説明

身分証明を兼ねたヘルパーカード

【課題】
新規な身分証明を兼ねたヘルパーカードの提供。
【解決手段】
(a)身分証明として少なくとも必要な情報、
(b)本人が意識を失ったとき救急隊員などに伝えるための、救急活動の初期治療に必要
な本人の健康状態に関する情報、本人の要望事項、緊急連絡先、
を内蔵していることを特徴とする身分証明を兼ねたヘルパーカード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身分証明を兼ねたヘルパーカードに関する。
【背景技術】
【0002】
外出時などに体の具合が急に悪くなって意識を失ってしまった時には、救急隊員が来ても、あるいは医者が来ても、本人は、たとえばアレルギーなどのため特定の薬の投与が望ましくないことを知らせることができず、そのため思わぬ不測の事態を招くことがあるのが現状である。
一方、音声装置が搭載、貼付されたダイレクトメールは、特許文献1〜3にみられるように公知である。
【0003】
【特許文献1】特開2005−099704号公報
【特許文献2】特開2006−175663号公報
【特許文献3】特開2007−094120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な身分証明を兼ねたヘルパーカードを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1は、
(a)身分証明として少なくとも必要な情報、
(b)本人が意識を失ったとき救急隊員などに伝えるための、救急活動の初期治療に必要
な本人の健康状態に関する情報、本人の要望事項、緊急連絡先、
を記載(記載可能な状態を含む)および/または内蔵(内蔵可能な状態を含む)していることを特徴とする身分証明を兼ねたヘルパーカード
に関する。
本発明の第2は、
(c)カードおよび/またはそこに記載された文字や図形が暗い場所でも人間が認識でき
る機能を有するものである請求項1記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード
に関する。
本発明の第3は、
(d)前記情報を音声で告知できる機能を備えたものである請求項1または2記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード
に関する。
本発明の第4は、
(e)本人の写真が記載されたものである請求項1〜3いずれか記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード
に関する。
本発明の第5は、
(f)カードを携帯していることを告知するためのサイン機能を備えたものである請求項1〜4いずれか記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード
に関する。
本発明の第6は、
(g)本人の居場所が分かる位置確認機能を備えたものである請求項1〜5いずれか記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード
に関する。
【0006】
(a)の身分証明として少なくとも必要な情報としては、本人の住所、氏名、性別、生年月日、好ましくは以上の情報に加えて電話番号、本籍地などを挙げることができる。
【0007】
(b)の本人が意識を失ったとき救急隊員などに伝えるための、救急活動の初期治療に必要な本人の健康状態に関する情報としては、血液型、アレルギーの有無、アレルギーの種類とその内容、現在通院中の病院名、病歴、通院または利用経験のある病院名、その住所と電話番号、担当医の氏名とその所属科、服用中の薬名、健康保険証の番号などを挙げることができる。
本人の要望事項としては、たとえば、「私は糖尿病患者です。糖の入った飲み物を飲ませてください。」とか、「ピルケース部に入っている薬を飲ませてください。」とか、複数ある緊急連絡先の順位など、本人の要望に従った内容を挙げることができる。
【0008】
(c)のカードおよび/またはそこに記載された文字や図形が暗い場所でも人間が認識できる機能を与えるためには、文字や縁取り部を蓄光性や蛍光性を有する顔料や染料を含むインキや塗料を用いて表示することができる。
蓄光性を有する顔料の代表的なものとしては、アルミン酸塩化合物を主成分とし、これに希土類元素よりなる賦活剤を添加したものがあり、たとえば根本特殊化学株式会社の商品名「N夜光(ルミノーバ)」を挙げることができる。
【0009】
(a)〜(c)の情報は、文字としてカードに記載することができるが、(d)のように音声の形でカード内に収納された集積回路(IC)に入力し、緊急時に第三者がこれを再生することができる情報としての文字と音声を併用してもよいことは当然である。なお、スイッチの具体例としては、株式会社ケイ・アンド・ディーの商品名「メンブレンスイッチ」を挙げることができる。
【0010】
(d)の前記情報を音声で告知できる機能としては、まず本人の要望を録音できる録音手段とそれを再生できる再生手段を備えたものを挙げることができる。これらの手段は、音声録音スイッチや音声再生スイッチを用いてそれらの手段を任意に活用することができる。
【0011】
(e)の本人の写真特に顔写真の記載は、最も簡単で明瞭な本人確認手段である。なお、併せてこの写真の撮影年次を記載することが好ましい。
【0012】
(f)のカードを携帯していることを告知するためのサイン機能としては、シールまたはストラップ、とくに発光するシールまたはストラップを使用することができる。
【0013】
(g)の本人の居場所が分かる位置確認機能(GPS機能)としては、携帯電話に組み込まれている緊急通報機能を使用することができる。
【0014】
これらのカードは、それぞれの疾病別に、緊急時の要望事項をあらかじめ記載(あるいは記載可能な状態)および/または入力(あるいは入力可能な状態)した形でカードを市販することもできる。疾病別の要望事項の例としては下記のものを挙げることができるが、基本的な文章とそこにカード購入者が任意に書き込みおよび/または入力することができるような形態をとることができる。
例1
至急救急車を呼んで下さい。私は、糖尿病患者です。意識不明、行動がおかしい時は、至急、私が携帯している砂糖(ブドウ糖)又は砂糖の入ったジュースを飲ませてください。
例2
至急救急車を呼んで下さい。私は、高血圧患者です。意識不明、気分が悪そうな時は、救急隊員に高血圧であることを伝え、このカードを渡してください。
例3
至急救急車を呼んで下さい。私は、心臓病患者です。意識不明、胸の苦しみを訴えている時は、救急隊員に心臓疾患があることを伝え、このカードを渡してください。
例4
至急救急車を呼んで下さい。私は、脳梗塞患者です。意識不明、言葉が話せない時は、救急隊員に脳梗塞患者であることを伝え、このカードを渡してください。決して、頭を動かさないでください。
例5
至急救急車を呼んで下さい。私は、左肩部に動脈瘤があります。意識不明、気分が悪そうな時は、救急隊員に動脈瘤があることを伝え、このカードを渡してください。
例6
病気のため助けが必要です。私は、パーキンソン病患者です。体の自由がきかなくなる症状があります。動けない、または怪我をしている場合は、救急隊員にパーキンソン病であることを伝え、このカードを渡してください。
例7
至急救急車を呼んで下さい。私は、食品アレルギーがあります。湿疹、呼吸困難、意識がおかしい時は、アレルギーショックの可能性があります。救急隊員にアレルギーがあることを伝え、このカードを渡してください。私がアレルギーをおこす食品:卵、牛乳、乳製品、小麦粉、そば粉
例8
至急救急車を呼んで下さい。私は、薬品アレルギーがあります。湿疹、呼吸困難、意識がおかしい時は、アレルギーショックの可能性があります。救急隊員にアレルギーがあることを伝え、このカードを渡してください。私がアレルギーをおこす薬:ペニシリン
例9
至急救急車を呼んで下さい。体の具合が大変悪いので、至急救急車を呼んで下さい。救急隊員にこのカードを渡してください。
例10
至急救急車を呼んで下さい。私は、妊娠しています。体の具合が大変悪いので至急救急車を呼んで下さい。救急隊員にこのカードを渡してください。
例11
私は、目に障害があります。このカードを示した時、あるいは地震、火事などの緊急の場合、私は助けを必要としています。私の手をとり、声を出して私を導いてください。
例12
私は、耳に障害があります。このカードを示した時、あるいは地震、火事などの緊急の場合、私は助けを必要としています。私の手をとり、手で合図をしながら私を導いてください。
【0015】
また、これらのカードには、ドナーカードとしての機能を併せ持たせることができる。ドナーカードの内容を記載することにより、ドナーカードとしての機能や医師に感染の可能性のあるC型肝炎、HIV、梅毒などの情報を付加することができる。
【0016】
このカードの大きさはとくに制限するものではないが、銀行や電鉄会社のカードと同一の大きさであると、収納の際便利であり、好ましい。カードの厚みは、録音、再生などの手段や電池などの厚みに大きく左右される。通常、0.7〜2mm程度の厚みがあればよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる身分証明を兼ねたヘルパーカードを携帯していることにより、身分証明として使用できるうえ、病気や障害による身体的不安、不便さを感じている人や高齢者は勿論すべての人が感じている地震などの災害や事故に対する不安の軽減に役立つ。
【実施例】
【0018】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0019】
実施例1
実施例1の身分証明を兼ねたヘルパーカードの表面記載事項を図1に示し、その裏面記載事項を図2に示し、その構造例を図3に示す。このカードの縦と横の寸方は銀行やデパートが発行しているカードと同一であるが、厚さはそれらより厚く、2mmである。
本実施例のカードは、典型的な糖尿病患者のものである。この形でユーザーに提供すれば、ユーザーは図1と図2の空白部分に必要事項を書き込み、必要に応じて音声入力機構を用いて、必要事項にかかる音声を入力することができる。
図3に示す電子回路基板1には、音声再生スイッチ2、音声録音スイッチ3、発光ダイオード4およびICチップ6を備えている。このカードに緊急時の要望を録音する際には、音声録音スイッチ3を押しながら、マイクロホン8に向かって吹込みを行う。
再生する場合には、音声再生スイッチ2を押すことにより録音されていた音声を再生することができる。ICチップ6は、薄型スピーカー5を駆動する増幅回路および音声を収録するマイクロホン8の電気信号を記録する電子記録回路などを備えている。なお、薄型スピーカー5は、圧電素子型を用いることにより、マイクロホン8の機能をも兼ね備えることができる(具体的には圧電積層スピーカ、商品モデルNo,HAP−BME−20−13N01を挙げることができる)。また、発光装置は、赤色の発光ダイオード(LED)4を備えスイッチ(たとえば前記商品名メンブレンスイッチ)2を2秒以上押しつづけることにより点灯する機能を有する。なお、LEDの特性として電圧が低下すると点灯しないことから、これにより電池の残容量の有無を知ることができる。電子回路の駆動電源としては、シート状またはコイン型の薄型電池7をカード本体9に内蔵させた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】身分証明を兼ねたヘルパーカードの表面例を示す。
【図2】身分証明を兼ねたヘルパーカードの裏面例を示す。
【図3】身分証明を兼ねたヘルパーカードの構造例を示す。
【符号の説明】
【0021】
1 電子回路基板
2 音声再生スイッチ
3 音声録音スイッチ
4 発光ダイオード
5 スピーカー
6 ICチップ
7 薄型電池
8 マイクロホン
9 カード本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)身分証明として少なくとも必要な情報、
(b)本人が意識を失ったとき救急隊員などに伝えるための、救急活動の初期治療に必要
な本人の健康状態に関する情報、本人の要望事項、緊急連絡先、
を記載および/または内蔵していることを特徴とする身分証明を兼ねたヘルパーカード。
【請求項2】
(c)カードおよび/またはそこに記載された文字や図形が暗い場所でも人間が認識でき
る機能を有するものである請求項1記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード。
【請求項3】
(d)前記情報を音声で告知できる機能を備えたものである請求項1または2記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード。
【請求項4】
(e)本人の写真が記載されたものである請求項1〜3いずれか記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード。
【請求項5】
(f)カードを携帯していることを告知するためのサイン機能を備えたものである請求項1〜4いずれか記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード。
【請求項6】
(g)本人の居場所が分かる位置確認機能を備えたものである請求項1〜5いずれか記載の身分証明を兼ねたヘルパーカード。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−51040(P2009−51040A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218087(P2007−218087)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(507286024)
【Fターム(参考)】