説明

跳躍玩具

【課題】 従来のめんこの遊び方を超えて、より多様化した遊びができる新たな跳躍玩具を提供する。
【解決手段】 跳躍玩具は、円形の基板12と、その裏面側に直径方向の軸部16を中心として回動自在に取り付けた半円形の可動板13と、可動板13を基板12の裏面上の一方の半円部分側に位置するように力を加える付勢部材23とを備える。基板12は、可動板13の軸部16の両端を軸部16と直交する方向に移動可能に支持する軸孔と、基板12の裏面上の他方の半円部分側に付勢部材23の力に抗して可動板13を係止する係止部12aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めんこ等の遊びやゲームができる跳躍玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
子供の遊びで用いられるめんこは、表面に絵や図形を描いた円形や長方形の厚紙等のシートからなり、その一般的な遊び方は、平らな地面や台上に置いためんこに対して別のめんこを打ち付け、先のめんこを裏返せば勝ちとするものである。このようなめんこ遊びの多様な楽しみ方を可能にするものとして、表面に互いに関連性を有する異なった絵、図形、文字等の表示を施した複数のめんこのうちの一部を、他のめんこよりも比重が大きくなるように形成しためんこセットが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−126565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のめんこセットにしても、1つのめんこを他のめんこに打ち付けて裏返すという従来の遊び方を越えるものではない。
【0005】
本発明は、上記のようなめんこの遊び方に留まらず、めんこの当て方次第で1以上のめんこを跳躍させてひっくり返すことができるようにすることで、遊び方をよりダイナミックに多様化させる新たな玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、円形の基板と、その裏面側に直径方向の軸部を中心として回動自在に取り付けた半円形の可動板と、該可動板を前記基板の裏面上の一方の半円部分側に位置するように力を加える付勢部材とを備えた跳躍玩具であって、
前記基板は、前記可動板の軸部の両端を該軸部と直交する方向に所定間隔移動可能に支持する軸孔と、当該基板の裏面上の他方の半円部分側に前記付勢部材の力に抗して前記可動板を係止する係止部とを有し、
前記係止部により前記可動板を係止した状態で前記基板に対し、前記可動板の軸部の両端が前記軸孔内で該軸部と直交する方向にずれるように力を加えたときに前記可動板の係止が解除され、前記付勢部材の力により前記可動板が回動して前記基板を置いた平面から跳躍することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、跳躍玩具が係止部により可動板を係止した状態のとき、例えば、同様な形状の円盤をある値以上の力で基板に衝突させると、その衝撃で移動する基板の軸孔内で可動板の軸部の両端が軸部と直交する方向にずれるので、可動板の係止が解除される。その結果、付勢部材の力により可動板が瞬間的に回動し、基板を置いた平面を蹴る。その反力によって基板が跳ね上げられるため、玩具全体が跳躍し、宙返りする動作を行う。
【0008】
従って、本発明の跳躍玩具を使用すれば、従来のめんこのように、同じ形状の玩具を当てて裏返す遊びをすることができる。更に、めんことしての遊び方に限らず、本発明の玩具を予め定めた位置や領域に着地させることができるかを競ったり、本発明の玩具を複数並べていくつ裏返すことができるかを競うゲームを行うことができる。このように、玩具同士の当て方次第で1以上の玩具を跳躍させてひっくり返すことができるので、従来のめんこ遊びを超えて、よりダイナミックに多様化した遊びを実現できる。
【0009】
なお、本発明の玩具の形態は、基板と可動板がそれぞれ円や半円形であることが最も良いが、楕円や多角形であってもよい。従って、本発明でいう「円形」には楕円や多角形も含まれる。
【0010】
また、本発明の玩具においては、上記の付勢部材として、基板の表面側で可動板の軸部と直交する直径方向の位置に設けた突起部と可動板の中心部に設けた突起部とに掛け止めたスプリングを用いることができる。或いは、付勢部材は輪ゴムでもよい。
【0011】
更に、本発明の玩具においては、前記基板の表面側に重ね合わせて結合される同形の円板を備え、該円板の裏面側の直径方向両端となる位置に突起部を設ける一方、前記基板の表面側の直径方向両端の位置に前記円板の突起部が嵌合する開孔を設け、該開孔内に前記突起部を嵌合させることにより、前記可動板の軸部の両端を回転可能に支持する軸孔を形成することができる。
【0012】
この構成によれば、基板の表面側に円板を結合するときの位置合わせが容易にできることに加えて、結合と同時に軸孔が形成されるので、本発明の玩具を構成する円盤を容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の跳躍玩具とその使用状態を示す図。
【図2】実施形態の跳躍玩具の構成を示す図。
【図3】実施形態の跳躍玩具の各部の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1(A)〜(E)に示す実施形態の跳躍玩具は、後述する2枚の円板11及び12を重ね合わせた円盤1で形成されている。その直径は、例えば凡そ5cmとする。
【0015】
この円盤1からなる跳躍玩具は、(A)机やテーブルの表面等の平面10上に置いて同形の別の円盤2を突き当てると、(B)その当った位置と円盤2から加えられた力の大きさに応じて、(C)円盤1の裏面側の円板12に取り付けた半円形の跳ね上げ板13が瞬間的に下方に回動するので、(D)円盤1全体が平面10から跳躍し宙返りして、(E)着地するように構成されている。
【0016】
従って、この跳躍玩具によれば、平面10上に任意の大きさの紙等からなるシート3を置き、その中央部に(例えば十字記号で)表わした的4に円盤1が着地するように、的4の手前に置いた円盤1に突き当て用の円盤2を当てる的当て遊びやその当てた回数を競うゲームを行うことができる。
【0017】
以下、跳躍玩具を構成する円盤1の構成と作用について詳述する。
【0018】
図2に示すように、円盤1の表面側になる円板11は、円形の周縁部が裏面側に若干(例えば、2mm程)張り出したフランジとして形成され、そのフランジ上の直径方向の両端となる位置に突起部14a、14bを備えている。各突起部14a、14bは、円盤1の裏面側になる円板12の表面側の直径方向両端位置に設けられた開孔15a、15bにそれぞれ嵌合することにより、半円形の跳ね上げ板13の直線部に形成された直径方向軸部16の両端16a、16bを回転可能に支持する軸孔が形成される。
【0019】
従って、基板としての円板12の表面側にカバーとしての円板11を結合するときの位置合わせが容易にできると共に、2つの円板11、12の結合と同時に軸孔が形成されるので、実施形態の円盤1を容易に組み立てることができる。
【0020】
また、円板11の裏面上でフランジの内側3か所に、もう1つの円板12を固定するためにビス20を通す孔を開けたボス21が形成されている。これらボス21に対応して、円板12の表面上の3か所にビス20をねじ止めするための孔を開けたボス22が形成されている。
【0021】
従って、表面側の円板11は、裏面側の円板12の表面を覆うカバーとして、円板11の突起部14a、14bが円板12の開孔15a、15bに嵌合するように円板12の表面側に重ね合わせて、ねじ止めされる。
【0022】
円板12は、本発明の構成要素である基板に相当する部材であり、その中心部に、裏面側に取り付けた跳ね上げ板13を回動させる方向に引張力を加えるコイルスプリング23を通す開孔17を有する。コイルスプリング23は、本発明の構成要素である付勢部材に相当する。
【0023】
また、円板12は、その表面上で跳ね上げ板13の軸部16と直交する直径方向の端部に、コイルスプリング23を掛止めるための突起部18を備えている。更に、この突起部18の直径方向外側の位置に、下記のように跳ね上げ板13の半円形の頂点位置に設けた突起26が入る開孔19が形成されている。
【0024】
一方、跳ね上げ板13は、本発明の構成要素である可動板に相当する部材であり、その半円形の中心部に形成した開孔内に、コイルスプリング23を掛止めるための突起部24を備える。従って、コイルスプリング23は、上記のように基板12の表面側で跳ね上げ板13の軸部16と直交する直径方向の端部位置に設けた突起部18と、可動板13の中心部に設けた突起部24との間で、円板12の中心部にある開孔17を通り、その両側で突起部18と24に掛け止められている。これにより、図2に示すように、跳ね上げ板13が円板12の裏面上の一方の半円部分側に引張られて位置している。
【0025】
また、跳ね上げ板13は、軸部16と直交する半径方向の端縁となる半円形の頂点位置に形成した切欠き25から裏面側に突出した突起26を備えている(図1及び図3)。後述のように円盤1を跳躍可能な状態にセットするとき(図3(C))、この突起26が円板12の開孔19内に入り、跳ね上げ板13の半円形の頂点部分が、円板12の周縁部の内側で開孔19上に僅かに張り出した係止部12aに係止される。
【0026】
図3は、実施形態の跳躍玩具を動作させる円盤1の詳細な構造を示す。
【0027】
初めに、円盤1は、前述のような跳躍動作が可能な状態にセットされない限り、
図3(A)に示すように、コイルスプリング23の引張力により、円板12の裏面上で跳ね上げ板13がその頂点位置の突起26を裏面側に向けた状態(以下、初期状態という)にある。このとき、跳ね上げ板13の直径方向軸部16の両端16a,16bは、それぞれ円板12の側壁に形成された軸孔の中で円板11の突起部14a、14bの先端に当接している。
【0028】
次に、円盤1に前述のような跳躍動作をさせるには、跳ね上げ板13の裏面側に突出した突起26を指で掴み、コイルスプリング23の引張力に抗して、図3(B)に示すように円板12の裏面上で跳ね上げ板13を引き起こしたところで、その軸部16を支点として円板12の開孔19側に回動させる。そして、図3(C)に示すように、跳ね上げ板13の突起26が円板12の開孔19内に入ると共に、切欠き25を有する先端部分が円板12の周縁部の内側に入って、係止部12aに係止される。これにより、円盤1は跳躍動作が可能な状態(以下、セット状態という)となる。
【0029】
このセット状態となった円盤1に対して、図1に示したように、平面10上で別の円盤2が跳ね上げ板13の係止を解除するように当たると、コイルスプリング23の引張力により、跳ね上げ板13が瞬間的に図3(A)の初期状態に戻るまで回動し、その回動する力で平面10を蹴る。その結果、平面10から円盤1が離れる瞬間に跳ね上げ板13が初期状態に戻される一方、円盤1が跳躍し宙返りして着地することになる。
【0030】
上記のように跳ね上げ板13の係止を解除するための条件は、図3(C)に示したセット状態において、円板12を矢印で示す方向に移動させる力を加えることであり、それによって、跳ね上げ板13の軸部16の両端16a,16bが開孔15a、15b内を相対的に移動し、跳ね上げ板13の切欠き25を形成した先端部分が円板12の周縁部の係止部12aから外れることになる。
【0031】
このような力は、例えば図1に示した突き当て用の円盤2を、円板12の側面上で係止部12aと反対の位置(図では、星印30を付した部位)に、矢印で示す方向からある速さ以上で衝突させることによって発生させることができる。このとき、跳ね上げ板13の半円形の頂点部分が、円板12の周縁部の内側に張り出した係止部12aから円滑に外れるようにするため、図3(C)のII−II断面図において、係止部12aの下側角部に当接する跳ね上げ板13の先端部分を斜めに面取りすることが好ましい。
【0032】
以上のとおり図示の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
例えば、図示の例では、円盤1を2枚の円板11、12を重ね合わせて構成しているが、表面側の円板11を省略してもよい。その場合、裏面側に跳ね上げ板13を取り付けた1枚の円板12を基板として円盤1が構成されるが、その表面側に付勢部材としてのコイルスプリング23やこれを掛け止める突起部18が現れるので、これらが現れる部分をシート状のカバーで覆うことが好ましい。
【0034】
また、円盤1の形状は、真円に限らず、楕円や円に近似する多角形であってもよい。
【0035】
また、付勢部材はコイルスプリングに限らず、基板から可動板の軸部に巻き掛けたつるまきバネ、あるいは輪ゴムでもよい。金属製のバネに比べて、輪ゴムは耐久性で劣るが、軽くて安価という利点がある。
【符号の説明】
【0036】
1・・・跳躍玩具の円盤、2・・・円盤、3・・・シート、4・・・的、10・・・平面、11,12・・・円板、12a・・・係止部、13・・・跳ね上げ板、14a,14b・・・突起部、15a,15b・・・開孔、16・・・軸部、16a,16b・・・軸部の両端、17・・・開孔、18・・・突起部、19・・・開孔、20・・・ビス、21,22・・・ボス、23・・・コイルスプリング、24・・・突起部、25・・・切欠き、26・・・突起。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の基板(12)と、その裏面側に直径方向の軸部(16)を中心として回動自在に取り付けた半円形の可動板(13)と、該可動板(13)を前記基板(12)の裏面上の一方の半円部分側に位置するように力を加える付勢部材(23)とを備え、
前記基板(12)は、前記可動板(13)の軸部(16)の両端を該軸部と直交する方向に所定間隔移動可能に支持する軸孔と、該基板(12)の裏面上の他方の半円部分側に前記付勢部材(23)の力に抗して前記可動板(13)を係止する係止部(12a)とを有し、
前記係止部(12a)により前記可動板(13)を係止した状態で前記基板(12)に対し、前記可動板(13)の軸部(16)の両端が前記軸孔内で該軸部(16)と直交する方向にずれるように力を加えたときに前記可動板(13)の係止が解除され、前記付勢部材(23)の力により前記可動板(13)が回動して前記基板(12)を置いた平面から跳躍することを特徴とする跳躍玩具。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記基板(12)の表面側で前記可動板(13)の軸部(16)と直交する直径方向の位置に設けた突起部(18)と前記可動板(13)の中心部に設けた突起部(24)とに掛け止めたスプリング(23)であることを特徴とする請求項1記載の跳躍玩具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の跳躍玩具において、
前記基板(12)の表面側に重ね合わせて結合される同形の円板(11)を備え、該円板(11)の裏面側の直径方向の両端となる位置に突起部(14a、14b)が設けられる一方、前記基板(12)の表面側の直径方向両端の位置に前記円板(11)の突起部(14a、14b)が嵌合する開孔(15a、15b)が設けられ、該開孔(15a、15b)内に前記突起部(14a、14b)が嵌合することにより、前記可動板(13)の軸部(16)の両端を回転可能に支持する軸孔が形成されることを特徴とする跳躍玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−161575(P2012−161575A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26317(P2011−26317)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000132633)株式会社センテクリエイションズ (21)
【Fターム(参考)】