説明

超高圧水銀ランプ

【課題】 超高圧水銀ランプにおいて、電極が変形することを防止することにより、金属箔が溶断することを確実に防止することを目的とする。
【解決手段】 0.2mg/mm以上の水銀が封入された発光部と前記発光部の両端のそれぞれに連続する封止部とで構成される発光管と、前記発光部内に対向して配置されると共に前記それぞれの封止部に電極軸部が保持された一対の電極と、前記封止部のそれぞれに埋設されて前記それぞれの電極軸部に電気的に接続された金属箔と、を備えるものにおいて、前記金属箔は、前記電極軸部を包み込むようにして前記電極軸部に固定された被覆部と、前記被覆部に連続して前記電極軸部に接続されることなく管軸方向外方に向けて伸びる延在部と、前記延在部に連続する本体部と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプロジェクタ等の光源として使用される超高圧水銀ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば液晶プロジェクタやDMDを使用したDLP等に代表される投射型プロジェクタ装置においては、矩形状のスクリーンに対して、均一にしかも十分な演色性をもって画像を照明させることができることから、発光管内に水銀や金属ハロゲン化物を封入したメタルハライドランプが光源として広く利用されてきた。
【0003】
近年においては、このようなプロジェクタ装置用の光源に対して、一層の小型化、点光源化が要求されており、メタルハライドランプに代わって、点灯時の水銀蒸気圧が例えば150気圧以上になる超高圧水銀ランプを使用することが主流になっている。
このような超高圧水銀ランプを光源として使用すれば、水銀蒸気圧が極めて高いことにより、放電アークの広がりを抑えることができるので、より一層の光出力の向上を図ることができる。
【0004】
このような超高圧水銀ランプは、例えば図1を参照して説明すると、内部に密閉空間を備える球状の発光部12およびこの発光部12の両端に連続してそれぞれ管軸に沿って伸びるロッド状の封止部13よりなる、例えば石英ガラス製の発光管11を備えてなり、発光部12内には、一対の電極20が対向配置され、各々の電極20がそれぞれ各々の封止部13内において管軸に沿って伸びるよう気密に埋設された金属箔30を介して封止部13の外端面より外方に突出して伸びるよう設けられた外部リード15に電気的に接続されている。
この超高圧水銀ランプは、発光部12内に、例えば0.15mg/mm以上の水銀が封入されており、点灯時における発光部12内の水銀蒸気圧が150気圧以上となるものである。
【0005】
而して、上記構成の超高圧水銀ランプにおいては、点灯時における発光部12内の圧力が極めて高くなるために、封止部13において、封入ガスが抜けたり、クラックが生じたりする、という不具合が生ずることがあり、このような不具合を回避するために、封止部13を構成するガラスと、電極軸部21及び給電用の金属箔30とを十分にかつ強固に密着させることが必要とされている。
【0006】
従来においては、発光管形成材料を構成する例えば石英ガラスを例えば2000℃以上もの高温で加熱した状態において、厚肉の石英ガラスを徐々に収縮させることにより封止部13を形成し、これにより、封止部13において、石英ガラスと、電極軸部21及び給電用の金属箔30との密着性を上げることが行われている。
【0007】
しかしながら、高温でガラスを焼き込むと、ガラスと、電極軸部21及び金属箔30との密着性は向上するものの、ランプ完成後に封止部13が破損しやすくなる、という問題が生じる。
【0008】
この理由は、加熱処理後の封止部13の温度が徐々に下がる段階において、電極20を構成する例えばタングステンの膨張係数が、封止部13を構成する例えば石英ガラスの膨張係数に比して一桁以上も大きいことから、タングステンと石英ガラスとの相対的な膨張量の差によって、両者の接触部分にクラックが発生するからである。そして、ランプ製造時において生じたクラックは、初期段階では、ごく小さいものであるが、ランプ点灯時に発光部12内が極めて高圧状態になることに伴って成長し、やがてはランプの封止部13が破損する要因となり得る。
【0009】
このような問題は、発光部12内の圧力が低いランプでは決して生じることはないが、点灯時に発光部12内が150気圧以上という高圧状態になるランプにおいて生じる特有の問題である。
【0010】
本出願人は、電極軸部と金属箔との接合部近傍に不可避的に形成される空隙に対して、ランプ点灯時に発光部内の高圧が印加されることによって、クラックが発生されることおよびクラックの成長が助長されることを見出し、当該空隙を可及的に小さくすることにより上記問題を解決することができると考え、例えば図8に示す構成を有する金属箔100が用いられて封止部が形成されてなる超高圧水銀ランプを提案している(特許文献1参照)。
【0011】
この超高圧水銀ランプに係る金属箔100の構成について具体的に説明すると、この金属箔100は、帯板状の金属板(箔形成材料)における幅方向の中央位置において、円弧状に湾曲する湾曲溝部101が長手方向に伸びるよう形成されて、構成されており、当該湾曲溝部101の一方の端部が、湾曲溝部101の両側縁に連続して幅方向に伸びる平板状の平坦部105の一端縁より長手方向外方に突出する状態、換言すれば、湾曲溝部101の全長が平坦部105の全長よりも大きい状態とされている。
【0012】
この金属箔100においては、湾曲溝部101の突出部分102に、電極軸部21の基端側部分が、基端面が金属箔100における平坦部105の一端縁より長手方向外方側に離間して位置された状態で、接合されると共に、湾曲溝部101の他方の端部に外部リード15の先端側部分が接合される。
【0013】
そして、このような構成の金属箔100が用いられた超高圧水銀ランプによれば、電極軸部21と金属箔100との間(接合部近傍位置)に不可避的に生ずる空隙を可及的に小さくすることができるため、ランプ点灯時に、発光部内の高圧が当該空隙に対して印加された場合であっても、クラックの発生を防止することができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−257373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に開示された超高圧水銀ランプにおいては、以下に説明するように、しばしば金属箔100が溶断することが判明した。電極軸部21と金属箔100との接続部付近においては、電極軸部21と金属箔100とがそれぞれ材質が相違することにより、電極軸部21と金属箔100とのそれぞれに密接する石英ガラスの貼り付きに偏りが生じる。そのため、超高圧水銀ランプの点灯時の熱膨張および熱収縮により電極軸部21が湾曲する、といった事態が生じた。その結果、金属箔100は、電極軸部21との接続部分の厚みが薄くなり、当該部分において電気抵抗が高くなり、超高圧水銀ランプの点灯時において温度が局所的に上昇して溶断する、と考えられる。
【0016】
近年では、プロジェクタ装置用の光源として、より輝度の高いものが求められているため、発光部内に封入される水銀の量が従来よりも増えている。例えば、超高圧水銀ランプへの水銀の封入量は、従来は0.15mg/mm以上とすることが一般的であったが、近年では0.2mg/mm以上とすることが一般的である。このような水銀封入量の増加は、金属箔の溶断をより顕著に発生させる原因となり得る。
以上より、本発明では、超高圧水銀ランプにおいて、電極が変形することを防止することにより、金属箔が溶断することを確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1記載の超高圧水銀ランプは、0.2mg/mm以上の水銀が封入された発光部と前記発光部の両端のそれぞれに連続する封止部とで構成される発光管と、前記発光部内に対向して配置されると共に前記それぞれの封止部に電極軸部が保持された一対の電極と、前記封止部のそれぞれに埋設されて前記それぞれの電極軸部に電気的に接続された金属箔と、を備えるものにおいて、前記金属箔は、前記電極軸部を包み込むようにして前記電極軸部に固定された被覆部と、前記被覆部に連続して前記電極軸部に接続されることなく管軸方向外方に向けて伸びる延在部と、前記延在部に連続する本体部と、を有することを特徴とする。
【0018】
請求項2記載の超高圧水銀ランプは、請求項1記載の超高圧水銀ランプにおいて、前記被覆部が筒状であることを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の超高圧水銀ランプは、請求項1記載の超高圧水銀ランプにおいて、前記延在部と前記本体部との間には、前記被覆部と逆方向に向かうにつれて次第に幅が広がるように形成された漸増幅部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の超高圧水銀ランプによれば、金属箔が、電極軸部を包み込むようにして電極軸部に固定された被覆部と、被覆部に連続して電極軸部に接続されることなく管軸方向外方に向けて伸びる延在部と、を有する。そのため、電極軸部の周囲が金属箔の被覆部によって被覆され、封止部を構成するガラスが被覆部の周囲に偏りなく密接した状態になる。したがって、超高圧水銀ランプの点灯および消灯を繰返し行っても、電極が変形して湾曲するといった事態が生じなくなるので、電極の変形に起因して金属箔が溶断することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の超高圧水銀ランプの構成の概略を示す管軸方向の断面図である。
【図2】電極の構成を示す拡大図である。
【図3】電極マウントの構成を示す斜視図である。
【図4】金属箔の構成を示す斜視図である。
【図5】金属箔の初期の構成を示す斜視図である。
【図6】電極マウントの製造方法を説明する概念図である。
【図7】図1におけるA−A線断面図である。
【図8】従来の超高圧水銀ランプに係る金属箔の構成を、電極軸部および外部リードと共に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の超高圧水銀ランプの構成の概略を示す長手方向の断面図である。
この超高圧水銀ランプ10は、略球状の発光部12と、この発光部12の両端のそれぞれに連続して管軸方向外方に向けて伸びる棒状の封止部13とで構成される発光管11を備え、発光管11は石英ガラスで構成されている。封止部13は、例えばシュリンクシール法によって形成され、断面が円形状とされている。
【0023】
発光部12の内部には、各々タングステンよりなる一対の電極20が、例えば0.5〜2.0mmの距離を隔てて対向して配置されている。各電極20は、それぞれ、先端側の一部が発光部12内に臨出し、根元部が各封止部13に保持され、各封止部13に埋設された各金属箔30に電気的に接続されている。各金属箔30は、例えばモリブデンによって構成されている。各金属箔30には、それぞれ封止部の外端部より管軸方向外方に突出する各外部リード15が電気的に接続されている。
【0024】
発光部12の内部には、水銀、希ガスおよびハロゲンガスが封入されている。水銀の封入量は、点灯時における発光部12内の水銀蒸気圧が200気圧以上となる量、例えば0.2mg/mm以上とされている。希ガスは、点灯始動性を改善するためのものであって、例えばアルゴンガスが13kPaの量で封入されている。ハロゲンガスは、ハロゲンサイクルを利用してランプの寿命を延ばすと共に発光部11の破損および失透を防止するためのものであって、その封入量は、例えば10−6〜10−2μmol/mmの範囲内において、ランプの仕様に応じて適宜調整される。
【0025】
図2は、図1の超高圧水銀ランプに係る電極の拡大図を示す。超高圧水銀ランプの各電極20は、棒状の電極軸部21と、この電極軸部の先端に形成された電極本体部22とで構成される。これら電極軸部21および電極本体部22は、例えばタングステンで構成される。電極本体部22の周囲には、タングステンよりなる線材を巻き回すことにより、コイル部23が形成されている。コイル部23は、超高圧水銀ランプの始動性を高めるために設けられている。電極本体部22の先端部には、他方の電極に向かうにつれて次第に外径が縮小する円錐台状の突起部24が形成されている。突起部24は、点灯時に放電アークを集中し易くするために設けられている。このような電極20は、電極本体部22の全体が発光部12内の密閉空間内に臨出すると共に、電極軸部21の中心軸Oが発光管の管軸Cに一致する状態で配置されている。
【0026】
このような電極20を有する超高圧水銀ランプ10においては、一対の電極20間に交流電力が印加されることにより、電極20間で絶縁破壊を生じて、各電極20の突起部24を起点として放電アークが形成され、例えば波長360〜780nmの可視光を含む光が放射される。
【0027】
図3は、金属箔と電極とで構成される電極マウントの構成を示す斜視図である。図4は、電極軸部に接合される前の金属箔の構成を示す斜視図である。図4に示すように、金属箔30は、電極軸部21の形状に対応する形状を有する円筒状の被覆部31と、電極軸部21に接続されることなく管軸C方向の外方(図4の紙面において被覆部31と逆方向)に向けて伸びる樋状の延在部32と、管軸方向の外方に向けて次第に幅が広がるように形成された漸増幅部33と、漸増幅部33の基端側に連続する平坦な本体部34とを有する。本体部34の投影幅は、延在部32の投影幅よりも大きい。被覆部31は、電極軸部21を包み込むようにして電極軸部21の外側に配置され、例えばレーザー溶接或いは抵抗溶接等の手段により電極軸部21に一体的に固定される。本体部34の基端側には、図示は省略するが、図1に示す給電用の外部リード15が接続される。このようにして、図3に示す電極マウント40が完成する。
【0028】
図5は、被覆部が形成される前の金属箔の構成を示す斜視図である。図5に示すように、金属箔30Aは、先端より所定距離離れた箇所に形成された小幅部32Aと、小幅部32Aを金属箔の長手方向に挟んで小幅部32Aの先端側および基端側のそれぞれに連続して形成される、金属箔の幅方向に広がる幅広部31Aおよび34Aとを有する。小幅部32Aは、金属箔30Aの先端から所定距離離れた位置に、それぞれ金属箔30Aの中心軸X方向に向けて湾曲する同一形状の一対の切り欠き部50を形成することによって形成される。小幅部32Aと幅広部34Aとの間には、斜辺部33Aが形成され、斜辺部33Aは小幅部32Aに向かうにつれて次第に幅が狭くなっている。
【0029】
図6は、図3の電極マウントの製造方法を説明する斜視図である。図6(A)は、被覆部を形成する前の初期状態の金属箔を示す。図6(B)は、被覆部を形成した状態の金属箔を示す。図6(C)は、電極の根本部分を金属箔の被覆部に向けて挿入する手順を示す。図6(D)は、完成した電極マウントを示す。
【0030】
金属箔30は、図6(B)に示すように、図6(A)に示す幅広部31Aを金属箔の幅方向の両側から電極軸部21の形状に沿うように折り曲げて成形し、幅広部31Aの幅方向の両端部が互いに重なり合うようにすると共に、小幅部32Aを断面が略半円状の樋状に成形する。このように幅広部31Aを成形することにより、図6(B)に示すように、電極軸部21の外径よりもやや大きめの外径を有する筒状の被覆部31を形成する。幅広部31Aは、必ずしも完全な筒体を構成するように折り曲げる必要はなく、電極軸部21を両側から挟むようにして電極軸部21の周囲に配置されれば良い。すなわち、幅広部31Aの幅方向の両端部のそれぞれが若干離間した状態とされていても良い。
【0031】
次に、図6(C)に示すように、電極軸部21の根本部21Aと金属箔30の被覆部31とを対向するように配置して、電極軸部21の根本部21A側から電極軸部21を被覆部31に向けて進出させ、電極軸部21の根本部21Aを被覆部31の内部に収容する。その後、被覆部31の外方より被覆部31の外周にレーザーを照射して、被覆部31を電極軸部21に一体的に固定する。なお、被覆部31は、抵抗溶接することによって電極軸部21に固定しても良い。このような一連の手順を実行することにより、図6(D)に示す電極マウント40が得られる。
このような手順によって作製された電極マウント40は、石英ガラスよりなる発光管構成材料の内部に収容され、シュリンクシール等の封止作業を実行することによって気密に封止されて、図1に示す封止部13が形成される。金属箔30は、被覆部31、延在部32、漸増幅部33および本体部34が封止部13を構成する石英ガラスに密着している。
【0032】
以上の本発明の超高圧水銀ランプにおいては、封止部13に保持された電極軸部21と金属箔30との接続部分においては、図7の断面に示すように、電極軸部21が被覆部31に被覆されるので、電極軸部21と封止部13を構成する石英ガラスとの間に金属箔30の被覆部31が介在する。これにより、電極軸部21が封止部13を構成するガラスに完全に接触しないか、或いは、電極軸部21がガラスに接触する部位を可及的に小さくすることができる。すなわち、電極軸部21と金属箔30との接続部分において、封止部13を構成するガラスが被覆部31の周囲に偏りなく密接させることができる。したがって、超高圧水銀ランプ10の点灯・消灯を繰り返し行っても、各電極軸部21が変形することがないので、金属箔の厚みが局所的に薄くなることが防止されて、金属箔30が溶断することを確実に防止することができる。
しかも、図1および図3に示すように、本発明の超高圧水銀ランプ10においては、被覆部31に連続して電極軸部21に接続されることなく管軸方向外方に向けて伸びる樋状の延在部32を有する金属箔30を封止部13に埋設しているために、金属箔30が封止部13を構成する石英ガラスから剥離することがなかった。この理由は、定かでないが例えば次のように考えられる。
【0033】
超高圧水銀ランプ10の封止部13においては、電極軸部21と封止部13を構成する石英ガラスとの間に不可避的に微小空隙が形成される。この微小空隙は、電極軸部21およびその周囲の石英ガラスの間並びに電極軸部21の周囲を被覆する被覆部31およびその周囲の石英ガラスの間に形成される。超高圧水銀ランプの点灯時には、この微小空隙に対し発光部12内の高圧が印加される。以下、図3に示す構成の金属箔を備えた金属箔30を備える超高圧水銀ランプ(実施例)と、図3において延在部32を有しない金属箔を備える超高圧水銀ランプ(比較例)とを対比して説明する。
実施例は、被覆部31の後端に連続する延在部32を有し、この延在部32が封止部13を構成する石英ガラスに密着するように封止される。そのため、点灯時における発光部12内の高圧が上記の微小空隙を介して本体部34の角部34Xに印加され、本体部34に歪みを生じることがない。したがって、本体部34と封止部13を構成する石英ガラスとが剥離することがない。一方、比較例は、被覆部31の後端に連続する延在部32を有さず、被覆部31の後端からすぐに本体部34の幅に広がっているため、角部34Xが形成され、この部分に応力が集中しやすくなる。その結果、発光部12内の点灯時における高圧が上記の微小空隙を介して本体部34の角部34Xに印加され、歪みが生じる。これによって、本体部34と封止部13を構成する石英ガラスとが剥離する惧れがある。
【0034】
さらに、本発明の超高圧水銀ランプ10においては、図3に示すように、管軸方向外方に向かうにつれて幅が次第に広くなるように形成された漸増幅部33が延在部32と本体部34との間に形成された構造を有する金属箔30が、封止部13に埋設されている。したがって、本体部34の歪みがさらに抑制されるものと期待される。なお、本発明の金属箔30においては、漸増幅部33は必須の構成ではない。つまり、金属箔が、電極軸部21を包み込むようにして電極軸部21に接続される被覆部31、これに続き電極軸部21に接続されることなく管軸方向外方に向けて延在する樋状の延在部32および本体部34のみを有する構造であり、当該金属箔30が埋設された封止部13を有する超高圧水銀ランプであっても、前記した効果が期待される。
【0035】
以下は、上記の本発明の効果が確認された超高圧水銀ランプの実施例である。
発光管11:全長70mm、外径10mm
発光管11の内容積:66mm
水銀封入量:0.3mg/mm
金属箔30:全長14mm、厚み0.02mm
延在部32:樋形状、投影幅0.5mm、全長1.4mm
漸増幅部33:全長0.4mm
本体部34:幅1.5mm、全長11mm
電極軸部21:φ0.4mm
【0036】
本発明の超高圧水銀ランプにおいては、上記した実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能である。例えば、金属箔30の延在部32は、図3および図4において樋状に示されているが、例えば平板状に形成されていても良い。また、金属箔の本体部は、図7に示すように、幅方向の中央に管軸と平行に伸びる溝部を形成することにより、全体としてΩ状に形成することもできる。
【符号の説明】
【0037】
10 超高圧水銀ランプ
11 発光管
12 発光部
13 封止部
15 外部リード
20 電極
21 電極軸部
22 電極本体部
23 コイル部
24 突起部
30 金属箔
31 被覆部
32 延在部
33 漸増幅部
34 本体部
34X 角部
40 電極マウント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.2mg/mm以上の水銀が封入された発光部と前記発光部の両端のそれぞれに連続する封止部とで構成される発光管と、前記発光部内に対向して配置されると共に前記それぞれの封止部に電極軸部が保持された一対の電極と、前記封止部のそれぞれに埋設されて前記それぞれの電極軸部に電気的に接続された金属箔と、を備える超高圧水銀ランプにおいて、
前記金属箔は、前記電極軸部を包み込むようにして前記電極軸部に固定された被覆部と、前記被覆部に連続して前記電極軸部に接続されることなく管軸方向外方に向けて伸びる延在部と、前記延在部に連続する本体部と、を有することを特徴とする超高圧水銀ランプ。
【請求項2】
前記被覆部が筒状であることを特徴とする請求項1記載の超高圧水銀ランプ。
【請求項3】
前記延在部と前記本体部との間には、前記被覆部と逆方向に向かうにつれて次第に幅が広がるように形成された漸増幅部を有することを特徴とする請求項1記載の超高圧水銀ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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