説明

跳ね上げ門扉

【課題】 鋳物調等の風合いを呈する意匠性に優れた跳ね上げ門扉を提供する。
【解決手段】 符号10は出入口の両端部に設置された支柱、符号20は支柱10には回動自在に設けられたアーム部、符号30はアーム部20の先端に設けられたパネル体30である。パネル体30は、両端に配置された縦框31と、縦框31の上下端に固定された上側横框32及び下側横框33とで枠が形成されている。縦框31の上部近傍間に横桟34が固定されるとともに、上側及び下側横框32、33間に多数の縦桟35が固定されている。縦框31、上側及び下側横框32、33、横桟34、縦桟35は、鍛造により中空状アルミニウム形材の表面に凹凸を形成したロートアルミ形材で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル体を上下方向に回転させて開閉する跳ね上げ門扉に関し、さらに詳しくは、パネル体の意匠性に優れた跳ね上げ門扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車庫の出入口に設ける門扉として跳ね上げ門扉がある。この跳ね上げ門扉は、出入口の両端に支柱を設置し、支柱にアームを回動自在に設けるとともに、アームにパネル体を取り付けたものであり、アームを上下方向に回動させることによりパネル体を開閉するものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、跳ね上げ門扉においては、アームを回動させてパネル体を上下方向に回動させるものであるので、パネル体の重量が大きくなると、パネル体を上方へ回動させることが出来なくなるものであった。したがって、跳ね上げ門扉のパネル体には、重量が大きくなるロートアイアン製や鋳物製のものを用いることが出来なかった。その結果、従来、パネル体としてアルミニウム形材を用いざるを得ないものであった。
【0004】
【特許文献1】特開昭61−122385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アルミニウム形材を用いたパネル体は意匠性に乏しく、使用者の好みや、周囲の環境に調和した外観に加工することが出来なかった。例えば、周囲に鋳物製の柵や門扉がある場合、外観の調和を図るために、車庫に設置する跳ね上げ門扉においても鋳物製の外観を呈することが要望されるが、アルミニウム形材を用いたパネル体では、框や桟の全体形状を変更したり、色彩を変更する以外に選択肢がなく、このような要望を満足することが出来ないものであった。
【0006】
以上のように、鋳物調等の風合いを呈する意匠性に優れた跳ね上げ門扉が要望されていたが、未だ有効な技術は提案されていなかった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決し、意匠性が優れた外観を有するとともに、軽量で、かつ強度も大きい跳ね上げ門扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る跳ね上げ門扉は、支柱と、該支柱に回動自在に設けられたアームと、該アームに設けられたパネル体とを有し、該アームの回動によりパネル体を開閉する跳ね上げ門扉であって、該パネル体が、鍛造により中空状アルミニウム形材の表面に凹凸を形成したロートアルミ形材で形成されていることを特徴として構成されている。
【0009】
請求項2に係る跳ね上げ門扉は、請求項1記載の跳ね上げ門扉において、パネル体が、上下の横框と、左右の縦框と、該上下の横框間に設けられた縦桟とを有し、該上下の横框の断面形状が、パネル体の閉成状態において前後方向の長さが垂直方向の長さより長く形成されていることを特徴として構成されている。
【0010】
請求項3に係る跳ね上げ門扉は、請求項2記載の跳ね上げ門扉において、上下の横框と縦桟とが溶接により接合されていることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る跳ね上げ門扉によれば、パネル体がロートアルミ形材で形成されており、このロートアルミ形材は、鍛造により表面に凹凸が形成されたものであるので、鋳物やロートアイアン調の風合いを呈することが出来、優れた意匠性を有する。したがって、周囲の環境に調和した好ましい外観とすることが出来る。また、ロートアルミ形材は、中空状アルミニウム形材を加工したものであるので、極めて軽量であり、アームの回動により円滑に回動させることができる。
【0012】
請求項2に係る跳ね上げ門扉によれば、上下の横框の断面形状が、パネル体の閉成状態において前後方向の長さが垂直方向の長さより長く形成されているので、開成状態において、横框が撓むのを小さくすることができる。すなわち、パネル体の開成状態においては、横框は閉性状態から略90度回転することとなるので、横框の断面形状は垂直方向に長い矩形状となる。したがって、曲げ剛性が大きくなり、横框の撓みを小さくすることが出来る。
【0013】
請求項3に係る跳ね上げ門扉によれば、上下の横框と縦桟とが溶接により接合されているので、横框と縦桟とが一体化しており、パネル体全体の曲げ剛性が大きくなっている。したがって、パネル体が撓むのを小さくすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の跳ね上げ門扉においては、パネル体がロートアルミ形材で形成されており、このロートアルミ形材は、鍛造により中空状アルミニウム形材の表面に凹凸を形成したもので、凹凸の形状により、鋳物、ロートアイアン等の各種風合いを呈することが出来る。このようなロートアルミ形材を製造するには、例えば、中空状のアルミニウム形材を、所望の凹凸形状を形成したローラー間を通過させることにより行う。パネル体は、上下の横框、左右の縦框、横框間に設けられる縦桟、縦框間に設けられる横桟等で構成され、これらがロートアルミ形材で形成されることとなる。
【0015】
ロートアルミ形材の断面形状、寸法等は、用いる部位により適宜変更することができるが、横框においては、その断面形状をパネル体の閉成状態において前後方向の長さが垂直方向の長さより長く形成することが好ましく、断面積の大きさにより異なるが、通常、前後方向の長さが、垂直方向の長さより1.5倍以上であることが好ましい。このように構成することにより、横框が撓むのを小さくすることができる。
【0016】
パネル体の横框、縦框、縦桟、横桟等は、それぞれ螺子で固定しても、溶接で接合してもよく、溶接で接合することによりパネル体の合成が向上するので好ましい。特に、横框と縦桟、縦框と横桟は溶接で接合することが好ましい。
【0017】
本発明による跳ね上げ門扉の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は跳ね上げ門扉の正面図、図2は跳ね上げ門扉の平面図、図3は跳ね上げ門扉の右側面図、図4はパネル体の正面図、図5はパネル体の背面図、図6は図5中矢視aで示す部分の拡大図、図7は図5中矢視bで示す方向から見た拡大図、図8は図2中矢視cの方向から見た拡大図、図9は図2中矢視dで示す部分の拡大図である。
【0019】
図1〜図3において、符号10は出入口の両端部に設置された支柱、符号20は支柱10には回動自在に設けられたアーム部、符号30はアーム部20の先端に設けられたパネル体30であり、図3に示すように、アーム部20を上下方向に回動することにより、パネル体30を開閉するものである。
【0020】
パネル体30は、図4〜図5に示すように、両端に配置された縦框31と、縦框31の上下端に固定された上側横框32及び下側横框33とで枠が形成され、縦框31の上部近傍間に横桟34が固定されるとともに、上側及び下側横框32、33間に多数の縦桟35が固定されている。そして、これらの縦框31、上側及び下側横框32、33、横桟34、縦桟35は、鍛造により中空状アルミニウム形材の表面に凹凸を形成したロートアルミ形材で形成されたもので、鋳物調の風合いを持つ外観を呈している。また、縦框31、上側及び下側横框32、33に用いたロートアルミ形材は、従来の跳ね上げ門扉に用いられた中空状アルミニウム形材を加工したものであり、表面が鋳物調の風合いを呈する他は、略同一の構造となっている。したがって、縦框31のアーム部20への固定方法等は、従来と同一の方法で行うことができる。
【0021】
また、縦框31と上側及び下側横框32、33、縦框31と横桟34及び上下の横框32、33と縦桟35の固定は、従来、螺子により行われているが、本実施形態においては溶接により接合されている。したがって、従来のパネル体に比して剛性が格段に向上している。
【0022】
また、横框32、33の断面形状は、従来と異なった形状に形成されており、すなわち、図7に示すように、パネル体の閉成状態において前後方向の長さmが、垂直方向の長nより長く形成されており、前後方向の長さmは、垂直方向の長さnの約2倍の長さとなっている。したがって、横框32、33は、開成状態において、垂直方向に長い断面形状となるので、横框の曲げ剛性が従来に比して向上している。因みに、本実施例においては、長さmが60mm、長さnが30mmである。
【0023】
縦框31の上部は、図6に示すように、背面側上部近傍にアーム部20に固定するための螺子用貫通孔36が形成されており、また、上端部は上側横框32に嵌合するとともに螺子(図示せず)により固定されている。縦框31の下部は、下側横框33の端部が少し入り込み、図7に示すように、その下側横框33の入り込んだ部位において螺子37により固定している。さらに、下側横框33の背面側(敷地内側)には、その長手方向の略全長に亘ってクッション38が設けられ、車が門扉を通過中に誤ってパネル体30が下降しても車に傷が付かないようになっている。
【0024】
アーム部20は、図8〜図9に示すように、上部アーム21と下部アーム22との2本のアームを有し、上部アーム21の基部は支柱10に設けられた回動機構11に固定されるとともに、先端に当て板23を介して縦框31が螺子24により固定され、また、下部アーム22も同様に、基部が支柱10に設けられた回動機構12に固定されるとともに、先端に当て板25を介して縦框31が螺子26により固定されている。したがって、回動機構11、12を中心として上部アーム21、下部アーム22が回動することにより、縦框31が上昇又は下降してパネル体30が開閉するようになっている。また、両側の上部アーム21間には連結棒27が設けられ、縦框31を水平状態で動かすことが出来るようになっている。
【0025】
以上のような跳ね上げ門扉においては、パネル体30を構成する縦框31、横框32、33、横桟34及び縦桟35を、鍛造により中空状アルミニウム形材の表面に凹凸を形成したロートアルミ形材で形成し、鋳物調の風合いを呈するようにしているので、周囲の環境に調和し極めて意匠性の高いものであり、また、軽量かつ十分な強度を有している。さらに、横框32、33は、開成時、略垂直方向に細長い形状を維持するものであるので、横框32、33の曲げ剛性が大きいのもであり、さらに、縦框31と上側及び下側横框32、33、縦框31と横桟34及び上下の横框32、33と縦桟35を溶接により接合しているので、パネル体30全体の曲げ剛性が大きいものである。したがって、幅の広に出入口に設置した場合であってもパネル体30が撓むことが無い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による跳ね上げ門扉の正面図
【図2】本発明による跳ね上げ門扉の平面図
【図3】本発明による跳ね上げ門扉の右側面図
【図4】本発明による跳ね上げ門扉に用いるパネル体の正面図
【図5】本発明による跳ね上げ門扉に用いるパネル体の背面図
【図6】図5中矢視aで示す部分の拡大図
【図7】図5中矢視bで示す方向から見た拡大図
【図8】図2中矢視cの方向から見た拡大図
【図9】図2中矢視dで示す部分の拡大図
【符号の説明】
【0027】
10 支柱
20 アーム部
21 上部アーム
22 下部アーム
30 パネル体
31 縦框
32 上側横框
33 下側横框
34 横桟
35 縦桟

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、該支柱に回動自在に設けられたアームと、該アームに設けられたパネル体とを有し、該アームの回動によりパネル体を開閉する跳ね上げ門扉であって、該パネル体が、鍛造により中空状アルミニウム形材の表面に凹凸を形成したロートアルミ形材で形成されていることを特徴とする跳ね上げ門扉。
【請求項2】
前記パネル体が、上下の横框と、左右の縦框と、該上下の横框間に設けられた縦桟とを有し、該上下の横框の断面形状が、パネル体の閉成状態において前後方向の長さが垂直方向の長さより長く形成されていることを特徴とする請求項1記載の跳ね上げ門扉。
【請求項3】
前記上下の横框と、左右の縦框と、縦桟とが溶接により接合されていることを特徴とする請求項2記載の跳ね上げ門扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−180002(P2009−180002A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19833(P2008−19833)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】