説明

跳ね上げキャップ

本発明は、燃料タンク又は潤滑油タンクのようなタンクの、補給開口部を封止するための封止装置2に関する。封止装置は、補給開口部との係合のための本体部20を有する。更に、封止装置2は、把持部3を備える枢動部材6を有する。把持部3は、格納ポジションと突出ポジションとの間で切り替えられてもよい。突出ポジションにおいて、把持部3は、使用者に便利な把持部を形成するため、本体部20の外方に延出する。保持部材13、14、17は、突出ポジションにおいて枢動部材6を保持するために提供さてもよい。保持部材13、14、17は、枢動部材6及び本体部20に固定されてもよい。更に、封止装置2は、枢動部材6を格納ポジションへと移動させるために構成された付勢部材11を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク又は潤滑油タンクのようなタンクのための封止装置に関する。更に詳細には、携帯可能なコンパクト工具のタンクのための封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は、制限するものではないが、チェーンソー、ヘッジトリマー、グラストリマー、ブロワー、草刈機等の様々なコンパクト工具で幅広く使用されている。機関駆動のコンパクト工具は、補給開口部を備える燃料タンク又は潤滑油タンクのようなタンクを有する。タンクのねじ加工された給油口のための従来の封止装置は、対応する補給開口部のねじ部と係合可能なねじキャップを有する。ねじ加工されたキャップは、補給開口部にキャップを締め付けることによって、外気に対して補給開口部を堅く封止する。
【0003】
従来の多くの封止装置は、使用者にとって好ましくない把持部を設けている。更に、キャップが封止ポジションにあるときに外方に突出するキャップ部は、使用者が把持するために使用される。加えて、開放可能な把持部を備えるキャップも、コンパクト工具で使用されている。開放可能な把持部は、キャップを解放するとき又は締め付けるとき、使用者が、より把持し易いように開放される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのキャップは従来のキャップよりは良いが、開放可能な把持部が意図せずに開放されてしまうという問題に悩まされる。開放可能な把持部が意図せず開放されることは、キャップの破損又はキャップの意図しない解放を生じさせ得る。従って、限定するものではないが、コンパクト工具の燃料タンク又は潤滑油タンクのようなタンクのための封止装置のニーズがある。更に、キャップを解放するとき又は締め付けるときに、使用者が、より把持し易い封止装置のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の点を考慮し、上で説明した問題を解決又は少なくとも低減することが目的となる。特に、コンパクト電動工具の燃料タンク又は潤滑油タンクのようなタンクの補給開口部を封止するための手段を提供することが目的となる。封止手段は、使用者が握り易いように開放されてもよい。
【0006】
この目的は、請求項1に記載のコンパクト電動工具における、タンクの補給開口部を封止するための封止装置によって実現することができる。封止装置は、本体部と枢動部材とを有する。本体部は、補給開口部と係合するために構成されてもよい。本体部は、長手方向軸線も画成する。枢動部材は、格納ポジションと突出ポジションとの間の移動のため枢動軸線周りで枢動可能とされてもよく、枢動可能に本体部と接続されてもよい。枢動部材は、突出ポジションにおいて把持可能となるために本体部の外方に延出する把持部を有する。これは、封止装置を緩めるとき又は締め付けるときに使用者を補助する。封止装置は、枢動部材が突出ポジションにおいて保持部材によって拘束可能であり、保持部材の第1部分が枢動部材に固定されており、且つ、保持部材の第2部分が本体部に固定されていることを特徴とする。加えて封止装置は、更に枢動部材を格納ポジションへと付勢するために構成された付勢部材を具備することも特徴とする。
【0007】
こうした封止装置は、突出している把持部によって、封止装置を締め付けること及び緩めることが容易となる。タンクが開放されるとき又は封止されるとき、彼又は彼女が、例えばグローブを装着している場合であっても、把持部が突出ポジションにおいて拘束され得るため、使用者にとって使用が容易となる。同時に、枢動部材が拘束可能な突出ポジションから解放されるとき、付勢部材は、格納ポジションへと枢動部材を付勢する。それによって、封止装置は、枢動部材が突出ポジションにないとき、平らな外部表面を自動的に提供することができる。更に、電動工具を操作するとき、例えば枝等のような物が枢動部材に引っかかった場合に枝が枢動部材を移動させるとき、枢動部材は再び格納ポジションへと付勢される。そうではなく、枢動部材が、格納ポジションから離れた位置に留まる場合、封止装置が損傷する危険性、又は、意図せずに封止装置が緩まる危険性がある。本体は、補給開口部の対応するねじ部と係合するためのねじ部を有してもよい。更に、本体部及び補給開口部は、別の実施形態において、差し込みカップリング、スナップ手段等のようなねじ以外の他の係合手段を有してもよい。
【0008】
請求項2によれば、保持部材が、枢動部材に取付けられた第1固定部材と、本体部に取付けられた第2固定部材と、を具備する実施形態が提供されている。第1固定部材及び第2固定部材は、枢動部材が突出ポジションにあるときに互いに係合するために取付けられている。
【0009】
固定部材は、使用者が枢動部材を突出ポジションへと移動させるときに互いに係合するように構成されてもよい。そのようにして、枢動部材を拘束可能な突出ポジションへと移動させるためにはいくらかのトルクが必要となるため、枢動部材に引っかかり得る枝は、枢動部材を拘束可能な突出ポジションへと移動させることはできない。更に、固定部材は、使用者が封止装置を緩めるとき又は締め付けるときに突出ポジションにある枢動部材のために、強力保持機能を設けてもよい。固定部材を互いに解放するための必要トルク量は、枢動部材を格納ポジションへと付勢する付勢部材によって付与されるトルク量より大きい。
【0010】
更なる実施形態において、保持部材は弾性部材であってもよい。それによって、部材の弾性は、枢動部材を拘束可能な突出ポジションへ移動させるために必要な力で設定されてもよい。
【0011】
請求項4による実施形態において、閾値ポジションは、格納ポジションと突出ポジションとの間の枢動部材、及び、閾値ポジションと突出ポジションとの間の枢動部材の位置のために構成されており、弾性部材は、枢動部材を突出ポジションへと付勢する。
【0012】
枢動部材を突出ポジションへと付勢することによって、枢動部材を移動させる際、突出ポジションに容易に到達することができる。枢動部材は、使用者が枢動部材を閾値ポジションを通過させて移動させるまで、連続的に枢動部材を突出ポジションへと付勢する弾性部材によって、突出ポジションで保持される。
【0013】
別の実施形態において、弾性部材は、一方の端部において枢動部材に取付けられ、且つ、他方の端部において本体部に取付けられたばねであってもよい。更に別の実施形態において、弾性部材は、円錐圧縮ばねであってもよい。
【0014】
弾性部材としてばねを設けることによって、枢動部材が閾値ポジションと突出ポジションとの間の位置にあるとき、ばねは、枢動部材において突出ポジションへの付勢機能を付与することができる。枢動部材が突出ポジションにあるとき、ばねは、ばねの力によって枢動部材を突出ポジションに保持してもよい。
【0015】
請求項7による実施形態において、付勢部材は弾性部材と同一でもよく、且つ、閾値ポジションと格納ポジションとの間の枢動部材の位置のため、弾性部材は、枢動部材を格納ポジションへと付勢する。
【0016】
これは、弾性部材が枢動部材及び本体部に取付けられたばねであるときに設けられてもよい。枢動部材が閾値ポジションの一方にあるとき、ばねは、枢動部材を格納ポジションへと付勢する。枢動部材が閾値ポジションの他方にある場合、ばねは、枢動部材を突出ポジションへと付勢し、次いで枢動部材を、封止装置を緩めるとき又は締め付けるときに使用者のために把持を支援する突出ポジションに保持する。封止装置の構造は、同一の部材で枢動部材を格納ポジション及び突出ポジションの両方へ付勢すれば、簡潔且つ費用効率を高くすることができる。閾値ポジションの位置は、ばね及び枢動部材の設計によって設定されてもよい。更に枢動部材を突出ポジションへ又は突出ポジションから移動させるための必要トルクがばねの力によって設定されてもよい。
【0017】
請求項8によれば、枢動部材が少なくとも1つのピン周りで又は少なくとも1つのピンと共に枢動可能であってもよく、その、少なくとも1つのピンが本体部に固定されてもよい実施形態が提供されている。この場合において、付勢部材は、枢動部材を付勢し、格納ポジションに戻すため、その少なくとも1つのピンに周設されたねじりばねであってもよい。
【0018】
保持部材又は弾性部材が、こうした付勢機能を設けていない場合、ねじりばねが、格納ポジションへと向かう枢動部材の付勢機能を設けてもよい。それによって、枢動部材は、意図せずに移動させられたときには常に格納ポジションに戻るように付勢されてもよい。枢動部材を格納ポジションへと戻すように付勢するためにねじりばねによって付与されたトルクは、枢動部材を突出ポジションから移動させるための必要トルクよりも小さい。
【0019】
更なる実施形態において、枢動部材は、把持部に対して枢動軸線の反対側に配置されたカウンター部を有してもよい。枢動部材が格納ポジションから突出ポジションへと移動させられたときにカウンター部を受容するため、本体部内に凹部が設けられてもよい。
【0020】
請求項10による実施形態において、枢動部材を格納ポジションから移動させるのを補助するため、カウンター部が押し下げられるように構成されてもよい。更に、請求項11によれば、カウンター部の一部は、枢動部材の格納ポジション内の本体部の包囲する表面を越えて所定距離だけ突出してもよい。
【0021】
それによって、枢動部材は、使用者が、例えばグローブを装着している場合であっても格納ポジションから回転させるのが容易となる。彼又は彼女は、格納ポジションから移動させるために枢動部材の把持部の端部を把持することができないものと想定される。把持部を格納ポジションから持ち上げるためには、カウンター部を押せるだけで十分である。
【0022】
請求項12による実施形態において、把持部は、枢動軸線から距離Aだけ延出してもよく、且つ、カウンター部は、枢動軸線から少なくとも0.25A、好適には少なくとも0.35Aの距離だけ延出してもよく、少なくとも0.45Aの距離だけ延出すると更に好ましい。
【0023】
こうしたカウンター部の延出部によって、カウンター部は、使用者が枢動部材の把持部を持ち上げるためにカウンター部を押す必要がある場合において、小さすぎることはない。カウンター部の延出部が小さすぎる場合、カウンター部の表面領域は、使用者が押すのには小さすぎてしまい、把持部を持ち上げるためカウンター部を押すのに要求される力も、大きすぎてしまう。
【0024】
更なる実施形態において、枢動部材は、枢動部材の格納ポジションのために本体部の内部に突出する固定部を有してもよい。次いで弾性部材は、枢動部材の固定部に固定される。更に弾性部材が枢動可能に固定部に固定されてもよい。
【0025】
更に、格納ポジションからの枢動部材の移動及び突出ポジションにおける把持部の把持を容易にするため、少なくとも枢動部材の一部は、1つの実施形態において、本体部の反対側に面した枢動部材の表面に表面構造が設けられてもよい。表面構造は、溝、凹部、リブ等であってもよい。
【0026】
本発明は、以下に、添付の図面を参照して更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る実施形態による、チェーンソーのための封止装置を備えるタンクを示す。
【図2】本発明に係る実施形態による、格納ポジションにある把持部を備えた封止装置の斜視図を示す。
【図3】本発明に係る実施形態による、突出ポジションにある把持部を備えた封止装置の斜視図を示す。
【図4】本発明に係る実施形態による、格納ポジションにある把持部を備えた封止装置の断面図を示す。
【図5】本発明に係る実施形態による、突出ポジションにある把持部を備えた封止装置の断面図を示す。
【図6】本発明に係る実施形態による閾値ポジション近傍にある把持部を備える、封止装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の好適な実施形態が示された添付の図面を参照しながら、本発明は、以下に、より詳細に説明される。しかしながら、ここで本発明は、多くの様々な形式で具体化されてもよく、むしろ、これらの実施形態は、この開示を徹底するため、及び、完全なものとするため、且つ、当業者に本発明の範囲を詳細に説明するために示されている。本図面において、同様な番号は、同様な説明を参照する。
【0029】
図1は、本発明に係る例示的実施形態による、例えば、チェーンソーの操作部1の斜視図を示す。例示的実施形態がチェーンソーと共に使用されることが示されているが、本発明が、任意の適した携帯可能なコンパクト電動工具の類型に組み込まれることができ、チェーンソーのみの使用に制限されず、且つ、様々な類型の実施形態に組み込まれ得ることを理解すべきである。以下で「コンパクト電動工具1」と呼ぶ操作部1は、造園又は林業での用途で使用されてもよい。コンパクト電動工具1は、内燃機関(図示せず)によって駆動されてもよい。更に、内燃機関は、ガソリンエンジンであっても、ディーゼルエンジンであってもよい。本発明に係る実施形態において、タンクは、内燃機関の燃料タンクであってもよい。燃料タンクは、封止装置2の対応するねじ部と係合するためのねじ部を備える補給開口部(図示せず)を有してもよい。封止装置2を補給開口部に締め付けることによって、外気に対してシールされる方法で補給開口部を封止するために封止装置2が使用されてもよい。
【0030】
図2は、封止装置2の斜視図を示す。封止装置2は、補給開口部の対応するねじ部と係合するためのねじ部4を備える本体部20を有する。補給開口部は、封止装置2の本体部20をコンパクト電動工具1の燃料タンクの補給開口部へ締め付けることによって封止されてもよい。封止装置2は、実質的に平らな上面を有する。更に封止装置2は、封止装置2が完全に補給開口部に係合されたときに流体密封シールを画成するスカート部5を有する。図2について説明すれば、枢動部材6は、枢動軸線XX’を通るピン7周りに枢動可能に画成されている。
【0031】
枢動部材6は、格納ポジションと、突出ポジションとの間で切り替えるために枢動可能に本体部20に接続されている。
【0032】
更に、枢動部材6は、コンパクト電動工具1の使用者に握り易さを提供するための把持部3を有する。把持部3の形状は半円であってもよい。しかしながら、把持部3が任意の適した形状を有し得ることは、当業者にとって明白である。更に、枢動部材6は、把持部3に対して、枢動軸線XX’の反対側に位置するカウンター部8を有する。カウンター部8は、本体部20の反対側に面した枢動部材6の表面の溝、リブ又は凹部のような表面構造を有する。図2について説明すると、枢動部材6の格納ポジションにおいて、カウンター部8は、本体部20の包囲する表面を、本体部20の長手方向軸線Yに沿って長手方向へと越え、距離を隔てて突出する。これは、カウンター部8を押して把持部3を開くのを容易にする。把持部3は、(図4に示すように)枢動軸線XX’から、距離Aだけ延出し、且つ、カウンター部8は、枢動軸線XX’から、距離Bだけ延出する。距離Bは、枢動軸線XX’から少なくとも0.25×Aの距離である。例として、距離Aが2cmであれば、距離Bは、少なくとも0.5cmである。他の実施形態において、距離Bは、枢動軸線XX’から、少なくとも0.35×A又は0.45×Aの距離であってもよい。その場合、距離Aが2cmであれば、距離Bは、少なくとも0.7cm又は0.9cmである。好適には、把持部3の延出距離Aとは無関係に、カウンター部は、枢動軸線XX’から少なくとも0.5cm延出する。
【0033】
凹部10は、図2に示すように、把持部3の外周に形成される。把持部3は、指先を凹部10に挿入することによって開かれてもよい。枢動部材6が格納ポジションから移動させるのを補助するため、カウンター部8は、更に封止装置2内へ押し下げられてもよい。例えば使用者がグローブを装着している場合、彼又は彼女は、把持部3を格納ポジションから移動させるため、且つ、把持部3を、凹部10で握ることができるようにするためにカウンター部8を押圧することができる。
【0034】
更に、封止装置2は、枢動部材6を突出ポジションで保持する弾性部材を有してもよい。弾性部材は、枢動部材6及び本体部に固定されてもよい。本発明に係る様々な実施形態において、弾性部材はばねであってもよく、好適には、圧縮ばね又は円錐圧縮ばねである。弾性部材は図6を用いて説明される。
【0035】
図3は、突出ポジションにある把持部3を備えた封止装置2の斜視図を示す。封止装置2は、図3に示すようにピン7を包囲する付勢部材11を有する。付勢部材11の第1端部は、把持部3に固定され、付勢部材11の第2端部12は、本体部20に固定されている。付勢部材11は、枢動部材6が突出ポジションにある限り、枢動部材6を格納ポジションへと付勢する。付勢部材11は、枢動部材6を付勢して格納ポジションに戻すためにピン7に周設されたねじりばねであってもよい。更に、付勢部材11は、圧縮ばね又は円錐圧縮ばねであってもよい。本発明に係る実施形態において、弾性部材及び付勢部材11は、同様な部材であってもよい。
【0036】
図4は、格納ポジションにある把持部3を備えた封止装置2の断面図を示す。封止装置2は、枢動部材固定ユニット13及び本体部固定ユニット14を有する。枢動部材固定ユニット13は、本体部20に接続された一又はそれ以上の固定部材を有する枢動部材6及び本体部固定ユニット14に接続された一又はそれ以上の固定部材を有する。特に、枢動部材固定ユニット13の固定部材は、突出ポジションにおいて枢動部材6を保持するために本体部固定ユニット14の対応する部材と係合する。突出ポジションにおいて、枢動部材6の把持部3は、把持可能となるために、本体部20の外方に延出する。使用者は、把持部を用いて封止装置2を容易に緩めたり、締め付けたりすることができる。
【0037】
図4について説明すると、カウンター部8は、枢動部材6の格納ポジションにおいて、本体部20の包囲する表面を、本体部20の長手方向軸線Yに沿って長手方向へと越え、距離を隔てて突出する。カウンター部8が本体部20を越えて突出しているため、それによって、カウンター部8を押して、把持部3を持ち上げるのが容易となる。封止装置2の本体部20は、カウンター部8を受容するための凹部15を有する。特に、枢動部材6のカウンター部8は、枢動部材6が格納ポジションから突出ポジションへと移動するときに、凹部15内へと移動する。
【0038】
封止装置2は、シールリング16も有する。シールリング16は、弾性ゴム材料で作られてもよく、それは、封止装置がコンパクト電動工具のタンクの開口部に取付けられるときに、例えば燃料の漏れを防ぐ。
【0039】
図5は、突出ポジションにある把持部3を備えた封止装置2の断面図を示す。突出ポジションにおいて、枢動部材固定ユニット13の固定部材及び本体部固定ユニット14の固定部材は、スナップ固定手段を形成する。枢動部材固定ユニット13の固定部材は、フレキシブル部材であってもよく、且つ、本体部固定ユニット14の固定部材は、フレキシブル部材を保持するための座部であってもよい。本体部固定ユニット14の固定部材は、フレキシブル部材であってもよく、枢動部材固定ユニット13の固定部材は、フレキシブル部材を保持するための座部であってもよい。固定手段を解放するための必要トルクは、付勢部材11によって付勢されるトルクより大きく、こうして枢動部材6が突出ポジションで保持される。それによって、枢動部材6は、突出ポジションから使用者によって解放されなければならず、自ずから解放されたりはしない。拘束ポジションで係合する固定手段のための必要トルクも、電動工具の操作中に把持手段に引っ掛かり得る枝等によって通常生じ得るトルクより大きい。
【0040】
図6は、閾値ポジションと格納ポジションとの間に配置された枢動部材6を備える封止装置2の断面図を示す。閾値ポジションは、格納ポジションと、枢動部材6の突出ポジションと、の間に構成されている。弾性部材17は、枢動部材6を、突出ポジションで保持することができる。枢動部材6が、閾値ポジションと突出ポジションとの間にあるとき、弾性部材17は、枢動部材6を、突出ポジションへと付勢させる。こうして、枢動部材6の閾値ポジションから突出ポジションへの小さな回転でさえ、枢動部材6を突出ポジションへと付勢させる。同様に、枢動部材6が閾値ポジションを通過して、格納ポジションへと移動させられるとき、弾性部材17は、枢動部材6を格納ポジションへと付勢する。それによって、付勢部材11の機能は、弾性部材17に組み込まれる。
【0041】
弾性部材17は、ばねであってもよく、好適には、圧縮ばね又は円錐圧縮ばねである。ばね17の第1部分は、本体部20の凹部15の底部に固定される。ばね17の第2部は、図6に示すように枢動可能に枢動部材6の固定部18に固定される。固定部18は、枢動部材6の格納ポジションのため、本体部20の内部に突出する。ばね17と固定部18との間の接続点に、ばね17が枢動可能に固定部18に固定されている固定軸線19がある。固定軸線19は、枢動部材6がその周りで回転する可枢動ピンと平行である。枢動部材6が、閾値ポジションと格納ポジションとの間の位置にあるとき、ばね17は、固定部18とカウンター部8とを、可枢動ピン7の上方へ、同じ側に、図中の右へと押し、こうして枢動部材6が格納ポジションへと押される。
【0042】
その周りを枢動部材が回転する可枢動ピン7と固定軸線19とが、ばね17の長手方向中心と、同一線上にあるとき、枢動部材6は、閾値ポジションにある。閾値ポジションと突出ポジションとの間の枢動部材の位置において、ばねは、固定部18及び固定軸線19を一方へ、図中の可枢動ピン7の左に上方へと押す。カウンター部8は、それから可枢動ピン7の右側の反対側の、下方に、本体部20の凹部15内へ押圧される。これは、固定部18によって画成されたカウンター部8と固定軸線19との間の距離によるものである。それによって、把持部3は、本体部20から突出しており、ばね17によってその位置で保持されている。枢動部材を、閾値ポジションを経て突出ポジションへと移動させるための必要トルクは、ばね17のばねの力によって設定される。更に、格納ポジションと突出ポジションとの間の閾値ポジションの位置が、ばね17と固定部18との構成によって設定されてもよい。
【0043】
図及び明細書において、本発明の好適な実施形態及び例が開示され、特定の用語が採用されてきたが、それらは、一般的且つ記述的意味のみで使用されており、限定するためではなく、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲において説明される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパクト電動工具内(1)のタンクの補給開口部を封止するための封止装置(2)であって、該封止装置が、
長手方向軸線(Y)を画成し、前記補給開口部と係合するための本体部(20)と、
格納ポジション及び突出ポジション間の移動のため枢動軸線(XX’)周りで枢動可能で、且つ、枢動可能に前記本体部(20)に接続され、把持部(3)を有する枢動部材(6)と、を具備し、前記突出ポジションにおいて、前記把持部(3)が、把持可能となるために前記本体部(20)の外方に延出し、それによって封止装置(2)を緩めること及び締め付けることを補助する封止装置(2)において、
前記枢動部材(6)が、保持部材(13、14、17)によって前記突出ポジションで拘束可能であり、
該保持部材の第1部分(13)が、前記枢動部材(6)に固定され、且つ、該保持部材の第2部分(14)が、前記本体部(20)に固定されており、
更に封止装置(2)が、前記枢動部材(6)を前記格納ポジションへと付勢するために構成された付勢部材(11、17)を具備していることを特徴とする封止装置(2)。
【請求項2】
前記保持部材(13、14)が、前記枢動部材(6)に取付けられた第1固定部材(13)と、前記本体部(20)に取付けられた第2固定部材(14)と、を具備し、該第1固定部材及び該第2固定部材(13、14)が、前記枢動部材(6)が前記突出ポジションにあるときに互いに係合するように形成されている請求項1に記載の封止装置。
【請求項3】
前記保持部材(13、14、17)が、弾性部材である請求項1又は2のいずれか1つに記載の封止装置。
【請求項4】
閾値ポジションが、前記枢動部材(6)の前記格納ポジションと前記突出ポジションとの間に構成され、且つ、前記閾値ポジションと前記突出ポジションとの間の前記枢動部材の位置のために、前記弾性部材(17)が前記突出ポジションへと前記枢動部材を付勢している請求項3に記載の封止装置。
【請求項5】
前記弾性部材(17)が、1つの端部を前記枢動部材(6)に取付けられ、且つ、別の端部を前記本体部(20)に取付けられたばねである請求項4に記載の封止装置。
【請求項6】
前記弾性部材(17)が円錐圧縮ばねである請求項4又は請求項5のいずれか1つに記載の封止装置。
【請求項7】
前記付勢部材が、前記弾性部材(17)と同一であり、前記閾値ポジションと前記格納ポジションとの間の前記枢動部材(6)の位置のため、前記弾性部材(17)が前記格納ポジションへと前記枢動部材(6)を付勢する請求項4から請求項6のいずれか1つに記載の封止装置。
【請求項8】
前記枢動部材(6)が、少なくとも1つのピン(7)の周りで又は該少なくとも1つのピン(7)と共に枢動可能であり、該少なくとも1つのピン(7)が、前記本体部(20)に固定されており、前記付勢部材11が、前記枢動部材(6)を前記格納ポジションへと戻すべく付勢するため、前記少なくとも1つのピン(7)に周設されたねじりばねである請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の封止装置。
【請求項9】
前記枢動部材(6)が、前記把持部(3)に関して前記枢動軸線(XX´)の反対側に配置されたカウンター部(8)を有し、
前記本体部(20)が、前記格納ポジションから前記突出ポジションへと前記枢動部材(6)が移動するときに前記カウンター部(8)を受容するための凹部(15)を有している請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の封止装置。
【請求項10】
前記枢動部材(6)が前記格納ポジションから移動するのを補助するために、前記カウンター部(8)が押し下げられるように構成されている請求項9に記載の封止装置。
【請求項11】
前記枢動部材(6)が前記格納ポジションにあるとき、少なくとも一部の前記カウンター部(8)が、前記長手方向軸線(Y)の方向に前記本体部(20)の包囲する表面を越えて所定距離だけ突出している請求項9又は請求項10のいずれか1つに記載の封止装置。
【請求項12】
前記把持部(3)が、前記枢動軸線(XX’)から距離Aだけ延出しており、且つ、前記カウンター部(8)が、前記枢動軸線(XX’)から少なくとも0.25×A、好適には少なくとも0.35×Aの距離だけ延出し、少なくとも0.45×Aの距離だけ延出すると更に好ましい請求項9から請求項11のいずれか1つに記載の封止装置。
【請求項13】
弾性部材(17)の第1部分が、枢動可能に前記枢動部材(6)の固定部(18)に固定されており、該固定部(18)が、前記枢動部材(6)の前記格納ポジションのために前記本体部(20)の内部へ突出している請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の封止装置。
【請求項14】
少なくとも一部の前記枢動部材(6)が、前記本体部(20)の反対側に面した前記枢動部材(6)の表面に表面構造を有し、好適には、該表面構造が、溝、凹部又はリブを有する請求項1から請求項13のいずれか1つに記載の封止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−520370(P2013−520370A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553839(P2012−553839)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050207
【国際公開番号】WO2011/105937
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(511234781)フスクバルナ アクティエボラーグ (9)
【Fターム(参考)】