説明

超音波診断装置

【課題】より手軽な構成で面倒な作業なしに、価値の高い超音波プローブの位置、姿勢の情報を得る。
【解決手段】ヘッドマウントディスプレイ(HMD)11は、CCD39が内蔵されたビデオカメラ部38を有する。ビデオカメラ部38は、超音波プローブ10と超音波プローブ10があてがわれている箇所の画像(手元画像)を撮影する。プロセッサ部15の主制御部50は、超音波プローブ10で得られる超音波画像と、撮影タイミングが略同じ手元画像を関連付けてフレームメモリ56に記憶させる。主制御部50は、保存ボタン17bの操作により選択された超音波画像および手元画像をフレームメモリ56から読み出し、記憶装置18に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイを備えた超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野において、超音波プローブを患者(被検体)の体表にあてがい、得られた超音波画像をモニタで観察する超音波診断が盛んである。こうした超音波診断では、術者は超音波プローブ(手元)とモニタの超音波画像を交互に見ながら行うため視線移動が煩わしく、また、モニタの超音波画像を注視しすぎて患者の状態観察がおろそかになるという問題があった。この問題を解決するため、透過型のヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと略す)を術者に装着させ、HMDのスクリーンに超音波画像を表示して、手元と超音波画像を同時に観察することが可能な超音波診断装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、検査後の超音波画像の読影時に参考にしたり、手技の再現性を確保するために、超音波プローブを体表のどこにどのようにあてがっているか、すなわち超音波プローブの位置、姿勢(体表に対する角度)といった情報を記憶しておきたいというニーズがある。このニーズに応えるため、手技の様子を映すビデオカメラをベッドサイドに設置して、ビデオカメラの映像と超音波画像を合成してモニタに表示し、且つ合成画像を記憶装置に記憶する超音波診断装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
特許文献2には、患者の頭部側と脚側にビデオカメラを2台用意し、手元が術者の腕等で一方のビデオカメラの死角になった場合は、他方のビデオカメラに切り替える旨が開示されている。さらにビデオカメラは1台でもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−157542号公報
【特許文献2】特開2006−000400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載のビデオカメラが2台の場合は切り替えが面倒であり、1台の場合は手元が死角になったときにビデオカメラを移動させる必要があってやはり面倒である。また、訪問医療や出張検診等の病院外の利用を考えると、ビデオカメラが嵩ばるため機動性の点で難がある。
【0007】
超音波プローブの位置、姿勢を記憶するという主旨からいえば、少なくとも超音波プローブと超音波プローブがあてがわれている箇所を撮影しさえすればいいが、特許文献2では該箇所以外の周辺の映像も撮影しているため情報の価値が低い。
【0008】
また、ビデオカメラの映像と超音波画像の合成画像が常に記憶されるので、記憶装置の容量を圧迫する。
【0009】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、その目的は、より手軽な構成で面倒な作業なしに、価値の高い超音波プローブの位置、姿勢の情報を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の超音波診断装置は、被検体の被観察部位に超音波を送信するとともに被観察部位からの反射波を受信し、反射波に応じた検出信号を出力する超音波トランスデューサが内蔵された超音波プローブと、術者に装着され、被検体の状態観察が可能であるとともに、検出信号を元に生成された超音波画像の表示が可能な表示部を有するヘッドマウントディスプレイであり、被検体に対する前記超音波プローブの位置、姿勢を映した手元画像を撮影するための撮像手段が搭載されたヘッドマウントディスプレイと、所定のフレーム分の超音波画像の記憶を指示する操作入力手段と、記憶手段と、前記操作入力手段からの操作入力信号に応じて、略同じタイミングで撮影された超音波画像および手元画像を関連付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
なお、「略同じタイミング」とは、関連付けて記憶する超音波画像および手元画像の撮影タイミングのずれが、例えば0.1秒以内の場合をいう。
【0012】
超音波画像および手元画像を表示手段に合成表示させる表示制御手段を備えることが好ましい。表示手段は超音波診断装置に備え付けのモニタ、あるいは備え付けのものと別のモニタでもよいし、前記ヘッドマウントディスプレイの表示部でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被検体に対する超音波プローブの位置、姿勢を映した手元画像を撮影するための撮像手段をヘッドマウントディスプレイに搭載し、操作入力に応じて撮影タイミングが略同じ超音波画像および手元画像を関連付けて記憶するので、より手軽な構成で面倒な作業なしに、価値の高い超音波プローブの位置、姿勢の情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】超音波診断装置の概略および手技の様子を示す図である。
【図2】超音波プローブの外観斜視図である。
【図3】ヘッドマウントディスプレイの外観斜視図である。
【図4】超音波診断装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】モニタの表示例を示す説明図である。
【図6】超音波画像と手元画像の生成タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】超音波診断の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、超音波診断装置2は、超音波プローブ10、透過型のヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと略す)11、および超音波観測器12で構成される。超音波プローブ10は、術者Opに把持され、ベッド13に安静に寝かされた患者Paの腹部等の体表にあてがわれる。HMD11は、術者Opに装着され、周囲の視野を確保しながら超音波画像を観察することが可能である。超音波観測器12は、ベッド13脇の可搬カート14に載せられたプロセッサ部15、モニタ16、操作部17、および記憶装置18を有する。記憶装置18には、例えばハードディスクドライブやMO等のリムーバブルディスクのドライバが内蔵されている。
【0016】
図2において、超音波プローブ10は、プロセッサ部15にコネクタ接続されるケーブル25と、術者Opが把持する把持部26と、超音波トランスデューサ(以下、UTと略す)アレイ27が内蔵された先端部28とからなる。UTアレイ27は、周知の如く複数のUTを所定ピッチで配列したもので、図ではコンベックス型を例示している。
【0017】
図3において、HMD11は眼鏡様の形態であり、術者Opの左右の眼と対面するレンズ部35と、レンズ部35の左右両サイドに折り畳み自在に設けられた蔓部36とからなる。レンズ部35は周囲の視野を確保するために略透明であり、且つ超音波画像を映し出して術者Opの観察に供するスクリーン(表示部)を兼ねる。
【0018】
左側のレンズ部35と蔓部36の継ぎ目には、撮影レンズ37が前面に露呈されたビデオカメラ部38が設けられている。ビデオカメラ部38には、撮影レンズ37を通して術者Opの視線の先を撮影するためのCCD39が収納されている。
【0019】
一方右側の蔓部36には、プロセッサ部15にコネクタ接続されるケーブル40が引き出された収納部41が設けられている。収納部41には、CCD39の駆動を制御するドライバ(図示せず)や、アナログ信号処理回路(AFE)42、デジタル信号処理回路(DSP、ともに図4参照)43、レンズ部35に超音波画像を表示させるための表示制御部(図示せず)等の電子回路が収納されている。なお、これらの電子回路は、HMD11ではなくプロセッサ部15に内蔵させてもよい。
【0020】
AFE42は、CCD39から出力された撮像信号を増幅してA/D変換を施し、撮像信号をデジタル化する。DSP43は、AFE42からのデジタルの撮像信号に対して、色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調整、ガンマ補正等の各種信号処理を施して画像(以下、手元画像という)を生成する。手元画像は、例えば30フレーム/秒のフレームレートで生成される(図6参照)。
【0021】
図4において、プロセッサ部15の主制御部50は、超音波観測器12全体の動作を統括的に制御する。主制御部50は、図示しないデータバスやアドレスバス、制御線を介して各部と接続している。ROM51には、超音波観測器12の動作を制御するための各種プログラム(OS、アプリケーションプログラム等)やデータ(グラフィックデータ等)が記憶されている。主制御部50は、ROM51から必要なプログラムやデータを読み出して、作業用メモリであるRAM52に展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。
【0022】
また、主制御部50は、操作部17から操作入力信号を受け、これに応じた動作を各部に実行させる。操作部17には、フリーズボタン17aと保存ボタン17bが設けられている。フリーズボタン17aは、超音波画像の動画表示を静止画表示に切り替える際に操作される。保存ボタン17bは、所定のフレーム分(例えば1〜数フレーム分)の超音波画像および手元画像を記憶装置18に記憶させる際に操作される。
【0023】
送受信部53はパルサおよびレシーバからなり、UTアレイ27を構成するUTの個数分設けられている。送受信部53は、複数のパルサの中から駆動させるパルサを選択して、これを所定の時間間隔で順次切り替える。具体的には、例えば送受信チャンネル(UTの個数)が128チャンネルであった場合、128チャンネルのうち、隣接する48チャンネルを1つのブロックとして、該チャンネルに任意の遅延差を与えて駆動させるように選択し、超音波および反射波の1回の送受信毎に、駆動させるチャンネルを1〜数個ずつずらす。送受信部53のパルサは、主制御部50から送信される駆動信号に基づいて、UTに超音波を発生させるための励振パルスを送信する。こうすることで、患者Paの被観察部位に超音波が走査される。
【0024】
送受信部53のレシーバは、患者Paの被観察部位からの反射波を受信してUTから出力された検出信号を増幅してA/D変換し、A/D変換でデジタル化した検出信号を画像処理部54に出力する。画像処理部54は、送受信部53からの検出信号に対して直交検波処理を施し、検出信号を複素ベースバンド化する。そして、複数回の超音波および反射波の送受信で得られた検出信号に対して、整相加算により受信フォーカス処理を施し、超音波画像(例えばBモード画像)を生成する。超音波画像は、例えば10フレーム/秒のフレームレートで生成される(図6参照)。
【0025】
図5に示すように、表示制御部55は、患者情報や検査部位の情報等とともに、超音波画像PXとビデオカメラ部38からの手元画像PYとをモニタ16に並列表示させる。また、表示制御部55は、超音波画像PXをHMD11に出力する。HMD11のレンズ部35には、表示制御部55からの超音波画像PXが表示される。なお、モニタ16に表示されるのと同じ超音波画像PXと手元画像PYの合成画像をHMD11に出力してもよい。あるいは、モニタ16とは別の外部モニタに合成画像を出力してもよい。
【0026】
HMD11のレンズ部35は略透明で、且つ超音波画像を表示するスクリーンとして機能するので、手技中は超音波プローブ10に術者Opの視線が集中される。従って手元画像PYには、術者OpがHMD11を装着して手技をする際の視線の先、つまり超音波プローブ10と超音波プローブ10があてがわれている箇所が映し出される。
【0027】
図4に戻って、主制御部50には、フレームメモリ56が接続されている。フレームメモリ56は、複数フレーム、例えばそれぞれ100フレーム分の超音波画像および手元画像を一時的に記憶する。フレームメモリ56は、複数フレーム分の超音波画像および手元画像のうちの最も古いものを削除し、HMD11および画像処理部54から順次送られてくる最新の超音波画像および手元画像に順次更新する。フレームメモリ56は、撮影タイミングが略同じ、すなわち、UTへの反射波の受信開始時間と、CCD39の信号電荷の蓄積開始時間の差が例えば0.1秒以内の超音波画像および手元画像のペアを関連付けて記憶する。UTへの反射波の受信開始時間とCCD39の信号電荷の蓄積開始時間の差を0.1秒以内としたのは、0.1秒よりも大きい差があると、超音波画像および手元画像の同時性が保てなくなるおそれがあるからである。
【0028】
フリーズボタン17aが操作された際には、フレームメモリ56の更新が一時停止される。このため、フリーズボタン17aの操作時に生成された超音波画像および手元画像、並びにそれ以前の複数フレーム分(100フレーム分記憶する場合は過去の99フレーム分)の超音波画像および手元画像がフレームメモリ56にストックされる。
【0029】
フリーズボタン17aの操作でフレームメモリ56にストックされた複数フレーム分の超音波画像および手元画像は、記憶装置18に記憶させる所定のフレーム分の画像を選択する際の候補としてモニタ16に表示される。表示された画像は、操作部17を操作することによりフレーム送り、フレーム戻しが可能である。術者Opは、モニタ16に表示される超音波画像および手元画像の合成画像から適当なものを選択し、保存ボタン17bを操作する。主制御部50は、保存ボタン17bの操作に応じて、術者Opにより選択された所定のフレーム分の超音波画像、およびこれに関連付けられた手元画像をフレームメモリ56から読み出し、記憶装置18に出力する。
【0030】
ここで図6に示すように、撮影タイミングが略同じ超音波画像および手元画像の生成タイミングは、超音波画像のほうが手元画像よりもΔT分遅くなる。超音波画像および手元画像の生成タイミングとは、画像処理部54およびDSP43から超音波画像および手元画像がそれぞれ出力されるタイミングのことである。撮影タイミングが略同じ超音波画像と手元画像で生成タイミングがΔTずれるのは、送受信部53、画像処理部54での各種処理に掛かる時間がAFE42やDSP43よりも長いためである。
【0031】
このため、矢印で繋がれた超音波画像「1」と手元画像「1」とは、生成タイミングはΔTずれているが撮影タイミングは略同じである。超音波画像「2」、「3」、「4」、「5」、・・・と手元画像「4」、「7」、「10」、「13」、・・・も同様である。
【0032】
主制御部50は、各画像の生成タイミングのΔT分の遅れを考慮して、先にHMD11から入力された手元画像と、これよりΔT遅れて画像処理部54から入力された超音波画像のペア、つまり撮影タイミングが略同じ各画像のペアをフレームメモリ56に関連付けて記憶させる。また、表示制御部55も同様に、撮影タイミングが略同じ各画像をモニタ16に並列表示させる。
【0033】
次に、図7を参照して、上記構成の超音波診断装置2で超音波診断を行う手順を説明する。術者Opは、操作部17を操作して、患者Paの情報や検査日の日付等を入力した後、検査開始を指示する操作入力信号を入力する。そして、HMD11を装着したうえで、患者Paの体表に超音波プローブ10の先端部28をあてがい、超音波診断を開始する。
【0034】
操作部17から検査開始の操作入力信号を受けると、主制御部50は、送受信部53を駆動制御してUTに超音波および反射波の送受信を行わせる。この超音波走査によりUTから出力された検出信号は、送受信部53で増幅、A/D変換された後、画像処理部54で直交検波、受信フォーカス処理等が施され、これにより超音波画像が生成される。画像処理部54で生成された超音波画像は、主制御部50および表示制御部55に出力される。
【0035】
また、検査開始とともにHMD11が起動され、撮影レンズ37からの像光がCCD39で撮像される。CCD39から出力された撮像信号は、AFE42、DSP43で各種処理が施され、これにより手元画像が生成される。生成された手元画像は、主制御部50および表示制御部55に出力される。
【0036】
主制御部50に入力された超音波画像および手元画像は、略同じ撮影タイミングのペアが関連付けられてフレームメモリ56に順次一時記憶される。また、表示制御部55により超音波画像および手元画像がモニタ16に並列表示される。さらに、表示制御部55からHMD11に超音波画像が送られ、レンズ部35に表示される。術者Opは、レンズ部35を介して患者Pの状態観察を行うとともに、レンズ部35に表示された超音波画像を観察する(S10)。
【0037】
術者Opは、超音波画像に病変候補が映し出された場合等にフリーズボタン17aを操作する(S11でYES)。フリーズボタン17aが操作されると、主制御部50によりフレームメモリ56の更新が一時停止される(S12)。そして、表示制御部55によりモニタ16の表示が動画からフリーズボタン17aが操作されたときに得られた静止画に切り替えられる(S13)。術者Opは、操作部17を操作して静止画をフレーム送り、またはフレーム戻しさせつつ、記憶装置18に記憶すべき画像を選択する。なお、図示は省略したが、S13の状態でフリーズボタン17aを再度操作すると、フレームメモリ56の更新一時停止、および候補画像の表示が解除され、S10の状態に戻る。
【0038】
記憶装置18に記憶すべき画像が決まり、術者Opにより保存ボタン17bが操作されると(S14でYES)、選択された所定のフレーム分の超音波画像およびそれと関連付けられた、略同じ撮影タイミングの手元画像とが主制御部50から記憶装置18に出力されて記憶される(S15)。これら一連の処理は、操作部17から検査終了を指示する操作入力信号が入力される(S16でYES)まで続けられる。
【0039】
以上説明したように、HMD11にCCD39を内蔵したビデオカメラ部38を搭載したので、検査後の読影時等に必要な超音波プローブ10と超音波プローブ10があてがわれている箇所を容易且つ確実に撮影することができる。該箇所は術者Opが手技中に注視する箇所であるため、ビデオカメラを別に用意する場合のように、手元が死角になることも少ない。従ってビデオカメラを切り替えたりビデオカメラの場所を移動させる手間が省ける。また、HMD11とビデオカメラ部38が一体であるため持ち運びが楽であり、訪問医療や出張検診等の病院外の利用にも適している。
【0040】
保存ボタン17bの操作に応じて、撮影タイミングが略同じ所定のフレーム分の超音波画像および手元画像を記憶装置18に記憶させるので、検査時間全ての動画を記憶する場合と比べて記憶装置18の容量を圧迫するおそれがない。記憶装置18に記憶した各画像は、検査後の読影時の参照や手技の再現性確保に役立てることができる。
【0041】
なお、UTの反射波の受信開始時間、およびCCD39の電荷の蓄積開始時間に同期した識別フラグを主制御部50から画像処理部54およびDSP43に発行し、各部で識別フラグを超音波画像と手元画像に付加して両者を関連付けてもよい。もとより識別フラグの発行に際しては、上記実施形態と同様に各画像の生成タイミングの差ΔTを考慮する。
【0042】
上記実施形態では、主制御部50でソフト的に撮影タイミングが略同じ超音波画像と手元画像を関連付けて記憶させているが、主制御部50とは別に、各画像を関連付けて記憶させるための専用のハードウェアを設けてもよい。
【0043】
上記実施形態では、フレームメモリ56に複数フレーム分の超音波画像および手元画像を記憶し、フリーズボタン17aが操作されたときにフレームメモリ56の更新を停止して、複数フレーム分の各画像をモニタ16に表示させ、記憶すべき画像を選択させているが、本発明はこれに限定されない。フリーズボタン17a、フレームメモリ56を無くすか、あるいは設定によって、保存ボタン17bの操作でフレームメモリ56を介さず記憶装置18に直接所定のフレーム分の超音波画像および手元画像を記憶させてもよい。
【0044】
また、撮影タイミングが略同じ1フレーム分の超音波画像と手元画像のペアを記憶するとして説明したが、上記実施形態のように手元画像のフレームレートが超音波画像よりも高い場合や、「撮影タイミングが略同じ」の定義によっては、1フレーム分の超音波画像に対して撮影タイミングが略同じ手元画像が複数存在することがあり得る。例えば図6において、超音波画像「3」に対しては、手元画像「7」とその前後0.1秒以内の「5」、「6」、「8」、「9」が、段落[0027]の「撮影タイミングが略同じ」の定義に当てはまる。従って、1フレーム分ではなく、定義に当てはまる全ての手元画像を超音波画像と関連付けて記憶してもよい。
【0045】
記憶装置18に記憶させるべき画像を選択する際に、モニタ16ではなくHMD11のレンズ部35に候補画像を表示してもよい。また、フリーズボタン17aや保存ボタン17b、候補画像のフレーム送り、フレーム戻しのための操作ボタンを、操作部17ではなく超音波プローブ10に設けてもよい。記憶すべき画像の選択や各ボタンの操作を視線移動なしで行うことができる。
【0046】
上記実施形態で説明した各部材は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない限り、如何様にも変更可能である。例えば、超音波プローブはコンベックス型ではなく、リニア型でもよい。あるいは、HMDは眼鏡様の形態ではなく、レンズ部と蔓部を上下動可能なヒンジで接続し、HMDを装着したままレンズ部を眼の前の位置と額の前の位置とで移動可能な構成としてもよい。また、超音波プローブ、HMDとプロセッサ間の信号の遣り取りを無線化してもよい。
【符号の説明】
【0047】
2 超音波診断装置
10 超音波プローブ
11 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
12 超音波観測器
15 プロセッサ部
16 モニタ
17 操作部
17a フリーズボタン
17b 保存ボタン
18 記憶装置
27 超音波トランスデューサアレイ(UTアレイ)
38 ビデオカメラ部
39 CCD
50 主制御部
55 表示制御部
56 フレームメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の被観察部位に超音波を送信するとともに被観察部位からの反射波を受信し、反射波に応じた検出信号を出力する超音波トランスデューサが内蔵された超音波プローブと、
術者に装着され、被検体の状態観察が可能であるとともに、検出信号を元に生成された超音波画像の表示が可能な表示部を有するヘッドマウントディスプレイであり、被検体に対する前記超音波プローブの位置、姿勢を映した手元画像を撮影するための撮像手段が搭載されたヘッドマウントディスプレイと、
所定のフレーム分の超音波画像の記憶を指示する操作入力手段と、
記憶手段と、
前記操作入力手段からの操作入力信号に応じて、略同じタイミングで撮影された超音波画像および手元画像を関連付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
超音波画像および手元画像を表示手段に合成表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−183056(P2011−183056A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53502(P2010−53502)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】