説明

超音波診断装置

【課題】表示装置から視線を移すことなく操作を行うことのできる超音波診断装置の提供。
【解決手段】少なくとも表示装置およびポインティングデバイスを備える超音波診断装置であって、
前記ポインティングデバイスによって操作され前記表示装置に表示されるポインタが前記表示装置に表示されるスイッチ上に位置づけられかつ該スイッチを押す動作がなされた際に、該スイッチに関連づけられた操作がなされる手段が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置に係り、特に、その操作において改良された構成を有する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、被検体の断層像を含む被検体内部の診断に係る各種情報をモニタ(表示装置)に表示させるように構成され、前記各種情報は該被検体に当接させて用いられる超音波探触子を介して得られるエコー信号に基づいて作成されるようになっている。
【0003】
診断にあっては、表示装置に、前記各種情報を任意にそれぞれ表示させる場合、あるいは、最終的に表示させる情報の前の段階でいくつかの一連の情報を表示させる場合等があるが、それらの各表示は超音波診断装置に取り付けられた操作パネル上においてボタン操作(キー操作)等をすることによって行っていた。
【0004】
また、近年、下記特許文献1に開示されているように、超音波診断装置において前記操作パネルの他にタッチスクリーンパネルのような補助表示器を備え、これにより、必要に応じて操作パネルおよび補助表示器上でボタン操作あるいはタッチ操作等をすることができる。
【0005】
前記補助表示器には多くのスイッチが配設された設定入力画像が表示されており、これらのスイッチのタッチ操作によってそのスイッチに関連付けられた機能がたとえばON/OFFされるようになっている。このような補助表示器は操作パネルの有限な領域を事実上拡張するように機能する。
【特許文献1】特開2002−248099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した超音波診断装置は、そのいずれにおいても、表示装置上に表示させようとする画面の切り換え等の操作は該表示装置とは別個に設けられた操作パネルあるいは補助表示器によって行わなければならないものであった。
【0007】
このため、超音波診断装置の操作において、操作者は、操作パネルあるいは補助表示器の操作、表示装置の表示の確認、操作パネルあるいは補助表示器の操作、表示装置の表示の確認、……、を繰り返し、その都度、視線を表示装置から操作パネルあるいはタッチパネルへ移さなければならないことになる。
【0008】
このことは、表示装置の画面に集中して診断することを妨げることにもなり、表示装置の画面を目視しながら超音波診断装置の操作ができることが要望されるに至った。
【0009】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、表示装置から視線を移すことなく操作を行うことのできる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
(1)本発明による超音波診断装置は、たとえば、少なくとも表示装置およびポインティングデバイスを備える超音波診断装置であって、
前記ポインティングデバイスによって操作され前記表示装置に表示されるポインタが前記表示装置に表示されるスイッチ上に位置づけられかつ該スイッチを押す動作がなされた際に、該スイッチに関連づけられた操作がなされる手段が備えられていることを特徴とする。
【0012】
(2)本発明による超音波診断装置は、たとえば、前記(1)の構成を前提とし、一の画像の上に該一の画像よりも面積の小さな他の画像が重畳して表示され、前記他の画像の輝度を前記一の画像の輝度よりも高く表示することを特徴とするものである。
【0013】
(3)本発明による超音波診断装置は、たとえば、前記(1)の構成を前提とし、前記表示装置に表示される画像の一部の領域に超音波画像が表示され、この超音波画像を除く他の領域の輝度は該超音波画像が表示されている領域の輝度よりも低く表示することを特徴とする。
【0014】
なお、本発明は以上の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【発明の効果】
【0015】
このように構成された超音波診断装置は、表示装置に表示される画像上のポインタを目視しながら片方の手で押さえているポインティングディバイスの操作によって移動させることができる。
【0016】
そして、超音波診断装置の操作は表示装置に表示されたスイッチ(あるいはボタン)を前記ポインタによって押す操作を通して行うことができ、表示装置以外のものに視線を移す必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明による超音波診断装置の実施例を図面を用いて説明をする。
【0018】
図1は、本発明による超音波診断装置の一実施例を示す概略構成のブロック図である。
【0019】
図1において、まず、被検体に当接されて用いられる超音波探触子32があり、この超音波探触子32は超音波送受信部33によって該被検体に超音波を送信するようになっている。また、該被検体内に送信された超音波はエコー信号となって反射され前記超音波探触子32を介して前記超音波送受信部33に入力されるようになっている。
【0020】
この場合、超音波送受信部33における超音波の送信および受信は切り換えられてなされるとともに、これら切り換えにおける各態様の条件が設定され、該切り換えおよび条件の設定等は後述の制御部36からの制御信号によってなされるようになっている。
【0021】
超音波送受信部33からの信号は信号処理部34に入力され、この信号処理部34において超音波画像が作成されるようになっている。超音波画像としては、たとえば、Bモード画像、Mモード画像、カラードプラ画像、あるいはDモード画像などの各種の画像が知られており、これら画像は、後述の制御部36からの指令に基づき必要に応じて作成されるようになっている。
【0022】
なお、この信号処理部34では、前記超音波画像とともにたとえば該超音波画像の表示領域と異なる他の領域に表示されるグラフィック画像も作成され、このグラフィック画像の中には図案化された後述の各種スイッチ(あるいはボタン)も含まれる。
【0023】
前記信号処理部34によって作成された超音波画像およびグラフィック画像の情報は表示装置35に入力され、この表示装置35において該超音波画像およびグラフィック画像が表示されるようになっている。
【0024】
ここで、前記制御部36には操作パネル37が設けられ、従来にあっては、操作者による該操作パネル37のたとえばボタン操作(キー操作)によって、該ボタンに関連付けられた機能に基づいて該制御部36が作動し、前記超音波送受信部33および信号処理部34が制御されていた。
【0025】
しかし、この実施例では、該操作パネル37を主として用いることなく、この操作パネル37に替わるものとして画面操作制御部38を備えた構成となっている。この画面操作制御部38は、具体的にはマウス等に組み込まれているポインティングデバイスによって動作されるようになっている。
【0026】
さらに、前記表示装置35には、上述した超音波画像のように診断に寄与する画像と、このような超音波画像の表示領域と異なる他の領域においてたとえば並設された複数の図案化されたスイッチ(あるいはボタン)を有するグラフィック画像を有する画像(以下、この明細書において、入力設定兼用画像と称する)が表示されるようになっている。また、超音波画像のように診断に寄与する画像が表示されず、並設された複数の図案化されたスイッチを主として有するグラフィク画像からなる画像(以下、この明細書において、入力設定画像と称する)も表示可能になっている。
【0027】
表示装置35にこのような入力設定画像および入力設定兼用画像が表示されることにより、それらに表示されているスイッチ(あるいはボタン)を通して操作指令や設定情報を入力することができ、前記操作パネル37への操作と同様の機能をもたせることができる。
【0028】
そして、これら入力設定画像あるいは入力設定兼用画像には、それが表示装置25に表示された際に、ポインタが表示されるようになっており、操作者によるポインティングデバイスの移動操作によって、前記ポインタは前記スイッチ(あるいはボタン)上に位置付けられ、また、ボタン操作によって該スイッチ(あるいはボタン)を押す動作が可能になっている。
【0029】
図2は、本発明による超音波診断装置の一連の操作において、その一部の操作にともなって前記表示装置35に表示される画像の一実施例を示した構成図である。
【0030】
図2において、該表示装置35の表示画面35aには入力設定兼用画像が表示されている。入力設定兼用画像は、上述したように、超音波画像のように診断に寄与する画像と、このような超音波画像の表示領域と異なる他の領域においてたとえば並設された複数の図案化されたスイッチ(あるいはボタン)を有するグラフィック画像との合成画像として構成される。
【0031】
図2に示すように、該表示画面35aのほぼ中心部には超音波画像21が表示されている。図2に示す超音波画像21は、図中の上部の欄22に示すように、たとえばアプリケーション1ないしアプリケーション8までの超音波画像表示態様のうちの選択されたアプリケーション3による超音波画像となっている。
【0032】
そして、このように表示された該超音波画像21の左側の欄23には、該超音波画像21を基にしてたとえば種々の計測等を行い得るスイッチSW1ないしSW5が図案化されて表示されている。ここで、スイッチSW1は超音波画像上に矢印を表示させるためのスイッチで矢印アイコンとして表示されている。スイッチSW2は超音波画像上で2点間の距離計測を行うためのスイッチでキャリパーアイコンとして表示されている。スイッチSW3は超音波画像上に2点で囲った範囲の面積を測定するためのスイッチでトレース面積アイコンとして表示されている。スイッチSW4は3次元超音波画像を表示した場合該画像を回転させるためのスイッチで画像回転アイコンとして表示されている。スイッチSW5はコメント入力して表示させるためのスイッチでアノテーションアイコンとして表示されている。
【0033】
この欄23に表示されている各スイッチSW1ないしSW5の一つを操作する場合には、表示画面35aに表示されているポインタ24を操作者によるポインティングデバイスの移動操作によって当該スイッチに重なるようにして移動させ、やはり、操作者によるポインティングデバイスのボタン操作によって該ポインタ24で当該スイッチを押す動作をすることによって達成できるようになる。
【0034】
なお、図2に示す画像が表示された段階では、前記ポインタ24は当該画面上に表示されているいずれのスイッチ上に重ねて表示されることはなく、各スイッチが表示されていない位置であって予め定められた位置に表示されるようになっている。当該画像の表示後において、操作者の意志で前記各スイッチの一つを任意に選択させるためである。
【0035】
また、上述のように表示される該超音波画像21の下側の欄25にはスイッチSW6ないしSW13が並設されて表示されている。ここで、スイッチSW6は超音波画像をフリーズさせるためのスイッチでフリーズアイコンとして表示されている。スイッチSW2は超音波画像を印刷するためのスイッチでプリントアイコンとして表示されている。スイッチSW8、SW9は超音波の焦点を調整するためのスイッチでフォーカス深度アイコンとして表示されている。スイッチSW10、SW11は超音波画像の表面深度を調整するためのスイッチで表面深度アイコンとして表示されている。スイッチSW12は各種パラメータの自動調整を実行するためのスイッチでハイサポートアイコンとして表示されている。また、スイッチSW13は3次元超音波画像を表示している場合において2次元超音波画像に切り換えるためのスイッチとなっている。
【0036】
この欄25に表示されている各スイッチの一つを操作する場合にも、上述と同様に、表示面35aに表示されているポインタ24を操作者によるポインティングデバイスの移動操作によって当該スイッチに重なるようにして移動させ、やはり、操作者によるポインティングデバイスのボタン操作によって該ポインタ24で当該スイッチを押す動作をすることによって達成できるようになる。
【0037】
なお、図2に示す表示画面35aには、その左側において、前記超音波画像21と類似する画像であって該超音波画像21よりも小さく表示される複数の画像26aないし26cが参照画像として表示されている。これら参照画像はタブ形式によって過去に取得した超音波画像等とリアルタイムに取得されている超音波画像等を切り換えて表示できるようになっている。図2には、リアルタイムに取得されている超音波画像等が表示され、図中上から順次動画像アイコン(26a)、静止像アイコン(26b)、三次元像アイコン(26c)が表示され、それらの選択、すなわち、表示面35aに表示されているポインタ24を操作者によるポインティングデバイスの移動操作によって当該各画像アイコンのうちの一つの画像アイコンに重なるようにして移動させ、やはり、操作者によるポインティングデバイスのボタン操作によって該ポインタ24で当該スイッチ(アイコン)を押すことにより、当該画像が表示画面35aのほぼ中央にて超音波画像21として表示されるようになっている。
【0038】
図3は、本発明による超音波診断装置の一連の操作において、その一部の操作にともなって前記表示装置35に表示される画像の他の実施例を示した構成図である。
【0039】
図3において、該表示装置35の表示画面35aには図中に太い枠で示した入力設定画像32が入力設定兼用画像に重畳されて表示されている。入力設定画像32は、上述したように、超音波画像のように診断に寄与する画像を含まず、並設された複数の図案化されたスイッチを主とするグラフィク画像として構成される。
【0040】
この入力設定画像32は、たとえば探触子選択画像と称され、この入力設定画像32に図案化されて表示されたスイッチSW13ないしSW15を通して選択しようとする探触子を特定することができる。ここで、スイッチSW13はリニア型超音波探触子を選択するスイッチ、スイッチSW14はセクタ型超音波探触子を選択するスイッチ、スイッチSW15はコンベックス型超音波探触子を選択するスイッチを示している。
【0041】
これら選択は、上述したと同様に、入力設定画像32上に表示されているポインタ33を操作者によるポインティングデバイスの移動操作によって当該スイッチに重なるようにして移動させ、やはり、操作者によるポインティングデバイスのボタン操作によって該ポインタ33で当該スイッチを押す動作をすることによって達成できるようになる。
【0042】
なお、図3にあっては、スイッチSW13が選択されて押されていることを示し、そのスイッチSW13の選択が他のスイッチSW14、SW15との関係で明瞭となるようにタブ形式で選択されるようになっている。そして、前記スイッチSW1の選択に伴い、次の必要となる操作を各種アプリケーションのうちの一つを選択することによって行い得るアプリケーション選択画像36が表示されていることを示している。このアプリケーション選択画像36には、各アプリケーションに対応した各スイッチSW17ないしSW26が図案化されて表示されている。
【0043】
ここで、たとえば、スイッチSW17は成人腹部を示すスイッチで、このスイッチSW17が選択された場合、成人である被検体の腹部を最適に映像できる超音波画像が得られるように探触子32における超音波のフォーカス深度、周波数、ゲイン等が制御部36によって制御されるようになっている。また、スイッチSW18は肝臓を示すスイッチで、このスイッチSW18が選択された場合、被検体の肝臓を最適に塩蔵できる超音波画像が得られるように探触子32における超音波のフォーカス深度、周波数、ゲイン等が制御部36によって制御されるようになっている。
【0044】
該アプリケーション選択画像36を用いてアプリーションを選択する際においても、上述したと同様に、表示画面35a上に表示されているポインタ33を操作者によるポインティングデバイスの移動操作によって当該スイッチに重なるようにして移動させ、やはり、操作者によるポインティングデバイスのボタン操作によって該ポインタ33で当該スイッチを押す動作をすることによって達成できるようになる。
【0045】
そして、図2に示したように、表示装置35に少なくとも前記入力設定兼用画像が表示されている場合であって、該入力設定兼用画像にそれぞれ表示される前記各スイッチは、該入力設定兼用画像が表示された際においては、その輝度を低くして表示され、操作者が前記ポインティングデバイスの操作によって、前記ポインタを任意のスイッチ上に位置付けた際には、選択されたスイッチの枠内の輝度が高く表示されるようになっている。
【0046】
このようにすることにより、たとえば前記入力設定兼用画像を表示させた際には、該入力設定兼用画像に表示されている超音波画像(図2において符号21で示される)を、前記各スイッチSW1〜SW13の表示に惑わされることなく、集中して観察することができるようになる。該スイッチの輝度が低い状態で表示されているからである。このことから、この状態における該スイッチの輝度は、前記超音波画像21の輝度よりも低く設定することが望ましい。
【0047】
そして、操作者の前記ポインティングデバイスの移動操作により前記ポインタを該スイッチ上に位置づけた際には、該スイッチの輝度が高くなって表示されることから、該スイッチを押す動作をする前に、該スイッチの適切な選択を充分に確認することができるようになる。
【0048】
図4は、入力設定兼用画像が表示装置35に表示されてからポインタが位置づけられたスイッチの輝度を高くするまでの間に前記制御部36が行う動作のフローを示す図である。
【0049】
まず、ステップST1において、入力設定兼用画像を表示する。この入力設定兼用画像はいずれも一つあるいはそれ以上の図案化されたスイッチを有する画像であることは上述した通りである。
【0050】
そして、ステップST2において、全ての前記スイッチの輝度を下げて表示する。これにより、操作者は、前記スイッチに惑わされることなく、該入力設定兼用画像に表示されている超音波画像を集中して観察することができる。
【0051】
ステップST3において、ポインタ24を前記各スイッチが表示されている領域以外の領域に表示する。このポインタは、操作者の前記ポインティングデバイスの移動操作によって画像面のいずれの位置においても移動させることができるようになっている。
【0052】
ステップST4において、操作者による前記ポインティングデバイスの移動操作によって、前記ポインタ24がいずれかのスイッチの上に位置付けられているか否かを判断する。
【0053】
ポインタ24がいずれかのスイッチの上に位置付けられていると判断した場合、ステップST5において、ポインタ24が位置付けられたスイッチの輝度を上げる。また、ポインタ24がスイッチの上に位置付けられていないと判断した場合、さらに、前記ポインタがスイッチの上に位置付けられているか否かの判断を続行する。
【0054】
なお、上述した実施例は、図1に示したように、従来備えられていた操作パネル37を用いることなく、画面操作制御部38のみによって、超音波診断装置の必要とする操作を行うようにしたものである。
【0055】
このような操作ができる背景として、表示装置35に表示される画像を全て入力設定画像および入力設定兼用画像として作成し、超音波診断装置の操作をこれら入力設定画像および入力設定兼用画像を通して行うようにしたからである。
【0056】
しかし、表示装置35に表示する画像として、前記入力設定画像および入力設定兼用画像とともにそれ以外の他の画像を表示する場合があり、この場合においても、このようにしてもよい。
【0057】
なお、上述のように、超音波画像21を各スイッチに惑わされないように集中して、かつ大きな画像で観察できるようにする趣旨から、たとえば、装置の電源を投入してから超音波計測を開始するまでは該各スイッチの配列のみからなるグラフィック画像のみを最初からその輝度を高く不変の状態のままに表示しておき、超音波計測を開始して得られた該超音波画像21を表示面35aに表示する際に、該超音波画像21を領域的に拡大させて表示させ、この拡大された超音波画像21の背後に該スイッチ画像が位置づけられるようにし、該スイッチ画像は該超音波画像21によってその表示が阻止されるように構成してもよい。輝度が高く表示されたスイッチは目視されることがないので、前記超音波画像21の観察を集中して行うことができる。なお、前記スイッチを操作する場合には、たとえば、ポインティングデバイスのボタン操作、たとえばマウスの右ボタン操作をすることにより、前記超音波画像21を縮小させる操作を行い、超音波画像21を図2に示す位置に表示させ、該スイッチを前記超音波画像21から露出させるようにしてもよい。
【0058】
図5は、本発明による超音波診断装置の他の実施例を示す構成図である。
【0059】
図5は、表示装置35の表示画面35aに、たとえば現在における超音波画像21cが表示されており、この超音波画像21cの上に、たとえば該超音波画像の被検体と同一の被検体の超音波画像であって過去に撮像された参照画像21bが一部重畳して表示されていることを示している。なお、この参照画像21bの表示は、たとえば、図2に示したように、表示画面35aの左側において表示される参照画像をタブ形式に基づく選択によって過去に取得した超音波画像等に切り換え、動画像アイコン(26a)、静止像アイコン(26b)、三次元像アイコン(26c)のうちの一つを選択することによってなされるようになっている。
【0060】
この場合、このように表示画面35aに前記参照画像21bが表示された段階で、この参照画像21bが作成された際の種々の条件(たとえば、超音波エネルギ、焦点距離、深さ等)であって該参照画像21bに関連されて記録されている情報を取り出し、超音波診断装置に備える記憶装置に該情報を格納するように構成されている。
【0061】
そして、前記被検体に対してその超音波画像を作成する場合において、その条件として前記記憶装置に格納されている情報を用いるようになっている。すなわち、過去の参照画像21bの作成の際の条件をできる限り共通にし、過去の診断を通して現在の診断を効果的に行うとする趣旨であり、また、このようにした場合、参照画像21bを現在の診断において効果的に用いることができるようになる。
【0062】
図6は、図5に示した構成において、超音波診断装置の前記制御部36が行う動作のフローを示す図である。
【0063】
図6に示すように、まず、ステップST11において、参照画像(図5にて符号21bで示す)の読み出しを行う。この場合の参照画像の読み出しは、操作者が図2に示す参照画像枠26b内のアイコンの操作による参照画像の選択によって行う。次に、ステップST12において、読み出した参照画像の各条件に相当する情報を取り出し、たとえば制御部36に備える記憶装置に該情報を格納する。
【0064】
次に、ステップST13において、現在実行中の超音波画像(図5にて符号21cで示す)の作成に用いられている各条件の情報と、前記参照画像の前記記憶装置に格納された各情報を比較する。さらに、ステップST14において、現在実行中の超音波画像の作成に用いられている各条件の情報を、前記参照画像の前記記憶装置に格納された各情報に合わせて変更する。その後は、変更された条件の情報に従って、超音波画像を作成する。
【0065】
なお、上述した実施例において、たとえば図3に示したように、入力設定兼用画像の上に該入力設定兼用画像よりも面積が小さく設定された入力設定画像32が重畳されて表示されている場合、該図3に対応して描かれた図7に示すように、前記入力設定画像32の周辺よりも外方の領域であって前記入力設定兼用画像が露出して表示されている領域(図中符号50で示す)において、すなわち、図1に示した表示画面35aの全域において、その輝度を前記入力設定画像32の輝度よりも低くして表示するようにしてもよい。このようにすることにより、表示装置35の画面上において、入力設定画像32をその周辺に露出して表示されている入力設定兼用画像に惑わされずに明瞭に目視でき、該入力設定画像32への注視を可能とすることができる。
【0066】
この場合、入力設定兼用画像の上に入力設定画像32が重畳されている場合に限らず、一の画像の上に該一の画像よりも面積の小さい他の画像が重畳されている場合にも適用でき、該一の画像の周辺よりも外方の領域であって前記他の画像が露出して表示されている領域の輝度を前記一の画像の輝度よりも低くするようにしてもよい。
【0067】
また、たとえば図2に示したように、入力設定兼用画像が表示されている場合、該図2に対応して描かれた図8に示すように、該入力設定兼用画像の超音波画像21の周辺に複数のスイッチSW1〜SW13が並設させて表示されている領域(図中符号50で示す)において、その輝度を前記超音波画像21の輝度よりも低くして表示するようにしてもよい。このようにすることにより、超音波画像21をその周辺のスイッチ群が表示されている領域に惑わされずに明瞭に目視でき、該超音波画像21への注視を可能とすることができる。
【0068】
さらに、図8に示した実施例の場合、前記領域50の輝度の低下の度合いをポインタ24の非表示時と表示時とにおいて変化させるように構成してもよい。すなわち、ポインタ24をいまだ表示していない場合(非表示時)において、たとえば図8に示したように、前記領域50の輝度の低下を比較的大きく(たとえば50%輝度)表示しておき、前記ポインタ24を表示した段階(表示時)で、該図8に対応して描かれた図9に示すように、前記領域50の輝度の低下を比較的小さく(たとえば75%輝度)、すなわち、ポインタ24の非表示時よりも輝度を高くして表示するようにしてもよい。このようにすることにより、前記領域50に表示されている各スイッチのうちの一つを選択し得る状態にあるか否かを前記領域50の輝度の変化により容易に判別することができるようになる。なお、各スイッチのうちの一つを前記ポインタ24によって選択した場合には、選択されたスイッチを他の残りのスイッチよりもさらに輝度を高くする(たとえば100%輝度)ことは上述した実施例の場合と同様である。
【0069】
また、図10は、本発明による超音波診断装置の一連の操作において、その一部の操作にともなって表示装置35に表示される画像の他の実施例を示した構成図で、図2と対応した図となっている。
【0070】
図10では、表示装置35の表示画面35aにおいて、超音波画像21が一部の領域に表示されている場合に、該超音波画像21を除く全ての領域の輝度を該超音波画像21の輝度よりも低く設定して表示させるように制御部36で制御されるようになっている。超音波画像21をその周辺の全ての画像に惑わされることなく集中して観察できるようにするためである。
【0071】
このような趣旨から、周辺の全ての画像の輝度よりも高い輝度で表示される超音波画像21は、被検体からの反射エコー信号によって作成される断層画像(Bモード像)等の他に、たとえばMモード像の他のモードの像が表示される場合にはそれらの像をも含まれ、さらに、これらの像の解析において必要となる物理量、その単位、さらには他の表示等も含まれる概念である。要は、前記超音波画像21は、被検体からの反射エコー信号によって作成される画像の他に、該画像自体の観察と関連して診断に直接関与する表示をも含んだ概念として把握される。
【0072】
そして、このような概念からなる超音波画像21の周辺の全域における他の画像としては、図2において各表示部分の説明から明らかとなるように、現在表示されている超音波画像21に作用させて、あるいは該超音波画像21に基づき何らかの結果を得ようとするためのアイコンおよびそれに類似する表示等がなされている部分として把握される。
【0073】
また、この場合において、図9に示したように、ポインタ4の非表示の際と表示の際において前記超音波画像21を除く全ての領域の輝度に変化を持たせるように制御させるようにしてもよい。
【0074】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明による超音波診断装置の一実施例を示す概略構成のブロック図である。
【図2】本発明による超音波診断装置の操作にともなって表示装置に表示される画像の一実施例を示した構成図である。
【図3】本発明による超音波診断装置の一連の操作において、その一部の操作にともなって表示装置に表示される画像の他の実施例を示した構成図である。
【図4】本発明による超音波診断装置において、入力設定兼用画像上のポインタがスイッチに位置づけられた際に該スイッチの輝度を高くするまでの間に制御部が行う動作フローの一実施例を示す図である。
【図5】本発明による超音波診断装置の他の実施例を示す構成図で、該超音波診断装置の操作にともなって表示装置に表示される画像の一実施例を示した図である。
【図6】図5に示した構成において超音波診断装置の制御部が行う動作フローの一実施例を示す図である。
【図7】本発明による超音波診断装置の一連の操作において、その一部の操作にともなって表示装置に表示される画像の他の実施例を示した構成図である。
【図8】本発明による超音波診断装置の一連の操作において、その一部の操作にともなって表示装置に表示される画像の他の実施例を示した構成図である。
【図9】本発明による超音波診断装置の一連の操作において、その一部の操作にともなって表示装置に表示される画像の他の実施例を示した構成図である。
【図10】本発明による超音波診断装置の一連の操作において、その一部の操作にともなって表示装置に表示される画像の他の実施例を示した構成図である。
【符号の説明】
【0076】
21……超音波画像、21c……超音波画像(現在における)、21b、26a、26b、26c……参照画像、24、33……ポインタ、32……超音波探触子、33……超音波送受信部、34……信号処理部、35……表示装置、36……制御部、37……操作パネル、38……画面操作制御部、SW……スイッチ(ボタン)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表示装置およびポインティングデバイスを備える超音波診断装置であって、
前記ポインティングデバイスによって操作され前記表示装置に表示されるポインタが前記表示装置に表示されるスイッチ上に位置づけられかつ該スイッチを押す動作がなされた際に、該スイッチに関連づけられた操作がなされる手段が備えられていることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
一の画像の上に該一の画像よりも面積の小さな他の画像が重畳して表示され、前記他の画像の輝度を前記一の画像の輝度よりも高く表示することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記表示装置に表示される画像の一部の領域に超音波画像が表示され、この超音波画像を除く他の領域の輝度は該超音波画像が表示されている領域の輝度よりも低く表示することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−252564(P2007−252564A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80077(P2006−80077)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】