説明

車両のベンチレータのシャッターバルブ構造

【課題】シール部材のケース内壁との摺動接触圧を均等に小さくしてシャッターバルブ本体の回動の際のクリック感を軽くし、しかもシール部材による通風路を完全に閉鎖できるようにする。
【構成】送風可能な筒形のケース2の内部に風量調整用のシャッターバルブ本体11を支承軸により回動可能に配置し、シャッターバルブ本体11の少なくとも外周部にフェルト材或いは圧縮ウレタン材などの弾性変形可能なシール部材12を設置し、シール部材12における外周端部をシャッターバルブ本体11の外周端部より張出させることによってシール片部13を形成し、シール部13をケース2の通風路2aの内面に当接させることによってケース2の通風路2aを閉鎖する場合、シール部材12のシール片部13における先端部周囲より内方へ離間した部位に硬化層部14を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の室内空調用のベンチレータにおける通風路を開閉することにより吹出口より車室内へ送風される風量の調整を行うシャッターバルブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両のベンチレータのシャッターバルブ構造は、通風路を有する筒形のケースの内部に風量調整用のシャッターバルブ本体を回動可能に配置し、シャッターバルブ本体の外周部にフェルト等の弾性変形可能なシール部材を設置して、このシール部材における外周端部をシャッターバルブ本体の外周端部より張出させることによってシール部を形成し、シール部をケースの内面に当接させることによってケースの通風路を閉鎖するように構成している。
【0003】
そして、この種の従来の構造として、特許文献1に記載の「ダンパー開閉装置およびダンパー」が知られている。かかる特許文献1に記載の「ダンパー開閉装置およびダンパー」は、ダンパー本体(シャッターバルブ本体)の外周部に沿って溝部を形成し、溝部にシール部材を挟み込むことにより、ダンパー本体にシール部材を装着しており、シール部材を挟み込む溝部が、底部からダンパー本体外周縁までの長さを通風路における吹出側と通風路に連結しているダクト側とで異ならせるように形成したものである。
【0004】
かかる従来の技術は、ダンパーがケース内の通風路を閉鎖する方向に回動されると、ダンパーの外周縁に沿って挟み込まれたシール部材が、通風路の吹出側とダクト側とで異ならせるように形成した溝部の角部によってケース内壁に押し付けられ、ケースの通風路が、一部の隙間を生じることなくシール部材によって完全に閉鎖されるようにしたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−147626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された「ダンパー開閉装置およびダンパー」は、通風路の吹出側とダクト側とで異ならせた溝部の角部によって、シール部材がケース内壁に押し付けられるように構成していることから、ケースの内壁に対するダンパの摺動接触圧が、シール部材がケース内壁に押し付けられる前と押し付けられた後とでは大きく変化してしまい、ケース内壁に摺動しながら回動させる際に高くなって、ダンパーのクリック感が非常に重たくなってしまい、乗員の操作感触を悪くしてしまうことになる。
【0007】
そこで、かかるシャッターバルブの回動操作の際の摺動接触圧を均等に小さくしてクリック感を軽くするためには、上記従来の技術のように、シール部材を設置するシャッターバルブ本体の溝部の底部形状を異ならせないで、シール部材におけるケース内壁への溝部の角部による押し付け力を小さくすることが考えられる。
【0008】
しかしながら、このようにシール部材におけるケース内壁への溝部の角部による押し付け力を小さくした場合には、図8に示すように、シール部材aの外周端部が、不図示のケースの内周との摺動接触圧を場所によって異ならせてしまう結果、シャッターバルブ本体bに対して波状に変形してしまう場合がある。このように、シール部材aが波状に変形してしまうと、シール部材aとケースの内壁との間に隙間ができてしまい、通風路が全閉されないことになってしまう。
【0009】
そこで、この発明は、上記従来の技術における課題に鑑み、シール部材のケース内壁との摺動接触圧を均等に小さくしてシャッターバルブ本体の回動の際のクリック感を軽くし、しかもシール部材による通風路を完全に閉鎖できるようになした車両のベンチレータのシャッターバルブ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る車両のベンチレータのシャッターバルブ構造は、送風可能な筒形のケースの内部に風量調整用のシャッターバルブ本体を支承軸により回動可能に配置し、シャッターバルブ本体の少なくとも外周部に弾性変形可能なシール部材を設置し、シール部材における外周端部をシャッターバルブ本体の外周端部より張出させることによってシール片部を形成し、シール部をケースの内面に当接させることによってケースの通風路を閉鎖するように構成する場合において、シール部材のシール片部における先端部周囲より内方へ離間した部位に硬化層部を設けたことを特徴とする。
【0011】
かかる構成により、この発明は、シール部材のシール片部がケースの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、かかる場所によって異なる摺動接触圧によりシール片部を波打たせようとする力に対して硬化層部が抵抗して、シール片部による通風路を完全に遮蔽することができて、ケースの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0012】
しかも、この発明は、硬化層部がシール片部における先端部周囲より内方へ離間した部位に設けられていることから、シール片部の先端部は、円滑に弾性変形可能になってケースの内壁に対する摺動接触圧を小さくすることができて、シャッターバルブのクリック感を軽くすることができる。
【0013】
又、この発明の車両のベンチレータのシャッターバルブ構造に係る硬化層部は、実施の態様として、シール部材のシール部を縫製糸を用いて縫製することにより形成している。
【0014】
かかる構成により、この発明は、上記発明が奏する作用効果に加えて、硬化層部が縫製糸を用いて縫製することによって構成していることから、シール部材のシール片部がケースの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、かかる摺動接触圧に対して硬化層部が、縫製糸にて形成されている故に、シール片部を波打たせようとする力に対して堅固な抵抗力を発揮することができて、ケースの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0015】
又、この発明の車両のベンチレータのシャッターバルブ構造に係る硬化層部は、実施の態様として、縫製糸を互いに対向するように複数条縫製することにより形成した構成としている。
【0016】
かかる構成により、この発明の車両のベンチレータのシャッターバルブ構造は、上記発明が奏する作用効果に加えて、硬化層部を複数条から構成していることから、シール部材のシール片部がケースの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、かかる摺動接触圧によるシール片部を波打たせようとする力に対して硬化層部が堅固な抵抗力を発揮することができて、ケースの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0017】
又、この発明の車両のベンチレータのシャッターバルブ構造に係る硬化層部は、複数条形成した場合に、互いに隣り合う硬化層部同士の縫製方向が、山谷互い違いに形成された構成としている。
【0018】
かかる構成により、この発明の車両のベンチレータのシャッターバルブ構造は、上記発明が奏する作用効果に加えて、互いに隣り合う硬化層部の縫製方向が山谷互い違いに形成されていることから、硬化層同士が牽制し合ってシール片部を波打たせようとする力に対して互いに抵抗し合うことができ、シール部材のシール片部がケースの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、かかる摺動接触圧に対して硬化層部がより堅固な抵抗力を発揮することができて、ケースの内壁とのシール効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
上記のように構成するこの発明に係る車両のベンチレータのシャッターバルブ構造は、シール部材のシール片部がケースの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、かかる硬化層部が、摺動接触圧によってシール片部を波打たせようとする力に対して抵抗して、シール片部を波打ち状態にすることがなく、シール片部による通風路を完全に遮蔽することができて、ケースの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0020】
しかも、この発明は、硬化層部がシール片部における先端部周囲より内方へ離間した部位に設けられていることから、シール片部の先端部は、円滑な弾性変形を行ってケースの内壁に対する摺動接触圧が小さくなって、シャッターバルブのクリック感を軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施例1に係るシャッターバルブ構造を採用した車両のベンチレータを描画した斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1に描画したシャッターバルブ構造を構成するシール部材の平面図である。
【図4】シャッターバルブ本体と共に描画した図3のB−B断面図である。
【図5】この発明の実施例2に係るシャッターバルブの平面図である。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】この発明に係る実施例3に係るシール部材の部分的平面図である。
【図8】従来技術に係るシール部材の波打ち現象を描画した概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明に係る車両のベンチレータのシャッターバルブ構造は、シール部材のケース内壁との摺動接触圧を均等に小さくしてシャッターバルブ本体の回動の際のクリック感を軽くし、しかもシール部材による通風路を完全に閉鎖できるように構成している。
【0023】
次に、この発明の車両のベンチレータのシャッターバルブ構造に係る実施例について、図を用いて説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、車両のベンチレータ1はケース2を有しており、筒形のケース2の車室に面するフロント部3に吹出口4が設けてあり、吹出口4には複数の横フィン5と複数の縦フィン6とが、操作レバー7によりそれぞれ角度調整可能に設けてある。ケース2のリア部3a側は、不図示の空調装置に連結されたダクト8が連結されている。
【0025】
そして、ケース2は、フロント部3とリアー部3aとの間において断面矩形状の通風路2aを有して構成している。ケース2内には、通風路2aを開閉するシャッターバルブ10が設けられている。シャッターバルブ10は、ケース2に支承軸10aを介して回転可能に軸支されたシャッターバルブ本体11とシャッターバルブ本体11に挟着状態で設置されたシール部材12とを有して構成している。シャッターバルブ10は、ケース2のフロント部3に設けたダイヤル3aを回動操作することにより、通路2aの開閉を行うように構成されている。
【0026】
シール部材12は、羊毛等の動物の毛或いは化学繊維等からなる不織布を接着剤などを混在させて圧縮形成したフェルト材或いは圧縮ウレタン材などから構成している。シール部材12の外周端部は、シャッターバルブ本体11に設置する際に、シャッターバルブ本体11の外周部端部より張出させることによって、弾性変形可能なシール片部13に構成されている。さらに、シール片部13には、実施例1においては、図3及び図4に示すように、その先端部周囲より内方に離間した部位に硬化層部14が形成されている。硬化層部14は、縫製糸15を縫製することにより形成している。ここで、縫製糸15は、幅0.8mm程度のポリエステルや革紐など適度な剛性を有する材料を使用するのが好ましいが、これに限定されるものではなく、ケース2の通風路2aの形状等によっては、幅0.8mm程度より幅広或いは幅狭な縫製糸を使用することができる。
【0027】
このように構成する実施例1においては、シール部材12のシール片部13がケース2の通風路2aの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、シャッターバルブ10における回転操作時にかかる摺動接触圧によってシール片部13を波打たせようとする力に対して硬化層部14が抵抗して、シール片部13が波打ち状態になることがなく、シール片部13により通風路2aを完全に遮蔽することができて、ケース2の通風路2aの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0028】
しかも、この実施例1においては、硬化層部14がシール片部13における先端部周囲より内方へ離間した部位に設けられていることから、シール片部13の先端部は、通風路2aの内壁に倣って円滑に弾性的に折曲変形可能になって通風路2の内壁に対する摺動接触圧を小さくすることができて、シャッターバルブ10のクリック感を軽くすることができる。
【0029】
またこの実施例1においては、硬化層部14が縫製糸15を用いて縫製することによって構成していることから、シール部材12のシール片部13が通風路2aの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、かかる場所によって異なる摺動接触圧によって生じるシール片部13を波打たせようとする力に対して、硬化層部14は縫製糸15を用いて形成されているが故に堅固な抵抗力を発揮することができて、通風路2aの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0030】
次に、この発明に係るシャッターバルブ構造の実施例2について、図5及び図6を用いて説明する。図5及び図6に示す実施例2においては、羊毛等動物の毛或いは化学繊維等からなる不織布を接着剤などを混在させて圧縮形成したフェルト材或いは圧縮ウレタン材などからなるシール部材12は、シャッター本体11の一側面端部に接着剤などにより貼着することにより、設置されている。従って、シール部材12は、平面視で、中央部に孔が形成された枠状を呈して構成している。また、シャッターバルブ10を回転可能に支承する支承軸10aは、シャッターバルブ本体11の互いに対向する側壁部の一方には一体に形成されると共に、他方には一体に形成した挿入孔10bに挿入設置されている。
【0031】
そして、シール部材12の外周端部は、実施例1と同様に、シャッターバルブ本体11に設置する際に、シャッターバルブ本体11の外周部端部より張出させることによって、弾性変形可能なシール片部13に構成されている。さらに、シール片部13には、実施例2においては、図5及び図6に示すように、その先端部周囲より内方に離間した部位に硬化層部14が形成されている。硬化層部14は、縫製糸15を縫製することにより形成している。ここで、縫製糸15は、幅0.8mm程度のポリエステルや革紐など適度な剛性を有する材料を使用するのが好ましいが、これに限定されるものではなく、ケース2の通風路2aの形状等によっては、幅0.8mm程度より幅広或いは幅狭な縫製糸を使用することができる。なお、この実施例2においては、硬化層部14は、シャッターバルブ本体11に設けた支承軸10aに跨ぐ部位周辺部分には、形成されていない。
【0032】
このように構成する実施例2においても、シール部材12のシール片部13がケース2の通風路2aの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、シャッターバルブ10における回転操作時にかかる摺動接触圧によって生じるシール片部13を波打たせようとする力に対して硬化層部14が抵抗して、シール片部13が波打ち状態になることがなく、シール片部13により通風路2aを完全に遮蔽することができて、ケース2の通風路2aの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0033】
しかも、この実施例2においても、硬化層部14がシール片部13における先端部周囲より内方へ離間した部位に設けられていることから、シール片部13の先端部は、通風路2aの内壁に倣って円滑に弾性的に折曲変形可能になって通風路2の内壁に対する摺動接触圧を小さくすることができて、シャッターバルブ19のクリック感を軽くすることができる。
【0034】
またこの実施例2においても、硬化層部14が縫製糸15を用いて縫製することによって構成していることから、シール部材12のシール片部13が通風路2aの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、かかる摺動接触圧によってシール片部13を波打たせようとする力に対して硬化層部14が堅固な抵抗力を発揮することができて、通風路2aの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0035】
次に、図7を用いて、実施例1の変形例ともいうべく実施例3について説明する。図7に示す実施例3においては、硬化層部14が、縫製糸15を用いてシール片部13における先端部周囲より内方へ離間した部位に、複数条例えば二条縫製することによって、複数条の硬化層部14a及び14bにて構成されている。ここで、縫製糸15は、上記実施例と同様に、幅0.8mm程度のポリエステルや革紐など適度な剛性を有する材料を使用する場合やケース2の通風路2aの形状等によっては、幅0.8mm程度より幅広或いは幅狭な縫製糸を使用することができる。但し、通風路2a等の形状が同様な場合には、硬化層部14が複数条の硬化層部14a、14bにて構成していることから、より幅狭な縫製糸を使用することもできる。
【0036】
しかも、かかる実施例3においては、各硬化層部14aと硬化層部14bとは、互いに縫製方向を異ならせることによって、山谷互い違いに形成されている。この結果、一方の硬化層部14aの山部14a−1には他方の硬化層部14bの谷部14b−2が対向するように構成され、又、他方の硬化層部14bの山部14b−1には一方の硬化層部14aの谷部14a−2が対向するように構成されていることから、一方の硬化層部14の谷部14a−14bに他方の硬化層部14の山部14b−2が対接存在すると共に、他方の硬化層部14bの谷部14b−2に一方の硬化層部14aの山部14a−1が対接存在することによって、あたかも縫製糸が実質的に隙間なく連続的している如く構成されていることになる。
【0037】
このように構成する実施例3においても、シール部材12のシール片部13がケース2の通風路2aの内壁に接触することによって場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、シャッターバルブ10における回転操作時にかかる摺動接触圧によって生じるシール片部13を波打たせようとする力に対して硬化層部14が抵抗して、シール片部13が波打ち状態になることがなく、シール片部13により通風路2aを完全に遮蔽することができて、ケース2の通風路2aの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0038】
しかも、この実施例3においても、硬化層部14がシール片部13における先端部周囲より内方へ離間した部位に設けられていることから、シール片部13の先端部は、通風路2aの内壁に倣って円滑に弾性的に折曲変形可能になって通風路2の内壁に対する摺動接触圧を小さくすることができて、シャッターバルブ19のクリック感を軽くすることができる。
【0039】
さらに、この実施例3においては、互いに隣り合う硬化層部14a、14bの縫製方向が山部14a−1、14b−1と谷部14a−2、14b−2によって互い違いに形成されて、硬化層部14a、14b同士が互いに牽制し合ってシール片部13を波打たせようとする力に対して抵抗し合うことができ、シール部材12のシール片部13がケース2の通風路2aの内壁に接触することで場所によって異なる摺動接触圧を受けたとしても、かかる異なる摺動接触圧によってシール片部13を波打たせようとする力に対して、硬化層部14a、14bがより堅固な抵抗力を発揮することができて、ケース2の通風路2aの内壁とのシール効果を高めることができる。
【0040】
なお、上記いずれの実施例においても、硬化層部14は、シール片部13をポリエステル或いは革紐などの縫製糸を縫製することにより構成したが、これに限定されるものではなく、シール片部13を、例えば加熱圧着ごて等により溶融させた後硬化させることにより形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明は、シール部材のケース内壁との摺動接触圧を均等に小さくしてシャッターバルブ本体の回動の際のクリック感を軽くし、しかもシール部材による通風路を完全に閉鎖できるようにできることから、車両の室内空調用のベンチレータにおける通風路を開閉することにより吹出口より車室内へ送風される風量の調整を行うシャッターバルブ構造等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0042】
1 ベンチレータ
2 ケース
2a 通風路
8 ダクト
10 シャッターバルブ
11 シャッターバルブ本体
12 シール部材
13 シール片部
14 硬化層部
14a 一方の硬化層部
14a−1 山部
14a−2 谷部
14b 他方の硬化層部
14b−1 山部
14b−2 谷部
15 縫製糸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風可能な筒形のケースの内部に風量調整用のシャッターバルブ本体を支承軸により回動可能に配置し、該シャッターバルブ本体の少なくとも外周部に弾性変形可能なシール部材を設置し、該シール部材における外周端部を前記シャッターバルブ本体の外周端部より張出させることによってシール片部を形成し、該シール部を前記ケースの内面に当接させることによって該ケースの通風路を閉鎖するように構成した車両のベンチレータのシャッターバルブ構造であって、前記シール部材のシール片部における先端部周囲より内方へ離間した部位に硬化層部を設けたことを特徴とする車両のベンチレータのシャッターバルブ構造。
【請求項2】
請求項1に記載の 前記硬化層部は、前記シール部材のシール部を縫製糸を用いて縫製することにより形成したことを特徴とする車両のベンチレータのシャッターバルブ構造。
【請求項3】
請求項2に記載の前記硬化層部は、前記縫製糸を互いに対向するように複数条縫製することにより形成した構成としたことを特徴とする車両のベンチレータのシャッターバルブ構造。
【請求項4】
請求項3に記載の前記複数条の硬化層部のうち互いに隣り合う硬化層部同士の縫製方向が、山谷互い違いに形成されていることを特徴とする車両のベンチレータのシャッターバルブ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−214177(P2012−214177A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82126(P2011−82126)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】