説明

足場ボルト用カバー

【課題】 足場ボルトに簡易に装着可能で、電柱と異なる部材であることを容易に識別可能にすることにより、不注意による接触を少なくするとともに、戸惑うことなく位置を認識可能な安価で使い勝手のよい、また、注意機能をも果たすことのできる足場ボルト用カバーを提供すること。
【解決手段】 電柱に埋設されているナットに雄ネジ部151を螺合させる足場ボルト150用のカバー10であって、足場ボルトのレンチなどを係合させる係合部154から先端側のナット152までを覆う本体部11と、その足場ボルトの係合部を覆うヘッド部12と、が弾性変形可能で電柱と明確に識別可能な色の樹脂材料により一体成形されており、カバー側の本体部からヘッド部の内部に足場ボルトを挿通可能に該ヘッド部の端部に開口部12aが開口している。また、このカバー側本体部に広告表示部13を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場ボルト用カバーに関し、詳しくは、足場ボルトに簡単に装着して電柱と明確に識別できるようにするものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電柱には作業員が登るための足場ボルトが取り付けられているが、この足場ボルトは、コンクリートに近似する色の金属により作製されていることから、コンクリート製の電柱に取り付けられている箇所においてはその存在を直ぐに認識することができない。このために、トラックの荷台等が接触してしまうことが多く、その荷台等を損傷させたり、また、足場ボルト側が損傷してしまう場合がある。
【0003】
また、足場ボルトの取付位置については、電気設備の技術基準において、1.8m以上の箇所に取り付けることが定められてはいるが、近年日本人の平均身長が高くなってきており、身長が1.8mをゆうに超える者も少なくない。このような高い身長の者が歩行時等に足場ボルトに頭を少しでもぶつけると、大怪我をする恐れがある。
【0004】
また、足場ボルトが電柱に近似する色で作業中に直ぐに認識することができないために、例えば、高所から降りようとする際に戸惑ってしまって作業能率が悪くなったり、無理に素早く降りようとすると、転落する恐れがある。
【0005】
このことから、ストライプ状の危険表示標識が印刷されたカバーを足場ボルトに巻き付けることにより、足場ボルトを電柱と容易に識別可能にして、トラックの荷台や歩行者などとの接触や作業者の足の踏み外しを防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、足場ボルトのカバーとしては、概略足場ボルトの外形と相似形状の円筒形状に形成されて、その足場ボルトの全体を異なる色で覆うようにすることにより、その足場ボルトの取付位置を容易に視認できるようにすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平7− 21901号公報
【特許文献2】特開平6−248862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この文献1に記載の足場ボルトのカバーにあっては、ストライプ状の危険表示標識が印刷されている本体部の一辺側に複数本のベルトが並列されて、他辺側にそのベルトを差し込んで係合させる突起を形成することにより、足場ボルトに巻き付けることを実現している。このために、この保護カバーでは、複数本のベルトを突起に差し込んで係合させる作業を繰り返さなければならずに作業が面倒であるとともに、ベルトを突起に差し込むだけであることから簡単に外れてしまう、という問題があった。
【0008】
また、文献2に記載の足場ボルトのカバーにあっては、変形不能であることから、叩き込まなければ内部に足場ボルトを挿通することができず、また、電柱などに取付済みの足場ボルトに対しては、足場ボルトを一旦外す工程を経なければ被せることができず、さらに、取付前の足場ボルトに被せた状態では直接6角形状部(係合部)にレンチなどを係合させて螺合させる作業を行うことができず、電柱などへの緊締が不十分になってしまう恐れがある、という問題があった。
【0009】
ここで、図9に示すように、電柱100には、人の注意を引き付ける広告媒体(注意表示部)110を接着剤により貼り付けたり(図9(a)参照)、広告媒体110をビーム部材120により支持させてバンド130で取り付けることが行われている(図9(b)参照)。このように、広告媒体110を接着剤により電柱100に貼り付けるのでは、その広告媒体110を取り外す際にその作業が大変であるとともに跡が電柱100に残ってしまう。また、広告媒体110をビーム部材120やバンド130を用いて電柱100に取り付けるのでは、部品が必要になるとともに着脱する作業が面倒である。
【0010】
このことから、図10に示すように、足場ボルト150の雄ネジ部151を電柱100の雌ネジ部101に螺合させて取り付けることから、この足場ボルト150を利用して、広告媒体110の貫通穴111にその足場ボルト150の雄ネジ部151を差し込んで電柱100にその広告媒体110を取り付けることが考えられる。
【0011】
しかるに、この広告媒体110は、電柱100に沿わせる形式だけでは、例えば、歩道側に設置することができずに、見辛い場合がある。このため、事情に応じた色々な取付形態で表示することのできる広告媒体などの注意表示部を実現することにより、バリエーションを持って広告や注意事項を目立つように表示することができ、同時に、上記の問題を解決することができれば好ましい。
【0012】
そこで、本発明は、足場ボルトに簡易に装着可能で、電柱と異なる部材であることを容易に識別可能にすることにより、不注意による接触を少なくするとともに、戸惑うことなく位置を認識可能な安価で使い勝手のよい、また、広告媒体などの注意喚起機能をも兼ねることができる足場ボルト用カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する足場ボルト用カバーの第1の発明は、電柱の外周面に埋設されているナット形状部にボルト形状部を螺合させて取り付ける足場ボルト用のカバーであって、足場ボルトの先端部のボルト形状部の近傍から該足場ボルトの後端部の回転道具を係合させる係合部の近傍までを覆う本体部と、足場ボルトの係合部を覆うヘッド部と、が電柱と明確に識別可能な色の材料により形成されており、該本体部とヘッド部は、足場ボルトを両端部に開口する開口部から筒形状の内部に挿通可能に弾性変形する樹脂材料またはゴム材料により一体成形されていることを特徴とするものである。
【0014】
この発明では、電柱に取り付けられている足場ボルトは、カバー側本体部の内径を拡開させるように弾性変形させつつその足場側係合部から内部に挿通してその足場側係合部をカバー側ヘッド部内に位置させることができる。また、電柱に取り付ける前の足場ボルトは、カバー側ヘッド部の開口部に足場側ボルト形状部を差し込んで内部に挿通した後にカバー側本体部を縮小させるように弾性変形させることによりその足場側係合部をカバー側ヘッド部から露出させて電柱のナット形状部に足場側ボルト形状部を螺合させる作業を行うことができ、この後に、そのカバー側本体部を伸長させてカバー側ヘッド部内に足場側係合部を位置させることができる。したがって、ベルトなどのような取り付けるための特別な機構を設けることなく、カバー側本体部を弾性変形させるだけで、足場ボルトに容易に装着することができ、その足場ボルトの全体を電柱と明確に識別可能な色で覆うことができる。
【0015】
上記課題を解決する足場ボルト用カバーの第2の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記本体部に、注意表示部を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
この発明では、カバー側本体部の注意表示部に所望の注意を表示することができる。したがって、足場ボルトに容易に装着可能で電柱と識別可能な色のカバー側本体部に、所望の注意を表示することができ、足場ボルトを電柱から目立たせるのと同時にその足場ボルトの周面に平行な注意を表示することができる。ここで、注意表示部は、人の注意を喚起するように機能するものであり、例えば、広告媒体なども含む。
【0017】
上記課題を解決する足場ボルト用カバーの第3の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記本体部に隣接して該本体部の把持部との間に空間を確保するように吊り下げられている注意表示部を設けたことを特徴とするものである。
【0018】
この発明では、カバー側本体部に隣接する注意表示部に所望の注意を表示することができるとともに、このカバー側本体部と注意表示部の間の空間内に手を差し込んで把持することができる。したがって、足場ボルトを把持するという機能を確保しつつ、そのカバー側本体部に隣接して電柱と識別可能な色で所望の面積を有する注意表示部内に所望の注意を表示することができ、足場ボルトを電柱から目立たせるのと同時にその足場ボルトと平行な注意を目立つように表示することができる。
【0019】
上記課題を解決する足場ボルト用カバーの第4の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記ヘッド部に、電柱に対面する姿勢の注意表示部を設けたことを特徴とするものである。
【0020】
この発明では、後端側のカバー側ヘッド部に電柱の外面と略平行な注意表示部を設けることができる。したがって、足場ボルトを把持するという機能を確保しつつ、そのカバー側本体部の前面側に電柱と識別可能な色で所望の面積を有する注意表示部内に所望の注意を表示することができ、足場ボルトを電柱から目立たせるのと同時にその足場ボルトの前面側に注意を目立つように表示することができる。
【0021】
上記課題を解決する足場ボルト用カバーの第5の発明は、上記第1から第4のいずれかの発明の特定事項に加え、前記ヘッド部の開口部が足場ボルトの係合部に係合可能な形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
この発明では、足場側本体部をカバー側本体部内に位置させると共に足場側係合部をカバー側ヘッド部内に位置させた際に、その足場側係合部にカバー側ヘッド部が相対回転不能に係合することができる。したがって、足場ヘッドに対して不必要に回転してしまうことをなくすことができ、掴み損ねたり、足を踏み外すことを少なくするとともに、注意表示部の設計通りの姿勢を維持することができる。
【0023】
上記課題を解決する足場ボルト用カバーの第6の発明は、上記第4の発明の特定事項に加え、前記ヘッド部の開口部が足場ボルトの係合部に係合可能な形状に形成されて、注意表示部が該ヘッドの下方に吊り下げられていることを特徴とするものである。
【0024】
この発明では、足場側本体部をカバー側本体部内に位置させると共に足場側係合部をカバー側ヘッド部内に位置させた際に、その足場側係合部にカバー側ヘッド部が相対回転不能に係合することができ、下方に吊り下げて電柱の外面と略平行な姿勢の注意表示部が後端側のカバー側ヘッド部に設けられている。したがって、足場ボルトに対して不必要に回転させて掴み損ねたり、足を踏み外すことを少なくするとともに、電柱の外面と略平行な注意表示部の吊り下げられた姿勢を維持することができる。
【0025】
上記課題を解決する足場ボルト用カバーの第7の発明は、上記第4の発明の特定事項に加え、前記ヘッド部の開口部が足場ボルトの係合部に係合可能な形状に形成されて、注意表示部が該ヘッドの上方に位置するように保持されていることを特徴とするものである。
【0026】
この発明では、足場側本体部をカバー側本体部内に位置させると共に足場側係合部をカバー側ヘッド部内に位置させた際に、その足場側係合部にカバー側ヘッド部が相対回転不能に係合することができ、上方に位置して電柱の外面と略平行な姿勢の注意表示部が後端側のカバー側ヘッド部に設けられている。したがって、足場ボルトに対して不必要に回転させて掴み損ねたり、足を踏み外すことを少なくするとともに、電柱の外面と略平行な注意表示部の立った姿勢を維持することができる。
【0027】
上記課題を解決する足場ボルト用カバーの第8の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記電柱の外周面で反対側に位置する足場ボルト間を連結可能な一対の線状材料の一端部または両端部に設けられて、該線状材料には該足場ボルト間に位置するように注意表示部が取り付けられていることを特徴とするものである。
【0028】
この発明では、電柱の反対側に位置する足場ボルト間を連結可能で注意表示部を保持する一対の線状部材の一端部または両端部に連設されている。したがって、線状材料の一端部に設けられている場合には、線状材料の他端部を足場ボルトに引っ掛けるなどすると共に線状部材の一端部側の足場ボルトをカバー本体部などにより覆った状態にして、または、線状材料の両端部に設けられている場合には、線状部材の両端部側の足場ボルトをカバー本体部などにより覆った状態にして、その間の注意表示部を電柱の外周面に位置させることができ、目立たせたい側の足場ボルトを電柱と識別可能にするとともに、足場ボルト間側の電柱の外面に所望の注意を表示することができる。
【0029】
上記課題を解決する足場ボルト用カバーの第9の発明は、上記第1から第8のいずれかの発明の特定事項に加え、前記本体部を、足場ボルトの先端部のボルト形状部との間に隙間を形成する長さに設定するとともに、前記ヘッド部の開口部の縁部に、足場ボルトの係合部の端面に面する方向に突出する突起形状を一つあるいは二つ以上設けたことを特徴とするものである。
【0030】
この発明では、足場側本体部よりもカバー側本体部を短くして、足場側係合部の端面にカバー側ヘッド部の開口部の突起形状を衝止させることにより、足場側本体部の電柱側を露出する状態に維持することができる。したがって、接触する可能性の高い足場側係合部側を覆いつつ、足場ボルトに引っ掛けるなどする道具が使い難くなってしまうことを回避することができる。
【発明の効果】
【0031】
このように本発明によれば、足場ボルトを挿通可能な本体部とヘッド部を、電柱と識別可能な色で弾性変形可能な樹脂材料またはゴム材料により一体成形する簡易な構造を作製するだけで、その本体部を弾性変形させることにより容易に足場ボルトに装着することができ、その足場ボルトの外面を電柱と明確に識別可能な色で覆うことができる。したがって、足場ボルトの存在を認識できずにトラックの荷台や歩行者などが接触してしまうことを少なくするとともに、その足場ボルトの位置を容易に認識して戸惑うことなく降下などすることができる。また、注意表示部を設けることにより、所望の注意を表示することができ、足場ボルトに注意機能を持たせて電柱からより目立たせることができる。この結果、安価で使い勝手のよい、また、注意機能をも果たすことのできる足場ボルト用カバーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1から図3は本発明に係る足場ボルト用カバーの第1実施形態を示す図である。
【0033】
図1において、足場ボルト用カバー10は、図9や図10に図示する電柱100の雌ネジ部(電柱の外周面に埋設したナット)101に取り付ける足場ボルト150に被せることができるように、弾性変形可能で電柱100と明らかに異なる色の樹脂材料により本体部11とヘッド部12とが一体成形されて概略円筒形状に作製されている。ここで、この足場ボルト用カバー10は、ゴム材料を成形することにより作製してもよいことはいうまでもない。
【0034】
ここで、足場ボルト150は、電柱100の雌ネジ部101に先端側の雄ネジ部(以下では、足場側雄ネジ部ともいう)151を螺合させてその電柱100に取り付けた後に、その足場側雄ネジ部151に螺合させているナット152をその電柱100の雌ネジ部101に圧接させるように回転させることにより緩まないように取り付けることができる。また、足場ボルト150は、足場側雄ネジ部151に連設されて作業員が把持したり足を掛けたりする本体部(以下では、足場側本体部ともいう)153の後端側に、六角形に形成されることによりレンチなどの回転道具を相対回転不能に係合させることのできる係合部(以下では、足場側係合部ともいう)154が連設されている。すなわち、足場ボルト150の雄ネジ部151がボルト形状部を構成し、この足場側雄ネジ部151を螺合させる電柱100の雌ネジ部101がナット形状部を構成している。
【0035】
これに対して、足場ボルト用カバー10は、足場ボルト150を挿通してその全体を本体部11とヘッド部12とにより覆うことができるように、その両端部に開口部11a、12aが形成されている中空の円筒形状に形成されている。この足場ボルト用カバー10の本体部(以下では、カバー側本体部ともいう)11は、後述するように、容易に弾性変形させることができる程度に肉薄に形成されているとともに、足場側雄ネジ部151のナット152の手前から足場側係合部154の手前までの足場側本体部153を覆う長さに形成されており、このカバー側本体部11の外周面は、所望の文字等の広告を表示する広告表示部13として使用する。また、足場ボルト用カバー10のヘッド部(以下では、カバー側ヘッド部ともいう)12は、端部に開口する開口部12aが足場側係合部154の外面形状と同一形状の凹形状(所謂、嵌め合い形状)に形成されており、その開口部12a内に足場側係合部154を収装することにより互いに相対回転不能に密着する状態で覆うことができるように、カバー側本体部11よりも肉厚に形成されている。ここで、本実施形態では、注意表示部の一例として、広告表示部を設ける場合を説明するが、これに限るものではなく、例えば、「頭上注意」などの注意表示であっても良い。
【0036】
これにより、足場ボルト用カバー10は、図2に示すように、カバー側本体部11の端部の開口部11aの内径を拡開させるように弾性変形させた状態にして、足場場側係合部154に被せて押し込むことにより、その足場側係合部54をカバー側ヘッド部12内に収装させることができ、電柱100に既に取り付けられている足場ボルト150でも、その足場側本体部153と足場場側係合部154の全体をカバー側本体部11とカバー側ヘッド部12により覆うことができる。
【0037】
また、足場ボルト用カバー10は、図3に示すように、ナット152等が外されている足場側雄ネジ部151をカバー側ヘッド部12の開口部12a内に差し込むことにより、カバー側本体部11内に足場側本体部153を挿通させるとともにその足場側雄ネジ部151を露出させてナット152等を取り付けることができる(図3(a)参照)。このようにして、足場側本体部153と足場場側係合部154の全体をカバー側本体部11とカバー側ヘッド部12により覆う状態にした後に、足場側雄ネジ部151に螺合するナット152にカバー側本体部11を押し付けて縮小させるように弾性変形させた状態にすることにより、足場側係合部154をカバー側ヘッド部12から露出させてレンチなどによる回転作業を可能にして、電柱100の雌ネジ部101に足場側雄ネジ部151を螺合させて取り付けることができる(図3(b)参照)。この後に、カバー側本体部11を伸長させてレンチなどが外された足場側係合部154にカバー側ヘッド部12を被せることにより、電柱100に取り付けられていない足場ボルト150でも、その足場側本体部153と足場場側係合部154の全体をカバー側本体部11とカバー側ヘッド部12により覆われた状態で電柱100に取り付けることができる(図3(c)参照)。したがって、足場ボルト用カバー10は、ベルトなどの特別な機構を必要とすることなく、弾性変形させるだけで、電柱100と明らかに異なる色で足場ボルト150を覆うことができ、電柱100から目立たせることができる。よって、トラックの運転手や歩行者などは、足場ボルト150の存在に直ちに気づいて接触してしまうことを回避することができ、また、電柱100に登る作業者は、足場ボルト150の位置を容易に認識して素早く登り降りすることができるともに、相対回転可能な状態で不必要に回転して掴み損ねてしまったり踏み外すことなく、安全に登り降りすることができる。
【0038】
さらに、この足場ボルト用カバー10は、電柱100に取り付けられている足場ボルト150を覆う状態で、カバー側本体部11の外面の広告表示部13がその足場ボルト150と平行な広告媒体として機能するようにその位置を必要に応じて修正すればよい。例えば、カバー側本体部11を縮小させるように弾性変形させることにより足場側係合部154をカバー側ヘッド部12から露出させた状態にして、足場ボルト150に対して相対回転させることにより、広告表示部13を見やすい位置にすることができ、この後に、カバー側本体部11を伸長させて足場側係合部154にカバー側ヘッド部12を被せて相対回転不能にして、その広告表示する姿勢を維持することができる。したがって、足場ボルト用カバー10は、電柱100から目立たせることができるのに加えて、その外面に不必要に回転してしまうことなく所望の広告を表示することができる。
【0039】
このように本実施形態においては、足場ボルト150を挿通可能な本体部11とヘッド部12とからなる円筒形状の簡易な構造を、電柱100と識別可能な色の弾性変形可能な樹脂材料により一体成形するだけで、足場ボルト150に容易に装着して電柱100と明確に識別可能な色で覆って目立たせることができる。したがって、電柱100の足場ボルト150の存在を認識させてトラックの荷台や歩行者などが接触してしまうことを少なくすることができる。また、電柱100に登る際には、従来通りに(足場ボルト150の外周面が不必要に回転してしまうことなく)把持したり、足場にすることができ、また降下する際にも、その足場ボルト150の位置を容易に認識して戸惑うことなく降下することができる。さらに、その足場ボルト150と平行に、言い換えると、電柱100の設置される道路や歩道などと平行になる外周面の広告表示部13に所望の広告を目立つように表示することができる。よって、安価で使い勝手のよい、また、広告機能をも果たすことのできる足場ボルト用カバー10を提供することができる。
【0040】
次に、図4は本発明に係る足場ボルト用カバーの第2実施形態を示す図である。なお、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されているので、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する(以下で説明する他の実施形態においても同様)。
【0041】
図4において、足場ボルト用カバー20は、電柱100に取り付ける足場ボルト150に被せることができるように本体部11とヘッド部12とを備えており、この本体部11およびヘッド部12の先端側と後端側の両端部には、平行な姿勢で吊り下げる広告表示部23がその本体部11とヘッド部12とともに一体成形されている。すなわち、この広告表示部23は、把持する際に邪魔にならないようにカバー側本体部11との間に空間Sを確保するように隣接して吊り下げられる形状に作製されている。
【0042】
これにより、電柱100の足場ボルト150の外面をカバー側本体部11とカバー側ヘッド部12で覆うように装着した状態で、任意の面積に形成することのできる広告表示部23をその足場ボルト150の下側に配設して所望の広告を表示することができる。
【0043】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、カバー側本体部11と広告表示部23の間の空間Sに手を差し込んで足場ボルト150を把持することを確保しつつ、その下側に目立つように設けられている平行な広告表示部23に十分な面積の広告を表示することができる。
【0044】
次に、図5は本発明に係る足場ボルト用カバーの第3実施形態を示す図である。
図5において、足場ボルト用カバー30は、電柱100に取り付ける足場ボルト150に被せることができるように本体部11とヘッド部12とを備えており、このヘッド部12の先端側には、電柱100の外面に対して対面する姿勢で吊り下げる広告表示部33がその本体部11とヘッド部12とともに一体成形されている。
【0045】
これにより、電柱100の足場ボルト150の外面をカバー側本体部11とカバー側ヘッド部12で覆うように装着した状態で、任意の面積に形成することのできる広告表示部33をその足場ボルト150の前面側の下側に配設して所望の広告を表示することができる。
【0046】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、カバー側本体部11を掴んで足場ボルト150を把持することを確保しつつ、電柱100の設置される道路や歩道の進行方向に対面する姿勢(電柱100の外面に略平行となる姿勢)で、その足場ボルト150の前面側の下側に目立つように設けられている広告表示部33に十分な面積の広告を表示することができる。
【0047】
次に、図6は本発明に係る足場ボルト用カバーの第4実施形態を示す図である。
図6において、足場ボルト用カバー40は、電柱100に取り付ける足場ボルト150に被せることができるように本体部11とヘッド部12とを備えており、このヘッド部12の先端側には、電柱100の外面に対して対面する姿勢で上側に位置する広告表示部43がその本体部11とヘッド部12とともに一体成形されている。
【0048】
これにより、電柱100の足場ボルト150の外面をカバー側本体部11とカバー側ヘッド部12で覆うように装着した状態で、任意の面積に形成することのできる広告表示部43をその足場ボルト150の前面側の上側に配設して所望の広告を表示することができる。
【0049】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、カバー側本体部11を掴んで足場ボルト150を把持することを確保しつつ、電柱100の設置される道路や歩道の進行方向に対面する姿勢(電柱100の外面に略平行となる姿勢)で、その足場ボルト150の前面側の上側に目立つように設けられている広告表示部43に十分な面積の広告を表示することができる。また、この広告表示部43は、足場ボルト150の下側で歩行者の頭付近に位置することにより、その歩行の妨げになることを回避することができる。
【0050】
次に、図7は本発明に係る足場ボルト用カバーの第5実施形態を示す図である。
図7(a)において、足場ボルト用カバー50は、電柱100に取り付ける足場ボルト150に被せることができるように本体部11とヘッド部12とを備えるとともに、一対の線状材料55の一端部にカバー側本体部11の端部が取り付けられている。この線状材料55は、電柱100の外周面で反対側に位置する足場ボルト150間を連結することができる程度の長さに形成されているとともに、その他端側には足場ボルト150に引っ掛けることのできるリング56が取り付けられており、また、四角の広告表示部53の対角に配設されたリング57内にも通されている。ここで、線状材料55の両端部に足場ボルト用カバー50を設けてもよいことはいうまでもない。
【0051】
これにより、図7(b)に示すように、線状材料55の他端部のリング56を電柱100の足場ボルト150に引っ掛けた後に、その線状材料55の一端部の足場ボルト用カバー50内に足場ボルト150の雄ネジ部151を差し込んで電柱100の反対側の雌ネジ部101に螺合させることにより電柱100に取り付けることができ、必要に応じて線状材料55におけるリング57の位置をずらすことにより広告表示部53の姿勢を矯正することができる。
【0052】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、電柱100の足場ボルト150の間の外面に大面積の広告表示部53を設置することができ、電柱100の設置されている歩道側や道路側にその広告表示部53を向けることができる。
【0053】
次に、図8は本発明に係る足場ボルト用カバーの第6実施形態を示す図である。
図8(a)において、足場ボルト用カバー60は、電柱100に取り付ける足場ボルト150に被せることができるように本体部61とヘッド部12とを備えており、この本体部61は上述第1実施形態における本体部11が短尺に形成されたものであり、また、このヘッド部12の開口部12aの縁部には、その足場ボルト150の係合部154の端面154aの平面方向内方に突出して面することができるように突起形状部12bが複数箇所に形成されている。ここで、この突起形状部12bは、図3に図示する手順で足場ボルト用カバー60を足場ボルト150に取り付ける際に、その足場側係合部154にカバー側ヘッド部12を被せて覆うことを不可能にしてしまわない程度に内方に突出させればよく、後述するように足場側係合部154の端面154aで衝止可能であれば1箇所でもよいことはいうまでもない。
【0054】
これにより、足場ボルト用カバー60は、電柱100の足場ボルト150の外面をカバー側本体部61とカバー側ヘッド部12で覆うように装着した状態で、その足場ボルト150の係合部154の端面154aに、そのカバー側ヘッド部12の突起形状部12bが衝止されることにより、全体が電柱100側に移動しようとするのを制限することができ、足場ボルト150の雄ネジ部151に螺合するナット152との間に隙間Gを確保することができる。このため、電柱100の足場ボルト150の本体部153には、例えば、図8(b)に示すように、電柱100に登って作業する作業者の胴部に巻き付けるベルト141にロープ142を介して連結されているフック143を、足場側本体部153よりも大径に形成されるカバー側本体部61で引っ掛け難くなってしまうことなく、そのカバー側本体部61から露出する足場ボルト150のナット152の手前側の隙間Gで露出する足場側本体部153に従来通りに引っ掛けて作業することができる。
【0055】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、カバー側本体部61から足場ボルト150の本体部153を露出させる状態を維持することができ、従来より使用していたフック143などの道具が使い難くなってしまうことを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る足場ボルト用カバーの第1実施形態を示す図であり、その全体構成を示す平面図である。
【図2】その取り付けを説明する図であり、電柱に設置済みの足場ボルトへの取り付けを説明する側方から見た取り付け途中の状態図である。
【図3】その電柱に設置前の足場ボルトに装着した状態での電柱への取り付けを説明する図であり、(a)はその取付前の状態図、(b)はその取り付け途中の側方から見た状態図、(c)はその取付完了後の側方から見た状態図である。
【図4】本発明に係る足場ボルト用カバーの第2実施形態を示す図であり、その全体構成を示す平面図である。
【図5】本発明に係る足場ボルト用カバーの第3実施形態を示す図であり、(a)はその全体構成を示す斜視図、(b)はその取り付けを説明する側面図である。
【図6】本発明に係る足場ボルト用カバーの第4実施形態を示す図であり、(a)はその全体構成を示す斜視図、(b)はその取り付けを説明する側面図である。
【図7】本発明に係る足場ボルト用カバーの第5実施形態を示す図であり、(a)はその全体構成を示す平面図、(b)はその取り付けを説明する立面図である。
【図8】本発明に係る足場ボルト用カバーの第6実施形態を示す図であり、(a)はその全体構成を示す斜視図、(b)はその足場ボルトの使用時を説明する斜視図である。
【図9】従来の電柱への広告(注意)表示を説明する図であり、(a)はその電柱に貼り付けた場合の立面図、(b)はそのバンドやビームにより支持させる場合の立面図である。
【図10】その従来の広告表示の改良の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
10、20、30、40、50、60……足場ボルト用カバー 11、61……カバー側本体部 11a、12a……開口部 12……カバー側ヘッド部 12b……突起形状部 13、23、33、43、53……広告表示部 55……線状材料 56、57……リング 100……電柱 101……雌ネジ部 150……足場ボルト 151……足場側雄ネジ部 152……ナット 153……足場側本体部 154……足場側係合部 154a……端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱の外周面に埋設されているナット形状部にボルト形状部を螺合させて取り付ける足場ボルト用のカバーであって、
足場ボルトの先端部のボルト形状部の近傍から該足場ボルトの後端部の回転道具を係合させる係合部の近傍までを覆う本体部と、足場ボルトの係合部を覆うヘッド部と、が電柱と明確に識別可能な色の材料により形成されており、
該本体部とヘッド部は、足場ボルトを両端部に開口する開口部から筒形状の内部に挿通可能に弾性変形する樹脂材料またはゴム材料により一体成形されていることを特徴とする足場ボルト用カバー。
【請求項2】
前記本体部に、注意表示部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の足場ボルト用カバー。
【請求項3】
前記本体部に隣接して該本体部の把持部との間に空間を確保するように吊り下げられている注意表示部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の足場ボルト用カバー。
【請求項4】
前記ヘッド部に、電柱に対面する姿勢の注意表示部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の足場ボルト用カバー。
【請求項5】
前記ヘッド部の開口部が足場ボルトの係合部に係合可能な形状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の足場ボルト用カバー。
【請求項6】
前記ヘッド部の開口部が足場ボルトの係合部に係合可能な形状に形成されて、注意表示部が該ヘッドの下方に吊り下げられていることを特徴とする請求項4に記載の足場ボルト用カバー。
【請求項7】
前記ヘッド部の開口部が足場ボルトの係合部に係合可能な形状に形成されて、注意表示部が該ヘッドの上方に位置するように保持されていることを特徴とする請求項4に記載の足場ボルト用カバー。
【請求項8】
前記電柱の外周面で反対側に位置する足場ボルト間を連結可能な一対の線状材料の一端部または両端部に設けられて、該線状材料には該足場ボルト間に位置するように注意表示部が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の足場ボルト用カバー。
【請求項9】
前記本体部を、足場ボルトの先端部のボルト形状部との間に隙間を形成する長さに設定するとともに、
前記ヘッド部の開口部の縁部に、足場ボルトの係合部の端面に面する方向に突出する突起形状を一つあるいは二つ以上設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の足場ボルト用カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−257784(P2006−257784A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78467(P2005−78467)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】