説明

足湯ユニット

【課題】温度や成分等の異なる複数の液中へ、利用者が移動することなく足を容易に浸すことができる簡易な足湯ユニットを提供すること。
【解決手段】利用者が足を交互に浸すことができるように隣接して配設された少なくとも二つの足浴用の浴槽11、12と、その二つの足浴用の浴槽11、12の双方に対して、利用者が腰を掛けた実質的に同一の位置から足を浸すことができるように配設された腰掛部30とを具備する。二つの足浴用の浴槽11、12の一方を温水槽21とし、他方を温水槽21よりも低温の水を貯留する冷水槽22とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足浴用の浴槽を有する足湯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、足を温水に浸す足湯が流行しており、温泉場を中心に足湯の浴場が設置されている。足を温水で暖めることで、簡易的な入浴効果がある。血行を良くして健康と美容に効果があるとされている。
温泉場等の固定された足湯の浴場に対し、複数の利用者が足湯をどこでも楽しむことができるように、移動式の足湯システムが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】登録実用新案第3124851号公報(要約、第1図)
【0003】
また、個人用の足湯ユニットとしては、360度回転し、座高に応じて調節自在な椅子の前面に温湯槽を配置し、その背面に冷水槽を配置したことを特徴とする足湯、冷水装置が開示されている(特許文献2参照)。この装置によれば、回転する椅子によって、離れて配置された温水槽と冷水槽との間で交互に足を浸すことができる。
【特許文献2】特開2005−288110号公報(要約、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
足湯ユニットに関して解決しようとする問題点は、温度や成分等の異なる水等を貯留させる複数の浴槽を、好適な位置関係に設置することが検討されていない点にある。従来の形態によれば、複数の浴槽が存在した場合、利用者自身が立ち上がって移動するか、座席を移動させることになり、利用しにくいか、施設が複雑化してしまう。
そこで、本発明の目的は、温度や成分等の異なる複数の液中へ、利用者が移動することなく足を容易に浸すことができる簡易な足湯ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、利用者が足を交互に浸すことができるように隣接して配設された少なくとも二つの足浴用の浴槽と、該二つの足浴用の浴槽の双方に対して、利用者が腰を掛けた実質的に同一の位置から足を浸すことができるように配設された腰掛部とを具備することを特徴とする。
また、本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、前記二つの足浴用の浴槽の一方を温水槽とし、他方を前記温水槽よりも低温の水を貯留する冷水槽としたことを特徴とすることができる。
【0006】
また、本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、前記腰掛部に腰を掛けた利用者に対する手前側の浴槽が下段となるように、前記二つの足浴用の浴槽が上下方向に段差を設けて配置されたことを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、下段側の浴槽を温水槽とし、上段側の浴槽を冷水槽としたことを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、上段側の浴槽の利用者に対する手前の一部分が、下段側の浴槽の上面に重なって配置されていることを特徴とすることができる。
【0007】
また、本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、少なくとも一方の浴槽について温水を供給するボイラーを装備したことを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、少なくとも一方の浴槽について温水及び/又は冷水を循環させる循環装置を装備したことを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、少なくとも一方の浴槽の内底に、足ツボを刺激する突起が設けられたことを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、前記二つの足浴用の浴槽と前記腰掛部とが、同一の土台部上に設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる足湯ユニットの一形態によれば、前記二つの足浴用の浴槽が矩形状に設けられ、前記腰掛部が矩形の長いす状に設けられていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる足湯ユニットによれば、簡易な構成であるが、温度や成分等の異なる複数の液中へ、利用者が移動することなく足を容易に浸すことができるという特別有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明にかかる足湯ユニットの最良の形態例を添付図面(図1〜5)と共に詳細に説明する。図1は本発明にかかる足湯ユニットの一形態を示す断面図である。図2は図1の足湯ユニットの側面図であり、図3は正面図、図4は平面図である。
また、図5は具体的な実施例の形態であって、木材によって構成された足湯ユニットの斜視図である。
【0011】
10、20は足浴用の浴槽(以下、「足浴槽」とも記す)であり、利用者が足を交互に浸すことができるように隣接して、少なくとも二つが配設されている。なお、隣接とは、連続して密接しているような状態に限定されず、十分に近い位置で離れて隣り合っている近接した状態なども含まれる。
30は腰掛部であり、二つの足浴用の浴槽11、12の双方に対して、利用者が腰を掛けた実質的に同一の位置から足を浸すことができるように配設されている。
二つの足浴槽11、12は、平面的に並べられて隣接されていても良いし、本形態例のように立体的に隣接されていてもよい。利用者が座った状態で足を伸ばして、その足をどちらの足浴槽11、12へも入れることができる位置関係に構成されていればよい。
なお、足浴槽の数は二つに限定されるものではなく、3以上とすることも可能である。
【0012】
この二つの足浴槽11、12の形態が好適に設けられていれば、腰掛部30は一体的に形成されることを要せず、他の用途のベンチや椅子を流用してもよい。この腰掛部30は、腰を下ろすことができ、二つの足浴用の浴槽11、12の双方に対して好適に隣接或いは近接した状態に配置されたものであればよい。つまり、隣接して設けられた少なくとも二つの足浴槽11、12の形態が、本発明による課題の解決に不可欠な構成要素となっている。
これによれば、利用者は実質的に移動することなく、両方の足浴槽11、12において、足を容易に温水等へ浸けることができる。
【0013】
また、二つの足浴槽11、12の一方を温水槽21とし、他方を温水槽21よりも低温の水を貯留する冷水槽22とすることができる。足を温水と冷水とへ交互に浸けることで、利用者の血管において拡張と収縮が交互に起こる。これにより、循環器系に好適な刺激を与えることができ、利用者の健康と美容に効果がある。
なお、温水と冷水という温度が異なる水(液体)に限らず、ハーブ湯や、泥湯のような成分の異なる液体をそれぞれの足浴槽11、12に入れてもよい。
【0014】
また、各図に示すように、腰掛部30に腰を掛けた利用者に対する手前側の浴槽11が下段となるように、二つの足浴槽11、12が上下方向に段差を設けて配置されている。つまり、利用者から離れた側の浴槽12が上段になっており、階段状に形成されている。
腰を掛けた利用者の足の動きは、脚の関節(膝関節及び股関節)の構造上、円弧を描く運動となる。このため、二つの足浴槽11、12が階段状に形勢されていると、どちらの足浴槽11、12へも、座ったままで足を好適に入れることができる。体全体を移動することなく、温水浴と冷水浴を交互に容易に繰り返すことができる。
なお、本形態例では、下段側の浴槽11を温水槽21とし、上段側の浴槽12を冷水槽22としてある。下段側の浴槽11が温水槽21であることで、利用者はより安定した姿勢で長い時間の温浴を楽しむことができる。
【0015】
また、本形態例では、上段側の浴槽12の利用者に対する手前の一部分が、下段側の浴槽11の上面に重なって配置されている。つまり、上段側の浴槽12の一部が、下段側の浴槽11にオーバーラップされた形態となっている。
このように、上段側の浴槽12が立体的に配置されていることで、利用者の足がとどきやすい形態となっている。また、オーバーラップした分、コンパクトに構成できる。さらに、下段側の浴槽11にあっては、利用者の前方へ向かっての占有面積を広く設けることができる。このため、利用者は、足のつま先について余裕をもって浸すことができる。
【0016】
また、少なくとも一方の浴槽11について温水を供給するボイラーを装備してもよい。
さらに、少なくとも一方の浴槽11について温水及び/又は冷水を循環させる配管とポンプ等からなる循環装置を装備してもよい。
ボイラーとしては、通常のお風呂に使用される温水器を配設することができる。その温水器の追炊き機能を利用すれば、水温の維持ができる。
また、循環流路の中に濾過槽を配置してもよい。その濾過槽によれば、水質を保持できると共に、高性能ヨウ素を含む濾材を用いることによって殺菌効果を得ることもできる。
なお、例えば温泉を利用すれば、温水を掛け流しにすることも可能であることは勿論である。また、冷水を掛け流しにしてよい。
【0017】
40は仕切り板であり、背面部に立設され、目隠し板となっている。
50は台部であり、ディスプレイ用のスペースとすることができる。例えば、この台部50の上面に、ミニ水車のオブジェを設置すれば、物理的健康効果に加えて目からの精神的癒し効果を得られる。
また、少なくとも一方の浴槽の内底に、足ツボを刺激する突起が設けてもよい。健康をより向上させる効果が期待できる。
【0018】
また、図1〜5に示した足湯ユニットでは、二つの足浴用の浴槽11、12と腰掛部30とが、同一の土台部60上に設けられている。従って、運搬するだけで簡単に設置できる。
さらに、本形態例の足湯ユニットは、軽トラックの荷台に載せることのできるサイズとなっている。従って、簡単に移動することができ、どこでも設置できる。
なお、足湯施設の大型化や運搬性向上の要請に対応するため、足湯ユニットを各パーツに分解可能とし、現地で組み立てる方式としてもよい。この組立式によっても、足湯ユニットを好適且つ容易に移動できる。
【0019】
また、図1〜5に示した足湯ユニットでは、二つの足浴用の浴槽11、12が横長の矩形状に設けられ、腰掛部30が矩形の長いす状に設けられている。つまり、複数の利用者が同時に使用できる長さの浴槽11、12と、腰掛部30としてのベンチから構成されている。
これによれば、製造しやすく、スペースを有効に活用できる設置しやすい角型形状となっている。特に、この角型の足湯ユニットは、複数を横方向へ並べて整然と設置できる。このように複数を連続的に配すれば、多数人に対応型の足湯施設を容易に設置することができる。
【0020】
また、木材で構成された各水槽には、特殊コーティングを施すことにより、その木材の表面を保護できると共に、水の浸透を防いで耐久性を大幅に向上できる。水がしみ込まないため、重くならず、運搬にも都合がよい。なお、足湯ユニットを構成する材料は、木材に限定されるものではなく、プラスチックや金属等の材質を採用できるのは勿論である。
【0021】
また、足湯ユニットの形状は、以上に説明したような角型に限らず、丸型や多角形型など、任意に設計することができる。その形態例として、丸型の足湯ユニットについて、図6及び図7に基づいて以下に説明する。図6は丸型足湯ユニットの斜視図であり、図7は図6の足湯ユニットの断面図である。なお、図6の腰掛部30aは半周分のみを記載してある。
図6及び図7に示すように、例えば、下段側の浴槽11aをリング状の温水槽21aとし、上段側の浴槽12aを円形の冷水槽22aとしてリング状の温水槽21aの中に配置することで、丸型の足湯ユニットを構成できる。
この構成でも、腰掛部30aに腰を掛けた利用者に対する手前側の浴槽11aが下段となるように、二つの足浴槽11a、12aが上下方向に段差を設けて配置されている。このため、前述した角型の足湯ユニットと同等の機能を発揮する。このような丸型や、多角形型とすれば、利用者は向き合って足湯ユニットを利用できるメリットがある。
【0022】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る足湯ユニットの一形態を示す断面図である。
【図2】図1の足湯ユニットの側面図である。
【図3】図1の足湯ユニットの正面図である。
【図4】図1の足湯ユニットの平面図である。
【図5】木材によって構成された足湯ユニットの斜視図である。
【図6】本発明に係る丸型足湯ユニットの一形態を示す斜視図である。
【図7】図6の足湯ユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0024】
11、12 浴槽
21 温水槽
22 冷水槽
30 腰掛部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が足を交互に浸すことができるように隣接して配設された少なくとも二つの足浴用の浴槽と、
該二つの足浴用の浴槽の双方に対して、利用者が腰を掛けた実質的に同一の位置から足を浸すことができるように配設された腰掛部とを具備することを特徴とする足湯ユニット。
【請求項2】
前記二つの足浴用の浴槽の一方を温水槽とし、他方を前記温水槽よりも低温の水を貯留する冷水槽としたことを特徴とする請求項1記載の足湯ユニット。
【請求項3】
前記腰掛部に腰を掛けた利用者に対する手前側の浴槽が下段となるように、前記二つの足浴用の浴槽が上下方向に段差を設けて配置されたことを特徴とする請求項1又は2記載の足湯ユニット。
【請求項4】
下段側の浴槽を温水槽とし、上段側の浴槽を冷水槽としたことを特徴とする請求項3記載の足湯ユニット。
【請求項5】
上段側の浴槽の利用者に対する手前の一部分が、下段側の浴槽の上面に重なって配置されていることを特徴とする請求項3又は4記載の足湯ユニット。
【請求項6】
少なくとも一方の浴槽について温水を供給するボイラーを装備したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の足湯ユニット。
【請求項7】
少なくとも一方の浴槽について温水及び/又は冷水を循環させる循環装置を装備したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の足湯ユニット。
【請求項8】
少なくとも一方の浴槽の内底に、足ツボを刺激する突起が設けられたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の足湯ユニット。
【請求項9】
前記二つの足浴用の浴槽と前記腰掛部とが、同一の土台部上に設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の足湯ユニット。
【請求項10】
前記二つの足浴用の浴槽が矩形状に設けられ、前記腰掛部が矩形の長いす状に設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の足湯ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−86674(P2008−86674A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273510(P2006−273510)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(598131797)
【Fターム(参考)】