説明

超音波診断装置

【課題】(超音波)プローブと診断装置本体とを接続するケーブルが絡むことを防止し、かつ、使用するプローブと使用しないプローブのプローブコネクタの装着位置の変更を、ケーブルに余計な負荷を掛けずに行なうことができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】診断装置本体の同一面に、使用する超音波プローブを装着する通常コネクタと、使用しない超音波プローブを装着するダミーコネクタとを、互いの長手方向の延長線が交差するように形成することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、プローブのケーブルの絡みを防止し、かつ、ケーブルに負担をかけることなくプローブコネクタの装着位置を変更することができる超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、超音波画像を利用した超音波診断装置が利用されている。
一般に、この種の超音波診断装置は、超音波プローブ(超音波探触子 以下、プローブとする)と、診断装置本体とを有しており、プローブから被検体に向けて超音波を送信し、被検体からの超音波エコーをプローブで受信して、その受信信号を診断装置本体で電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
【0003】
プローブは、通常、ケーブルによって診断装置本体と接続される。このケーブルの先端には、プローブコネクタが設けられる。
診断装置本体側には、このプローブコネクタを着脱自在に装着する装置側コネクタが設けられる。この装置側コネクタに、プローブコネクタを装着することにより、プローブによる超音波の送受信が可能となる。
また、診断装置本体には、通常、プローブホルダが形成され、非使用時等には、このプローブホルダにプローブを保持(収容)することができる。
【0004】
ところで、超音波診断装置のプローブには、診断目的等に応じて、コンベックス型、リニア型、セクタ型などの各種の形式が有る。また、各形式のプローブでも、腹部や頭部などの診察部位や、大人や小児などの被検者等に応じて、様々な種類が用意されている。
そのため、超音波診断装置では、複数のプローブを装着可能にして、切り替えスイッチなどによって、使用するプローブを選択できるようになっている装置も多い。
【0005】
ここで、多数のプローブに対応して、超音波の送受信を可能にするコネクタを設けると、装置の内部構成が複雑になり、また、装置のコストも高くなってしまう。また、通常の診断では、頻繁に使用するプローブの種類は、多くても2〜3種類程度である。
そのため、多数のプローブが装着可能な超音波診断装置では、装置本体に形成する装置側コネクタとして、プローブコネクタを装着することでプローブによる超音波の送受信が可能になる通常コネクタと、プローブコネクタを装着しても超音波の送受信ができないダミーコネクタとを設けて、多数のプローブに対応している。
【0006】
また、このような、多数の装置側コネクタを有する超音波診断装置では、使い勝手などを考慮して、装置側コネクタの配置等に関して、各種の提案がされている。
例えば、特許文献1には、装置側コネクタとして、長手方向を水平に対して傾斜させ、垂直方向に複数個を平行に設けた第1のグループと、この第1のグループの左側に位置して、鉈手方向を垂直方向に一致して、コネクタの前面が斜め上方に向くようにした第2のグループとを設けた超音波診断装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−26046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この特許文献1に記載される超音波診断装置によれば、装置側コネクタの第1のグループと第2のグループとで角度が異なるので、例えば、第1のグループを通常コネクタとし、同第2のグループをダミーコネクタとすることにより、通常コネクタとダミーコネクタとを容易に判別することができる。
【0009】
また、装置側コネクタは、通常、医師が操作を行なう操作盤の下方に設けられ、プローブホルダは、操作盤の横側の端部近傍に設けられる。
そのため、特許文献1に示される超音波診断装置で第1のグループを通常コネクタとした場合のように、ケーブルの引き出し方向を斜め上方向にすることで、無理にケーブを曲げることなくプローブコネクタを着脱することができ、また、通常コネクタに装着するプローブのケーブルの負担も少なくできる。
【0010】
しかしながら、従来の複数の装置側コネクタを有する超音波診断装置では、通常コネクタとダミーコネクタとの位置関係によっては、プローブコネクタの装着位置を、ダミーコネクタから通常コネクタに差し替える場合などに、ケーブルが絡み易い。また、プローブコネクタの装着位置を差し替える際に、ケーブルを引っ張る必要が生じる場合も有る。
そのため、プローブコネクタの装着位置を、ダミーコネクタから通常コネクタに差し替える際に、ケーブルに余計な負荷が掛かる。また、ダミーコネクタから通常コネクタへの差し替えなどの、プローブコネクタの差し替えの操作性も、良好とは言えない。
【0011】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、通常コネクタとダミーコネクタとの間でのプローブコネクタの装着位置の差し替えを、プローブのケーブルが絡ことを防止し、かつ、ケーブルに余計な負担を与えることなく、良好な操作性で行なうことができ、しかも、通常コネクタとダミーコネクタとの判別も、容易に行なうことができる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の超音波診断装置は、ケーブル、および、このケーブルの先端の取り付けられるプローブコネクタを有し、超音波を送信し、被検体によって反射された超音波エコーを受信して受信した超音波に応じた受信信号を出力する超音波プローブと、前記超音波プローブを保持するプローブホルダを有する、前記超音波プローブが出力した受信信号に応じた超音波画像を生成する診断装置本体とを有し、さらに、前記診断装置本体は、その外観を構成する筐体の同一面に、前記プローブコネクタが装着されることにより前記超音波プローブによる超音波の送受信が可能になる、1以上の通常コネクタ、および、前記プローブコネクタが装着されても前記超音波プローブによる超音波の送受信ができない、1以上のダミーコネクタを有し、かつ、この通常コネクタおよびダミーコネクタは、互いの長手方向の延長線が、前記プローブホルダに向かう側で交差するように形成されることを特徴とする超音波診断装置を提供する。
【0013】
このような本発明の超音波診断装置において、前記通常コネクタとダミーコネクタの延長線の交差位置が、前記通常コネクタおよびダミーコネクタの形成面上に位置するのが好ましい。
また、前記診断装置本体は、前記通常コネクタおよびダミーコネクタの少なくとも一方から見て、前記延長線が交差する位置よりも離れた位置に、前記ケーブルを支持するケーブル支持部を有するのが好ましい。
また、複数の前記通常コネクタを有し、各通常コネクタの前記延長線が平行であるのが好ましい。
【0014】
また、前記ダミーコネクタが、回転可能な回転板に形成されるのが好ましい。
また、前記回転板の回転角度が、前記通常コネクタとダミーコネクタの延長線が直交する位置から、前記通常コネクタとダミーコネクタの延長線の交差角が45°となる位置までに制限されているのが好ましい。
また、前記回転板が不要に回転することを防止する、固定機構を有するのが好ましい。
【0015】
長手方向の端部から前記延長線の交差位置までの距離が等しい、前記通常コネクタとダミーコネクタとの組み合わせを、1以上有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記構成を有する本発明の超音波診断装置によれば、通常コネクタとダミーコネクタとの間でのプローブコネクタの装着位置の差し替えを、プローブコネクタを回動(もしくは揺動)するように移動することで、行なうことができる。
【0017】
そのため、、通常コネクタとダミーコネクタとの間でプローブコネクタの装着位置の差し替える際に、プローブのケーブルが絡むことを防止でき、さらに、ケーブルを引っ張るなどによって、ケーブルに余計な負荷をかけることも防止できる。また、プローブコネクタを回動するようにして、プローブコネクタの装着位置の差し替えを行なうことができるので、差し替えの操作性も良好である。
さらに、通常コネクタとダミーコネクタとで長手方向の角度が異なるので、プローブコネクタを診断装置本体に装着する際に、その装置側コネクタが、通常コネクタなのかダミーコネクタなのかの判別も、容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の超音波診断装置の一例の概念図で、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図2】(A)〜(C)は、本発明の超音波診断装置の一例を説明するための概念図である。
【図3】(A)および(B)は、本発明の超音波診断装置の別の例を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の超音波診断装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0020】
図1に、本発明の超音波診断装置の一例を概念的に示す。なお、図1において、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
【0021】
図1に示す超音波診断装置10は、超音波プローブ(超音波探触子)12と、この超音波プローブ12と接続される診断装置本体14とを有して構成される。
この超音波診断装置10は、診断装置本体14に設けられる、後述する通常コネクタ40およびダミーコネクタ42の位置関係等に特徴を有する以外は、基本的に、複数の超音波プローブ12を装着可能な、公知の超音波診断装置と同様のものである。
【0022】
超音波プローブ12(以下、プローブ12とする)は、被検体に超音波を送信して、被検体によって反射された超音波エコーを受信し、受信した超音波エコーに応じた超音波画像号(受信信号)を出力する、公知の超音波プローブである。
プローブ12は、通常の超音波プローブと同様に、プローブヘッド16と、ケーブル18と、診断装置本体14に形成される装置側コネクタ(通常コネクタ40およびダミーコネクタ42)に装着されるプローブコネクタ20とを有して構成される。
【0023】
プローブヘッド16には、超音波の送受信を行なう(超音波)トランスデューサを一次元的もしくは二次元的に配列してなる圧電素子ユニットが配置される。診断時には、このプローブヘッド16を被検体に当接して、超音波の送受信を行なう。
このプローブヘッド16とプローブコネクタ20とは、ケーブル18によって接続される。プローブコネクタ20を、診断装置本体14の通常コネクタ40に装着することにより、プローブ12(プローブヘッド16)による超音波の送受信を行なうことができるようになる。
【0024】
なお、本発明において、プローブ12の種類には、特に限定はなく、コンベックス型、リニア型、セクタ型等の各種の形式が利用可能である。また、体外式プローブでもよいし、ラジアルスキャン方式等の超音波内視鏡用プローブでもよい。さらに、プローブ12は、ハーモニックイメージングに対応する、送信した超音波の二次以上の高調波を受信するための超音波振動子を有するものであってもよい。
【0025】
診断装置本体14は、本体部26と、本体部26の上に設けられる操作盤28と、操作盤28の上に設けられるディスプレイ30とを有して構成される。
診断装置本体14において、操作盤28は、BモードやMモード等のモードの選択手段、位置の選択等を行なうトラックボール、GUI(Graphical User Interface)による操作を行なうためのタッチパネル(もしくは表示手段、もしくはタッチパネル機能を有する表示手段)など、各種の操作手段や選択手段、スイッチ類などが配列された、通常の超音波診断装置のものと同様の操作盤(操作パネル)である。
また、操作盤28には、後述する2つの通常コネクタ40の両方にプローブ12が接続された際に、使用するプローブ12を選択する(切り替える)、切り替えスイッチも設けられる。
【0026】
操作盤28の図中右側の端部近傍には、プローブ12のプローブヘッド16を収容して、保持するための、プローブホルダ36が、4つ、形成される。
プローブホルダ36は、公知のものであり、一例として、プローブヘッド16の最大径よりも小さく、かつ、グリップ部(把持部)が挿入可能な貫通孔と、ケーブル18を通すための、前記貫通孔の側面に連通する切れ込みとを有して構成される。
【0027】
診断装置本体14においては、ディスプレイ30も、超音波画像の表示、GUIによる操作を行なうための表示、被検者の情報の表示等を行なう、超音波診断装置に用いられる通常のディスプレイである。
【0028】
本体部26は、略四角筒状の筐体26aに、電源部や、各種の動作や制御を行なう回路基板などを収容してなるものである。
また、本体部26の下面にはキャスタ34が設けられており、超音波診断装置10(診断装置本体14)を、容易に移動可能にしている。
【0029】
本体部26の筐体26aの前面(操作者が、操作盤28に向き合った際に対面する面)には、プローブコネクタ20を装着する装置側コネクタとして、2つの通常コネクタ40と、2つのダミーコネクタ42とが形成される(図2(A)参照)。
両コネクタは、共に長方形の平面形状(筐体26a面での形状)を有し、通常コネクタ40は、長手方向を水平方向にして垂直方向に配列して形成され、ダミーコネクタ42は、長手方向を垂直方向にして水平方向に配列して形成される。
なお、図1では、図中下側の通常コネクタ40および同左側のダミーコネクタ42に、それぞれ、プローブコネクタ20を装着した状態を示している。
【0030】
また、筐体26aのプローブホルダ36が形成される側の側面には、プローブ12のケーブル18を支持する(引っ掛ける)ためのケーブル支持部46が設けられる。
【0031】
通常コネクタ40およびダミーコネクタ42は、各種の超音波診断装置で利用されている公知の手段によって、プローブコネクタ20を着脱自在に装着する。また、通常コネクタ40およびダミーコネクタ42は、各種の超音波診断装置で利用されている。プローブコネクタ20の固定手段を有してもよい。
【0032】
通常コネクタ40には、電源や制御基板等が接続されており、前述のように、この通常コネクタ40にプローブコネクタ20を装着することにより、プローブ12による超音波の送受信(超音波の送受信制御)を行なうことができる。
これに対して、ダミーコネクタ42は、単にプローブコネクタ20を装着するだけの部位であり、ダミーコネクタ42にプローブコネクタ20を装着しても、プローブ12による超音波の送受信を行なうことはできない。従って、ダミーコネクタ42は、単に電源や制御基板等は接続されておらず、配線等も入っていない。
【0033】
ここで、本発明の超音波診断装置10においては、通常コネクタ40およびダミーコネクタ42は、共に、診断装置本体14の外観(その一部)を形成する筐体26の同一面に形成され、さらに、通常コネクタ40およびダミーコネクタ42を長手方向に延長した線(例えば、短手方向の中心から、長手方向に延長した線 以下、単に「延長線」とも言う)が、プローブホルダ36に向かう側で交差するように、設けられる。
また、好ましくは、この通常コネクタ40から見て、もしくは、ダミーコネクタ42から見て、もしくは、通常コネクタ40およびダミーコネクタ42の両者から見て、両コネクタの延長線の交差位置よりも離れた位置に、ケーブル18を支持するケーブル支持部46を設ける。
【0034】
前述のように、図示例の超音波診断装置10においては、プローブホルダ36は、操作盤28の図中右側端部近傍に配置される。
これに対応して、超音波診断装置10は、図1および図2(A)に概念的に示すように(図2では、筐体26のみを示す)、図中に一点鎖線で示す、通常コネクタ40の右に向かう延長線と、ダミーコネクタ42の上に向かう延長線とが、直交するように、通常コネクタ40およびダミーコネクタ42が形成される。
また、通常コネクタ40から見て、延長線の交差位置より筐体26a前面の面方向に離間する右側の側面に、ケーブル支持部46が設けられる。
【0035】
本発明の超音波診断装置10は、このような構成を有することにより、図2に矢印aに示すように、プローブコネクタ20を回動(あるいは揺動)するように移動することで、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との間でのプローブコネクタ20の差し替えを行なうことができる。
そのため、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との間でのプローブコネクタ20の差し替えを行なう際に、プローブ12のケーブル18が絡むこと、および、無理にケーブル18を引っ張ったり、押し戻したりすることを防止でき、プローブコネクタ20の差し替えを行なう際にケーブル18に掛かる負荷を、大幅に少なくできる。
また、ケーブル18を引っ張る等の必要なく、プローブコネクタ20を回動するように移動するだけで、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との間でのプローブコネクタ20の差し替えを行なえるので、このプローブコネクタ20の差し替えの操作性も、良好にできる。
しかも、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との形成角度が異なるので、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との判別も、容易かつ確実に行なうことができる。
【0036】
ここで、前述の特許文献1にも示されるように、一般的に、超音波診断装置の装置側コネクタ(通常コネクタおよびダミーコネクタ)は、形成面における平面形状は長方形である。しかしながら、装置側コネクタが、長方形以外の形状である場合も有る。この際には、装置側コネクタを内接する最少の長方形を設定し、この長方形を長手方向に延長することで延長線を設定すればよい。
また、超音波診断装置では、一般的に、プローブコネクタ20の長手方向の端部(あるいは端部近傍)にケーブル18が取付けられる。ここで、通常は、装置側コネクタの長手方向と、装置側コネクタにプローブコネクタ20を装着した際における、プローブコネクタ20からのケーブル18の引き出し方向(プローブコネクタ20へのケーブル16の取付け方向)とが、一致する。
【0037】
本発明の超音波診断装置10においては、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との延長線は、プローブホルダ36に向かう側(プローブホルダ36に近づく側)で交差すればよい。
しかしながら、好ましくは、通常コネクタ40とダミーコネクタ42の延長線は、図1および図2(A)に示すように、通常コネクタ40およびダミーコネクタ42の形成面上で交差するのが好ましい。
【0038】
このような構成を有することにより、通常コネクタ40およびダミーコネクタ42と、延長線の交差位置とが近づくので、より好適に、ケーブル18の絡みや、引っ張る等のケーブル18に負荷が掛かることを防止でき、かつ、より良好な操作性で、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との間でのプローブコネクタ20の差し替えを行なうことが可能になる。
また、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との角度も大きくなるので、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との判別も、より好適に行なうことができる。
【0039】
さらに、本発明の超音波診断装置10においては、通常コネクタ40およびダミーコネクタ42の長手方向の端部から、両者の延長線の交差位置までの距離が等しい、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との組み合わせを、1以上、有するのが好ましい。
一例として、図2(A)に示す例では、下側の通常コネクタ40の端部から延長線の交差位置までの距離と、左側のダミーコネクタ42の端部から延長線の交差位置までの距離とが等しく、さらに、上側の通常コネクタ40の端部から延長線の交差位置までの距離と、右側のダミーコネクタ42の端部から延長線の交差位置までの距離とが等しい。
すなわち、図示例においては、長手方向の端部から交差位置までの距離が等しい、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との組み合わせを、2つ有する。
【0040】
このような構成を有することにより、端部から延長線の交差位置までの距離が等しいもの同士であれば、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との間でのプローブコネクタ20の差し替えを行なう際に、ケーブル18を引っ張ったり押し込んだりすることを、より確実に防止できるので、ケーブル18に負荷が掛かることを、より確実に防止できる。
【0041】
本発明の超音波診断装置10において、通常コネクタ40およびダミーコネクタ42の数は、2つに限定はされず、1つでもよく、もしくは、3つ以上を有してもよい。ただし、少なくとも、通常コネクタ40は複数を有するのが好ましい。
また、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との数は、同数に限定はされず、異なってもよいが、この場合には、通常コネクタ40の方が数が多いのが通常である。
さらに、必要に応じて、ケーブル支持部46も、複数を設けてもよい。
【0042】
図1および図2(A)に示す例は、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との延長線が直交しているが、本発明は、これに限定はされず、両者の延長線が、プローブホルダ36に向かう側で交差、好ましくは、装置側コネクタの形成面上で交差すれば、各種の構成が利用可能である。
【0043】
例えば、図2(B)に示すように、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との延長線が鋭角で交差するようにしてもよい。
この構成でも、図2(B)に矢印aで示すように、プローブコネクタ20を回動するように移動することで、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との間でのプローブコネクタ20の差し替えを行なうことができる。
【0044】
また、図2(C)に示すように、ダミーコネクタ42を通常コネクタ40の上下に配置して、ダミーコネクタ42の延長線同士がプローブホルダ36に向かう側で交差するように、ダミーコネクタ42を形成することで、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との延長線が交差するようにしてもよい。
この構成でも、同様に、図2(C)に矢印aで示すように、プローブコネクタ20を回動するように移動することで、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との間でのプローブコネクタ20の差し替えを行なうことができる。
【0045】
すなわち、図2(C)に示すように、本発明においては、複数の通常コネクタ40や複数のダミーコネクタ42を有する場合には、通常コネクタ40同士やダミーコネクタ42同士(通常コネクタ40延長線同士や、ダミーコネクタ42の延長線同士)は、必ずしも、平行である必要はない。
しかしながら、通常コネクタ40を複数を有する場合には、図2に示す各例のように、各通常コネクタ40同士は、平行になるように形成するのが好ましい。これにより、通常コネクタ40の判別を、より確実に行なうことが可能になる。
【0046】
前述のように、ダミーコネクタ42には、電源や回路基板等が接続されていない。
これを利用して、図3(図3も本体部26のみを示す)に示すように、中心を軸に回転する円形の回転テーブル50にダミーコネクタ42を形成して、ダミーコネクタ42の向きを、操作者の希望する向きにできるようにしてもよい。これにより、本発明の超音波診断装置の操作性や使い勝手を、より向上できる。なお、回転テーブル50は、筐体面と平行でも、若干の角度を有して設けられてもよい。
【0047】
ここで、この回転テーブル50の回転角には、特に限定はないが、通常コネクタ40とダミーコネクタ42との延長線が、プローブホルダ36に向かう側で交差しなくなってしまう角度まで回転可能にするのは、好ましくない。
従って、回転テーブル50の回転角度は、図3(A)に示すような、通常コネクタ40とダミーコネクタ42の延長線が直交する位置から、図3(B)に示すような、通常コネクタ40とダミーコネクタ42の延長線の交差角が45°となる位置までに制限されているのが好ましい。
【0048】
また、回転テーブル50が不要に回転することを防止するために、例えば、ロータリースイッチ等に利用される機構などを利用して、5°刻みなどの所定の回転角で、回転テーブル50の回転を略固定できるようにするのが、好ましい。
【0049】
以上、本発明の超音波診断装置について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
【0050】
例えば、図2に示す例では、通常コネクタ40が水平方向に延在し、ダミーコネクタ42は垂直方向等に延在している。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、通常コネクタ40が垂直方向に延在し、ダミーコネクタ42は水平方向に延在するようにしてもよい。ただし、複数の通常コネクタ40を有する場合には、通常コネクタ40同士は、平行に形成するのが好ましいのは、前述のとおりである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
医療現場等で各種の診断に用いられる超音波診断装置に、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 超音波診断装置
12 (超音波)プローブ
14 診断装置本体
16 プローブヘッド
18 ケーブル
20 プローブコネクタ
26 本体部
26a 筐体
28 操作盤
30 ディスプレイ
34 キャスタ
36 プローブホルダ
40 通常コネクタ
42 ダミーコネクタ
46 ケーブル支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル、および、このケーブルの先端の取り付けられるプローブコネクタを有し、超音波を送信し、被検体によって反射された超音波エコーを受信して受信した超音波に応じた受信信号を出力する超音波プローブと、
前記超音波プローブを保持するプローブホルダを有する、前記超音波プローブが出力した受信信号に応じた超音波画像を生成する診断装置本体とを有し、
さらに、前記診断装置本体は、その外観を構成する筐体の同一面に、前記プローブコネクタが装着されることにより前記超音波プローブによる超音波の送受信が可能になる、1以上の通常コネクタ、および、前記プローブコネクタが装着されても前記超音波プローブによる超音波の送受信ができない、1以上のダミーコネクタを有し、
かつ、この通常コネクタおよびダミーコネクタは、互いの長手方向の延長線が、前記プローブホルダに向かう側で交差するように形成されることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記通常コネクタとダミーコネクタの延長線の交差位置が、前記通常コネクタおよびダミーコネクタの形成面上に位置する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記診断装置本体は、前記通常コネクタおよびダミーコネクタの少なくとも一方から見て、前記延長線が交差する位置よりも離れた位置に、前記ケーブルを支持するケーブル支持部を有する請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
複数の前記通常コネクタを有し、各通常コネクタの前記延長線が平行である請求項1〜3のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記ダミーコネクタが、回転可能な回転板に形成される請求項1〜4のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記回転板の回転角度が、前記通常コネクタとダミーコネクタの延長線が直交する位置から、前記通常コネクタとダミーコネクタの延長線の交差角が45°となる位置までに制限されている請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記回転板が不要に回転することを防止する、固定機構を有する請求項5または6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
長手方向の端部から前記延長線の交差位置までの距離が等しい、前記通常コネクタとダミーコネクタとの組み合わせを、1以上有する請求項1〜7のいずれかに記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−200504(P2012−200504A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69871(P2011−69871)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】