説明

超音波診断装置

【課題】超音波診断装置に関する発明を開示する。
【解決手段】本発明の超音波診断装置は、被検体の一方の側が開放されて被検体の形態が維持されるように被検体を保持するハウジング部と、ハウジング部に傾斜して形成され被検体の他方の側を保持する傾斜部と、ハウジング部の内部に備えられて被検体を探査する探触部とを備える。本発明によると、被検体の過度な圧迫による被検者の痛みを生じさせず、実質的に被検体全体を効率よく診断できるだけでなく、被検体の形態が維持されるように被検体を保持することができ、診断ごとに得られる超音波映像の品質を一定に維持させることができ、診断結果の再現性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置に関し、より詳細には超音波を用いて被検体に対する診断を行う超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乳癌は、西洋では最もよく見られる腫瘍であるが、東洋系の女性にとっても子宮頸部癌、胃癌と共に発生頻度が非常に高い腫瘍である。乳癌を診断するためには、一般に一次検診としてX線撮影装置を用いる。X線撮影装置は、非常に簡便に診断できる利点があり、広く用いられているが、乳房組織が高密度な場合、診断精度が非常に落ちる。
【0003】
特に、東洋系の女性においては、乳房組織が西欧女性に比べて非常に高密度なため、X線撮影装置の有効性は低く、誤診率が非常に高い。
【0004】
このため、最近は、X線撮影装置に代わって超音波診断装置が次第に用いられている。超音波診断装置は放射線被曝の危険がない上、映像を3次元で表示することが可能で、2〜3mm程度の小さい腫瘍も検知することができる。
【0005】
乳癌を診断するための超音波診断装置は、大きく、被検者が仰向けの状態で診断を行う背臥型(Supine type)、被検者がうつ伏せの状態で診断を行う腹臥型(Prone type)及び被検者が立つか座った状態で診断を行う直立型(Upright type)に区分される。
【0006】
このうち、背臥型及び腹臥型の超音波診断装置は、被検者が仰向け又はうつ伏せになれるように備えられるので、広い設置空間を必要とする。その上、診断手順が大変複雑であるため、検査の効率が下がるだけでなく、被検者が不自由な姿勢で検査を受けるので、診断中に疲労感を感じるという短所がある。
【0007】
これに比べて直立型の超音波診断装置は、被検者が立つか座った状態で診断を行うように形成されているので、背臥型及び腹臥型の超音波診断装置に比べて設置空間をあまり必要とせず、診断手順も比較的簡素な長所がある。
【0008】
しかし、この直立型の超音波診断装置も従来の装置は、被検者が立つか座った状態で、プローブが取付けられた圧迫台が被検体を上下又は左右に圧迫しながら診断を行うように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のような直立型の超音波診断装置による診断法では、被検体を圧迫しながら診断を行うので、被検者が痛みを感じるだけでなく、被検体の圧迫の程度に応じて被検体の形状が変形し、得られる画像が変わるので、診断結果の再現性が落ちる問題がある。
【0010】
また、前記のような直立型の超音波診断装置によると、被検体の圧迫時に被検体の形状が変形して被検体全体が圧迫台に密着できなくなるため、圧迫台に密着した被検体の一部分に対してのみ診断が行われ、その他の部分については診断が行われなくなってしまう問題が生じる。従って、これを改善することが要請される。
【0011】
本発明は前記のような問題を改善するために考案されたもので、被検者の痛みを減少させ、診断結果の再現性を向上させることができ、被検体を効率よく診断できるように構造を改善した超音波診断装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る超音波診断装置は、被検体の一方の側が開放されて前記被検体の形態が維持されるように前記被検体を保持するハウジング部と、前記ハウジング部に傾斜して形成されて前記被検体の他方の側を保持する傾斜部と、前記ハウジング部の内部に備えられて前記被検体を探査する探触部とを備える。
【0013】
また、前記傾斜部は、前記被検体と接触する下側部と、該下側部の反対側に位置する上側部とを有し、前記傾斜部は、前記被検体の形状に対応して前記下側部から前記上側部へ傾斜して形成される。
【0014】
また、前記傾斜部は、前記探触部が移動する方向の断面の形状が曲線状を有し、前記方向に直交する方向の断面の形状が直線状を有する。
【0015】
また、前記傾斜部は、前記被検体への接触時に形状が変形する柔軟部を備える。
【0016】
また、前記ハウジング部の内部には、前記傾斜部の長手方向に沿って曲線を含む経路が備えられ、前記探触部は、前記経路に沿って移動し、前記被検体を探査する。
【0017】
また、前記探触部は、前記傾斜部に対応するように傾斜して配置される。
【0018】
また、前記探触部は、前記経路に対応して、曲線を含む形状をなすように形成されるガイド部材と、前記ガイド部材に結合して移動する超音波プローブとを備える。
【0019】
また、前記被検体は乳房であり、前記傾斜部は被検者の両方の乳房をいずれも保持する大きさに形成され、前記探触部は前記両方の乳房をいずれも1回の動作で探査するように前記曲線を含む前記経路に沿って移動する。
【0020】
また、前記探触部は、複数の超音波プローブを備える。
【0021】
また、本発明は、前記ハウジング部を昇降させる昇降部をさらに備える。
【0022】
また、本発明は、前記被検体に接近又は離隔するように前記ハウジング部を傾斜するように移動させる傾斜移動作動部をさらに備える。
【0023】
また、前記超音波診断装置は、直立型超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の超音波診断装置によると、被検体に痛みを加えるほど過度に圧迫しなくても被検体の片側(他方の側)の大部分を傾斜部に密着させることができるので、被検体の圧迫により生じる被検者の痛みを防止することができ、実質的に被検体全体を効率よく診断できる。
【0025】
また、被検体の形態が維持されるように被検体を保持することができるため、診断ごとに得られる超音波映像の品質を一定に維持させ、診断結果の再現性を向上させることができる。
【0026】
また、被検体を1回の動作で診断できるので、診断を速やかに行って被検者の煩わしさを減らすことができる。
【0027】
また、被検体の片側(一方の側)が開放されるようにハウジング部を備えることによって、診断を行う検査者が被検体の上側から被検体の位置及び状態を肉眼で確認できるように視野を確保することができる。
【0028】
また、ハウジング部が昇降可能なように備えられて傾斜部上面の高さが被検体の高さと一致するようにすることによって、被検体を傾斜部に安定的に保持させることができるだけでなく、被検者が立った状態、または座った状態のいずれの場合にも、被検体を傾斜部に安定的に保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施例に係る超音波診断装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る超音波診断装置の一使用例を示す図面である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る傾斜移動作動部の構造を示す側面図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る昇降部の構造を示す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る昇降部の構造を示す側面図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る超音波診断装置の他の使用例を示す図面である。
【図9】本発明の第2の実施例に係るハウジング部の斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係るハウジング部の断面図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係るハウジング部の断面図である。
【図12】本発明の第3の実施例に係るハウジング部の斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施例に係るハウジング部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る超音波診断装置の実施例を説明する。なお、図面に示す線の太さや構成要素のサイズなどは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して図示する場合がある。また、本文で用いられる用語は、本発明での機能を考慮して定義されたものであって、これはユーザ、運用者の意図または慣例によって変わることがある。従って、このような用語に関する定義は、本明細書全般に渡った内容に基づいて下されなければならない。
【0031】
図1は本発明の第1の実施例に係る超音波診断装置の斜視図であり、図2は本発明の第1の実施例に係る超音波診断装置の一使用例を示す図面であり、図3は図2のA−A線に沿った断面図であり、図4は図2のB−B線に沿った断面図である。なお、図中、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0032】
図1〜図4を参照すると、本発明の第1の実施例に係る超音波診断装置100は、被検者が立つか座った状態で被検体に対する診断を行う直立型乳房超音波診断装置として提供され、ハウジング部110と、傾斜部120及び探触部130とを備える。
【0033】
ハウジング部110は、被検体10を保持するように備えられる。ハウジング部110の内部は、超音波の伝搬が容易なように液体で満たされる。ハウジング部110の内部に満たされる液体は、オイルなどの媒体であってもよい。このハウジング部110の内部には、後述する探触部130の超音波プローブ134が液体に浸された状態で設けられる。
【0034】
本実施例によると、ハウジング部110は被検体10の片側、例えば被検体10の上側が開放されるように被検体10を保持する。このようにハウジング部110は、被検体10の上側が開放されるように備えられることによって、診断を行う検査者が被検体10の上側から被検体10の位置及び状態を肉眼で確認できるように視野を確保することができる。
【0035】
また、本実施例のハウジング部110は、被検体10の片側が開放されて被検体10の形態が「維持」されるように被検体10を保持する。ここで「維持」とは、被検体10の片側(下側)のみを保持して被検者が痛みを感じるほど過度に被検体10を圧迫しないことを意味する。
【0036】
本実施例によると、被検体10は人体の乳房を例示している。乳房のように形態が変形されやすい被検体10は、圧迫時にその形態が変形される。
【0037】
本実施例のハウジング部110は、被検体10の前記片側の反対側、例えば被検体10の下側のみを保持することによって、被検体10を過度に圧迫せずに被検体10を保持するので、被検体10はその形態が実質的に変形しない状態でハウジング部110により保持される。
【0038】
傾斜部120は、ハウジング部110に傾斜して形成され、被検体10を保持する。傾斜部120は、被検体10と直接接触して被検体10を保持する部分であり、被検体10の形状に対応して下側から上側へ傾斜して形成される。
【0039】
この傾斜部120は被検体10、例えば被検者の両方の乳房をいずれも保持することができる長さ(大きさ)に形成される。また、傾斜部120の形状は、傾斜部120の長手方向と直交する断面の形状においては「直線状」を有し(図3参照)、後述する探触部130が移動する方向への形状、即ち傾斜部120の長手方向の断面の形状においては「曲線状」を有する(図4参照)。
【0040】
ここで、傾斜部120の長手方向と直交する断面形状が有する「直線状」とは、完全な直線状だけでなく全体的に直線状に近い実質的な直線状も含む意味であり、傾斜部120の長手方向の断面形状が有する「曲線状」は、傾斜部120に接触する被検体10が有する形状と類似の曲線状であることが望ましい。
【0041】
探触部130は、ハウジング部110の内部に備えられる。探触部130は、ハウジング部110の内部に移動可能なように備えられて被検体10を探触する。
【0042】
また、探触部130は、傾斜部120に対応するように傾斜して配置され、傾斜部120に保持された両方の乳房をいずれも1回の走査で検査するように、傾斜部120の長手方向に沿って、ハウジング部110の内部に形成される曲線を含む経路に沿って移動する。この探触部130は、ガイド部材132と超音波プローブ134とを備える。
【0043】
ガイド部材132は曲線状を含む形状に形成される。望ましくは、ガイド部材132は、傾斜部120に対応するように傾斜して配置され、傾斜部120の長手方向の形状(前記経路の形状)と対応する曲線状を含む形状に形成される。
【0044】
超音波プローブ134は、ガイド部材132に結合して移動する。超音波プローブ134は、超音波信号を被検体10に送信して被検体10から反射される超音波エコー信号を受信するトランスデューサ(図示せず)を備え、ガイド部材132により形成される経路に沿って傾斜部120の後面で往復移動する。
【0045】
この超音波プローブ134は、被検体10に超音波信号を送信し、被検体10から反射されてきた超音波エコー信号を受信することによって被検体10を検査するが、この超音波プローブは液体の中に浸されており、その液体を通して超音波信号の送受信を行う。
【0046】
本実施例で、探触部130に備えられるプローブは、1つであっても複数であっても良い。
【0047】
探触部130が1つの超音波プローブ134を備える形態の場合、探触部130に備えられる1つの超音波プローブ134は、傾斜部120の幅(長手方向と直交する方向の幅)全体を探査できる幅を有するように備えられ、傾斜部120の長手方向に沿って移動しながら被検体10全体を探査する。
【0048】
探触部130が2つ以上の超音波プローブ134を備える形態の場合、探触部130に備えられる複数の超音波プローブ134は、傾斜部120の幅方向に沿って並んで配置されることもでき、ずれて配置されることもできる。
【0049】
複数の超音波プローブ134が傾斜部120の幅方向に沿って並んで配置される場合、複数の超音波プローブ134の組合わせは、探触部130が1つの超音波プローブ134を備える形態のときの超音波プローブ134と同様の形態で被検体10全体を探査する。
【0050】
複数の超音波プローブ134が傾斜部120の幅方向に沿ってずれて配置される場合、それぞれの超音波プローブ134は、他の超音波プローブ134と異なる位置を移動しながら該当領域をそれぞれ探査する。
【0051】
一方、本実施例の超音波診断装置100は、傾斜移動作動部140をさらに備える。
【0052】
図5は、本発明の第1の実施例に係る傾斜移動作動部の構造を示す側面図である。
【0053】
図5を参照すると、傾斜移動作動部140は、被検体10に接近又は離隔するようにハウジング部110を傾斜するように移動させる。この傾斜移動作動部140は、ヒンジ部145と傾斜制御部(図示せず)とを備える。
【0054】
ヒンジ部145は、ハウジング部110が回転できるように傾斜移動作動部140に備えられ、ハウジング部110を支持するフレーム142と、ハウジング部110をフレーム142の縁に沿って回転できるように結合させるヒンジ軸144とを備える。
【0055】
傾斜制御部は、ハウジング部110がヒンジ軸144を中心に回転するのを制御する。この傾斜制御部は、ハウジング部110を回転させるための駆動力を発生させる駆動モータと、駆動モータの駆動力を伝達してヒンジ軸144を中心にハウジング部110を回転させる動力伝達部とを備える。この傾斜制御部に備えられる駆動モータは、ステップモータであってもよい。前記のような傾斜制御部の構成は当業者にとっては自明であるので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0056】
前記のような傾斜移動作動部140により、ハウジング部110は、被検体10(図3参照)に接近又は離隔する方向に傾斜するように移動することにより、被検体10のサイズや形状に応じてその位置が調節される。
【0057】
ハウジング部110が被検体10から離隔する方向に傾斜するように移動すると、サイズが大きい被検体10をその形態を維持させながら傾斜部120に安定的に保持させることができ、ハウジング部110が被検体10に近接する方向に傾斜するように移動すると、相対的にサイズが小さい被検体10をその形態を維持させながら傾斜部120に安定的に保持させることができる。
【0058】
一方、本実施例の超音波診断装置100は、昇降部150をさらに備える。
【0059】
図6及び図7は本発明の第1の実施例に係る昇降部の構造を示す側面図であり、図8は本発明の第1の実施例に係る超音波診断装置の他の使用例を示す図面である。
【0060】
まず、図6を参照すると、昇降部150は、ハウジング部110を昇降させるように備えられるもので、支持部152と駆動部154とを備える。
【0061】
支持部152は、ハウジング部110の下側に備えられ、ハウジング部110が昇降可能なようにハウジング部110を支持する。この支持部152は、ハウジング部110の中心部分に結合するように備えることも、ハウジング部110の両側部に結合するように備えることもできる。
【0062】
駆動部154は、支持部152に設けられ、ハウジング部110を昇降させる駆動力を発生させる。この駆動部154は、上下方向に駆動力を発生させて、ハウジング部110を昇降させるアクチュエータを備えている。これに関する具体的な構造は当業者には自明であるので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0063】
この昇降部150は、図7に示すようにハウジング部110を昇降させて傾斜部120上面の高さが被検体10の高さと一致するようにすることによって、被検体10が傾斜部120に安定的に保持されるようにする。これだけでなく、被検者が立った状態以外にも、図8に示すように座った状態でも被検体10が傾斜部120に安定的に保持されるようにする。
【0064】
以下、図1〜図8を参照して本実施例の超音波診断装置の操作と効果について説明する。
【0065】
本実施例の超音波診断装置100を用いて超音波診断を行うためには、図2に示したように被検者が立った状態、又は図8に示したように被検者が座った状態で被検体10を傾斜部120に保持させる。このとき、被検体10が乳房の場合、両方の乳房がいずれも傾斜部120に保持されるようにする一方、実質的に乳房の大部分が傾斜部120に密着するようにする。
【0066】
このため、図6及び図7に示したように、昇降部150を作動させてハウジング部110を昇降させることによって、傾斜部120上面の高さが乳房の高さと一致するようにハウジング部110の高さを調節する。その一方、図5に示したように、傾斜移動作動部140を作動させて乳房に接近又は離隔するようにハウジング部110を傾斜移動させることによって、傾斜部120上面の形状が乳房のサイズ、形態に近づくようにハウジング部110の位置を調節する。
【0067】
このように高さ及び位置が調節されるハウジング部110は、図3及び図4に示したように、両方の乳房を安定的に保持することができるのはもちろん、実質的に乳房の大部分が傾斜部120に密着することができるようになる。従って、図1及び図2に示したような本実施例の超音波診断装置100は、乳房を傾斜部120に密着させるために過度に圧迫する必要がなくなる。
【0068】
また、前記のように高さ及び位置が調節されるハウジング部110は、乳房を圧迫せずに傾斜部120の上面の形状を乳房のサイズ、形態に近づくように調節して乳房を傾斜部120に密着させるので、乳房の変形を抑制してその原形が維持された状態で乳房を傾斜部120に密着させることができる。
【0069】
前記のように被検体10が傾斜部120に保持されれば、図4に示した方法により、被検体10に対する超音波診断を行うことができる。
【0070】
ハウジング部110の内部に備えられる超音波プローブ134は、曲線状を含む形状をなすように、望ましくは傾斜部120の長手方向の形状と対応する曲線状を含む形状をなすように形成されるガイド部材132に沿って移動する。このため、この超音波プローブ134は、傾斜部120の長手方向の形状と対応する曲線を含む経路に沿って移動しながら被検体10を探査する。
【0071】
このとき、被検体10、即ち両方の乳房はその形態が曲面をなしているが、原形が維持された状態でその全体が傾斜部120に密着している状態にあるので、超音波プローブ134の往復移動により乳房の内部組織の映像を連続的に取得することができる。これにより超音波プローブ134は、1回の移動だけで両方の乳房に対する探査が可能になり、迅速な診断が可能になる。
【0072】
前記の通り、本実施例の超音波診断装置100は、被検体10を過度に圧迫せずに実質的に被検体10の大部分を傾斜部120に密着させることができるので、被検体10の圧迫による被検者の痛みを生じさせずに、被検体10全体を効率よく診断できるだけでなく、被検体10の形態が維持されるように被検体10を保持することができる。これにより、診断ごとに得られる超音波映像の品質を一定に維持しながら、診断結果の再現性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施例の超音波診断装置100は、被検体10全体を1回の診断動作で診断できるので、診断が速くなり被検者の煩わしさを低減させる。
【0074】
図9は本発明の第2の実施例に係る傾斜部の斜視図であり、図10及び図11は本発明の第2の実施例に係る傾斜部の断面図である。
【0075】
説明の便宜上、前記実施例と構成及び機能が同一又は類似の構造は同一の図面番号で引用し、これに関する詳細な説明は省略する。
【0076】
まず、図9及び図11を参照すると、本発明の第2の実施例に係るハウジング部210は、傾斜部220を備える。
【0077】
本実施例によると、傾斜部220は柔軟部225を備える。柔軟部225は傾斜部220の上面に備えられ、図11に示すように、被検体10への接触時に形状が変形するように形成される。柔軟部225は、弾力的で、かつ超音波の伝搬をあまり減衰させない材質で形成される。一例として、柔軟部225は、超音波診断時に被検体に塗布されるゲルのような物質で満たされた媒質ポケットを備える。
【0078】
この柔軟部225を備える傾斜部220は、傾斜部220に保持される被検体10を傾斜部220に、より密着させると同時に、被検体10の形態をさらに原形に近く維持させることができる。
【0079】
図12は本発明の第3の実施例に係るハウジング部の斜視図であり、図13は本発明の第3の実施例に係るハウジング部の断面図である。
【0080】
図12及び図13を参照すると、本発明の第3の実施例に係るハウジング部310は、傾斜部320を備える。
【0081】
本実施例の傾斜部320は、長手方向に略「UU」形状に形成される。この傾斜部320は、被検体10、即ち両乳房の形状と類似の形状に形成され、被検体10が傾斜部320に密着しない部分をさらに減少させることによって、被検体10を傾斜部320に、より密着させると同時に、被検体10の形態をさらに原形に近く維持させることができる。
【0082】
これと共に探触部330は、傾斜部320の長手方向の形状と対応する「UU」形状を含む経路に沿って移動するように備えられる。
【0083】
即ち、ガイド部材332は、傾斜部320の長手方向の形状と対応する「UU」形状を備えるように形成され、超音波プローブ334は、ガイド部材332により形成される経路に沿って、「UU」形状を含む経路に沿って移動し、被検体10を探査するので、診断時に得られる超音波映像の品質がより向上する。
【0084】
本発明を図面に示した実施例を参考にして説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術に属する分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び同等な他の実施例が考案可能であることを理解するであろう。従って、本発明の真正な技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって定める。
【符号の説明】
【0085】
100:超音波診断装置、110、210、310:ハウジング部、120、220、320:傾斜部、130、330:探触部、132、332:ガイド部材、134、334:超音波プローブ、140:傾斜移動作動部、142:フレーム、144:ヒンジ軸、145:ヒンジ部、150:昇降部、152:支持部、154:駆動部、225:柔軟部、10:被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の一方の側が開放されて前記被検体の形態が維持されるように前記被検体を保持するハウジング部と、
前記ハウジング部に傾斜して形成されて前記被検体の他方の側を保持する傾斜部と、
前記ハウジング部の内部に備えられて前記被検体を探査する探触部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記被検体と接触する下側部と、該下側部の反対側に位置する上側部とを有し、
前記傾斜部は、前記被検体の形状に対応して前記下側部から前記上側部へ傾斜して形成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記探触部が移動する方向の断面の形状が曲線状を有し、前記方向に直交する方向の断面の形状が直線状を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記傾斜部は、前記被検体への接触時に形状が変形する柔軟部を備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記ハウジング部の内部には、前記傾斜部の長手方向に沿って曲線を含む経路が備えられ、
前記探触部は、前記経路に沿って移動し、前記被検体を探査することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記探触部は、前記傾斜部に対応するように傾斜して配置されることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記探触部は、
前記経路に対応して、曲線を含む形状をなすように形成されるガイド部材と、
前記ガイド部材に結合して移動する超音波プローブと、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記被検体は乳房であり、前記傾斜部は被検者の両方の乳房をいずれも保持する大きさに形成され、前記探触部は前記両方の乳房をいずれも1回の動作で探査するように前記曲線を含む前記経路に沿って移動することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記探触部は、複数の超音波プローブを備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記ハウジング部を昇降させる昇降部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記被検体に接近又は離隔するように前記ハウジング部を傾斜するように移動させる傾斜移動部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記超音波診断装置は、直立型超音波診断装置であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−246915(P2010−246915A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90708(P2010−90708)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(597096909)株式会社 メディソン (269)
【氏名又は名称原語表記】MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】