説明

跨座式モノレール用軌道桁の肩部ブロック及び肩部ブロックの施工方法

【課題】跨座式モノレール用軌道桁の肩部に設けられた凹溝が歪んでいる場合でも該凹溝内に容易にセットすることが可能な肩部ブロック、及び凹溝と肩部ブロックとの間の空隙に裏込め注入材を容易に注入することが可能な肩部ブロックの施工方法を提供する。
【解決手段】軌道桁の肩部に設けられた凹溝15内に設置される肩部ブロック20の断面が凹溝15と同じ形状とされ、凹溝15の側面12aに面する肩部ブロック20の内側面20iの幅方向両縁の角部20a及び凹溝15の底面13aに面する肩部ブロック20の下面20dの幅方向両縁の角部20aが面取りされ、肩部ブロック20の上面20uと肩部ブロック20の外側面20eの交差部を切り欠いて形成された管体敷設溝22の隅角部22aがアール状とされている。また、肩部ブロック20の下面20dに形成されたスタッドジベル16用の穴23の平断面が凹溝15の延在方向に長い楕円とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、跨座式モノレール用軌道桁(以下では、単に「軌道桁」と呼ぶこともある。)の肩部に設けられた凹溝内に設置され、跨座式モノレールの制御に使用されるループ線を防護する自動列車制御装置(以下では、「ATC」と呼ぶこともある。)用管体が敷設される肩部ブロック及び肩部ブロックの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体が軌道に跨った状態で走行する跨座式モノレールでは、ATC用管体は以下の方法により軌道桁に敷設されていた。即ち、軌道桁の肩部に設けた凹溝内に鉛直スタッドジベルと水平スタッドジベルを植設し、凹溝内に配設した横筋を鉛直スタッドジベルと水平スタッドジベルに固定する。そして、横筋にATC用管体支持金具を溶接した後、ATC用管体支持金具にATC用管体を取り付け、凹溝には、非磁性素材であるエポキシ樹脂モルタルを充填する。
【0003】
しかし、ATC用管体支持金具と横筋との溶接部は、他の部位に比べて集中的に応力を受けるうえ、エポキシ樹脂モルタル自体の強度が高くないため、ATC用管体支持金具の取り付け部位にクラックが集中的に発生するという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1及び2では、跨座式モノレール用軌道桁の肩部に設けられた凹溝と等しい断面形状と、凹溝の底面に間隔をあけて植設されたスタッドジベル間の間隔より短い長さとを有し、その下面に一端から他端に向けて全長の約半分の長さで伸延するスタッドジベル嵌入用の溝が形成されると共に、ATC用管体が敷設される溝が肩部に形成された自動列車制御装置用管体布設ブロックの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−189001号公報
【特許文献2】特開平11−200302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
跨座式モノレール用軌道桁10の肩部に設けられた凹溝15は、軌道桁10を構成する走行板11、側板12、底板13、及び案内板14をそれぞれ隅肉溶接することにより形成されている(図8参照)。そのため、走行板11及び案内板14が、図8の2点鎖線で示したように、溶接歪により凹溝15側に歪んでいることが多く、特許文献1及び2に記載されたブロック50を凹溝15内にセットできないという問題があった。
【0007】
また、ブロック50を凹溝15内に嵌入できたとしても、凹溝15とブロック50との間の空隙に充填する裏込め注入材の粘度が高いため、裏込め注入材を前記空隙に注入できないという問題もあった。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、跨座式モノレール用軌道桁の肩部に設けられた凹溝が歪んでいる場合でも該凹溝内に容易にセットすることが可能な肩部ブロック、及び凹溝と肩部ブロックとの間の空隙に裏込め注入材を容易に注入することが可能な肩部ブロックの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明は、跨座式モノレール用軌道桁の肩部に設けられた凹溝内に設置され、跨座式モノレールの制御に使用されるループ線を防護するATC用管体が敷設される肩部ブロックの発明であって以下の特徴を有している。なお、本明細書では、肩部ブロックの延在方向を肩部ブロックの「長手方向」とする。
(A)前記凹溝と同じ断面形状を有し、前記凹溝の側面に面する該肩部ブロックの内側面及び前記凹溝の底面に面する該肩部ブロックの下面の各幅方向両縁角部が面取りされると共に、前記ATC用管体を敷設するために、該肩部ブロックの上面と外側面の交差部を切り欠いて形成された管体敷設溝の隅角部がアール状とされている。
(B)前記凹溝の底面に植設されたスタッドジベルを挿入するために前記下面に形成された穴の平断面が前記凹溝の延在方向に長い楕円とされている。
【0010】
上記構成による各作用効果は以下の通りである。
(a)肩部ブロックの内側面及び下面の各幅方向両縁角部が面取りされているので、軌道桁の凹溝が歪んでいる場合でも該凹溝内に肩部ブロックを容易にセットすることができる。また、ATC用管体が敷設される管体敷設溝の隅角部をアール状として管体支持面としているので、特許文献1及び2に記載されているアングル部材を管体敷設溝に装着する必要がない。
(b)軌道桁の凹溝内に肩部ブロックを容易にセットすることができるので、従来のように、スタッドジベルを溝に挿入して溝奥までブロックを押し込んで埋込ブロックで該溝を塞ぐ必要が無く、スタッドジベルが挿入される穴の平断面を楕円として施工の容易化及び精度の向上を図ることができる。
【0011】
また、第2の発明は、跨座式モノレール用軌道桁の肩部に設けられた凹溝内に、第1の発明に係る肩部ブロックを施工する方法であって、
前記凹溝に配置された前記肩部ブロックと該凹溝との間に形成される空隙に注入する裏込め注入材が主剤と硬化剤からなり、前記空隙に前記裏込め注入材を注入する注入ノズルに向けて第1の配管を介して前記主剤を加温しながら送給すると共に、前記注入ノズルに向けて第2の配管を介して前記硬化剤を加温しながら送給し、加温された前記主剤と加温された前記硬化剤を混練して前記注入ノズルから前記空隙に注入することを特徴としている。
【0012】
第2の発明では、裏込め注入材の成分である主剤と硬化剤をそれぞれ加温しておき、注入ノズルに送入する直前に主剤と硬化剤を混練して注入ノズルから空隙に注入するので、粘度が高い裏込め注入材でも容易に空隙に注入することができる。
【0013】
また、第2の発明に係る肩部ブロックの施工方法では、前記肩部ブロックの上面の位置を跨座式モノレールの走行面から下方に3mm以下ゼロmm超に調整すると共に、前記肩部ブロックの外側面の位置を跨座式モノレールの案内面から前記凹溝側に2mm以下に調整することが望ましい。
【0014】
跨座式モノレールの走行輪を支持する走行面に雨水が溜まらないように、肩部ブロックの上面の位置は、走行面から下方とすることが望ましい。一方、肩部ブロックの上面の位置が、走行面から下方に3mm超となると、肩部ブロックと凹溝との間の空隙が狭くなり過ぎて、裏込め充填材の充填が不十分となる。
また、肩部ブロックの外側面は、跨座式モノレールの案内輪と接触しないように、案内面から凹溝側にセットバックさせることが望ましい。一方、肩部ブロックの外側面の位置が、案内面から凹溝側に2mm超となると、肩部ブロックと凹溝との間の空隙が狭くなり過ぎて、裏込め充填材の充填が不十分となる。
【0015】
また、第2の発明に係る肩部ブロックの施工方法では、大気に露出する前記肩部ブロックの外表面にフッ素樹脂塗料又はウレタン樹脂系塗料を塗布することが好ましく、これにより、紫外線等による肩部ブロックの劣化を防止すると共に肩部ブロックの耐水性を向上させることができる。
【0016】
また、第3の発明は、第2の発明に係る肩部ブロックの施工方法によって、跨座式モノレール用軌道桁に設置された肩部ブロックの管体敷設溝にATC用管体を敷設する方法であって、
前記ATC用管体が、径の異なる第1の管体と第2の管体からなり、前記第1の管体の端部に前記第2の管体の端部を挿入して、前記ATC用管体が材軸方向に伸縮できるようにすることを特徴としている。
【0017】
ATC用管体に使用されるプラフレキ(登録商標)等は耐候性に優れるが、熱膨張係数が大きいという難点がある。第3の発明では、ATC用管体を径の異なる第1の管体と第2の管体で構成し、第1の管体の端部に第2の管体の端部を挿入してATC用管体が材軸方向に伸縮できるようにしているので、ATC用管体の熱膨張を吸収することができる。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明に係る跨座式モノレール用軌道桁の肩部ブロックでは、肩部ブロックの内側面及び下面の各幅方向両縁角部が面取りされているので、軌道桁の凹溝が歪んでいる場合でも該凹溝内に肩部ブロックを容易にセットすることができる。
【0019】
第2の発明に係る肩部ブロックの施工方法では、裏込め注入材の成分である主剤と硬化剤をそれぞれ加温しておき、注入ノズルに送入する直前に主剤と硬化剤を混練して注入ノズルから空隙に注入するので、粘度が高い裏込め注入材でも容易に空隙に注入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係る肩部ブロックが設置された跨座式モノレール軌道桁の上部をモノレールの走行方向から見た断面図である。
【図2】図1のA部の詳細図である。
【図3】(A)は肩部ブロックの平面図、(B)は同ブロックの側面図、(C)は(B)のX−X矢視断面図である。
【図4】カントを有する軌道桁の内周部側に設置された肩部ブロック部分の詳細図である。
【図5】軌道桁の添接部に設置された肩部ブロック部分の詳細図である。
【図6】裏込め注入材の施工方法を説明するための模式図である。
【図7】(A)はATC用管体の平面図、(B)は同管体の側面図である。
【図8】従来技術の問題点を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態に付き説明し、本発明の理解に供する。
【0022】
[跨座式モノレール用軌道桁]
車体が軌道に跨った状態で走行する跨座式モノレール(図示省略)の軌道桁10(跨座式モノレール用軌道桁)は、鋼板を溶接して形成した縦長の箱形断面とされている(図1参照)。図2に示すように、軌道桁10の上辺を構成する走行板11の上面は、跨座式モノレールの走行輪の走行面11aとされ、軌道桁10の側板12には、一方の面が跨座式モノレールの案内輪の案内面14aとされた案内板14が、側板12から側方に突出する底板13を介して取り付けられている。
【0023】
軌道桁10の肩部、即ち、軌道桁10を構成する走行板11、側板12、底板13、及び案内板14によって画成される空間には、上方に開口する凹溝15が軌道桁10の全長に亘って形成され、凹溝15内には、本発明の一実施の形態に係る肩部ブロック20が凹溝15の延在方向に直列に設置されている。そのため、凹溝15の底面13aには、肩部ブロック20を凹溝15に固定するためのスタッドジベル16が、凹溝15の延在方向に所定の間隔で植設されている。
【0024】
[肩部ブロック]
肩部ブロック20は、図2及び図3(A)〜(C)に示すように、凹溝15と同じ断面形状とされ、その高さに対して2〜3倍程度の長さを有している。特に、本実施の形態における肩部ブロック20では、凹溝15が溶接等により歪んでいる場合(図8参照)でも凹溝15内に肩部ブロック20を容易にセットできるようにするため、凹溝15の側面12aに面する肩部ブロック20の内側面20iの幅方向両縁の角部20aと、凹溝15の底面13aに面する肩部ブロック20の下面20dの幅方向両縁の角部20aは、それぞれ面取りされている。
【0025】
また、肩部ブロック20の上面20uと肩部ブロック20の外側面20eの交差部には、角部を切り欠いた管体敷設溝22が形成されている。管体敷設溝22には、跨座式モノレールの制御に使用されるループ線(図示省略)を防護するATC用管体26(自動列車制御装置用管体)が敷設される。このため、管体敷設溝22の隅角部22aは、ATC用管体26の曲率に合わせたアール状とされている。
図2に示すように、ATC用管体26は、アングル状の支持ブラケット24により管体敷設溝22に保持される。そのため、肩部ブロック20の上面20uと肩部ブロック20の外側面20eには、それぞれ支持ブラケット24を固定するための雌ネジ部が頭部に形成された埋込金物25が埋設されている。支持ブラケット24の材質としては、柔軟性と粘りを有する塩化ビニル樹脂などを用いることができる。なお、埋込金物25はステンレス製である。
【0026】
一方、肩部ブロック20の下面20dには、凹溝15の底面13aに植設されたスタッドジベル16を挿入するための穴23が設けられており、穴23の平断面は凹溝15の延在方向に長い楕円とされ、肩部ブロック20の内部に行くほど小径とされている(図3(A)〜(C)参照)。本実施の形態における肩部ブロック20では、穴23の平断面を凹溝15の延在方向に長い楕円とすることにより、肩部ブロック20設置時における施工誤差を吸収することができる。
【0027】
なお、肩部ブロック20は、跨座式モノレールの走行輪が載る場合を想定して一定の力学的強度を有すると共に、ループ線の電気障害を防止する必要がある。そのため、エポキシ樹脂にガラス繊維を混入したガラス繊維強化モルタルで形成されている。
【0028】
[肩部ブロックの施工方法]
次に、跨座式モノレール用軌道桁10の肩部に設けられた凹溝15内に肩部ブロック20、21を施工する方法について、図2、図4〜図6を用いて説明する。なお、軌道桁10と軌道桁10の端部同士が接合される添接部のみ現場施工とされ、その他の部位は工場で施工される。
【0029】
A.工場施工
(1)下地面の接着性を良くするため、凹溝15の内周面にプライマーを塗布する。
(2)肩部ブロック20の下面20dを上にした状態で、下面20dに形成された穴23内にエポキシ樹脂系の接着材19を充填する。接着材19の充填量は、穴23の体積からスタッドジベル16の体積を控除した量とする。
(3)凹溝15の底面13aに植設されたスタッドジベル16を肩部ブロック20の穴23に挿入して、肩部ブロック20を凹溝15内に配置する。次いで、隣接して設置される肩部ブロック20について同作業を実施し、添接部を除く凹溝15に肩部ブロック20を直列配置する。
【0030】
(4)肩部ブロック20と案内板14の端面との間の間隙、及び肩部ブロック20と走行板11の端面との間の間隙に、アングル材からなる間隙調整金具(図示省略)をそれぞれ挿入する。そして、肩部ブロック20の上面20uの位置を跨座式モノレールの走行面11aから下方に3mm以下ゼロmm超の間隔Aに調整すると共に、肩部ブロック20の外側面20eの位置を跨座式モノレールの案内面14aから凹溝15側に2mm以下の間隔Bにそれぞれ調整する(図2参照)。
(5)肩部ブロック20と案内板14の端面との間の間隙、肩部ブロック20と走行板11の端面との間の間隙、並びに隣接する肩部ブロック20間の目地に、それぞれシール材17を充填する。シール材17としては、フッ素系のシーリング材又はウレタン樹脂系シーリング材が好ましい。
【0031】
(6)図6に示すように、肩部ブロック20と案内板14の端面との間に注入ノズル36を挿入する。そして、加温機能を備えた第1及び第2の配管38、39を連結部37を介して注入ノズル36の端部に接続する。また、肩部ブロック20と走行板11の端面との間にエア抜きノズル40を挿入する。
(7)裏込め注入材18の主剤を第1の配管38を介して加温しながら注入ノズル36に向けて送給すると共に、裏込め注入材18の硬化剤を第2の配管39を介して加温しながら注入ノズル36に向けて送給する。そして、連結部37において、加温された主剤と加温された硬化剤を混練し、混練された裏込め注入材18を注入ノズル36から、肩部ブロック20と凹溝15との間に形成される空隙35、さらに隣接する肩部ブロック20間の空隙に注入する。なお、裏込め注入材18としてはウレタン樹脂系グラウト材が好ましく、例えば主剤としてウレタンポリマー、硬化剤としてポリエーテルポリオールなどを用いることができる。
【0032】
(8)大気に露出する肩部ブロック20の外表面、即ち、肩部ブロック20の上面20u、管体敷設溝22、外側面20eにフッ素樹脂塗料又はウレタン樹脂系塗料を塗布する。
【0033】
図4は、カントを有する軌道桁の内周部側に設置された肩部ブロック20を示したものである。ここで、カント(Cant)とは、軌道の曲線部分において外周部を内周部よりも高くすること、又はその高低差を言う。カントを有する軌道桁の内周部側では、凹溝15の幅が通常よりも広くなっている。そのため、側板12の側面12aにバックアップ材30を貼り付けることにより、裏込め注入材18の注入量の削減を図っている。バックアップ材30としては、例えばポリスチレン樹脂からなる板材などを用いることができる。
【0034】
B.現場施工
図5は、軌道桁の添接部に設置された肩部ブロック21を示したものである。添接部では、スプライスプレート31と高力ボルト32が凹溝15側に突出しているため、凹溝15の幅が通常よりも狭くなっている。そのため、添接部で使用される肩部ブロック21は、通常の肩部ブロック20に比べて幅が狭くなっており、さらに内側面21iの下部には、高力ボルト32の頭部と干渉しないように切欠部が形成されている。また添接部では、スプライスプレート31の端面と走行板11との間の空隙が大きくなるため、バックアップ材30aを介装する。
【0035】
[ATC管体の施工方法]
肩部ブロック20、21の施工が終了すると、肩部ブロック20、21の管体敷設溝22にATC用管体26を敷設する。図7(A)、(B)は、肩部ブロック20、21の管体敷設溝22に敷設されたATC用管体26を示したものである。
ATC用管体26は、可撓性を有する第1の管体41と、可撓性を有し、第1の管体41に比べて小径且つ短長とされた第2の管体42とから構成されている。ATC用管体26を肩部ブロック20、21の管体敷設溝22に敷設する際は、第1の管体41の端部に第2の管体42の端部を挿入して、ATC用管体26が材軸方向に伸縮できるようにする。肩部ブロック20、21の管体敷設溝22に載置したATC用管体26は、ATC用管体26を外方から拘束するアングル状の支持ブラケット24によって管体敷設溝22内に保持される。支持ブラケット24は、ATC用管体26の材軸直交方向の動きのみ拘束する。なお、ATC用管体26としては、ポリ塩化ビニルとポリオレフィンの二重管構造とされ、耐候性や自己消火性に優れるプラフレキ(登録商標)などを用いることができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、上記実施の形態では、添接部のみ現場施工とし、他の部位は工場施工としているが、全て現場施工で行うこともできる。
【符号の説明】
【0037】
10:軌道桁(跨座式モノレール用軌道桁)、11:走行板、11a:走行面、12:側板、12a:側面、13:底板、13a:底面、14:案内板、14a:案内面、15:凹溝、16:スタッドジベル、17:シール材、18:裏込め注入材、19:接着材、20、21:肩部ブロック、20a:角部、20i、21i:内側面、20e:外側面、20u:上面、20d:下面、22:管体敷設溝、22a:隅角部、23:穴、24:支持ブラケット、25:埋込金物、26:ATC用管体(自動列車制御装置用管体)、30、30a:バックアップ材、31:スプライスプレート、32:高力ボルト、35:空隙:36:注入ノズル、37:連結部、38:第1の配管、39:第2の配管、40:エア抜きノズル、41:第1の管体、42:第2の管体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
跨座式モノレール用軌道桁の肩部に設けられた凹溝内に設置され、跨座式モノレールの制御に使用されるループ線を防護する自動列車制御装置用管体が敷設される肩部ブロックにおいて、
前記凹溝と同じ断面形状を有し、前記凹溝の側面に面する内側面及び前記凹溝の底面に面する下面の各幅方向両縁角部が面取りされると共に、前記自動列車制御装置用管体を敷設するために、上面と外側面の交差部を切り欠いて形成された管体敷設溝の隅角部がアール状とされ、
さらに前記凹溝の底面に植設されたスタッドジベルを挿入するために前記下面に形成された穴の平断面が前記凹溝の延在方向に長い楕円とされていることを特徴とする跨座式モノレール用軌道桁の肩部ブロック。
【請求項2】
跨座式モノレール用軌道桁の肩部に設けられた凹溝内に、請求項1記載の肩部ブロックを施工する方法であって、
前記凹溝に配置された前記肩部ブロックと該凹溝との間に形成される空隙に注入する裏込め注入材が主剤と硬化剤からなり、
前記空隙に前記裏込め注入材を注入する注入ノズルに向けて第1の配管を介して前記主剤を加温しながら送給すると共に、前記注入ノズルに向けて第2の配管を介して前記硬化剤を加温しながら送給し、加温された前記主剤と加温された前記硬化剤を混練して前記注入ノズルから前記空隙に注入することを特徴とする肩部ブロックの施工方法。
【請求項3】
請求項2記載の肩部ブロックの施工方法において、前記肩部ブロックの上面の位置を跨座式モノレールの走行面から下方に3mm以下ゼロmm超に調整すると共に、前記肩部ブロックの外側面の位置を跨座式モノレールの案内面から前記凹溝側に2mm以下に調整することを特徴とする肩部ブロックの施工方法。
【請求項4】
請求項2又は3記載の肩部ブロックの施工方法において、大気に露出する前記肩部ブロックの外表面にフッ素樹脂塗料又はウレタン樹脂系塗料を塗布することを特徴とする肩部ブロックの施工方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の肩部ブロックの施工方法によって、跨座式モノレール用軌道桁に設置された肩部ブロックの管体敷設溝に自動列車制御装置用管体を敷設する方法であって、
前記自動列車制御装置用管体が、径の異なる第1の管体と第2の管体からなり、前記第1の管体の端部に前記第2の管体の端部を挿入して、前記自動列車制御装置用管体が材軸方向に伸縮できるようにすることを特徴とする自動列車制御装置用管体の敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−241503(P2012−241503A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116059(P2011−116059)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000108904)ダイキ工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】