される。従って、左右の識別を画像から容易に行うことができない部位を診断する場合に、操作者が誤った項目を選択する可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−106494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、操作者が誤った項目を選択する可能性を低減することができる超音波診断装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態の超音波画像診断装置は、取得手段と、表示制御手段とを備える。取得手段は、被検体に対する超音波探触子の位置を示す位置情報を取得する。表示制御手段は、前記取得手段によって取得された位置情報に基づいて、所定の表示部にて表示させる表示内容を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成を説明するための図である。
【図2】図2は、従来技術における課題を説明するための図(1)である。
【図3】図3は、従来技術における課題を説明するための図(2)である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る位置情報取得装置及び制御部の構成の一例を説明するための図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る位置特定部の処理の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係る計測機能表示制御部の処理の一例を説明するための図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係るアノテーション機能表示制御部の処理の一例を説明するための図である。
【図8】図8は、第1の実施形態に係るピクトグラム機能表示制御部の処理の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、第1の実施形態に係るアノテーション機能表示制御部によるモニタに対する表示制御の一例を説明するための図である。
【図10】図10は、第1の実施形態に係るアノテーション機能表示制御部及びピクトグラム機能表示制御部による表示制御の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、第1の実施形態に係る計測機能制御部による計測機能の自動終了を説明するための図である。
【図12−1】図12―1は、プロトコル診断機能に係る項目の一例を説明するための図である。
【図12−2】図12―2は、第1の実施形態に係る計測機能表示制御部によるプロトコル診断機能に係る項目の表示制御の一例を説明するための図である。
【図13】図13は、第1の実施形態に係る計測機能表示制御部による処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、第1の実施形態に係るアノテーション機能表示制御部及びピクトグラム機能表示制御部の少なくとも一方による処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】図15は、第1の実施形態に係る計測機能制御部による処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ11と、入力装置12と、モニタ13と、位置情報取得装置14と、装置本体100とを有し、ネットワークに接続されている。
【0011】
超音波プローブ11は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信部110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生し、さらに、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ11は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。
【0012】
超音波プローブ11から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ11が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0013】
なお、本実施形態は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ11により、被検体Pを2次元でスキャンする場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ11や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ11により、被検体Pを3次元でスキャンする場合であっても、適用可能である。
【0014】
入力装置12は、トラックボール12a、スイッチ12b、ボタン12c、タッチコマンドスクリーン12dなどを有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、タッチコマンドスクリーン12dは、計測メニュー、アノテーションメニュー及びピクトグラムメニューなどを表示するとともに、操作者が所望する項目を受付けて装置本体100に転送する。
【0015】
ここで、計測メニューとは、画像に描出された関心領域に係る任意の値を計測するための複数の計測項目を示した画面である。また、アノテーションメニューとは、画像に付与する注釈を複数の項目で示した画面である。また、ピクトグラムメニューとは、画面に付与する診断部位などのピクトグラムを複数の項目で示した画面である。なお、計測メニュー、アノテーションメニュー、ピクトグラムメニューは、それぞれ計測機能、アノテーション機能、ピクトグラム機能を操作者が起動させることによってタッチコマンドスクリーン12dに表示される。
【0016】
モニタ13は、超音波診断装置1の操作者が入力装置12を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像などを表示したりする。
【0017】
位置情報取得装置14は、超音波プローブ11の位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得装置14は、被検体Pに対して超音波プローブ11がどこに位置するかを示す位置情報を取得する。位置情報取得装置14としては、例えば、磁気センサーや、赤外線センサー、光学センサー、カメラなどである。
【0018】
装置本体100は、超音波プローブ11が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置であり、図1に示すように、送受信部110と、Bモード処理部120と、ドプラ処理部130と、画像生成部140と、画像メモリ150と、制御部160と、内部記憶部170と、インターフェース部180とを有する。
【0019】
送受信部110は、トリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路などを有し、超音波プローブ11に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ11から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0020】
また、送受信部110は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行ない、A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0021】
このように、送受信部110は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、送受信部110は、後述する制御部160の制御により、遅延情報、送信周波数、送信駆動電圧、開口素子数などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更においては、瞬時に値を切り替えることが可能であるリニアアンプ型の発振回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。また、送受信部110は、1フレームもしくはレートごとに、異なる波形を送信して受信することも可能である。
【0022】
Bモード処理部120は、送受信部110からゲイン補正処理、A/D変換処理および加算処理が行なわれた処理済み反射波信号である反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0023】
ここで、Bモード処理部120は、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。また、Bモード処理部120は、1つの受信データに対して、2つの検波周波数による検波処理を並列して行うことができる。
【0024】
このBモード処理部120の機能を用いることにより、超音波造影剤が注入された被検体Pの関心領域における1つの受信データから、関心領域を流動する超音波造影剤(微小気泡、バブル)を反射源とする反射波データと、関心領域に存在する組織を反射源とする反射波データとを分離することができ、後述する画像生成部140は、流動するバブルを高感度に映像化した造影像および形態を観察するために組織を映像化した組織像を生成することができる。
【0025】
ドプラ処理部130は、送受信部110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0026】
画像生成部140は、Bモード処理部120が生成したBモードデータや、ドプラ処理部130が生成したドプラデータから、超音波画像を生成する。具体的には、画像生成部140は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)することで、Bモードデータやドプラデータから表示用の超音波画像(Bモード画像やドプラ画像)を生成する。
【0027】
画像メモリ150は、画像生成部140によって生成された造影像や組織像などの画像データを記憶する。また、画像メモリ150は、後述する画像生成部140による処理結果を記憶する。さらに、画像メモリ150は、送受信部110を経た直後の出力信号(RF:Radio Frequency)や画像の輝度信号、種々の生データ、ネットワークを介して取得した画像データなどを必要に応じて記憶する。画像メモリ150が記憶する画像データのデータ形式は、後述する制御部160によりモニタ13に表示されるビデオフォーマット変換後のデータ形式であっても、Bモード処理部120及びドプラ処理部130によって生成されたRawデータである座標変換前のデータ形式でもよい。
【0028】
制御部160は、超音波診断装置1における処理全体を制御する。具体的には、制御部160は、入力装置12を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部170から読込んだ各種制御プログラムおよび各種設定情報に基づき、送受信部110、Bモード処理部120、ドプラ処理部130および画像生成部140の処理を制御したり、画像メモリ150が記憶する超音波画像などをモニタ13にて表示するように制御したりする。また、制御部160は、位置情報取得装置14によって取得された超音波プローブ11の位置情報に基づいて、内部記憶部170が記憶する各種データをタッチコマンドスクリーン12dにて表示するように制御する。
【0029】
内部記憶部170は、超音波送受信、画像処理および表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルや、診断部位ごとに仕分けられた計測項目、アノテーションに係る項目、ピクトグラムに係る項目などの各種データを記憶する。また、内部制御部170は、位置情報取得装置14によって取得された超音波プローブ11の位置情報から診断部位を特定するための特定情報を記憶する。なお、特定情報については後に詳述する。さらに、内部記憶部170は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像の保管などにも使用される。
【0030】
インターフェース部180は、入力装置12、位置情報取得装置14、ネットワークと装置本体100との間での各種情報のやり取りを制御するインターフェースである。例えは、インターフェース部180は、制御部160に対する位置情報取得装置14が取得した位置情報の転送を制御する。
【0031】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、以下、詳細に説明する位置情報取得装置14及び制御部160の処理により、画像に対して実行される計測機能、アノテーション機能及びピクトグラム機能などの各種機能を用いる際に、操作者が誤った項目を選択する可能性を低減することが可能となるように構成されている。
【0032】
ここで、まず、計測機能、アノテーション機能及びピクトグラム機能などの各種機能が用いられる場合について説明する。例えば、操作者は、まず、超音波診断装置に予め設定されたプリセット(Preset)を選択することで、所望する部位の診断条件を設定する。なお、プリセットとは、診断部位ごとに画像条件、検査モード及び視野深度等が予め設定された診断条件である。
【0033】
そして、操作者は、被検体Pの体表で超音波プローブを操作することで、超音波診断装置に診断部位の画像を生成させ、モニタに表示させる。そして、操作者は、モニタに表示された画像を参照し、関心領域が描出された場合にフリーズ(Freeze)ボタンを押下することで、モニタに表示された画像を一時的に保持させる。ここで、操作者は、計測機能、アノテーション機能及びピクトグラム機能などを起動させ、関心領域を計測したり、アノテーションやピクトグラムを画像に付与したりする。
【0034】
この時、従来のタッチコマンドスクリーンでは、各機能のメニュー画面が診断部位ごとに仕分けされて表示されるため、操作者が誤った項目を選択する可能性があった。例えば、体軸を中心として左右に配置される部位の場合において、左右それぞれに対応する項目が同一画面に表示される。そして、診断部位が左右どちらなのかを画像から判別することが困難な場合に、操作者は、誤った項目を選択する可能性があった。
【0035】
図2は、従来技術における課題を説明するための図(1)である。図2においては、左右の頚動脈を描出した超音波画像を示している。図2に示すように、左右の頚動脈は、同様の形態であり、画像から左右どちらなのかを判別することが困難である。
【0036】
図3は、従来技術における課題を説明するための図(2)である。図3においては、診断部位が頚動脈であった場合の従来のタッチコマンドスクリーンに表示される各種機能のメニューの一例を示す。例えば、頚動脈の計測メニューでは、図3の矢印20に示すように、右側の頚動脈の2D画像に描出された関心領域を計測するためのメニューである「Right CV 2D」のタブと、右側の頚動脈のドップラー画像に描出された関心領域を計測するためのメニューである「Right CV Doppler」のタブと、左側の頚動脈の2D画像に描出された関心領域を計測するためのメニューである「Left CV 2D」のタブと、左側の頚動脈のドップラー画像に描出された関心領域を計測するためのメニューである「Left CV Doppler」のタブとが同一画面上に示されている。すなわち、操作者は、現時点で診断している部位に基づいてタブを選択した後に、CCA(Common Carotid Artery:総頸動脈)や、ECA(External Carotid Artery:外頸動脈)や、ICA(Internal Carotid Artery:内頸動脈)や、VertA(Vertebral Artery:椎骨動脈)などの距離(Distance)や面積(Area)などの各項目を計測することとなる。
【0037】
また、例えば、頚動脈(Carotid)のアノテーションメニューでは、図3の矢印21及び矢印22に示すように、右側の頚動脈のアノテーションの項目であるR(Right)−CCA、R−ICA、R−ECA及びR−VAと、左側の頚動脈のアノテーションの項目であるL(Left)−CCA、L−ICA、L−ECA及びL−VAとが同一画面上に示されている。すなわち、操作者は、現時点で診断している部位に基づいて右側又は左側のアノテーションの項目を選択することとなる。
【0038】
同様に、頚動脈(Carotid)のピクトグラムメニューでは、図3の23に示す右側の頚動脈のピクトグラムを示す項目と、図3の24に示す左側の頚動脈のピクトグラムを示す項目とが同一画面上に示されている。すなわち、操作者は、現時点で診断している部位に基づいて右側又は左側の頚動脈を示すピクトグラムの項目を選択することとなる。
【0039】
従って、診断部位が頚動脈のように画像から左右の判別が困難な部位である場合には、操作者が左右の画像を取り違え、誤った項目を選択する可能性がある。例えば、診断部位が右側の頚動脈であるにもかかわらず、画像に左側のアノテーションやピクトグラムを付与し、左側の頚動脈の計測項目を選択して関心領域の計測した後に、左側の頚動脈の画像として保存してしまうなどの可能性がある。そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、このような可能性を低減することが可能となるように構成されている。
【0040】
以下、第1の実施形態に係る位置情報取得装置14及び制御部160の処理について、図4などを用いて詳細に説明する。なお、第1の実施形態では、診断部位として頚動脈を例に挙げて説明するが、開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、乳房や腎臓など、体軸を中心として左右に配置された部位が診断部位である場合には適用することが可能である。また、第1の実施形態では、操作者が頚動脈のプリセットを選択した後の処理について説明する。また、第1の実施形態では、位置情報取得装置14として磁気センサーを用いる場合について説明する。また、第1の実施形態では、表示部としてモニタ13とタッチコマンドスクリーンとを別々に有する超音波診断装置を例に挙げて説明する。
【0041】
図4は、第1の実施形態に係る位置情報取得装置14及び制御部160の構成の一例を説明するための図である。第1の実施形態に係る位置情報取得装置14は、図4に示すように、トランスミッター14aと、位置センサー14bと、信号処理装置14cとを有し、図示しないインターフェース部180を介して制御部160に接続される。
【0042】
トランスミッター14aは、任意の位置に配置され、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する。位置センサー14bは、超音波プローブ11の表面に装着され、トランスミッター14aによって形成された3次元の磁場を検出して、検出した磁場の情報を信号に変換して、信号処理装置14cに出力する。信号処理装置14cは、位置センサー14bから受信した信号に基づいて、トランスミッター14aを原点とする空間における位置センサー14bの位置(座標)を算出し、算出した位置を制御部160に出力する。なお、被検体Pの診断は、超音波プローブ11に装着された位置センサー14bが、トランスミッター14aの磁場を正確に検出することが可能な磁場エリア内で行われる。
【0043】
制御部160は、図4に示すように、位置特定部161と、表示制御部162と、計測機能制御部163とを有し、図示しないバス又はインターフェース部180を介して、位置情報取得装置14、内部記憶部170、モニタ13及びタッチコマンドスクリーン12dと接続される。
【0044】
位置特定部161は、被検体Pに対する超音波プローブの位置に基づいて診断部位を特定する。具体的には、位置特定部161は、まず、信号処理装置14cから入力された位置センサー14bの位置と、トランスミッター14aの位置(座標)と、被検体Pの任意の部位の位置(座標)とを用いて、被検体Pに対する超音波プローブ11の位置を特定する。そして、位置特定部161は、内部記憶部170によって記憶された特定情報を参照して、診断部位を特定する。ここで、特定情報とは、被検体Pに対する超音波プローブ11の位置ごとに診断部位が対応付けられた情報である。例えば、特定情報は、被検体Pの首の左側に超音波プローブ11が位置する場合には、左側頚動脈が診断部位であることを示す情報である。なお、特定情報は、超音波診断装置1の設計者や管理者によって予め任意に設定される。また、被検体Pの任意の部位の位置(座標)は、診断を開始する前に、位置センサー14bを用いて予め取得される。
【0045】
図5は、位置特定部161の処理の一例を説明するための図である。例えば、位置特定部161は、図5に示すように、位置センサー14bの位置と、トランスミッター14aの位置と、被検体Pの剣状突起40の位置とを用いて、剣状突起40に対する位置センサー14bの位置を算出する。そして、位置特定部161は、剣状突起40に対する位置センサー14bの位置と、被検体Pの身体データ(例えば、身長、体重など)とに基づいて、被検体Pに対する超音波プローブ11の位置を特定する。例えば、位置特定部161は、図5に示すように、超音波プローブ11が被検体Pの首の左側に位置することを特定する。そして、位置特定部161は、特定情報を参照して、診断部位が左側頚動脈であると特定する。なお、被検体Pの身体データは内部記憶部170によって記憶された診断情報から取得される。
【0046】
図4に戻って、表示制御部162は、計測機能表示制御部162aと、アノテーション機能表示制御部162bと、ピクトグラム機能表示制御部162cとを有し、位置特定部161によって特定された診断部位に基づいて、モニタ13及びタッチコマンドスクリーン12dに表示する表示内容を制御する。
【0047】
計測機能表示制御部162aは、計測機能に含まれる複数の計測項目のうち、位置特定部161によって特定された診断部位に関連する項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。具体的には、計測機能表示制御部162aは、操作者によって計測機能が起動された後、位置特定部161によって特定された診断部位に関連する項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0048】
図6は、計測機能表示制御部162aの処理の一例を説明するための図である。例えば、図6の(A)に示すように、位置特定部161によって診断部位が左側頚動脈であると特定されると、計測機能表示制御部162aは、図6の(A)の矢印25に示すように、左側の頚動脈の2D画像に描出された関心領域を計測するためのメニューである「Left CV 2D」のタブと、左側の頚動脈のドップラー画像に描出された関心領域を計測するためのメニューである「Left CV Doppler」のタブのみをタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0049】
また、例えば、図6の(B)に示すように、超音波プローブ11が被検体Pの首の右側に位置し、位置特定部161によって診断部位が右側頚動脈であると特定されると、計測機能表示制御部162aは、図6の(B)の矢印26に示すように、右側の頚動脈の2D画像に描出された関心領域を計測するためのメニューである「Right CV 2D」のタブと、右側の頚動脈のドップラー画像に描出された関心領域を計測するためのメニューである「Right CV Doppler」のタブのみをタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0050】
図4に戻って、アノテーション機能制御部162bは、アノテーション機能に含まれる複数の項目のうち、位置特定部161によって特定された診断部位に関連する項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。具体的には、アノテーション機能表示制御部162bは、操作者によってアノテーション機能が起動された後、位置特定部161によって特定された診断部位に関連する項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0051】
図7は、アノテーション機能表示制御部162bの処理の一例を説明するための図である。例えば、図7の(A)に示すように、位置特定部161によって診断部位が左側頚動脈であると特定されると、アノテーション機能表示制御部162bは、図7の(A)の矢印27に示すように、左側の頚動脈のアノテーションの項目であるL−CCA、L−ICA、L−ECA及びL−VAのみをタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。また、図7の(B)に示すように、位置特定部161によって診断部位が右側頚動脈であると特定されると、アノテーション機能表示制御部162bは、図7の(B)の矢印28に示すように、右側の頚動脈のアノテーションの項目であるR−CCA、R−ICA、R−ECA及びR−VAのみをタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0052】
図4に戻って、ピクトグラム機能制御部162cは、ピクトグラム機能に含まれる複数の項目のうち、位置特定部161によって特定された診断部位に関連する項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。具体的には、ピクトグラム機能表示制御部162cは、操作者によってピクトグラム機能が起動された後、位置特定部161によって特定された診断部位に関連する項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0053】
図8は、ピクトグラム機能表示制御部162cの処理の一例を説明するための図である。例えば、図8の(A)に示すように、超音波プローブ11が被検体Pの首の左側に位置し、位置特定部161によって診断部位が左側頚動脈であると特定されると、ピクトグラム機能表示制御部162cは、図8の(A)の29に示すように、左側の頚動脈のピクトグラムの項目のみをタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。また、図8の(B)に示すように、位置特定部161によって超音波プローブ11が被検体Pの首の右側に位置し、位置特定部161によって診断部位が右側頚動脈であると特定されると、ピクトグラム機能表示制御部162cは、図8の(B)の30に示すように、右側の頚動脈のピクトグラムの項目のみをタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0054】
ここで、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cは、位置特定部161によって特定された診断部位に係る情報をモニタ13に表示させる。図9は、アノテーション機能表示制御部162bによるモニタ13に対する表示制御の一例を説明するための図である。例えば、アノテーション機能表示制御部162bは、図9に示すように、超音波プローブ11が被検体Pの首の左側に位置し、位置特定部161によって診断部位が左側頚動脈であると特定されると、モニタ13に左側をスキャンしていることを示す「L−Side」を表示させる。また、アノテーション機能表示制御部162bは、図9に示すように、超音波プローブ11が被検体Pの首の右側に位置し、位置特定部161によって診断部位が右側頚動脈であると特定されると、モニタ13に右側をスキャンしていることを示す「R−Side」を表示させる。
【0055】
なお、本実施形態においては、「L−side」や「R−side」といった情報を文字情報として表示する例を示したが、表示方法はこれに限られない。例えば、単に「L」、「R」、「←」、「→」、「左」、「右」などの文字や図形をアイコンとして表示させても構わないし、あるいは単にスキャン位置を示す三角形の図形やプローブのアイコンを画面の左側、又は右側に表示することでスキャン位置の左右を区別して表示しても構わない。あるいはアイコンを表示する向きを左側に傾けたり、あるいは右側に傾けることでスキャン位置の左右を区別して表示しても構わない。
【0056】
同様に、ピクトグラム機能表示制御部162cは、位置特定部161によって特定された診断部位に基づいて、スキャン位置を示すピクトグラムをモニタ13に表示させる。なお、モニタ13に表示されるアノテーション及びピクトグラムは、超音波診断装置100の設計者や操作者などにより任意に決定される。
【0057】
上述したように、計測機能表示制御部162a、アノテーション機能表示制御部162b又はピクトグラム機能表示制御部162cによって、超音波プローブ11の位置に係る項目のみがタッチコマンドスクリーン12dに表示される。操作者は、タッチコマンドスクリーン12dに表示された項目から所望する項目を選択することで、関心領域を計測したり、画像に対してアノテーション又はピクトグラムを付与したりする。
【0058】
ここで、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cは、超音波プローブの位置に基づいて、操作者によって付与されたアノテーション及びピクトグラムのモニタ13への表示及び非表示を制御する。具体的には、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cは、超音波プローブ11によってスキャンされている位置とアノテーション及びピクトグラムが付与された位置とが同一である場合に、操作者によって付与されたアノテーション及びピクトグラムをモニタ13に表示させる。
【0059】
図10は、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cによる表示制御の一例を説明するための図である。例えば、図10の(B)に示すように、被検体Pの左側頚動脈がスキャンされた画像(A)に対して操作者がアノテーション「L−CCA」及びピクトグラムを付与する。ここで、アノテーション機能及びピクトグラム機能が起動された状態で、超音波プローブ11が被検体Pの首の右側に移動されると、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cは、図10の(C)に示すように、付与されたアノテーション「L−CCA」及びピクトグラムを表示させないように制御する。そして、図10に示すように、超音波プローブ11が、再度、被検体Pの首の左側に移動されると、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cは、図10の(D)に示すように、アノテーション「L−CCA」及びピクトグラムを再度モニタ13に表示させる。
【0060】
図4に戻って、計測機能制御部163は、位置特定部161によって特定された超音波プローブ11の位置に基づいて、計測機能を継続させるか否かを制御する。具体的には、計測機能制御部163は、操作者によって計測機能が起動された位置から超音波プローブ11が移動した場合に、計測機能を終了させる。
【0061】
図11は、計測機能制御部163による計測機能の自動終了を説明するための図である。例えば、図11の(B)に示すように、操作者が被検体Pの首の左側をスキャンした画像(A)に描出された左側頚動脈を計測機能により計測する。その後、計測機能を起動させた状態で、図11の(C)に示すように、被検体Pの腹部の診断が開始されると、計測機能制御部163は、起動されている計測機能を終了させる。
【0062】
上述したように、第1の実施形態に係る超音波装置1は、超音波プローブ11の位置に基づいて、計測機能、アノテーション機能及びピクトグラム機能によって表示される表示内容を変更したり、計測機能を継続させるか否かを制御したりする。ここで、第1の実施形態に係る超音波装置1は、診断部位ごとに項目が予め設定されたプロトコル(Protocol)診断機能に係る項目の表示制御を行うことも可能である。なお、プロトコル診断機能とは、診断部位ごとに診断に係る各種項目が予め設定されており、操作者が診断部位を選択することで、設定された項目がワークフローとして自動で表示される機能である。すなわち、プロトコル診断機能は、画像に描出された関心領域の計測などに係る操作者の作業をアシストする機能である。
【0063】
図12―1は、プロトコル診断機能に係る項目の一例を説明するための図である。例えば、プロトコル診断機能では、図12―1に示すように、診断部位が頚動脈である場合に、「項目1(左側頚動脈)」、「項目2(左側頚動脈)」、「項目5(右側頚動脈)」、「項目6(右側頚動脈)」などを含むワークフローを表示させることにより、操作者の作業をアシストする。すなわち、操作者は、図12―1に示す「項目1(左側頚動脈)」から順番に実行する。ここで、第1の実施形態に係る計測機能表示制御部162aは、プロトコル診断機能に係る項目の表示制御も実行する。
【0064】
図12―2は、第1の実施形態に係る計測機能表示制御部162aによるプロトコル診断機能に係る項目の表示制御を説明するための図である。計測機能表示制御部162aは、図12の(B)に示すように、例えば、超音波プローブ11が被検体Pの首の右側に位置し、位置特定部161によって診断部位が右側頚動脈であると特定されると、プロトコル診断機能に含まれる項目から「項目5(右側頚動脈)」、「項目6(右側頚動脈)」を抽出し、抽出した項目を強調表示させる。
【0065】
このように、位置情報取得装置14によって取得された超音波プローブ11の位置に基づいて、タッチコマンドスクリーン12d及びモニタ13に表示させる表示内容を制御することで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、操作者が誤った項目を選択する可能性を低減することを可能にする。
【0066】
次に、図13〜15を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理について説明する。なお、図13〜15においては、被検体Pの診断が、超音波プローブ11に装着された位置センサー14bが、トランスミッター14aの磁場を正確に検出することが可能な磁場エリア内で行われている場合の処理について示す。また、図13〜15においては、被検体Pの任意の部位の位置(座標)が、位置センサー14bを用いて取得された後の処理について示す。
【0067】
図13は、第1の実施形態に係る計測機能表示制御部162aによる処理の手順を示すフローチャートである。図13に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、計測機能が起動されると(ステップS101肯定)、位置特定部161は、被検体Pに対する超音波プローブ11の位置を特定する(ステップS102)。
【0068】
そして、計測機能表示制御部162aは、超音波プローブ11の位置に関連する計測項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させ(ステップS103)、計測機能が終了されたか否かを判定する(ステップS104)。ここで、計測機能が終了されていない場合には(ステップS104否定)、計測機能表示制御部162aは、ステップS103に戻って、超音波プローブ11の位置に関連する計測項目のみをタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0069】
一方、計測機能が終了された場合には(ステップS104肯定)、計測機能表示制御部162aは、タッチコマンドスクリーン12dに表示させた計測項目を非表示にして(ステップS105)、処理を終了する。
【0070】
図14は、第1の実施形態に係るアノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方による処理の手順を示すフローチャートである。なお、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cによる処理は、表示内容が異なるのみであり、手順は同一であることから、図14を用いてアノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cによる処理の手順を説明する。また、図14に示す「アノテーション機能/ピクトグラム機能」及び「アノテーション/ピクトグラム」は、それぞれ「アノテーション機能及びピクトグラム機能の少なくとも一方」及び「アノテーション及びピクトグラムの少なくとも一方」を意味する。
【0071】
図14に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、アノテーション機能/ピクトグラム機能が起動されると(ステップS201肯定)、位置特定部161は、超音波プローブ11の位置を特定する(ステップS202)。
【0072】
そして、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、超音波プローブ11の位置に関連する項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる(ステップS203)。また、同時に、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、超音波プローブ11の位置を示す情報をモニタ13に表示させる(ステップS204)。
【0073】
続いて、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、アノテーション及びピクトグラムの少なくとも一方が選択されたか否かを判定する(ステップS205)。ここで、アノテーション及びピクトグラムの少なくとも一方が選択された場合には(ステップS205肯定)、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、選択されたアノテーション及びピクトグラムの少なくとも一方をモニタ13に表示させ(ステップS206)、超音波プローブ11の位置が変ったか否かを判定する(ステップS207)。
【0074】
一方、アノテーション及びピクトグラムの少なくとも一方が選択されていない場合には(ステップS205肯定)、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、超音波プローブ11の位置が変ったか否かを判定する(ステップS207)。
【0075】
ここで、超音波プローブ11の位置が変った場合には(ステップS207肯定)、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、アノテーション/ピクトグラムをモニタ13に表示させているか否かを判定する(ステップS208)。ここで、アノテーション/ピクトグラムをモニタ13に表示させている場合には(ステップS208肯定)、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、モニタ13に表示させたアノテーション/ピクトグラムを非表示にして(ステップS209)、ステップS203に戻る。
【0076】
一方、アノテーション/ピクトグラムをモニタ13に表示させていない場合には(ステップS208否定)、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、ステップS203に戻って、超音波プローブ11の位置に関連する計測項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0077】
ステップS207において、超音波プローブ11の位置が変っていない場合には(ステップS207否定)、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、アノテーション機能/ピクトグラム機能が終了されたか否かを判定する(ステップS210)。ここで、アノテーション機能/ピクトグラム機能が終了されていない場合には(ステップS210否定)、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、ステップS203に戻って、超音波プローブ11の位置に関連する計測項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。
【0078】
一方、アノテーション機能/ピクトグラム機能が終了された場合には(ステップS210肯定)、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、項目及び超音波プローブ11の位置を示す情報を非表示にして(ステップS211)、処理を終了する。
【0079】
図15は、第1の実施形態に係る計測機能制御部による処理の手順を示すフローチャートである。図13に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、計測機能が起動されると(ステップS301肯定)、位置特定部161は、超音波プローブ11の位置を特定する(ステップS302)。
【0080】
そして、計測機能制御部163は、プロトコル診断機能が起動されているか否かを判定する(ステップS303)。ここで、プロトコル診断機能が起動されている場合には(ステップS303肯定)、計測機能制御部163は、プロトコル診断機能に含まれる計測項目のうち、超音波プローブ11の位置に関連する計測項目のみを実行する(ステップS304)。
【0081】
一方、プロトコル診断機能が起動されていない場合には(ステップS303否定)、計測機能制御部163は、操作者によって選択された計測項目を実行する(ステップS305)。
【0082】
その後、計測機能制御部163は、超音波プローブ11の位置が変ったか否かを判定する(ステップS306)。ここで、超音波プローブ11の位置が変った場合には(ステップS306肯定)、計測機能制御部163は、計測機能を終了して(ステップS307)、処理を終了する。
【0083】
一方、超音波プローブ11の位置が変っていない場合には(ステップS306否定)、計測機能制御部163は、操作者から計測機能の終了を受け付けたか否かを判定する(ステップS308)。ここで、計測機能の終了を受け付けていない場合には(ステップS308否定)、計測機能制御部163は、計測機能を継続して(ステップS309)、ステップS306の判定を再度実行する。一方、計測機能の終了を受け付けた場合には(ステップS308肯定)、計測機能制御部163は、計測機能を終了して(ステップS307)、処理を終了する。
【0084】
なお、上述した処理においては、計測機能、アノテーション機能又はピクトグラム機能が起動されるまで、超音波診断装置1は、待機状態である(ステップS101、ステップS201及びステップS301否定)。
【0085】
上述したように、第1の実施形態によれば、位置情報取得装置14は、被検体Pに対する超音波プローブ11の位置を示す位置情報を取得する。そして、表示制御部162は、位置情報取得装置14によって取得された位置情報に基づいて、タッチコマンドスクリーン12d又はモニタ13にて表示させる表示内容を変更する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ11の位置に関連する内容のみを表示させることができ、操作者が誤った項目を選択する可能性を低減することを可能にする。
【0086】
また、第1の実施形態によれば、計測機能表示制御部162aは、画像に描出された関心領域に係る任意の値を計測するために用いられる計測機能に含まれる複数の計測項目のうち、位置情報取得装置14によって取得された超音波プローブ11の位置に関連する計測項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、診断部位に対応する計測項目のみを表示させることができ、操作者が誤った計測項目を選択する可能性を低減することを可能にする。
【0087】
また、第1の実施形態によれば、アノテーション機能表示制御部162bは、画像に対して当該画像の特徴を示すアノテーションを付与するために用いられるアノテーション機能に含まれる複数の項目のうち、位置情報取得装置14によって取得された超音波プローブ11の位置に関連する項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、アノテーション機能において、診断部位に対応する項目のみを表示させることができ、操作者が誤ったアノテーションの項目を選択する可能性を低減することを可能にする。
【0088】
また、第1の実施形態によれば、ピクトグラム機能表示制御部162cは、画像に対して当該画像に含まれる診断部位を示すピクトグラムを付与するために用いられるピクトグラム機能に含まれる複数の項目のうち、位置情報取得装置14によって取得された超音波プローブ11の位置に関連する項目をタッチコマンドスクリーン12dに表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、ピクトグラム機能において、診断部位に対応する項目のみを表示させることができ、操作者が誤ったピクトグラムの項目を選択する可能性を低減することを可能にする。
【0089】
また、第1の実施形態によれば、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、位置情報取得装置14によって取得された超音波プローブ11の位置を示す情報をモニタ13に表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、操作者が画像を取り違えることを抑止することができ、操作者が誤った項目を選択する可能性をより低減することを可能にする。
【0090】
また、第1の実施形態によれば、アノテーション機能表示制御部162b及びピクトグラム機能表示制御部162cの少なくとも一方は、タッチコマンドスクリーン12dに表示させたアノテーション及びピクトグラムの少なくとも一方に含まれる項目が操作者によって選択された場合に、位置情報取得装置14によって取得される超音波プローブ11の位置が、当該項目が選択された時点の位置と同一であることを条件に、選択された項目をモニタ13に表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、操作者に現時点の正確な診断部位を把握させることを可能にする。
【0091】
また、第1の実施形態によれば、計測機能制御部163は、診断部位ごとに計測項目が予め設定されたプロトコル診断機能において、当該プロトコル診断機能に含まれる複数の計測項目のうち、位置情報取得装置14によって取得される超音波プローブ11に関連する計測項目を実行させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、操作者による作業負荷を低減することを可能にする。その結果、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、操作者によるミスを低減させるとともに、超音波診断のスループットを向上させることを可能にする。
【0092】
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0093】
(1)表示方法
上述した第1の実施形態では、計測メニュー、アノテーションメニュー及びピクトグラムメニューにおいて、超音波プローブ11の位置に関連する項目のみを表示する場合について説明した。しかしながら、開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、関連する項目の色を変更したり、強調表示させたりする場合であってもよい。
【0094】
(2)プロトコル診断機能の表示制御
上述した第1の実施形態では、プロトコル診断機能に含まれるすべての計測項目をモニタ13に表示させ、計測機能表示制御部162aが超音波プローブ11の位置に関連する項目を強調表示する場合について説明した。しかしながら、開示の技術これに限定されるものではなく、例えば、表示制御部162が、超音波プローブ11の位置に関連する項目のみをモニタ13に表示させる場合であってもよい。
【0095】
以上説明したとおり、第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、本実施形態の超音波診断装置は、超音波プローブの位置に関連する項目のみを操作者に表示させることができ、操作者が誤った項目を選択する可能性を低減することを可能にする。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0097】
1 超音波診断装置
11 超音波プローブ
12 入力装置
12d タッチコマンドスクリーン
13 モニタ
14 位置情報取得装置
14a トランスミッター
14b 位置センサー
14c 信号処理装置
100 装置本体
160 制御部
161 位置特定部
162 表示制御部
162a 計測機能表示制御部
162b アノテーション機能表示制御部
162c ピクトグラム機能表示制御部
163 計測機能制御部
170 内部記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対する超音波探触子の位置を示す位置情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された位置情報に基づいて、所定の表示部にて表示させる表示内容を変更する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
所定の計測項目に基づいて、画像に描出された関心領域に係る任意の値を計測する計測手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、複数の前記計測項目のうち前記計測手段により計測を行う計測項目を選択するための選択画面を前記表示部に表示させるものであって、前記取得手段によって取得された位置情報に関連する前記計測項目を前記選択画面にて表示させることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、画像に対して当該画像の特徴を示す文字列を付与するために用いられる文字列付与機能に含まれる複数の項目のうち、前記取得手段によって取得された位置情報に関連する項目を前記所定の表示部にて表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、画像に対して当該画像に含まれる診断部位を示す概略図を付与するために用いられる概略図付与機能に含まれる複数の項目のうち、前記取得手段によって取得された位置情報に関連する項目を前記所定の表示部にて表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記取得手段によって取得された位置情報を前記所定の表示部にて表示させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記第1の表示部に表示させた前記文字列付与機能及び前記概略図付与機能の少なくとも一方に含まれる項目が操作者によって選択された場合に、前記取得手段によって取得される位置情報が、当該項目が選択された時点の位置情報と同一であることを条件に、前記選択された項目を前記所定の表示部にて表示させることを特徴とする請求項3又は4に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記複数の計測項目は、前記診断部位毎に関連付けて記憶部に記憶されるものであって、
前記表示制御部は、前記複数の計測項目のうち、前記取得手段によって取得された位置情報に関連する計測項目を強調させるように前記所定の表示部にて表示させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項8】
被検体に対する超音波探触子の位置を示す位置情報を取得する取得手順と、
前記取得手順によって取得された位置情報に基づいて、所定の表示部にて表示させる表示内容を変更する表示制御手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−143356(P2012−143356A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3217(P2011−3217)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】