説明

超高純度の合成炭素材料

本出願は、一般に、高い比表面積と高い多孔率とを有する超高純度の合成炭素材料、超高純度のポリマーゲルおよびそれらを含有するデバイスに関する。開示された超高純度の合成炭素材料は、様々なデバイス、例えば電気二重層キャパシタデバイスおよび電池において使用できる。超高純度の合成炭素材料および超高純度のポリマーゲルを調製する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の利益に関する告知
本明細書に記載された研究の一部の財源は、国防総省の協定番号第W15P7T-09-C-S311にて、米国政府によってもたらされた。米国政府は、この発明について幾分かの権利を有し得る。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、下記の米国仮出願の35U.S.C.セクション119(e)に基づく利益を主張する:米国仮特許出願第61/222431(2009年7月1日出願)、米国仮特許出願第61/255037(2009年10月26日出願)、米国仮特許出願第61/255054(2009年10月26日出願)、米国仮特許出願第61/261703(2009年11月16日出願);全ての仮出願全体を参照することにより、本願明細書に包含される。
【0003】
本発明は、一般的に、超高純度の合成炭素材料、それらの製造方法、およびそれらを含有する装置に関する。
【背景技術】
【0004】
一般に、活性炭は、電気的な貯蔵および分配をおこなうデバイスにおいて使用されている。活性炭の広い表面積、高い伝導率および高い多孔性は、他の物質を採用するデバイスと比べて、より高いエネルギー密度を有する電気デバイスの設計を可能とする。電気二重層キャパシタ(EDLC)は、このようなデバイスの一例である。EDLCは、多くの場合、活性炭材料から調製された電極と、適当な電解質とを有し、一般的なキャパシタと比べて、極めて高いエネルギー密度を有する。EDLCの典型的な使用例には、データ伝送用電力の短バースト(short bursts)または最大出力機能を要求する装置、例えば無線モデム、携帯電話、デジタルカメラおよび別の携帯型の電気装置などにおける、エネルギー貯蔵および分配デバイスが含まれる。また、EDLCは、電気車両、例えば電気自動車、列車、バスなどにおいても一般的に使用される。
【0005】
電池は、(例えば、正極材料、電流コレクタ、または伝導率増進剤として)活性炭材料を含有する場合がある、別の常套なエネルギー貯蔵および分配デバイスである。例えば、リチウムと共に挿入される、炭素質の負極を有するリチウム/炭素電池は、有望なエネルギー貯蔵デバイスである。炭素含有電池の他の種類には、空気電極用の電流コレクタとして多孔質の炭素を用いるリチウム空気電池と、負極または正極に炭素添加剤を含む場合がある酸電池が含まれる。電池は、(EDLCの高い電流密度と比較して)低い電流密度と電気出力が要求される種々の電子デバイスにおいて採用される。
【0006】
EDLCと炭素系電池の1つの既知の欠点は、高温、高電圧操作、繰り返される充電/放電サイクル条件下および/または経年により性能が減少することである。この性能の減少は、炭素電極自身における不純物または電解質不純物に起因しており、電解質/電極界面にて電極の破損を生じさせる。したがって、現存のデバイスよりも、より高い電圧での操作ができ、より高温にてより長時間操作できる、より高い純度の炭素材料から調製される電極を含有するEDLCおよび/または電池が提案されている。
【0007】
しかし、大きな表面積と高い多孔性を有する、より高純度の炭素材料に対する要求が認められているが、このような炭素材料は商業的に入手できず、高性能の電気装置に対して所望される高純度の炭素を生成させることができる調製方法は報告されていない。広い表面積を有する活性炭材料を調製するための1つの一般法は、現存の炭素含有材料(例えば、ココナッツ繊維またはタイヤゴム)を熱分解させる方法である。この方法は、所望の用途に応じて必要とされる表面積および多孔率を備える材料を製造するために、後ほど過度に活性化できるように、比較的狭い表面積を炭化させる。このような方法は、本質的に、前駆体物質の有する構造によって制限され、一般に、過程における低い収率をもたらし、炭素材料は、1%またはそれ以上の灰分(すなわち、金属性不純物)を有する。
【0008】
活性炭材料は、化学的な活性化によっても調製できる。例えば、炭素含有材料を、酸、塩基または塩(例えば、リン酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化亜鉛など)で処理し、その後加熱することにより活性炭材料が得られる。しかしながら、このような化学的な活性化は、高濃度の残留工程不純物(例えば、金属)を有する活性炭材料を生成する。
【0009】
広い表面積を有する活性炭材料を製造するための別の方法は、炭素含有の有機成分(例えば、超高純度のポリマーゲル)から、合成ポリマーを調製することである。現存の有機材料のように、合成的に調製されたポリマーを熱分解し、次いで活性化させて活性炭材料を調製する。活性化工程の間により少ない材料が失われるので、上記従来の方法とは対照的に、合成的に調製されたポリマー固有の多孔率は、より高く形成される。しかしながら、別の既知の方法から調製される炭素材料のように、上記方法を介して合成ポリマーから調製した活性炭材料は、不適切な程度の不純物(例えば金属)を含有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
当該技術分野において大幅な進歩がもたらされているが、高純度の炭素材料、同様に、それらの製造方法およびそれらを含有するデバイスが、当該技術分野において継続的に要求されている。本発明は、これらの要求を満たすと共に、更に関連した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
概括的に表現すると、本発明は、超高純度の合成炭素材料と、該材料を調製するための方法および該材料を含有するデバイスを対象とする。このような材料は、電気的な貯蔵及び分配をおこなうデバイスにおいて有用であり、特に、EDLCおよび電池用の電極において使用される。現存の炭素材料は、電極が浸漬されている電解質の降伏電圧を低下させるものとして既知である種々の不純物(例えば、塩素、硫黄、金属など)を残留レベルで含有する。したがって、現存の電極は、本発明による超高純度の合成炭素材料を含有するデバイスと比べて、より低い電圧で稼働させなければならないと共に、より短い寿命を有する。炭素電極中の不純物は、EDLCまたは電池内における他の成分の分解の一因となる。例えば、EDLCにおける2つの炭素電極を分離する多孔質膜は、炭素電極内の塩素または他の不純物によって分解され得る。本明細書において開示される超高純度の合成炭素材料は、既知の炭素材料よりも更に著しく純粋であるので、電気的な貯蔵および/または分配を行うデバイスの稼働を十分改良する。
【0012】
したがって、1実施態様において、超高純度の合成炭素材料が開示される。超高純度の合成炭素材料は、プロトン励起X線分析によって測定された結果、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を500ppm未満の総不純物含量で含有する。前述の別の実施態様において、炭素材料は、超高純度の合成アモルファス炭素材料である。
【0013】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、プロトン励起X線分析によって測定したとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を200ppm未満の総不純物含量で含有する。
【0014】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、プロトン励起X線分析値から算出されたとき、0.03%未満、例えば0.01%未満の灰分を有する。
【0015】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、燃焼分析およびプロトン励起X線分析値から算出されたとき、少なくとも95重量%の炭素を含有する。
【0016】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、プロトン励起X線分析によって測定した結果、3ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、5ppm未満の硫黄、1ppm未満のクロムまたは1ppm未満の銅を含有する。
【0017】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、プロトン励起X線分析によって測定した結果、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、および5ppm未満の亜鉛を含有する。例えば、1実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、プロトン励起X線分析によって測定されたとき、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロム、および1ppm未満の亜鉛を含有する。
【0018】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、燃焼分析によって測定した結果、3.0%未満の酸素、0.1%未満の窒素、および0.5%未満の水素を含有する。例えば、別の具体的な実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、燃焼分析によって測定した結果、1.0%未満の酸素を含有する。
【0019】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、熱分解された超高純度のポリマークリオゲルを含有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、活性された超高純度のポリマークリオゲルを含有する。
【0020】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、少なくとも1500m/g、少なくとも2000m/g、または少なくとも2400m/gのBET比表面積を有する。
【0021】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、少なくとも0.7cc/gの細孔容積を有する。
【0022】
別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルがもたらされる。超高純度のポリマーゲルは、炭素、水素、酸素を有すると共に、プロトン励起X線分析によって測定されたとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を500ppm未満、特に200ppm未満の総不純物含量で有する。
【0023】
ある実施態様において、超高純度のポリマーゲルは乾燥された超高純度のポリマーゲルである。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、少なくとも400m/gのBET比表面積を有する。
【0024】
別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、1種以上の混和性溶媒と、1種以上のフェノール系合物と、1種以上のアルデヒドと1種以上の触媒とを混合させることにより調製される。例えば、ある実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、水、酢酸、レソルシノール、ホルムアルデヒドおよび酢酸アンモニウムを混合させることにより調製される。
【0025】
開示された炭素材料のおけるこの高い純度は、開示されるゾルゲル法に起因すると考えられる。出願人は、1または複数の前駆物質、例えばフェノール系化合物およびアルデヒドが、揮発性の塩基性触媒の存在下および酸性条件下にて共重合される場合、超高純度のポリマーゲルを得られることを見出した。このことは、残存レベルの金属および/または他の不純物、ならびに残存レベルの反応溶媒および/または抽出溶媒を有する超高純度のポリマーゲルを生成する、超高純度のポリマーゲルの調製に関する別の開示された方法とは、大きく異なる。これらの不純なポリマーゲルから炭素材料を製造し、例えば、熱分解および/または活性化に付すことで、得られる炭素材料もまた不純である。
【0026】
開示された超高純度の合成アモルファス炭素材料は、超高純度のポリマーゲルを熱分解および/または活性化させることにより調製できる。同様に、超高純度のポリマーゲルは、該超高純度のポリマーゲルを生成する揮発性の塩基性触媒の存在下、酸性条件にて1種以上のポリマー前駆物質を反応させることにより調製できる。
【0027】
したがって、本開示による1実施態様は、超高純度の合成炭素材料を調製する方法を提供し、該方法は、揮発性の塩基性触媒の存在下、酸性条件にて1種以上のポリマー前駆物質を反応させて超高純度のポリマーゲルを得ることを含む。更なる実施態様において、炭素材料は、超高純度の合成アモルファス炭素材料である。
【0028】
別の実施態様において、該方法は、酢酸と水を含有する溶媒中で、1種以上のポリマー前駆物質を混合させることを更に含む。別の実施態様において、揮発性の塩基性触媒は、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウムまたはそれらの混合物を含み、別の実施態様において、1種以上のポリマー前駆物質は、レソルシノールおよびホルムアルデヒドを含有する。
【0029】
別の実施態様において、調製方法は更に以下の工程を含む:
(a)超高純度のポリマーゲルを凍結乾燥させて、超高純度のポリマークリオゲルを得ること、
(b)超高純度のポリマークリオゲルを熱分解させ、熱分解された超高純度のクリオゲルを得ること、および、
(c)熱分解された超高純度のクリオゲルを活性化させることにより。超高純度の合成活性炭材料を得ること。
【0030】
超高純度の合成アモルファス炭素材料は、種々の電気的な貯蔵分配デバイスにおいて使用できる。超高純度、高い多孔性有および広い表面積の組み合わせは、既知のデバイスと比べて優れた特性を有する、電気的な貯蔵分配デバイスを調製することができる。超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するデバイスは、より低い純度の炭素から調製された比較デバイスと比べて、より高温で、より長期間に亘り、より高い電圧の条件下においても稼働できる。
【0031】
したがって、別の実施態様において、本開示は、超高純度の合成炭素材料を含有するデバイスを提供し、この場合、該超高純度の合成炭素材料は、プロトン励起X線分析によって測定されたとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を500ppm未満、特に200ppm未満の総不純物含量で含有する。例えば、ある実施態様において、前述の炭素材料は、超高純度の合成アモルファス炭素材料である。
【0032】
更なる実施態様において、デバイスは、下記のものを含有する電気二重層キャパシタ(EDLC)デバイスである:
a)正極および負極、この場合、正極および負極のそれぞれが、超高純度の合成炭素材料を含有し、
b)不活性な多孔質セパレーター、
c)電解質
ただし、該正極および負極は、不活性な多孔質セパレーターにより分離される。
【0033】
更なる実施態様において、EDLCデバイスは、少なくとも15W/gの質量質力、少なくとも10W/ccの容積出力、少なくとも20.0W/kgの質量エネルギー、または少なくとも10.0Wh/リットルの容積エネルギーを有する。
【0034】
別の実施態様において、EDLCデバイスは、0.5A/gの電流密度と、電解質としてアセトニトリル中のテトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.8M溶液を用い、5秒の時定数にて、2.7から0.1Vまで定電流放電することにより測定されたとき、少なくとも25F/gの重量キャパシタンスまたは少なくとも20F/ccの容積キャパシタンスを有する。
【0035】
EDLCデバイスの更なる実施態様において、炭素材料の灰分は、プロトン励起X線分析データから算出されたとき、0.03%未満、特に0.01%未満であり、他の実施態様において、炭素材料は、燃焼分析およびプロトン励起X線分析により測定されたとき、少なくとも95%の炭素を含有する。
【0036】
EDLCデバイスの他の実施態様において、炭素材料は、プロトン励起X線分析によって測定されたとき、3ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、5ppm未満の硫黄、1ppm未満のクロム、1ppm未満の銅を含有する。
【0037】
EDLCデバイスの他の実施態様において、炭素材料は、プロトン励起X線分析によって測定されたとき、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、100ppm未満のカルシウム、50ppm未満の硫黄、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、および5ppm未満の亜鉛を含有する。
【0038】
EDLCデバイスの他の実施態様において、炭素材料は、活性された超高純度のポリマークリオゲルを含有し、EDLCデバイスの別の実施態様において、炭素材料は、少なくとも1500m/g、少なくとも2000m/g、または少なくとも2400m/gのBET比表面積を有する。
【0039】
他の具体的な実施態様において、本開示は、本明細書に記載されるような超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有する電池、例えば、リチウム/炭素電池、亜鉛/炭素電池、リチウム空気電池または鉛酸電池を対象とする。別の実施態様において、本開示は、本明細書に記載されるような超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有する電極を対象とする。このような電極は、電気的な貯蔵分配デバイス、例えばEDLCおよび電池において有用である。
【0040】
図において、同一の参照番号は、同一の要素を同定する。図中における要素の大きさおよび相対的な位置は、同じ尺度で記載する必要はなく、これらの要素のいくつかは、適宜拡大され、配置されて、図の認識性を改良する。さらに、図示されるような要素の具体的な形状は、具体的な要素の実施の形状に関するあらゆる情報を伝えることを意図しない。また、それらは、図における認識をし易くするためにもっぱら選択されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、酢酸100%の溶媒から調製した超高純度のRFポリマークリオゲルに関する、増分細孔容積と細孔幅の関係を示す。
【図2】図2は、酢酸:水が90:10である溶媒から調製した超高純度のRFポリマークリオゲルに関する、増分細孔容積と細孔幅の関係を表わす。
【図3】図3は、酢酸:水が50:50である溶媒から調製した超高純度のRFポリマークリオゲルに関する、増分細孔容積と細孔幅の関係を表わす。
【図4】図4は、酢酸:水が25:75である溶媒から調製した超高純度のRFポリマークリオゲルに関する、増分細孔容積と細孔幅の関係を表わす。
【図5】図5は、酢酸:水が10:90である溶媒から調製した超高純度のRFポリマークリオゲルに関する、微分孔容積と孔幅の関係を表わす。
【図6】図6は、RS=0.3であり、様々な濃度の酢酸とアンモニウム塩から調製した超高純度のRFポリマークリオゲルに関する比表面積とpHの関係を表わす。
【図7】図7Aおよび7Bは、それぞれ、超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットと、熱分解された超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットを示す。
【図8】図8Aおよび8Bは、それぞれ、超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットと、熱分解された超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットを示す。
【図9】図9Aおよび9Bは、それぞれ、超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットと、熱分解された超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットを示す。
【図10】図10Aおよび10Bは、それぞれ、超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットと、熱分解された超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットを示す。
【図11】図11Aおよび11Bは、それぞれ、超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットと、熱分解された超高純度のRFポリマークリオゲルの増分細孔容積のプロットを示す。
【図12】図12は、種々の超高純度の合成活性炭材料に関する、比表面積と活性化による重量損失との関係を示す。
【図13】図13は、超高純度の合成活性炭材料に関する増分細孔容積のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
詳細な説明
下記の記載において、種々の実施態様の理解をもたらすために、幾つかの具体的な詳細が説明される。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの詳細な説明を用いなくても実施できるものと理解している。他の場合において、実施例の記載が不必要に不明瞭になることを回避するために、既知の構造は示されていないか詳細が記載されている。文脈上他の意味に解すべき場合を除き、以下の明細書および請求項を通じて、用語「含有」およびそれらの変形例、例えば、「含有する」および「含む」は、オープンな用語であり、すなわち、「包含するが、限定されない」といった包括的な意味を有すると解釈される。さらに、本明細書においてもたらされる表題は、利便性のためだけであり、請求項に記載された本発明の範囲及び意義を説明するものではない。
【0043】
この明細書を介して言及される「1実施態様」または「実施態様」は、実施例に関連して記載される具体的な特徴、構造もしくは性質が、少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、この明細書における様々な箇所において、「1実施態様」または「実施態様」という表現が見受けられるが、同じ実施態様に全てが関連する必要はない。さらに、具体的な特徴、構造もしくは性質を、1以上の実施態様において、任意の適当な方法で組合せることができる。本明細書および添付の請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確な記載のない限り複数形も包含する。また、「または」という用語は、一般に、他に明確な記載のない限り「および/または」を含む意義で使用される。
【0044】
定義
ここで使用されるように、および他に記載のない限り、以下の用語は下記に特定されるような意味を有する。
【0045】
「炭素材料」は、実質的に炭素から成る材料または物質に関する。炭素材料はアモルファス炭素材料および結晶性炭素材料を含有する。炭素材料の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:活性炭、熱分解され、乾燥された超高純度のポリマーゲル、熱分解された超高純度のポリマークリオゲル、熱分解された超高純度のポリマーキセロゲル、熱分解された超高純度のポリマーエアロゲル、活性化され乾燥された超高純度のポリマーゲル、活性化された超高純度のポリマークリオゲル、活性化された超高純度のポリマーキセロゲル、活性化された超高純度のポリマーエアロゲルなど。
【0046】
「アモルファス」は、材料、例えば、アモルファス炭素材料に関連し、それらの構成原子、分子またはイオンは、規則的なパターンを繰り返すことなく、不規則に配列される。アモルファス材料は、若干の局所的な結晶化度(すなわち、規則性)を有してもよいが、原子位置の長期に亘る整列は欠如する。熱分解されたおよび/または活性化された炭素材料は、一般にアモルファスである。
【0047】
「結晶性」は、それらの構成原子、分子またはイオンが、規則的な繰返しパターンで配列される材料に関する。結晶性炭素材料の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:ダイアモンドおよびグラフェン。
【0048】
「合成」は、天然源から得られる物質よりむしろ、化学的な方法によって調製されている物質に関する。例えば、合成炭素材料は、前駆材料から合成されるものであると共に、天然源から単離されないものである。
【0049】
「不純物」または「不純物元素」は、原料物質の化学組成とは異なる、材料内の異物(例えば、元素)に関する。例えば、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中の不純物は、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在する、炭素以外の元素または元素の組み合せに関連する。不純物濃度は、一般に、百万分の1(ppm)で表わされる。
【0050】
「PIXE不純物」は、11〜92の範囲の原子番号を有する不純物元素(すなわち、ナトリウム〜ウラニウムまで)である。「総PIXE不純物含量」および「総PIXE不純物濃度」は、いずれも、サンプル(例えば、超高純度のポリマーゲル、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料)中に存在する総PIXE不純物の合計である。PIXE不純物濃度および同等のものは、プロトン励起X線分析(PIXE)によって測定できる。
【0051】
「超高純度」は、0.050%未満の総PIXE不純物含有量を有する物質に関する。例えば、「超高純度の炭素材料」、「超高純度の合成炭素材料」または「超高純度の合成アモルファス炭素材料」は、0.050%(すなわち、500ppm)未満の総PIXE不純物含有量を有する炭素材料である。
【0052】
「灰分」は、高い分解温度に物質を曝した後に残存する不揮発性の無機物に関する。ここで、炭素材料の灰分は、不揮発性成分が、予想される燃焼生成物(すなわち酸化物)へ完全に変換されると仮定した場合、プロトン励起X線分析により測定された総PIXE不純物含有量から算出される。
【0053】
「ポリマー」は、2つ以上の構造的な繰返し単位から成る巨大分子に関する。
【0054】
「合成ポリマー前駆物質」または「ポリマー前駆物質」は、合成ポリマーの調製において使用される化合物に関する。本明細書において開示される調製法において使用できるポリマー前駆物質の例には以下のものが含まれるが、これらに限定されない:アルデヒド(すなわち、HC(=O)R、式中Rは有機基である)、例えば、メタナル(ホルムアルデヒド);エタナル(アセトアルデヒド);プロパナル(プロピオンアルデヒド);ブタナル(ブチルアルデヒド);グルコース;ベンズアルデヒドおよび桂皮アルデヒド。他のポリマー前駆物質の例には以下のものが含まれるが、これらに限定されない:フェノール系化合物(例えば、フェノール)、およびポリヒドロキシベンゼン(例えばジヒドロキシベンゼンまたはトリヒドロキシベンゼン)、例えば、レソルシノール(すなわち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノン、およびフロログルシノール。2種以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物も、ポリマー前駆物質の意義内に想定される。
【0055】
「モノリシック」は、固体の、三次元構造物に関し、実質的に微粒子ではない。
【0056】
「ゾル」は、前駆物質粒子(例えば、ポリマー前駆物質)のコロイド懸濁液に関し、「用語「ゲル」は、前駆物質粒子の濃縮または反応によって得られる湿潤した三次元多孔質網目に関する。
【0057】
「ポリマーゲル」は、網目成分がポリマーであるゲルに関する:一般に、ポリマーゲルは、合成前駆物質またはポリマー前駆物質から形成されたポリマーから成る湿潤した(水または非水に基づく)三次元構造である。
【0058】
「ゾルゲル」は、ポリマーゲルの下位分類に関し、この場合、ポリマーは、ポリマー前駆物質の反応によって得られる湿潤した三次元多孔質網目を形成するコロイド懸濁液である。
【0059】
「ポリマーヒドロゲル」または「ヒドロゲル」は、ポリマーゲルまたはゲルの下位概念に関し、この場合、合成前駆物質もしくはモノマー用の溶媒が、水または水と1種以上の水混和性溶媒との混合物である。
【0060】
「RFポリマーヒドロゲル」は、ポリマーゲルの下位概念に関し、この場合、ポリマーは、水または水と1種以上の水混和性溶媒との混合物中で、レソルシノールとホルムアルデヒドの触媒反応から形成される。
【0061】
「酸」は、溶液のpHを低下させることができる任意の物質に関する。酸は、アレニウス、ブロンステッドおよびルイス酸を含む。「固体酸」は、溶媒中に溶解させた際に酸性溶液が生成される、乾燥または粒状化合物に関する。「酸性」という用語は、酸の性質を有することを意味する。
【0062】
「塩基」は、溶液のpHを上昇させることができる任意の物質に関する。塩基は、アレニウス、ブロンステッドおよびルイス塩基を含む。「固体塩基」は、溶媒中に溶解させた際に塩基性溶液が生成される、乾燥または粒状化合物に関する。「塩基性」という用語は、塩基の性質を有することを意味する。
【0063】
「混合させた溶媒系」は、二種以上の溶媒、例えば、2種以上の混和性溶媒から成る溶媒系に関する。二元溶媒系(すなわち、2種類の溶媒を含有するもの)の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:水と酢酸、水とギ酸、水とプロピオン酸、水と酪酸など。三元溶媒系(すなわち、3種類の溶媒を含有するもの)の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:水、酢酸およびエタノール;水、酢酸およびアセトン;水、酢酸およびギ酸、水、酢酸およびプロピオン酸など。本発明は、2種以上の溶媒を含有する全ての混合溶媒系を予期する。
【0064】
「混和性」は、ある範囲の温度、圧力および組成に対して、混合物が単相を形成する、混合物の特性に関連する。
【0065】
「触媒」は、化学反応の速度を変化させる物質である。触媒が周期的に反応に参加して、触媒は循環的に再生される。本明細書は、ナトリウムを含まない触媒を考慮する。本明細書において開示されるような超高純度のポリマーゲルを調製する場合に使用される触媒は、ポリマー前駆物質の重合を促進して、超高純度のポリマーゲルを生成する任意の化合物である。「揮発性触媒」は、大気圧以下にて揮発する傾向がある触媒である。揮発性触媒の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:アンモニウム塩、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウムまたはそれらの組合せなどである。
【0066】
「溶媒」は、反応物(例えば、超高純度のポリマー前駆物質)を溶解または懸濁させて、該溶媒中で反応を生じさせる媒体を提供する物質である。ゲル、超高純度のポリマーゲル、超高純度の合成炭素材料および超高純度の合成アモルファス炭素材料の調製において有用な溶媒の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:水、アルコールおよびそれらの混合物。アルコールの例には、エタノール、t-ブタノール、メタノールおよびそれらの混合物が含まれる。このような溶媒は、合成される超高純度ポリマーの前駆物質、例えば、フェノール系化合物またはアルデヒド化合物を溶解させるのに有用である。さらに、ある方法においては、ポリマーヒドロゲルにおける溶媒交換のために(凍結や乾燥させる前に)、このような溶媒が使用され、この場合において、前駆物質の重合からの溶媒、例えば、レソルシノールおよびホルムアルデヒドは、純アルコールに交換される。本出願の1実施態様において、クリオゲルは、溶媒交換を含まない方法によって調製される。
【0067】
「乾燥ゲル」または「乾燥された超高純度のポリマーゲル」は、ゲルまたは超高純度のポリマーゲルから、溶媒、一般に水または水と1種以上の水混和性溶媒の混合物が実質的に除去されている、ゲルまたは超高純度のポリマーゲルに関する。
【0068】
「熱分解され乾燥された超高純度のポリマーゲル」は、熱分解されたが未だ活性化されていない、乾燥させた超高純度のポリマーゲルに関し、さらに、「活性化され乾燥された超高純度のポリマーゲル」は、活性化され、乾燥された超高純度のポリマーゲルに関する。
【0069】
「クリオゲル」は、凍結乾燥によって乾燥された乾燥ゲルに関する。同様に、「超高純度のポリマークリオゲル」は、凍結乾燥によって乾燥された、乾燥された超高純度のポリマーゲルに関する。
【0070】
「RFクリオゲル」または「超高純度のRFポリマーゲル」は、レソルシノールとホルムアルデヒドの触媒反応から生成されたゲルまたは超高純度のポリマーゲルを、凍結乾燥によって乾燥させた、乾燥ゲルまたは乾燥された超高純度のポリマーゲルにそれぞれ関する。
【0071】
「熱分解されたクリオゲル」または「熱分解された超高純度のポリマークリオゲル」は、熱分解されているが未だ活性化されていない、クリオゲルまたは超高純度のポリマークリオゲルにそれぞれ関する。
【0072】
「活性化クリオゲル」または「活性化された超高純度のポリマークリオゲル」は、活性化された炭素材料を得るために活性化されている、クリオゲルまたは超高純度のポリマークリオゲルにそれぞれ関する。
【0073】
「キセロゲル」は、例えば、大気圧以下の条件下にて、空気乾燥させることにより乾燥させた乾燥ゲルに関する。同様に、「超高純度のポリマーキセロゲル」は、空気乾燥によって乾燥させた、乾燥された超高純度のポリマーゲルに関する。
【0074】
「熱分解されたキセロゲル」または「熱分解された超高純度のポリマーキセロゲル」は、熱分解されているが未だ活性化されていない、キセロゲルまたは超高純度のポリマーキセロゲルにそれぞれ関する。
【0075】
「活性化キセロゲル」または「活性化された超高純度のポリマーキセロゲル」は、活性化された炭素材料を得るために活性化されている、キセロゲルまたは超高純度のポリマーキセロゲルにそれぞれ関する。
【0076】
「エアロゲル」は、超臨界乾燥、例えば、超臨界二酸化炭素を用いることにより乾燥された乾燥ゲルである。同様に、「超高純度のポリマーエアロゲル」は、超臨界乾燥によって乾燥させた、乾燥された超高純度のポリマーゲルである。
【0077】
「熱分解されたエアロゲル」または「熱分解された超高純度のポリマーエアロゲル」は、熱分解されているが未だ活性化されていない、エアロゲルまたは超高純度のポリマーエアロゲルにそれぞれ関する。
【0078】
「活性化エアロゲル」または「活性化された超高純度のポリマーエアロゲル」は、活性化された炭素材料を得るために活性化されている、エアロゲルまたは超高純度のポリマーエアロゲルにそれぞれ関する。
【0079】
「有機抽出溶媒」は、ポリマー前駆物質の重合が開始した後、一般にポリマーヒドロゲルの重合が完了した後に、ポリマーヒドロゲルへ添加される有機溶媒に関する。
【0080】
「急速な多角的凍結」は、モノリシックポリマーゲルからポリマーゲル粒子を調製してポリマーゲルを凍結させ、次いで得られたポリマーゲル粒子を適当な冷媒体へ曝す方法に関する。冷媒体は、例えば、液体窒素、窒素ガスまたは固体の二酸化炭素である。急速な多角的凍結の間に、氷の核生成が氷の結晶成長を支配する。適当な冷媒体は、例えば、約−10℃以下の温度を有する気体、液体、または固体であってもよい。同様に、適当な冷媒体は、約−20℃以下の温度を有する気体、液体、または固体であってもよい。同様に、適当な冷媒体は、約−30℃以下の温度を有する気体、液体、または固体であってもよい。
【0081】
「活性化」および「活性」は、それぞれ、酸化性雰囲気(例えば、二酸化炭素、酸素または蒸気)へ曝す間に、活性化滞留温度(dwell temperature)にて、原料または炭化/熱分解物質を加熱して、「活性化された」物質(例えば、活性化クリオゲルまたは活性炭材料)を生成させる方法に関連する。一般に、活性化過程は、粒子表面の剥離除去をもたらし、表面積の増加をもたらす。あるいは、活性化は、化学的な方法、例えば、炭素含有前駆物質を化学薬品(リン酸などの酸、または水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基、または塩化亜鉛などの塩)で含浸させ、次いで、炭化させることにより行われる。「活性された」は、活性化処理が施されている、材料または物質、例えば、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料に関する。
【0082】
「炭化する」「熱分解する」、「炭化」および「熱分解」は、それぞれ、不活性大気(例えば、アルゴンまたは窒素)中、または真空中で、熱分解可能な滞留温度にて、炭素含有物質を加熱する処理に関し、これにより、該処理の終端における回収対象となる物質は、主に炭素である。「熱分解された」は、例えば、熱分解処理が施されている、例えば、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料などの、材料または物質に関連する。
【0083】
「滞留温度」は、比較的一定な温度を維持するために保持される(すなわち、温度を上昇させず減少させない)、工程の一部における加熱炉の温度に関する。例えば、熱分解の滞留温度は、熱分解の間において、加熱炉が比較的一定な温度で保持されることに関し、活性化滞留温度は、活性化の間において、加熱炉が比較的一定な温度で保持されることに関する。
【0084】
「細孔」は、炭素材料、例えば活性化された炭素、熱分解され乾燥された超高純度のポリマーゲル、熱分解された超高純度のポリマークリオゲル、熱分解された超高純度のポリマーキセロゲル、熱分解された超高純度のポリマーエアロゲル、活性化され乾燥された超高純度のポリマーゲル、活性化された超高純度のポリマークリオゲル、活性化された超高純度のポリマーキセロゲル、活性化された超高純度のポリマーエアロゲルなどにおける穴、またはそれらの表面における窪みまたは開口部である。細孔は、単一の穴であってもよく、または他の穴と構造内の連続網目を介して接続していてもよい。
【0085】
「細孔構造」は、炭素材料(例えば、活性炭材料)内の内部細孔表面における配置に関連する。細孔構造の構成要素には、細孔サイズ、細孔容積、細孔面積、密度、細孔径分布、および細孔長さが含まれる。一般に、活性炭材料の細孔構造には、マイクロ細孔およびメソ細孔が含まれる。
【0086】
「メソ細孔」は、一般に、約2ナノメートル〜約50ナノメートルの間に直径を有する細孔に関し、一方、「マイクロ細孔」は、約2ナノメートル未満の直径を有する細孔に関連する。
【0087】
「表面積」は、BET法によって測定可能な、物質の総比表面積に関連する。表面積は、一般に、m/g単位で表わされる。BET(ブルナウアー−エメット−テラー)法は、不活性ガス、例えば、窒素を用いて、物質に吸着されたガスの量を測定することにより行われ、物質の接近可能な表面積を測定するための、当該技術分野において常套に使用される方法である。
【0088】
メソ細孔およびマイクロ細孔に対し、本明細書において使用される「接続された」は、このような細孔の空間的位置に関連する。
【0089】
「有効長さ」は、電解質から塩イオンを受容できる、十分な直径を有する細孔の長さ部分に関する。
【0090】
「調節可能」は、炭素材料のメソ細孔およびマイクロ細孔のいずれかまたは両方における、細孔サイズ、細孔容積、表面積、密度、細孔径分布、および細孔長さまたはこれらの組合せを増加させたり減少させたりすることができる能力に関する。例えば、調節可能性は、本明細書において記載される超高純度の合成アモルファス炭素材料が電極材として使用されるような適当な場合、対象となる電解質イオンに適応させて細孔寸法を調節することに関してもよい。ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料の細孔構造が、調節されても良い。例えば、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料の調製において、細孔構造を調節することは、種々の方法によって行うことができるが、これらに限定されない:超高純度のポリマーゲルの製造においてパラメーターを変化させること;超高純度のポリマーゲルの凍結乾燥においてパラメーターを変化させること;超高純度のポリマークリオゲルの炭化においてパラメーターを変化させること;熱分解された超高純度のポリマークリオゲルの活性化においてパラメーターを変化させること
【0091】
「電極」は、対象物、物質または領域へ電気が入力または放出される導体に関する。
【0092】
「バインダー」は、炭素の各粒子を相互に保持することができる材料であり、該バインダーと炭素を相互に混合させた後、得られた混合物を、シート、ペレット、ディスクまたは他の形状に変換させることができる。バインダーの包括的な例には、超高純度のフルオロポリマー、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標))、PFA(超高純度のパーフルオロアルコキシポリマー樹脂、テフロン(登録商標)としても既知)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン、テフロン(登録商標)としても既知)ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン、Tefzel(登録商標)およびFluon(登録商標)として市販)、PVF(ポリビニルフッ化物、Tedlar(登録商標)として市販)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン、Halar(登録商標)として市販)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド、Kynar(登録商標)として市販)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン、Kel-FおよびCTFEとして市販)、トリフルオロエタノールおよびそれらの組合せなどが含まれる。
【0093】
「不活性」は、電解質中で活性ではない材料に関し、それは、相当量のイオンを吸収せず、化学的な変化(例えば分解)を生じない。
【0094】
「伝導性」は、緩く保持された価電子の伝達を介し、電子を伝導する材料の能力に関する。
【0095】
「電解質」は、遊離イオンを含有する物質を意味し、該物質は電気的に伝導性である。電解質の例には以下のものが含まれるが、これらに限定されない:溶媒、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリルまたはそれらの混合物と共に、溶質、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、例えば、TEA TFB(テトラエチルアンモニウム テトラフルオロボラート)、MTEATFB(メチルトリエチルアンモニウム テトラフルオロボラート)、EMITFB(1エチル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボラート)、テトラエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウムに基づく塩またはそれらの混合物。ある実施態様において、電解質は、水系の酸性電解質または水性の塩基性電解質、例えば、希硫酸水溶液または水酸化カリウム水溶液であってもよい。
【0096】
A. 超高純度のポリマーゲルおよび超高純度の合成炭素材料
1実施態様において、超高純度の合成炭素材料が提供される。別の実施態様においては、超高純度の合成アモルファス炭素材料が提供される。上述のように、種々の不純物(例えば、塩素、硫黄、金属など)が残留する炭素材料を含有する電極は、該電極が浸漬された電解質のブレークダウン電圧を減少させることが知られている。従って、これらの電極は、より高純度の炭素を含有するデバイスと比べ、より低い電圧で稼働させなければならないと共に、より短い寿命を有する。また、炭素電極における不純物は、EDLCまたは電池内の他の成分の分解を生じさせると考えられている。例えば、EDLCにおいて2つの炭素電極を隔てる多孔質膜は、炭素電極内の不純物または塩素によって分解され得る。本明細書において開示される超高純度の合成炭素材料および超高純度の合成アモルファス炭素材料は、任意の既知の炭素材料と比べて、より著しく純粋であるので、あらゆる電気的な貯蔵および/または分配デバイスの稼働を改良できる。
【0097】
開示された炭素材料の高い純度は、開示されるゾルゲル法に起因すると考えられる。本出願人は、1種以上のポリマー前駆物質(例えば、フェノール系化合物)とアルデヒドを、揮発性塩基触媒の存在下、酸性条件下で共重合させる場合、超高純度のポリマーゲルが生成されることを見出した。このことは、金属および/または他の不純物の残存濃度を示し、反応溶媒および/または抽出溶媒の残存濃度を示すポリマーゲルを生じさせる、他に開示されたポリマーゲルの調製方法とは、大きく異なる。例えば、これらの不純なポリマーゲルから、熱分解および/または活性化によって炭素材料を調製することにより、不純な炭素材料が生成されてしまう。
【0098】
炭素材料の調製に関する既知の方法とは対称的に、本発明により開示された超高純度のポリマーゲルは、超高純度の合成炭素材料と超高純度の合成アモルファス炭素材料の調製を可能とする。例えば、不活性大気(例えば窒素)中で加熱することによって、超高純度のポリマーゲルは熱分解され、広い表面積と大きい細孔容積を有する本発明による炭素材料が生成できる。さらに、これらの炭素材料は(不純物を導入する)化学的な活性化法を用いることなく活性化できるので、本発明による活性化された超高純度の炭素材料を得ることができる。このような材料は、あらゆる電気的な貯蔵分配用途において有用である。
【0099】
本発明による方法によって調製される炭素材料は、超高純度であるだけではなく、所望の物理的性質、例えば、高い空隙率と高い表面積なども有する。超高純度と同様に、本発明による炭素材料の高い空隙率と大きい表面積は、本明細書において開示される特有の方法によってもたらされる。開示される方法は、工程パラメーターの数値を変化させて、炭素材料の物理的性質を調節できる。超高純度、高い空隙率および大きい表面積の組み合せは既知のデバイスに比べて優れた性能を有することができ、電気的な貯蔵分配デバイスの調製を可能とする。
【0100】
開示される超高純度のポリマーゲル、超高純度の合成炭素材料および超高純度の合成アモルファス炭素材料、ならびにそれらの調製方法は、以下により詳細に記載される。
【0101】
1.超高純度のポリマーゲル
超高純度のポリマーゲルは、開示される超高純度の炭素材料の調製における中間体である。したがって、超高純度のポリマーゲルの物理的特性と化学的特性は、超高純度の炭素材料の特性に寄与する。すなわち、ある実施態様においては、超高純度のポリマーゲルは、乾燥された超高純度のポリマーゲルであり、例えば、ある実施態様において乾燥された超高純度のポリマーゲルは、超高純度のポリマークリオゲルである。別の実施態様において、乾燥された超高純度のポリマーゲルは、超高純度のポリマーキセロゲルまたは超高純度のポリマーエアロゲルである。ある実施態様においては、超高純度のポリマーゲルは、フェノール系化合物とアルデヒド化合物から調製され、例えば、ある実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、レソルシノールとホルムアルデヒドから調製できる。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、酸性条件下で調製される。ある実施態様において、酸性度は、固体の酸性化合物を溶解させること、反応溶媒として酸を使用すること、または溶媒の1種が酸である混合溶媒系を使用することによってもたらすことができる。超高純度のポリマーゲルの調製は、以下においてより詳細に記載される。
【0102】
開示される方法は、塩基性の揮発性触媒の存在下、重合を行い、ポリマーゲルを生成させることを含む。すなわち、ある実施態様においては、超高純度のポリマーゲルは、1種以上の塩を含有し、例えば、ある実施態様においては、1種以上の塩は、揮発性の塩基性塩である。揮発性の塩基性塩の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの組合せ。したがって、ある実施態様において、本開示は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの組合せを含有する超高純度のポリマーゲルを提供する。更なる実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、炭酸アンモニウムを含有する。別の更なる実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、酢酸アンモニウムを含有する。
【0103】
任意の態様における別の実施態様および本明細書において開示される変形例において、超高純度のポリマーゲルは、t-ブタノールを実質的に含まない。例えば、1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、1000ppm未満のt-ブタノール、100ppm未満のt-ブタノール、10ppm未満のt-ブタノールまたは1ppm未満のt-ブタノールを含有する。
【0104】
任意の態様における別の実施態様および本明細書において開示された変形例において、超高純度のポリマーゲルは、アセトンを実質的に含まない。例えば、1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、1000ppm未満のアセトン、100ppm未満のアセトン、10ppm未満のアセトンまたは1ppm未満のアセトンを含有する。
【0105】
超高純度のポリマーゲルは、低濃度の不純物を含有する。すなわち、ある実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、炭素、水素および酸素、ならびに1000ppm以下の総PIXE不純物を含有する。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルにおける総PIXE不純物含有量は、1000ppm未満、800ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満である。
【0106】
超高純度のポリマーゲルは、それらから調製される超高純度の炭素材料の低い灰分に寄与できる低い灰分を有する。したがって、ある実施態様においては、超高純度のポリマーゲルにおける灰分は、0.1%〜0.001の範囲である。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルの灰分は、0.1%未満、0.08%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満、また0.001%未満である。
【0107】
別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、500ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.08%未満の灰分を有する。更なる実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、300ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.05%未満の灰分を有する。別の更なる実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、200ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.02%未満の灰分を有する。別の更なる実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、200ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.01%未満の灰分を有する。
【0108】
上述のように、一般な不純物を含有するポリマーゲルは、不純物を含有する炭素材料を生成する。したがって、本開示における1態様において、超高純度のポリマーゲルは、不純物の低い残存量を示す。超高純度のポリマーゲル中に存在する個々のPIXE不純物の量は、プロトン励起X線分析によって測定できる。ある実施態様においては、超高純度のポリマーゲル中に存在するナトリウム濃度は、1000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在するマグネシウム濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在するアルミニウム濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在するケイ素濃度は、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在する亜リン酸濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在する硫黄濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、30ppm未満、10ppm未満、5ppm未満または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在する塩素濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在するカリウム濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在するカルシウム濃度は、100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在するクロム濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在する鉄濃度は、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在するニッケル濃度は、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在する銅濃度は、140ppm未満、100ppm未満、40ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在する亜鉛濃度は、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、2ppm未満、または1ppm未満である。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲル中に存在する、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、亜リン酸、硫黄、塩素、カリウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅および亜鉛を除くPIXE不純物の総量は、1000ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満または1ppm未満である。上述のように、ある実施態様において、他の不純物、例えば、水素、酸素および/または窒素は、10%未満〜0.01%未満の範囲の濃度で存在できる。
【0109】
ある実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、プロトン励起X線分析の検出限界付近またはそれ以下のPIXE不純物を含有する。例えば、ある実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、50ppm未満のナトリウム、15ppm未満のマグネシウム、10ppm未満のアルミニウム、8ppm未満のケイ素、4ppm未満の亜リン酸、3ppm未満の硫黄、3ppm未満の塩素、2ppm未満のカリウム、3ppm未満のカルシウム、2ppm未満のスカンジウム、1ppm未満のチタニウム、1ppm未満のバナジウム、0.5ppm未満のクロム、0.5ppm未満のマンガン、0.5ppm未満の鉄、0.25ppm未満のコバルト、0.25ppm未満のニッケル、0.25ppm未満の銅、0.5ppm未満の亜鉛、0.5ppm未満のガリウム、0.5ppm未満のゲルマニウム、0.5ppm未満のヒ素、0.5ppm未満のセレン、1ppm未満の臭素、1ppm未満のルビジウム、1.5ppm未満のストロンチウム、2ppm未満のイットリウム、3ppm未満のジルコニウム、2ppm未満のニオビウム、4ppm未満のモリブデン、4ppm未満のテクネチウム、7ppm未満のルビジウム、6ppm未満のロジウム、6ppm未満のパラジウム、9ppm未満の銀、6ppm未満のカドミウム、6ppm未満のインジウム、5ppm未満のスズ、6ppm未満のアンチモン、6ppm未満のテルリウム、5ppm未満のヨウ素、4ppm未満のセシウム、4ppm未満のバリウム、3ppm未満のランタン、3ppm未満のセリウム、2ppm未満のプラセオジウム、2ppm未満のネオジミウム、1.5ppm未満のプロメチウム、1ppm未満のサマリウム、1ppm未満のユーロピウム、1ppm未満のガドリニウム、1ppm未満のテルビウム、1ppm未満のジスプロシウム、1ppm未満のホルミウム、1ppm未満のエルビウム、1ppm未満のツリウム、1ppm未満のイッテルビウム、1ppm未満のルテニウム、1ppm未満のハフニウム、1ppm未満のタンタル、1ppm未満のタングステン、1.5ppm未満のレニウム、1ppm未満のオスミウム、1ppm未満のイリジウム、1ppm未満のプラチナ、1ppm未満の銀、1ppm未満の水銀、1ppm未満のタリウム、1ppm未満の鉛、1.5ppm未満のビスマス、2ppm未満のトリウム、または4ppm未満のウラニウムを含有する。
【0110】
ある具体的な実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、40ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、5ppm未満の亜鉛を含有する。
【0111】
別の具体的な実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、50ppm未満のナトリウム、100ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロムおよび2ppm未満の亜鉛を含有する。
【0112】
別の具体的な実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロムおよび1ppm未満の亜鉛を含有する。
【0113】
別の具体的な実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロム、および1ppm未満のマンガンを含有する。
【0114】
開示される方法は、高い比表面積を有する超高純度のポリマーゲルを生成する。理論にとらわれることなく、超高純度のポリマーゲルの表面積は、少なくともその一部が、超高純度の合成アモルファス炭素材料における所望の表面積特性の形成に寄与すると考えられている。表面積は、当業者に既知のBET技術を用いて測定できる。本明細書において記載される任意の態様における1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは少なくとも150m/g、少なくとも250m/g、少なくとも400m/g、少なくとも500m/g、少なくとも600m/g、または少なくとも700m/gのBET比表面積を有する。
【0115】
1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、100m/g、〜1000m/g、の間のBET比表面積を有する。あるいは、超高純度のポリマーゲルは、150m/g〜700m/gの間のBET比表面積を有する。あるいは、超高純度のポリマーゲルは、400m/g〜700m/gの間のBET比表面積を有する。
【0116】
1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、0.10g/cc〜0.60g/ccのタップ密度を有する。1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、0.15g/cc〜0.25g/ccのタップ密度を有する。本開示における1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、少なくとも150m/gのBET比表面積と、0.60g/cc未満のタップ密度を有する。あるいは、超高純度のポリマーゲルは、少なくとも250m/gのBET比表面積と、0.4g/cc未満のタップ密度を有する。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、少なくとも500m/gの比表面積と0.30g/cc未満のタップ密度を有する。
【0117】
本明細書において開示される態様または変形例における別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、15%未満、13%未満、10%未満、5%未満または1%未満の残留水含有量を有する。
【0118】
1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、総細孔容積の少なくとも50%、総細孔容積の少なくとも75%、総細孔容積の少なくとも90%、または総細孔容積の少なくとも99%を構成する、100nm以下の細孔による部分細孔容積を有する。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、総細孔容積の少なくとも50%、総細孔容積の少なくとも75%、総細孔容積の少なくとも90%、または総細孔容積の少なくとも99%を構成する、20nm以下の細孔による部分細孔容積を示す。
【0119】
1実施態様において、超高純度のポリマーゲルにおける100nm以下の細孔による部分細孔表面積が、総細孔表面積の少なくとも50%、総細孔表面積の少なくとも75%、総細孔表面積の少なくとも90%、総細孔表面積の少なくとも99%を構成する。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルにおける20nm以下の細孔の部分細孔表面積が、総細孔表面積の少なくとも50%、総細孔表面積の少なくとも75%、総細孔表面積の少なくとも90%、総細孔表面積の少なくとも99%を構成する。
【0120】
超高純度のポリマーゲルは、触媒条件下、適当な溶媒系を用いて1種以上のポリマー前駆物質を重合させることにより調製できる。すなわち、1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、1種以上の混和性溶媒と、1種以上のフェノール系化合物、1種以上のアルデヒドおよび1種以上の触媒を混合させることにより調製される。例えば、更なる実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、水、酢酸、レソルシノール、ホルムアルデヒドおよび酢酸アンモニウムを混合させることにより調製される。超高純度のポリマーゲルの調製は、以下により詳細が説明される。
【0121】
2.超高純度の合成炭素材料
上述のように、本発明は、超高純度(すなわち、総PIXE不純物が500ppm未満である)の合成炭素材料をもたらす。ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料はアモルファスである。理論にとらわれることを望まないが、炭素材料の純度と性能はその調製方法の関数であり、調製パラメーターを変化させることは、異なる性質を示す炭素材料を生成させると考えられる。したがって、ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、熱分解され乾燥された超高純度のポリマーゲル、例えば、熱分解された超高純度のポリマークリオゲル、熱分解された超高純度のポリマーキセロゲル、または熱分解された超高純度のポリマーエアロゲルである。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、活性化される(すなわち、超高純度の活性化された合成炭素材料である)。例えば、更なる実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、活性化され乾燥されたた超高純度のポリマーゲル、活性化された超高純度のポリマークリオゲル、活性化された超高純度のポリマーキセロゲルまたは活性化されたポリマーエアロゲルである。
【0122】
超高純度の合成炭素材料および超高純度の合成アモルファス炭素材料は、少ない総PIXE不純物を含有する。従って、ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中の総PIXE不純物含有量は、プロトン励起X線分析によって測定されたとき、1000ppm未満である。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中の総PIXE不純物含有量は、800ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満である。前述の更なる実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、熱分解され乾燥された超高純度のポリマーゲル、熱分解された超高純度のポリマークリオゲル、熱分解された超高純度のポリマーキセロゲル、熱分解された超高純度のポリマーエアロゲル、活性化され乾燥させた超高純度のポリマーゲル、活性化された超高純度のポリマークリオゲル、活性化された超高純度のポリマーキセロゲル、または活性化された超高純度のポリマーエアロゲルである。
【0123】
少ないPIXE不純物含有量に加えて、開示された炭素材料は、高い総炭素含有量を有する。炭素に加えて、超高純度の合成炭素材料および超高純度の合成アモルファス炭素材料は、酸素、水素および窒素を含有してもよい。ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、重量/重量に基づき、少なくとも85%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも95%の炭素、少なくとも96%の炭素、少なくとも97%の炭素、少なくとも98%の炭素、または少なくとも99%の炭素を含有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、重量/重量に基づき、10%未満の酸素、5%未満の酸素、3.0%未満の酸素、2.5%未満の酸素、1%未満の酸素、または0.5%未満の酸素を含有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、重量/重量に基づき、10%未満の水素、5%未満の水素、2.5%未満の水素、1%未満の水素、0.5%未満の水素、0.1%未満の水素を含有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、重量/重量に基づき、5%未満の窒素、2.5%未満の窒素、1%未満の窒素、0.5%未満の窒素、0.25%未満の窒素、または0.01%未満の窒素を含有する。開示された炭素材料の酸素、水素および窒素含有量は、燃焼分析によって定義される。燃焼分析によって元素組成を測定するための技術は、当業者において既知である。
【0124】
ある場合においては、炭素材料の総灰分は、炭素材料の電気化学的性能に影響を及ぼし得る。したがって、ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料の灰分は、0.1%〜0.001%の範囲であり、例えば、ある具体的な実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料の灰分は、0.1%未満、0.08%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満または0.001%未満である。
【0125】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、500ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.08%未満の灰分を有する。更なる実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、300ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.05%未満の灰分を有する。別の更なる実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、200ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.05%未満の灰分を有する。別の更なる実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、200ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.025%未満の灰分を有する。別の更なる実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、100ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.02%未満の灰分を有する。別の更なる実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、50ppm未満の総PIXE不純物含有量と、0.01%未満の灰分を有する。
【0126】
開示された炭素材料中に存在する個々のPIXE不純物の量は、プロトン励起X線分析によって測定できる。個々のPIXE不純物は、開示された炭素材料の電気化学的性能全体に亘り様々な方法で影響を及ぼし得る。したがって、ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在するナトリウム濃度は、1000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在するマグネシウム濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在するアルミニウム濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在するケイ素濃度は、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在する亜リン酸濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在する硫黄の濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、30ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在する塩素濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在するカリウム濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在するカルシウム濃度は、100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在するクロム濃度は、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満または1ppm未満である。ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在する鉄濃度は、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満または1ppm未満である。別の実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在するニッケル濃度は、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満または1ppm未満である。別の実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在する銅濃度は、140ppm未満、100ppm未満、40ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満または1ppm未満である。別の実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在する亜鉛濃度は、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、2ppm未満または1ppm未満である。別の実施態様においては、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、亜リン酸、硫黄、塩素、カリウム、カルシウム、クロム、鉄、ニッケル、銅および亜鉛を除く、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料中に存在するすべてのPIXE不純物の合計は、1000ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、または1ppm未満である。上述のように、ある実施態様において、他の不純物、例えば水素、酸素および/または窒素は、10%未満から0.01%未満の濃度範囲で存在できる。
【0127】
ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、プロトン励起X線分析の検出限界付近またはそれ以下のPIXE不純物を含有する。例えば、ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、15ppm未満のマグネシウム、10ppm未満のアルミニウム、8ppm未満のケイ素、4ppm未満の亜リン酸、3ppm未満の硫黄、3ppm未満の塩素、2ppm未満のカリウム、3ppm未満のカルシウム、2ppm未満のスカンジウム、1ppm未満のチタニウム、1ppm未満のバナジウム、0.5ppm未満のクロム、0.5ppm未満のマンガン、0.5ppm未満の鉄、0.25ppm未満のコバルト、0.25ppm未満のニッケル、0.25ppm未満の銅、0.5ppm未満の亜鉛、0.5ppm未満のガリウム、0.5ppm未満のゲルマニウム、0.5ppm未満のヒ素、0.5ppm未満のセレン、1ppm未満の臭素、1ppm未満のルビジウム、1.5ppm未満のストロンチウム、2ppm未満のイットリウム、3ppm未満のジルコニウム、2ppm未満のニオビウム、4ppm未満のモリブデン、4ppm未満のテクネチウム、7ppm未満のルビジウム、6ppm未満のロジウム、6ppm未満のパラジウム、9ppm未満の銀、6ppm未満のカドミウム、6ppm未満のインジウム、5ppm未満のスズ、6ppm未満のアンチモン、6ppm未満のテルリウム、5ppm未満のヨウ素、4ppm未満のセシウム、4ppm未満のバリウム、3ppm未満のランタン、3ppm未満のセリウム、2ppm未満のプラセオジウム、2ppm未満のネオジミウム、1.5ppm未満のプロメチウム、1ppm未満のサマリウム、1ppm未満のユーロピウム、1ppm未満のガドリニウム、1ppm未満のテルビウム、1ppm未満のジスプロシウム、1ppm未満のホルミウム、1ppm未満のエルビウム、1ppm未満のツリウム、1ppm未満のイッテルビウム、1ppm未満のルテニウム、1ppm未満のハフニウム、1ppm未満のタンタル、1ppm未満のタングステン、1.5ppm未満のレニウム、1ppm未満のオスミウム、1ppm未満のイリジウム、1ppm未満のプラチナ、1ppm未満の銀、1ppm未満の水銀、1ppm未満のタリウム、1ppm未満の鉛、1.5ppm未満のビスマス、2ppm未満のトリウム、または4ppm未満のウラニウムを含有する。
【0128】
ある具体的な実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、プロトン励起X線分析によって測定したとき、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、5ppm未満の亜鉛を含有する。別の具体的な実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、30ppm未満の硫黄、100ppm未満のケイ素、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロムおよび2ppm未満の亜鉛を含有する。
【0129】
別の具体的な実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロムおよび1ppm未満の亜鉛を含有する。
【0130】
別の具体的な実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロム、および1ppm未満のマンガンを含有する。
【0131】
開示された炭素材料は、高い表面積を有する。理論に拘束されることを望まないが、このような高い表面積は、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するデバイスから得られる高いエネルギー密度に起因する。したがって、ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、少なくとも1000m/g、少なくとも1500m/g、少なくとも2000m/g、少なくとも2400m/g、少なくとも2500m/g、少なくとも2750m/gまたは少なくとも3000m/gのBET比表面積を有する。例えば、上記のある実施態様により、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料がもたらされる。
【0132】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、0.2〜0.6g/cc、0.3〜0.5g/cc、0.4〜0.5g/ccのタップ密度を有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、少なくとも0.5cm/g、少なくとも0.7cm/g、少なくとも0.75cm/g、少なくとも0.9cm/g、少なくとも1.0cm/g、少なくとも1.1cm/g、少なくとも1.2cm/g、少なくとも1.3cm/g、少なくとも1.4cm/g、少なくとも1.5cm/g、または少なくとも1.6cm/gの総細孔容積を有する。
【0133】
開示された炭素材料の細孔寸法分布は、合成アモルファス炭素材料の電気化学性能に影響を及ぼし得る1パラメーターである。例えば、適応する具体的な電解質イオンに対してサイズ調整された細孔を含有する炭素材料は、EDLCデバイスにおいて特に有用である。例えば、短い有効長(すなわち、TEMによって測定したとき、10nm未満、5nm未満、または3nm未満)を有するメソ細孔を含有する炭素材料は、イオン輸送および最大出力を向上させるのに有用である。したがって、1実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、総細孔容積の少なくとも50%、総細孔容積の少なくとも75%、総細孔容積の少なくとも90%、または総細孔容積の少なくとも99%を構成する、100nm以下の細孔の部分細孔容積を有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、総細孔容積の少なくとも50%、総細孔容積の少なくとも75%、総細孔容積の少なくとも90%、または総細孔容積の少なくとも99%を構成する、20nm以下の細孔の部分細孔容積を有する。
【0134】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、総細孔表面積の少なくとも50%、総細孔表面積の少なくとも75%、総細孔表面積の少なくとも90%、総細孔表面積の少なくとも99%を構成する、100nm以下の細孔の部分細孔表面積を有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、総細孔表面積の少なくとも50%、総細孔表面積の少なくとも75%、総細孔表面積の少なくとも90%、総細孔表面積の少なくとも99%を構成する、20nm以下の細孔の部分細孔表面積を有する。
【0135】
本開示による別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、本明細書において開示される方法により調製され、例えば、ある実施態様においては、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、本明細書において開示されるような、熱分解され乾燥された超高純度のポリマーゲルを含む方法により調製される。ある実施態様において、熱分解された超高純度のポリマーゲルは更に活性化され、超高純度の合成活性炭材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料が得られる。開示される炭素材料を調製する方法は、より詳細に以下に説明される。
【0136】
B.超高純度の合成アモルファス炭素材料の調製
1実施態様において、新規な、超高純度のポリマーゲルを調製する方法が提供される。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料を調製する方法が提供され、例えば、ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料は、超高純度の合成アモルファス炭素材料である。このような超高純度のポリマーゲルと超高純度の合成炭素材料は、以前に報告された方法によって得ることはできない。更なる実施態様においては、超高純度の合成活性炭材料を調製する方法、例えば、活性化された超高純度の合成アモルファス炭素材料が提供される。開示される方法における種々の実施態様における様々な工程パラメーターの詳細は、以下に記載される。
【0137】
1.超高純度のポリマーゲルの調製
超高純度のポリマーゲルは、ゾルゲル法によって調製できる。例えば、超高純度のポリマーゲルは、適当な溶媒中で1種以上のポリマー前駆物質を共重合させることにより調製できる。1実施態様において、1種以上のポリマー前駆物質は、酸性条件下にて共重合される。ある実施態様においては、第1ポリマー前駆物質は、フェノール系化合物であり、第2ポリマー前駆物質は、アルデヒド化合物である。1実施態様において、本発明による方法におけるフェノール系化合物は、レソルシノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノール、フェノールまたはそれらの組合せであり;アルデヒド化合物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、またはそれらの組合せである。更なる実施態様において、フェノール系化合物はレソルシノール、フェノールまたはそれらの組合せであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。更なる実施態様において、フェノール系化合物は、レソルシノールであり、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドである。
【0138】
ゾルゲル重合法は、一般に、触媒条件下で行われる。したがって、ある実施態様において、超高純度のポリマーゲルを調製することは、触媒の存在下において1種以上のポリマー前駆物質を共重合させることを含む。ある実施態様において、触媒は、揮発性の塩基性触媒を含有する。例えば、1実施態様において、揮発性の塩基性触媒は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウムまたはそれらの組合せを含む。更なる実施態様において、揮発性の塩基性触媒は、炭酸アンモニウムである。別の更なる実施態様において、揮発性の塩基性触媒は酢酸アンモニウムである。
【0139】
フェノール系化合物に対する触媒のモル比は、超高純度のポリマーゲルの最終的な性質、および超高純度の合成炭素材料(例えば、それらから調製される超高純度の合成アモルファス炭素材料)の最終的な性質に影響を及ぼし得る。したがって、ある実施態様においては、このような触媒は、フェノール系化合物:触媒が10:1〜2000:1のモル比の範囲となる範囲で使用される。ある実施態様において、このような触媒は、フェノール系化合物:触媒が20:1〜200:1のモル比となる範囲で使用できる。例えば、別の実施態様において、このような触媒は、フェノール系化合物:触媒が25:1〜100:1のモル比となる範囲で使用できる。
【0140】
反応溶媒は、超高純度のポリマーゲルおよび超高純度の合成アモルファス炭素材料について所望の性質を得られるように変化する、別の反応パラメーターである。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲルを調製するための溶媒は、水と、混和性の共溶媒との混合溶媒系である。例えば、ある実施態様において、溶媒は、水と、混和性の酸とを含有する。水混和性の酸の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない;プロピオン酸、酢酸、ギ酸。更なる実施態様において、溶媒は、水に対する水混和性酸の比が99:1、90:10、75:25、50:50、25:75、10:90または1:90となるようにこれらを含有する。別の実施態様において、酸性度は、反応溶媒に対して固体酸を添加することによってもたらされる。
【0141】
前述の別のある実施態様において、超高純度のポリマーゲルを調製するための溶媒は、酸性である。例えば、ある実施態様において、溶媒は酢酸を含有する。例えば、1実施態様において、溶媒は100%酢酸である。別の実施態様において、混合された溶媒系が提供され、この場合において、溶媒のうちの1種は酸性である。例えば、方法における1実施態様において、溶媒は、酢酸と水とを含有する二元溶媒である。更なる実施態様において、溶媒は、水に対する酢酸の比が99:1、90:10、75:25、50:50、25:75、10:90または1:90となるようにこれらを含有する。別の実施態様において、酸性度は、反応溶媒に対して固体酸を添加することによりもたらされる。
【0142】
開示された方法における、ある実施態様は、凍結乾燥の前に溶媒交換工程(例えば、水とt-ブタノールを交換する工程)を含まない。例えば、本明細書において開示される方法における1実施態様において、凍結の前に、超高純度のポリマーゲルまたは超高純度のポリマーゲル粒子を水で洗浄する。1実施態様において、凍結前の該超高純度のポリマーゲル粒子の平均粒径は、25mm未満、例えば、0.001mm〜25mmの間、あるいは、凍結前の該超高純度のポリマーゲル粒子の平均粒径は、0.01mm〜15mm、例えば、1.0mm〜15mmである。ある実施態様において、超高純度のポリマーゲル粒子は、1mm〜10mmである。更なる実施態様において、超高純度のポリマーゲル粒子は、約−10℃以下、例えば、約−20℃以下、または約−30℃以下の温度を有する媒体中に浸漬させることにより凍結される。例えば、媒体は、液体窒素、またはドライアイス状態のエタノール(もしくは他の有機溶媒)もしくは他の手段により冷却したエタノールであってもよい。ある実施態様において、真空下での乾燥は、約1400mTorrの真空圧へ凍結粒子を曝すことを含む。
【0143】
超高純度のポリマーゲル粒子を急速に凍結させるための他の方法も想定される。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、超高純度のポリマーゲル粒子と適当な冷却固体、例えば、ドライアイス(固体の二酸化炭素)と共に混合させること、または物理的に混合させることにより急速に凍結される。別の方法は、−60℃の金属板を備える噴射冷凍機を使用し、その表面に散在する超高純度のポリマーゲル粒子から熱を急速に除去する。超高純度のポリマーゲル粒子中の水を急速に冷却する第3の方法は、極めて急速に高真空を引くことにより、粒子を急速に凍結させることである(真空度は、平衡蒸気圧に対応する温度が凍結を可能とする真空度である)。急速凍結の別の方法は、超高純度のポリマーゲルと適当な冷却ガスを混合させることである。ある実施態様において、冷却ガスは−10℃以下の温度を有し得る。ある実施態様において、冷却ガスは−20℃以下の温度を有し得る。ある実施態様において、冷却ガスは−30℃以下の温度を有し得る。別の実施態様において、ガスは、約−196℃の温度を有し得る。例えば、ある実施態様においては、ガスは窒素である。
【0144】
別の実施態様において、超高純度のポリマーゲル粒子は、−20℃以下の温度で凍結乾燥機を用いて凍結される。例えば、ある実施対応においては、超高純度のポリマーゲル粒子は、−30℃以下の温度で凍結乾燥機を用いて凍結される。別の実施態様において、超高純度のポリマーゲルモノリスは、凍結融解サイクル(室温〜−20℃以下、次いで、室温まで戻す)へ付され、凍結融解されたゲルを物理的に破砕して粒子を調製し、次いで、更なる凍結乾燥工程に付される。例えば、ある実施態様において、超高純度のポリマーゲルモノリスは、凍結融解サイクル(室温〜−30℃以下、次いで、室温まで戻す)へ付され、凍結融解されたゲルを物理的に破砕して粒子を調製し、次いで、更なる凍結乾燥工程に付される。
【0145】
本明細書において記載される方法のある実施態様において、触媒に対するフェノール系前駆物質のモル比は、約10:1〜約2000:1または、触媒に対するフェノール系前駆物質のモル比は、約20:1〜約200:1である。更なる実施態様において、触媒に対するフェノール系前駆物質のモル比は、約25:1〜約100:1である。更なる実施態様において、触媒に対するフェノール系前駆物質のモル比は、約25:1〜約50:1である。更なる実施態様において、触媒に対するフェノール系前駆物質のモル比は、約100:1〜約50:1である。
【0146】
ポリマー前駆物質の1つがレソルシノールであり、別のポリマー前駆物質がホルムアルデヒドである具体的な実施態様において、触媒に対するレソルシノールの比は、得られる超高純度のポリマーゲルと超高純度の合成アモルファス炭素材料が所望の性質を有するように変化できる。ここで記載された方法のある実施態様において、触媒に対するレソルシノールのモル比は、約10:1〜約2000:1、または触媒に対するレソルシノールのモル比が約20:1〜約200:1である。更なる実施態様において、触媒に対するレソルシノールのモル比は、約25:1〜約100:1である。更なる実施態様において、触媒に対するレソルシノールのモル比は、約25:1〜約50:1である。更なる実施態様において、触媒に対するレソルシノールのモル比は、約100:1〜約50:1である。
【0147】
超高純度のポリマーゲルを生成する重合は、先行技術において開示される種々の方法により行うことができる。例えば、一定期間、適当な触媒の存在下にて、適当なポリマー前駆物質をインキュベートすることにより重合を行うことができる。重合時間は、温度に応じて(より高温の場合反応速度はより速く、それに応じて要求される時間も短くなる)、分もしくは時間から数日の範囲であってもよい。重合温度は、室温から出発溶液の沸点に到達する温度(ただし、それよりも低い温度)まで変化できる。例えば、温度は、約20℃から約90℃まで変化できる。ポリマー前駆物質の1つがレソルシノールであり、ポリマー前駆物質の1つがホルムアルデヒドである具体的な実施態様において、温度は、約20℃から約100℃、典型的に約25℃〜約90℃の範囲である。ある実施態様においては、重合は、約90℃にて、少なくとも24時間、触媒の存在下、適当な合成ポリマー前駆物質をインキュベーションすることにより行なうことができる。一般に、重合は、約90℃にて約6〜約24時間、例えば、約90℃にて約18〜約20時間にて行うことができる。
【0148】
ここに記載されるポリマー前駆物質には、アルコール、フェノール系化合物、および他の一価アルコールもしくは多価アルコール化合物およびアルデヒド、ケトンおよびそれらの組合せが含まれる。これに関連する代表的なアルコールには、直鎖または分枝、飽和又は不飽和のアルコールが含まれる。適当なフェノール系化合物には、ポリヒドロキシベンゼン、例えばジヒドロキシベンゼンまたはトリヒドロキシベンゼンなどが含まれる。代表的なポリヒドロキシベンゼンには、レソルシノール(すなわち、1,3-ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノンおよびフルオログルシノールが含まれる。2種以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物も使用できる。フェノール(モノヒドロキシベンゼン)も使用できる。代表的なポリヒドロキシ化合物には、糖類(例えば、グルコースなど)および他のポリオール(例えば、マンニトールなど)が含まれる。これに関連するアルデヒドには以下のものが含まれる:直鎖状の飽和アルデヒド、例えばメタナル(ホルムアルデヒド)、エタナル(アセトアルデヒド)、プロパナル(プロピオンアルデヒド)、ブタナル(ブチルアルデヒド)など;直鎖状の不飽和アルデヒド、例えば、エテノンおよび他のケテン、2-プロペナル(アクリルアルデヒド)、2-ブテナル(クロトンアルデヒド)、3ブテナルなど;分枝した、飽和および不飽和のアルデヒド;および芳香族型のアルデヒド、例えばベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヒドロシンナムアルデヒドなど。適当なケトンには以下のものが含まれる:直鎖状の飽和ケトン、例えばプロパンおよび2ブタノンなど;直鎖状の飽和ケトン、例えばプロペノン、2ブテノンおよび3-ブテノン(メチルビニルケトン)など;分枝した飽和および不飽和ケトン;および芳香族型ケトン、例えば、メチルベンジルケトン(フェニルアセトン)、エチルベンジルケトンなど。超高純度のポリマー前駆物質は、上述の前駆物質の組合せであってもよい。
【0149】
ある実施態様において、ポリマー前駆物質の1つはアルコール含有種であり、別のポリマー前駆物質はカルボニル含有種である。カルボニル含有種(例えば、アルデヒド、ケトンまたはそれらの組合せ)と反応させるアルコール含有種(例えば、アルコール、フェノール系化合物およびモノ-またはポリ-ヒドロキシ化合物、またはそれらの混合物)の相対量は大きく変化できる。ある実施態様において、アルデヒドに対するアルコール含有種の割合は、アルコール含有種における反応性アルコール基の総モル数が、アルデヒド種における反応性カルボニル基の総モル数とほぼ同じになるように選択される。同様に、ケトン種に対するアルコール含有種の割合は、アルコール含有種における反応性アルコール基の総モル数が、ケトン種における反応性カルボニル基の総モル数とほぼ同じになるように選択される。カルボニル含有種がアルデヒド種とケトン種の組み合せを含有する場合も同様に、一般的に1:1のモル比が当てはまる。
【0150】
超高純度のポリマーゲルを形成する前の水溶液における総固形分は、変化できる。水に対するレソルシノールの重量比は、約0.05〜1から約0.70〜1である。あるいは、水に対するレソルシノールの割合は、約0.15〜1から約0.6〜1である。あるいは、水に対するレソルシノールの割合は、約0.15〜1から約0.35〜1である。あるいは、水に対するレソルシノールの割合は、約0.25〜1から約0.5〜1である。あるいは、水に対するレソルシノールの割合は、約0.3〜1から約0.4〜1である。
【0151】
ここで開示された超高純度のポリマーゲルを調製する場合に有用な溶媒の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:水、またはアルコール、例えば、エタノール、t-ブタノール、メタノールまたはこれらの混合物、所望により更なる水を含有するアルコールなど。このような溶媒は、ポリマー前駆物質の溶解、例えばフェノール性化合物の溶解に有用である。さらに、ある工程において、このような溶媒は、凍結および乾燥の前に、超高純度のポリマーゲル中の溶媒を交換するために使用され、この場合、前駆物質(例えば、レソルシノールおよびホルムアルデヒド)の超高純度重合における溶媒は、純粋なアルコールと交換される。本出願における1実施態様において、超高純度のポリマーゲルは、溶媒交換を含まない方法により調製される。
【0152】
超高純度のポリマーゲルの調製に適当な触媒には、前駆物質を超高純度のモノリシックポリマーへ変換させる重合を促進させる揮発性の塩基性触媒が含まれる。触媒は、上述の触媒の種々の組合せを含有する。フェノール性化合物を含有する実施態様において、このような触媒は、フェノール性化合物:触媒が20:1〜200:1のモル比となる範囲で使用される。例えば、具体的な実施態様において、このような触媒は、フェノール性化合物:触媒が25:1〜100:1のモル比となる範囲で使用できる。
【0153】
超高純度のポリマーゲル粒子の生成
超高純度のモノリシックポリマーゲルを、物理的に破砕し、当業者において既知の様々な方法に従い、より小さなポリマーゲルを生成する。一般に、得られる超高純度のポリマーゲル粒子は、約30mm未満の平均粒径を有し、例えば、該粒径の範囲は、約1mm〜25mm、または約1mm〜約5mmまたは約0.5mm〜約10mmである。あるいは、超高純度のポリマーゲル粒子の寸法は、約1mm以下の範囲、例えば、約10〜1000ミクロンの範囲の寸法であってもよい。モノリシック材料から超高純度のポリマーゲル粒子を生成する技術には、手動または機械による破砕法、例えば、ふるい、粉砕、製粉またはそれらの組合せが含まれる。このような方法は、当業者において既知である。このことに関連して、様々な種類の研磨機、例えば、ローラー、ビーズおよびボールミル、および回転式粉砕機、ならびに当業者に既知の同様な粒子生成装置などを使用できる。
【0154】
具体的な実施態様において、ローラーミルが使用される。ローラーミルは、ゲル粒子の寸法を徐々に減少させる3つの段階を有する。一般に、超高純度のポリマーゲルは、湿潤材料に対して極めて脆く、接触するのに湿気を帯びない。
【0155】
しかしながら、その結果として、この方法を用いてそれらは容易に破砕され、各工程の幅を適切に調整して、対象とされる最終的なメッシュをもたらす。ゲル処方およびメッシュサイズの各組合せに対して、この調整が行われ有効にされる。各ゲルは、既知のメッシュサイズのふるいを介して破砕される。ふるいにかけた粒子は、密閉容器中に一時的に貯蔵される。
【0156】
1実施態様において、回転式粉砕機が使用される。回転式粉砕器は、約1/8インチのスクリーンメッシュサイズを有する。別の実施態様において、回転式粉砕器は、約3/8インチのスクリーンメッシュサイズを有する。別の実施態様において、回転式粉砕器は、約5/8インチのスクリーンメッシュサイズを有する。別の実施態様において、回転式粉砕器は、約3/8インチのスクリーンメッシュサイズを有する。
【0157】
破分は、当業者に既知の方法に従い、室温で行われる。あるいは、破分は、低温で行われ、例えば、超高純度のポリマーゲルと固体の二酸化炭素(ドライアイス)粒子とを共に破砕することにより行われる。この実施態様において、(a)超高純度のモノリシックポリマーゲルから粒子を生成すること、および(b)超高純度のポリマーゲルを急速に多角的に凍結させることの2つの工程は、単一の工程で行われる。
【0158】
3.超高純度のポリマーゲルの急速な凍結
超高純度のモノリシックポリマーゲルから超高純度のポリマーゲル粒子を生成させた後、より詳細に上述されたように多角的なやり方で、超高純度のポリマーゲル粒子の凍結が急速に行われる。例えば、凍結乾燥機中で棚を用いて凍結させる、単方向性な方法および徐々に凍結することは、本明細書の実施例において明らかにされるように、極めて小さい表面積を有する乾燥材料を生じさせる。同様に、急速な凍結(すなわち、強く真空を引くことにより超高純度のポリマーゲルを急速に冷却することにより行われる凍結)も、小さい表面積を有する乾燥材料を生じさせる。ここに開示されるように、多角的な方法で急速に凍結することは、材料温度を少なくとも約−10℃以下、例えば約−20℃以下、または例えば少なくとも約−30℃以下へ急速に低下させることにより行うことができる。超高純度のポリマーゲル粒子の急速な凍結は、氷の結晶の幅広い核生成に起因して、粒子内において微細な氷の結晶構造を生成させるが、氷の結晶成長にほとんど時間を要しない。このことは、氷の結晶と、氷のマトリックスから必ず除外される炭化水素マトリックスとの間で高い比表面積をもたらす。
【0159】
結晶成長よりも核生成を促進する、非常に速い凍結の概念は、混合された溶媒系に適用される。混合された溶媒系が急速に冷却されるような1実施態様において、共溶媒の濃度が増加し、それに伴い氷点が低下するにつれ、主たる溶媒成分は、その平衡融点にて結晶化を変化させ得る。温度がより低くなるにつれて、完全な凍結がもたらされるまで、成分の濃縮と生成物の冷却をさらに生じることなく、共晶組成が液体から固体へ変化する点に共晶組成が到達するまで、主たる溶媒の結晶化が促進され共溶媒の濃度が上昇する。水と酢酸(純粋な物質は、それぞれ、0℃と17℃の氷点を有する)の具体例の場合、共晶組成は、約59%の酢酸と41%の水から構成され、約−27℃で凍結する。したがって、1実施態様において、混合された溶媒系は共晶組成であり、たとえば、ある実施態様において、混合された溶媒系は59%の酢酸と41%の水を含有する。
【0160】
4.超高純度のポリマーゲルの乾燥
1実施態様において、微細な氷マトリックスを含有し、凍結された超高純度のポリマーゲル粒子は、材料の崩壊を防ぐと共に、乾燥された生成物において微細な表面構造と空隙率を維持するように設定された条件下で、凍結乾燥される。凍結乾燥の条件の詳細は、ここで提供される。一般に、生成物の細孔の崩壊を生じさせる温度よりも低く保持された条件下で、乾燥は行われるので、乾燥された材料は極めて高い表面積を保つことができる。
【0161】
乾燥された生成物において極めて高い表面積を有することの1利点は、キャパシタ、エネルギー貯蔵デバイス、および他のエネルギー関連装置を製造するための、超高純度のポリマーゲルの実用性が改良されることである。超高純度のポリマーゲルの様々な用途は、細孔サイズ分布(例えば、様々な程度のマイクロ細孔容積、メソ細孔容積、表面積および細孔サイズなど)において変化を要する。超高純度のポリマーゲルの様々な工程パラメーターを調整することにより、高い細孔容積は、所望の用途に応じる多種多様な細孔サイズに到達できる。
【0162】
最終的な炭素材料の構造は、超高純度の乾燥されたポリマーゲルの構造を反映し、同様に、該ポリマーゲルは、超高純度のポリマーゲル性能によって定められる。これらの特性は、本明細書において開示されるようなゾルゲル処理法を用いる超高純度のポリマーゲルによりもたらすことができるが、溶媒の除去を注意深く行わないと、構造は保存されない。超高純度のポリマーゲルの元の構造を保持し、凍結法における制御に基づく氷の結晶形成を用いてその構造を改質することは、共に興味深いことである。ある実施態様において、乾燥の前において、超高純度のポリマーゲルの水含有量は、約50%〜約99%の範囲である。ある実施態様において、乾燥時における超高純度のポリマークリオゲルの水含有量は、約10%未満であり、または約5%未満、あるいは約2.5%未満である。
【0163】
超高純度のポリマーヒドロゲルに関する示差走査熱量計(DSC)データは、−18℃にて大きな発熱減少を示す。これらのデータは、〜4nm径の細孔の内部における水の凍結と一致する。これらの発見によると、本出願に関して、極めて急速に凍結することは、単に急速凍結速度を定めるだけでなく、材料が少なくとも-18℃以下となるように温度を減少させることを意味する。
【0164】
また、DSCデータは、広大な温度上昇において、複合体の吸熱挙動は、約-13℃にて開始し、約-10℃に中間点を示す。約-2℃で温度遷移が生じ、最終的な溶融は約+1℃にて生じている。種々の事象は、様々な微細構造における溶融に対応する。データは、凍結状態において、微細な生成物構造の損失を避けるために、初期乾燥(例えば最初の乾燥)を行う間の生成物温度は、−13℃以下に維持されるべきであることを示唆する。例えば、最初の乾燥の間における熱伝達が、伝導よりもむしろ対流に支配される乾燥工程において、このことが成されるので、昇華する間の生成物温度は、チャンバー圧力との平衡にある氷の温度に一致し得る。
【0165】
約2250ミクロンの凍結乾燥機のチャンバー圧は、最初の乾燥温度において、約−10℃の乾燥生成物を生じさせる。約2250ミクロン以下のチャンバー圧での乾燥は、最初の乾燥の間、約-10℃よりも低い生成物温度をもたらす。更なる説明において、約1500ミクロンのチャンバー圧は、最初の乾燥温度において、約−15℃の乾燥生成物を生じさせる。約1500ミクロン以下のチャンバー圧での乾燥は、最初の乾燥の間、約-15℃よりも低い生成物温度をもたらす。更なる説明において、約750ミクロン以下のチャンバー圧は、最初の乾燥温度において、約-20℃よりも低い生成物温度をもたらす。さらなる説明において、約300ミクロン以下のチャンバー圧は、最初の乾燥温度において、約−30℃の乾燥生成物を生じさせる。約300ミクロン以下のチャンバー圧での乾燥は、最初の乾燥の間、約-30℃よりも低い生成物温度をもたらす。
【0166】
5.超高純度のポリマーゲルの熱分解と活性化
別の実施態様において、超高純度の合成活性炭材料(例えば、活性化された超高純度の合成アモルファス炭素材料)を調製するための方法が提供され、該方法は、ここで記載された、乾燥されたポリマーゲルの熱分解と活性化を含む。本開示における実施態様において、少なくとも1000m/g、少なくとも1500m/g、少なくとも2000m/g、少なくとも2400m/g、少なくとも2500m/g、または少なくとも3000m/gの比表面積を有する、超高純度の合成活性炭材料または活性化された超高純度の合成アモルファス炭素材料が提供される。
【0167】
一般に、熱分解工程において、乾燥された超高純度のポリマーゲルは、回転炉中に計量添加される。温度傾斜は1分当り約5℃に設定され、滞留時間と滞留温度も設定される。冷却は、加熱炉の自然な冷却速度によって決定される。通常、全工程は、不活性雰囲気下、例えば窒素環境下などで行われる。次いで、熱分解されたサンプルは除去され秤量される。別の熱分解法は当業者において既知である。
【0168】
ある実施態様において、熱分解の滞留時間(サンプルが所望の温度である間の時間)は、約0分から約120分、約0分から約60分、約0分から約30分、約0分から約10分、約0分から約5分、または約0分から約1分である。
【0169】
熱分解は、上記時間と比べて、よりゆっくりと行ってもよい。例えば、1実施態様において、熱分解は約120〜480分で行われる。別の実施態様において、熱分解は、約120分から240分で行われる。
【0170】
ある実施態様において、熱分解の滞留温度は、約650℃〜1800℃の範囲である。別の実施態様において、熱分解の滞留温度は、約700℃〜1200℃の範囲である。別の実施態様において、熱分解の滞留温度は、約850℃〜1050℃の範囲である。別の実施態様において、熱分解の滞留温度は、約800℃〜900℃の範囲である。
【0171】
ある実施態様において、熱分解の滞留温度は、熱分解が進行する間に変化する。1実施態様において、熱分解は、独立した異なる加熱域を備える回転炉中で行われ、各領域における温度は、回転炉チューブの入り口から出口に向かって連続的に減少する。ある実施態様において、熱分解は、独立した異なる加熱域を備える回転炉中で行われ、各領域における温度は、回転炉チューブの入り口から出口に向かって連続的に増加する。1実施態様においては、入り口末端の加熱領域は690℃に設定され、加熱領域の中間部は750℃に設定され、加熱領域の出口末端は850℃に設定される。
【0172】
活性化時間と活性化温度は、得られる活性化された炭素材料の性能と、それらの製造コストに大きな影響を及ぼす。活性化温度と活性化の滞留時間が増加するにつれ、活性化の程度がより高くなり、一般に、そのことは、より低い温度とより短い滞留時間の場合と比べて、より多くの材料除去に相当する。また、活性化温度は、炭素の細孔構造を変化させることができ、より低い温度はより微細孔な炭素を生じさせ、より高い温度はメソ細孔性を生じさせる。このことは、より高温で生じる活性化ガスの拡散律速反応と、より低温で生じる運動誘導反応(kinetic driven reactions)による反応の結果である。より高い活性化度は、最終的な活性化炭素の性能を増加させるが、生成物全体が減少することによりコストも上昇する。活性化の程度を改良することは、より低いコストでより高い性能の生成物を得ることに相当する。
【0173】
熱分解された超高純度のポリマーゲルは、熱分解された超高純度のポリマーゲルと活性化剤を接触させることにより活性化できる。活性化に関して、多くのガス、例えば、酸素を含有するガスが適当である。活性化ガスの非制限的な例には、二酸化炭素、一酸化炭素、上記および酸素が含まれる。活性化剤は、腐食性化学薬品、例えば、酸、塩基または塩など(例えば、リン酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化亜鉛など)を含有できる。他の活性化剤は当業者において既知である。
【0174】
ある実施態様において、活性化時間は1分〜48時間である。別の実施態様において、活性化時間は1分〜24時間である。別の実施態様において、活性化時間は5分〜24時間である。別の実施態様において、活性化時間は1時間〜24時間である。更なる実施態様において、活性化時間は12時間〜24時間である。別のある実施態様において、活性化時間は30分〜4時間である。更なる実施態様において、活性化時間は1時間から2時間である。
【0175】
一般に、活性化工程にいて、サンプルは秤量されて回転炉中に導入され、これに関して、自動化されたガス調節マニホールドは、毎分20℃の速度で昇温するように設定される。二酸化炭素は、適切な活性化温度に到達した時点における環境下にて、炉内へ導入される。活性化を生じさせた後、二酸化炭素は、窒素に置換えられ、炉は冷却される。サンプルは、工程の終わりで秤量され、活性化の程度を評価する。他の活性化法は当業者において既知である。ここに開示される幾つかの実施態様において、活性化温度は800℃〜1300℃の範囲であってもよい。別の実施態様において、活性化温度は800℃〜1050℃の範囲であってもよい。別の実施態様において、活性化温度は約850℃〜約950℃の範囲であってもよい。当業者は、より低いまたはより高い、他の活性化温度を採用できることを知っている。
【0176】
活性化の程度は、活性化工程中に損失される、熱分解され乾燥された超高純度のポリマーゲルの質量パーセントから測定される。ここで記載される方法の1実施態様において、活性化は、5%〜90%の活性化度、または10%〜80%の活性化度を有し、ある場合においては、活性化は、40%〜70%の活性化度、または45%〜65%の活性化を示す。
【0177】
高い表面積を有する超高純度の活性化された合成炭素材料を調製するための、ここで開示される方法において、超高純度のポリマーゲルは、熱分解され活性化された場合に、目標とされるメソ細孔とマイクロ細孔の混合状態を有する活性化された炭素材料を製造する炭素構造を、その超高純度のポリマー骨格内に含有すると共に、すでに高い多孔質である材料を製造するように設計される。目標とされるメソ細孔とマイクロ細孔の混合状態を適切に備える超高純度のポリマーゲルを調製するために、要求される活性化量は低減される。これによって、収率が改良され、コストを低減できる。また、中間体の性質(例えば、細孔サイズ)を調整する能力は、調整可能性を含んでおり、このことは、現存する炭素材料の熱分解法および過度の活性化法に関する常套法においては理解されていない。例えば、ここに記載されるような中間体について処理変数を制御することは、熱分解と活性化を調節する従来の方法よりも、最終的な炭素のナノ構造においてより大きな影響を及ぼす。
【0178】
ここで記載される活性化された炭素材料に対して期待される高い要求を満足するように、ここに記載されるような製造アプローチを拡大する能力について説明する。方法において3つの工程が確認できる:1)前駆物質から超高純度のポリマー材料を超高純度に重合する;2)凍結乾燥;および3)熱分解/活性化。1実施態様において、3つの現存する工業、例えば、接着剤およびエポキシを製造する特殊化学工業;凍結乾燥に関連する製薬および食品製造業;低級の活性化炭素の製造業のそれぞれにおいて使用される標準的な製造装置に合わせて、これらの各工程を拡張できる。
【0179】
最初のゾルにおける水のパーセンテージと触媒の量は、活性化された炭素材料の最終的な性能(例えば、ウルトラキャパシタにおいて使用される場合)に重要な影響を及ぼすことが示されている。多くの処理変数とこれらの変数間の相互作用は、工程の連続的な改良を可能にすると共に、最終的な炭素構造に対する幾つかの制御も可能にする。したがって、1実施態様において、本発明は、処理変数の改良も提供する。開示された改良は、従来は得ることが出来なかった方法で、最終的な炭素構造に対し影響を及ぼすことができる。
【0180】
当該技術分野において、処理変数を改良するのに最も一般的な方法は、1つの可変定数を除き全てを固定し、1つのパラメーターを変化させてその効果を決定することである。それに代わり、ここに記載されるように、統計的分析法、DFEプロのソフトウェア、および実験的なアプローチによる要因配置の組合せが、多数のパラメーターを体系的に変化させるのに使用されると共に、活性化された炭素材料を調整するのに最適化された方法を得ることに使用される。この方法を用いることにより、活性化された炭素材料の構造に関連する種々の測定基準(例えば、表面積、密度、細孔容積など)の範囲において、これらの変数各々についての影響を評価できる。超高純度の活性化された合成炭素材料がウルトラキャパシタにおいて使用される場合、更なる性能基準が評価される。例えば、キャパシタンス、密度および出力密度が評価され得る。
【0181】
C.超高純度のポリマーゲルと超高純度の合成炭素材料の特性評価
最終的な超高純度の合成活性炭材料、活性化された超高純度のアモルファス炭素材料、乾燥されたポリマーゲルおよび、熱分解されているが活性化されていない超高純度のポリマーゲルの構造特性は、当業者に既知の方法で、17Kにて、窒素吸着を用いて測定できる。生成した、超高純度の合成活性炭材料の最終的な性能と特徴は重要であるが、当業者において既知のように、特に品質管理の観点から、中間生成物(乾燥された超高純度のポリマーゲルと、熱分解されているが活性化されていない超高純度のポリマーゲル)も評価できる。0.35nm〜50nmの細孔サイズ分布を検出できる、マイクロメトリックスASAP2020が、マイクロ細孔とメソ細孔を詳細に分析するのに使用される。1nm以下の単位で細孔分布に関する分解能を示すことができる該装置は、10-7の圧力にて出発する窒素等温線を作成する。報告書を作成するソフトウェアは、密度関数理論(DFT)法を使用して、特性、例えば、細孔サイズ分布、表面積分布、総表面積、総細孔容積およびある細孔サイズ域内の細孔容積を算出する。
【0182】
ある実施態様において、熱分解された超高純度のポリマーゲルは、約100〜約1200m/gの表面積を有する。別の実施態様において、熱分解された超高純度のポリマーゲルは、約500〜約800m/gの表面積を有する。別の実施態様において、熱分解された超高純度のポリマーゲルは、約500〜約600m/gの表面積を有する。
【0183】
ある実施態様において、熱分解された超高純度のポリマーゲルは、約0.1〜約1.0cc/gのタップ密度を有する。別の実施態様において、熱分解された超高純度のポリマーゲルは、約0.3〜約0.6cc/gのタップ密度を有する。別の実施態様において、熱分解された超高純度のポリマーゲルは、約0.35〜約0.45cc/gのタップ密度を有する。
【0184】
D.超高純度のポリマーゲルの細孔サイズと他の特性の調整
特性が明確な合成前駆物質から合成された、本発明による超高純度の炭素材料は、天然源、例えば石炭、ピッチ、ココナツなどから生成される活性化炭素とは異なる。このことの一部は、それらが、マイクロ細孔構造とメソ細孔構造のいずれにおいても調整できること、および入念に事前設計されると共に処理制御が行われる化学反応に起因する。更に、ここに記載されるような超高純度の炭素材料は、与えられる用途(例えば、ウルトラキャパシタにおいて使用される場合、または他のエネルギー貯蔵デバイスに使用される場合)に対して最適化できる多孔質構造を含むことができる。炭素ナノ構造を調整する能力を備えると共に、常套の活性化炭素から得られる現在の性能データを超越する性能が得られる。重要な変数は、大きな表面積の形成、電解質塩拡散に関する短いミクロ細孔の形成、および無駄な細孔容積を最小にし、比容量を改良することを含む。
【0185】
処理変数の操作は、所望の用途に適合する性能を有する超高純度の活性化された炭素材料の製造を可能とする。したがって、1実施態様において、超高純度のポリマーゲル、乾燥された超高純度のポリマーゲル、熱分解された超高純度のポリマーゲルおよび超高純度の合成活性炭材料を調製するために処理変数を最適化する方法が提供される。処理パラメーターを最適化するための1方法は、実験戦略の設計を含む。この戦略を使用することにより、複数の処理変数(例えば、最大8変数)の影響は、比較的少ない実験で研究できる。実験の設計から得られるデータは、プロセス変数の処理に使用でき、超高純度のポリマーゲル、乾燥された超高純度のポリマーゲル、熱分解された超高純度のポリマーゲル、および活性化された超高純度のポリマークリオゲルにおける具体的な特性を得ることが出来る。例えば、ある実施態様において、所望の製品特性を得るために処理される処理パラメーターは、以下のものから選択される:レソルシノール/触媒比、レソルシノール/水比、凍結工程における細孔サイズ、急冷温度、熱分解時間、熱分解温度、活性化温度および活性化時間ならびにそれらの組合せ。
【0186】
ある実施態様において、電気化学的試験セルの設置は、テトラメチルアンモニウム(TMA)カチオンと共に使用される。テトラエチルアンモニウム(TEA)イオンは、0.69nmの直径を有するが、テトラメチルアンモニウムイオンは、僅か0.57nmの直径を有する。各カチオンは、直径が0.46nmであるテトラフルオロボラート(TFB)アニオンと組合される。これらの種々のイオンのサイズは、上述の範囲の細孔サイズを明らかにする。マイクロ細孔が短く、入り組んでいない限り、細孔は、細孔径よりも小さなイオンを収容できる。キャパシタンスとエネルギー密度を増加させる1方法は、炭素網目中における可能な限り多くの細孔内へイオンを付与することである。例えば、0.5nmよりも小さい細孔は、TFBアニオンを収容できるが、TEAまたはTMAカチオンは収容できない。0.5nm〜0.65nmの間の細孔はTMAカチオンを収容するが、TEAは収容しない。また、0.65nmよりも大きな細孔は、TEAイオンを収容し得る。この構想はイオンふるい理論を要約し、この場合において、炭素材料は、細孔サイズよりも小さなイオンのみを収容する、ふるいと考えられる。キャパシタンスの差の結果、TMATFB対TEATFB電解質を含有するセルの正極および負極上に発現したエネルギー密度は、ある細孔サイズ範囲内の細孔容積の重要性に関する見識をもたらす。
【0187】
処理変数の取扱いは、選択される電解質系に適合した細孔分布を示す、超高純度の合成活性炭の製造を可能とする。例えば、TEAイオンに適切な細孔サイズを中心とし、約0.8nmのマイクロ細孔ピークを有する、炭素アノードが調製できる。DFEプロソフトウェアの出力に基づき、過程の設定は、表面積と細孔容積を有する細孔に関して最も統計的に重要なこれらの変数に基づき選択され、第1性能マトリックスとして、0.7〜1.0nmの間に規定される。上で使用された設定の範囲内または上で規定された範囲外に位置するプロセス設定を外挿するのに、変数と「マルチ変数」「等高線」の相互作用が使用される。細孔サイズがこのタスクの要求を満足するために、目標とされる処理変数を決定した後、超高純度の合成活性炭のバッチ、例えば活性化された炭素クリオゲルなどは、これらの設定を基準に製造される。次いで、アノード材料は、0.7〜1.0nmの規定された範囲内に高い容積と表面積ピークが存在する細孔サイズ分布を有することを分析するために、ASAP2020と密度関数理論を用いて特性化される。
【0188】
同様に、異なる細孔サイズ範囲(0.6〜0.8nm)が、TMAカチオン用の細孔サイズを調整するための対象として使用される場合、ここで記載された同じ方法が使用される。さらに、この方法は、TFBアニオンに対応する0.6nm未満の細孔サイズ分布を有する炭素を調製することにも使用できる。
【0189】
アノード及びカソード中の炭素1グラムあたりに発現するキャパシタンスを変化させることは、アニオンとカチオンに対して調和した能力を備える、電荷平衡セルの調製を可能とする。この方法は、セル全体のエネルギー密度を改良する一方で、電解質のイオンに対して正確な寸法ではない細孔の形成に関連するコストを減少させる。
【0190】
さらに、ここに開示された方法によると、炭素は、無数の電解質イオンの対象となる細孔サイズ分布を有して、大量生産できる。ここに記載された細孔サイズの範囲は、検討された特定の系に対して選択されたものであるが、ここに開示される方法に従い他の範囲のものも調製できる。例えば、報告書を作成するソフトウェアASAP2020と、実験によるDFE Pro Designから抽出できるデータは、任意のサイズの細孔に適切な調整パラメーターを表示するよう変更できる。具体的なパラメーターはここでは開示されていないが、目標とされるピークの細孔サイズが生じるように調節することために、実験的な方法による要因設計が、当業者において可能である。
【0191】
これらの結果を分析することは、種々の見識をもたらす。既知の径の塩イオンを用いる最大キャパシタンスを研究するために、既知のマイクロ細孔サイズピークを備えるアノードまたはカソードの能力を調査することは、影響を及ぼすイオンの有効サイズの情報をもたらすと共に、どのような細孔サイズがそのようなイオンをふるいにかけるのかについて情報をもたらす。細孔容積データの使用と共に、ここで開示される系のキャパシタンスデータを使用することは、より大きなテトラエチルアンモニウムカチオン対より小さなテトラメチルアンモニウムカチオンまたはテトラフルオロボラートアニオンを用いるキャパシタンスを開発するのに必要とする最小細孔サイズの同定をもたらす。電極としての使用に関して対象となる炭素材料は、細孔が極めて小さすぎるので細孔壁の表面にイオンを電気吸着(electrosorb)させることができない場合、マイクロ細孔ピークが閾値のすぐ上にある系であり、同時に、その他の範囲における細孔容積も最小化させる。
【0192】
性能測定基準としての具体的な範囲における細孔容積と併用される場合に、実験的方法における要因計画は、そのような細孔サイズ領域における最大細孔容積への処理パラメーターの調節方法を提示する。
【0193】
電場が印加されていない時に、制約がない溶媒中で電解質イオンが遊離する場合、一般的にそれらは、それらの電荷に釣り合う働きをする溶媒イオンによって取り囲まれる。このことは、気孔の内部の強電場および狭いスペースにもかかわらず、ある程度に起こり得るものと予測される。各イオンは、溶媒和されたそれ自体を保持することを目的として異なる傾向を有するので、強い溶媒和のためにより大きな有効サイズを、弱い溶媒和のためにより小さな種々の有効サイズを有する。上述のイオンふるいに関する調査は、これらの塩を溶媒和させる程度を評価すると共に、どのようなサイズの細孔が適当であるかを評価する。
【0194】
上述のように、ナノ構造の炭素電極のエネルギー密度を最大化させる1方法は、該電極表面に電気吸着したイオンに対して丁度いいサイズの孔を製造することである。アニオンに最適な細孔サイズ分布を有する活性化された炭素と、カチオンに最適な細孔サイズ分布を有する活性化された別の炭素は、非対称セルに組み立てられ、他の方法で使用される対称セルのエネルギー密度を上回ることができると共に、キャパシタンスを上回ることができる。
【0195】
E.乾燥された超高純度のポリマーゲルと超高純度の合成炭素材料の使用
超高純度の合成炭素材料、例えば、超高純度の合成アモルファス炭素材料は、安定性と、高い表面積を有するマイクロ多孔質構造およびメソ多孔質構造を必要とするデバイスにおいて使用できる。開示される炭素材料に関する用途の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:エネルギー貯蔵および分配デバイス、ウルトラキャパシタ電極、擬似キャパシタ(pseudocapacitor)電極、電池電極、鉛酸電池電極、リチウム-空気電極および亜鉛-空気電極を含むガス拡散電極、リチウムイオン電池およびキャパシタ(例えば、カソード材料として)、伝送電流コレクタ/電気化学系における他の活性材料用の足場、ナノ構造材料を支持する足場、固体状態のガスガス貯蔵(例えば、HおよびCH貯蔵)、塩水の容量脱イオン化、毒物制御および制御された薬物放出を含む生物医学的用途、空気濾過、水濾過、化学薬品濾過、触媒コンバーター、断熱、クロマトグラフパッキング、吸収体および、他の触媒機能、例えば水素貯蔵または燃料セル電極などの炭素系足場支持構造物。
【0196】
開示された炭素材料は、運動エネルギー回収用途、例えば、ハイブリッド車、ハイブリッド重機、全ての電気駆動自動車、クレーン、フォークリフト、エレベーター、電気鉄道、ハイブリッド機関車、およびハイブリッド自転車などにおいても使用できる。超高純度の合成アモルファス炭素材料は、電気的なバックアップ用途、例えば、UPS、データセンター電力ブリッジ、電圧ディップ補償機、電気ブレーキアクチュエーター、電気ドアアクチュエーター、エレクトロニクス、通信塔電気ブリッジなどにおいても使用できる。本発明に係る超高純度の合成活性炭が有用である、パルス電力を必要とする用途には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:ボードネット安定化(boadnet stabilization)、携帯電話を含むエレクトロニクス、PDA,カメラフラッシュ、電子玩具、風力タービンブレードピッチの作動装置、電力特性/出力調整/周波数調整、電気式スーパーチャージャー。超高純度の合成アモルファス炭素材料における別の使用には、自動車の出発および停止システム、電力工具、懐中電灯、個人的な電極、内蔵型の太陽光系、RFIDチップおよび系、デバイスパワー計測用のウインドフィールドデベロッペーセンサー、パルサーレーザー系およびフェーザーにおける使用を含む。
【0197】
開示された炭素材料は、高純度が重要な用途、例えば、医療用途、電子、化学解析、MEMS(マイクロマシーン技術)、および生物学分野における用途においても使用できる。化学および電気化学的センサーまたは全ての種類の検出器は、不純物による妨害がより少なく、または不純物による触媒された若しくは起因する副反応がより少なくなる。空気中の不純物の例は(爆発性のもの、有害なもの、化学的なもの、合成的な臭い)であり、水中の不純物の例は微生物、または有機液体中の水不純物などである。
【0198】
炭素材料の酸性/塩基性は、大部分は、化学吸着酸素を含有する不純物の機能による。したがって、炭素材料の酸性/塩基性を調節することが望まれる用途において、超高純度の合成アモルファス炭素材料が有用である。
【0199】
炭素は、材料の化学的生産における反応物資として使用されると共に、材料の電気化学的生産における電極として使用される。従って、開示された炭素材料は高純度の材料、特に金属の化学的および電気化学的生産における使用が見出されている。また、開示された炭素材料は、亜鉛-マンガン酸化電池(常套の懐中電灯用電池)における電極として、および亜鉛-ハロゲン電池における電極として使用でき、ならびに、導電性接着剤および密閉剤として使用するため、および放射能漏れを最小限にするために、炭素-超高純度のポリマー複合材内に組み込まれてもよい。
【0200】
本明細書において開示される乾燥された超高純度のポリマーゲルは、種々の用途における使用が見出されている。例えば、乾燥された超高純度のポリマーゲルは、木材接着剤(例えば、合板またはパーティクルボード)、織物および金属とゴムを接着させること(例えば、ゴムタイヤ)、濾過媒体、誘電体絶縁、断熱および複合材料における樹脂(例えば、ガラス繊維および炭素繊維など)として有用であることが見出されている。
【0201】
1.ウルトラキャパシタデバイス
EDLCは、それらのエネルギー貯蔵要素として、電解質溶液中に浸漬された電極を使用する。一般に、電極が相互に接触しないことを確保し、電解質を染み込ませ、電解質中に浸漬された多孔質のセパレーターは、電極間の直接的な電子電流の流を妨げる。同時に、多孔質のセパレーターは、電極間のいずれの方向にも、電解質を介してイオン電流を通過させることができるので、電極と電解質間の界面にて電荷の二重層を形成する。
【0202】
EDLCの1対の電極間に電位を施す場合、電解質内に存在するイオンは、逆帯電した電極の表面へ引きつけられ、電極へ向かって移動する。したがって、逆帯電したイオンの層は、各電極表面付近に形成され保持される。電気エネルギーは、これらのイオン層と、対応する電極表面の電荷層との間の電荷分離層に貯蔵される。実際、電荷分離層は、実質的に静電キャパシタとして機能する。静電エネルギーも、電位により誘発された電場の影響下、電解質溶液における分子の配向と配列を介して、EDLCS中に貯蔵できる。しかしながら、この形態のエネルギー貯蔵は、二次的なものである。
【0203】
超高純度の合成炭素材料、例えば、超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するEDLCは、高い出力が要求される種々の電子デバイスにおいて使用できる。したがって、1実施態様において、超高純度の合成炭素材料を含有する電極が提供される。別の実施態様においては、超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有する電極が提供される。更なる実施態様においては、超高純度の合成活性炭材料、例えば、活性化された超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有する電極が提供される。更なる実施態様においては、超高純度の合成炭素材料を含有する電極を具備するウルトラキャパシタが提供される。前述の更なる実施態様において、超高純度の合成炭素材料は、超高純度の合成アモルファス炭素材料、例えば、活性化された超高純度の合成アモルファス炭素材料である。
【0204】
本発明による炭素材料は、数多くの電子デバイス、例えば、消費者向けのワイヤレスデバイスおよび商用デバイス(例えば、デジタルカメラ、ノートパソコン、医療機器、位置追尾デバイス、自動車デバイス、コンパクトフラッシュ(登録商標)デバイス、携帯電話、PCMCIAカード、携帯用デバイスならびにデジタル音楽プレイヤーなどにおける用途が見出されている。ウルトラキャパシタは、重機、例えば、掘削機および他の土木機械、フォークリフト、ゴミ収集車、港湾用クレーンおよび、建築系および輸送系(例えば、バス、自動車および列車)などにおいても使用できる。
【0205】
1実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも10W/g、少なくとも15W/g、少なくとも20W/g、少なくとも25W/g、少なくとも30W/g、または少なくとも35W/gの重量出力を有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも5W/cc、少なくとも10W/cc、少なくとも15W/cc、または少なくとも20W/ccの容積出力を有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも2.5Wh/kg、少なくとも5.0Wh/kg、少なくとも7.5Wh/kg、少なくとも10Wh/kg、少なくとも12.5Wh/kg、少なくとも15.0Wh/kg、少なくとも17.5Wh/kg、少なくとも20.0Wh/kg、少なくとも22.5Wh/kg、または少なくとも25.0Wh/kgの重量エネルギーを有する。別の実施態様において、超高純度の合成活性炭を含有するウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも1.5Wh/リットル、少なくとも3.0Wh/リットル、少なくとも5.0Wh/リットル、少なくとも7.5Wh/リットル、少なくとも10.0Wh/リットル、少なくとも12.5Wh/リットル、少なくとも15Wh/リットル、少なくとも17.5Wh/リットル、または少なくとも20.0Wh/リットルの容積エネルギーを有する。
【0206】
前述のある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスにおける重量出力、容積出力、重量エネルギーおよび容積エネルギーは、アセトニトリル中のテトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.0M溶液(AN中の1.0M TEATFB)電解質と0.5秒の時定数を用いて、2.7V〜1.89Vの定電流放電により測定された。
【0207】
1実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも25W/gの重量出力と、少なくとも10.0W/ccの容積出力と、少なくとも5.0Wh/kgの重量エネルギーと、少なくとも3.0Wh/Lの容積エネルギーを有する。
【0208】
別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも15W/gの重量出力と、少なくとも10.0W/ccの容積出力と、少なくとも20.0Wh/kgの重量エネルギーと、少なくとも12.5Wh/Lの容積エネルギーを有する。
【0209】
1実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも15F/g、少なくとも20F/g、少なくとも25F/g、少なくとも30F/g、または少なくとも35F/gの重量キャパシタンスを有する。別の実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも10F/cc、少なくとも15F/cc、少なくとも18F/cc、少なくとも20F/cc、少なくとも22F/cc、または少なくとも25F/ccの容積キャパシタンスを有する。上述のある実施態様において、重量キャパシタンスと容積キャパシタンスは、アセトニトリル中のテトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.8M溶液(AN中の1.8M TEATFB)電解質と、0.5A/g、1.0A/g、4.0A/gまたは8.0A/gの電流密度を使用し、5秒の時定数を用いて、2.7V〜0.1Vの定電流放電により測定された。
【0210】
1実施態様において、本発明は、ここに開示されるような超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスを提供し、この場合において、電圧保持期間の後の、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタにおける、元のキャパシタンス(すなわち、電圧保持に付される前のキャパシタンス)に関する減少率は、既知の炭素材料を含有するウルトラキャパシタの元のキャパシタンスに関する減少率よりも少ない。1実施態様において、65℃で24時間2.7Vにて電圧を保持した後、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタに関して残存する、元のキャパシタンスの百分率は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%または少なくとも10%である。前述の更なる実施態様において、電圧保持期間後に残存する元のキャパシタンスの百分率は、0.5A/g、1A/g、4A/gまたは8A/gの電流密度にて測定した。
【0211】
別の実施態様において、本発明は、ここに開示されるような超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタデバイスを提供し、この場合において、繰り返された電圧サイクルの後における、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタの元のキャパシタンスに関する減少率は、同じ条件に付された既知の炭素材料を含有するウルトラキャパシタの元のキャパシタンスにおける減少率よりも小さい。例えば、1実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタに関して残存する元のキャパシタンスの百分率は、4A/gの電流密度にて、2Vと1Vの間の循環を有する電圧サイクルを1000、2000、4000、6000、8000または10000回おこなった後、既知の炭素材料を含有するウルトラキャパシタに関して残存する元のキャパシタンス百分率よりも大きい。別の実施態様において、4A/gの電流密度にて、2Vと1Vの間の循環を有する電圧サイクルを1000、2000、4000、6000、8000または10000回おこなった後、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有するウルトラキャパシタに関して残存する元のキャパシタンスの百分率は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%または少なくとも10%である。
【0212】
上述のように、超高純度の合成炭素材料と超高純度の合成アモルファス炭素材料を、ウルトラキャパシタデバイス内に組み込むことができる。ある実施態様において、超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料は、窒素雰囲気下にてLabomillジェットミルを用いて、約10ミクロンの平均粒径へ粉砕される。理論に拘束されることを望まないが、この微粒子サイズは粒子間伝導率を向上させると共に、極めて薄い薄板電極の製造を可能にすると信じられている。ジェットミルは、高圧の窒素により推進された円盤状のチャンバー内で炭素を回転させることにより、それ自体に衝突する炭素を実質的に粉砕する。より大きな粒子が供給された場合、遠心力は、チャンバー外部へとそれらを押出し、相互に衝突してそれらが研磨されるにつれて、適当な直径に到達すると、粉砕チャンバーから最終的に退去する中心部に向かって、該粒子は移動する。
【0213】
更なる実施態様において、ジェットミル後に、炭素は、繊維質のテフロン(登録商標)バインダー(3重量%)と混合され、粒子を相互にシート状に保持する。炭素、テフロン(登録商標)混合物は、均一な濃度に到達するまで混練される。次いで、混合物は、50ミクロンの最終厚さをもたらす高圧ロールホーマー(roller-former)を用いてシート状に巻き取られる。これらの電極を円盤状に切り取り、乾燥アルゴン雰囲気下にて195℃まで加熱し、水および/または他の空気中の汚染物質を除去する。得られた電極を秤量し、ノギスを用いてそれらの寸法を測定する。
【0214】
EDLCの炭素電極は、適当な電解質溶液で湿潤される。本出願によるデバイスにおいて使用するための電解質溶液において使用される溶媒の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、およびアセトニトリル。一般に、このような溶媒は、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、例えばTEATFB(テトラエチルアンモニウム テトラフルオロボラート);TEMATFB(トリ-エチル、メチルアンモニウムテトラフルオロボラート);EMITFB(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム テトラフルオロボラート)、テトラメチルアンモニウムまたはトリエチルアンモニウム系の塩などを含む溶質と混合される。さらに、電解質は、水系の酸または塩基、例えば、希硫酸または水酸化カリウムであってもよい。
【0215】
ある実施態様において、電極は、アセトニトリル中でテトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.0M溶液(AN中の1.0M TEATFB)電解質で湿潤される。別の実施態様において、電極は、プロピレンカーボネート中でテトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.0M溶液(PC中の1.0M TEATFB)電解質で湿潤される。これらは、研究と産業的のいずれにおいても使用される常套の電解質であり、デバイス特性を査定するための基準であると考えられている。別の実施態様において、合成炭素-炭素(C-C)キャパシタは、不活性雰囲気下(例えば、アルゴングローブボックス中)で組み立てられ、30ミクロン厚のNKK多孔質膜はセパレーターとして機能する。一旦組み立てられると、得られたサンプルは、該サンプルの多孔率に基づき、20分以上電解質中に浸漬される。
【0216】
ある実施態様において、キャパシタンス量と出力量は、Biologic VMP3電気化学ワークステーションにおいて、様々な電圧(1.0〜2.5Vの最大電圧の範囲)および電流レベル(1〜10mA)の条件下、サイクリック・ボルタンメトリー(CV)、クロノポテンシオメトリー(CP)およびインピーダンス分光法を用いて測定した。この実施態様において、キャパシタンスは、下記の式を用いて、ポテンシオグラムの放電曲線から算出できる:
【0217】
【数1】

式中、Iは電流(A)であり、ΔVは電圧降下であり、Δtは時間差である。
【0218】
この実施例において、試験キャパシタは対称炭素-炭素(C−C)電極であるので、具体的なキャパシタンスは以下の式で表される:
【0219】
【数2】

式中、mは、単一電極の質量である。
【0220】
具体的なエネルギーおよび出力は、以下の式を用いて表される
【0221】
【数3】

【0222】
【数4】

式中、Cは、測定されたキャパシタンスであり、Vmaxは最大試験電圧であり、ESRは放電開始時における電圧降下から得られる等価直列抵抗である。ESRは、インピーダンス分光法から交互に誘導できる。
【0223】
2.電池
開示された炭素材料は、さまざまな種類の電池における電極としての使用も見出されている。このような電池の1つは、金属空気電池、例えば、リチウム空気電池である。一般に、リチウム空気電池は、正極と負極の間に挿入された電解質を含有する。一般に、正極は、リチウム化合物、例えば、酸化リチウムまたは過酸化リチウムなどを含有すると共に、酸化または酸素を減少させる機能を有する。一般に、負極は、リチウムイオンを吸着して放出する炭素物質を含有する。スーパーキャパシタと同様に、より高純度の炭素材料を含有するリチウム空気電離などの電池は、既知の炭素材料を含有する電池と比べて優れていることが予期される。したがって、1実施態様において、本発明は、金属空気電池、例えば、ここに開示されたような超高純度の合成炭素材料もしくは超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有する、リチウム空気電池を提供する。
【0224】
数多くの他の電池、例えば、亜鉛-炭素電池、リチウム/炭素電池、鉛酸電池なども、より高純度の炭素材料を使用することにより優れた特性をもたらすと予期される。当業者は、別の、具体的な種類の炭素を含有する電池も、より高純度の炭素が有利であることを理解するであろう。したがって、別の実施態様において、本発明は、電池、特にここで記載されるような超高純度の合成炭素材料または超高純度の合成アモルファス炭素材料を含有する亜鉛/炭素電池、リチウム/炭素電池、または鉛酸電池を提供する。
【実施例】
【0225】
以下の実施例において開示される、超高純度のポリマーゲル、クリオゲル、熱分解されたクリオゲル、および超高純度の合成アモルファス炭素材料は、ここに開示された方法に従い調製された。化学薬品は、試薬純度以上の商業的供給源から得られ、更なる精製を行うことなく供給者から提供されたものを使用した。
【0226】
他に記載のない限り、以下の条件を一般的に使用した。二元溶媒系中で、触媒の存在下、フェノール系化合物とアルデヒドを反応させた。アルデヒドに対するフェノール系化合物のモル比は、主に0.5〜1である。反応を、少なくとも24時間、90℃にて密封したアンプル中でインキュベートして行ってもよく、または、ゲル化が完了するまでおこなった。得られた超高純度のポリマーヒドロゲルは水を含有するが有機溶媒を含有しない。また、該ゲルは、水を有機溶媒(例えば、t-ブタノールなど)に溶媒交換することなく調製された。次いで、超高純度のポリマーヒドロゲルモノリスを、例えば製粉により、物理的に崩壊させ、約30mm未満の平均粒径を有する超高純度のポリマーヒドロゲル粒子を生成した。他に記載のない限り、次いで、一般に、冷流体(例えば、液体窒素またはエタノール/ドライアイス)中に浸漬させることにより、粒子を急速に凍結させ、凍結乾燥させた。一般に、凍結乾燥棚は、凍結乾燥棚上に、凍結される超高純度のポリマーヒドロゲル粒子を含有する受け皿を載せる前に−50℃まで予備冷却された。凍結乾燥に関するチャンバー圧は、一般に、50〜1000mTorrの範囲であり、棚温度は+10℃〜+25℃の範囲である。あるいは、棚の温度をより低温、例えば0℃〜+10℃の範囲に設定してもよい。あるいは、棚の温度をより高温、例えば25℃〜+40℃の範囲に設定してもよい。
【0227】
乾燥された超高純度のポリマーヒドロゲルは、一般に、実施例において指定される期間、800〜1200℃の温度範囲にて、窒素雰囲気下にて加熱することにより熱分解される。一般に、活性化条件は、実施例において指定される期間、900〜1000℃の温度範囲にて、CO雰囲気下、熱分解された超高純度のポリマーヒドロゲルを加熱することを含む。具体的な熱分解および活性化条件は、以下の実施例において開示される。
【0228】
実施例1
100%酢酸溶液からのRFゲルの調製
一連のRFゲルを、「純」酢酸(すなわち、無水の酢酸)から調製した。三種類のサンプルを(触媒としての)炭酸アンモニウムの濃度を変化させて調製した;なし、〜100、および〜25R/C。これらのサンプルを手で破砕し粒子を生成し、液体窒素中に浸漬させることにより凍結させ、次いで凍結乾燥させた。これらの処方の概要と、それらの比表面積を表1に示す。これら3種のサンプルは、モノリシックであり、オレンジ色であった。炭酸アンモニウムを含有するこれらのサンプルに関して、色の強さがより強くなった。3つのサンプルの比表面積は、597〜644m/gの間であった。
【0229】
図1は、これらのサンプルの、増分細孔容積に対する細孔幅の関係を示す。触媒を用いずに調製されたサンプルは、約185ÅのDFT平均細孔サイズと、100〜1000Åの間に幅広いピークを有し、約14Åに第二のピークを有した(この間においては、細孔容積が比較的欠けている)。一方、触媒を添加した場合、提示された主たる幅広いピークは、より小さい細孔幅に向かって分布をシフトさせている(それらにも、約12〜16Åの第2ピークが存在した)。約100R/Cおよび約25R/Cの炭酸アンモニウムを含有するサンプルに関するDFT平均細孔サイズは、それぞれ78Åと45Åであった。興味深いことに、後者のサンプルは、約300Åの細孔が比較的欠けている。
【0230】
【表1】

【0231】
実施例2
90:10の酢酸:水(容積:容積)溶液からのRFゲルの調製
系に少量の水を添加する効果を調べるために、90:10の割合(ホルムアルデヒドの添加前)の酢酸:水(容積:容積)の混合溶液から、一連のRFゲルを調製した。三種類のサンプルを炭酸アンモニウムの濃度を変化させて調製した;なし、〜100、および〜25R/C。これらのサンプルを手で破砕し粒子を生成し、液体窒素中に浸漬させることにより凍結させ、次いで凍結乾燥させた。これらの処方の概要と、それらの比表面積を表2に示す。これら3種のサンプルは、モノリシックであり、オレンジ色であった。炭酸アンモニウムを含有するこれらのサンプルに関して、色の強さがより強くなった。3つのサンプルの比表面積は、586〜653m/gの間であった。
【0232】
図2は、これらのサンプルの、増分細孔容積に対する細孔幅の関係を示す。触媒を用いずに調製されたサンプルは、約160ÅのDFT平均細孔サイズと、100〜1000Åの間に幅広いピークを有し、約11Åと約13Åに第二のピークを有した(この間においては、細孔容積が比較的欠けている)。一方、触媒を添加した場合、提示された主たる幅広いピークは、より小さい細孔幅に向かって分布をシフトさせた(それらにも、約12〜15Åの第2ピークが存在した)。約100R/Cおよび約25R/Cの炭酸アンモニウムを含有するサンプルに関するDFT平均細孔サイズは、それぞれ59Åと39Åであった。全体として、90:10の酢酸:水のサンプルに関する傾向は、上述の100%酢酸中に、レソルシノールを最初に溶解させた場合において観察されたものと同様の傾向を示した。
【0233】
【表2】

【0234】
実施例3
50:50の酢酸:水(容積:容積)溶液からのRFゲルの調製
水の添加の影響を更に調べるために、50:50の酢酸:水(ホルムアルデヒドの添加前)から1連のRFゲルを調製した。三種類のサンプルを炭酸アンモニウムの濃度を変化させて調製した;なし、〜100、および〜25R/C。〜25R/Cの比で、酢酸アンモニウムを添加して、第4のサンプルを調製した。これらのサンプルを手で破砕し粒子を生成し、液体窒素中に浸漬させることにより凍結させ、次いで凍結乾燥させた。
【0235】
これらの処方の概要と、それらの比表面積を表3に示す。4種の全てのサンプルはモノリシックであり、オレンジ色であった。炭酸アンモニウムまたは酢酸アンモニウムを含有するこれらのサンプルに関して、色の強さがより強くなった。4つのサンプルの比表面積は、560〜693m/gの間であった。
【0236】
図3は、これらのサンプルの、増分細孔容積に対する細孔幅の関係を示す。触媒を用いずに調製されたサンプルは、約193ÅのDFT平均細孔サイズと、100〜1000Åの間に幅広いピークを有し、約14Åに第二のピークを有した(この間においては、細孔容積が比較的欠けている)。一方、触媒を添加した場合、提示された主たる幅広いピークは、より小さい細孔幅に向かって分布をシフトさせている(それらにも、約10〜14Åの第2ピークが存在した)。約100R/Cおよび約25R/Cの炭酸アンモニウムを含有するサンプルに関するDFT平均細孔サイズは、それぞれ79Åと32Åであった。約25R/Cの酢酸アンモニウムを含有するサンプルに関するDFT平均細孔サイズは、約33Åであった。全体として、50:50の酢酸:水のサンプルに関する傾向は、上述の100%酢酸、または90:10の酢酸:水の混合物中に、レソルシノールを最初に溶解させた場合において観察されたものと同様の傾向を示した。
【0237】
【表3】

【0238】
実施例4
25:75の酢酸:水(容積:容積)溶液からのRFゲルの調製
次の系は、大部分に水を含有し、具体的には、25:75の酢酸:水である(ホルムアルデヒドの添加前)。三種類のサンプルを炭酸アンモニウムの濃度を変化させて調製した;なし、〜100、および〜25R/C。〜25R/Cの比で、酢酸アンモニウムを添加して、第4のサンプルを調製した。これらのサンプルを手で破砕し粒子を生成し、液体窒素中に浸漬させることにより凍結させ、次いで凍結乾燥させた。
【0239】
これらの処方の概要と、それらの比表面積を表4に示す。10:1および1:1のより低いR/C比で、酢酸アンモニウムを用いて調製された更なるサンプルが、表に含まれる。触媒を用いずに調製したサンプルは、薄いオレンジ色であり、乾燥後のクリオゲルは、約340m/gの比表面積を有した。炭酸アンモニウムまたは酢酸アンモニウムを含有するこれらのサンプルは、より色が暗くなり(特に、100R/Cサンプルがより濃い)、事実上、曇りがほとんどない。しかしながら、より高濃度の酢酸アンモニウム(すなわち、R/C1:1)にて調製されたサンプルは、極めて粘土状であると共に湿潤様であり、極めて低い比表面積を示す。触媒が欠けた、この系におけるクリオゲルと比べて、25:1〜100:1のR/Cで炭酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを含有するそれらは、700m/gを越える特により高い比表面積を有する。R/Cが10と1の割合で酢酸アンモニウムを用いて調製したサンプルは、それぞれ約427m/gと3.4m/gのより低い表面積を示した。
【0240】
図4は、これらのサンプルの、増分細孔容積に対する細孔幅の関係を示す。触媒を用いずに調製されたサンプルは、100〜1000Å以上の間に幅広いピークを有し、1000Åの幅よりも大きい細孔幅にて増分細孔容積が実在し、第2のピークは約13Åであり、BHJ吸着による平均細孔幅は193Åである。約100R/Cの炭酸アンモニウムを添加したものは、著しく分布がシフトしているが、DET吸着平均細孔サイズは、触媒を用いずに観察されたものと近似した(約200Å)。約25R/Cの炭酸アンモニウムまたは酢酸アンモニウムを含有するサンプルは、より狭い細孔幅に向かって分布がシフトしていることがわかる。得られたDET平均細孔サイズは、それぞれ、約92Åおよび104Åであった。
【0241】
全てのサンプルは、約12〜16Åの間の細孔幅に、増分細孔容積におけるピークを示した。
【0242】
【表4】

【0243】
実施例5
10:90の酢酸:水(容積:容積)溶液からのRFゲルの調製
サンプルの同様の系を、10:90の酢酸:水(ホルムアルデヒドの添加前)にて調製した。三種類のサンプルを炭酸アンモニウムの濃度を変化させて調製した;なし、〜100、および〜25R/C。〜25R/Cの比で、酢酸アンモニウムを添加して、第4のサンプルを調製した。これらのサンプルを手で破砕し粒子を生成し、液体窒素中に浸漬させることにより凍結させ、次いで凍結乾燥させた。
【0244】
これらの処方の概要と、それらの比表面積を表5に示す。触媒を用いずにこの系において調製したサンプルは、視覚的に若干モノリティックではあるが、極めて粘土状であると共に湿潤様であり、極めて明るいオレンジ色であった。乾燥段階において、得られた材料は、<1m/gの極めて低い表面積を示した。アンモニウム塩を用いたサンプルは、色がより暗くなり、曇りは少なく、これらのサンプルは、クリオゲル状態で、より高い比表面積が得られた。更に、アンモニウム塩の濃度がより高くなるにつれて、具体的な表面積が増加する傾向があった。
【0245】
図5は、アンモニウム塩を含有するこれらの系から得られるサンプルに関する、増分細孔容積に対する細孔幅の関係を示す。三種類全てのサンプルの分布は類似しており、触媒がより多く存在する場合、分布は極めて小さくシフトする傾向がある。具体的には、R/C100:1で炭酸アンモニウムが存在する場合、BHJ吸着による平均細孔幅は338Åであり、それに比べて、炭酸アンモニウムと酢酸アンモニウムがR/C25:1で存在する場合、それぞれ187Åと201Åであった。
【0246】
【表5】

【0247】
実施例6
1:99の酢酸:水(容積:容積)溶液からのRFゲルの調製
さらに、水に対してより低い割合(ホルムアルデヒドの添加前)の酢酸(すなわち、1:99)を用いて調査した。三種類のサンプルを炭酸アンモニウムの濃度を変化させて調製した;なし、〜100、および〜25R/C。〜25R/Cの比で、酢酸アンモニウムを添加して、第4のサンプルを調製した。これらのサンプルを手で破砕し粒子を生成し、液体窒素中に浸漬させることにより凍結させ、次いで凍結乾燥させた。
【0248】
これらの処方の概要と、それらの比表面積を表6に示す。全てのサンプルは、粘土状であると共に湿潤様であった。触媒を用いないで調製されたサンプルは1.5m/g極めて低い比表面積を示した。高い含有量の酢酸より調製されたサンプルと比べて、これらの系におけるサンプルは、一般に明るいオレンジを示し、実質的に曇っていた。アンモニウム塩が添加されたサンプルは、140〜278m/gの範囲に、適度に高い比表面積を示すが、一般に、より高い酢酸含有量で調製されたサンプルに関して得られる値と比べて、より低い。
【0249】
【表6】

【0250】
実施例7
種々のRFゲルに関する、pHと表面特性との関係
全てのサンプルに関する、比表面積に対するpHのプロットが図6において示される。図より判るように、pHが減少するにつれて、比表面積がより高くなる一般傾向があった。しかしながら、注目すべき例外は、サンプル003-116-3および003-119-1(それらは、調査された2つのより低い酢酸含有量を示すと共に、アンモニウム塩を含有しないものから調製された材料である)と、サンプル003-127-4(それは、25%の酢酸と、最も高い量の酢酸アンモニウム(R/C=1)から調製された)である。pHに対するDFT吸着による平均細孔幅の同様のプロットは、識別できる傾向は反映されなかった。したがって、超高純度のRFポリマーゲルにおいては、細孔幅分布を調整するためにpHのみを調製しても変数は調節されないが、添加される触媒(この場合、塩基性のアンモニウム塩、特にカーボネートまたはアセテート)の量(および種類)に起因して変数が調節されると考えられる。
【0251】
実施例8
25:75の酢酸:水と、0.6のRS比から調製されるRFゲルの製造
表7は、25:75の酢酸:水と、RSが比較的高い(すなわち0.6)場合において調製された超高純度のRFポリマーゲルに関するデータを表わす。この系におけるサンプルは、硬くてモノリティックであり、アンモニウム塩を有するサンプルは、アンモニウム塩を含まない対応する超高純度のポリマーゲル(271m/gの比表面積を有する)と比べて、極めてより高い比表面積(591〜612m/g)を示した。
【0252】
【表7】

【0253】
実施例9
超高純度のRFポリマーゲルの熱分解
上記実験から得られた8個のサンプルを熱分解させた。これらのサンプルの詳細は、表8においてもたらされる。表中の全てのサンプルは、滞留時間60分、900℃にて、インキュベーション条件で熱分解させた。熱分解における重量損失は、53±3%であった。一般に、熱分解されたゲルの比表面積は、熱分解前の、乾燥された超高純度のポリマーゲルにおける比表面積に近似した。
【0254】
【表8】

【0255】
熱分解されたゲルにおける細孔サイズ分布は、熱分解前の、乾燥された超高純度のポリマーゲルの分布に関連している。具体的には、増分細孔容積に対する細孔幅が、より小さい細孔幅に向かってシフトする傾向がある。例えば、図7は、サンプル003-117-2に関する熱分解前(図7A)と熱分解後(図7B)に関する、増分細孔容積に対する細孔幅のプロットを示す。全体的な分布が類似しており、熱分解後に、より小さな細孔幅方向に僅かにシフトしていることが判る。
【0256】
サンプル003-117-4、003-118-2、003-118-3および002-118-4に関する更なる実施例が、それぞれ、図8、図9、図10および図11において提供される。いずれの場合も、熱分解されたサンプル(図8B、9B,10Bおよび11B)における細孔幅分布は、熱分解前の、乾燥された超高純度のポリマーゲルの結果を反映し(また、より小さな細孔幅方向と下方に僅かにシフトしている)(図8A、図9A、10Aおよび11A)。これらのデータは、乾燥された超高純度のポリマーゲルにおける同調性が、熱分解された材料に関する同調性にも適用されることを示す重要なものである。
【0257】
実施例10
超高純度の合成活性炭材料の調製
超高純度の合成活性炭材料は、熱分解されたサンプルから調製された。超高純度の合成活性炭生成物に関する概略を、表9に開示する。活性化処理中の重量損失率に対する比表面積のプロットを図12に示す。図から判るように、活性化重量損失率が増加するにつれ、比表面積が増加する傾向がある。熱分解された材料において高い比表面積を有するサンプルは、活性化重量損失がもたらされる間に、活性化された炭素においてもより高い比表面積を有する傾向があることが観察された。これらのデータは、超高純度の合成活性炭材料における高い比表面積は、ここに記載された配合の、超高純度のポリマーゲルから調製できることを示す。
【0258】
【表9】

【0259】
ここに記載された超高純度のRFポリマーゲルから調製された、活性炭に関する細孔容積分布の例は、図13において提示されている。この場合において、超高純度の合成活性炭(すなわち、003-118-AC2)は、熱分解されたサンプルを反映した細孔容積分布を示す(図11参照)。これらのデータは、超高純度のポリマーゲルにおける細孔および表面特性を調整する能力が、超高純度のポリマーゲルから調製された、熱分解された超高純度の合成炭素材料および超高純度の合成活性炭材料における特性を調整する能力へと変換されることを示す重要なデータである。
【0260】
実施例11
乾燥された超高純度のポリマーゲルの調製
ここに開示された方法に従い、超高純度のポリマーゲルを、水と酢酸(75:25)から成る二元溶媒系、レソルシノール、ホルムアルデヒドおよび酢酸アンモニウムから調製した。次いで、材料をゲル化できるまで高温状態に配置し、超高純度のポリマーゲルを生成した。超高純度のポリマーゲル粒子は、超高純度のポリマーゲルから調製され、4750ミクロンメッシュのふるいを通過し、得られた超高純度のポリマーゲル粒子は、液体窒素中に浸漬されて凍結され、3〜7g/inの充填量で凍結乾燥棚内へ導入され、凍結乾燥された。乾燥時間(生成から、棚の温度が2℃以内に到達した時間と推定する)は、凍結乾燥棚における生成物の充填量と関連した。
【0261】
乾燥されたゲルの表面積は、粉体表面積および多孔率分析器(TriStarII型)を用いる窒素表面分析により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約500〜700m/gの範囲であった。
【0262】
実施例12
乾燥された超高純度のポリマーゲルから、熱分解された超高純度の合成炭素材料の調製
実施例11において開示された乾燥ゲルは、200L/hの窒素ガス流速の条件下、850℃にて、回転炉(内径3.75インチを有するアルミナ管)を通過させることにより熱分解された。熱分解における重量損失は約52%であった。
【0263】
熱分解され、乾燥された超高純度のポリマーゲルの表面積は、表面積及び多孔率分析器を用いる窒素表面分析法により分析された。標準BET法を用いて測定された比表面積は、約600〜700m/gの範囲であった。
【0264】
実施例13
超高純度の合成活性炭の調製
実施例12において開示された、熱分解された合成炭素材料を、30L/分のCO流速条件下、900℃にて、回転炉(内径2.75インチを有するアルミナ管)内を複数回通過させることにより活性化した。その結果、総重量損失は約45%であった。
【0265】
超高純度の合成活性炭材料の表面積は、表面積及び多孔率分析器を用いる窒素表面分析法により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約1600〜2000m/gの範囲であった。
【0266】
実施例14
ジェットミルを介する、超高純度の合成活性炭の微粒子化
実施例13から得られた、超高純度の合成活性炭を、2インチ径のジェットミル(JET Pulverizer Micron Master)を用いてジェット製粉に付した。条件は、1時間あたりの超高純度の合成活性炭は約0.7lbsとなり、窒素ガス流は約20scf/分、圧力は約100psiであった。ジェット製粉後の平均粒径は約8〜10ミクロンであった。
【0267】
実施例15
乾燥された超高純度のポリマーゲルの調製
ここに開示された方法に従い、超高純度のポリマーゲルを、水と酢酸(75:25)から成る二元溶媒系、レソルシノール、ホルムアルデヒドおよび酢酸アンモニウムから調製した。次いで、材料をゲル化できるまで高温状態に配置し、超高純度のポリマーゲルを生成した。超高純度のポリマーゲル粒子は、超高純度のポリマーゲルから調製され、4750ミクロンメッシュのふるいを通過し、得られた超高純度のポリマーゲル粒子は、液体窒素中に浸漬されて凍結され、3〜7g/inの充填量で凍結乾燥棚内へ導入され、凍結乾燥された。乾燥時間(生成から、棚の温度が2℃以内に到達した時間と推定する)は、凍結乾燥棚における生成物の充填量と関連した。
【0268】
乾燥されたゲルの表面積は、粉体表面積および多孔率分析器(TriStarII型)を用いる窒素表面分析により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約500〜700m/gの範囲であった。
【0269】
実施例16
乾燥された超高純度のポリマーゲルから、熱分解された超高純度の合成炭素材料の調製
実施例15において開示された乾燥ゲルは、200L/hの窒素ガス流速の条件下、850℃にて、回転炉(内径3.75インチを有するアルミナ管)を通過させることにより熱分解された。熱分解における重量損失は約51%であった。
【0270】
熱分解され、乾燥された超高純度のポリマーゲルの表面積は、表面積及び多孔率分析器を用いる窒素表面分析法により分析された。標準BET法を用いて測定された比表面積は、約600〜700m/gの範囲であった。
【0271】
実施例17
超高純度の合成活性炭の調製
実施例16において開示された、熱分解された合成炭素材料を、6.7L/分のCO流速条件下、シリカ管(3.75インチの内径)中で、900℃にて保持することにより活性化させ、(出発熱分解炭素と比較して)最終的な重量損失は約54%であった。
【0272】
乾燥されたゲルの表面積は、表面積及び多孔率分析器を用いる窒素表面分析法により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約1600〜2000m/gの範囲であった。
【0273】
実施例18
超高純度の合成活性炭と比較例活性炭の純度分析
それらの不純物含有量について、超高純度の合成活性炭サンプルは、プロトン励起X線分析(PIXE)を介して分析された。PIXEは、同時に存在する元素分析に関する、工業規格、高感度および精密測定な測定法であり、サンプル中の原子の励起により、検出されるX線特性と、識別および定量化されるそれらの強度を生じさせる方法である。PIXEは、11〜92(すなわち、ナトリウム〜ウラニウム)の範囲の原子番号を有する全成分を検出できる。
【0274】
ここに開示される、超高純度の合成活性炭と、比較目的の他の活性化炭素に関するPIXE不純物(Imp.)データは、表10において提示される。サンプル1は、実施例13による超高純度の合成活性炭であり、サンプル2は、実施例14による微細化された超高純度の合成活性炭であり、サンプル3は、実施例17による超高純度の合成活性炭であり、サンプル4は、実施例35による超高純度の合成活性炭であり、サンプル5は、実施例38による超高純度の合成活性炭であり、サンプル6は、関西熱化学社(加古川、日本)から得られ「MSP-20」で表わされる活性炭であり、サンプル7は、クラレケミカル社(大阪、日本)から得られ「YP-50F(YP-17D)」で表わされる活性炭である。
【0275】
表10において見受けられるように、本発明による超高純度の合成活性炭は、既知の活性炭サンプルと比べて、より低いPIXE不純物含有量を示すと共に、より低い灰分を示す。
【0276】
【表10】

【0277】
実施例19
超高純度の合成活性炭の電気化学的特性
電気化学的特性、具体的には、EDLCにおける電極材料としてのその性能に関して、実施例13による超高純度の合成活性炭(すなわち、サンプル1)を測定した。電極の製造、EDLCおよびそれらの試験に関する具体的な詳細を以下に記載する。
【0278】
キャパシタ電極は、99重量部の炭素粒子(平均粒径5〜15ミクロン)と1重量部のテフロン(登録商標)から成る。炭素およびテフロン(登録商標)は、モーターを用いて粉砕混合され、テフロン(登録商標)が良好に分配されるまで粉砕混合される。得られる複合材料は、物理的な完全性を有した。混合の後、複合材料を、約50ミクロン厚の平らなシート状に広げた。約1.59cmの直径を有する電極ディスクを、シートから切り取った。得られた電極を、乾燥箱に付随した真空オーブン中に配置し、195℃で12時間かけて加熱した。このことは、電極調製の間に大気中から吸着された水を除去する。乾燥後、電極を室温まで冷却し、オーブン中の大気をアルゴンで充填し、キャパシタが製造される乾燥箱内へ電極を移動させた。
【0279】
1インチ(2.54cm)の直径の炭素被覆したアルミ箔ディスクと、アルミニウムに加熱密封され、50ミクロン厚のポリエチレンガスケットリングによって形成された空洞内へ、炭素電極を配置した。次いで、第二の電極を、同じような方法で調製した。アセトニトリル中に、1.8Mテトラエチレンアンモニウム-テトラフルオロボラートを含有する電解質2滴が、各電極に添加された。各電極を、0.825インチの直径を有する多孔質のポリプロピレンセパレーターで被覆した。2つの半電極は、相互に対面するセパレーターと共に挟み込まれ、構造全体は相互に熱プレスされた。
【0280】
完成後、キャパシタは、ポテンシオスタット/関数発生器/周波数反応分析器を用いて、電気的な試験に付した。既知の持続時間、電流パルスを施すこと、および得られる電圧プロフィールを測定することを含む、定電流放電法により、キャパシタンスを測定した。付与する時間と終止電圧を選択することにより、キャパシタンスは、式C=It/ΔV(式中、C=キャパシタンス、I=電流、t=所望の電圧に到達した時間およびΔV=初期電圧と終止電圧間の電圧差を示す)から算出される。2つの炭素電極の重量と容積に基づく比キャパシタンスは、キャパシタンスを、重量と容積でそれぞれ割ることにより得られた。2.7〜1.89Vの放電に関するこのデータは、表11にて報告される。
【0281】
【表11】

【0282】
実施例20
超高純度の合成活性炭の調製
実施例12において記載された、熱分解された合成炭素材料を、15L/分のCO流速条件下、シリカ管(3.75インチの内径)中で、900℃にて保持することにより活性化させ、(炭素熱分解の出発時と比較して)最終的な重量損失は約55%であった。
【0283】
乾燥されたゲルの表面積は、表面積及び多孔率分析器を用いる窒素表面分析法により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約2000m/gの範囲であった。超高純度の合成活性炭について測定された細孔容積(DV50)は、約1.8nmの細孔サイズであり。超高純度の合成活性炭について測定された細孔容積(DV5)は、約0.5nmの細孔サイズであった。超高純度の合成活性炭の測定された総細孔容積は、1.42cc/gであった。
【0284】
実施例21
超高純度の合成活性炭の微細化
実施例20から得られた超高純度の合成活性炭を、2インチ径のジェットミル(JET Pulverizer Micron Master)を用いてジェット製粉に付した。条件は、1時間あたり約0.7lbsの超高純度の合成活性炭、窒素ガス流は約20scf/分、圧力は約100psiであった。ジェット製粉後の平均粒径(DV50)は、約6ミクロンであった。ジェット製粉後のDv95は約19ミクロンであった。超高純度の合成活性炭の、測定された総灰分は、0.008%であった。超高純度の合成活性炭の、測定されたタップ密度は、0.22g/ccであった。
【0285】
実施例22
超高純度の合成活性化炭素を含有する、電気二重層キャパシタデバイス
実施例21の超高純度の合成活性炭を、以下に記載のように、電気二重層キャパシタデバイス用の電極材料として使用した。
【0286】
キャパシタ電極は、99重量部の炭素粒子(平均粒径5〜15ミクロン)と1重量部のテフロン(登録商標)から成る。炭素およびテフロン(登録商標)は、モーターを用いて粉砕混合され、テフロン(登録商標)が良好に分配されるまで磨り潰される。得られる複合材料は、物理的な完全性を有した。混合の後、複合材料を、約50ミクロン厚の平らなシート状に広げた。約1.59cmの直径を有する電極ディスクを、シートから切り取った。得られた電極を、乾燥箱に付随した真空オーブン中に配置し、195℃で12時間かけて加熱した。このことは、電極調製の間に大気中から吸着された水を除去する。乾燥後、電極を室温まで冷却し、オーブン中の大気をアルゴンで充填し、キャパシタが製造される乾燥箱内へ電極を移動させた。
【0287】
1インチ(2.54cm)の直径の炭素被覆したアルミ箔ディスクと、アルミニウムに加熱密封され50ミクロン厚さを有するポリエチレンガスケットリングによって形成された空洞内へ、炭素電極を配置した。次いで、第二の電極を、同じような方法で調製した。アセトニトリル中に1.8Mテトラエチレンアンモニウム-テトラフルオロボラートを含有する電解質2滴が、各電極に添加された。各電極を、0.825インチの直径を有する多孔質のポリプロピレンセパレーターで被覆した。2つの半電極は、相互に対面するセパレーターと共に挟み込まれ、構造全体は相互に熱プレスされた。
【0288】
実施例23
超高純度の合成活炭を含有する、電気二重層キャパシタデバイスの電気化学的特性
実施例22において記載されたデバイスを、ポテンシオスタット/関数発生器/周波数反応分析器を用いて、電気的な試験に付した。既知の持続時間、電流パルスを施すこと、および時間をかけて得られた電圧プロフィールを測定することを含む、定電流放電法により、キャパシタンスを測定した。付与する時間と終止電圧を選択することにより、キャパシタンスは、式C=It/ΔV(式中、C=キャパシタンス、I=電流、t=所望の電圧に到達した時間およびΔV=初期電圧と終止電圧間の電圧差を示す)から算出される。2つの炭素電極の重量と容積に基づく比キャパシタンスは、キャパシタンスを、重量と容積でそれぞれ割ることにより得られた。2.7〜1.89Vの放電に関するこのデータは、表12にて報告される。
【0289】
【表12】

【0290】
実施例24
商業的に入手可能な活性炭を含有する、電気二重層キャパシタデバイスの電気化学的特性
比較するために、他の2種類の商業的に入手可能な活性炭から、デバイスを構築した:サンプル#6およびサンプル#7。2.7〜1.89Vの放電における、これらの比較炭素に関する重量出力と容積出力、および重量エネルギーと容積エネルギーの性能データは、表13において報告される。
【0291】
【表13】

【0292】
実施例25
電圧保持条件下における、超高純度の合成活性炭を含有するデバイスと比較した、商業的に入手可能な活性炭を含有する電気二重層キャパシタデバイスの電気化学的特性
比較目的のために、ここに記載されるような、超高純度の合成活性炭からデバイスを構成するか、または商業的に入手可能な活性炭(サンプル#6)からデバイスを構成した。超高純度の合成活性炭は、以下のようにして調製された。
【0293】
サンプル8に係る超高純度の合成活性炭は、開示された方法に従い調製された(すなわち、水と酢酸(75:25)から構成される二元溶媒系と、レソルシノールと、ホルムアルデヒドと、酢酸アンモニウムから調製された)超高純度のRFポリマーゲルから調製され、それは、凍結融解され、約-30℃にて凍結乾燥棚上で再度凍結され、次いで真空下で乾燥された。次いで、乾燥された超高純度のポリマーゲルは、ここに記載された方法と一致する条件で、窒素雰囲気下850℃にて熱分解され、次いで、COガス流の条件下、950℃で活性化された。このようにして調製された超高純度の合成活性炭は、約0.42g/cmのタップ密度、約1836m/gの比表面積、約0.95cm/gの総細孔容積を有し、総孔容積に対して、20nm以下の直径を有する細孔が約54%の部分細孔容積を示し、総細孔容積に対して、100nm以下の直径を有する細孔が約82%の部分細孔容積を示し、総細孔表面積に対して、20nm以下の直径を有する細孔が約81%の部分細孔表面積を示し、総細孔表面積に対して、100nm以下の直径を有する細孔が約97%の部分細孔表面積を示す。
【0294】
超高純度の合成活性炭サンプル#9は、開示された方法に従い調製された(すなわち、水と酢酸(75:25)から構成される二元溶媒系と、レソルシノールと、ホルムアルデヒドと、酢酸アンモニウムから調製された)超高純度のRFポリマーゲルから調製され、それは、液体窒素中に超高純度のRFポリマーゲル粒子を浸漬させることにより凍結され、真空下で乾燥され、次いでそれぞれ、650℃、850℃および850℃の温度に設定された3つの熱領域を有する回転炉中を通過させることにより熱分解され(該材料は、窒素雰囲気下で熱分解に付される)、次いで、ここに記載された方法と一致する条件でCOガス流の条件下、950℃で活性化された。超高純度の合成活性炭は、約0.42g/cmのタップ密度、約2148m/gの比表面積、約0.93cm/gよりも大きい総細孔容積を有し、総孔容積に対して、20nm以下の直径を有する細孔が約72%の部分細孔容積を示し、総細孔容積に対して、100nm以下の直径を有する細孔が約99%よりも大きい部分細孔容積を示し、総細孔表面積に対して、20nm以下の直径を有する細孔が約80%の部分細孔表面積を示し、総細孔表面積に対して、100nm以下の直径を有する細孔が約99%よりも大きい部分細孔表面積を示す。
【0295】
デバイスは、65℃にて、24時間、2.7Vの保持電圧に付された。次いで、0.5A/g、1A/g、4A/gおよび8A/g(アセトニトリル溶媒、TEATFB電解質)の電流密度にて、2.7から1.89Vの間での定電流放電から、デバイスのキャパシタンスを試験した。
【0296】
電圧保持工程の前と比較した、相対重量キャパシタンス残存率に関するデータが、表14(サンプル#6)、および表15ならびに表16(それぞれ、超高純度の合成活性炭サンプル8および9に対応する)に開示される。データによると、商業的に入手可能な活性炭に関する電圧保持工程後の容積キャパシタンスにおいて、著しい減少が示された。一方、超高純度の合成活性炭を含有するデバイスに関する性能における減少は、より少なかった。
【0297】
【表14】

【0298】
【表15】

【0299】
【表16】

【0300】
実施例26
電圧保持条件下における、超高純度の合成活性炭を含有するデバイスと比較した、商業的に入手可能な活性炭を含有する電気二重層キャパシタデバイスの電気化学的特性
比較目的のために、ここに記載されるような、超高純度の合成活性炭からデバイスが構成されるか、または商業的に入手可能な活性炭(サンプル#6)からデバイスが構成される。超高純度の合成活性炭は、以下のようにして調製された。
【0301】
サンプル#10に係る超高純度の合成活性炭は、開示された方法に従い調製された(すなわち、水と酢酸(75:25)から構成される二元溶媒系と、レソルシノールと、ホルムアルデヒドと、酢酸アンモニウムから調製された)超高純度のRFポリマーゲルから調製され、それは、約-50℃にて凍結乾燥棚上で細凍結され、次いで真空下で乾燥された。次いで、乾燥された超高純度のポリマーゲルは、ここに記載された方法と一致する条件で、窒素ガス雰囲気下850℃にて熱分解され、次いで、COガス流の条件下、900℃で活性化された。このようにして調製された超高純度の合成活性炭は、約0.307g/cmのタップ密度、約1600m/gの比表面積、約1.02cm/gの総細孔容積を有し、総細孔容積に対して、2nm以下の直径を有する細孔が約59%の部分細孔容積を示し、総細孔容積に対して、10nm以下の直径を有する細孔が約76%の部分細孔容積を示し、総細孔表面積に対して、2nm以下の直径を有する細孔が約94%の部分細孔表面積を示し、総細孔表面積に対して、10nm以下の直径を有する細孔が約98%の部分細孔表面積を示す。
【0302】
デバイスは、室温にて、25時間、3.5Vにて電圧保持に付された。次いで、デバイスは、1、10、50mA(プロピレンカーボネート溶媒、TEATFB電解質)の定電流にて、3.5〜0.1Vの間での定電流放電から、デバイスのキャパシタンスを試験した。
【0303】
電圧保持工程の前と比較した、相対重量キャパシタンス残存率に関するデータが、表17(サンプル#6)、および表18(超高純度の合成活性炭サンプル#10に関する)に開示される。データによると、商業的に入手可能な活性炭に関する電圧保持工程後の容積キャパシタンスにおいて、著しい減少が示された。一方、超高純度の合成活性炭を含有するデバイスに関する性能における減少は、より少なかった。
【0304】
【表17】

【0305】
【表18】

【0306】
実施例27
循環条件下における、超高純度の合成活性炭を含有するデバイスと比較した、商業的に入手可能な活性炭を含有する電気二重層キャパシタデバイスの電気化学的特性
比較目的のために、ここに記載されるような、超高純度の合成活性炭からデバイスが構成されるか、または商業的に入手可能な活性炭(サンプル#6)からデバイスが構成される。これらの商業的に入手可能な炭素に関する、重量出力および容積出力と、重量エネルギー性能および容積エネルギー性能は、2.7〜1.89Vの間の放電に関して、表13に提示されている。超高純度の合成活性炭を、以下の記載のようにして調製した。
【0307】
サンプル#11に係る超高純度の合成活性炭は、開示された方法に従い調製された(すなわち、水と酢酸(75:25)から構成される二元溶媒系と、レソルシノールと、ホルムアルデヒドと、酢酸アンモニウムから調製された)超高純度のRFポリマーゲルから調製され、それは、粒子へと粉砕され、約-30℃にて凍結乾燥棚上で凍結され、次いで真空下で乾燥され、次いで、ここに記載された方法と一致する条件で、窒素ガス雰囲気下850℃にて熱分解され、次いで、COガス流の条件下、900℃で活性化された。超高純度の合成活性炭は、約0.28g/cmのタップ密度、約1754m/gの比表面積、約1.15cm/gの総細孔容積を有し、総孔容積に対して、20nm以下の直径を有する細孔が約53%の部分細孔容積を示し、総細孔容積に対して、100nm以下の直径を有する細孔が約76%の部分細孔容積を示し、総細孔表面積に対して、20nm以下の直径を有する細孔が約91%の部分細孔表面積を示し、総細孔表面積に対して、100nm以下の直径を有する細孔が約99%の部分細孔表面積を示す。
【0308】
デバイスは、2Vと1Vの間の循環イベントに数千回付された(アセトニトリル溶媒、TEATFB電解質)。データは、ここに記載されるような超高純度の合成活性炭サンプル#11が、3000サイクルの後、その元のキャパシタンスの99.78%を保持することを明らかにする。データは、厳密に同じ方法で調製されたサンプル#6に係る電極が、2600サイクルの後に、その元のキャパシタンスの僅か97.11%を保持することを明らかにする。100%から99.78%への低下は、いずれの場合においても、ほぼ完全な線形であるので、10000サイクルに付した場合、超高純度の炭素は、その元のキャパシタンスの99.25%を保持し、サンプル#8に係るキャパシタは、その元のキャパシタンスの僅か88.89%を保持することが推定される。このことは、超高純度の合成炭素が、サンプル#6とは対称的に、最初の数千回においても実質的により安定していることを示す(循環データは、ACN中で、2V〜1Vの間、4A/gにて行った)。超高純度の合成炭素は、非超高純度の炭素と比べて、循環後においても、著しく改良されたキャパシタンスの保持を示すことが判る。
【0309】
実施例28
乾燥された超高純度のポリマーゲルの調製
ここに開示された方法に従い、超高純度のポリマーゲルを、水と酢酸(75:25)から構成される二元溶媒系と、レソルシノールと、ホルムアルデヒドと、酢酸アンモニウムから調製した。次いで、得られた材料を、ゲル化のために昇温条件下に配置し、超高純度のポリマーゲルを生成させる。超高純度のポリマーゲル粒子は、超高純度のポリマーゲルから生成され、防食性のステンレススチールブレードと、5/8''篩を備える、Stedman Aurora社製の粉砕機を通過させた。超高純度のポリマーゲル粒子は、液体窒素中に浸漬されることにより凍結され、3〜7g/inの充填量で、凍結乾燥棚内へ配置され、次いで、凍結乾燥された。乾燥時間(生成から、棚の温度が2℃以内に到達した時間と推定する)は、凍結乾燥棚における生成物の充填量と関連した。
【0310】
乾燥されたゲルの表面積は、粉体表面積および多孔率分析器(TriStarII型)を用いる窒素表面分析により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約500〜700m/gの範囲であった。
【0311】
実施例29
乾燥された超高純度のポリマーゲルから、熱分解された超高純度の合成炭素材料の調製
実施例28において開示された乾燥ゲルは、4250L/時の窒素ガス流速を用い、680〜850℃の勾配熱領域、0.7kg/hの速度にて、回転炉(4.18インチの内径を有し、ムライト裏地を有する金属チューブ)を通過させることにより熱分解された。熱分解における重量損失は、約50%〜52%であった。
【0312】
熱分解され、乾燥された超高純度のポリマーゲルの表面積は、表面積および多孔率分析器を用いる窒素表面分析により分析された。標準BET法を用いて測定された比表面積は、約600〜700m/gの範囲であった。
【0313】
実施例30
超高純度の合成活性炭の調製
実施例29において開示された、熱分解された合成炭素材料は、6.7L/分のCO流速にて、水晶管(3.75インチの内径)中で、900℃に保持することにより活性化され、(熱分解される出発炭素と比較して)約55%の最終重量損失をもたらした。
【0314】
活性化された炭素材料の表面積は、表面積および多孔率分析器を用いる窒素表面分析により分析した。BET法を使用して算出された比表面積は、約2500m/gの範囲であった。超高純度の合成活性炭の測定された細孔容積(Dv50)は、約1.8nmの細孔サイズであった。超高純度の合成活性炭の測定された細孔容積(Dv5)は、約0.5nmの細孔サイズであった。超高純度の合成活性炭の測定された総細孔容積は、1.07cc/gであった。
【0315】
超高純度の合成活性炭を含有する電気二重層キャパシタデバイス
実施例30の超高純度の合成活性炭は、以下に記載されるような電気二重層キャパシタデバイス向けの電極材料として使用された。
【0316】
キャパシタ電極は、97重量部の炭素粒子(平均粒径5〜15ミクロン)と3重量部のテフロン(登録商標)から成る。炭素およびテフロン(登録商標)は、モーターを用いて粉砕混合され、テフロン(登録商標)が良好に分配されるまで磨り潰される。得られる複合材料は、物理的な完全性を有した。混合の後、複合材料を、約50ミクロン厚の平らなシート状に広げた。約1.59cmの直径を有する電極ディスクを、シートから切り取った。得られた電極を、乾燥箱に付随した真空オーブン中に配置し、195℃で12時間かけて加熱した。このことは、電極調製の間に大気中から吸着された水を除去する。乾燥後、電極を室温まで冷却し、オーブン中の大気をアルゴンで充填し、キャパシタが製造される乾燥箱内へ電極を移動させた。
【0317】
規格2325ステンレススチール製のコイン電池部品が、コイン電池組立において使用された。0.625インチの直径を有する炭素被覆したアルミニウムディスクは、正極口金における接触抵抗低減部として使用された。アルミニウムディスクの上部に位置する、0.625インチの直径を有する炭素電極は、アセトニトリル中の1.0Mテトラエチレンアンモニウム-テトラフルオロボラートを含有する電解質の数滴で浸された。次いで、NKK社製の0.825インチの、セルロース系多孔質セパレーター2枚を、カーボンディスクの上に配置した。続いて、セパレーターの上に第2の炭素電極片を配置し、もう数滴の電解質液滴を添加し、上面を湿潤させた。その後、第2の、炭素被覆したアルミニウム製接触抵抗低減部を電極上に配置した。続いて、1つのステンレススペーサとバネが連続して配置され、負極における一続きの積層は、ポリプロピレンはとめで被覆された。続いて、電池の一続きの積層は水圧操作クリンパーの上に配置され、全圧で1分間圧着し、密封したコイン電池を形成した
【0318】
実施例32
超高純度の合成活性炭を含有する電気二重層キャパシタデバイスの電気化学的特性
実施例31において記載されたデバイスを、ポテンシオスタット/関数発生器/周波数反応分析器を用いて、電気的な試験に付した。既知の持続時間、電流パルスを施すこと、および時間をかけて得られた電圧プロフィールを測定することを含む、定電流放電法により、キャパシタンスを測定した。付与する時間と終止電圧を選択することにより、キャパシタンスは、式C=It/ΔV(式中、C=キャパシタンス、I=電流、t=所望の電圧に到達した時間およびΔV=初期電圧と終止電圧間の電圧差を示す)から算出される。2つの炭素電極の重量と容積に基づく比キャパシタンスは、キャパシタンスを、重量と容積でそれぞれ割ることにより得られた。2.7〜1.89Vの放電に関するこのデータは、表19にて報告される。
【0319】
【表19】

【0320】
実施例33
乾燥された超高純度のポリマーゲルの調製
ここに開示された方法に従い、超高純度のポリマーゲルを、水と酢酸(75:25)から構成される二元溶媒系と、レソルシノールと、ホルムアルデヒドと、酢酸アンモニウムから調製した。次いで、得られた材料を、ゲル化のために昇温条件下に配置し、超高純度のポリマーゲルを生成させた。超高純度のポリマーゲル粒子は、超高純度のポリマーゲルから生成され、4750ミクロンメッシュの篩を通過させ、次いで、超高純度のポリマーゲル粒子は、3〜7g/inの充填量で、凍結乾燥棚内へ配置され、約−40℃へ予め冷却した凍結乾燥棚上で凍結させ、次いで凍結乾燥された。乾燥時間(生成から、棚の温度が2℃以内に到達した時間と推定する)は、凍結乾燥棚における生成物の充填量と関連した。
【0321】
乾燥ゲルの表面積は、粉体表面積および多孔率分析器(TriStarII型)を用いる窒素表面分析により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約500〜600m/gの範囲であった。
【0322】
実施例34
乾燥された超高純度のポリマーゲルから、熱分解された超高純度の合成炭素材料の調製
実施例11に記載された乾燥ゲルは、200L/hの窒素ガス流を用い、850℃にて、回転炉(3.75インチの内径を有する水晶管)を通過することにより熱分解された。熱分解における重量損失は、約52%である。
【0323】
熱分解され、乾燥された超高純度のポリマーゲルの表面積は、表面積および多孔率分析器を用いる窒素表面分析により分析された。標準BET法を用いて測定された比表面積は、約500〜700m/gの範囲であった。
【0324】
実施例35
超高純度の合成活性炭の調製
実施例12に記載された、熱分解された合成炭素材料は、400L/hのCO流速の条件下、900℃にて回転炉(3.75インチの内径を有する水晶管)を通過するバッチ処理法で活性化された。その結果、総重量損失は約45%であった。
【0325】
超高純度の合成活性炭の表面積は、表面積および多孔率分析器を用いる窒素表面分析により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約1600〜2000m/gの範囲であった。この炭素は、ここにおいてサンプル4と称される。
【0326】
実施例36
乾燥された超高純度のポリマーゲルの調製
ここに開示された方法に従い、超高純度のポリマーゲルを、水と酢酸(75:25)から構成される二元溶媒系と、レソルシノールと、ホルムアルデヒドと、酢酸アンモニウムから調製した。次いで、得られた材料を、ゲル化のために昇温条件下に配置し、超高純度のポリマーゲルを生成させた。超高純度のポリマーゲル粒子は、超高純度のポリマーゲルから生成され、4750ミクロンメッシュの篩を通過し、次いで、超高純度のポリマーゲル粒子は、3〜7g/inの充填量で、凍結乾燥棚内へ配置され、約−40℃へ予め冷却した凍結乾燥棚上で凍結され、次いで凍結乾燥された。乾燥時間(生成から、棚の温度が2℃以内に到達した時間と推定する)は、凍結乾燥棚における生成物の充填量と関連した。
【0327】
乾燥ゲルの表面積は、粉体表面積および多孔率分析器(TriStarII型)を用いる窒素表面分析により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約500〜700m/gの範囲であった。
【0328】
実施例37
乾燥された超高純度のポリマーゲルから、熱分解された超高純度の合成炭素材料の調製
実施例11に開示された乾燥ゲルは、200L/hの窒素ガス流を用い、850℃にて、回転炉(3.75インチの内径を有する水晶管)を通過することにより熱分解された。熱分解における重量損失は、約52%である。熱分解され、乾燥された超高純度のポリマーゲルの表面積は、表面積および多孔率分析器を用いる窒素表面分析により分析された。標準BET法を用いて測定された比表面積は、約500〜700m/gの範囲であった。
【0329】
実施例38
超高純度の合成活性炭の調製
実施例12において開示された、熱分解された合成炭素材料は、400L/hのCO流速の条件下、900℃にて回転炉(3.75インチの内径を有する水晶管)を通過するバッチ処理法で活性化された。その結果、総重量損失は約44%であった。
【0330】
超高純度の合成活性炭の表面積は、表面積および多孔率分析器を用いる窒素表面分析により分析された。BET法を用いて測定された比表面積は、約1600〜2000m/gの範囲であった。この炭素は、ここにおいてサンプル5と称される。
【0331】
実施例39
超高純度の合成活性炭に関するH,N、Oの測定
サンプル1として同定されている合成活性炭材料は、エレメンタル・アナライシス社(Lekington、KY)にて、H、NおよびOに関する分析をおこなった。データによると、水素含有量は0.25%、窒素含有量は0.21%、および酸素含有量は0.53%であった。
【0332】
上記の様々な実施例は、組合わされて更なる実施態様をもたらすことができる。この明細書において言及された全てのUS特許、US特許出願公開公報、US特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献および/または出願データシートに記載されたものは、それらの全体に亘って、参照されることにより、ここに組み込まれる。実施の態様は、改良することができ、必要により、種々の特許、出願および公報の概念を採用することにより、更なる実施態様をもたらす。これらおよび他の変更は、上述の詳細な説明を踏まえる実施態様をもたらすことができる。一般に、以下の請求項において、使用される用語は、明細書および請求項において開示される具体的な実施態様に、請求項を制限するものと解釈されるべきではなく、このような請求項に付与される権利と同等のあらゆる範囲に従う、全ての可能な実施態様を含むものと解釈されるべきである。従って、請求項は、公開により限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトン励起X線分析により測定されたとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を500ppm未満の総不純物含量で含有する、超高純度の合成炭素材料。
【請求項2】
炭素材料が超高純度の合成アモルファス炭素材料である、請求項1に記載の炭素材料。
【請求項3】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を200ppm未満の総不純物含量で含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項4】
炭素材料の灰分が、プロトン励起X線分析データから算出されたとき0.03%未満である、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項5】
炭素材料の灰分が、プロトン励起X線分析データから算出されたとき0.01%未満である、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項6】
炭素材料が、燃焼分析およびプロトン励起X線分析によって測定されたとき、少なくとも95重量%の炭素を含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項7】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、3ppm未満の鉄を含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項8】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、1ppm未満のニッケルを含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項9】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、5ppm未満の硫黄を含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項10】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、1ppm未満のクロムを含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項11】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、1ppm未満の銅を含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項12】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、および5ppm未満の亜鉛を含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項13】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロム、および1ppm未満の亜鉛を含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項14】
炭素材料が、燃焼分析により測定されたとき、3.0%未満の酸素、0.1%未満の窒素、および0.5%未満の水素を含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項15】
炭素材料が、燃焼分析により測定されたとき、1.0%未満の酸素を含有する請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項16】
炭素材料が、熱分解された超高純度のポリマークリオゲルを含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項17】
炭素材料が、活性化された超高純度のポリマークリオゲルを含有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項18】
炭素材料が、少なくとも1500m/gのBET比表面積を有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項19】
炭素材料が、少なくとも2000m/gのBET比表面積を有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項20】
炭素材料が、少なくとも2400m/gのBET比表面積を有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項21】
炭素材料が、少なくとも0.7cc/gの細孔容積を有する、請求項1または2に記載の炭素材料。
【請求項22】
プロトン励起X線分析により測定されたとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を500ppm未満の総不純物含量で含有すると共に、炭素、水素、酸素を含有する超高純度のポリマーゲル。
【請求項23】
超高純度のポリマーゲルが、プロトン励起X線分析により測定されたとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を200ppm未満の総不純物含量で含有する、請求項22に記載の超高純度のポリマーゲル。
【請求項24】
超高純度のポリマーゲルが、乾燥された超高純度のポリマーゲルである、請求項22に記載の超高純度のポリマーゲル。
【請求項25】
少なくとも400m/gのBET比表面積を有する、請求項24に記載の乾燥された超高純度のポリマーゲル。
【請求項26】
超高純度のポリマーゲルが、1種以上の混和性溶媒、1種以上のフェノール系化合物、1種以上のアルデヒド、および1種以上の触媒を混合することにより調製される、請求項22に記載の超高純度のポリマーゲル。
【請求項27】
超高純度のポリマーゲルが、水、酢酸、レソルシノール、ホルムアルデヒドおよび酢酸アンモニウムを混合することにより調製される、請求項26に記載の超高純度のポリマーゲル。
【請求項28】
超高純度の合成炭素材料を含有するデバイスであって、該超高純度の合成炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を500ppm未満の総不純物含量で含有する、該デバイス。
【請求項29】
炭素材料が、超高純度の合成アモルファス炭素材料である、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
デバイスが、下記のa)〜c)を含有する電気二重層キャパシタ(EDLC)デバイスである、請求項28または29にいずれかに記載のデバイス:
a)正極および負極であって、該正極および該負極の各々が超高純度の合成炭素材料を含有する該正極および該負極、
b)不活性の多孔質セパレーター、および
c)電解質、
ただし、該正極および該負極は、該不活性の多孔質セパレーターにより分離される。
【請求項31】
EDLCデバイスが少なくとも15W/gの重量出力を有する、請求項28から30のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項32】
EDLCデバイスが少なくとも10W/ccの容積出力を有する、請求項28〜31のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項33】
EDLCデバイスが少なくとも20.0Wh/kgの重量エネルギーを有する、請求項28から32のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項34】
EDLCデバイスが少なくとも10.0Wh/リットルの容積エネルギーを有する、請求項28〜33のいずれかに記載の該EDLCデバイス。
【請求項35】
EDLCデバイスが、0.5A/gの電流密度と、電解質としてアセトニトリル中のテトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.8M溶液を用い、5秒の時定数にて、2.7から0.1Vまで定電流放電することにより測定されたとき、少なくとも25F/gの重量キャパシタンスを有することを特徴とする、請求項28から34のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項36】
EDLCデバイスが、0.5A/gの電流密度と、電解質としてアセトニトリル中のテトラエチルアンモニウム-テトラフルオロボラートの1.8M溶液を用い、5秒の時定数にて、2.7から0.1Vまで定電流放電することにより測定されたとき、少なくとも20F/ccの容積キャパシタンスを有することを特徴とする、請求項28から35のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項37】
超高純度の合成アモルファス炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を200ppm未満の総不純物含量で含有する、請求項28から36のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項38】
炭素材料の灰分が、プロトン励起X線分析データから算出されたとき、0.03%未満である、請求項28から37のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項39】
炭素材料の灰分が、プロトン励起X線分析データから算出されたとき、0.01%未満である、請求項28から38のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項40】
炭素材料が、燃焼分析およびプロトン励起X線分析によって測定されたとき、少なくとも95%の炭素を含有する、請求項28から39のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項41】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、3ppm未満の鉄を含有する、請求項28から40のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項42】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、1ppm未満のニッケルを含有する、請求項28から41のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項43】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、5ppm未満の硫黄を含有する、請求項28から42のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項44】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、1ppm未満のクロムを含有する、請求項28から43のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項45】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、1ppm未満の銅を含有する、請求項28から44のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項46】
炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、100ppm未満のカルシウム、50ppm未満の硫黄、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロム、および5ppm未満の亜鉛を含有する、請求項28から45のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項47】
炭素材料が活性化された超高純度のポリマークリオゲルを含有する、請求項28から46のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項48】
炭素材料が少なくとも1500m/gのBET比表面積を有する、請求項28から47のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項49】
炭素材料が少なくとも2000m/gのBET比表面積を有する、請求項28から48のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項50】
炭素材料が少なくとも2400m/gのBET比表面積を有する、請求項28から49のいずれかに記載のEDLCデバイス。
【請求項51】
デバイスが電池である、請求項28に記載のデバイス。
【請求項52】
デバイスが、リチウム/炭素電池、亜鉛/炭素電子、リチウム空気電池、および鉛酸電池である、請求項51に記載のデバイス。
【請求項53】
超高純度の合成炭素材料とバインダーを含有する電極であって、
該超高純度の合成炭素材料が、プロトン励起X線分析により測定されたとき、11〜92の範囲の原子番号を有する成分を500ppm未満の総不純物含量で含有する、該電極。
【請求項54】
炭素材料が超高純度の合成アモルファス炭素材料である、請求項53に記載の電極。
【請求項55】
超高純度の合成炭素材料を調製するための方法であって、該方法が、揮発性の塩基性触媒の存在下、酸性条件下にて1種以上のポリマー前駆物質を反応させることにより、超高純度のポリマーゲルを得ることを含む、該方法。
【請求項56】
炭素材料が、超高純度の合成アモルファス炭素材料である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
酢酸と水を含有する溶媒中で、1種以上のポリマー前駆物質を混合することを更に含む、請求項55または56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
揮発性の塩基性触媒が、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウムまたはそれらの組合せを含む、請求項55から57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
1種以上のポリマー前駆物質がレソルシノールとホルムアルデヒドを含有する、請求項55から58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
下記の工程を更に含有する、請求項55から59のいずれかに記載の方法:
(a)超高純度のポリマーゲルを凍結乾燥させ、超高純度のポリマークリオゲルを得ること、
(b)該超高純度のポリマークリオゲルを熱分解させ、熱分解された超高純度のクリオゲルを得ること;および
(c)該熱分解された超高純度のクリオゲルを活性化させ、超高純度の合成活性炭材料を得ること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−532088(P2012−532088A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518616(P2012−518616)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/040836
【国際公開番号】WO2011/003033
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(512002275)エナジーツー・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ENERG2 TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】