説明

足用マッサージ機

【課題】押圧マッサージだけでなく、捻りマッサージを施すことができる足用マッサージ機を提供する。
【解決手段】制御手段により回転及び停止の制御が可能な駆動手段40と、駆動手段により回転可能な回転軸44と、該回転軸に所定間隔を存して配備された左右の足先用マッサージ手段50,50であって、左右の足先用マッサージ手段は夫々、回転軸に一対ずつ配備され、回転軸に対して傾斜する外周部を有する傾斜軸部54,64と、各傾斜軸部に回動自在に軸支され、間に被施療者の足先を挿入することで足先をマッサージするマッサージプレート51,61と、該マッサージプレートが回転軸と一体に回転することを阻止するストッパ57,67と、を有する足先用マッサージ手段と、を具えた足用マッサージ機において、各足先用マッサージ手段は、左右のマッサージプレートの位相が対称とならないように、傾斜軸部の傾斜角度をずらして構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の足先をマッサージすることのできる足用マッサージ機に関するものであり、より具体的には、被施療者の足先の側部を一対のマッサージプレートにてマッサージすることのできる足用マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の足先(被施療者の足のくるぶしより下側)にマッサージを施す足用マッサージ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の足用マッサージ機は、被施療者の足先を挿入する左右一対の凹部を有し、各凹部の側部内壁に夫々被施療者の足先の側部をマッサージするマッサージプレートを配し、凹部の底面に揺動可能な足裏プレートを配備している。
【0003】
マッサージプレートは、凹部の下方に配備された左右方向に延びる回転軸に対し、長手方向が互いに逆向きに傾斜した状態で取り付けられており、回転軸を回転して、左右一対のマッサージプレートを対称に揺動することで接近離間させて、マッサージプレートにより被施療者の足先を両側から挟み込むことにより、足先を押圧マッサージするようにしている。
【0004】
また、足裏プレートは、一端側の裏面をバネにより上下動可能に支持し、他端側の裏面に偏心したローラを当接させ、該ローラを偏心支持する回転軸により回転させて、足裏プレートを傾動させることで、被施療者の足裏を押圧マッサージするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−665公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
左右一対のマッサージプレートは、上記の如く対称に揺動するから、一方のマッサージプレートが足から離れる側(開く側)に移動すると、他方のマッサージプレートも開く側に移動する。逆に、一方のマッサージプレートが足に近づく側(閉じ側)に移動すると、他方のマッサージプレートも閉じ側に移動する。
このため、被施療者の足先に作用するマッサージ力は、左右対称であるため、足首を捻るようなマッサージを受けることはできず、マッサージ動作が単調となりがちである。
【0007】
マッサージ終了後は、被施療者の脚の抜き差しを行ない易くするために、マッサージプレートを回転軸に対してほぼ垂直、即ち、すべてのマッサージプレートが平行となる状態で停止させている。
しかしながら、一般的に、人の足は自然な状態では、つま先側が若干広がっているため(逆ハの字型)、自然な状態で足先を凹部に挿入するには、マッサージプレートのつま先側が若干外側に広がった逆ハの字型とすることが望まれる。
【0008】
本発明の目的は、マッサージプレートにより被施療者の足先をマッサージする足用マッサージ機において、押圧マッサージだけでなく、捻りマッサージを施すことができるようにすることである。
また、本発明の目的は、足用マッサージ機に被施療者が足先を抜き差しし易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の足用マッサージ機は、
制御手段により回転及び停止の制御が可能な駆動手段と、
駆動手段により回転可能な回転軸と、
該回転軸に所定間隔を存して配備された左右の足先用マッサージ手段であって、
左右の足先用マッサージ手段は夫々、回転軸に一対ずつ配備され、回転軸に対して傾斜する外周部を有する傾斜軸部と、
各傾斜軸部に回動自在に軸支され、間に被施療者の足先を挿入することで足先をマッサージするマッサージプレートと、
該マッサージプレートが回転軸と一体に回転することを阻止するストッパと、を有する足先用マッサージ手段と、
を具えた足用マッサージ機において、
各足先用マッサージ手段は、左右のマッサージプレートの位相が対称とならないように、傾斜軸部の傾斜角度をずらして構成される。
【0010】
各足先用マッサージ手段の傾斜軸部は、マッサージプレートの位相が90度ずれるように回転軸に配備することが望ましい。
【0011】
また、制御手段は、各足先用マッサージ手段のマッサージプレートが、足先側が外側に向けて開いた状態で停止するよう駆動手段を制御することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の足用マッサージ機によれば、各足先用マッサージ手段の左右のマッサージプレートの位相は、左右対称ではないので、単調なマッサージとはならず、足先に左右へ揺らすような動きを与えて、飽きのこないマッサージを施すことができる。
【0013】
例えば、マッサージプレートの位相が90度ずれるようにすることで、後述するとおり、左右のマッサージプレートは、被施療者の足先を押圧マッサージするだけでなく、つま先側を左右に振るよう揺動させることができ、足先を足首に対して捻るマッサージを施すことができ、一層血行を促進させてマッサージ効果を向上させることができる。
【0014】
足用マッサージ機の停止時に、足先用マッサージ手段のマッサージプレーが、足先側が外側に開いた状態(逆ハの字型)で停止するように、駆動手段を制御することで、被施療者は、自然な状態で足先を足先用マッサージ手段(左右のマッサージプレート間)に抜き差しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の足用マッサージ機の斜視図である。
【図2】上カバーを取り外した足用マッサージ機の斜視図である。
【図3】図2の足用マッサージ機に被施療者の足先を挿入した状態を示す斜視図である。
【図4】上カバーを取り外した足用マッサージ機の平面図である。
【図5】図4の線A−Aに沿う断面図である。
【図6】マッサージプレートの動きを模式化して示す説明図である。
【図7】足裏用マッサージ手段の動きを示す断面図である。
【図8】足裏用マッサージ手段の動きを示す断面図である。
【図9】足先を前方に移動させて足裏用マッサージ手段によるマッサージを受けている状態を示す断面図である。
【図10】足先を前方に移動させて足裏用マッサージ手段によるマッサージを受けている状態を示す断面図である。
【図11】図1の線C−Cを含む垂直面内で断面し、矢印方向に見た拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の足用マッサージ機(10)の斜視図である。図に示すように、足用マッサージ機(10)は、被施療者の足先を挿入する左右一対の凹部(21)(21)の開口縁(22)(22)を形成する上カバー(20)と、該上カバー(20)と上下対になり、床面に載置される下カバー(30)からなるケーシング(12)を有する。
【0017】
凹部(21)(21)は、つま先側及び上側が開口しており、開口縁(22)(22)には伸縮性の布カバー(23)(23)が施されいる。
【0018】
上カバー(20)には、凹部(21)(21)間に操作を行なうための操作部(24)が配備されている。
また、上カバー(20)の開口縁(22)(22)の前端には、被施療者が足裏を前後させることで被施療者に指圧効果を与える複数の指圧突起(25)(25)が形成されている。
【0019】
ケーシング(12)の内部には、マッサージ手段(50)(70)が夫々左右に配備され、操作部(24)からの操作により所定のプログラム動作、タイマー動作等によりマッサージ手段(50)(70)を駆動させて、被施療者の足先及び足裏にマッサージを施す。
【0020】
以下の実施例では、マッサージ手段として、被施療者の足先を側面から押圧すると共に、つま先側を左右に揺動させる捻りマッサージを施す足先用マッサージ手段(50)と、被施療者の足裏を指圧及び/又はローリングマッサージする足裏用マッサージ手段(70)を具えた足用マッサージ機(10)について説明する。
なお、足裏用マッサージ手段(70)は、被施療者の足裏の土踏まずを指圧及びローリングマッサージする第1足裏用マッサージ手段(71)と、被施療者の足裏のつま先側を押圧マッサージする第2足裏用マッサージ手段(81)から構成する。
しかしながら、マッサージ手段はこれら構成に限定されるものではないことは勿論である。
【0021】
図2乃至図4は、前記上カバー(20)を取り外した状態を示している。図に示すように、ケーシング(12)の内部には、左右一対の足先用マッサージ手段(50)(50)及び足裏用マッサージ手段(70)(70)と、各マッサージ手段(50)(70)が連繋される回転軸(44)と、該回転軸(44)を回転させる駆動手段(40)を具える。
【0022】
駆動手段(40)は、モータ(41)を例示することができ、図2乃至図4に示すように、下カバー(30)の中央後端側に駆動軸(図示せず)が前方に向けて延びるように配置される。
モータ(41)の駆動軸は、モータ(41)の前方に配置された減速機構(図示せず)に連繋されており、該減速機構は、回転軸(44)に嵌められた大径のギア(43)(図5参照)に噛合している。なお、ギア(43)は、図2〜図4のギアボックス(43a)に収容されている。
モータ(41)は、操作部(24)の操作を受けて、ケーシング(12)内の適所に配置された制御手段(図示せず)の命令により正転又は逆転する。
【0023】
回転軸(44)は、図5に示すように、中央にギア(43)が配置されており、中央側から順に、足先用マッサージ手段(50)の内側マッサージプレート(51)用の内側傾斜軸部(54)、足裏用マッサージ手段(70)の第1足裏用マッサージ手段(71)、足裏用マッサージ手段(70)の第2足裏用マッサージ手段(81)用の偏心軸(82)、足先用マッサージ手段(50)の外側マッサージプレート(61)用の外側傾斜軸部(64)が嵌められており、両端は下ケーシング(12)に設けられた軸受(45)(45)に軸支されている。
また、回転軸(44)には、エンコーダ(46)(46)が配備されており、該エンコーダ(46)の出力に基づいて、制御手段(図示せず)は、回転軸(44)の停止位置を制御することができる。
【0024】
内側傾斜軸部(54)及び外側傾斜軸部(64)は、図5に示すように、回転軸(44)と一体回転するように回転軸(44)に嵌着された傾斜軸筒(55)(65)と該傾斜軸筒(55)(65)と同じ傾斜角で傾斜し、マッサージプレート(51)(61)をスムーズに揺動させるためにマッサージプレート(51)(61)との当たり面を大きくした大径傾斜部(56)(66)を有する。傾斜軸筒(55)(65)は、回転軸(44)に対して傾斜する外周部を有し、この外周部に後述するようにベアリングを介してマッサージプレート(51)(61)が回転自在に嵌め込まれている。
【0025】
内側傾斜軸部(54)と外側傾斜軸部(64)は、後述するマッサージプレート(51)(61)の位相が左右対称とはならず、左右非対称となるように位相をずらして回転軸(44)に取り付ける。これにより、左右のマッサージプレート(51)(61)の動きが単調とはならず、施されるマッサージに変化を与えることができる。詳細については、後述する。
【0026】
内側傾斜軸部(54)及び外側傾斜軸部(64)には、夫々、足先用マッサージ手段(50)を構成する左右一対のマッサージプレート(51)(61)が嵌められている。マッサージプレート(51)(61)は、側面から見ると略扇形形状のものを例示することができ、扇の要と対応する位置にて夫々傾斜軸筒(55)(65)にベアリング(47)(47)を介して回動自在に嵌まっている。
マッサージプレート(51)(61)の後端側には、被施療者の足首を受ける凹み(52)(62)が形成されており、該凹み(52)(62)のやや前方の上端近傍には、被施療者の足の甲を押圧する突起(53)(63)が形成されている。
また、マッサージプレート(51)(61)は、夫々傾斜軸筒(55)(65)に隣接して設けられた前記大径傾斜部(56)(66)と当接して、マッサージプレート(51)(61)の揺動をぐらつくことなくスムーズにできるようにしている。
【0027】
さらに、マッサージプレート(51)(61)は、回転軸(44)と一体回転しないように、図5に示すように、マッサージプレート(51)(61)の下端にストッパ(57)(67)が突設されている。該ストッパ(57)(67)は、下ケーシング(12)に形成された溝(31)(31)に嵌まっており、マッサージプレート(51)(61)が回転軸(44)に追従して回転しないようにしている。
【0028】
前記内側傾斜軸部(54)と外側傾斜軸部(64)は、マッサージプレート(51)(61)の位相が、90度ずれるように回転軸(44)に取り付けられることが望ましい。これにより、マッサージプレート(51)(61)により、被施療者の足先を押圧マッサージするだけでなく、つま先側を左右に振るよう揺動させることができ、足先を足首に対して捻るマッサージを施すことができる。例えば、内側傾斜軸部(54)と外側傾斜軸部(64)は、内側のマッサージプレート(51)が外側のマッサージプレート(61)に対して90度進む方向にずれるように、回転軸(44)に取り付けると、先に内側のマッサージプレート(51)により被施療者の足先を外側へ押圧した後、外側のマッサージプレート(61)により足先が内側へ押圧され、その結果、つま先側を足首を中心に左右に揺動させることができ、一層の血行促進につながる。
また、後述するとおり、マッサージ終了時に、マッサージプレート(51)(61)を図4に示すようにつま先側が開いた状態で停止させることができる。
足先用マッサージ手段(50)の動作については、図6を用いて後述する。
【0029】
回転軸(44)は、大径傾斜部(56)(66)間に、図2、図4及び図5に示すように、被施療者の足裏を押圧及び/又はローリングマッサージする足裏用マッサージ手段(70)を有する。
足裏用マッサージ手段(70)は、被施療者の土踏まずを指圧及びローリングマッサージする第1足裏用マッサージ手段(71)と、被施療者の足裏のつま先側を指圧マッサージする第2足裏用マッサージ手段(81)から構成することができる。
【0030】
第1足裏用マッサージ手段(71)は、回転軸(44)と一体回転可能に配備され、凹部(21)に被施療者が足先を挿入したときに、被施療者の土踏まずに当たる位置、即ち、図2、図4乃至図8に示すように、内側のマッサージプレート(51)側に配備される。第1足裏用マッサージ手段(71)として、回転軸(44)と一体回転可能な円板体(72)とし、周面に複数(実施例では180度対称位置に2個)の指圧ローラ(73)(73)が回転自在に円板体(72)に嵌まっている。
指圧ローラ(73)(73)は、指圧効果を高めるために、図示のように周面に突起を形成することが望ましい。また、指圧ローラ(73)(73)は、前記足先用マッサージ手段(50)のマッサージプレート(51)(61)どうしの間隔が狭くなったときに、土踏まずに指圧力を与えるように、円板体(72)に配備することが望ましい。
第1足裏用マッサージ手段(71)は、回転軸(44)と一体に回転して、後述するとおり、指圧ローラ(73)(73)が被施療者の土踏まずを指圧及びローリングマッサージする(図7及び図8参照)。
【0031】
第2足裏用マッサージ手段(81)は、図2、図4及び図5に示すように、第1足裏用マッサージ手段(71)と外側傾斜軸部(64)の大径傾斜部(66)との間に設けられる。第2足裏用マッサージ手段(81)は、図5、図7及び図8に示すように、回転軸(44)に対して偏心且つ一体回転可能に配備された偏心軸(82)と、該偏心軸(82)に基端側が回転自在に嵌まり、先端側が前方に向けて延びるマッサージクランク(83)を具える。実施例では、偏心軸(82)は、円板体(72)と一体になっている。
【0032】
マッサージクランク(83)は、先端側上面に複数列の押圧ローラ(84)(84)(84)が回転自在に嵌められており、該押圧ローラ(84)(84)(84)の下側で、図2、図4、図7及び図8に示すように、下カバー(30)にリンク片(85)を介して接続され、揺動範囲を規制されている。リンク片(85)は、偏心軸(82)が回転軸(44)と一体に回転したときに、図7及び図8に示すように、マッサージクランク(83)の先端が上向きに突出した後、ほぼ水平の位置まで後退する長さに調節することが望ましい。
【0033】
また、偏心軸(82)は、図7に示すように、第1足裏用マッサージ手段(71)の指圧ローラ(73)が被施療者の足裏を指圧する際に、同時に第2足裏用マッサージ手段(81)の押圧ローラ(84)が被施療者の足先に最も強く当接するように、回転軸(44)に対して角度を調節して配備することが望ましい。
【0034】
上記第1足裏用マッサージ手段(71)及び第2足裏用マッサージ手段(81)の動作については後述する。
【0035】
また、下カバー(30)の後端側には、被施療者が足先を凹部(21)に挿入したときに、被施療者の踵を受ける踵当たり部(32)(32)が設けられている。踵当たり部(32)(32)は、踵を安定して受けることができるように前面の中央が凹んでおり、踵の足裏側を載せる受け面(33)が形成されている。
【0036】
上記構成の足用マッサージ機(10)によるマッサージ動作について説明する。
足先用マッサージ手段(50)は、後述するマッサージ終了時に、図4に示すように、マッサージプレート(51)(61)の先端側が若干外側に開いた状態(後端側から見て逆ハの字状)で停止するように調整されている。詳細は後述する。
【0037】
この状態で、図3に示すように、被施療者が足先を凹部(21)(21)に挿入する(図では説明のために上カバー(20)を取り外している)。なお、上記のように、マッサージプレート(51)(61)の先端側が逆ハの字状に開いているから、被施療者は、自然な足の状態、即ち、若干つま先を開いた状態で凹部(21)(21)に足先を挿入することができる。
【0038】
被施療者が足先を凹部(21)(21)に挿入し、踵当たり部(32)に踵を当てた状態で、操作部(24)を操作することにより、足用マッサージ機(10)が作動を開始する。
操作部(24)の操作命令は、制御手段(図示せず)に送信され、制御手段は、操作命令に応じた回転速度(例えば速、中、遅)、回転方向(正転、逆転)を組み合わせて、駆動手段(40)であるモータ(41)を回転駆動させる。モータ(41)の回転は、減速機構(図示せず)を介して回転軸(44)に伝達され、回転軸(44)が回転する。
回転軸(44)に配備されたエンコーダ(46)は、回転軸(44)の回転を検知し、回転軸(44)の回転角度をエンコーダパルスとして制御手段に送信する。従って、制御手段は、回転軸(44)の角度位置を判別して、モータ(41)の正転、逆転のタイミングを判断したり、マッサージ終了後の停止位置を調整することができる。
【0039】
まず、足先用マッサージ手段(50)のマッサージ動作について説明する。
上記したとおり、足先用マッサージ手段(50)の左右各一対のマッサージプレート(51)(61)は、位相をずらして回転軸(44)に取り付けられているから(以下の説明では、位相のずれは、内側マッサージプレート(51)が外側マッサージプレート(61)に対して、回転軸(44)を正転させたときに、90度進んだ例について説明する)、マッサージプレート(51)(61)は、被施療者の足先に対して左右対称の押圧力を付与するのではなく、内側マッサージプレート(51)が外側マッサージプレート(61)に対して先行して押圧力を付与する。
【0040】
図6は、マッサージプレート(51)(61)の角度変化を模式的に表した図である。マッサージプレート(51)(61)は、モータ(41)を正転させることにより、図6(a)〜図(d)の状態を繰り返す。図6(a)〜(d)は、回転軸(44)が90度ずつ正転した状態の模式図である。
【0041】
図6(a)は、内側マッサージプレート(51)が前後方向にほぼ平行であり、外側マッサージプレート(61)は先端側が外側に開いた状態を示している。
回転軸(44)が図6(a)から90度正転すると、内側マッサージプレート(51)は、先端が外側(中央から離れる側)に揺動し、外側マッサージプレート(61)は、前後方向にほぼ平行な状態となる。図6(b)のように、内側マッサージプレート(51)と外側マッサージプレート(61)の先端の距離が短くなることで、被施療者の足先のつま先側に両側から強い押圧力が加えられる。また、被施療者の足先は、つま先側が内側マッサージプレート(51)により外側に押し出されるから、足先は足首を中心としてつま先を外側に捻られる。
【0042】
図6(b)の状態から、さらに回転軸(44)が90度正転すると、図6(c)に示すように、内側マッサージプレート(51)は、前後方向にほぼ平行な状態に戻り、外側マッサージプレート(61)は、先端が内側に揺動する。これにより、被施療者の足先は、内側マッサージプレート(51)と外側マッサージプレート(61)に挟まれて、両側から強い押圧力を受ける。また、被施療者の足先は、前後方向にほぼ水平な内側マッサージプレート(51)に沿うように、図6(b)の状態からほぼ真っ直ぐな状態にまで捻られる。
【0043】
図6(c)の状態から、さらに回転軸(44)が90度正転すると、図6(d)に示すように、内側マッサージプレート(51)は、先端が内側(中央に近づく側)に揺動し、外側マッサージプレート(61)は、前後方向にほぼ平行な状態に戻る。これにより、被施療者の踵側に内側マッサージプレート(51)と外側マッサージプレート(61)の押圧力が作用する。また、被施療者の足先は、前後方向にほぼ真っ直ぐな状態から、つま先側が内に向くように捻られる。
【0044】
図6(d)の状態から、さらに回転軸(44)が90度回転すると、図6(a)に示す状態に戻り、被施療者の足先は、前後方向にほぼ真っ直ぐな状態まで捻りが戻される。
【0045】
上記を繰り返すことにより、被施療者の足先に両側からの押圧マッサージと、足先の捻りマッサージを施すことができる。
【0046】
なお、マッサージ終了時の停止位置(図4)は、図6(a)から図6(b)への移行途中に出現し、制御手段は、操作命令等によりモータ(41)を停止する際に、エンコーダ(46)からのエンコーダパルスに基づいて、図4の位置でモータ(41)が停止するようにすればよい。
【0047】
足先用マッサージ手段(50)の押圧、捻りマッサージと併せて、図6(a)〜(d)、図7及び図8に示すように、足裏用マッサージ手段(70)が被施療者の足裏に作用する。
【0048】
足裏用マッサージ手段(70)の第1足裏用マッサージ手段(71)は、円板体(72)の回転により、指圧ローラ(73)(73)が被施療者の土踏まずを指圧及びローリングマッサージする(図6(a)〜図6(d)、図7及び図8参照)。
指圧ローラ(73)が、被施療者の足裏(土踏まず)側に突出してくると共に、被施療者の足先は、足先用マッサージ手段(50)によって捻り方向の回転力を受けるから、指圧ローラ(73)は、土踏まずに対して、円板体(72)の回転に伴う前後及び上下方向の指圧及びローリングマッサージだけでなく、左右方向を含めた広い範囲に指圧及びマッサージ力を与えることができる。
【0049】
足裏用マッサージ手段(70)の第2足裏用マッサージ手段(81)は、偏心軸(82)の偏心回転により、マッサージクランク(83)が先端の押圧ローラ(84)(84)(84)を円弧軌跡(図7及び図8中、矢印Bで示す)を描きながら上下に突き上げる。これにより、被施療者の足裏のつま先側に押圧マッサージが施される。
このとき、被施療者の足先は、足先用マッサージ手段(50)によって捻り方向の回転力を受けるから、押圧ローラ(84)は、足裏のつま先に対して、上下方向の押圧マッサージだけでなく、左右方向を含めた広い範囲に押圧マッサージを施すことができる。
なお、押圧ローラ(84)は、実施例では3個左右に並べているが、つま先側の足裏の骨格に合うように、外側の押圧ローラほど、後方(踵側)へ位置ししている。
【0050】
上記足先用マッサージ手段(50)及び足裏用マッサージ手段(70)のマッサージ効果をより高めるために、足先用マッサージ手段(50)のマッサージプレート(51)(61)による挟み力と、第1足裏用マッサージ手段(71)の指圧ローラ(73)、第2足裏用マッサージ手段(81)の押圧ローラ(84)は、同時に被施療者の足先に作用させることが望ましい(図6(b)、図7の状態)。
これにより、何れかを順に被施療者の足先に作用させた場合に比べて、極めて高いマッサージ効果を得ることができる。特に、マッサージプレート(51)(61)の挟み力により足先が浮き上がらないので、足裏マッサージ手段(71)(81)によるマッサージを効果的に作用させることができる。
【0051】
上記のように、同時にマッサージ力を被施療者の足先に作用させるようにした場合、足先用マッサージ手段(50)のマッサージプレート(51)(61)の間隔が広がっているとき(例えば図6(d)、図8の状態)、第1足裏用マッサージ手段(71)の他方の指圧ローラ(73)が土踏まずにマッサージを施す。これにより、土踏まずに開放感のある軽いマッサージを施すことができる。
【0052】
図9及び図10は、本発明の足用マッサージ機(10)の異なる使用例である。図に示すように、被施療者は、踵当たり部(32)よりも少し前方に足先を移動させて、足裏用マッサージ手段(70)による足裏のマッサージを受けることもできる。
【0053】
図に示すように、被施療者の足先を前方に移動させることにより、被施療者の踵を第1足裏用マッサージ手段(71)により押圧マッサージし、土踏まずを第2足裏用マッサージ手段(81)により押圧マッサージする。
また、被施療者の足先は、上カバー(20)に形成された指圧突起(25)により指圧マッサージすることができる。
【0054】
なお、マッサージプレート(51)(61)と上カバー(20)の開口縁(22)(22)との間に異物(例えば布カバー(23))が挟み込まれないようにするために、マッサージプレート(51)(61)の上端を図11に示すようにゴム等の弾性部材(68)から構成することが望ましい。なお、図11は、外側マッサージプレート(61)の断面図であるが、内側マッサージプレート(51)にも同様に弾性部材を配備すればよい。
これにより、例え、マッサージプレート(51)(61)と開口縁(22)(22)との間に異物が挟み込まれても、弾性部材(68)の弾性力により、異物が噛み込んでしまうこともない。
【0055】
上記のように、足先の位置を前後に動かすことで、被施療者の所望に応じて種々のバリエーションのあるマッサージを足先に提供することができる。
【0056】
以上の実施例では、マッサージプレート(51)(61)が略扇形形状をしている関係上、回転軸(44)と一体に回転しないようにストッパ(57)(67)を設けているが、マッサージプレートが、例えば特開平11−267168号公報等で周知の円形のものであって、且つ、足先をこの円形のマッサージプレート間に挟んだ場合に、足先が抵抗となって円形のマッサージプレートの回転が阻止される構造のものであれば、ストッパ(57)(67)は設けなくてもよい。
要は、左右のマッサージプレートの傾斜軸部の位相が非対称であればよく、ストッパの有無に関係なく、同様の押圧マッサージに捻りマッサージを加えたマッサージ効果を得ることができる。本願請求項4は、上記のことを述べている。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、被施療者の足先に効果的なマッサージを施すことのできる足用マッサージ機として有用である。
【符号の説明】
【0058】
(10) 足用マッサージ機
(40) 駆動手段
(44) 回転軸
(50) 足先用マッサージ手段
(51) 内側マッサージプレート
(54) 内側傾斜軸部
(57) ストッパ
(61) 外側マッサージプレート
(64) 外側傾斜軸部
(67) ストッパ
(70) 足裏用マッサージ手段
(71) 第1足裏用マッサージ手段
(81) 第2足裏用マッサージ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御手段により回転及び停止の制御が可能な駆動手段と、
駆動手段により回転可能な回転軸と、
該回転軸に所定間隔を存して配備された左右の足先用マッサージ手段であって、
左右の足先用マッサージ手段は夫々、回転軸に一対ずつ配備され、回転軸に対して傾斜する外周部を有する傾斜軸部と、
各傾斜軸部に回動自在に軸支され、間に被施療者の足先を挿入することで足先をマッサージするマッサージプレートと、
該マッサージプレートが回転軸と一体に回転することを阻止するストッパと、を有するマッサージ手段と、
を具えた足用マッサージ機において、
各足先用マッサージ手段は、左右のマッサージプレートの位相が対称とならないように、傾斜軸部の傾斜角度をずらしたことを特徴とする足用マッサージ機。
【請求項2】
各足先用マッサージ手段の傾斜軸部は、マッサージプレートの位相が90度ずれるように回転軸に配備される請求項1に記載の足用マッサージ機。
【請求項3】
制御手段は、各足先用マッサージ手段のマッサージプレートが、足先側が外側に向けて開いた状態で停止するよう駆動手段を制御する請求項2に記載の足用マッサージ機。
【請求項4】
制御手段により回転及び停止の制御が可能な駆動手段と、
駆動手段により回転可能な回転軸と、
該回転軸に所定間隔を存して配備された左右の足先用マッサージ手段であって、
左右の足先用マッサージ手段は夫々、回転軸に一対ずつ配備され、回転軸に対して傾斜する外周部を有する傾斜軸部と、
各傾斜軸部に回動自在に軸支され、間に被施療者の足先を挿入することで足先をマッサージするマッサージプレートと、を有するマッサージ手段と、
を具えた足用マッサージ機において、
各足先用マッサージ手段は、左右のマッサージプレートの位相が対称とならないように、傾斜軸部の傾斜角度をずらしたことを特徴とする足用マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−135969(P2011−135969A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296721(P2009−296721)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】