説明

超音波診断装置

【課題】超音波画像を表示したディスプレイを見ながら操作を行うことが可能な超音波診
断装置を提供する。
【解決手段】被検体に対して超音波の送受波を行うプローブと、前記被検体によって反射された反射波を受信し、前記受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成手段と、前記超音波画像を表示する超音波表示手段と、操作画面を表示する操作表示手段と、前記操作表示手段への接触を検知する接触検知手段と、前記接触検知手段が検知した接触の位置に基づいた指示信号を出力する指示信号出力手段とを備え、前記超音波表示手段へ前記操作画面を表示し、前記接触検知手段が受け付けた接触の位置に基づいて、前記操作画面の少なくとも一部分を表示する画像生成手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波により被検体の体内を画像化し診断を行う超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、被検体に対して超音波プローブから超音波を送信し、被検体を構成
する組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射波を受信して表示部に表示する
ものである。この超音波診断装置による診断は、超音波プローブを被検体の体表に接触さ
せることでリアルタイムの超音波画像を生成して、超音波画像をディスプレイに表示する
ことで行われる。
【0003】
こうした超音波診断装置の小型化が進むに従って、例えばキャスターなどを取り付ける
ことで移動可能に構成した超音波診断装置が実用化されている。こうした超音波診断装置
を用いることにより、使用者は被検体を載置したベッドサイドへ超音波診断装置を移動さ
せて、被検体の移動を強いることなく超音波診断を行うことが可能である。また、超音波
画像を表示するディスプレイを、位置調節が可能なアームを用いて本体に取り付け、ディ
スプレイを被検体の近傍へ移動させることが可能な超音波診断装置が公開されている(例
えば、特許文献1を参照)。ディスプレイを被検体の近傍へ移動させることで、使用者は
被検体に接触させた超音波プローブとディスプレイとを交互に見比べながら診断を行うこ
とができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−125371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先述したような超音波診断装置を用いて被検体の診断を行う際には、使用者は被検体に
超音波プローブを接触させたまま、超音波診断装置の筐体に設けられた操作部を用いて様
々な入力操作を行う必要がある。使用者は入力操作を行うことによって、例えば超音波プ
ローブが送信する超音波のパラメータや、ディスプレイに表示する超音波画像の表示モー
ドなどを切り替える。近年の超音波診断装置の発展と多機能化に伴って、操作部が受け付
ける入力操作も様々に複雑化している。
【0006】
先述したように、超音波診断装置を用いて診断を行う使用者は、被検体と超音波画像を
表示するディスプレイとを交互に見比べながら診断を行う。その一方で、診断中に使用者
が入力操作を行う場合には、使用者は筐体に設けられた操作部に注目しなければならない
。被検体とディスプレイとを注視したまま入力操作が行えないことは、使用者による診断
の利便性を損なっていた。
【0007】
そこで本発明においては、超音波画像を表示するディスプレイに操作画面を表示するこ
とで、ディスプレイを見ながら入力操作を行うことが可能な超音波診断装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明における超音波診断装置は、被検体に対して超音波の
送受波を行うプローブと、前記被検体によって反射された反射波を受信し、前記受信した
反射波に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成手段と、前記超音波画像を表示す
る超音波表示手段と、操作画面を表示する操作表示手段と、前記操作表示手段への接触を
検知する接触検知手段と、前記接触検知手段が検知した接触の位置に基づいた指示信号を
出力する指示信号出力手段とを備え、前記超音波表示手段へ前記操作画面を表示し、前記
接触検知手段が受け付けた接触の位置に基づいて、前記操作画面の少なくとも一部分を表
示する画像生成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、超音波画像を表示するディスプレイに操作画面を表示する。これによ
り、使用者がディスプレイを見ながら入力操作を行うことが可能な超音波診断装置を提供
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波診断装置の内部構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る超音波診断装置を用いた診断の概観を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る超音波画像モニタ及びタッチコマンドスクリーンの画面表示例を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係るワイプ画像の画面表示例を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係るカーソル移動の画面表示例を示す図。
【図6】本発明の実施形態に係るワイプ画像の他の画面表示例を示す図。
【図7】本発明の実施形態に係る決定操作時のワイプ画像の画面表示例を示す図。
【図8】本発明の実施形態に係る画面表示の処理の流れを示すフロー図。
【図9】本発明の実施形態に係るワイプ画像を縮小表示した画面表示例を示す図。
【図10】本発明の実施形態に係るワイプ画像の表示領域を広げた画面表示例を示す図。
【図11】本発明の実施形態に係るワイプ画像を超音波画像に重畳して表示した画面表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(超音波診断装置の内部構成)
図1は、本発明に係る超音波診断装置1の内部構成を示したブロック図である。本発明
における超音波診断装置1は、図1に示すようにシステム制御部100、超音波画像モニ
タ300、及びタッチコマンドスクリーン400とを組み合わせることで構成される。
【0013】
システム制御部100は、CPU(Central Processing Unit
)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Acces
s Memory)などから構成される。システム制御部100は、後述する超音波画像
生成ユニット103、超音波画像モニタI/F104、タッチコマンドスクリーンI/F
105、送受信ユニット201、Bモード処理ユニット202、ドプラ処理ユニット20
3などから構成される。
【0014】
制御プロセッサ101は、ROMに記憶されるプログラムや、後述する記憶ユニット10
2からRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って処理を実行する
。制御プロセッサ101は、各部から供給される信号を処理し、また種々の制御信号を生
成して各部に供給する。このような処理によって、制御プロセッサ101は、超音波診断
装置を統括的に制御する。
【0015】
記憶ユニット102は、例えば、ROM、RAMや電気的に書き換えや消去が可能な不
揮発性メモリであるフラッシュメモリ、およびHDD(Hard Disc Drive
)などの記憶媒体で構成され、システム制御部100のCPUにより実行される種々のア
プリケーションプログラムや制御データ、及び超音波画像生成ユニット103から出力さ
れた超音波画像を記憶する。
【0016】
超音波プローブ210は、送受信ユニット201から出力された駆動信号に基づいて超
音波を発生し、あるいは超音波プローブ210に接触した被検体内部からの反射波を電気
信号(以下、エコー信号と記載する)に変換する複数の圧電振動子と、圧電振動子に接す
るように取り付けられた整合層と、被検体と反対方向への超音波の伝播を防止するバッキ
ング材などから構成される。超音波プローブ210が被検体に超音波を送信すると、超音
波は被検体を構成する生体組織の非線形性に従って種々のハーモニック成分を発生する。
【0017】
送信した超音波を構成する基本波とハーモニック成分は、被検体を構成する体内組織の音
響インピーダンスの差異や微小散乱の影響により反射波を発生させる。超音波プローブ2
10は生成した反射波を受信して、エコー信号への変換を行い、超音波プローブ210が
接続された送受信ユニット201へエコー信号の出力を行う。
【0018】
送受信ユニット201は、図示しない遅延回路及びパルサ回路などから構成される。パ
ルサ回路においては、所定のレート周波数に従って超音波プローブに超音波を送信させる
ためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャネル毎に超音波を
ビーム状に収束して送信指向性を決定するために必要な遅延時間が、パルサ回路から出力
されるレートパルスに対して与えられる。送受信ユニット201は、この遅延されたレー
トパルスに基づくタイミングで所定のスキャンラインに向かう超音波ビームを形成するよ
うに、超音波プローブ210の圧電振動子毎に駆動信号を印加する。また、送受信ユニッ
ト201は、図示しないアンプ回路、A/D変換器、加算器などを有している。アンプ回
路においては、超音波プローブ210を介して取り込まれたエコー信号をチャネル毎に増
幅する。A/D変換器においては、増幅された受信指向性を決定するために必要な遅延時
間をエコー信号に与える。加算器は、遅延時間を与えられたエコー信号に加算処理を施す
。加算器はこの加算処理によって、所定のスキャンラインに対応したエコー信号を生成す
る。送受信ユニット201はエコー信号を生成すると、これをBモード処理ユニット20
2へと出力する。
【0019】
Bモード処理ユニット202は、送受信ユニット201が出力したエコー信号に包絡線
検波処理を施し、エコー信号の振幅強度に応じて変化するBモード信号を生成する。Bモ
ード処理ユニット202はBモード信号を生成すると、これを超音波画像生成ユニット1
03へと出力する。
【0020】
ドプラ処理ユニット203は、エコー信号から低周波成分を取り除く、所謂ハイパスフ
ィルタ処理を施したのちに、エコー信号に含まれる周波数成分を分析する。エコー信号を
生じた組織や血液がある速度で移動している場合には、エコー信号にはドプラ効果に従っ
て周波数遷移が生じることとなる。ドプラ処理ユニット203は、この周波数遷移量から
組織や血流の移動速度を検出するため、エコー信号に対して自己相関処理を施す。ドプラ
処理ユニット203は、これらのハイパスフィルタ処理や自己相関処理によって、エコー
信号から組織信号あるいは血流信号の移動速度を抽出したドプラ信号を生成する。ドプラ
処理ユニット203はドプラ信号を生成すると、これを超音波画像生成ユニット103へ
と出力する。
【0021】
超音波画像生成ユニット103は、Bモード処理ユニット202とドプラ処理ユニット
203から出力されたBモード信号とドプラ信号に基づいて、超音波画像を生成する。超
音波画像生成ユニット103による超音波画像の生成は、例えばBモード信号とドプラ信
号を、超音波の送受信に対応した位置にマッピングすることで行う。超音波画像生成ユニ
ット103は超音波画像を生成すると、これを超音波画像モニタI/F104あるいは記
憶ユニット102へと出力する。
【0022】
超音波画像モニタI/F104は、超音波画像生成ユニット103から出力された超音
波画像に基づいて、これを所定の形態で超音波画像モニタ300に表示するためのモニタ
信号を生成する。超音波画像モニタI/F104はモニタ信号を生成すると、これを超音
波画像モニタ300へ出力する。
【0023】
タッチコマンドスクリーン400は、文字や図形を表示する画像表示ユニット401と
、画像表示ユニット401に重ねるようにして設けたタッチパネルユニット402から構
成される。超音波診断装置1の操作者10は、画像表示ユニット401に表示された文字
や図形(以下、単にUI(User Interface)画面と記載する)を基準にし
てタッチパネル401に触れることで、超音波診断装置1への操作入力を行う。なお、超
音波診断装置1へ操作入力を行う装置としてタッチコマンドスクリーン400とは別に、
例えば押しボタンや操作ダイヤルによって構成される操作キー403が設けられる。
【0024】
画像表示ユニット401は、例えば液晶モニタやCRT(Cathode Ray T
ube)モニタから構成され、タッチコマンドスクリーンI/F105から出力されたU
I画面を表示する。
【0025】
タッチパネルユニット401は、操作者10がタッチパネルユニット401を触れたこ
とを検知して、その触れられた位置や押圧の強さ、接触面積などの情報をタッチコマンド
スクリーンI/F105へと出力する。タッチパネルユニット401は、感圧式、静電式
などの公知の技術で製造されたものである。例えば静電式の場合、タッチパネルユニット
401は、指などが接触することで静電容量が変化することを検出する静電容量センサを
備える。この静電容量センサは、タッチパネルユニット401への指などの接触によって
静電容量が変化した位置と、静電容量が変化した面積を検出し、この静電容量が変化した
領域の中心位置及び面積の情報をタッチコマンドスクリーンI/F105へと出力する。
【0026】
なお、タッチパネルユニット401が行う入力位置の検出は、新たな静電容量の変化が検
出された場合の他、入力位置が変化した場合に検出しても構わないし、あるいは一定時間
が経過するごとに検出しても構わない。
【0027】
タッチコマンドスクリーンI/F105は、タッチパネルユニット401が出力した、
接触の位置や押圧の強さ、あるいは接触面積などの情報に基づいて制御信号を生成する。
【0028】
タッチコマンドスクリーンI/F105は制御信号を生成すると、これを制御プロセッサ
101へと出力する。制御プロセッサ101は制御信号を受信すると、その制御信号の種
類に応じた種々の処理を実行する。一方、タッチコマンドスクリーンI/F105は、画
像表示ユニット401にUI画面を表示させるためのモニタ信号を画像表示ユニット40
1へと出力する。
【0029】
図3は、超音波画像モニタ300及びタッチコマンドスクリーン400に表示される、
超音波画像301及びUI画面の表示例を示す図である。
【0030】
超音波画像モニタ300は、超音波画像モニタI/F104から出力されたモニタ信号に
従って超音波画像301を表示する。超音波画像301に合わせて、超音波プローブ20
1が送信した超音波のパラメータや超音波画像301の位置を特定するための基準位置な
ど、種々の情報を合わせて表示しても構わない。
【0031】
タッチコマンドスクリーン400は、タッチコマンドスクリーンI/F105から出力
されたモニタ信号に従ってUI画面を表示する。UI画面の表示は、例えば制御プロセッ
サ101が記憶ユニット102に格納された画像を読み出し、この画像タッチコマンドス
クリーンI/F105を通じて画像表示ユニット401に表示させることで行う。UI画
面は、例えば項目を切り替えるためのボタンや矢印などを表示する。UI画面は、例えば
超音波プローブ210による超音波の送信を開始あるいは停止させる開始/停止ボタン、
超音波画像モニタ300に表示される超音波画像301の書き換えを停止するフリーズボ
タン、被検体11の名前などの情報を入力して超音波画像生成ユニット103が生成した
超音波画像と関連付ける診断情報入力ボタン、超音波画像を記憶ユニット102に格納さ
せるStoreボタン、超音波画像に関連付けられた被検体11の情報を記憶ユニット1
02に格納させる登録ボタン、超音波画像の表示領域の指定や超音波画像のコントラスト
などの画像表示条件を切り替える画像表示条件切替ボタン、超音波プローブ210から送
信される超音波の周波数あるいは送信間隔などを切り替える超音波パラメータ切替ボタン
、超音波画像のスキャン間隔を切り替えるフレームレート切り替えボタンなどを表示する
。操作者10は、これらのボタンの表示位置に触れることにより例えば超音波パラメータ
や画像表示条件などを切り替えるための操作入力を行う。一方タッチコマンドスクリーン
400と別に設けられる操作キーには、例えば物質までの距離を縦軸にとりエコー信号の
振幅を輝度として画像化するBモード、エコー信号のうち周波数遷移が生じている領域に
ついて、周波数遷移から組織あるいは血流の移動速度・分散・エコー信号の振幅を算出し
、これらのパラメータに基づいて色付けを行い表示するCDI(Color Doppl
er Imaging)モード、特定の診断領域の変化を時系列表示するMモードなどの
、表示モードを切り替える表示モード切替ボタンなどが設けられる。操作者10は、これ
らの役割が割り当てられた操作キー403を押下することで操作入力を行う。なお、UI
画面401に表示されるボタン及び操作キー403はここに列挙したものに限られず、種
々の制御信号が割り当てられた他のボタンが設けられるものであっても構わないし、ここ
に列挙したボタンのうち幾つかを省略しても構わない。
【0032】
(超音波診断装置を用いた診断)
図2は、超音波診断装置1の構成及び、これを用いた診断の様子を示した概観図である

【0033】
超音波診断装置1は、例えばシステム制御部100、タッチコマンドスクリーン400
を筐体2の中に内蔵させる。そして、ケーブル4を介して超音波プローブ210を筐体2
に取り付ける。更に、可動アーム3を介して超音波画像モニタ300を筐体2に取り付け
ることで構成される。
【0034】
可動アーム3は、筐体2内のシステム制御部100と、超音波画像モニタ300とを物
理的及び電気的に接続し、また超音波画像モニタ300を支持する。可動アーム3は例え
ば角度調節可能な間接部などを設けて構成される。超音波診断装置1の操作者10が間接
部の角度を適宣調節することにより、操作者10は超音波画像モニタ300を視認しやす
い位置へと移動させることができる。
【0035】
ケーブル4は、筐体2内のシステム制御部100と、超音波プローブ210とを電気的
に接続する。ケーブル4は例えば電気信号を送受信する電気線を被覆素材で覆うことによ
り構成される。また、ケーブル4は曲げ操作などが可能なように柔らかい素材によって構
成される。このため、超音波診断装置の操作者10はケーブル4によって接続された超音
波プローブ210の位置を適宣移動することにより、被検体11の所望の診断部位に超音
波を送信することができる。
【0036】
以上の構成により、超音波診断装置1の操作者10は、被検体11に接触させた超音波
プローブ210から指定された超音波パラメータの超音波を送信してエコー信号を受信す
る。そして、受信したエコー信号に基づいて超音波画像を生成し、指定された画像表示条
件に基づいて超音波画像を超音波画像モニタ300へと表示する。超音波パラメータや画
像表示条件の変更は、超音波画像診断装置1の操作者がタッチコマンドスクリーン400
に触れることで行う。これにより、超音波画像診断装置1の操作者10は、タッチコマン
ドスクリーン400に触れる操作を行いながら、所望の超音波画像を超音波画像モニタ3
00に表示させることができる。
【0037】
ところで、一般に超音波診断装置1の操作者10が超音波診断を行うためには、被検体
11の所望の診断部位に超音波プローブ210が当たっていることを、操作者10が確認
しながら診断を行う必要がある。従って、操作者10は超音波プローブ210を当てた被
検体11の様子と、超音波画像が表示される超音波画像モニタ300とを注視しながら診
断を行わなければならない。一方先述したように、超音波パラメータや画像表示条件に対
する操作は、操作者10がタッチコマンドスクリーン400に触れることで行う。操作者
10は被検体11と超音波画像モニタ300を注視しながら診断を行うために、タッチコ
マンドスクリーン400を直接注視することなく操作を行わなければならない。そこで本
発明の超音波診断装置1においては、後述するワイプ画像を超音波画像モニタ300中に
表示する。これにより、操作者10は超音波画像モニタ400と被検体11とを注視した
まま超音波診断装置1に対する操作を行うことができる。
【0038】
(ワイプ画像の表示)
図4は、タッチコマンドスクリーン301にワイプ画像302を表示する画面表示例を
示した図である。ワイプ画像302は、画像表示ユニット401に表示されるUI画面の
一部を表示する画像である。操作者10の指500がタッチコマンドスクリーン400に
触れた際、UI画面中のその触れられた位置(以下、単に接触点と記載する)を中心とし
た一定領域をワイプ画像302に表示する。また、ワイプ画像302は、操作者10の指
500がタッチコマンドスクリーン400のどこに触れているかを通知するため、接触点
に対応した位置にカーソル303を表示する。
【0039】
ワイプ画像302の生成は、例えば以下のようにして行う。まず、操作者10がタッチ
コマンドスクリーン400に触れると、タッチパネルユニット402がその接触点の位置
を検出して、タッチコマンドスクリーンI/F105に出力する。タッチコマンドスクリ
ーンI/F105は接触点の位置を受信すると、接触点の位置を制御プロセッサ101へ
出力する。制御プロセッサ101は予め記憶ユニット102に格納されているUI画面を
読み出す。そして制御プロセッサ101はこのUI画面のうち、接触点を中心とする一定
の領域(例えば、接触点を中心として上下左右に300画素の領域)を切り出したワイプ
画像302を生成する。更に、制御プロセッサ101は生成したワイプ画像302の中心
にカーソル302を表示させた画像情報を、超音波画像モニタI/F104へと出力する
。超音波画像モニタI/F104は制御プロセッサ101から出力された画像情報をモニ
タ信号へと変換して超音波画像モニタ300に出力する。以上の処理により、ワイプ画像
302には接触点を中心としたUI画面の拡大画像が表示されることとなる。すなわち図
6に示すように、操作者10の指500の接触点が矢印ボタンの上へと移動すると、ワイ
プ画像302上に表示される画像も矢印ボタンを中心としたUI画面へと変化する。
【0040】
図5にカーソル302の表示位置を移動した際の画面表示例を示す。操作者10が操作
を行いたいボタンがワイプ画像302中に既に表示されている場合や、操作を行いたいボ
タンが小さい場合には、操作者10はカーソル303を僅かに動かしてカーソル303の
位置と所望のボタンの位置を一致させる必要がある。そこで、制御プロセッサ101はカ
ーソル303の僅かな移動を直感的に行うために、接触点の移動速度や移動量が一定値以
下であると判断すると、ワイプ画像302の中心座標を更新せず、代わりにカーソル30
2の表示位置を接触点の位置に応じて移動する。より詳しくは、操作者10がタッチコマ
ンドスクリーン400に触れると、タッチコマンドスクリーンI/F105が接触点の位
置を制御プロセッサ101へと出力する。制御プロセッサ101は現在の接触点の位置と
直前の接触点の位置とを比較し、接触点が単位時間当たりに移動する移動量を算出する。
【0041】
この移動量が所定の閾値以下であった場合、制御プロセッサ101はワイプ画像302中
のカーソル302の表示位置を、接触点の位置に合わせて移動させて、画像情報を超音波
画像モニタI/F104へ出力する。超音波画像モニタI/F104は制御プロセッサ1
01から出力された画像情報をモニタ信号へと変換して超音波画像モニタ300に出力す
る。以上の処理により、ワイプ画像302にはカーソル302の表示位置が移動して表示
されることとなる。
【0042】
また、UI画面上のボタンを選択して、ボタンに各々割り当てられている制御信号の出
力する操作は、操作者10がタッチパネルユニット402に対して接触する面積を増加さ
せるか、あるいは押圧する力を強くするか、あるいは短い間隔でタッチパネルユニット4
02に触れる(以下、単にタップすると記載する)ことで行われる。タッチパネルユニッ
ト402は、接触される面積、押圧される力、あるいはタップの時間間隔などが予め定め
られた閾値を超えてなされた(以下、単に選択入力と記載する)ことを認識すると、選択
入力がなされたことをタッチコマンドスクリーンI/F105を通じて制御プロセッサ1
01へ通知する。制御プロセッサ101は、選択入力がなされたことを検知すると、接触
点と対応する場所に表示されたボタンに、どの制御信号が割り当てられているかを認識す
る。制御プロセッサ101は、制御信号の割り当てを認識すると、この制御信号を対応し
た構成要素へと出力する。また、制御プロセッサ101は選択がなされたボタンがどれで
あったかを操作者10へ通知するために、図7に示すように選択がなされたボタンを制御
信号の出力に伴って反転表示させる。
【0043】
なお、本発明が表示するワイプ画像302の表示方法は、ここに述べたものに限定され
ない。例えば、図11に示すように、超音波画像モニタ300に超音波画像301を表示
させ、ワイプ画像302を超音波画像301に重畳して表示させても構わない。また、タ
ッチコマンドスクリーンI/F105や操作キー403を通じて受け付けた操作に応じて
、制御プロセッサ101はワイプ画像302が表示される領域を自在に変更しても構わな
い。
【0044】
(ワイプ画像表示の流れ)
図8は、ワイプ画像302表示時の処理の流れを示したフローチャートである。以下、
図8を用いてワイプ画像表示処理の流れについて述べる。
【0045】
まず、制御プロセッサ101がワイプ画像表示処理を開始する(ステップ1000)と
、タッチパネルユニット401が操作者10の接触を待ち受ける(ステップ1001)。
【0046】
タッチパネルユニット401が操作者10の接触を検出しなかった場合は(ステップ10
02のNo)、タッチパネルユニット401は操作者10の接触があるまで処理を待ち受
ける(ステップ1001)。一方、タッチパネルユニット401が操作者10の接触を検
出した場合は(ステップ1002のYes)、タッチパネルユニット401は接触点の検
出を行い、制御プロセッサ101へと出力する(ステップ1003)。制御プロセッサ1
01はタッチコマンドスクリーンI/F105から出力された接触点の位置を受信すると
、接触点の移動速度が所定の速度以上であるか否かを判断する(ステップ1004)。接
触点の移動速度が所定の速度以下であったと制御プロセッサ101が判断すると(ステッ
プ1004のNo)、制御プロセッサ101は接触点の位置に応じてワイプ画像302の
表示を変化させ(ステップ1005)、カーソル303の表示位置をワイプ画像302の
中心へと移動する(ステップ1006)。一方、接触点の移動速度が所定の速度以下であ
ったと制御プロセッサ101が判断すると(ステップ1004のYes)、制御プロセッ
サ101はカーソルの表示位置を接触点の位置に合わせて移動させる(ステップ1007
)。
【0047】
制御プロセッサ101がワイプ画像302の表示あるいはカーソル303の表示位置を更
新すると、制御プロセッサ101は接触点の位置上に制御信号の割り当てられたボタンが
存在するか否かを判断する(ステップ1008)。制御プロセッサ101が接触点の位置
上にボタンが存在しないと判断した場合(ステップ1008のNo)は、再びタッチパネ
ルユニット401が操作者10の接触を待ち受ける(ステップ1001)。一方、制御プ
ロセッサ101が接触点の位置上に制御信号の割り当てられたボタンが存在すると判断す
ると(ステップ1008のYes)、タッチパネルユニット401が例えば接触点の接触
面積を検出して、制御プロセッサ101へ出力する(ステップ1009)。制御プロセッ
サ101はタッチパネルユニット401から接触面積の情報を取得すると、これが予め定
めた閾値を超えるか否かを判断する(ステップ1010)。制御プロセッサ101は接触
面積が閾値を下回ると判断すると(ステップ1010のNo)、再びタッチパネルユニッ
ト401が操作者10の接触を待ち受ける(ステップ1001)。一方、制御プロセッサ
101が接触面積は閾値を上回ると判断すると(ステップ1010のYes)、制御プロ
セッサ101は接触点上のボタンに割り当てられた制御信号を出力し(ステップ1011
)、処理を終了する(ステップ1012)。
【0048】
(ワイプ画像の縮小表示)
先述の処理によって、ワイプ画像302には拡大されたUI画面の一部が表示されるこ
とを述べた。一方、操作者10がBモード、CDIモードやMモードなどの超音波画像の
表示モードを別の表示モードへ切り替える場合には、操作者10は超音波パラメータや画
像表示条件などを新規に設定しなおして診断を行うことが予想される。そのため、図9に
示すように、超音波ディスプレイ300に超音波パラメータや画像表示条件などを表示し
たUI画面全体を表示し、操作者10が超音波パラメータや画像表示条件を一覧できるよ
うにすることが望ましい。
【0049】
そこで本発明においては、操作者10の操作キー403の操作によって表示モードが切り
替えられた場合には、制御プロセッサ101はワイプ画像302中にUI画面全体を縮小
して表示する。より具体的には、表示モード切替が割り当てられた操作キー403を操作
者10が操作すると、操作キー403は表示モードを切り替える表示モード切替指示信号
を制御プロセッサ101へと出力する。制御プロセッサ101は表示モード切替指示信号
を受信すると、超音波画像生成ユニット103に超音波画像の表示モードを切り替える指
示信号を出力する。更に、制御プロセッサ101は予め記憶ユニット102に格納されて
いるUI画面を読み出して、UI画面全体を表示するワイプ画像302を生成する。また
、制御プロセッサ101は表示モード切替指示信号を受信した直前の接触点の位置を読み
出し、ワイプ画像302中の接触点に対応した位置にカーソル303を表示して、超音波
画像モニタ300に表示させる。
【0050】
以上の処理によって、ワイプ画像302にはUI画面が縮小して表示される。操作者10
はUI画面の広い領域を俯瞰して操作を行うことで、所望の操作を行えるボタンがUI画
面中のどの位置に存在するかを素早く認識して操作を行うことができる。なお、縮小した
ワイプ画像302の表示中に操作者10によって選択操作がなされた場合には、制御プロ
セッサ101は縮小表示を解除し、図4に示す様なUI画面を拡大したワイプ画像302
の表示へと戻る。なお、UI画面を縮小表示の代わりに、図10に示すように超音波画像
301を一時的に消去し、ワイプ画像302の表示領域を拡大することで、UI画面の広
い領域を表示しても構わない。
【0051】
(本実施形態の効果)
以上の処理により超音波診断装置1の操作者10は、操作者10が触れている指の位置
が、タッチコマンドスクリーン400上のどこであるかのを超音波画像モニタ300上に
表示されたワイプ画像302を見て認識することができる。これにより、操作者10は超
音波画像モニタ300を見ながら、指の位置を認識して超音波診断装置1の操作を行うこ
とができる。
【0052】
また、ワイプ画像302は、操作者10の指の位置に対応してカーソル303を表示す
る。これにより、操作者10はカーソル303の表示位置から操作者10の指の位置を細
かく認識することが可能となる。
【0053】
また、接触点の移動速度が所定の速度以下である場合には、ワイプ画像302の中心座標
ではなくカーソル303の表示位置を更新して超音波画像モニタ300に表示する。これ
により操作者10はカーソル302がワイプ画像302中のどの方向へ移動するのかを直
感的に認識して、タッチコマンドスクリーン400への操作を行うことができる。
【0054】
また、操作者10が選択入力を行った際には、選択入力が行われた接触点に対応したボタ
ンが反転表示される。これにより、操作者10は選択入力が行われたボタンがどれであっ
たか、あるいは選択入力が行われたタイミングを認識することが可能となる。
【0055】
また、表示モード切替などの特定の操作入力を受け付けた場合には、一時的にワイプ画像
302を縮小表示する。ワイプ画像302に広域のUI画面と接触点を示すカーソル30
3を表示させることにより、操作者10の指がタッチコマンドスクリーン300全体に対
してどの位置にいるかを明確に認識することができる。また、操作者10はUI画面を俯
瞰することで、所望の制御信号を出力するボタンがUI画面中のどの位置にあるのかを素
早く認識することができる。
【0056】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宣な組み合わせにより、種々の
発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除
してもよい。あるいは、異なる実施例にわたる構成要素を適宣組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 超音波診断装置
2 筐体
3 可動アーム
10 操作者
11 被検体
100 システム制御部
101 制御プロセッサ
102 記憶ユニット
103 超音波画像生成ユニット
104 超音波画像モニタI/F
105 タブレットモニタI/F
201 送受信ユニット
202 Bモード処理ユニット
203 ドプラ処理ユニット
210 超音波プローブ
300 超音波画像モニタ
400 タッチコマンドスクリーン
401 画像表示ユニット
402 タッチパネルユニット
403 操作キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波の送受波を行うプローブと、
前記被検体によって反射された反射波を受信し、前記受信した反射波に基づいて超音波
画像を生成する超音波画像生成手段と、
前記超音波画像を表示する超音波表示手段と、
操作画面を表示する操作表示手段と、
前記操作表示手段への接触を検知する接触検知手段と、
前記接触検知手段が検知した接触の位置に基づいた指示信号を出力する指示信号出力手段
とを備え、
前記超音波表示手段へ前記操作画面を表示し、前記接触検知手段が受け付けた接触の位置
に基づいて、前記操作画面の少なくとも一部分を表示する画像生成手段と
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記指示信号出力手段は、
前記接触検知手段が検知した、接触の面積、接触の時間間隔、接触の際の押さえ強度の
少なくとも1つに基づいて前記指示信号の出力を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記画像生成手段は、前記画像表示手段が表示した前記操作画面中に、前記接触検知手
段が検知した接触の位置に対応するカーソルを表示し、
前記接触検知手段が検知した接触の移動速度に応じて、前記カーソルの表示位置を移
動するか、または前記画像が表示する前記操作画面の表示位置を変更すること
を特徴とする請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記画像生成手段は、前記画像表示手段が表示した前記操作画面中に、前記接触検知手段
が検知した接触の位置に対応するカーソルを表示し、
前記接触検知手段が検知した接触の単位時間当たりの移動量に応じて、前記カーソル
の表示位置を移動するか、または前記画像が表示する前記操作画面の表示位置を変更する
こと
を特徴とする請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記画像生成手段は前記指示信号に応じて、
前記超音波表示手段へ表示する前記操作画面を、縮小あるいは拡大する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記超音波画像生成手段は、前記出力信号に応じて超音波画像の表示モードを切り替え
るものであって、
前記画像生成手段は前記表示モード切り替えの出力信号に応じて、前記超音波表示手段
へ表示する前記操作画面を縮小する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記超音波画像生成手段は、前記出力信号に応じて超音波画像の表示モードを切り替え
るものであって、
前記画像生成手段は前記表示モード切り替えの出力信号に応じて、前記超音波表示手段
内における前記操作画面の表示領域を拡大する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−104109(P2011−104109A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262102(P2009−262102)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】