説明

足指用器具

【課題】足の親指及び人差し指に負担がかかるのを解消することができるとともに、運動中における足の親指と人差し指による踏ん張り力を向上することができる足指用器具を提供する。
【解決手段】第1及び第2の指持上板12a,12bの境界部の上面に対し、指間拡幅部13を立体的に連結するとともに、指間拡幅部13の上端部に対し傾斜部14を一体に連結し、足指用器具11を構成する。前記第1及び第2の指持上板12a,12bを足の親指と人差し指の付け根部の下面に接触させるとともに、前記指間拡幅部13を親指15と人差し指16の指間17の間に挿入し、前記傾斜部14を前記指間17の後方にある窪み部18に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ゴルフやテニスあるいは卓球等の各種のスポーツに適した足指用器具に係り、詳しくは運動中における足の親指と親指以外の四指の踏ん張り力を強くすることができる足指用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴルフあるいは野球等のようにクラブやバットをスイングする場合に人体の腰の回転を強固に行うために地面に接触した靴の内部において、靴の内部の底面に足の五指を強固に接触させて、運動中における足の踏ん張り力を強くするようにしている。この踏ん張り力を強くするために、足の踏みしめを強固にする靴内で用いる器具が特許文献1に開示されている。この器具は、ゴム等の適切な素材による上下部に広がり部分を有するきのこ状に形成されている。そして、広がり部分の上面は靴の上部の裏の皮部分に、広がり部分の下面は靴の下部敷皮部分に対してそれぞれ片面接着されるようになっている。
【特許文献1】実用新案登録第3065673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の器具は、側面からみて横H字状に形成されるとともに、靴に対して、器具の広がり部分の上面と下面が共に接着されるように構成されていたので、次のような問題があった。即ち、靴の内部において足の親指と人差し指が動きにくいために、例えばゴルフのスイングをする際には足の親指と他の四指の動きが阻害されて指に負担がかかるという問題があった。又、従来の器具は、足の親指と人差し指との付根部分の下面を持ち上げることができないので、靴の内部の底面に親指と人差し指の下面が広い面積で接触され、親指及び人差し指が靴の底面を掴むという感触が得られず、運動中における足の親指と他の四指の踏ん張り力が弱いという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、足の親指及び人差し指に負担がかかるのを解消することができるとともに、運動中における足の親指と人差し指による踏ん張り力を向上することができる足指用器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、足の親指と人差し指の付根部の下面にそれぞれ接触される柔軟性を有する第1及び第2の指持上板と、該両指持上板の境界部の上面に連結され、かつ親指と人差し指の指間を拡幅する柔軟性を有する指間拡幅部とにより構成されていることを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記指間拡幅部の上端部には後方に行くほど高くなるように傾斜する柔軟性を有する傾斜部が連結されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記両指持上板、指間拡幅部、傾斜部は、柔軟性を有する合成樹脂又は合成ゴムによって一体に形成されていることを要旨とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記両指持上板、指間拡幅部及び傾斜部のショアA硬度は90〜80に設定されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記第1の指持上板の厚さ寸法は、第2の指持上板の厚さ寸法よりも厚く形成されていることを要旨とする。
【0008】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項において、前記両指持上板の下面には、靴の中敷の上面に設けられた逆U字状植毛テープに取り外し可能に接着される逆U字状植毛テープが接合されていることを要旨とする。
【0009】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項において、前記第2の指持上板の端部には足の中指の付根部の下面に接触される第3の指持上板が連結され、前記第2の指持上板と第3の指持上板との境界部の上面には、人差し指と中指の指間を拡幅する指間拡幅部が連結されていることを要旨とする。
【0010】
(作用)
この発明の足指用器具は、柔軟性を有し、かつ、スポーツを行う際に、足の親指と人差し指の動きに追従して動くことができるので、足の親指及び人差し指に負担がかかるのを解消することができる。
【0011】
この発明は足指用器具の指間拡幅部を足の親指と人差し指の間に装着した状態で、第1及び第2の指持上板によって親指及び人差し指の付根部の下面が持ち上げられるので、運動中に足の靴の内部の底面を親指と人差し指とによって掴もうとする力が強くなり、結果的に足の親指と、それ以外の四指とによる踏ん張り力が強くなる。
【0012】
又、親指と人差し指の指間に指間拡幅部が介在されて、親指と人差し指の指間が拡大された状態となるため、親指単独で踏ん張り力を発揮し易くなるとともに、人差し指を含む四指も踏ん張り力を発揮し易くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、足の親指及び人差し指に負担がかかるのを解消することができるとともに、運動中における足の親指と人差し指を含む四指とによる踏ん張り力を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した足指用器具の一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
この実施形態の足指用器具11は、図1に示すように、一体に連結された第1及び第2の指持上板12a,12bと、両指持上板12a,12bの境界部12cの上面に対し下駄の鼻緒のように一体に斜め上方及び後方に傾斜するように連結された指間拡幅部13と、該指間拡幅部13の上端部に一体に後方に傾斜状態で連結された傾斜部14とによって構成されている。前記第1の指持上板12aは図2に示すように、足の親指15の付根部の下面を持ち上げた状態で支持するようになっている。同様に、前記第2の指持上板12bは、足の人差し指16の付根部の下面を持ち上げた状態で支持するようになっている。前記指間拡幅部13は図1に示すように前方から見て上に行くに従い幅が狭くなるように緩やかなテーパ状に形成されている。前記指間拡幅部13は、図3に示すように、前記親指15と人差し指16の指間17に介在されて指間17を拡幅するようになっている。前記傾斜部14は、足の親指15と人差し指16の指間17の内奥部の上側から後方にある窪み部18に接触されるようになっている。前記傾斜部14は図1に示すように上方から見て後端ほど幅が狭くなるように緩やかなテーパ状に形成されている。前記足指用器具11は例えば柔軟性を有するシリコン樹脂或いはシリコンゴム等により成形されている。
【0015】
前記足指用器具11のショアA硬度は、例えば90〜80程度に設定されている。前記硬度が90以上であると、柔らか過ぎて後述する運動中における足指の踏ん張り機能が低下し、80以下であると、硬過ぎて着用フィーリングが低下するので好ましくない。前記第1及び第2の指持上板12a,12bの厚さ寸法は、例えば2mm〜8mmに設定されている。前記厚さ寸法が2mm以下では後述する親指15及び人差し指16の付根部の持上げ効果が低く、8mm以上では親指15及び人差し指16の先端部の下面が靴の底面に接触し無くなるので、指による踏ん張り力が低下し、好ましくない。前記指間拡幅部13の前方から見た上下方向に関して中心部の幅寸法は、例えば4mm〜10mmに設定されている。前記幅寸法が4mm以下では、指間17の拡幅効果が低下し、10mm以上では、着用時に違和感を覚えるので好ましくない。
【0016】
次に、前記足指用器具11の使用方法について説明する。
最初に、図2に示すように、足指用器具11の第1及び第2の指持上板12a,12bを足の親指15と人差し指16の付根部の下面に当てがうとともに、指間拡幅部13を親指15と人差し指16の指間17に挿入し、傾斜部14を前記窪み部18に接触する。その後、図4に示すように、靴下19を足に着用して靴下19によって、足指用器具11の第1及び第2の指持上板12a,12bの下面及び傾斜部14の上縁を保持する。そして、足を靴の中に入れて使用状態とする。
【0017】
上記実施形態の足指用器具11によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、足指用器具11の下部に親指15の付根部の下面を持ち上げ支持するための第1の指持上板12aと、人差し指16の付根部の下面を持ち上げ支持するための第2の指持上板12bとを設けた。このため、図4に示す使用状態において、親指15と人差し指16の付根部の下面がそれぞれ持ち上げられ、親指15の先端部と、人差し指16の先端部の下面がそれぞれ靴の内部の底面に部分的に接触されることになり、該底面を掴もうとする親指15と人差し指16の力が強くなる。従って、例えば、ゴルフのクラブのスイング動作において、特に足の親指15と人差し指16の踏ん張り力が強くなり、腰の水平方向への回転を力強く行い、クラブのヘッドスピードを速め、ボールの飛距離を伸ばすことができる。
【0018】
なお、上記の足指用器具11は、運動中における足の五指による踏ん張り力を強くするので、疲労軽減、ダッシュ力アップ、踏力強化、各種の運動機能の向上を図ることができるとともに、足つぼの刺激効果により健康の増進を図り、足の指の矯正用具としても利用することができる。
【0019】
(2)上記実施形態では、前記第1及び第2の指持上板12a,12bの境界部12cの上面に指間拡幅部13を設けて、親指15と人差し指16の指間17の幅を、図3に示すように拡大するようにした。このため、親指15と人差し指16の指間17が零の場合と比較して、親指15単独で踏ん張り力を発揮し易くなるとともに、人差し指16を含む四指も踏ん張り力を発揮し易くなる。従って、親指15が単独で靴の底面を掴もうとする力が増大されるとともに、親指15を含む他の四指が靴の底面を掴もうとする力も増大されるので、足の五指全体としての踏ん張り力が増大する。
【0020】
(3)上記実施形態では、前記指間拡幅部13の上端部に傾斜部14を一体的に形成し、該傾斜部14が足の親指15と人差し指16の指間17の内奥部の上面と対応する窪み部18に接触されているので、図2に示すように足指用器具11が足に装着された状態において、足指用器具11が下方向に移動するのを傾斜部14によって阻止することができ、足指用器具11の装着状態を安定化することができる。
【0021】
(4)上記実施形態では、足指用器具11全体を柔軟性のある合成樹脂によって一体に形成したので、足指用器具11の使用状態において、運動中に靴の内部で足の親指及び人差し指が変位しても、それに追従して、足指用器具11が変形されるので、違和感を覚えることは無く、足の親指及び人差し指に負担がかかるのを解消することができる。
【0022】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図5に示すように、前記第1の指持上板12aの板厚寸法を第2の指持上板12bの板厚寸法よりも大きくしてもよい。この場合には、親指15の付根部の下面の持ち上げ高さが高くなり、親指15による靴の底面を掴もうとする力が増大され、足の踏ん張り力がさらに強くなる。又、図6に示すように、前記第1の指持上板12aが前後方向に関して、中央ほど高くなるように形成されているので、足の親指15の付根部の下面を円弧状に持ち上げ支持することができ、親指15及び人差し指16に対する足指用器具11のフィット感を向上することができる。
【0023】
・図7に示すように、前記第1及び第2の指持上板12a,12bの高さ寸法を大きくするとともに、先端縁に行くにしたがって、円弧状に傾斜するようにしてもよい。この場合にも運動中における足の親指15及び人差し指16による踏ん張り力が高められる。
【0024】
・図8に示すように、前記足指用器具11の第1及び第2の指持上板12a,12bの下面に対して、雄形又は雌形の逆U字状植毛テープ21を接着するとともに、靴の中敷板22の上面に対して雌形又は雄形の逆U字状植毛テープ23を接着し、前記足指用器具11を接着するようにしてもよい。この場合には、素足か又は足にフィンガーソックスを着用することにより使用することができる。
【0025】
・図9(a)、(b)、(c)に示すように、前記足指用器具11の第2の指持上板12bに対し、足指用器具11と同様に形成された足指用器具11A、11B、11Cを連結するようにしてもよい。これらの場合には、親指15以外の四指の運動中における踏ん張り力をさらに向上することができる。
【0026】
・図示しないが、図1に示す足指用器具11の傾斜部14を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の足指用器具を具体化した1実施形態を示す前側から見た斜視図。
【図2】足指用器具を足の親指と人差し指の間に装着した状態を示す前側から見た斜視図。
【図3】足指用器具を足の親指と人差し指の間に装着した状態を示す平面図。
【図4】足指用器具を足に装着するとともに、靴下を着用した状態を示す説明図。
【図5】この発明の別の実施形態を示す足指用器具の正面図。
【図6】図5の足指用器具の右側面図。
【図7】足指用器具の別の実施形態を示す正面図。
【図8】足指用器具の別の実施形態を示す正面図。
【図9】(a)〜(c)は、それぞれ足指用器具の別の実施形態を示す正面図。
【符号の説明】
【0028】
12a…第1の指持上板、12b…第2の指持上板、12c…境界部、13…指間拡幅部、14…傾斜部、15…親指、16…人差し指、17…指間、21,23…逆U字状植毛テープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の親指と人差し指の付根部の下面にそれぞれ接触される柔軟性を有する第1及び第2の指持上板と、該両指持上板の境界部の上面に連結され、かつ前記親指と人差し指の指間を拡幅する柔軟性を有する指間拡幅部とにより構成されていることを特徴とする足指用器具。
【請求項2】
請求項1において、前記指間拡幅部の上端部には後方に行くほど高くなるように傾斜する柔軟性を有する傾斜部が連結されていることを特徴とする足指用器具。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記両指持上板、指間拡幅部、傾斜部は、柔軟性を有する合成樹脂又は合成ゴムによって一体に形成されていることを特徴とする足指用器具。
【請求項4】
請求項3において、前記両指持上板、指間拡幅部及び傾斜部のショアA硬度は90〜80に設定されていることを特徴とする足指用器具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、前記第1の指持上板の厚さ寸法は、第2の指持上板の厚さ寸法よりも厚く形成されていることを特徴とする足指用器具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、前記両指持上板の下面には、靴の中敷の上面に設けられた逆U字状植毛テープに取り外し可能に接着される逆U字状植毛テープが接合されていることを特徴とする足指用器具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、前記第2の指持上板の端部には足の中指の付根部の下面に接触される第3の指持上板が連結され、前記第2の指持上板と第3の指持上板との境界部の上面には、人差し指と中指の指間を拡幅する指間拡幅部が連結されていることを特徴とする足指用器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−254680(P2009−254680A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109063(P2008−109063)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(508119415)
【出願人】(508119426)
【Fターム(参考)】