車両フロア・トレイ
【課題】本発明の目的は、高いせん断強度および引張り強度、許容される剛度を有し、かつその上面上に大きな摩擦係数を有するように、多層押出し熱可塑性ポリマー・シートから真空成形される、深い側面を有する車両フロア・トレイを提供する。
【解決手段】深い側面1510〜1516を有する車両フロア・トレイ1500が、許容される剛度を有し、その上面1504上に大きな摩擦係数を有するように、多層押出し熱可塑性ポリマー・シートから真空成形される。このフロア・トレイの設計は、リザーバ1522を構成に組み込んだ後でも、フット・ウェル表面のデジタル的に取得されたモデルを構成に重ね合わせるときに、トレイの下面1502の少なくとも90%がフット・ウェル表面のデジタル的に取得されたモデルから4分の1インチ以下しか離れないように、特定の車両モデルのフット・ウェルにデジタル的に合わせる。
【解決手段】深い側面1510〜1516を有する車両フロア・トレイ1500が、許容される剛度を有し、その上面1504上に大きな摩擦係数を有するように、多層押出し熱可塑性ポリマー・シートから真空成形される。このフロア・トレイの設計は、リザーバ1522を構成に組み込んだ後でも、フット・ウェル表面のデジタル的に取得されたモデルを構成に重ね合わせるときに、トレイの下面1502の少なくとも90%がフット・ウェル表面のデジタル的に取得されたモデルから4分の1インチ以下しか離れないように、特定の車両モデルのフット・ウェルにデジタル的に合わせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両フロア・トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、ほとんどの場合戸外で操作され、かつ戸外に駐車されることが多い。したがって、乗員の足が濡れていたり、泥だらけであったりすることが非常に多い。乗員が戸外の活動を終えきっていないならば、少なくとも、湿っているか、雪が積もっているか、または泥だらけであるかもしれない表面を横切って車両に近づかなければならかった。したがって、数10年にわたって、車両の所有者は、彼ら自身が車両に導き入れるものから車両(自動車、トラック、SUV)の密閉された室内を保護することを試みている。これに対する従来の解決策は、所有者によって定期的に取り外され清掃される車両フロア・マットを提供することであった。
【0003】
人間は、足をあちこち動かす傾向があり、足の動きは大部分の車両を運転するうえで必須である。この場合、車両の乗員が足でフロア・マットをあちこちに押す傾向があるため問題が起こっている。フロア・マットは、最後には保護されている領域の中心になくなったり、ガス・ペダル、ブレーキ・ペダル、またはクラッチ・ペダルを妨害するように押し上げられたり、ひだがついたり折り畳まれた状態になったりする。これらは全て望ましくない状態である。したがって、フロア・マット製造業者の1つの課題は、同じ場所に留まり、車両の運転に悪影響を与えないフロア・マットを提供することである。
【0004】
車両、トラック、およびSUVのフット・ウェルは、車両のモデル間でサイズおよび形状が異なる。フロア・マット製造業者は、フット・ウェルの底面の形状に少なくとも概ね一致するフロア・マットが所定の位置に比較的良好に留まり、保護を向上させることを認識している。また、そのようなフロア・マットは、フロント・シート・フット・ウェル用に設けられる場合、フット・ウェルのファイア・ウォールまたは前面に位置するようになっている部分を有するのが一般的である。このように拡張される場合でも、この2つの表面に概ね一致する可とう性材料のフロア・マットを提供するのはそれほど難しくはない。なぜなら、設計者は、適度に嵌合するマットを提供するうえでマットの二次元的な周囲に注目するだけでよいからである。
【0005】
より最近では、車両フロア・トレイが市販されている。大部分のフロント・シート用車両フット・ウェルは実際には立体凹状であり、通常複雑な曲面を有している。フロア・トレイは、は泥または雪だらけの靴を履いた人に対して必要でありうる、車両フロアを囲む表面に対する保護を強化する側壁を有する。従来の車両フロア・トレイについては、このような立体キャビティに嵌め込むことが試みられてはいるが、今までのところフロア・トレイが保護することろ前提としている表面との嵌め合わせは最適なものにはなっていない。従来の車両フロア・トレイは通常、単一プライ・ゴムまたはプラスチック材料から成形され、立体形状を保持するのに十分な剛性を示すが、少なくともある程度可とう性でもある。このようなトレイを車両フット・ウェルの複雑な立体表面に嵌合させるのは困難であることが分かっているが、現在市販されている多くの製品は、フット・ウェルの内側にぴったりと嵌らないため消費者にそれほど認められていない。多くの場合、かつ多くの場所で、これらの従来のトレイの外壁とフット・ウェルの内面との間にかなりの空間があることが多い。このため、乗員の足がこの壁に接触した場合に壁が顕著に変形する。車両の所有者は、がたつく、変形する、ずれる、およびパタパタ動くフロア・トレイを好まない傾向がある。
【0006】
従来の1つのトレイ成形プロセスは、車両フット・ウェル表面のキャスティングまたは雄インプレッションをとり、そのキャスティングに基づいて型を作製するものと考えられる。このキャスティングでは、車両カーペット・パイルを実質的にかつ一様に圧縮する必要があり、その後嵌め合わせが不正確になる。このプロセスによって作製されたフロア・トレイはまた、おそらく後で凝固するキャスティング液の使用に特有の制限のために比較的浅くなる。このプロセスは、フット・ウェルに隣接するドア・シルまたはシル・カーブのインプレッションをとるのにも、これらの表面を保護するフロア・トレイを作製するのにも使用されていない。
【0007】
したがって、フロア・トレイが設けられる車両フット・ウェルによりぴったりと嵌り、一旦設置されると所定の位置に留まり、乗員の足によりしっかりした確実な感触を与えるフロア・トレイが必要である。
【0008】
現在市販されているいくつかの車両フロア・マットには、流体リザーバが内蔵されている。特に寒冷または湿潤な環境では、汚れた水がフロア・マット上に流れる傾向があり、この水は蒸発するまでフロア・マット上に留まる。汚れた水が十分にある場合、水はフロア・マットから漏れ、マットが保護するものとされていたフット・ウェルのカーペットを汚す。このようなリザーバは通常、マットの凹状領域であり、水が蒸発するか、または車両の所有者またはユーザが処分できるようになるまで雪解け水などを保持する改善された能力をマットに与える。ある高度な設計ではトレッドがリザーバの中央に配置され、これにより、乗員の足は、リザーバが回収するあらゆる流体の上方に保持される。他の場合には車両フット・ウェルの立体表面にうまく合うフロア・トレイ内にこのようなリザーバを含めることはまだ行われていない。というのは、理想的には下面がフット・ウェルの表面に一致する製品に、立体的な液体保持容器を組み込むと問題が起こるからである。さらに、車両フロア・トレイのような大きな表面からの水滴を回収するリザーバは、回収された流体が移動する車両内ではねるのを妨ぐ上で、より限られた表面積のマット内のリザーバよりも問題が多い。
【0009】
従来の車両フロア・マットおよびフロア・トレイは、単一のゴムまたはプラスチック材料から成形される。この材料の選択は、そのコスト、せん断力に対する耐性、引張り強度、摩擦抵抗、車両フット・ウェルの表面に一致する能力、消音性、およびそれが乗員の足に対して滑りやすいか滑りにくいか(滑りにくい(比較的大きな摩擦係数を有する)方が有利である)によって制限される。しばしは設計者は、トレイまたはマットを作るための材料を指定する際にこれらの様々な設計上の制約同士折り合いをつけねばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、高いせん断強度および引張り強度、許容される剛度を有し、かつその上面(1504)上に大きな摩擦係数を有するように、多層押出し熱可塑性ポリマー・シート(2530)から真空成形される、深い側面(1510〜1516)を有する車両フロア・トレイ(1500)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、消費者によって取外し可能に設置可能であり、かつ好ましくは同時押出しによって接着された少なくとも3つの層で形成された車両フロア・カバー、フロア・マット、またはフロア・トレイが提供される。この3つの層には、組成が底部層および頂部層とは異なる中央層が含まれる。好ましくは、これら3つの層は全て熱可塑性ポリマー材料で形成される。本発明の他の局面では、頂部層は、少なくとも約0.82の代表的な靴の本底(ネオプレンゴム、ショアAデュロメータ60)を模倣するようになっているサンプルに対する動摩擦係数を示す。
【0012】
好ましくは、中央層の大部分はポリオレフィンである。より好ましくは、このポリオレフィンはポリプロピレンまたはポリエチレンである。最も好ましくは、このポリオレフィンは、本明細書で定義される高分子量ポリエチレン(HMPE)である。他の態様では、中央層は、スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)ポリマー混合物であってよい。
【0013】
好ましくは、頂部層の大部分は、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)で販売されている公的に利用できるが独占権下の組成物のうちの1つなどの熱可塑性エラストマである。VYRAM(登録商標)が特に好ましい。他の態様では、頂部層の大部分はABSポリマー混合物であってよい。ABSを頂部層と中央層の両方に使用する場合、頂部層のポリブタジエン相の量が中央層のこの相の量よりも多くなることが好ましい。
【0014】
底部層の大部分が同様に熱可塑性エラストマであることがさらに好ましく、かつ好都合なことに、底部層の大部分は、頂部層の大部分と同じ組成であってよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0015】
好ましくは、1つまたは複数の層は実際にはポリマー混合物であり、ここではその小部分として、その同時押出しにおける隣接する層との適合性によって事前に選択される。したがって、頂部層および底部層の小部分をポリオレフィンで構成することができ、一方、中央層の小部分を熱可塑性エラストマで構成することができる。それぞれの場合に、小部分が各層の約4分の1以下の重量部、すなわち、重量比が1:3以下になることが好ましい。3つ全ての層についてABS混合物であるよう事前に選択してある場合、混合物中のポリブタジエンの量は頂部層および底部層と比べて中央層で好ましくは少なくなる。
【0016】
車両フロア・カバーの好ましい態様は、3つの一体的な層から成るが、これらの層の任意の1つは実際には2つ以上の部分層で構成することができ、これにより、結果として得られるマットまたはトレイ内の部分層の総数は3を超えてよい。
【0017】
他の態様では、上述の頂部層、中央層、および/または底部層の熱可塑性エラストマ構成成分を、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、またはエチレンプロピレンジエン単量体ゴム(EPDM)を含む天然ゴムまたは合成ゴムで置き換えることができる。
【0018】
本発明の関連局面によれば、好ましくは同時押出しによって接着された3つの層を有する車両フロア・カバーが提供される。頂部層および底部層の大部分は熱可塑性エラストマから成る。頂部層および底部層は、その経費が比較的安いものを選択することのできる中央層とは異なる組成を有する。中央層の大部分がポリオレフィンであり、頂部層および底部層の大部分が1つまたは複数の熱可塑性エラストマであることが好ましい。このポリオレフィンは、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択することができ、好ましくは高分子量ポリエチレン(HMPE)である。熱可塑性エラストマは例えば、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、またはVYRAM(登録商標)であってよく、VYRAM(登録商標)が特に好ましい。また、各層がポリマー混合物であり、各層の小部分が、その同時押出しにおける隣接する層との適合性によって選択されることが好ましい。例えば、頂部層と底部層は、重量比が3:1のVYRAM(登録商標)/HMPEで構成することができ、中央層は、重量比が3:1のHMPE/VYRAM(登録商標)で構成することができる。
【0019】
上述の態様に代わる態様では、頂部層および底部層をABSポリマー混合物で構成することができ、ポリブタジエン相が頂部層および底部層よりも低い濃度で存在するSANまたはABSで中央層を構成することができる。
【0020】
他の態様では、本発明のこの局面に記載された熱可塑性エラストマを、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、またはエチレンプロピレンジエン単量体ゴム(EPDM)などの天然ゴムまたは合成ゴムで置き換えることができる。
【0021】
本発明の他の態様では、本発明による車両フロア・トレイまたはフロア・マットは3つの層で作られ、ここで頂部層および底部層は中央層とは組成が異なり、断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの少なくとも1つがトレイまたはマットを構成する層のうちの任意の1つよりも高い。本発明の3層押出しによる車両マットまたはフロア・トレイは、主としてポリオレフィンの単層押出しまたは主として熱可塑性エラストマの単層押出しよりも優れた、たわみ時の引張り強度、破壊時の引張り応力、引張り係数、せん断強度、および曲げ弾性率(剛性)を示すことが判明している。3層押出しトレイは、これらの改善された物性を示し、同時に、乗員の足に対する改善された摩擦係数および改善された触覚特性を実現する。運転者または乗員の靴にこのような表面を与えることによって、運転者または乗員の足元がよりしっかりとした快適なものになる。
【0022】
本発明の他の態様では、他の主要構成部材として車両フット・ウェルを有するシステムの一部として有する車両フット・ウェル・トレイが提供される。トレイは、トレイが提供される車両フット・ウェルの表面との一致度が大幅に改善されている。共にトレイ・フロアから頂縁部まで延びるトレイの少なくとも2枚の直立壁は、頂縁部に隣接するトレイのこれらの直立壁の外面の面積の少なくとも3分の1の部分内で、上3分の1の領域の90%が直立壁が当たるフット・ウェル表面から約1/8インチ(0.317cm)以下しかずれないように、車両フット・ウェルのそれぞれの表面に一致する。これらの直立トレイ表面は、互いに向かい合う表面であっても、互いに隣接する表面であってもよく、好ましくはその両方である。トレイが車両ドア・シルを覆うように延びる一態様では、トレイは、車両フット・ウェルのドア・シル表面および/または車両フット・ウェルのシル・カーブから約0.025インチ(0.064cm)ずれる。フロア・トレイの直立側壁は、このようなフット・ウェル表面が凹表面部材と凸表面部材の両方を示す場合でも、側壁が覆うフット・ウェル表面に一致する。
【0023】
本発明の他の態様では、トレイは、好ましくは実質的に圧縮されていない状態で存在する際の車両フット・ウェル表面を模写した車両フット・ウェル表面モデルがトレイの下面に最もうまく合うように重ねた場合に、トレイの下面の少なくとも90%が車両フット・ウェル表面モデルから0.25インチ(0.64cm)内に入るように車両フット・ウェルに嵌まる。好ましくは、このトレイ下面の少なくとも50%がこのモデルから0.125インチ(0.317cm)以内に配置される。トレイは、リザーバをその後端から3分の2以内に含み、これはトレイ上面の10%〜50%を占有する。トレイ・リザーバの周方向壁は、深さが少なくとも0.050"(0.13cm)であり、より好ましくは0.25インチ(0.64cm)である。
【0024】
本発明の他の局面では、車両フロア・トレイの頂縁部は、その少なくとも2枚の直立側壁上で実質的に共面である。好ましくは、トレイの頂縁部は、3枚または場合によっては4枚の連続的な直立側壁によって実質的に共面である。これによって、フロア・トレイの設計が容易になり、フープ(hoop)強度が増し、車両フット・ウェルの全ての直立表面が泥だらけの履物に対する適切な保護を受けることを確実にする。特に好ましい態様では、頂縁部の平面は、水平な床に対して前方上向きに傾斜している。これによって、アクセル・ペダル、ブレーキ・ペダル、およびクラッチ・ペダルまたはファイア・ウォールの近くの、まさに、泥だらけの履物が位置する可能性が高い場所における、車両フット・ウェルの保護が改善され、一方、シートを移動させるのが可能になる。好ましい態様では、トレイは、深さが最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である。
【0025】
本発明の他の局面では、新規の車両フロア・トレイ製造方法およびシステムによって上述の厳密な公差が可能になる。本発明による第1の段階では、車両フット・ウェルの表面上の各点を座標測定機(CMM)によってデジタル的に測定する。これらの点をコンピュータ・メモリに格納する。好ましくは、B-スプラインを使用することによって各点の線状群同士を連結し、B-スプライン間を上昇(loft)させてフット・ウェル表面の領域部分を作成することによって、これらの点を含むフット・ウェル表面を作製する。いくつかの凹状湾曲部および凸状湾曲部を有することがある、この通常複雑で立体的な主として凹状の表面を用いて、多くの領域で、トレイの外面とフット・ウェルの表面との距離が約1/8インチ(0.317cm)以下になり、確実にぴったりと嵌るように、対応する実質的に凸状のフロア・トレイ外面または下面を作製する。
【0026】
本発明の一態様では、リザーバが乗員の足および脚からの水滴を回収し蒸発させる領域としてトレイ・フロアに組み込まれる。回収された流体の横方向への移動を妨害する組合せバッフル/トレッドがリザーバに設けられる。これらのバッフルの長手方向部分と横方向部分が接合される。流体をリザーバに送る流路がトレイの中央領域の他の部分に割り込み、これにより、流路の底部は一般のトレイ・フロア表面の下であるがリザーバの底部よりも上方に位置する。運転者側の好ましい態様では、フロア・トレイ上面の一部から流路が省略され、ガス・ペダルおよびブレーキ・ペダルを操作する際に運転者の踵が位置する空間が残る。
【0027】
本発明による第2のプロセスおよびシステムでは、好ましくは実質的に圧縮されていない実際の車両フット・ウェル表面上の各点をデジタル的に測定し格納することによって車両フット・ウェル表面モデルを構築する。デジタル測定段階は、好ましくは、測定中の表面を圧縮しない段階である。このフット・ウェル表面モデルが模写され、車両フロア・トレイの一般の下面の作製が開始される。所定のリザーバ領域内において、車両フット・ウェル表面モデルをトレイの一般の下面から少なくとも0.050インチ(0.13cm)、より好ましくは約0.25インチ(0.64cm)離れた位置まで下向きに突き出させ、リザーバ領域内にトレイ像の下面を作製する。好ましくは、隣接する所定の流路領域内に、互いに間隔を置いて配置され互いに平行な複数の細長い流路を定め、これらの流路をリザーバ境界の深さよりも浅い深さだけ下向きに突き出させる。このように修正されたトレイの下面の立体像を用いて型を構築する。次にこの型を用いて熱可塑性材料のシートから車両フロア・トレイを製造する。
【0028】
本発明の好ましい態様では、多くの場所で、車両フロア・トレイ下面が合うように設計される車両フロア表面モデルに対して意図的に「負の離隔(negative standoff)」状態にされた車両フロア・トレイ下面を作製することによって、車両フット・ウェル表面(通常カーペット・パイルによって形成される)の圧縮可能性を活用する。すなわち、車両フロア・トレイの下面の像を車両フロア表面モデルに、この2つが最もうまく合うように数学的に重ね合わせると、フロア・トレイ下面のいくつかの領域は車両フロア表面モデルの表面よりも上方に位置し、他の領域はこの表面よりも下方に位置する。好都合なことに、「負の離隔」は、リザーバおよび流路を設計に組み込む際に使用され、アクセル・ペダルやブレーキ・ペダルの周りのような、実際の床表面に非常にぴったりと合うことが望ましいトレイの領域に使用することもできる。本発明のシステムおよび方法は、「負の離隔」の意図的な使用を可能にする。従来の設計方法ではこれは可能ではない。車両カーペット・パイルは様々な領域間で非一様にかつ可変的に圧縮されることがあるので、このように「負の離隔」を使用すると、流路特性およびリザーバ・特性を有し、実際に、この概念を使用しない場合よりもうまく、フロア・トレイの設計対象である車両フット・ウェルに嵌る、成形されたフロア・トレイが得られる。
【0029】
本発明の他の局面およびその利点は、以下の詳細な説明で認識可能である。この説明では、同様の参照符号は同様の部品を示す。
【0030】
本発明(1)は、以下を含む、車両フロア・カバーである:
頂面および底面を有する熱可塑性ポリマー中央層;
中央層の頂面に接着され、中央層とは異なる組成を有し、頂部層の頂面が、ショアAデュロメータ読取り値が60のネオプレンゴムに対して少なくとも約0.82の動摩擦係数を示す熱可塑性ポリマー頂部層;ならびに
中央層の底面に接着され、中央層とは異なる組成を有する熱可塑性ポリマー底部層。
本発明(2)は、中央層の大部分がポリオレフィンで構成される、本発明(1)のカバーである。
本発明(3)は、中央層の大部分が、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選択される、本発明(2)のカバーである。
本発明(4)は、大部分が高分子量ポリエチレン(HMPE)である、本発明(3)のカバーである。
本発明(5)は、中央層が、小部分が熱可塑性エラストマから成るポリマー混合物で構成される、本発明(2)のカバーである。
本発明(6)は、中央層がポリマー混合物で構成され、混合物の小部分が同時押出しにおける頂部層および底部層とのその適合性によって事前に選択される、本発明(2)のカバーである。
本発明(7)は、中央層において、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比が約3:1である、本発明(5)のカバーである。
本発明(8)は、熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、本発明(5)のカバーである。
本発明(9)は、頂部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される、本発明(1)のカバーである。
本発明(10)は、熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、本発明(9)のカバーである。
本発明(11)は、頂部層が、ポリオレフィンの小部分を含むポリマー混合物で構成される、本発明(9)のカバーである。
本発明(12)は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、本発明(11)のカバーである。
本発明(13)は、ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、本発明(12)のカバーである。
本発明(14)は、頂部層が、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択されたポリマーの小部分を含むポリマー混合物で構成される、本発明(9)のカバーである。
本発明(15)は、底部層の大部分は熱可塑性エラストマで形成される、本発明(1)のカバーである。
本発明(16)は、熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、本発明(15)のカバーである。
本発明(17)は、底部層がポリマー混合物であり、ポリマーの小部分がポリオレフィンから成る、本発明(15)のカバーである。
本発明(18)は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、本発明(17)のカバーである。
本発明(19)は、ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、本発明(18)のカバーである。
本発明(20)は、底部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、本発明(17)のカバーである。
本発明(21)は、ポリマー混合物の小部分としては、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択される、本発明(17)のカバーである。
本発明(22)は、車両フロア・マットまたは車両フロア・トレイである、本発明(1)のカバーである。
本発明(23)は、カバーの断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの1つまたは複数が、頂部層、中央層、および底部層のうちのどれか単独よりも高い、本発明(1)のカバーである。
本発明(24)は、中央層が、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー混合物(ABS)およびスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)からなる群より選択され、頂部層および底部層が、ポリブタジエンの重量が中央層内のポリブタジエンの重量よりも大きいABSを含む、本発明(1)のカバーである。
本発明(25)は、以下を含む、車両フロア・カバーである:
頂面および底面を有する熱可塑性ポリマー中央層;
中央層とは異なる組成を有し、中央層の頂面に接着され、頂部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される熱可塑性ポリマー頂部層;ならびに
中央層とは異なる組成を有し、中央層の底面に接着され、底部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される熱可塑性ポリマー底部層。
本発明(26)は、中央層の大部分がポリオレフィンで構成される、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(27)は、ポリオレフィンが、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選択される、本発明(26)のフロア・カバーである。
本発明(28)は、中央層の大部分が高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、本発明(27)のフロア・カバーである。
本発明(29)は、中央層がポリマー混合物であり、混合物の小部分が熱可塑性エラストマから成る、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(30)は、熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、本発明(29)のフロア・カバーである。
本発明(31)は、中央層において、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比が約3:1である、本発明(29)のフロア・カバーである。
本発明(32)は、中央層がポリマー混合物であり、中央層の小部分としては、その同時押出しにおいて頂部層および底部層に適合するものが事前に選択される、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(33)は、頂部層の大部分が、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される熱可塑性エラストマである、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(34)は、頂部層がポリマー混合物であり、混合物の小部分がポリオレフィンから成る、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(35)は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、本発明(34)のフロア・カバーである。
本発明(36)は、ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)である、本発明(35)のフロア・カバーである。
本発明(37)は、頂部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、本発明(34)のフロア・カバーである。
本発明(38)は、底部層の大部分が、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される熱可塑性エラストマである、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(39)は、底部層がポリマー混合物であり、底部層の小部分がポリオレフィンから成る、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(40)は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、本発明(39)のフロア・カバーである。
本発明(41)は、ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)である、本発明(40)のフロア・カバーである。
本発明(42)は、底部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、本発明(39)のフロア・カバーである。
本発明(43)は、底部層がポリマー混合物であり、底部層の小部分としては、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択される、本発明(38)のフロア・カバーである。
本発明(44)は、車両フロア・マットまたは車両フロア・トレイである、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(45)は、フロア・カバーの断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの1つまたは複数が、フロア・カバーを構成するどの層のものよりも高い、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(46)は、中央層がアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)およびスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)からなる群より選択される材料で構成され、頂部層および底部層がポリブタジエンの重量比が中央層内のポリブタジエンの重量比よりも大きい1つの等級のABSで構成される、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(47)は、車両と車両のフット・ウェル用の取外し可能なトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、床から上向きに延びる直立し概ね長手方向の第1の壁、床から延びかつ実質的に第1の壁に対して傾斜して形成された直立し概ね横方向の第2の壁を含む表面を有する車両フット・ウェル;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの該第1の壁に実質的に一致し、直立し概ね横方向に向けられたトレイの第2の壁がトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの該第2の壁に実質的に一致するトレイとを含む、車両フット・ウェルに嵌め込むためのトレイ;
それぞれが頂縁部と車両フット・ウェルのそれぞれの壁に面する外面とを有し、トレイの該各直立壁に関して、トレイ壁の頂縁部に隣接するトレイ壁の外面の面積の少なくとも3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルのそれぞれの壁の表面から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、トレイの第1および第2の直立壁。
本発明(48)は、車両フット・ウェルが車両フット・ウェルの床から延びかつ表面を有する第3の概ね横方向に向けられた壁を有し、トレイがトレイの床から延びる第3の概ね横方向に向けられた壁をさらに含み、トレイの第3の壁が頂縁部と車両フット・ウェルの第3の壁に面する外面とを有し、トレイの壁の頂縁部に隣接する外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの第3の壁の表面から8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、本発明(47)のシステムである。
本発明(49)は、頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、本発明(47)のシステムである。
本発明(50)は、トレイの第1の壁の外面が車両のトランスミッショントンネルに面する、本発明(47)のシステムである。
本発明(51)は、トレイの第1の壁の外面が、車両フット・ウェルのキック・プレートに面する、本発明(47)のシステムである。
本発明(52)は、トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、本発明(47)のシステムである。
本発明(53)は、トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのシート・ペデスタルまたは車両シートの表面に面する、本発明(47)のシステムである。
本発明(54)は、車両フット・ウェル表面のうちの少なくとも1つは曲面であり、トレイのそれぞれの直立壁の外面は曲面に一致する、本発明(47)のシステムである。
本発明(55)は、各曲面が凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、本発明(54)のシステムである。
本発明(56)は、車両フット・ウェルが、実質的に水平方向に配置されたドア・シル・プレート表面を含み、車両トレイが合わせシル・プレート壁を含み、車両トレイ・シル・プレート壁の下面がドア・シル・プレート表面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、本発明(47)のシステムである。
本発明(57)は、車両フット・ウェルが前方に実質的な水平位置から実質的な直立位置まで湾曲するドア・シル曲面を含み、車両トレイが合わせシル湾曲壁を含み、トレイのシル湾曲壁の外面がドア・シル曲面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、本発明(47)のシステムである。
本発明(58)は、車両と車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、床から延びる少なくとも1つの直立し概ね長手方向の第1の壁、および床によって第1の壁から間隔を置いて配置された、床から延びる少なくとも1つの直立し概ね長手方向の第2の壁を含む、車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェル表面の該第1の壁に面する第1の外面を有し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第2の壁がトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、トレイの第1および第2の各壁が頂縁部を有し、頂縁部に隣接する第1および第2のトレイ壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルのそれぞれの壁から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
本発明(59)は、頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その壁の最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、本発明(58)のシステムである。
本発明(60)は、トレイの第1の壁の外面は、車両のトランスミッショントンネルに面する、本発明(58)のシステムである。
本発明(61)は、トレイの第1の壁の外面が、車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、本発明(58)のシステムである。
本発明(62)は、車両フット・ウェル壁のうちの少なくとも1つが曲面を有し、トレイのそれぞれの直立壁の外面が、一致する曲面である、本発明(58)のシステムである。
本発明(63)は、車両フット・ウェルの少なくとも1つの曲面が、凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、本発明(62)のシステムである。
本発明(64)は、車両フット・ウェルが実質的に水平方向に配置されたドア・シル・プレート表面を含み、車両トレイが合わせシル・プレート壁を含み、車両トレイ・シル・プレート壁の下面がドア・シル・プレート表面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、本発明(58)のシステムである。
本発明(65)は、車両フット・ウェルが前方に実質的な水平位置から実質的な直立位置まで湾曲するドア・シル曲面を含み、車両トレイが合わせシル湾曲壁を含み、トレイのシル湾曲壁の外面がドア・シル曲面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、本発明(58)のシステムである。
本発明(66)は、車両フット・ウェル表面が車両フット・ウェルの第1および第2の壁に対して実質的に傾斜するように形成された直立する第3の壁と車両フット・ウェルの第1および第2の壁に対して実質的に傾斜するように形成された直立する第4の壁とを有し、トレイの直立する第3の壁がトレイの床から延び、トレイの直立する第4の壁がトレイの床から延び、トレイの第3および第4の壁が上縁部および外面を有し、上縁部に隣接するトレイの第3の壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの上面の第3の壁から8分の1インチ以下しかずれず、上縁部に隣接するトレイの第4の壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの第4の壁から8分の1インチ(0.317cm)以下しかずれない、本発明(58)のシステムである。
本発明(67)は、以下を含む、車両フロア・トレイである:
車両フット・ウェルの床に実質的に一致し、長手方向に配置された少なくとも1つの横方向側面および横方向に配置された少なくとも1つの横方向側面を有する床;
床と一体的に形成されかつ床の第1の横方向側面から上向きに延びる第1の壁;
床および第1の壁と一体的に形成されかつ床の第2の横方向側面から上向きに延びる第2の壁;
リザーバ部分の一般的表面がトレイの床の上面の一般的部分よりも低くかつこの部分に囲まれる、一般的部分およびリザーバ部分を含む上面を有するトレイの床;
トレイ上面の一般的部分に成形され、流路の底部がトレイの上面の一般的部分よりも低いがリザーバ部分の一般的表面よりも高い複数の流路;ならびに
流路が流路の水滴をリザーバ部に導くように働き、バッフルが車両の動きのために起こる水滴の横方向への移動を抑制する働きをする、リザーバ部分に配置された長手方向に向けられた複数のバッフルおよび長手方向に配置されたバッフルの1つに接合されたリザーバ部分に配置された横方向に向けられた複数のバッフル。
本発明(68)は、車両フロア・トレイが、運転者のフット・ウェルに取外し可能に設置されるように設計され、フロア・トレイの設計対象である車両が運転者の足によって操作できるアクセル・ペダルおよびブレーキ・ペダルを有し、運転者の右足の踵を収容するようなサイズを有する空間がトレイ上面の一般的部分に形成され、空間が流路のどれも有さない、本発明(67)の車両フロア・トレイである。
本発明(69)は、空間が円弧で区切られる、本発明(68)の車両フロア・トレイである。
本発明(70)は、円の半径が約4インチ(10.1cm)である、本発明(69)の車両フロア・トレイである。
本発明(71)は、車両フット・ウェルに取外し可能に設置することのできる取外し可能な車両フロア・トレイであって、以下を含むフロア・トレイである:
水平平面を実質的に占有する床;ならびに
床から頂縁部まで延びる長手方向に向けられた直立する第1の側壁、および床から頂縁部まで延びる実質的に横方向に向けられた直立する第2の側壁を含む複数の側壁であって、互いに傾斜して接合され、第1の側壁の頂縁部が第2の側壁の頂縁部に連続し、各頂縁部が該水平面に対して前方上向きに傾斜する平面内に実質的に配置される、側壁。
本発明(72)は、トレイの側壁が床から頂縁部まで延びる第3の直立側壁と床から頂縁部まで延びる第4の直立側壁とを含み、第3および第4の側壁の頂縁部が第1および第2の側壁の頂縁部と連続しかつそれらと実質的に共面である、本発明(71)のフロア・トレイである。
本発明(73)は、第3の直立側壁が車両フット・ウェルのキック・プレートに一致し、第4の直立側壁が車両フット・ウェルのシート・ペデスタルに一致し、第3の直立側壁および第4の直立側壁がトレイの実質的に水平のドア・シル・プレートによって間隔を置いて配置される、本発明(71)のフロア・トレイである。
本発明(74)は、車両内の消費者によって設置可能でかつ取外し可能である水不浸透性の車両フロア・カバーであって、以下を含むフロア・カバーである:
ポリマー材料で形成され、頂面および底面を有する中央層;
ポリマー材料で形成され、中央層の頂面に接着された頂部層;ならびに
ポリマー材料で形成され、中央層の底面に接着され、頂部層および底部層が中央層の組成とは異なる組成を有する底部層。
本発明(75)は、頂部層の少なくとも一部はエラストマ材料から成り、底部層の少なくとも一部はエラストマ材料から成る、本発明(74)の車両フロア・カバーである。
本発明(76)は、エラストマ材料が、ポリブタジエン、EPDM、SBR、天然ゴム、NBR、および熱可塑性エラストマからなる群より選択される、本発明(75)の車両フロア・カバーである。
本発明(77)は、車両と消費者によって車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、および床から延びる少なくとも第1および第2の直立壁を含む車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、トレイの直立する第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第1の壁に面する第1の外面を有し、トレイの直立する第2の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、トレイの第1および第2の壁が頂縁部を有し、頂縁部に隣接する第1および第2の外面の面積の2分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの最も近い表面から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
本発明(78)は、車両と消費者によって車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイをを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、および床から延びる少なくとも第1および第2の直立壁を含む車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、トレイの直立する第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第1の壁に面する第1の外面を有し、トレイの直立する第2の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、第1および第2の外面の面積の少なくとも50%が車両フット・ウェルの最も近い表面から8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
本発明(79)は、以下の段階を含む、車両フロア・トレイを製造するプロセスである:
車両フロア・トレイを提供する車両フット・ウェル表面上の複数の点の立体位置をデジタル的に測定する段階;
該点をメモリに格納する段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面のモデルを構築する段階と、
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階;
格納された三次元画像を用いて車両フロア・トレイ用の型を構築する段階;ならびに
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階。
本発明(80)は、車両フット・ウェル表面上の点の立体位置をデジタル的に測定する段階が、座標測定機(CMM)を用いることを含む、本発明(79)のプロセスである。
本発明(81)は、以下の段階をさらに含む、本発明(79)のプロセスである:
格納された点の群をB-スプラインに連結する段階;および
B-スプライン同士の間を上昇(loft)させて車両フット・ウェル・モデル表面の領域セグメントを作成する段階。
本発明(82)は、車両フロア・トレイの立体像を構築する段階が、以下の段階をさらに含む、本発明(79)のプロセスである:
車両フット・ウェル・モデルと交差しかつ車両フロア・トレイの頂縁部を確立するように頂部スケッチ面を確立する段階;
作製する車両フロア・トレイ像の最低高度に位置するように底部スケッチ面を確立する段階;および
頂部スケッチ面と底部スケッチ面との間に側壁を描画し、車両フット・ウェル・トレイの対応する側壁に近似させる段階。
本発明(83)は、頂部スケッチ面を傾斜させることにより、これを、車両フット・ウェル・モデルの床に対して、作製される車両フロア・トレイが乗員のシートに向かう方向よりも車両ファイア・ウォールに向かう方向の方が深くなるような角度とする段階をさらに含む、本発明(79)のプロセスである。
本発明(84)は、頂縁部の最も近くの側壁の外面の面積の少なくとも上3分の2を車両フット・ウェル・モデルのそれぞれの表面に一致させ、これらの領域を通して、車両フロア・トレイの側壁が車両フット・ウェルの対応する表面から8分の1インチを超える程度にずれないようにする、車両フロア・トレイの立体像の描画された側壁を修正する段階をさらに含む、本発明(79)のプロセスである。
本発明(85)は、車両と車両のフット・ウェル用の取外し可能なトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、床から上向きに延びる直立し概ね長手方向の第1の壁、および床から延びかつ実質的に第1の壁に対して傾斜して形成された直立し概ね横方向の第2の壁を含む表面を有し、車両の走行方向に実質的に平行な長手方向または前後方向に概ね配置された車両フット・ウェル;
車両フット・ウェル表面を模写した車両フット・ウェル表面モデル;ならびに
トレイの下面の少なくとも90%が車両フット・ウェル表面モデルをトレイの下面に最もうまく合うように数学的に重ね合わせた場合に車両フット・ウェル表面モデルから0.25インチ(0.64cm)以内に入り、リザーバがトレイの上面の後端部から3分の2以内に配置されかつトレイの上面の10%から50%の間の領域を占有するようにトレイの上面に形成され、周方向の壁がリザーバの横方向境界を定め、壁が少なくとも0.050インチ(0.013cm)の深さを有し、トレイが床、床から延びかつ車両フット・ウェルの第1の壁に実質的に一致するトレイの直立する概ね長手方向に向けられた第1の壁、およびトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの第2の壁に実質的に一致するトレイの直立する概ね横方向に向けられた第2の壁を有する、ポリマー材料で形成され、車両フット・ウェルに嵌め込まれる、上面および下面を有するトレイ。
本発明(86)は、車両フット・ウェル表面モデルをトレイの下面に最もうまく合うように重ね合わせた場合に、トレイの下面の少なくとも50%が車両フット・ウェル表面モデルから0.125インチ(0.317cm)以内に位置する、本発明(85)のシステムである。
本発明(87)は、頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、本発明(85)のシステムである。
本発明(88)は、トレイの第1の壁の外面は車両のトランスミッショントンネルに面する、本発明(85)のシステムである。
本発明(89)は、トレイの第1の壁の外面が車両フット・ウェルのキック・プレートに面する、本発明(85)のシステムである。
本発明(90)は、トレイの第2の壁の外面が車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、本発明(85)のシステムである。
本発明(91)は、トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのシート・ペデスタルまたは車両シートの表面に面する、本発明(85)のシステムである。
本発明(92)は、少なくとも1つの車両フット・ウェル表面が曲面であり、トレイのそれぞれの直立壁の外面が、一致する曲面である、本発明(85)のシステムである。
本発明(93)は、少なくとも1つの曲面が凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、本発明(92)のシステムである。
本発明(94)は、車両フット・ウェル表面モデルがデジタル機械読取り可能レコードである、本発明(85)のシステムである。
本発明(95)は、車両フット・ウェル表面が圧縮可能な表面であり、モデルが実質的に圧縮されていない状態で存在する際の車両フット・ウェル表面を模写し、車両フット・ウェル表面がトレイが車両に設置された時点でトレイにより選択的に圧縮される、本発明(85)のシステムである。
本発明(96)は、周方向の壁が約0.25インチ(0.64cm)の深さを有する、本発明(85)のシステムである。
本発明(97)は、リザーバ下の下面であるフロア・トレイ下面の部分が対応するフット・ウェル表面の突起部である、本発明(85)のシステムである。
本発明(98)は、概ね長手方向に向けられ、細長く、かつ概ね平行な複数の流路がトレイの上面にリザーバの終端部として形成され、各流路がリザーバの周方向の壁の深さよりも小さい深さを有する、本発明(85)のシステムである。
本発明(99)は、流路の下のフロア・トレイ表面の部分が車両フット・ウェル表面のそれぞれの部分の突起部である、本発明(98)のシステムである。
本発明(100)は、車両フット・ウェル表面モデルが、トレイに最もうまく合うようにトレイ上に重ね合わせられた場合に、車両フット・ウェル表面モデルの一部がトレイの底面に対して負の離隔状態である、本発明(85)のシステムである。
本発明(101)は、車両フロア・トレイを製造するプロセスであって、以下を含むプロセスである:
車両フット・ウェル表面上の点をデジタル的に測定し格納する段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面モデルを構築する段階;
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階であって、モデルを用いる該段階が
車両フット・ウェル表面モデルを模写して車両フロア・トレイの一般の下面を作製する段階と、
所定のリザーバ領域内に、車両フット・ウェル表面モデルを車両フロア・トレイの一般の下面から少なくとも0.050インチ(0.13cm)だけ下方向に突き出させてリザーバ領域内にトレイ像の下面を作製する段階と、
格納された三次元画像を用いて車両フロア・トレイ用の型を構築する段階と、
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階
を含む段階。
本発明(102)は、以下の段階をさらに含む、本発明(101)のプロセスである:
車両フロア・トレイの立体像の、リザーバ領域の前方に位置する領域内に、細長く、概ね長手方向に揃えられた、概ね平行な複数の流路を定める段階;および
車両フロア・トレイの一般下面モデルから車両フット・ウェル表面モデルを下向きに突き出させ、流路の下の領域に車両フロア・トレイの下面を作製する段階。
本発明(103)は、車両フット・ウェルの表面上の点をデジタル的に測定する段階が座標測定機(CMM)を用いる段階を含む、本発明(101)のプロセスである。
本発明(104)は、車両フット・ウェルの表面上の点をデジタル的に測定する段階が実質的に圧縮されていない状態の車両カーペットの表面上の点を測定する段階を含む、本発明(101)のプロセスである。
本発明(105)は、車両フロア・トレイを製造するプロセスであって、以下の段階を含むプロセスである:
選択的に圧縮可能な車両フット・ウェル表面上の点をデジタル的に測定し格納する段階であって、該点が得られる表面が実質的に圧縮されていない段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面モデルを構築する段階;
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階であって、モデルを用いる該段階が車両フロア・トレイの立体像を車両フット・ウェル表面モデルに最もうまく合わせる場合に該立体像の表面の一部を車両フット・ウェル表面の対応する部分に対する意図的な負の離隔に配置する段階を含む段階;
格納された立体像を用いて車両フロア・トレイの型を構築する段階;
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階と;ならびに
車両フット・ウェル表面モデルの対応する部分に対して負の離隔状態にある立体像の部分に対応する車両フット・ウェル表面の部分を選択的に圧縮することによって、トレイを車両フット・ウェルに嵌め込む段階。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、高いせん断強度および引張り強度、許容される剛度を有し、かつその上面(1504)上に大きな摩擦係数を有するように多層押出し熱可塑性ポリマー・シート(2530)から真空成形された、深い側面(1510〜1516)を有する車両フロア・トレイ(1500)を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による車両フロア・トレイの一態様の等角図である。
【図2】図1に示されているフロア・トレイの上面図である。
【図3】図1および2に示されているフロア・トレイの、実質的に図2の線3-3に沿った等角・横断面図である。
【図4】図1および2に示されているフロア・トレイの、実質的に図2の線4-4に沿った等角・縦断面図である。
【図5】図1に示されているトレイの、外側から見た側面図である。
【図6】3層押出しによる層を示す、車両フロア・トレイの高拡大断面詳細図である。
【図7】本発明による第1の設計・製造プロセスの各段階を示す概略ブロック流れ図である。
【図8】図示のフロア・トレイを作るために使用されたデジタル的に取得された車両フット・ウェル・フロア表面の概略等角図である。
【図9】実質的に図2の線9-9に沿い、実質的に図8の線9-9に沿う、図2に示されているフロア・トレイと図8に示されている車両フット・ウェル表面の両方の一部横断面・一部等角図である。
【図10】実質的に図2の線10-10に沿い、実質的に図8の線10-10に沿う、図2に示されているフロア・トレイと図8に示されている車両フット・ウェル表面の両方の一部横断面・一部等角図である。
【図11】図10のファイア・ウォール領域の詳細図である。
【図12】図10のシート・ペデスタル領域の詳細図である。
【図13】実質的に図2の線13-13に沿い、実質的に図8の線13-13に沿う、図2に示されているフロア・トレイと図8に示されている車両フット・ウェル表面の両方の一部縦断面・一部等角図である。
【図14】図13のキック・プレート領域の詳細図である。
【図15】トレイの下面が、モデル化された車両フット・ウェル表面に対する第1の所定の公差の外側に位置するトレイの領域を示すように陰影が付けられた、本発明による車両フロア・トレイの第2の態様の等角図である。
【図16】他の視点から示されている、図15に示されているフロア・トレイの等角図である。
【図17】図15および16に示されているトレイの等角図であるが、トレイの下面が、モデル化された車両フット・ウェル表面に対する第2の所定の公差の外側に位置するトレイの領域を示すように陰影が付けられた等角図である。
【図18】図17で陰影が付けられているトレイの等角図であるが、図18に示されている視点からの等角図である。
【図19】モデル化された車両フット・ウェル表面の同様の部分に重ね合わせられた、実質的に図17の線19-19に沿った一部等角・一部横断面図である。
【図20】同じ断面に生じるモデル化された車両フット・ウェル表面の同様の部分に重ね合わせられた、実質的に図17の線20-20に沿った一部等角・一部横断面図である。
【図20A】図20の詳細図である。
【図21】モデル化された車両フット・ウェル表面の同様の部分に重ね合わせられた、実質的に図17の線21-21に沿った一部等角・一部縦断面図である。
【図21A】図21の詳細図である。
【図21B】図21の詳細図である。
【図22】モデル化された車両フット・ウェル表面の同様の部分に重ね合わせられた、実質的に図17の線22-22に沿った一部等角・一部縦断面図である。
【図22A】図22の詳細図である。。
【図23】トレイ下面をモデルに最もうまく合わせた後の、モデル化された車両フット・ウェル表面に対する「負の離隔」状態になる車両フロア・トレイ下面の部分を示すように陰影が付けられた、図15〜22Aに示されている車両フロア・トレイの等角図である。
【図24】図23で陰影が付けられている車両フロア・トレイの等角図であるが、図16に示されている視点から見た等角図である。
【図25】本発明による第2の設計・製造プロセスの各段階の概略流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
商業的な一態様の等角図が図1に示されている。全体的に100で示されている例示的な車両フロア・トレイは好ましくは、実質的に一様な厚さを有する水不浸透性熱可塑性ポリマー材料のブランクからシート形に成形される。ただし、本発明は、射出成形のような他のプロセスで製造することができる。フロア・トレイ100は好ましくは、以下に詳しく説明するように、中央層またはコア層の特性が外側層または外被層の特性と異なってよく、かつ3層押出しが、フロア・トレイを構成するどの層よりも単位厚さ当たりの靭性および剛性が高くなるように、3層押出しによる熱可塑性材料で形成される。
【0034】
車両フロア・トレイまたはカバー100は、フロアと少なくとも車両フット・ウェルの下面との両方を保護するようになっており、したがって、従来技術のフロア・マットに通常見られるよりもさらにより立体的な形状をとっている。フロア・トレイ100は、フロア・パネルまたは中央パネル102を含み、フロア・パネル102は、図示の態様では、フロア・パネル102の前方領域に配置された平行な複数の前後方向または長手方向直線状流路104を含んでいる。好ましくは、これらの流路は、流水が正しく流れるように深さが約1/8インチ(0.317cm)であり、かつ幅が約4分の1インチ(0.64cm)であってよい。図1では、前方が左上方向であり、一方、後方が右下方向であり、これらの語は、トレイが配置されるように設計される対象の車両の向きに一致するように使用される。本明細書では、「長手方向」は、前後方向または車両走行軸に沿った方向を意味し、一方、「横方向」はそのような軸に対して直角の方向、または側面から側面への方向を意味する。
【0035】
フロア・パネル102の後方または後部領域108は主としてリザーバ110に占有されており、リザーバ110の底部は(この態様では)実質的に平面上の一般表面112で構成されている。一般表面112は、前方領域106の一般表面114の下方に位置している。好ましくは、一般のリザーバ底面112もそれぞれの流路104の最低点から約1/8インチ(0.317cm)だけ下方に位置し、したがって、流路104内の流体はリザーバ110に流入する。
【0036】
流路104は、流路の液体がユーザの足または履物からリザーバ110に流れるように設計されている。多くの車両では、車両フロア(この図には示されていない。図8〜11を参照されたい)の、前方領域106の下に位置する部分は、前方から後方に傾斜しており、したがって、トレイ100は、単に下に位置する車両フロア部の輪郭に合わせることによって、流路の流体をリザーバに流している。下に位置する車両フロアがこのように傾斜していない車両の設計では、トレイ100は有利なことに、材料を部分108よりも部分106の方を厚くするか、または流路104の底部に前から後ろ方向への傾斜をつけることによって、この流体流を生み出すように設計することができる。
【0037】
流路104は前方領域106の大部分を占有している。ただし、この商業的な運転者側態様および他の商業的な運転者側態様では、前方右手側の空間116は、アクセル・ペダルおよびブレーキ・ペダルを操作する運転者の足を受け入れるように開放されている。図示の態様では、この空間または開放領域116は、半径が約4インチの180度円弧によって区切られている(点線で示されている)。開放領域116は、比較的深い溝104に運転者の靴の踵が引っかからないように設けられている。他の態様では、開放領域116は、ほぼ全ての運転者の踵が、特定のトレイの設計対象である車両のブレーキ・ペダルおよびアクセル・ペダルを操作しながら、開放領域116の範囲内に位置するかぎり、他の形状または位置をとることができる。
【0038】
リザーバ110には、2つの目的を有する複数のトレッド表面またはバッフル118がその内部に散在している。第1の目的は、リザーバ110に回収されたあらゆる流体の上方に乗員の靴または足を持ち上げることである。第2の目的は、この蓄積された流体がはねるのを防止することである。このために、トレッド表面/バッフル118の大部分は、前から後ろ方向または長手方向部分120と側面から側面または横方向部分122の両方を有している。これによって車両が加速または制動している際に起こるような前方または後方への流体の大きな移動と、他の場合には車両が方向転換するときに起こる横方向への流体の大きな移動が防止される。好ましくは、各前から後ろ方向部分120または少なくともその大部分がそれぞれの側面から側面方向部分に接合される。これによって、回収された流体の移動がさらに区画され制限される。リザーバ110の一部の流体は、トレッドまたはバッフル118の端部の周りの流路124を通り、常に低速で複雑な経路を通ってリザーバ110の別の離れた部分に進む。したがって、このリザーバの設計では、流体の蒸発を推進し、同時にそのような蒸発の前の流体の移動を制限する大きな表面領域が作製される。
【0039】
様々な車両のモデル間で数および構成が異なる一連の直立サイド・パネルが、中央パネルまたはフロア・パネル102の周りに配置および中央パネルまたはフロア・パネル102と一体的に形成されている。この図示の態様では、これらの直立パネルは、車両フロント・シートの底部に隣接して配置された後部パネル130、または車両フロント・シートの底部を受ける車両ペデスタル;この車両のトランスミッショントンネルまたは「ハンプ(hump)」にぴったりと嵌る内側サイド・パネル132;車両ファイア・ウォールにぴったりと一致する前方パネル134;外側サイド・パネル136を含んでいる。大抵の態様では、外側サイド・パネルまたはキック・プレート・パネル136は、パネル134との遷移部からコーナー138まで延びるに過ぎず、ここでは、ドア・シル・カーブ208が始まり、ドア・シル・パネル140に遷移していく。他のパネルとは異なり、シル・パネル140は一般に直立しておらず、その代わりに車両ドアのシルに一致し、実質的に水平面に位置している。このように、乗員の出入りが妨害されることはない。図1〜14に示されている態様を含む多くの態様では、シル・パネル140は、フロア前方領域106の一般表面114の高度よりも低く、場合によってはリザーバ110の一般表面(底部)112よりも低い高度に位置している。したがって、(リザーバ容量を超える)非常に多量の流体が、車両内部に損傷を与えることなしに直接車両から流出する。これらの図では、パネル同士を分割している線が概念的なものに過ぎず、最終的な部品には現れないことに留意されたい。以下にさらに詳しく説明するように、トレイ100は好ましくは、一体構成として一体的に成形される。
【0040】
本発明の重要な一局面では、トレイ100は、トレイ100が配置されるように設計される対象の車両フット・ウェルにぴったりと嵌め込まれる。パネル130、132、134、136、および140は全て、パネルが接触して位置させられる車両表面に、従来技術の車両フロア・トレイには見られなかった程度にぴったりと一致するように形成される。好ましい態様では、車両トレイ頂縁部150に隣接するこれらのパネルの領域の少なくとも上3分の1全体にわたって、周辺パネルまたはサイド・パネル130〜136の外面上の各点の少なくとも90%は、これらの点が合わせられるように形成される表面上の対応する点から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れていない。この厳密な一致は、下にある車両表面が複雑に湾曲していたり傾斜していても実現される。キック・プレート遷移プレート214のような車両フット・ウェル表面のある部分は、凸状湾曲部材と凹状湾曲部材の両方を有してよい。ドア・シル・カーブ208およびシル・プレート140の好ましい公差はずっと厳しく、約0.025インチ(0.064cm)である。
【0041】
トレイ・サイド・パネルが車両フット・ウェルのそれぞれの表面に厳密に一致することにより、乗員の足または車両の運動によって生成される横方向の力の下で水平方向に移動されることのない保護トレイが形成される。互いに向かい合う周辺パネル対はトレイ100を「入れ子にする」かまたは「閉じ込め」、その横方向の移動を防止する。したがって、その位置で車両側壁にぴったりと一致する外側サイド・パネルまたはキック・プレート・パネル136は、内側サイド・パネル132の一部142を対応部材として有している。トレイ100が左方向にずれるあらゆる傾向はパネル136によって阻止され、トレイ100が右方向にずれるあらゆる傾向はパネル部142によって阻止される。同様に、直立後方パネル130と直立前方パネル134は、協働してトレイ100のあらゆる前方または後方への動きを車両フット・ウェル内に「閉じ込める」。
【0042】
パネル130〜136、218、140の外面または下面が車両フット・ウェルの、パネルそれぞれの合わせ表面の厳密な一致により、あらゆる横方向移動に対抗する摩擦力も増大する。この厳密な一致の結果として、望ましくない位置のずれを起こさず、乗員の足をしっかりと確実に位置させるフロア・トレイが得られる。
【0043】
車両フロア・トレイ100の最も商業的な態様では、サイド・パネル130〜136、140は底部パネル102から急に延びるようには形成されず、その代わりに遷移部を通して底部または中央パネル102に接合されている。このような遷移部は、傾斜していても湾曲していてもよく、遷移度は段階的に様々である。本発明によれば、トレイ100の外面と底面との間の遷移部は、これらの遷移部に隣接する車両フットの下に位置する表面に可能なかぎりどこでも一致する。
【0044】
例えば、図2には、前部106から延びる大きな遷移部またはサブパネル200が示されている。他のサブパネル202は、遷移サブパネル202を前方側壁134に接合している。内側またはトランスミッショントンネル側壁132は、湾曲遷移フィレット204を通してパン102に接合されている。後部直立パネル130は、小さな遷移部206を通して底部パネル102の後部に接合されている。外側壁136とシル・パネル140の間の遷移部またはシル・カーブ208は、徐々に湾曲する表面の形をとる。
【0045】
本発明はまた、互いに隣接するサイド・パネル間に(通常)湾曲した遷移部を使用している。例えば、湾曲遷移部210は後部パネル130を内側サイド・パネル132に接合している。湾曲遷移部212はトランスミッショントンネルまたは内側サイド・パネル132を前部パネルまたはファイア・ウォール・パネル134に接合している。遷移部214は、図示の態様ではS字曲線の形をとり、車両ホィール・ウェルの一部に一致しているが、前部パネル134を外側サイド・パネル136に接合している。トレイ100の外面で車両フット・ウェル表面の遷移部に可能なかぎりどこでも(好ましくは公差が約1/8インチ、すなわち0.317cmになるように)厳密に一致しているため、厳密な嵌め込みが改善される。
【0046】
図示の態様では、本発明によるトレイは、3層押出しによる実質的に一様な厚さの熱可塑性材料のシートを柔らかくなるまで加熱し、次いで、真空適用時に軟化したシートを雌型に引き込むことによって作られている。このプロセスを使用すると、以下にさらに詳しく説明するように、様々な特性を有する離れた各層が最終製品まで持続することができる。一方、この製造プロセスを使用すると、底面300(図3および4)を車両フット・ウェルの合わせ表面に厳密に一致させつつ、本発明の一局面による流路およびリザーバ構造を設けることが困難になる。この中央領域では、第1の製造プロセスによれば、流体流および保持による上述の利益を得るために1/8インチ(0.317cm)の公差から逸脱する。しかし、サイド・パネル130〜136、140、およびそれらに関連する遷移部が引き続き、残りの車両フット・ウェル表面の大部分に厳密に一致するため、トレイ100は引き続き1つの場所にロックされる。
【0047】
図9〜14は、本発明によるトレイの設計対象である車両フット・ウェルの表面802にフロア・トレイ100を重ね合わせている。図10の一部等角・一部長手方向断面図では、断面上で、トレイ100の下面300が車両フット・ウェルのモデル化された表面802にかなり厳密に一致していることが分かる。図11を見ると最もよく分かるように、ファイア・ウォール側壁134の外面は、トレイの頂縁部150から測定した場合に、表面826の全長の少なくとも4分の3にわたってファイアウォール表面826から1/8インチ(0.317cm)以内に入っている。領域1000、1002、および1004(図10)内で、車両フット・ウェルの成形された表面802は実際には、トレイ100よりも上方またはトレイ100の内部に位置している。この負の干渉または離隔は、許容できるものであり、場合によってはこれが望ましい例もある。というのは、大部分の用途では、表面802は車両カーペットの表面であり、トレイ100を車両フット・ウェル内に設置する際にこの表面を選択的に押すことができるかまたは押す必要があるからである。このようなぴったりとした嵌め合わせは、例えばアクセス・ペダルの周りのトレイの領域で特に望ましい。
【0048】
図12は、シート・ペデスタルの領域およびリザーバ110の一部における図10の詳細図である。この場合も、後部パネル130の外面は、その全長の大部分にわたってモデル化されたシート・ペデスタル表面828に非常に厳密に、すなわち1/8インチ(0.317cm)以内で一致する。
【0049】
図13は、一方の側ではキック・プレート・トレイ表面136およびフット・ウェル表面830を切り離し、他方の側ではトレイトランスミッショントンネル表面132およびフット・ウェルトランスミッショントンネル表面810を切り離すように比較的前方の位置で得た側面から側面または横方向断面を示している。図を見ると分かるように、これらの合わせ表面の表面領域の少なくとも上3分の1にわたって1/8インチ(0.317cm)の公差が維持されている。領域1000、1002(一部が図13に示されている)および1006は、車両フット・ウェルのモデル化された表面802が車両トレイ100の外面または下面の内側に位置する負の離隔または干渉の領域である。上述のように、この不一致は、特に1/8インチ(0.317cm)以下に維持される場合には許容され、場合によってはこれが望ましい点もある。なぜなら、モデル表面802は、硬質の表面ではなく車両カーペットの像であるからである。
【0050】
図14を見ると分かるように、1400において、キック・プレート・パネル136と底壁102との間の遷移部の半径が意図的に大きくされている。こうするのは、図示のモデルでは、フット・ウェル・キック・プレート表面830が垂直であると共に比較的深いからである。したがって、側壁136は、成形されたトレイ100の壁が壁136、102の接合部で許容できる厚さを確実に維持するように垂直面830に対して少なくとも2度(より好ましくは5度)の抜き勾配を有する必要がある。このことは、半径1400を大きくすることによって実現される。それにもかかわらず、この断面上でも、キック・プレート136の外面は、頂縁部150から測定した場合に、全長の少なくとも1/3にわたってキック・プレート表面830の1/8インチ(0.317cm)内に入っている。
【0051】
より一般的には、頂縁部150に隣接する各側壁130〜136の表面領域の上3分の1の少なくとも90%が、側壁130〜136が合うように設計される車両フット・ウェル表面から1/8インチ(0.317cm)内に入る。あるいは、全ての直立側壁の外側面領域の上3分の1の約90%以上は、それぞれのフット・ウェル表面からこの1/8インチ(0.317cm)の公差内に位置する。場合によっては他の公差測定値でも、直立側壁130〜136の外側領域の少なくとも約50%が、頂縁部150に対する位置にかかわらず、直立側壁130〜136が対応する車両フット・ウェルから1/8インチ(0.317cm)内に位置することが好ましい。
【0052】
図1、5、および10を見ると最も良く分かるように、トレイ100の頂縁部150は、全ての直立側壁130、132、134、136、および138の末端となり、水平面に対して前方上向きに傾斜した単一の平面内に実質的に位置している。頂縁部150が連続的であるのは、作製されたトレイ100が、より高いフープ強度を有し、かつ車両カーペットを乗員の足の側面のごみまたは泥から車両カーペットをよりうまく保護することを意味する。乗員の足は、前方領域106上の位置を占有する傾向があるが、この領域の周りの頂縁部150の位置は高く、足をトレイの床から最大限に離した状態で少なくとも4インチ(10.1cm)であり、いくつかの態様では5インチ(12.7cm)である。
【0053】
組成
本発明の一局面では、トレイまたはカバー100が全体にわたって一様な組成ではなく、むしろ互いに接着された少なくとも3つの層を有する積層品であることが好ましい。トレイ100の好ましい組成は、図6に示されている高拡大断面詳細図に示されている。この図示の態様では、トレイ100は、頂部層600、中央層またはコア層602、および底部層604から成っている。全ての3つの層600〜604は好ましくは、1つまたは複数の水不浸透性熱可塑性ポリマーから成っているが、層600および604は、少なくともコア層602とは異なる特性を有し、場合によっては互いに異なる特性を有する。3層カバーは、図面では立体フロア・トレイとして示されているが、より限られた有効範囲のより二次元的なフロア・マットであってもよい。頂部層600は、その触覚特性、代表的な履物に対する比較的大きな静摩擦係数および動摩擦係数、頂部層600が接触する可能性のある道路塩およびその他の物質による化学的腐食に対する抵抗により選択された材料で作られている。頂部層600は好ましくは、Advanced Elastomer Systemsから市販されている独占権下の組成であるVYRAM(登録商標)、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)などの熱可塑性エラストマを大部分含んでいる。VYRAM(登録商標)、特にグレード101〜75(ショアA硬度75を示す)が好ましい。頂部層600の上面606は、底部層604の下面と同様に、好ましい触覚と見た目を与えるように「ヘアセル」パターンなどによってテクスチャ加工することができる。
【0054】
頂部層600がポリマー混合物であり、この例では、頂部層600の組成の小部分として、同時押出しにおけるコア層602との適合性によって選択される好ましい。ポリプロピレン、より好ましくはポリエチレン、さらに好ましくは高分子量ポリエチレン(HMPE)などのポリオレフィンポリマーが好ましい。本明細書では、HPMEは、多数の供給源から市販されている商品を意味するものと定義され、当産業界では、その近似的な特性によって低密度ポリエチレン(LDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)から区別されている。
【0055】
上記の表で、特性を判定するための試験方法は、再現性のために与えられている。
【0056】
特に、熱可塑性エラストマおよびポリオレフィンとしてそれぞれVYRAM(登録商標)およびHMPEとして選択した場合、層600内の熱可塑性エラストマとポリオレフィン材料の重量比としては、好ましくは約3:1となるように選択される。中央層602の大部分もポリオレフィンである例で、同時押出しにおいて中央層602に適合するように層600にある種のポリオレフィン材料が存在する必要があることが判明している。
【0057】
他の態様では、頂部層600の熱可塑性エラストマ成分を天然ゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、またはエチレンプロピレンジエン単量体ゴム(EPDM)などのエラストマで置き換えることができる。
【0058】
他の態様では、層600はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)混合物であってよい。ABSは、ポリブタジエンの超顕微鏡的粒子をスチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマーの相に分散させた材料である。層600の場合、材料にゴム状弾性を付与するポリブタジエンの重量比としては、比較的高い比率を選択すべきである。
【0059】
コア層または中央層602は好ましくは、触覚特性や摩擦特性よりも靭性、剛性、および廉価により選択された熱可塑性ポリマー材料で構成される。好ましくは、中央層602の大部分はポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンである。より好ましくは、層602の大部分は、上記に定義されたHMPEで構成される。
【0060】
中央層602が混合物であり、この例では、層602の小部分が、同時押出しにおける頂部層600(および後述の底部層604)との適合性により選択された材料で構成されることが好ましい。図示の態様では、この小部分は、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、またはVYRAM(登録商標)などの熱可塑性エラストマである。VYRAM(登録商標)グレード101〜75が特に好ましい。層602の場合、特にポリオレフィンおよび熱可塑性エラストマをHMPEおよびVYRAM(登録商標)として選択した場合、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比は約3:1であることが好ましい。より一般的には、層600および602(ならびに層604)における小部分の割合としては、同時押出しにおける良好な適合性が得られるように必要最低限な割合が選択される。
【0061】
層600として富ポリブタジエンABS層を選択した他の態様では、層602は含有するポリブタジエンの重量比がより低いか、またはポリブタジエンをまったく含まない(実際上、スチレンアクリロニトリルコポリマーまたはSAN)グレードのABSとして選択される。
【0062】
底部層604は、車両フット・ウェル頂面に隣接する下面300を有している。通常、この表面にはカーペットが設けられる。底部層604は、その摩耗特性と、その消音性、および層604が車両フット・ウェル表面内の「硬質点」をよりうまく把持すると共にフット・ウェル表面の不規則性に一致するのを可能にする可縮性により選択された熱可塑性ポリマー材料である。好ましくは、層604の大部分は、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、または好ましくはVYRAM(登録商標)などの熱可塑性エラストマで構成される。VYRAM(登録商標)グレード101〜75が特に好ましい。
【0063】
底部層604はポリマー混合物であることが好ましい。この例では、底部層604の小部分としては、同時押出しにおけるコア層602との適合性により選択される。コア層602を主としてポリオレフィン材料で作製する場合、底部層604の小部分としてポリオレフィンを使用することが好ましい。このポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンであってよく、好ましくはHMPEである。小部分の量としては、同時押出しにおける良好な適合性を確保する最低限の量が選択される。ポリオレフィンおよび熱可塑性エラストマがそれぞれHMPEおよびVYRAM(登録商標)となるよう選択される場合、層604内の熱可塑性エラストマ:ポリオレフィンの重量比を約3:1にすべきであることが分かっている。
【0064】
他の態様では、層604の熱可塑性エラストマ成分を天然ゴム、NBR、SBR、EPDMなどのゴムで置き換えることができる。
【0065】
中央層602がABSまたはSANとして選択された他の態様では、層604は、中央層602よりも高い重量比の含有ポリブタジエンを有するグレードのABSとして選択されることができる。
【0066】
底部外被層604は、好都合なことに、頂部外被層600と同じ組成を有することができるが、2つの外被層が互いに類似している必要はない。重要なことは、トレイ100を3層押出し品(好ましい)として形成する場合、層600、602、および604が、単一のシートして3層押出しするのに十分に適合することである。
【0067】
トレイ100の主要構成部材として使用されるコア層602でトレイ100の厚さの大部分を作製することが好ましい。コア層602は、少なくとも許容される最低限の引張り強度、せん断強度、および高い曲げ弾性率を有し、同時に、熱可塑性エラストマが主である外被層600、604よりも著しく廉価である。外被層600および604は、良好な摩耗表面を有し、かつ道路塩などの物質による化学的腐食に対する良好な耐性を持つように選択される。頂部層600としては、乗員の代表的な履物に対して比較的大きな摩擦係数を示すものが選択される。底部層604の組成としては消音性および可縮性により選択される。
【0068】
トレイ100の厚さの合計は寸法a、b、およびcの和である。図示の態様では、外被層の厚さaおよびcはそれぞれ、厚さの合計の約12.5%であり、一方、コア層の厚さbは約75%である。一態様では、トレイ100の厚さの合計(より正確には、トレイ100を成形するのに用いられるブランク・シートの厚さの合計)は約0.120インチ(0.305cm)である。このうち、コア層602は約0.09インチ(0.23cm)であり、一方、外被層600および604はそれぞれ約0.0150インチ(0.038cm)である。他の態様では、層600を層604よりもかなり厚くなるように作製することができる。これは、頂部層606が、乗員の靴に対する摩耗表面であり、代表的な用途における表面300よりも多くの磨耗性のゴミおよびより激しい摩耗を受けるからである。他の態様では、層604の厚さを厚くし、層604が、層604が合うように設計される対象の車両フット・ウェル表面にずっとうまく一致し、かつ消音性を高めるのを可能にすることができる。
【0069】
本発明の好ましい態様は、熱可塑性エラストマによって得られる大きな摩擦係数、高い触覚特性、消音性、および可縮性をポリオレフィンの適度なコストと組み合わせる。単層押出しによる従来技術の構造に勝る3層押出しトレイの技術的な利点を示すために、(1)本発明によって作られ使用される3層押出しシート材料、(2)75 wt. pct. VYRAM(登録商標)/ 25 wt. pct. HMPEの単層押出しによるシート、および(3)25 wt. pct. VYRAM(登録商標)/ 75 wt. pct. HMPEの単層押出しによるシートに対して、引張り強度、せん断強度、曲げ弾性率、および摩擦係数を測定する試験を行った。この特定の試験およびその結果について以下に説明する。
【0070】
最初に行った2回の試験は、静摩擦係数および動摩擦係数に関する試験である。
【実施例】
【0071】
実施例1
これらの試験では、乗員の代表的な靴の本底を模倣するようになっている物体に関して3層押出し材料のシートの静摩擦係数および動摩擦係数を求めた。この「靴」は、ショアAデュロメータ60ネオプレンゴムで構成され、2.5インチ(6.4cm) × 2.5インチ(6.4cm)× 0.238インチ(0.605cm)の「そり」として形成した。「靴」を、本発明の好ましい態様によって形成された、4インチ(10.2cm)× 12インチ(30.5cm)の0.120インチ(0.305cm)3層押出しシートのテクスチャ加工された表面で、横方向に引っ張った。この試験は、ASTM D 1894-01に記載された手順に従って行った。3層押出しシートは、75 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75/25 wt. pct. HMPEの混合物をその頂部層として有していた。コア層は75 wt. pct. HMPE/25 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75の混合物であった。底部層は25 wt. pct. HMPE/75 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75の混合物であった。底部層および頂部層はそれぞれ、シート厚さの約12.5%を構成し、一方、中央コア層は、シート厚さの約75%を構成した。結果を以下の表に示す。
【0072】
実施例2
上述のように作製した5つのネオプレンゴム製「そり」を、ASTM D 1894-01に従って単層押出し75 wt. pct. HMPE/25 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75の4インチ(10.1cm)× 12インチ(30.5cm)シート上を横方向に引っ張った。結果を以下の表に示す。
【0073】
上記の試験は、代表的な靴底構成に関して、VYRAM(登録商標)などの主に熱可塑性エラストマから成る材料は、主に高分子量ポリオレフィンから成る材料よりも大きな摩擦係数を示すことを示している。
【0074】
実施例3
これらの試験は、上述の3層押出しによる材料のシートの引張り強度を、75 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75および25 wt. pct. HMPEから成る材料の単層押出し混合物のシート、および75 wt. pct. HMPEおよび25 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75の材料の単層押出し混合物のシートと比較した。試験した、主としてVYRAM(登録商標)の単層押出しシートは、厚さが約0.070インチ(0.178cm)であり、一方、主にHMPEのシートは厚さが約0.137インチ(0.348cm)であった。3層押出しシートは厚さが約0.120インチ(0.305cm)であった。3層押出しシート、主にVYRAM(登録商標)の単層押出しシート、および主としてHMPEの単層押出しシートは、平均幅が0.250"(0.635cm)のサンプルにダイカットした。試験はASTM D 638-03試験標準に従って行った。20インチ(50.8cm)/分のクロスヘッド速度を使用した。1.0"(2.54cm)ゲージ長に基づいて伸び計を1000%に設定した。サンプルを23℃および相対湿度50%で40時間に調整し、その後これらの条件で試験した。結果を以下の表に示す。
【0075】
上記のデータは、本発明による3層押出し材料が、主に熱可塑性エラストマの単層押出し材料よりも著しく高い引張り強度を示すことを示している。3層積層品が、主にHMPEの材料よりも高い降伏時強度および破壊時応力を示し、一方、同等の引張りヤング係数を示したことも重要である。
【0076】
実施例4
試験標準ASTM D732-02に従って上記の3つの材料をせん断強度について試験を行った。これらの試験では、2.0インチ(5.1cm)四方のの材料にせん断が起こるまで直径1.00インチ(2.54cm)のパンチを適用した。クロスヘッドは0.05インチ(0.13cm)/分で移動した。試験サンプルを23℃および相対湿度50%で少なくとも40時間前に前もって調整し、これらの条件で試験を行った。結果を以下の表に示す。
【0077】
上記の試験データは、試験した様々な厚さについて正規化した場合に、3層押出し材料のせん断強度が75%VYRAM/25%HMPE単層押出し混合物に類似し、75%HMPE/25%VYRAM(登録商標)単層押出し混合物よりも優れていることを示している。
【0078】
実施例5
上述の組成の3層押出し材料のサンプル、すなわち、75 wt. pct. Vyram/25 wt. pct. HMPE材料および75 wt. pct. HMPE/25 wt. pct. VYRAM材料(全ての試験において、使用した熱可塑性エラストマはVYRAM(登録商標)グレード 101〜75であった)の曲げ特性を判定する試験を行った。試験は、ASTM D790-03試験方法の方法I、手順Aに従って行った。3層押出しの場合、サンプルの寸法は平均で0.490"(1.24cm)× 0.119"(0.302cm)× 5.00"(12.70cm)であり、径間長は1.904インチ(4.836cm)であり、クロスヘッド速度は0.051インチ(0.13cm)/分であった。75%Vyram/25%HMPE材料の場合、サンプルの寸法は平均で0.484"(1.23cm)× 0.072"(0.18cm)× 5.00"(12.70cm)であり、径間長は1.152インチ(2.926cm)であり、クロスヘッド速度は0.031インチ(0.078cm)/分であった。75%HMPE/25%Vyram材料の場合、サンプルの寸法は平均で0.50"(1.27cm)× 0.138"(0.350cm)× 5.00"(12.70cm)であり、径間長は2.208インチ(5.608cm)であり、クロスヘッド速度は0.059インチ(0.150cm)/分であった。全ての試験において、径間-深さ比は16 -/+ 1:1であり、支持体の半径は0.197インチ(0.500cm)であり、荷重ノーズの半径は0.197インチ(0.500cm)であった。試験は23℃および相対湿度50%で行い、サンプルをこの温度および湿度で40時間調整し、その後試験を行った。結果を以下の表に示す。
【0079】
表中のアスタリスクは、コンピュータにより作成されたの曲線の当てはめによって、報告された値に到達したことを示している。これらのデータは、3層押出しの方がどちらの単層押出しシートよりも剛性が著しく高いことを示している。全体的に、3層押出しは、積層品を作るためのいかなる材料層と比べても、単位断面積当たりの引張り強度、せん断強度、および剛性に関する特性が優れていることを示し、3層押出しによるトレイまたはマットが、いずれかの単層押出し混合物のみで作られたトレイまたはマットよりも靭性および剛性が高いことを示す。
【0080】
プロセス
図7および8は、本発明による車両フロア・トレイまたはカバーを製造する第1のプロセスの概要を示している。車両フロア・トレイおよびカバーは、別々の車両モデル用にカスタム製造される。段階700で、フロア・トレイの製造対象である車両フット・ウェル上の各点をデジタル的に測定し取り込む。好ましくは、この段階では、フロア・トレイが嵌め込まれる車両フット・ウェルの表面上の多数の点のそれぞれを記録する座標測定機(CMM)を使用する。発明者には、接触方法を用いてこれらのデータを得るうえでFARO(登録商標)Armが有効であることが分かっている。測定前にテープ上に測定すべき位置をマークすることなどによって、各点を線状群として配置すると、各点が一部を構成する表面を後に再生するのに十分なデータ・ポイントを取り込むうえで有効であることが分かっている。
【0081】
このように取得されたデータをファイルに格納する。表面データの各点を、各点が存在する表面の複雑さの関数として互いに間隔を置いて配置する。大きな平面を確立するのにも少数のデータ・ポイントで済む。曲面を定める際にはより多くのデータ・ポイントが用いられ、データ・ポイントの密度は曲線の鋭さに応じて異なる。図8には、すぐ下で説明する技術を用いて再構成またはモデル化された表面802上に、800箇所の小さな"×"によってこれらの点のうちの代表的なものが示されている。代表的なデータ・ファイルは、約10平方フィート(1m2)のイメージ化されたフット・ウェル表面領域上に広がる約1000個の点を含む。
【0082】
CMMデータ・ファイルをCADプログラムにインポートし、設計者がこのプログラムを用いて、取り込まれた点から車両フット・ウェル表面を再構成する。まず、段階701で、これらの点のそれぞれの異なる「線」をB-スプライン804によって連結する。スプライン804は、CADプログラムが自動的に生成できるものであり、線の取り込まれたデータ・ポイント以外の、その線の全ての点を推定するのに用いられる。各スプライン804を、表面の、これらが対象とする部分の局所的な複雑さの関数として互いに分離する。シル・プレート806のような大きく平坦な領域の場合、スプライン間の平面がその領域内の表面の良好な推定値であるためにスプライン804同士が遠く離れることがある。シル・カーブ832やキック・プレート遷移領域833のような複雑な湾曲領域または半径の小さな湾曲領域の場合、スプライン804は共に密に詰め込まれる。これは、許容可能な複雑さでフット・ウェルのこのような曲面を再生するには表面セグメントを小さくする必要があるからである。
【0083】
スプライン804を組み立てた後、設計者は、各一対の互いに平行なスプライン804間の領域を上昇させて異なる領域セグメント808を作製する。「上昇」プロセスは、その表面が完全に再生されるまで、その部分の各主表面に沿って区分的に進行する。例えば、トランスミッショントンネル側壁表面810は、スプライン814と隣接するスプライン816との間の領域812を同じ表面に沿って上昇させることによって再生される。設計者は次いで、スプライン816からスプライン820までの次の領域818を上昇させる。次に、スプライン820からスプライン824までの領域822を追加し、トランスミッショントンネル表面810の残りの部分に沿って、車両フット・ウェル表面の構成要素全体が作製されるまで同様の作業を行う。同様に、他の主表面、すなわち、ファイア・ウォール/床の組み合わせ領域セグメント826、ペデスタル側壁828、キック・プレート・セグメント830、シル・プレート・カーブ832、およびシル・プレート806を追加する。
【0084】
段階703〜707、709、711において、結果として得られた再構成された車両フット・ウェル表面802を用いて、表面802に高精度に嵌合する車両フロア・トレイを構成する。段階703で、設計者は、設計すべきトレイの頂部高度および底部高度で表面802と交差する頂部スケッチ面および底部スケッチ面を選択する。頂部スケッチ面は、側壁810、828、830、832、および834上の高い軌跡で表面802に交差する。この軌跡は、図1では、直立側壁130、132、134、136、およびこれらの側壁間の遷移部の頂縁部150として示されている。好ましい態様では、頂部スケッチ面は、前方上向きに傾斜している。このため、シートの近くよりもファイア・ウォールの近くでより深くなるトレイが作製され、好ましくは、深さがトレイの最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)、いくつかの態様では5インチ(12.7cm)であるトレイが作製される。これによって、フット・ウェル・カーペットは、乗員の靴またはブーツの場合によっては泥だらけの側面からフット・ウェル・カーペットを保護する。車両フット・ウェル・シル・プレート806から0.025"(0.064cm)のような厳密な公差だけ間隔を置いて配置された底面トレイ・シル・プレート140と共面になるように底部スケッチ面を定める。この底部スケッチ面は、構造の残りの部分と交差しないが、その代わりに上向きに車両フット・ウェル表面上向きに突き出て、床/ファイア・ウォール・セグメント826の縁部外形を近似する軌跡を作製する。
【0085】
段階704において、各側壁を頂部スケッチ面および底部スケッチ面にまたがるように描画する。これらのプロトタイプの側壁を作製するには、まず、複数の直線をそれぞれ、上部スケッチ面軌跡上の点から下部スケッチ面軌跡上の点まで描画する。上部スケッチ面はより広範囲であり、下部スケッチ面とは異なる形状を有するため、上部スケッチ面の横縁部と下部スケッチ面の横縁部は一致せず、上部スケッチ面から描画された直線は、互いに様々な角度で傾斜する。一般に、これらの線は頂部スケッチ面から底部スケッチ面まで内側に傾斜する。これらの線間の領域は、完全なトレイ固体の多角形表面を作製するように上昇させることができる。
【0086】
結果として得られた固体は、平面状頂面と、ほぼ平面状の底面と、頂面および底面と一緒に急なコーナーを形成する側壁とを有する。車両フット・ウェル側壁表面と床との間の実際の遷移部はほぼいつでも、関心対象の領域および車両モデルに応じて多かれ少なかれ湾曲している。したがって、段階705で、曲線を再構成された車両フット・ウェル表面に合わせ、これらの曲線で前の急な傾斜形状を置き換える。これらの曲線のうちで最大のものは、底部スケッチ面の水平延長部ではなく、この傾斜、および通常は曲面に一致するようにファイア・ウォール834を横切る方向に生じる。また、曲線を用いて床102とトランスミッショントンネル表面132、キック・プレート136、およびシート・ペデスタル側壁130との間の遷移部を修正する。
【0087】
上記の技術は、直立側壁810、828、830、および834の形状をフット・ウェル表面からの零離隔にできるだけ近似させることを目的としている。いくつかの例では、トレイ100の外面は実際には、車両フット・ウェルのイメージ化された側壁(図10〜14の部分1000〜1006を参照されたい)をわずかに越えて延び、負の離隔を作製することができる。これは、ある程度許容される。なぜなら、トレイの整形の対象となる表面にはカーペットが設けられ、パイルをある点で意図的に押すことができるからである。
【0088】
ドア・シル806およびシル・カーブ832は通常、製造業者の厳密な公差に従わなければならない硬質表面である。車両ドアは、これらの表面に合うように設計される。このため、これらの表面を慎重に一致させることが重要であり、好ましくは、これは、このプロセスでは、事前に選択された離隔0.025インチ(0.064cm)が実現されるように行われる。
【0089】
段階704で、ある種の車両モデルについては、遷移表面のある半径を大きくし、意図的にフット・ウェル表面からずらす。これは例えば、垂直キック・プレート・セグメント836とファイア・ウォール表面セグメント838との間に生じるような、湾曲遷移部が深い垂直面から床までの部分である場合に行う。図14の遷移部1400を参照されたい。これは、雌工具を使用する好ましい真空成形プロセスによって、深いコーナーに成形される部分に薄い場所が作成されることがないようにするために行われる。側壁表面が内側に5度よりも大きい角度に傾斜している場合、このような丸み付けは不要である。
【0090】
段階704および705の前であっても、間であっても、後であってもよい段階707において、再構成されたフット・ウェル表面の不規則性を考慮に入れるようにトレイ固体をさらに修正する。例えば、車両カーペットは、車両に嵌め込むトレイに再生すべきでないうねりやしわを有しうる。この段階ではまた、表面取得段階および再構成段階700〜702のアーチファクトであるこれらの表面の不規則性が平滑化される。
【0091】
車両フロア・トレイの基本的な形状が形成された後、709で、リザーバ110および流路104(図1〜4参照)を作製するようにこの形状を修正する。この修正が必要であるのは、前述のように、一方の側のフロア・トレイの外面または下面の大部分と他方の側の車両フット・ウェル表面の上面または内面とが厳密に一致または整合するが、この態様では、リザーバおよび流路が必要とする特性を作製するためにこの厳密な一致から逸脱しなければならないからである。好ましい態様では、リザーバおよび流路表面の外面を含む所定のファイルがトレイ固体の床に組み込まれる。この設計をトレイ固体の床にインポートすることによって、リザーバ周辺領域において、イメージ化された車両表面の床から1/4インチ(0.64cm)程度のずれが起こる。このずれはインポートされたパターンからの距離の関数として減少する。これにもかかわらず、作製された車両フロア・トレイは車両フット・ウェルにぴったりと嵌る。というのは、(1)フロア・カーペットの周辺領域(例えば、図10の領域1004を参照されたい)内よりもリザーバの下の部分が強く押され、(2)直立側壁が引き続き、車両フット・ウェルの対応する表面に厳密に一致するからである。
【0092】
段階711で、後述のようにSLAモデルまたはプロトタイプを作製するために、段階703〜707、709で作り出されたトレイ固体の「外被を形成する(shell)」。これは、外面から一様な厚さ(好ましくは約0.120インチ〜0.125インチ)である薄い層を残すように固体を刻むことを意味する。
【0093】
この結果、車両フット・ウェルのそれぞれの表面の大部分からのずれをわずか1/8インチ(0.317cm)とする十分な精度でフロア・トレイの上面と下面の両方を完全に表すトレイ・データ・ファイル708が得られる。このデータ・ファイルは、通常、多数の小さな三角形を有する表面を近似する.stlフォーマットに変換され、ステレオリソグラフィック装置(SLA)に命令を与えるのに710で用いられる。SLAは、レーザを用いて液体感光性ポリマーを選択的に硬化することによって設計の固体プラスチック像、モデル、またはプロトタイプを作製する。SLAプロトタイプを用いて実際の車両フット・ウェルに合うかどうかを判定し、任意の必要な調整を施す。
【0094】
SLAプロトタイプを合わせることによって得られた経験による修正のように、外被を形成していない車両トレイ・データ・ファイル(フロア・トレイの下面または外面のみを定義する)を用いて、712で、車両フロア・トレイまたはカバーを作製するための商業的な真空雌型を作製する。716で、3層押出しシートまたはブランク714を型に入れ加熱して車両フロア・トレイを作製する。
【0095】
この方法を用いて、多数の異なる車両モデル用の立体車両フロア・トレイを迅速にかつ正確に製造することができる。この方法は、運転者と乗員の両方の車両フット・ウェルと介在するトランスミッショントンネルとを覆う単一のトレイが設けられる二重トレイを作製するように修正することもできる。この技術を用いて第2列トレイのような他の車両フロア・カバー、ならびにミニバンおよびSUVの荷物領域に使用されるライナとを作製することができる。
【0096】
図15〜24は、図1〜14に示されているモデル車両とは異なるモデル車両用の、いくらか異なる方法で作られた代表的な車両フロア・トレイ1500を示している。前述のように、トレイ1500は好ましくは、この図示の態様では0.125インチ(0.317cm)または0.120インチ(0.305cm)である実質的に一様な厚さを有する、熱可塑性の、好ましくは3層押出し材料の平坦なブランクから成形された一体的な部材である。トレイ1500は、下面1502および上面1504を有している。トレイ1500は一般に、車両の走行方向に平行な軸1506に沿った前後方向に向けられる。図示のトレイ1500は、床部1508と直立周辺側壁1510、1512、1514、および1516とを有している。
【0097】
トレイ1500の上面1504は、実質的に互いに平行であり、細長く、長手方向に向けられた複数の流路1524から流体が流れ込むリザーバ1522を有している。リザーバ1522の横方向範囲は、周方向の境界壁1526によって定められる。壁1526は、上部トレイ一般表面1504の隣接する部分とリザーバ1522内のフロア・トレイの上面1528(リザーバ「底部」を形成する上面1528)との間に所定の深さを有している。この深さまたは段は好ましくは、0.25インチ(0.64cm)であるが、0.050インチ(0.13cm)程度であってよい。リザーバは、トレイの、後端部からファイア・ウォールではなくシートに向かって3分の2以内に位置し、好ましくは後部の2分の1以内に位置している。リザーバは、トレイ上面1504の10%から50%の間、より典型的には約25%〜45%を占有する。リザーバ1524の形状および範囲は、異なる車両モデル間で実質的に異なる。リザーバ境界は、横方向に後部内壁1510(シート・ペデスタルの最も近く)および任意の構造から側面まで変位されることが好ましい。特に好ましい態様では、リザーバの境界は、トレイの縁部から所定の差し引きよりも離れている。
【0098】
流路1524の各底部1530は、一般のトレイ上面1504から、リザーバ壁1526の深さよりも浅いものとして事前に選択された、好ましくは一様な深さだけ押される。好ましくは、この深さは、0.125インチ(0.317cm)となるよう選択される。前述のように、リザーバ1522は、複数の直立組合せトレッドおよびバッフル1532を有しており、これらの大部分または全ては、長手方向部分1534と、長手方向部分1534に接合された横方向部分1536との両方を有し、長手方向部分1534および横方向部分1536は、リザーバに流入した流体がはねるのを抑制するように位置している。
【0099】
トレイ1500の下面1502は、トレイ1500のカスタム設計の対象である車両フット・ウェルの表面の取り込まれたデジタル・モデルに実質的に一致する。トレイ1500の下面上のほぼ全ての点は、モデル上の最も近い点から0.5インチ(1.3cm)以下であり、大部分の例では、0.25インチ(0.64cm)または0.125インチ(0.317cm)など、これよりもずっと近い。図15および16には、車両フット・ウェル表面のデジタル的に取り込まれ格納されたモデルがトレイの下面1502に重ね合わせられて下面502と最もうまく合わせられた後、下面がこのモデルから所定の公差1/8インチ(0.317cm)以内に入らない陰影の付いた部分1538、1540が示されている。陰影の付いていない部分(トレイ下面の大部分)はこの公差の範囲内である。トレイ下面1502の少なくとも90%が車両フロアの像から0.25インチ(0.64cm)以内に位置し、トレイ下面の少なくとも50%が車両フロアの像から0.125インチ(0.317cm)以内に位置することが好ましい。車両フット・ウェル表面モデル自体は図15および16には示されていない。公差逸脱部には通常、床1508ならびに壁1516および1512などの壁の深いコーナー部の領域1538と、リザーバ1522およびいくつかの流路1524に隣接する領域1540が含まれる。領域1538は、深い垂直な壁の成形の難しさに対処するために厳密な公差から意図的に逸脱している。領域1540は、流路1524、リブ1532、およびリザーバ1522を、実質的に一様なシート厚さのブランクから作られる部分に含めることによって得られる。
【0100】
図17および18は、同じトレイ1500を示しているが、1/4インチ(0.64cm)のような事前に選択された比較的甘い公差に一致しない陰影の付いた領域1700、1702を有しており、トレイ1500の下面1502の陰影の付いていない領域は車両フット・ウェル表面モデル(これらの図には直接示されていない)に対するこの公差内に入っている。公差逸脱領域は、図15および16に示されている陰影の付いた領域1538〜1540よりもサイズがずっと小さくなっていることに留意されたい。
【0101】
図19〜22は、様々な長手方向平面および横方向平面上でのトレイ1500の断面図である。それぞれの場合に、トレイ1500は、単一の連続した曲線としてこれらの断面図に示されている車両フット・ウェル表面モデル1900に重ね合わせられた状態で示されている。この重ね合わせは、実際の車両内に存在する際の車両フット・ウェル表面のCMM取込みによって得られたこの表面の数学的構成またはモデル1900が、トレイ下面1502に最もうまく合うように行われる。後で図23および24に関して詳しく説明するように、この最もうまく合った重ね合わせによって、車両フロア・トレイ下面1502のいくつかの部分はモデル表面1900よりも上方に位置し、一方、他の部分は、モデル表面1900よりも下方に位置するか、またはモデル表面1900に対して干渉位置または負の離隔位置に位置する。
【0102】
特に図19は、長手方向流路1524を切り離すようにリザーバ1522の前方で得たトレイ1500の横断面図である。好ましい態様では、トレイ1500が実質的に一様な厚さの熱可塑性材料のブランクで形成され、かつトレイを形成する際にこのブランクが加熱され雌型に引き込まれるため、上面1504の形状は常に、下面1502の形状を反映する。したがって、流路1524の深さと同じ距離だけ一般の下面1502からずれた下面部1902が各流路底部1530よりも下方に位置している。図示の態様では、この距離は1/8インチ(0.317cm)であり、他の態様では、この距離は0.120インチ(0.305cm)である。
【0103】
車両フット・ウェル表面モデル1900がトレイ下面1502に最もうまく合うとき、下面部1902が、数学的なモデル表面1900の非常に近くに位置するかまたは数学的なモデル表面1900よりも下方に変位される傾向があり、一方、トレイ下面1502の他の部分はモデル表面1900かまたはモデル表面1900よりも上方に配置される。この特定の断面図では、トレイ下面1502は床モデル1900かまたは床モデル1900よりも上方に位置している。前述のように、表面1900は、カーペット・パイルの層、すなわち、マット、トレイ、または他の実質的な荷重が層上に配置された場合にいくつかの特定の場所で圧縮される傾向があるが他の場所ではこの傾向はない可縮可能な層のCMM測定から取り込まれる。カーペット・パイルが(最適な態様として厳密な一致が必要とされる硬質表面ではなく)可縮可能であることの実現化は、実質的に一様な厚さの熱可塑性材料のブランクから作製され、実際の車両のフット・ウェルにうまく合い、同時に、流路1524、リザーバ1522、およびトレッド1532などの望ましい深い上面特性を含む、フロア・トレイの設計を可能にする。図23および24に示されているように、本発明によるプロセスは、カーペット付きの車両表面モデル1900に対して負の離隔または干渉の領域を意図的に作製する。このプロセスは、車両カーペットの選択的な局部圧縮可能性を活用し、よりうまく合うトレイを作製する。このトレイは、それにもかかわらず流体リザーバや流水路のような望ましい特性を組み込んでいる。
【0104】
図20に示されている断面図は、リザーバ1522を横方向または側面から側面方向から見た断面図である。図20Aは、トレイの下面および上面1502、1504と車両フロア・モデル水平軸1900との関係をより具体的に示す図20の拡大詳細図である。トレイ1500の一般の上面1504の下方のリザーバ「底部」1528の押下げは、一般のトレイ下面1502に対するトレイ下面の相対的に押される部分2000の結果である。図示の態様では、この押下げ量は約0.25インチ(0.64cm)である。車両フット・ウェル表面モデル1900を最もうまく合うようにトレイ1500に重ね合わせると、押される部分2000は通常、モデル1900の水平軸よりも下方に位置するか、または水平軸に干渉する。下面部2002は、長手方向リブ部1534の直接下に位置し、数学的表面1900のより近くに配置され、ある例では、これよりも上方に位置する(この図には示されていない。図23および24の領域2300を参照されたい)。トレイ1500を実際のカーペット付き車両フロアに嵌め込むと、カーペット・パイル(およびその下の任意の詰物)は、部分2000の下で選択的に圧縮されるが、部分2202の下ではそれほど圧縮されない。再構成された表面1900からの表面1502の図示のずれの大部分は無くなる。
【0105】
図21は、流路1524および長手方向リブ部1534に沿った縦断面図である(図示の態様では、これらの構造が意図的に揃えられ、したがって、流路1524内の任意の流水の力はトレッドまたはバッフル1534によって遮られる)。この断面図ならびにその詳細図の図21Aおよび21Bは、トレイ1500の一般の下面1502が、数学的に再構成された車両フット・ウェル表面モデル1900に厳密に一致することを示している。特に、図21Aは、前部リザーバ壁1526を含む詳細図である。モデル表面1900がこの断面内ではリザーバ底部1528よりも上方に位置することが分かる。モデル表面は、他の場合は、すなわち、流路1524およびリブまたはトレッド1534の下では、トレイ下面1502に非常に近くなっている。
【0106】
図21Bは、流路1524の前端部と、床からファイア・ウォールまでのトレイ1500の遷移部とを含む領域の詳細図である。この図を見ると分かるように、車両フロア表面モデル1900は、前部パネル1514を上昇していくにつれて下面1502と、場合によっては上面1504を通過する。この意図的な負の離隔によって、この点で車両フロアのカーペットが圧縮され、望ましくは、アクセル・ペダルおよびブレーキ・ペダルの領域で非常にぴったりとした嵌め合わせが実現される。
【0107】
図22は、流路1524同士の間およびトレッド1532同士の間の、トレイ1500および重ね合わせられたフット・ウェル表面モデル1900の縦断面図である。細部を見ると最もよく分かるように、この断面では、表面1900がトレイ1500に最もうまく合った場合にリザーバ底部1528が数学的表面1900よりも下方に配置され、一方、リザーバ1522の前方の領域内の、一般のトレイ下面1502は、このモデル表面よりも上方に位置する。
【0108】
図23および24は、トレイ1500と車両フット・ウェルモデル表面1900が最もうまく合うように車両フット・ウェルモデル表面1900に重ね合わせられたトレイ1500の異なる角度からの等角図である。表面モデル1900の外縁部が示されている。トレイ1500の横方向境界内において、陰影は、モデル表面1900がトレイ下面1502に対して「負の離隔」状態である部分を示している。これらの領域には、リザーバ1522の大部分が含まれるが、特に厳密に合わせることが望ましい前方パネル1514の大部分も含まれる。
【0109】
本発明による第2のプロセスでは、図25を参照すると分かるように、段階2500で、図7に関連して説明した段階と同様に車両フット・ウェル表面モデル1900を取得する。このモデルを構成するためのデータを取得するのに用いられる方法は好ましくは、通常は車両カーペット・パイルである測定中の表面を圧縮しない方法である。これは、レーザCMM装置を使用することによって行うことができる。
【0110】
段階2502で、車両フット・ウェル表面モデル1900を用いて、B-スプラインおよび上昇工程を使用することなどによって開始トレイ下面を作成する。段階2504で、頂部スケッチ面を選択する。このスケッチ面はトレイの頂縁部を構築する。前述のように、結果として得られるトレイが、シート・ペデスタルに隣接する部分よりもファイア・ウォールの近くの方が深くなるようにこのスケッチ面を前方上向きに傾斜させることが好ましい。頂部スケッチ面をこのように傾斜させると、車両フット・ウェル側面の保護が改善され、同時に、トレイが、シートをそのペデスタル上で前後に滑らせることにより、シート調整の妨害が確実に無くなるようにする。
【0111】
このトレイ下面は、表面モデル1900の厳密な模写として開始され、次いで、いくつかの方法で修正される。まず、段階2506で、所定の深さ(キック・プレートなど)よりも深い任意の垂直壁を、それがもはや垂直ではなくなり、かつ許容されないほど薄くすることなく好ましい雌型真空成形プロセスによって複製することができるように、頂縁部から床まで内側に抜き勾配だけ傾斜させる。段階2508で、初期下面2502内の任意の鋭いコーナーに丸み付けし、(カーペットのしわによって生じるような)表面の不規則性を平滑化する。
【0112】
段階2510で、トレイ上のリザーバのサイズ、形状、および位置を、リザーバ内のリブまたはトレッドのサイズ、形状、および位置と一緒に決定する。一態様では、リザーバと、リザーバ内のトレッドおよびバッフルとは、異なる車両モデル間で実質的に一様な外観を有する。後に目的の車両フット・ウェルに合うように変更することのできる基本的なリザーバ形状を含む事前に格納された電子ファイルを使用することができる。例えば、リザーバとしては、凸状の弧状前部壁(例えば、図15の壁1526を参照されたい)を常に有するものを選択することができ、かつトレッドの間隔および形状を一様に維持することができる。しかし、好ましくは、リザーバは、フロア・トレイの縁部から所定量だけ横方向にずれた後部およびその他の縁部を有し、この場合、目的の車両モデルに合うように、事前に格納されたリザーバ・テンプレートを修正する必要がある。
【0113】
リザーバの横方向境界が固定された後、2512で、一般のトレイ下面を直交方向下向きに一様な段の分(0.25インチ(0.64cm)など、しかし、いずれの場合も少なくとも0.05インチ(0.13cm))だけ突き出させ、成形プロセスが完了した後でリザーバ「底部」1528を定める下面2000を作製する。例えば図20Aを見ると分かるように、下向きに突き出した低面部2000は、任意の断面方向において、シートにより形成される上面1504の部分よりもシート2枚分の厚さだけ広くなっている。したがって、下向きに突き出した部分2000は、結果として得られるリザーバ・フロア1528内の対応する「谷」の厚さよりもシート2枚分の厚さだけ広くなるような寸法を有している。同時に、リブ1534の下の部分2002は、リブ1534自体の横方向厚さよりもシート2枚分の厚さだけ細くなっている。
【0114】
図25の段階2514で、流路1524を同様に特徴付けしかつ配置する。好ましい態様では、流路1524の間隔および深さは異なる車両形式間で一様になるように維持され、したがって、これらの詳細は電子テンプレートとして事前に格納することができる。一態様では、基本リザーバ形状を格納する電子テンプレートは、異なる車両モデル間で同様にリザーバに適合する流路1524の基本的なアレイを格納することもできる。
【0115】
流路1524の間隔、幅、および平行度はほぼ同じに維持されるが、これらが覆う上面1504の前方領域は異なる車両間で大きく異なる。このため、流路1524の長さおよび流路1524の前端部の位置は、注文に応じて選択される。図1〜14に示されている態様と同様に、段階2516で、左手側の(運転者の)トレイについて、「踵が引っかかる」可能性を除くためにアクセル・ペダルの近くの円形の空間を流路1524から引き離す。
【0116】
段階2518で、適切に指定された流路1524を一般のトレイ底面1502から指定された好ましい一定量だけ「下向きに突き出させ」、下向きに突き出た部分1902を作製する。好ましくは、この量は、リザーバ深さが0.25インチ(0.64cm)である場合の0.125インチ(0.317cm)のような、リザーバ底部1528を作製するのに用いられる下向き突出量よりも少ない量として指定される。図20Aを見ると最もよく分かるように、これらの下向きに突き出た部分1902を意図的に、その部分が形成する流路1524の幅よりも横方向に広くする。下向きに突き出た部分1902と対応する流路1524との幅の差は、この部分を形成するのに用いられるシート・ブランク約2枚分の厚さである。この下向き突出段階によって、この部分の下面用のドラフト・ファイルまたはトライアル・ファイル2520が完成する。
【0117】
段階2522で、ドラフト・ファイルまたはトライアル・ファイルからSLAファイルを作成する。ドラフト・ファイルまたはトライアル・ファイル2520は下面を有するだけでよい。なぜなら、上面の特性は、シート・ブランクを熱可塑性に基づいて片側の雌型に一致させることによって自動的に作成されるからである。一方、SLAファイルは、別個に指定しなければならない上面を有する。これは例えば、下部表面をSLAシート厚さに等しい量だけ上向き内側に突き出させることなどにより、一部表面の「外被を形成して」上面部を作製することによって行うことができる。
【0118】
段階2524で、SLAファイルを用いてプロトタイプを作り、試験的に車両フット・ウェルに嵌め込み、任意の必要な修正を施す。段階2526で最終的なファイルが得られる。段階2528で、最終的なファイルを用いて雌型の内面を作製する。段階2530で、好ましくは本明細書において前に述べたプロセスに従った3層押出しによる、一様な厚さの熱可塑性材料のシートまたはブランクを真空型2528に送る。立体トレイ1500が得られる。段階2530でのシートまたはブランクは、成形前にその頂面に刻印されたヘアセル・パターンまたはその他のテクスチャ化されたパターンを有してよい。このパターンは、シートを熱可塑性に基づいて型の山および谷に一致させるにもかかわらず存続する。
【0119】
簡単に言えば、車両フロア・トレイの作製対象である車両フット・ウェルに厳密な公差内で嵌る新規な車両フフロア・トレイについて図示し説明した。本発明によるフロア・トレイは、流水をフット・ウェル内ではねないように保持するリザーバおよび流路システムを含んでいる。3層押出しによるシート・ブランクを用いることによって、トレイは、熱可塑性エラストマの望ましい摩擦係数および可縮可能性と、ポリオレフィンのより低いコストと、単独での各材料を上回る靭性とを併せ持つ。車両のフット・ウェルの初期に取り込まれた像を用いてフロア・トレイの下面を電子的に形作ることによって、より良好な嵌合をもたらす。負の隔離を用いて車両カーペットの選択的な圧縮可能性を活用することによって、リザーバ、流路、およびぴったりと把持するための表面を成形される部分に作製することができる。
【0120】
本発明の例示的な態様について説明し、添付の図面に示したが、本発明はそれらに限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲および精神によってのみ制限される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両フロア・トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、ほとんどの場合戸外で操作され、かつ戸外に駐車されることが多い。したがって、乗員の足が濡れていたり、泥だらけであったりすることが非常に多い。乗員が戸外の活動を終えきっていないならば、少なくとも、湿っているか、雪が積もっているか、または泥だらけであるかもしれない表面を横切って車両に近づかなければならかった。したがって、数10年にわたって、車両の所有者は、彼ら自身が車両に導き入れるものから車両(自動車、トラック、SUV)の密閉された室内を保護することを試みている。これに対する従来の解決策は、所有者によって定期的に取り外され清掃される車両フロア・マットを提供することであった。
【0003】
人間は、足をあちこち動かす傾向があり、足の動きは大部分の車両を運転するうえで必須である。この場合、車両の乗員が足でフロア・マットをあちこちに押す傾向があるため問題が起こっている。フロア・マットは、最後には保護されている領域の中心になくなったり、ガス・ペダル、ブレーキ・ペダル、またはクラッチ・ペダルを妨害するように押し上げられたり、ひだがついたり折り畳まれた状態になったりする。これらは全て望ましくない状態である。したがって、フロア・マット製造業者の1つの課題は、同じ場所に留まり、車両の運転に悪影響を与えないフロア・マットを提供することである。
【0004】
車両、トラック、およびSUVのフット・ウェルは、車両のモデル間でサイズおよび形状が異なる。フロア・マット製造業者は、フット・ウェルの底面の形状に少なくとも概ね一致するフロア・マットが所定の位置に比較的良好に留まり、保護を向上させることを認識している。また、そのようなフロア・マットは、フロント・シート・フット・ウェル用に設けられる場合、フット・ウェルのファイア・ウォールまたは前面に位置するようになっている部分を有するのが一般的である。このように拡張される場合でも、この2つの表面に概ね一致する可とう性材料のフロア・マットを提供するのはそれほど難しくはない。なぜなら、設計者は、適度に嵌合するマットを提供するうえでマットの二次元的な周囲に注目するだけでよいからである。
【0005】
より最近では、車両フロア・トレイが市販されている。大部分のフロント・シート用車両フット・ウェルは実際には立体凹状であり、通常複雑な曲面を有している。フロア・トレイは、は泥または雪だらけの靴を履いた人に対して必要でありうる、車両フロアを囲む表面に対する保護を強化する側壁を有する。従来の車両フロア・トレイについては、このような立体キャビティに嵌め込むことが試みられてはいるが、今までのところフロア・トレイが保護することろ前提としている表面との嵌め合わせは最適なものにはなっていない。従来の車両フロア・トレイは通常、単一プライ・ゴムまたはプラスチック材料から成形され、立体形状を保持するのに十分な剛性を示すが、少なくともある程度可とう性でもある。このようなトレイを車両フット・ウェルの複雑な立体表面に嵌合させるのは困難であることが分かっているが、現在市販されている多くの製品は、フット・ウェルの内側にぴったりと嵌らないため消費者にそれほど認められていない。多くの場合、かつ多くの場所で、これらの従来のトレイの外壁とフット・ウェルの内面との間にかなりの空間があることが多い。このため、乗員の足がこの壁に接触した場合に壁が顕著に変形する。車両の所有者は、がたつく、変形する、ずれる、およびパタパタ動くフロア・トレイを好まない傾向がある。
【0006】
従来の1つのトレイ成形プロセスは、車両フット・ウェル表面のキャスティングまたは雄インプレッションをとり、そのキャスティングに基づいて型を作製するものと考えられる。このキャスティングでは、車両カーペット・パイルを実質的にかつ一様に圧縮する必要があり、その後嵌め合わせが不正確になる。このプロセスによって作製されたフロア・トレイはまた、おそらく後で凝固するキャスティング液の使用に特有の制限のために比較的浅くなる。このプロセスは、フット・ウェルに隣接するドア・シルまたはシル・カーブのインプレッションをとるのにも、これらの表面を保護するフロア・トレイを作製するのにも使用されていない。
【0007】
したがって、フロア・トレイが設けられる車両フット・ウェルによりぴったりと嵌り、一旦設置されると所定の位置に留まり、乗員の足によりしっかりした確実な感触を与えるフロア・トレイが必要である。
【0008】
現在市販されているいくつかの車両フロア・マットには、流体リザーバが内蔵されている。特に寒冷または湿潤な環境では、汚れた水がフロア・マット上に流れる傾向があり、この水は蒸発するまでフロア・マット上に留まる。汚れた水が十分にある場合、水はフロア・マットから漏れ、マットが保護するものとされていたフット・ウェルのカーペットを汚す。このようなリザーバは通常、マットの凹状領域であり、水が蒸発するか、または車両の所有者またはユーザが処分できるようになるまで雪解け水などを保持する改善された能力をマットに与える。ある高度な設計ではトレッドがリザーバの中央に配置され、これにより、乗員の足は、リザーバが回収するあらゆる流体の上方に保持される。他の場合には車両フット・ウェルの立体表面にうまく合うフロア・トレイ内にこのようなリザーバを含めることはまだ行われていない。というのは、理想的には下面がフット・ウェルの表面に一致する製品に、立体的な液体保持容器を組み込むと問題が起こるからである。さらに、車両フロア・トレイのような大きな表面からの水滴を回収するリザーバは、回収された流体が移動する車両内ではねるのを妨ぐ上で、より限られた表面積のマット内のリザーバよりも問題が多い。
【0009】
従来の車両フロア・マットおよびフロア・トレイは、単一のゴムまたはプラスチック材料から成形される。この材料の選択は、そのコスト、せん断力に対する耐性、引張り強度、摩擦抵抗、車両フット・ウェルの表面に一致する能力、消音性、およびそれが乗員の足に対して滑りやすいか滑りにくいか(滑りにくい(比較的大きな摩擦係数を有する)方が有利である)によって制限される。しばしは設計者は、トレイまたはマットを作るための材料を指定する際にこれらの様々な設計上の制約同士折り合いをつけねばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、高いせん断強度および引張り強度、許容される剛度を有し、かつその上面(1504)上に大きな摩擦係数を有するように、多層押出し熱可塑性ポリマー・シート(2530)から真空成形される、深い側面(1510〜1516)を有する車両フロア・トレイ(1500)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、消費者によって取外し可能に設置可能であり、かつ好ましくは同時押出しによって接着された少なくとも3つの層で形成された車両フロア・カバー、フロア・マット、またはフロア・トレイが提供される。この3つの層には、組成が底部層および頂部層とは異なる中央層が含まれる。好ましくは、これら3つの層は全て熱可塑性ポリマー材料で形成される。本発明の他の局面では、頂部層は、少なくとも約0.82の代表的な靴の本底(ネオプレンゴム、ショアAデュロメータ60)を模倣するようになっているサンプルに対する動摩擦係数を示す。
【0012】
好ましくは、中央層の大部分はポリオレフィンである。より好ましくは、このポリオレフィンはポリプロピレンまたはポリエチレンである。最も好ましくは、このポリオレフィンは、本明細書で定義される高分子量ポリエチレン(HMPE)である。他の態様では、中央層は、スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)ポリマー混合物であってよい。
【0013】
好ましくは、頂部層の大部分は、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)で販売されている公的に利用できるが独占権下の組成物のうちの1つなどの熱可塑性エラストマである。VYRAM(登録商標)が特に好ましい。他の態様では、頂部層の大部分はABSポリマー混合物であってよい。ABSを頂部層と中央層の両方に使用する場合、頂部層のポリブタジエン相の量が中央層のこの相の量よりも多くなることが好ましい。
【0014】
底部層の大部分が同様に熱可塑性エラストマであることがさらに好ましく、かつ好都合なことに、底部層の大部分は、頂部層の大部分と同じ組成であってよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0015】
好ましくは、1つまたは複数の層は実際にはポリマー混合物であり、ここではその小部分として、その同時押出しにおける隣接する層との適合性によって事前に選択される。したがって、頂部層および底部層の小部分をポリオレフィンで構成することができ、一方、中央層の小部分を熱可塑性エラストマで構成することができる。それぞれの場合に、小部分が各層の約4分の1以下の重量部、すなわち、重量比が1:3以下になることが好ましい。3つ全ての層についてABS混合物であるよう事前に選択してある場合、混合物中のポリブタジエンの量は頂部層および底部層と比べて中央層で好ましくは少なくなる。
【0016】
車両フロア・カバーの好ましい態様は、3つの一体的な層から成るが、これらの層の任意の1つは実際には2つ以上の部分層で構成することができ、これにより、結果として得られるマットまたはトレイ内の部分層の総数は3を超えてよい。
【0017】
他の態様では、上述の頂部層、中央層、および/または底部層の熱可塑性エラストマ構成成分を、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、またはエチレンプロピレンジエン単量体ゴム(EPDM)を含む天然ゴムまたは合成ゴムで置き換えることができる。
【0018】
本発明の関連局面によれば、好ましくは同時押出しによって接着された3つの層を有する車両フロア・カバーが提供される。頂部層および底部層の大部分は熱可塑性エラストマから成る。頂部層および底部層は、その経費が比較的安いものを選択することのできる中央層とは異なる組成を有する。中央層の大部分がポリオレフィンであり、頂部層および底部層の大部分が1つまたは複数の熱可塑性エラストマであることが好ましい。このポリオレフィンは、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択することができ、好ましくは高分子量ポリエチレン(HMPE)である。熱可塑性エラストマは例えば、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、またはVYRAM(登録商標)であってよく、VYRAM(登録商標)が特に好ましい。また、各層がポリマー混合物であり、各層の小部分が、その同時押出しにおける隣接する層との適合性によって選択されることが好ましい。例えば、頂部層と底部層は、重量比が3:1のVYRAM(登録商標)/HMPEで構成することができ、中央層は、重量比が3:1のHMPE/VYRAM(登録商標)で構成することができる。
【0019】
上述の態様に代わる態様では、頂部層および底部層をABSポリマー混合物で構成することができ、ポリブタジエン相が頂部層および底部層よりも低い濃度で存在するSANまたはABSで中央層を構成することができる。
【0020】
他の態様では、本発明のこの局面に記載された熱可塑性エラストマを、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、またはエチレンプロピレンジエン単量体ゴム(EPDM)などの天然ゴムまたは合成ゴムで置き換えることができる。
【0021】
本発明の他の態様では、本発明による車両フロア・トレイまたはフロア・マットは3つの層で作られ、ここで頂部層および底部層は中央層とは組成が異なり、断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの少なくとも1つがトレイまたはマットを構成する層のうちの任意の1つよりも高い。本発明の3層押出しによる車両マットまたはフロア・トレイは、主としてポリオレフィンの単層押出しまたは主として熱可塑性エラストマの単層押出しよりも優れた、たわみ時の引張り強度、破壊時の引張り応力、引張り係数、せん断強度、および曲げ弾性率(剛性)を示すことが判明している。3層押出しトレイは、これらの改善された物性を示し、同時に、乗員の足に対する改善された摩擦係数および改善された触覚特性を実現する。運転者または乗員の靴にこのような表面を与えることによって、運転者または乗員の足元がよりしっかりとした快適なものになる。
【0022】
本発明の他の態様では、他の主要構成部材として車両フット・ウェルを有するシステムの一部として有する車両フット・ウェル・トレイが提供される。トレイは、トレイが提供される車両フット・ウェルの表面との一致度が大幅に改善されている。共にトレイ・フロアから頂縁部まで延びるトレイの少なくとも2枚の直立壁は、頂縁部に隣接するトレイのこれらの直立壁の外面の面積の少なくとも3分の1の部分内で、上3分の1の領域の90%が直立壁が当たるフット・ウェル表面から約1/8インチ(0.317cm)以下しかずれないように、車両フット・ウェルのそれぞれの表面に一致する。これらの直立トレイ表面は、互いに向かい合う表面であっても、互いに隣接する表面であってもよく、好ましくはその両方である。トレイが車両ドア・シルを覆うように延びる一態様では、トレイは、車両フット・ウェルのドア・シル表面および/または車両フット・ウェルのシル・カーブから約0.025インチ(0.064cm)ずれる。フロア・トレイの直立側壁は、このようなフット・ウェル表面が凹表面部材と凸表面部材の両方を示す場合でも、側壁が覆うフット・ウェル表面に一致する。
【0023】
本発明の他の態様では、トレイは、好ましくは実質的に圧縮されていない状態で存在する際の車両フット・ウェル表面を模写した車両フット・ウェル表面モデルがトレイの下面に最もうまく合うように重ねた場合に、トレイの下面の少なくとも90%が車両フット・ウェル表面モデルから0.25インチ(0.64cm)内に入るように車両フット・ウェルに嵌まる。好ましくは、このトレイ下面の少なくとも50%がこのモデルから0.125インチ(0.317cm)以内に配置される。トレイは、リザーバをその後端から3分の2以内に含み、これはトレイ上面の10%〜50%を占有する。トレイ・リザーバの周方向壁は、深さが少なくとも0.050"(0.13cm)であり、より好ましくは0.25インチ(0.64cm)である。
【0024】
本発明の他の局面では、車両フロア・トレイの頂縁部は、その少なくとも2枚の直立側壁上で実質的に共面である。好ましくは、トレイの頂縁部は、3枚または場合によっては4枚の連続的な直立側壁によって実質的に共面である。これによって、フロア・トレイの設計が容易になり、フープ(hoop)強度が増し、車両フット・ウェルの全ての直立表面が泥だらけの履物に対する適切な保護を受けることを確実にする。特に好ましい態様では、頂縁部の平面は、水平な床に対して前方上向きに傾斜している。これによって、アクセル・ペダル、ブレーキ・ペダル、およびクラッチ・ペダルまたはファイア・ウォールの近くの、まさに、泥だらけの履物が位置する可能性が高い場所における、車両フット・ウェルの保護が改善され、一方、シートを移動させるのが可能になる。好ましい態様では、トレイは、深さが最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である。
【0025】
本発明の他の局面では、新規の車両フロア・トレイ製造方法およびシステムによって上述の厳密な公差が可能になる。本発明による第1の段階では、車両フット・ウェルの表面上の各点を座標測定機(CMM)によってデジタル的に測定する。これらの点をコンピュータ・メモリに格納する。好ましくは、B-スプラインを使用することによって各点の線状群同士を連結し、B-スプライン間を上昇(loft)させてフット・ウェル表面の領域部分を作成することによって、これらの点を含むフット・ウェル表面を作製する。いくつかの凹状湾曲部および凸状湾曲部を有することがある、この通常複雑で立体的な主として凹状の表面を用いて、多くの領域で、トレイの外面とフット・ウェルの表面との距離が約1/8インチ(0.317cm)以下になり、確実にぴったりと嵌るように、対応する実質的に凸状のフロア・トレイ外面または下面を作製する。
【0026】
本発明の一態様では、リザーバが乗員の足および脚からの水滴を回収し蒸発させる領域としてトレイ・フロアに組み込まれる。回収された流体の横方向への移動を妨害する組合せバッフル/トレッドがリザーバに設けられる。これらのバッフルの長手方向部分と横方向部分が接合される。流体をリザーバに送る流路がトレイの中央領域の他の部分に割り込み、これにより、流路の底部は一般のトレイ・フロア表面の下であるがリザーバの底部よりも上方に位置する。運転者側の好ましい態様では、フロア・トレイ上面の一部から流路が省略され、ガス・ペダルおよびブレーキ・ペダルを操作する際に運転者の踵が位置する空間が残る。
【0027】
本発明による第2のプロセスおよびシステムでは、好ましくは実質的に圧縮されていない実際の車両フット・ウェル表面上の各点をデジタル的に測定し格納することによって車両フット・ウェル表面モデルを構築する。デジタル測定段階は、好ましくは、測定中の表面を圧縮しない段階である。このフット・ウェル表面モデルが模写され、車両フロア・トレイの一般の下面の作製が開始される。所定のリザーバ領域内において、車両フット・ウェル表面モデルをトレイの一般の下面から少なくとも0.050インチ(0.13cm)、より好ましくは約0.25インチ(0.64cm)離れた位置まで下向きに突き出させ、リザーバ領域内にトレイ像の下面を作製する。好ましくは、隣接する所定の流路領域内に、互いに間隔を置いて配置され互いに平行な複数の細長い流路を定め、これらの流路をリザーバ境界の深さよりも浅い深さだけ下向きに突き出させる。このように修正されたトレイの下面の立体像を用いて型を構築する。次にこの型を用いて熱可塑性材料のシートから車両フロア・トレイを製造する。
【0028】
本発明の好ましい態様では、多くの場所で、車両フロア・トレイ下面が合うように設計される車両フロア表面モデルに対して意図的に「負の離隔(negative standoff)」状態にされた車両フロア・トレイ下面を作製することによって、車両フット・ウェル表面(通常カーペット・パイルによって形成される)の圧縮可能性を活用する。すなわち、車両フロア・トレイの下面の像を車両フロア表面モデルに、この2つが最もうまく合うように数学的に重ね合わせると、フロア・トレイ下面のいくつかの領域は車両フロア表面モデルの表面よりも上方に位置し、他の領域はこの表面よりも下方に位置する。好都合なことに、「負の離隔」は、リザーバおよび流路を設計に組み込む際に使用され、アクセル・ペダルやブレーキ・ペダルの周りのような、実際の床表面に非常にぴったりと合うことが望ましいトレイの領域に使用することもできる。本発明のシステムおよび方法は、「負の離隔」の意図的な使用を可能にする。従来の設計方法ではこれは可能ではない。車両カーペット・パイルは様々な領域間で非一様にかつ可変的に圧縮されることがあるので、このように「負の離隔」を使用すると、流路特性およびリザーバ・特性を有し、実際に、この概念を使用しない場合よりもうまく、フロア・トレイの設計対象である車両フット・ウェルに嵌る、成形されたフロア・トレイが得られる。
【0029】
本発明の他の局面およびその利点は、以下の詳細な説明で認識可能である。この説明では、同様の参照符号は同様の部品を示す。
【0030】
本発明(1)は、以下を含む、車両フロア・カバーである:
頂面および底面を有する熱可塑性ポリマー中央層;
中央層の頂面に接着され、中央層とは異なる組成を有し、頂部層の頂面が、ショアAデュロメータ読取り値が60のネオプレンゴムに対して少なくとも約0.82の動摩擦係数を示す熱可塑性ポリマー頂部層;ならびに
中央層の底面に接着され、中央層とは異なる組成を有する熱可塑性ポリマー底部層。
本発明(2)は、中央層の大部分がポリオレフィンで構成される、本発明(1)のカバーである。
本発明(3)は、中央層の大部分が、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選択される、本発明(2)のカバーである。
本発明(4)は、大部分が高分子量ポリエチレン(HMPE)である、本発明(3)のカバーである。
本発明(5)は、中央層が、小部分が熱可塑性エラストマから成るポリマー混合物で構成される、本発明(2)のカバーである。
本発明(6)は、中央層がポリマー混合物で構成され、混合物の小部分が同時押出しにおける頂部層および底部層とのその適合性によって事前に選択される、本発明(2)のカバーである。
本発明(7)は、中央層において、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比が約3:1である、本発明(5)のカバーである。
本発明(8)は、熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、本発明(5)のカバーである。
本発明(9)は、頂部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される、本発明(1)のカバーである。
本発明(10)は、熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、本発明(9)のカバーである。
本発明(11)は、頂部層が、ポリオレフィンの小部分を含むポリマー混合物で構成される、本発明(9)のカバーである。
本発明(12)は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、本発明(11)のカバーである。
本発明(13)は、ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、本発明(12)のカバーである。
本発明(14)は、頂部層が、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択されたポリマーの小部分を含むポリマー混合物で構成される、本発明(9)のカバーである。
本発明(15)は、底部層の大部分は熱可塑性エラストマで形成される、本発明(1)のカバーである。
本発明(16)は、熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、本発明(15)のカバーである。
本発明(17)は、底部層がポリマー混合物であり、ポリマーの小部分がポリオレフィンから成る、本発明(15)のカバーである。
本発明(18)は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、本発明(17)のカバーである。
本発明(19)は、ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、本発明(18)のカバーである。
本発明(20)は、底部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、本発明(17)のカバーである。
本発明(21)は、ポリマー混合物の小部分としては、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択される、本発明(17)のカバーである。
本発明(22)は、車両フロア・マットまたは車両フロア・トレイである、本発明(1)のカバーである。
本発明(23)は、カバーの断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの1つまたは複数が、頂部層、中央層、および底部層のうちのどれか単独よりも高い、本発明(1)のカバーである。
本発明(24)は、中央層が、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー混合物(ABS)およびスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)からなる群より選択され、頂部層および底部層が、ポリブタジエンの重量が中央層内のポリブタジエンの重量よりも大きいABSを含む、本発明(1)のカバーである。
本発明(25)は、以下を含む、車両フロア・カバーである:
頂面および底面を有する熱可塑性ポリマー中央層;
中央層とは異なる組成を有し、中央層の頂面に接着され、頂部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される熱可塑性ポリマー頂部層;ならびに
中央層とは異なる組成を有し、中央層の底面に接着され、底部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される熱可塑性ポリマー底部層。
本発明(26)は、中央層の大部分がポリオレフィンで構成される、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(27)は、ポリオレフィンが、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選択される、本発明(26)のフロア・カバーである。
本発明(28)は、中央層の大部分が高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、本発明(27)のフロア・カバーである。
本発明(29)は、中央層がポリマー混合物であり、混合物の小部分が熱可塑性エラストマから成る、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(30)は、熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、本発明(29)のフロア・カバーである。
本発明(31)は、中央層において、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比が約3:1である、本発明(29)のフロア・カバーである。
本発明(32)は、中央層がポリマー混合物であり、中央層の小部分としては、その同時押出しにおいて頂部層および底部層に適合するものが事前に選択される、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(33)は、頂部層の大部分が、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される熱可塑性エラストマである、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(34)は、頂部層がポリマー混合物であり、混合物の小部分がポリオレフィンから成る、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(35)は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、本発明(34)のフロア・カバーである。
本発明(36)は、ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)である、本発明(35)のフロア・カバーである。
本発明(37)は、頂部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、本発明(34)のフロア・カバーである。
本発明(38)は、底部層の大部分が、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される熱可塑性エラストマである、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(39)は、底部層がポリマー混合物であり、底部層の小部分がポリオレフィンから成る、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(40)は、ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、本発明(39)のフロア・カバーである。
本発明(41)は、ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)である、本発明(40)のフロア・カバーである。
本発明(42)は、底部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、本発明(39)のフロア・カバーである。
本発明(43)は、底部層がポリマー混合物であり、底部層の小部分としては、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択される、本発明(38)のフロア・カバーである。
本発明(44)は、車両フロア・マットまたは車両フロア・トレイである、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(45)は、フロア・カバーの断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの1つまたは複数が、フロア・カバーを構成するどの層のものよりも高い、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(46)は、中央層がアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)およびスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)からなる群より選択される材料で構成され、頂部層および底部層がポリブタジエンの重量比が中央層内のポリブタジエンの重量比よりも大きい1つの等級のABSで構成される、本発明(25)のフロア・カバーである。
本発明(47)は、車両と車両のフット・ウェル用の取外し可能なトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、床から上向きに延びる直立し概ね長手方向の第1の壁、床から延びかつ実質的に第1の壁に対して傾斜して形成された直立し概ね横方向の第2の壁を含む表面を有する車両フット・ウェル;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの該第1の壁に実質的に一致し、直立し概ね横方向に向けられたトレイの第2の壁がトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの該第2の壁に実質的に一致するトレイとを含む、車両フット・ウェルに嵌め込むためのトレイ;
それぞれが頂縁部と車両フット・ウェルのそれぞれの壁に面する外面とを有し、トレイの該各直立壁に関して、トレイ壁の頂縁部に隣接するトレイ壁の外面の面積の少なくとも3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルのそれぞれの壁の表面から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、トレイの第1および第2の直立壁。
本発明(48)は、車両フット・ウェルが車両フット・ウェルの床から延びかつ表面を有する第3の概ね横方向に向けられた壁を有し、トレイがトレイの床から延びる第3の概ね横方向に向けられた壁をさらに含み、トレイの第3の壁が頂縁部と車両フット・ウェルの第3の壁に面する外面とを有し、トレイの壁の頂縁部に隣接する外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの第3の壁の表面から8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、本発明(47)のシステムである。
本発明(49)は、頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、本発明(47)のシステムである。
本発明(50)は、トレイの第1の壁の外面が車両のトランスミッショントンネルに面する、本発明(47)のシステムである。
本発明(51)は、トレイの第1の壁の外面が、車両フット・ウェルのキック・プレートに面する、本発明(47)のシステムである。
本発明(52)は、トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、本発明(47)のシステムである。
本発明(53)は、トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのシート・ペデスタルまたは車両シートの表面に面する、本発明(47)のシステムである。
本発明(54)は、車両フット・ウェル表面のうちの少なくとも1つは曲面であり、トレイのそれぞれの直立壁の外面は曲面に一致する、本発明(47)のシステムである。
本発明(55)は、各曲面が凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、本発明(54)のシステムである。
本発明(56)は、車両フット・ウェルが、実質的に水平方向に配置されたドア・シル・プレート表面を含み、車両トレイが合わせシル・プレート壁を含み、車両トレイ・シル・プレート壁の下面がドア・シル・プレート表面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、本発明(47)のシステムである。
本発明(57)は、車両フット・ウェルが前方に実質的な水平位置から実質的な直立位置まで湾曲するドア・シル曲面を含み、車両トレイが合わせシル湾曲壁を含み、トレイのシル湾曲壁の外面がドア・シル曲面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、本発明(47)のシステムである。
本発明(58)は、車両と車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、床から延びる少なくとも1つの直立し概ね長手方向の第1の壁、および床によって第1の壁から間隔を置いて配置された、床から延びる少なくとも1つの直立し概ね長手方向の第2の壁を含む、車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェル表面の該第1の壁に面する第1の外面を有し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第2の壁がトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、トレイの第1および第2の各壁が頂縁部を有し、頂縁部に隣接する第1および第2のトレイ壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルのそれぞれの壁から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
本発明(59)は、頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その壁の最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、本発明(58)のシステムである。
本発明(60)は、トレイの第1の壁の外面は、車両のトランスミッショントンネルに面する、本発明(58)のシステムである。
本発明(61)は、トレイの第1の壁の外面が、車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、本発明(58)のシステムである。
本発明(62)は、車両フット・ウェル壁のうちの少なくとも1つが曲面を有し、トレイのそれぞれの直立壁の外面が、一致する曲面である、本発明(58)のシステムである。
本発明(63)は、車両フット・ウェルの少なくとも1つの曲面が、凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、本発明(62)のシステムである。
本発明(64)は、車両フット・ウェルが実質的に水平方向に配置されたドア・シル・プレート表面を含み、車両トレイが合わせシル・プレート壁を含み、車両トレイ・シル・プレート壁の下面がドア・シル・プレート表面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、本発明(58)のシステムである。
本発明(65)は、車両フット・ウェルが前方に実質的な水平位置から実質的な直立位置まで湾曲するドア・シル曲面を含み、車両トレイが合わせシル湾曲壁を含み、トレイのシル湾曲壁の外面がドア・シル曲面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、本発明(58)のシステムである。
本発明(66)は、車両フット・ウェル表面が車両フット・ウェルの第1および第2の壁に対して実質的に傾斜するように形成された直立する第3の壁と車両フット・ウェルの第1および第2の壁に対して実質的に傾斜するように形成された直立する第4の壁とを有し、トレイの直立する第3の壁がトレイの床から延び、トレイの直立する第4の壁がトレイの床から延び、トレイの第3および第4の壁が上縁部および外面を有し、上縁部に隣接するトレイの第3の壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの上面の第3の壁から8分の1インチ以下しかずれず、上縁部に隣接するトレイの第4の壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの第4の壁から8分の1インチ(0.317cm)以下しかずれない、本発明(58)のシステムである。
本発明(67)は、以下を含む、車両フロア・トレイである:
車両フット・ウェルの床に実質的に一致し、長手方向に配置された少なくとも1つの横方向側面および横方向に配置された少なくとも1つの横方向側面を有する床;
床と一体的に形成されかつ床の第1の横方向側面から上向きに延びる第1の壁;
床および第1の壁と一体的に形成されかつ床の第2の横方向側面から上向きに延びる第2の壁;
リザーバ部分の一般的表面がトレイの床の上面の一般的部分よりも低くかつこの部分に囲まれる、一般的部分およびリザーバ部分を含む上面を有するトレイの床;
トレイ上面の一般的部分に成形され、流路の底部がトレイの上面の一般的部分よりも低いがリザーバ部分の一般的表面よりも高い複数の流路;ならびに
流路が流路の水滴をリザーバ部に導くように働き、バッフルが車両の動きのために起こる水滴の横方向への移動を抑制する働きをする、リザーバ部分に配置された長手方向に向けられた複数のバッフルおよび長手方向に配置されたバッフルの1つに接合されたリザーバ部分に配置された横方向に向けられた複数のバッフル。
本発明(68)は、車両フロア・トレイが、運転者のフット・ウェルに取外し可能に設置されるように設計され、フロア・トレイの設計対象である車両が運転者の足によって操作できるアクセル・ペダルおよびブレーキ・ペダルを有し、運転者の右足の踵を収容するようなサイズを有する空間がトレイ上面の一般的部分に形成され、空間が流路のどれも有さない、本発明(67)の車両フロア・トレイである。
本発明(69)は、空間が円弧で区切られる、本発明(68)の車両フロア・トレイである。
本発明(70)は、円の半径が約4インチ(10.1cm)である、本発明(69)の車両フロア・トレイである。
本発明(71)は、車両フット・ウェルに取外し可能に設置することのできる取外し可能な車両フロア・トレイであって、以下を含むフロア・トレイである:
水平平面を実質的に占有する床;ならびに
床から頂縁部まで延びる長手方向に向けられた直立する第1の側壁、および床から頂縁部まで延びる実質的に横方向に向けられた直立する第2の側壁を含む複数の側壁であって、互いに傾斜して接合され、第1の側壁の頂縁部が第2の側壁の頂縁部に連続し、各頂縁部が該水平面に対して前方上向きに傾斜する平面内に実質的に配置される、側壁。
本発明(72)は、トレイの側壁が床から頂縁部まで延びる第3の直立側壁と床から頂縁部まで延びる第4の直立側壁とを含み、第3および第4の側壁の頂縁部が第1および第2の側壁の頂縁部と連続しかつそれらと実質的に共面である、本発明(71)のフロア・トレイである。
本発明(73)は、第3の直立側壁が車両フット・ウェルのキック・プレートに一致し、第4の直立側壁が車両フット・ウェルのシート・ペデスタルに一致し、第3の直立側壁および第4の直立側壁がトレイの実質的に水平のドア・シル・プレートによって間隔を置いて配置される、本発明(71)のフロア・トレイである。
本発明(74)は、車両内の消費者によって設置可能でかつ取外し可能である水不浸透性の車両フロア・カバーであって、以下を含むフロア・カバーである:
ポリマー材料で形成され、頂面および底面を有する中央層;
ポリマー材料で形成され、中央層の頂面に接着された頂部層;ならびに
ポリマー材料で形成され、中央層の底面に接着され、頂部層および底部層が中央層の組成とは異なる組成を有する底部層。
本発明(75)は、頂部層の少なくとも一部はエラストマ材料から成り、底部層の少なくとも一部はエラストマ材料から成る、本発明(74)の車両フロア・カバーである。
本発明(76)は、エラストマ材料が、ポリブタジエン、EPDM、SBR、天然ゴム、NBR、および熱可塑性エラストマからなる群より選択される、本発明(75)の車両フロア・カバーである。
本発明(77)は、車両と消費者によって車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、および床から延びる少なくとも第1および第2の直立壁を含む車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、トレイの直立する第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第1の壁に面する第1の外面を有し、トレイの直立する第2の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、トレイの第1および第2の壁が頂縁部を有し、頂縁部に隣接する第1および第2の外面の面積の2分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの最も近い表面から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
本発明(78)は、車両と消費者によって車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイをを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、および床から延びる少なくとも第1および第2の直立壁を含む車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、トレイの直立する第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第1の壁に面する第1の外面を有し、トレイの直立する第2の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、第1および第2の外面の面積の少なくとも50%が車両フット・ウェルの最も近い表面から8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
本発明(79)は、以下の段階を含む、車両フロア・トレイを製造するプロセスである:
車両フロア・トレイを提供する車両フット・ウェル表面上の複数の点の立体位置をデジタル的に測定する段階;
該点をメモリに格納する段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面のモデルを構築する段階と、
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階;
格納された三次元画像を用いて車両フロア・トレイ用の型を構築する段階;ならびに
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階。
本発明(80)は、車両フット・ウェル表面上の点の立体位置をデジタル的に測定する段階が、座標測定機(CMM)を用いることを含む、本発明(79)のプロセスである。
本発明(81)は、以下の段階をさらに含む、本発明(79)のプロセスである:
格納された点の群をB-スプラインに連結する段階;および
B-スプライン同士の間を上昇(loft)させて車両フット・ウェル・モデル表面の領域セグメントを作成する段階。
本発明(82)は、車両フロア・トレイの立体像を構築する段階が、以下の段階をさらに含む、本発明(79)のプロセスである:
車両フット・ウェル・モデルと交差しかつ車両フロア・トレイの頂縁部を確立するように頂部スケッチ面を確立する段階;
作製する車両フロア・トレイ像の最低高度に位置するように底部スケッチ面を確立する段階;および
頂部スケッチ面と底部スケッチ面との間に側壁を描画し、車両フット・ウェル・トレイの対応する側壁に近似させる段階。
本発明(83)は、頂部スケッチ面を傾斜させることにより、これを、車両フット・ウェル・モデルの床に対して、作製される車両フロア・トレイが乗員のシートに向かう方向よりも車両ファイア・ウォールに向かう方向の方が深くなるような角度とする段階をさらに含む、本発明(79)のプロセスである。
本発明(84)は、頂縁部の最も近くの側壁の外面の面積の少なくとも上3分の2を車両フット・ウェル・モデルのそれぞれの表面に一致させ、これらの領域を通して、車両フロア・トレイの側壁が車両フット・ウェルの対応する表面から8分の1インチを超える程度にずれないようにする、車両フロア・トレイの立体像の描画された側壁を修正する段階をさらに含む、本発明(79)のプロセスである。
本発明(85)は、車両と車両のフット・ウェル用の取外し可能なトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステムである:
床、床から上向きに延びる直立し概ね長手方向の第1の壁、および床から延びかつ実質的に第1の壁に対して傾斜して形成された直立し概ね横方向の第2の壁を含む表面を有し、車両の走行方向に実質的に平行な長手方向または前後方向に概ね配置された車両フット・ウェル;
車両フット・ウェル表面を模写した車両フット・ウェル表面モデル;ならびに
トレイの下面の少なくとも90%が車両フット・ウェル表面モデルをトレイの下面に最もうまく合うように数学的に重ね合わせた場合に車両フット・ウェル表面モデルから0.25インチ(0.64cm)以内に入り、リザーバがトレイの上面の後端部から3分の2以内に配置されかつトレイの上面の10%から50%の間の領域を占有するようにトレイの上面に形成され、周方向の壁がリザーバの横方向境界を定め、壁が少なくとも0.050インチ(0.013cm)の深さを有し、トレイが床、床から延びかつ車両フット・ウェルの第1の壁に実質的に一致するトレイの直立する概ね長手方向に向けられた第1の壁、およびトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの第2の壁に実質的に一致するトレイの直立する概ね横方向に向けられた第2の壁を有する、ポリマー材料で形成され、車両フット・ウェルに嵌め込まれる、上面および下面を有するトレイ。
本発明(86)は、車両フット・ウェル表面モデルをトレイの下面に最もうまく合うように重ね合わせた場合に、トレイの下面の少なくとも50%が車両フット・ウェル表面モデルから0.125インチ(0.317cm)以内に位置する、本発明(85)のシステムである。
本発明(87)は、頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、本発明(85)のシステムである。
本発明(88)は、トレイの第1の壁の外面は車両のトランスミッショントンネルに面する、本発明(85)のシステムである。
本発明(89)は、トレイの第1の壁の外面が車両フット・ウェルのキック・プレートに面する、本発明(85)のシステムである。
本発明(90)は、トレイの第2の壁の外面が車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、本発明(85)のシステムである。
本発明(91)は、トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのシート・ペデスタルまたは車両シートの表面に面する、本発明(85)のシステムである。
本発明(92)は、少なくとも1つの車両フット・ウェル表面が曲面であり、トレイのそれぞれの直立壁の外面が、一致する曲面である、本発明(85)のシステムである。
本発明(93)は、少なくとも1つの曲面が凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、本発明(92)のシステムである。
本発明(94)は、車両フット・ウェル表面モデルがデジタル機械読取り可能レコードである、本発明(85)のシステムである。
本発明(95)は、車両フット・ウェル表面が圧縮可能な表面であり、モデルが実質的に圧縮されていない状態で存在する際の車両フット・ウェル表面を模写し、車両フット・ウェル表面がトレイが車両に設置された時点でトレイにより選択的に圧縮される、本発明(85)のシステムである。
本発明(96)は、周方向の壁が約0.25インチ(0.64cm)の深さを有する、本発明(85)のシステムである。
本発明(97)は、リザーバ下の下面であるフロア・トレイ下面の部分が対応するフット・ウェル表面の突起部である、本発明(85)のシステムである。
本発明(98)は、概ね長手方向に向けられ、細長く、かつ概ね平行な複数の流路がトレイの上面にリザーバの終端部として形成され、各流路がリザーバの周方向の壁の深さよりも小さい深さを有する、本発明(85)のシステムである。
本発明(99)は、流路の下のフロア・トレイ表面の部分が車両フット・ウェル表面のそれぞれの部分の突起部である、本発明(98)のシステムである。
本発明(100)は、車両フット・ウェル表面モデルが、トレイに最もうまく合うようにトレイ上に重ね合わせられた場合に、車両フット・ウェル表面モデルの一部がトレイの底面に対して負の離隔状態である、本発明(85)のシステムである。
本発明(101)は、車両フロア・トレイを製造するプロセスであって、以下を含むプロセスである:
車両フット・ウェル表面上の点をデジタル的に測定し格納する段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面モデルを構築する段階;
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階であって、モデルを用いる該段階が
車両フット・ウェル表面モデルを模写して車両フロア・トレイの一般の下面を作製する段階と、
所定のリザーバ領域内に、車両フット・ウェル表面モデルを車両フロア・トレイの一般の下面から少なくとも0.050インチ(0.13cm)だけ下方向に突き出させてリザーバ領域内にトレイ像の下面を作製する段階と、
格納された三次元画像を用いて車両フロア・トレイ用の型を構築する段階と、
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階
を含む段階。
本発明(102)は、以下の段階をさらに含む、本発明(101)のプロセスである:
車両フロア・トレイの立体像の、リザーバ領域の前方に位置する領域内に、細長く、概ね長手方向に揃えられた、概ね平行な複数の流路を定める段階;および
車両フロア・トレイの一般下面モデルから車両フット・ウェル表面モデルを下向きに突き出させ、流路の下の領域に車両フロア・トレイの下面を作製する段階。
本発明(103)は、車両フット・ウェルの表面上の点をデジタル的に測定する段階が座標測定機(CMM)を用いる段階を含む、本発明(101)のプロセスである。
本発明(104)は、車両フット・ウェルの表面上の点をデジタル的に測定する段階が実質的に圧縮されていない状態の車両カーペットの表面上の点を測定する段階を含む、本発明(101)のプロセスである。
本発明(105)は、車両フロア・トレイを製造するプロセスであって、以下の段階を含むプロセスである:
選択的に圧縮可能な車両フット・ウェル表面上の点をデジタル的に測定し格納する段階であって、該点が得られる表面が実質的に圧縮されていない段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面モデルを構築する段階;
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階であって、モデルを用いる該段階が車両フロア・トレイの立体像を車両フット・ウェル表面モデルに最もうまく合わせる場合に該立体像の表面の一部を車両フット・ウェル表面の対応する部分に対する意図的な負の離隔に配置する段階を含む段階;
格納された立体像を用いて車両フロア・トレイの型を構築する段階;
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階と;ならびに
車両フット・ウェル表面モデルの対応する部分に対して負の離隔状態にある立体像の部分に対応する車両フット・ウェル表面の部分を選択的に圧縮することによって、トレイを車両フット・ウェルに嵌め込む段階。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、高いせん断強度および引張り強度、許容される剛度を有し、かつその上面(1504)上に大きな摩擦係数を有するように多層押出し熱可塑性ポリマー・シート(2530)から真空成形された、深い側面(1510〜1516)を有する車両フロア・トレイ(1500)を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による車両フロア・トレイの一態様の等角図である。
【図2】図1に示されているフロア・トレイの上面図である。
【図3】図1および2に示されているフロア・トレイの、実質的に図2の線3-3に沿った等角・横断面図である。
【図4】図1および2に示されているフロア・トレイの、実質的に図2の線4-4に沿った等角・縦断面図である。
【図5】図1に示されているトレイの、外側から見た側面図である。
【図6】3層押出しによる層を示す、車両フロア・トレイの高拡大断面詳細図である。
【図7】本発明による第1の設計・製造プロセスの各段階を示す概略ブロック流れ図である。
【図8】図示のフロア・トレイを作るために使用されたデジタル的に取得された車両フット・ウェル・フロア表面の概略等角図である。
【図9】実質的に図2の線9-9に沿い、実質的に図8の線9-9に沿う、図2に示されているフロア・トレイと図8に示されている車両フット・ウェル表面の両方の一部横断面・一部等角図である。
【図10】実質的に図2の線10-10に沿い、実質的に図8の線10-10に沿う、図2に示されているフロア・トレイと図8に示されている車両フット・ウェル表面の両方の一部横断面・一部等角図である。
【図11】図10のファイア・ウォール領域の詳細図である。
【図12】図10のシート・ペデスタル領域の詳細図である。
【図13】実質的に図2の線13-13に沿い、実質的に図8の線13-13に沿う、図2に示されているフロア・トレイと図8に示されている車両フット・ウェル表面の両方の一部縦断面・一部等角図である。
【図14】図13のキック・プレート領域の詳細図である。
【図15】トレイの下面が、モデル化された車両フット・ウェル表面に対する第1の所定の公差の外側に位置するトレイの領域を示すように陰影が付けられた、本発明による車両フロア・トレイの第2の態様の等角図である。
【図16】他の視点から示されている、図15に示されているフロア・トレイの等角図である。
【図17】図15および16に示されているトレイの等角図であるが、トレイの下面が、モデル化された車両フット・ウェル表面に対する第2の所定の公差の外側に位置するトレイの領域を示すように陰影が付けられた等角図である。
【図18】図17で陰影が付けられているトレイの等角図であるが、図18に示されている視点からの等角図である。
【図19】モデル化された車両フット・ウェル表面の同様の部分に重ね合わせられた、実質的に図17の線19-19に沿った一部等角・一部横断面図である。
【図20】同じ断面に生じるモデル化された車両フット・ウェル表面の同様の部分に重ね合わせられた、実質的に図17の線20-20に沿った一部等角・一部横断面図である。
【図20A】図20の詳細図である。
【図21】モデル化された車両フット・ウェル表面の同様の部分に重ね合わせられた、実質的に図17の線21-21に沿った一部等角・一部縦断面図である。
【図21A】図21の詳細図である。
【図21B】図21の詳細図である。
【図22】モデル化された車両フット・ウェル表面の同様の部分に重ね合わせられた、実質的に図17の線22-22に沿った一部等角・一部縦断面図である。
【図22A】図22の詳細図である。。
【図23】トレイ下面をモデルに最もうまく合わせた後の、モデル化された車両フット・ウェル表面に対する「負の離隔」状態になる車両フロア・トレイ下面の部分を示すように陰影が付けられた、図15〜22Aに示されている車両フロア・トレイの等角図である。
【図24】図23で陰影が付けられている車両フロア・トレイの等角図であるが、図16に示されている視点から見た等角図である。
【図25】本発明による第2の設計・製造プロセスの各段階の概略流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
商業的な一態様の等角図が図1に示されている。全体的に100で示されている例示的な車両フロア・トレイは好ましくは、実質的に一様な厚さを有する水不浸透性熱可塑性ポリマー材料のブランクからシート形に成形される。ただし、本発明は、射出成形のような他のプロセスで製造することができる。フロア・トレイ100は好ましくは、以下に詳しく説明するように、中央層またはコア層の特性が外側層または外被層の特性と異なってよく、かつ3層押出しが、フロア・トレイを構成するどの層よりも単位厚さ当たりの靭性および剛性が高くなるように、3層押出しによる熱可塑性材料で形成される。
【0034】
車両フロア・トレイまたはカバー100は、フロアと少なくとも車両フット・ウェルの下面との両方を保護するようになっており、したがって、従来技術のフロア・マットに通常見られるよりもさらにより立体的な形状をとっている。フロア・トレイ100は、フロア・パネルまたは中央パネル102を含み、フロア・パネル102は、図示の態様では、フロア・パネル102の前方領域に配置された平行な複数の前後方向または長手方向直線状流路104を含んでいる。好ましくは、これらの流路は、流水が正しく流れるように深さが約1/8インチ(0.317cm)であり、かつ幅が約4分の1インチ(0.64cm)であってよい。図1では、前方が左上方向であり、一方、後方が右下方向であり、これらの語は、トレイが配置されるように設計される対象の車両の向きに一致するように使用される。本明細書では、「長手方向」は、前後方向または車両走行軸に沿った方向を意味し、一方、「横方向」はそのような軸に対して直角の方向、または側面から側面への方向を意味する。
【0035】
フロア・パネル102の後方または後部領域108は主としてリザーバ110に占有されており、リザーバ110の底部は(この態様では)実質的に平面上の一般表面112で構成されている。一般表面112は、前方領域106の一般表面114の下方に位置している。好ましくは、一般のリザーバ底面112もそれぞれの流路104の最低点から約1/8インチ(0.317cm)だけ下方に位置し、したがって、流路104内の流体はリザーバ110に流入する。
【0036】
流路104は、流路の液体がユーザの足または履物からリザーバ110に流れるように設計されている。多くの車両では、車両フロア(この図には示されていない。図8〜11を参照されたい)の、前方領域106の下に位置する部分は、前方から後方に傾斜しており、したがって、トレイ100は、単に下に位置する車両フロア部の輪郭に合わせることによって、流路の流体をリザーバに流している。下に位置する車両フロアがこのように傾斜していない車両の設計では、トレイ100は有利なことに、材料を部分108よりも部分106の方を厚くするか、または流路104の底部に前から後ろ方向への傾斜をつけることによって、この流体流を生み出すように設計することができる。
【0037】
流路104は前方領域106の大部分を占有している。ただし、この商業的な運転者側態様および他の商業的な運転者側態様では、前方右手側の空間116は、アクセル・ペダルおよびブレーキ・ペダルを操作する運転者の足を受け入れるように開放されている。図示の態様では、この空間または開放領域116は、半径が約4インチの180度円弧によって区切られている(点線で示されている)。開放領域116は、比較的深い溝104に運転者の靴の踵が引っかからないように設けられている。他の態様では、開放領域116は、ほぼ全ての運転者の踵が、特定のトレイの設計対象である車両のブレーキ・ペダルおよびアクセル・ペダルを操作しながら、開放領域116の範囲内に位置するかぎり、他の形状または位置をとることができる。
【0038】
リザーバ110には、2つの目的を有する複数のトレッド表面またはバッフル118がその内部に散在している。第1の目的は、リザーバ110に回収されたあらゆる流体の上方に乗員の靴または足を持ち上げることである。第2の目的は、この蓄積された流体がはねるのを防止することである。このために、トレッド表面/バッフル118の大部分は、前から後ろ方向または長手方向部分120と側面から側面または横方向部分122の両方を有している。これによって車両が加速または制動している際に起こるような前方または後方への流体の大きな移動と、他の場合には車両が方向転換するときに起こる横方向への流体の大きな移動が防止される。好ましくは、各前から後ろ方向部分120または少なくともその大部分がそれぞれの側面から側面方向部分に接合される。これによって、回収された流体の移動がさらに区画され制限される。リザーバ110の一部の流体は、トレッドまたはバッフル118の端部の周りの流路124を通り、常に低速で複雑な経路を通ってリザーバ110の別の離れた部分に進む。したがって、このリザーバの設計では、流体の蒸発を推進し、同時にそのような蒸発の前の流体の移動を制限する大きな表面領域が作製される。
【0039】
様々な車両のモデル間で数および構成が異なる一連の直立サイド・パネルが、中央パネルまたはフロア・パネル102の周りに配置および中央パネルまたはフロア・パネル102と一体的に形成されている。この図示の態様では、これらの直立パネルは、車両フロント・シートの底部に隣接して配置された後部パネル130、または車両フロント・シートの底部を受ける車両ペデスタル;この車両のトランスミッショントンネルまたは「ハンプ(hump)」にぴったりと嵌る内側サイド・パネル132;車両ファイア・ウォールにぴったりと一致する前方パネル134;外側サイド・パネル136を含んでいる。大抵の態様では、外側サイド・パネルまたはキック・プレート・パネル136は、パネル134との遷移部からコーナー138まで延びるに過ぎず、ここでは、ドア・シル・カーブ208が始まり、ドア・シル・パネル140に遷移していく。他のパネルとは異なり、シル・パネル140は一般に直立しておらず、その代わりに車両ドアのシルに一致し、実質的に水平面に位置している。このように、乗員の出入りが妨害されることはない。図1〜14に示されている態様を含む多くの態様では、シル・パネル140は、フロア前方領域106の一般表面114の高度よりも低く、場合によってはリザーバ110の一般表面(底部)112よりも低い高度に位置している。したがって、(リザーバ容量を超える)非常に多量の流体が、車両内部に損傷を与えることなしに直接車両から流出する。これらの図では、パネル同士を分割している線が概念的なものに過ぎず、最終的な部品には現れないことに留意されたい。以下にさらに詳しく説明するように、トレイ100は好ましくは、一体構成として一体的に成形される。
【0040】
本発明の重要な一局面では、トレイ100は、トレイ100が配置されるように設計される対象の車両フット・ウェルにぴったりと嵌め込まれる。パネル130、132、134、136、および140は全て、パネルが接触して位置させられる車両表面に、従来技術の車両フロア・トレイには見られなかった程度にぴったりと一致するように形成される。好ましい態様では、車両トレイ頂縁部150に隣接するこれらのパネルの領域の少なくとも上3分の1全体にわたって、周辺パネルまたはサイド・パネル130〜136の外面上の各点の少なくとも90%は、これらの点が合わせられるように形成される表面上の対応する点から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れていない。この厳密な一致は、下にある車両表面が複雑に湾曲していたり傾斜していても実現される。キック・プレート遷移プレート214のような車両フット・ウェル表面のある部分は、凸状湾曲部材と凹状湾曲部材の両方を有してよい。ドア・シル・カーブ208およびシル・プレート140の好ましい公差はずっと厳しく、約0.025インチ(0.064cm)である。
【0041】
トレイ・サイド・パネルが車両フット・ウェルのそれぞれの表面に厳密に一致することにより、乗員の足または車両の運動によって生成される横方向の力の下で水平方向に移動されることのない保護トレイが形成される。互いに向かい合う周辺パネル対はトレイ100を「入れ子にする」かまたは「閉じ込め」、その横方向の移動を防止する。したがって、その位置で車両側壁にぴったりと一致する外側サイド・パネルまたはキック・プレート・パネル136は、内側サイド・パネル132の一部142を対応部材として有している。トレイ100が左方向にずれるあらゆる傾向はパネル136によって阻止され、トレイ100が右方向にずれるあらゆる傾向はパネル部142によって阻止される。同様に、直立後方パネル130と直立前方パネル134は、協働してトレイ100のあらゆる前方または後方への動きを車両フット・ウェル内に「閉じ込める」。
【0042】
パネル130〜136、218、140の外面または下面が車両フット・ウェルの、パネルそれぞれの合わせ表面の厳密な一致により、あらゆる横方向移動に対抗する摩擦力も増大する。この厳密な一致の結果として、望ましくない位置のずれを起こさず、乗員の足をしっかりと確実に位置させるフロア・トレイが得られる。
【0043】
車両フロア・トレイ100の最も商業的な態様では、サイド・パネル130〜136、140は底部パネル102から急に延びるようには形成されず、その代わりに遷移部を通して底部または中央パネル102に接合されている。このような遷移部は、傾斜していても湾曲していてもよく、遷移度は段階的に様々である。本発明によれば、トレイ100の外面と底面との間の遷移部は、これらの遷移部に隣接する車両フットの下に位置する表面に可能なかぎりどこでも一致する。
【0044】
例えば、図2には、前部106から延びる大きな遷移部またはサブパネル200が示されている。他のサブパネル202は、遷移サブパネル202を前方側壁134に接合している。内側またはトランスミッショントンネル側壁132は、湾曲遷移フィレット204を通してパン102に接合されている。後部直立パネル130は、小さな遷移部206を通して底部パネル102の後部に接合されている。外側壁136とシル・パネル140の間の遷移部またはシル・カーブ208は、徐々に湾曲する表面の形をとる。
【0045】
本発明はまた、互いに隣接するサイド・パネル間に(通常)湾曲した遷移部を使用している。例えば、湾曲遷移部210は後部パネル130を内側サイド・パネル132に接合している。湾曲遷移部212はトランスミッショントンネルまたは内側サイド・パネル132を前部パネルまたはファイア・ウォール・パネル134に接合している。遷移部214は、図示の態様ではS字曲線の形をとり、車両ホィール・ウェルの一部に一致しているが、前部パネル134を外側サイド・パネル136に接合している。トレイ100の外面で車両フット・ウェル表面の遷移部に可能なかぎりどこでも(好ましくは公差が約1/8インチ、すなわち0.317cmになるように)厳密に一致しているため、厳密な嵌め込みが改善される。
【0046】
図示の態様では、本発明によるトレイは、3層押出しによる実質的に一様な厚さの熱可塑性材料のシートを柔らかくなるまで加熱し、次いで、真空適用時に軟化したシートを雌型に引き込むことによって作られている。このプロセスを使用すると、以下にさらに詳しく説明するように、様々な特性を有する離れた各層が最終製品まで持続することができる。一方、この製造プロセスを使用すると、底面300(図3および4)を車両フット・ウェルの合わせ表面に厳密に一致させつつ、本発明の一局面による流路およびリザーバ構造を設けることが困難になる。この中央領域では、第1の製造プロセスによれば、流体流および保持による上述の利益を得るために1/8インチ(0.317cm)の公差から逸脱する。しかし、サイド・パネル130〜136、140、およびそれらに関連する遷移部が引き続き、残りの車両フット・ウェル表面の大部分に厳密に一致するため、トレイ100は引き続き1つの場所にロックされる。
【0047】
図9〜14は、本発明によるトレイの設計対象である車両フット・ウェルの表面802にフロア・トレイ100を重ね合わせている。図10の一部等角・一部長手方向断面図では、断面上で、トレイ100の下面300が車両フット・ウェルのモデル化された表面802にかなり厳密に一致していることが分かる。図11を見ると最もよく分かるように、ファイア・ウォール側壁134の外面は、トレイの頂縁部150から測定した場合に、表面826の全長の少なくとも4分の3にわたってファイアウォール表面826から1/8インチ(0.317cm)以内に入っている。領域1000、1002、および1004(図10)内で、車両フット・ウェルの成形された表面802は実際には、トレイ100よりも上方またはトレイ100の内部に位置している。この負の干渉または離隔は、許容できるものであり、場合によってはこれが望ましい例もある。というのは、大部分の用途では、表面802は車両カーペットの表面であり、トレイ100を車両フット・ウェル内に設置する際にこの表面を選択的に押すことができるかまたは押す必要があるからである。このようなぴったりとした嵌め合わせは、例えばアクセス・ペダルの周りのトレイの領域で特に望ましい。
【0048】
図12は、シート・ペデスタルの領域およびリザーバ110の一部における図10の詳細図である。この場合も、後部パネル130の外面は、その全長の大部分にわたってモデル化されたシート・ペデスタル表面828に非常に厳密に、すなわち1/8インチ(0.317cm)以内で一致する。
【0049】
図13は、一方の側ではキック・プレート・トレイ表面136およびフット・ウェル表面830を切り離し、他方の側ではトレイトランスミッショントンネル表面132およびフット・ウェルトランスミッショントンネル表面810を切り離すように比較的前方の位置で得た側面から側面または横方向断面を示している。図を見ると分かるように、これらの合わせ表面の表面領域の少なくとも上3分の1にわたって1/8インチ(0.317cm)の公差が維持されている。領域1000、1002(一部が図13に示されている)および1006は、車両フット・ウェルのモデル化された表面802が車両トレイ100の外面または下面の内側に位置する負の離隔または干渉の領域である。上述のように、この不一致は、特に1/8インチ(0.317cm)以下に維持される場合には許容され、場合によってはこれが望ましい点もある。なぜなら、モデル表面802は、硬質の表面ではなく車両カーペットの像であるからである。
【0050】
図14を見ると分かるように、1400において、キック・プレート・パネル136と底壁102との間の遷移部の半径が意図的に大きくされている。こうするのは、図示のモデルでは、フット・ウェル・キック・プレート表面830が垂直であると共に比較的深いからである。したがって、側壁136は、成形されたトレイ100の壁が壁136、102の接合部で許容できる厚さを確実に維持するように垂直面830に対して少なくとも2度(より好ましくは5度)の抜き勾配を有する必要がある。このことは、半径1400を大きくすることによって実現される。それにもかかわらず、この断面上でも、キック・プレート136の外面は、頂縁部150から測定した場合に、全長の少なくとも1/3にわたってキック・プレート表面830の1/8インチ(0.317cm)内に入っている。
【0051】
より一般的には、頂縁部150に隣接する各側壁130〜136の表面領域の上3分の1の少なくとも90%が、側壁130〜136が合うように設計される車両フット・ウェル表面から1/8インチ(0.317cm)内に入る。あるいは、全ての直立側壁の外側面領域の上3分の1の約90%以上は、それぞれのフット・ウェル表面からこの1/8インチ(0.317cm)の公差内に位置する。場合によっては他の公差測定値でも、直立側壁130〜136の外側領域の少なくとも約50%が、頂縁部150に対する位置にかかわらず、直立側壁130〜136が対応する車両フット・ウェルから1/8インチ(0.317cm)内に位置することが好ましい。
【0052】
図1、5、および10を見ると最も良く分かるように、トレイ100の頂縁部150は、全ての直立側壁130、132、134、136、および138の末端となり、水平面に対して前方上向きに傾斜した単一の平面内に実質的に位置している。頂縁部150が連続的であるのは、作製されたトレイ100が、より高いフープ強度を有し、かつ車両カーペットを乗員の足の側面のごみまたは泥から車両カーペットをよりうまく保護することを意味する。乗員の足は、前方領域106上の位置を占有する傾向があるが、この領域の周りの頂縁部150の位置は高く、足をトレイの床から最大限に離した状態で少なくとも4インチ(10.1cm)であり、いくつかの態様では5インチ(12.7cm)である。
【0053】
組成
本発明の一局面では、トレイまたはカバー100が全体にわたって一様な組成ではなく、むしろ互いに接着された少なくとも3つの層を有する積層品であることが好ましい。トレイ100の好ましい組成は、図6に示されている高拡大断面詳細図に示されている。この図示の態様では、トレイ100は、頂部層600、中央層またはコア層602、および底部層604から成っている。全ての3つの層600〜604は好ましくは、1つまたは複数の水不浸透性熱可塑性ポリマーから成っているが、層600および604は、少なくともコア層602とは異なる特性を有し、場合によっては互いに異なる特性を有する。3層カバーは、図面では立体フロア・トレイとして示されているが、より限られた有効範囲のより二次元的なフロア・マットであってもよい。頂部層600は、その触覚特性、代表的な履物に対する比較的大きな静摩擦係数および動摩擦係数、頂部層600が接触する可能性のある道路塩およびその他の物質による化学的腐食に対する抵抗により選択された材料で作られている。頂部層600は好ましくは、Advanced Elastomer Systemsから市販されている独占権下の組成であるVYRAM(登録商標)、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)などの熱可塑性エラストマを大部分含んでいる。VYRAM(登録商標)、特にグレード101〜75(ショアA硬度75を示す)が好ましい。頂部層600の上面606は、底部層604の下面と同様に、好ましい触覚と見た目を与えるように「ヘアセル」パターンなどによってテクスチャ加工することができる。
【0054】
頂部層600がポリマー混合物であり、この例では、頂部層600の組成の小部分として、同時押出しにおけるコア層602との適合性によって選択される好ましい。ポリプロピレン、より好ましくはポリエチレン、さらに好ましくは高分子量ポリエチレン(HMPE)などのポリオレフィンポリマーが好ましい。本明細書では、HPMEは、多数の供給源から市販されている商品を意味するものと定義され、当産業界では、その近似的な特性によって低密度ポリエチレン(LDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)から区別されている。
【0055】
上記の表で、特性を判定するための試験方法は、再現性のために与えられている。
【0056】
特に、熱可塑性エラストマおよびポリオレフィンとしてそれぞれVYRAM(登録商標)およびHMPEとして選択した場合、層600内の熱可塑性エラストマとポリオレフィン材料の重量比としては、好ましくは約3:1となるように選択される。中央層602の大部分もポリオレフィンである例で、同時押出しにおいて中央層602に適合するように層600にある種のポリオレフィン材料が存在する必要があることが判明している。
【0057】
他の態様では、頂部層600の熱可塑性エラストマ成分を天然ゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、またはエチレンプロピレンジエン単量体ゴム(EPDM)などのエラストマで置き換えることができる。
【0058】
他の態様では、層600はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)混合物であってよい。ABSは、ポリブタジエンの超顕微鏡的粒子をスチレンアクリロニトリル(SAN)コポリマーの相に分散させた材料である。層600の場合、材料にゴム状弾性を付与するポリブタジエンの重量比としては、比較的高い比率を選択すべきである。
【0059】
コア層または中央層602は好ましくは、触覚特性や摩擦特性よりも靭性、剛性、および廉価により選択された熱可塑性ポリマー材料で構成される。好ましくは、中央層602の大部分はポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンである。より好ましくは、層602の大部分は、上記に定義されたHMPEで構成される。
【0060】
中央層602が混合物であり、この例では、層602の小部分が、同時押出しにおける頂部層600(および後述の底部層604)との適合性により選択された材料で構成されることが好ましい。図示の態様では、この小部分は、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、またはVYRAM(登録商標)などの熱可塑性エラストマである。VYRAM(登録商標)グレード101〜75が特に好ましい。層602の場合、特にポリオレフィンおよび熱可塑性エラストマをHMPEおよびVYRAM(登録商標)として選択した場合、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比は約3:1であることが好ましい。より一般的には、層600および602(ならびに層604)における小部分の割合としては、同時押出しにおける良好な適合性が得られるように必要最低限な割合が選択される。
【0061】
層600として富ポリブタジエンABS層を選択した他の態様では、層602は含有するポリブタジエンの重量比がより低いか、またはポリブタジエンをまったく含まない(実際上、スチレンアクリロニトリルコポリマーまたはSAN)グレードのABSとして選択される。
【0062】
底部層604は、車両フット・ウェル頂面に隣接する下面300を有している。通常、この表面にはカーペットが設けられる。底部層604は、その摩耗特性と、その消音性、および層604が車両フット・ウェル表面内の「硬質点」をよりうまく把持すると共にフット・ウェル表面の不規則性に一致するのを可能にする可縮性により選択された熱可塑性ポリマー材料である。好ましくは、層604の大部分は、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、または好ましくはVYRAM(登録商標)などの熱可塑性エラストマで構成される。VYRAM(登録商標)グレード101〜75が特に好ましい。
【0063】
底部層604はポリマー混合物であることが好ましい。この例では、底部層604の小部分としては、同時押出しにおけるコア層602との適合性により選択される。コア層602を主としてポリオレフィン材料で作製する場合、底部層604の小部分としてポリオレフィンを使用することが好ましい。このポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンであってよく、好ましくはHMPEである。小部分の量としては、同時押出しにおける良好な適合性を確保する最低限の量が選択される。ポリオレフィンおよび熱可塑性エラストマがそれぞれHMPEおよびVYRAM(登録商標)となるよう選択される場合、層604内の熱可塑性エラストマ:ポリオレフィンの重量比を約3:1にすべきであることが分かっている。
【0064】
他の態様では、層604の熱可塑性エラストマ成分を天然ゴム、NBR、SBR、EPDMなどのゴムで置き換えることができる。
【0065】
中央層602がABSまたはSANとして選択された他の態様では、層604は、中央層602よりも高い重量比の含有ポリブタジエンを有するグレードのABSとして選択されることができる。
【0066】
底部外被層604は、好都合なことに、頂部外被層600と同じ組成を有することができるが、2つの外被層が互いに類似している必要はない。重要なことは、トレイ100を3層押出し品(好ましい)として形成する場合、層600、602、および604が、単一のシートして3層押出しするのに十分に適合することである。
【0067】
トレイ100の主要構成部材として使用されるコア層602でトレイ100の厚さの大部分を作製することが好ましい。コア層602は、少なくとも許容される最低限の引張り強度、せん断強度、および高い曲げ弾性率を有し、同時に、熱可塑性エラストマが主である外被層600、604よりも著しく廉価である。外被層600および604は、良好な摩耗表面を有し、かつ道路塩などの物質による化学的腐食に対する良好な耐性を持つように選択される。頂部層600としては、乗員の代表的な履物に対して比較的大きな摩擦係数を示すものが選択される。底部層604の組成としては消音性および可縮性により選択される。
【0068】
トレイ100の厚さの合計は寸法a、b、およびcの和である。図示の態様では、外被層の厚さaおよびcはそれぞれ、厚さの合計の約12.5%であり、一方、コア層の厚さbは約75%である。一態様では、トレイ100の厚さの合計(より正確には、トレイ100を成形するのに用いられるブランク・シートの厚さの合計)は約0.120インチ(0.305cm)である。このうち、コア層602は約0.09インチ(0.23cm)であり、一方、外被層600および604はそれぞれ約0.0150インチ(0.038cm)である。他の態様では、層600を層604よりもかなり厚くなるように作製することができる。これは、頂部層606が、乗員の靴に対する摩耗表面であり、代表的な用途における表面300よりも多くの磨耗性のゴミおよびより激しい摩耗を受けるからである。他の態様では、層604の厚さを厚くし、層604が、層604が合うように設計される対象の車両フット・ウェル表面にずっとうまく一致し、かつ消音性を高めるのを可能にすることができる。
【0069】
本発明の好ましい態様は、熱可塑性エラストマによって得られる大きな摩擦係数、高い触覚特性、消音性、および可縮性をポリオレフィンの適度なコストと組み合わせる。単層押出しによる従来技術の構造に勝る3層押出しトレイの技術的な利点を示すために、(1)本発明によって作られ使用される3層押出しシート材料、(2)75 wt. pct. VYRAM(登録商標)/ 25 wt. pct. HMPEの単層押出しによるシート、および(3)25 wt. pct. VYRAM(登録商標)/ 75 wt. pct. HMPEの単層押出しによるシートに対して、引張り強度、せん断強度、曲げ弾性率、および摩擦係数を測定する試験を行った。この特定の試験およびその結果について以下に説明する。
【0070】
最初に行った2回の試験は、静摩擦係数および動摩擦係数に関する試験である。
【実施例】
【0071】
実施例1
これらの試験では、乗員の代表的な靴の本底を模倣するようになっている物体に関して3層押出し材料のシートの静摩擦係数および動摩擦係数を求めた。この「靴」は、ショアAデュロメータ60ネオプレンゴムで構成され、2.5インチ(6.4cm) × 2.5インチ(6.4cm)× 0.238インチ(0.605cm)の「そり」として形成した。「靴」を、本発明の好ましい態様によって形成された、4インチ(10.2cm)× 12インチ(30.5cm)の0.120インチ(0.305cm)3層押出しシートのテクスチャ加工された表面で、横方向に引っ張った。この試験は、ASTM D 1894-01に記載された手順に従って行った。3層押出しシートは、75 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75/25 wt. pct. HMPEの混合物をその頂部層として有していた。コア層は75 wt. pct. HMPE/25 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75の混合物であった。底部層は25 wt. pct. HMPE/75 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75の混合物であった。底部層および頂部層はそれぞれ、シート厚さの約12.5%を構成し、一方、中央コア層は、シート厚さの約75%を構成した。結果を以下の表に示す。
【0072】
実施例2
上述のように作製した5つのネオプレンゴム製「そり」を、ASTM D 1894-01に従って単層押出し75 wt. pct. HMPE/25 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75の4インチ(10.1cm)× 12インチ(30.5cm)シート上を横方向に引っ張った。結果を以下の表に示す。
【0073】
上記の試験は、代表的な靴底構成に関して、VYRAM(登録商標)などの主に熱可塑性エラストマから成る材料は、主に高分子量ポリオレフィンから成る材料よりも大きな摩擦係数を示すことを示している。
【0074】
実施例3
これらの試験は、上述の3層押出しによる材料のシートの引張り強度を、75 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75および25 wt. pct. HMPEから成る材料の単層押出し混合物のシート、および75 wt. pct. HMPEおよび25 wt. pct. VYRAM(登録商標)グレード 101〜75の材料の単層押出し混合物のシートと比較した。試験した、主としてVYRAM(登録商標)の単層押出しシートは、厚さが約0.070インチ(0.178cm)であり、一方、主にHMPEのシートは厚さが約0.137インチ(0.348cm)であった。3層押出しシートは厚さが約0.120インチ(0.305cm)であった。3層押出しシート、主にVYRAM(登録商標)の単層押出しシート、および主としてHMPEの単層押出しシートは、平均幅が0.250"(0.635cm)のサンプルにダイカットした。試験はASTM D 638-03試験標準に従って行った。20インチ(50.8cm)/分のクロスヘッド速度を使用した。1.0"(2.54cm)ゲージ長に基づいて伸び計を1000%に設定した。サンプルを23℃および相対湿度50%で40時間に調整し、その後これらの条件で試験した。結果を以下の表に示す。
【0075】
上記のデータは、本発明による3層押出し材料が、主に熱可塑性エラストマの単層押出し材料よりも著しく高い引張り強度を示すことを示している。3層積層品が、主にHMPEの材料よりも高い降伏時強度および破壊時応力を示し、一方、同等の引張りヤング係数を示したことも重要である。
【0076】
実施例4
試験標準ASTM D732-02に従って上記の3つの材料をせん断強度について試験を行った。これらの試験では、2.0インチ(5.1cm)四方のの材料にせん断が起こるまで直径1.00インチ(2.54cm)のパンチを適用した。クロスヘッドは0.05インチ(0.13cm)/分で移動した。試験サンプルを23℃および相対湿度50%で少なくとも40時間前に前もって調整し、これらの条件で試験を行った。結果を以下の表に示す。
【0077】
上記の試験データは、試験した様々な厚さについて正規化した場合に、3層押出し材料のせん断強度が75%VYRAM/25%HMPE単層押出し混合物に類似し、75%HMPE/25%VYRAM(登録商標)単層押出し混合物よりも優れていることを示している。
【0078】
実施例5
上述の組成の3層押出し材料のサンプル、すなわち、75 wt. pct. Vyram/25 wt. pct. HMPE材料および75 wt. pct. HMPE/25 wt. pct. VYRAM材料(全ての試験において、使用した熱可塑性エラストマはVYRAM(登録商標)グレード 101〜75であった)の曲げ特性を判定する試験を行った。試験は、ASTM D790-03試験方法の方法I、手順Aに従って行った。3層押出しの場合、サンプルの寸法は平均で0.490"(1.24cm)× 0.119"(0.302cm)× 5.00"(12.70cm)であり、径間長は1.904インチ(4.836cm)であり、クロスヘッド速度は0.051インチ(0.13cm)/分であった。75%Vyram/25%HMPE材料の場合、サンプルの寸法は平均で0.484"(1.23cm)× 0.072"(0.18cm)× 5.00"(12.70cm)であり、径間長は1.152インチ(2.926cm)であり、クロスヘッド速度は0.031インチ(0.078cm)/分であった。75%HMPE/25%Vyram材料の場合、サンプルの寸法は平均で0.50"(1.27cm)× 0.138"(0.350cm)× 5.00"(12.70cm)であり、径間長は2.208インチ(5.608cm)であり、クロスヘッド速度は0.059インチ(0.150cm)/分であった。全ての試験において、径間-深さ比は16 -/+ 1:1であり、支持体の半径は0.197インチ(0.500cm)であり、荷重ノーズの半径は0.197インチ(0.500cm)であった。試験は23℃および相対湿度50%で行い、サンプルをこの温度および湿度で40時間調整し、その後試験を行った。結果を以下の表に示す。
【0079】
表中のアスタリスクは、コンピュータにより作成されたの曲線の当てはめによって、報告された値に到達したことを示している。これらのデータは、3層押出しの方がどちらの単層押出しシートよりも剛性が著しく高いことを示している。全体的に、3層押出しは、積層品を作るためのいかなる材料層と比べても、単位断面積当たりの引張り強度、せん断強度、および剛性に関する特性が優れていることを示し、3層押出しによるトレイまたはマットが、いずれかの単層押出し混合物のみで作られたトレイまたはマットよりも靭性および剛性が高いことを示す。
【0080】
プロセス
図7および8は、本発明による車両フロア・トレイまたはカバーを製造する第1のプロセスの概要を示している。車両フロア・トレイおよびカバーは、別々の車両モデル用にカスタム製造される。段階700で、フロア・トレイの製造対象である車両フット・ウェル上の各点をデジタル的に測定し取り込む。好ましくは、この段階では、フロア・トレイが嵌め込まれる車両フット・ウェルの表面上の多数の点のそれぞれを記録する座標測定機(CMM)を使用する。発明者には、接触方法を用いてこれらのデータを得るうえでFARO(登録商標)Armが有効であることが分かっている。測定前にテープ上に測定すべき位置をマークすることなどによって、各点を線状群として配置すると、各点が一部を構成する表面を後に再生するのに十分なデータ・ポイントを取り込むうえで有効であることが分かっている。
【0081】
このように取得されたデータをファイルに格納する。表面データの各点を、各点が存在する表面の複雑さの関数として互いに間隔を置いて配置する。大きな平面を確立するのにも少数のデータ・ポイントで済む。曲面を定める際にはより多くのデータ・ポイントが用いられ、データ・ポイントの密度は曲線の鋭さに応じて異なる。図8には、すぐ下で説明する技術を用いて再構成またはモデル化された表面802上に、800箇所の小さな"×"によってこれらの点のうちの代表的なものが示されている。代表的なデータ・ファイルは、約10平方フィート(1m2)のイメージ化されたフット・ウェル表面領域上に広がる約1000個の点を含む。
【0082】
CMMデータ・ファイルをCADプログラムにインポートし、設計者がこのプログラムを用いて、取り込まれた点から車両フット・ウェル表面を再構成する。まず、段階701で、これらの点のそれぞれの異なる「線」をB-スプライン804によって連結する。スプライン804は、CADプログラムが自動的に生成できるものであり、線の取り込まれたデータ・ポイント以外の、その線の全ての点を推定するのに用いられる。各スプライン804を、表面の、これらが対象とする部分の局所的な複雑さの関数として互いに分離する。シル・プレート806のような大きく平坦な領域の場合、スプライン間の平面がその領域内の表面の良好な推定値であるためにスプライン804同士が遠く離れることがある。シル・カーブ832やキック・プレート遷移領域833のような複雑な湾曲領域または半径の小さな湾曲領域の場合、スプライン804は共に密に詰め込まれる。これは、許容可能な複雑さでフット・ウェルのこのような曲面を再生するには表面セグメントを小さくする必要があるからである。
【0083】
スプライン804を組み立てた後、設計者は、各一対の互いに平行なスプライン804間の領域を上昇させて異なる領域セグメント808を作製する。「上昇」プロセスは、その表面が完全に再生されるまで、その部分の各主表面に沿って区分的に進行する。例えば、トランスミッショントンネル側壁表面810は、スプライン814と隣接するスプライン816との間の領域812を同じ表面に沿って上昇させることによって再生される。設計者は次いで、スプライン816からスプライン820までの次の領域818を上昇させる。次に、スプライン820からスプライン824までの領域822を追加し、トランスミッショントンネル表面810の残りの部分に沿って、車両フット・ウェル表面の構成要素全体が作製されるまで同様の作業を行う。同様に、他の主表面、すなわち、ファイア・ウォール/床の組み合わせ領域セグメント826、ペデスタル側壁828、キック・プレート・セグメント830、シル・プレート・カーブ832、およびシル・プレート806を追加する。
【0084】
段階703〜707、709、711において、結果として得られた再構成された車両フット・ウェル表面802を用いて、表面802に高精度に嵌合する車両フロア・トレイを構成する。段階703で、設計者は、設計すべきトレイの頂部高度および底部高度で表面802と交差する頂部スケッチ面および底部スケッチ面を選択する。頂部スケッチ面は、側壁810、828、830、832、および834上の高い軌跡で表面802に交差する。この軌跡は、図1では、直立側壁130、132、134、136、およびこれらの側壁間の遷移部の頂縁部150として示されている。好ましい態様では、頂部スケッチ面は、前方上向きに傾斜している。このため、シートの近くよりもファイア・ウォールの近くでより深くなるトレイが作製され、好ましくは、深さがトレイの最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)、いくつかの態様では5インチ(12.7cm)であるトレイが作製される。これによって、フット・ウェル・カーペットは、乗員の靴またはブーツの場合によっては泥だらけの側面からフット・ウェル・カーペットを保護する。車両フット・ウェル・シル・プレート806から0.025"(0.064cm)のような厳密な公差だけ間隔を置いて配置された底面トレイ・シル・プレート140と共面になるように底部スケッチ面を定める。この底部スケッチ面は、構造の残りの部分と交差しないが、その代わりに上向きに車両フット・ウェル表面上向きに突き出て、床/ファイア・ウォール・セグメント826の縁部外形を近似する軌跡を作製する。
【0085】
段階704において、各側壁を頂部スケッチ面および底部スケッチ面にまたがるように描画する。これらのプロトタイプの側壁を作製するには、まず、複数の直線をそれぞれ、上部スケッチ面軌跡上の点から下部スケッチ面軌跡上の点まで描画する。上部スケッチ面はより広範囲であり、下部スケッチ面とは異なる形状を有するため、上部スケッチ面の横縁部と下部スケッチ面の横縁部は一致せず、上部スケッチ面から描画された直線は、互いに様々な角度で傾斜する。一般に、これらの線は頂部スケッチ面から底部スケッチ面まで内側に傾斜する。これらの線間の領域は、完全なトレイ固体の多角形表面を作製するように上昇させることができる。
【0086】
結果として得られた固体は、平面状頂面と、ほぼ平面状の底面と、頂面および底面と一緒に急なコーナーを形成する側壁とを有する。車両フット・ウェル側壁表面と床との間の実際の遷移部はほぼいつでも、関心対象の領域および車両モデルに応じて多かれ少なかれ湾曲している。したがって、段階705で、曲線を再構成された車両フット・ウェル表面に合わせ、これらの曲線で前の急な傾斜形状を置き換える。これらの曲線のうちで最大のものは、底部スケッチ面の水平延長部ではなく、この傾斜、および通常は曲面に一致するようにファイア・ウォール834を横切る方向に生じる。また、曲線を用いて床102とトランスミッショントンネル表面132、キック・プレート136、およびシート・ペデスタル側壁130との間の遷移部を修正する。
【0087】
上記の技術は、直立側壁810、828、830、および834の形状をフット・ウェル表面からの零離隔にできるだけ近似させることを目的としている。いくつかの例では、トレイ100の外面は実際には、車両フット・ウェルのイメージ化された側壁(図10〜14の部分1000〜1006を参照されたい)をわずかに越えて延び、負の離隔を作製することができる。これは、ある程度許容される。なぜなら、トレイの整形の対象となる表面にはカーペットが設けられ、パイルをある点で意図的に押すことができるからである。
【0088】
ドア・シル806およびシル・カーブ832は通常、製造業者の厳密な公差に従わなければならない硬質表面である。車両ドアは、これらの表面に合うように設計される。このため、これらの表面を慎重に一致させることが重要であり、好ましくは、これは、このプロセスでは、事前に選択された離隔0.025インチ(0.064cm)が実現されるように行われる。
【0089】
段階704で、ある種の車両モデルについては、遷移表面のある半径を大きくし、意図的にフット・ウェル表面からずらす。これは例えば、垂直キック・プレート・セグメント836とファイア・ウォール表面セグメント838との間に生じるような、湾曲遷移部が深い垂直面から床までの部分である場合に行う。図14の遷移部1400を参照されたい。これは、雌工具を使用する好ましい真空成形プロセスによって、深いコーナーに成形される部分に薄い場所が作成されることがないようにするために行われる。側壁表面が内側に5度よりも大きい角度に傾斜している場合、このような丸み付けは不要である。
【0090】
段階704および705の前であっても、間であっても、後であってもよい段階707において、再構成されたフット・ウェル表面の不規則性を考慮に入れるようにトレイ固体をさらに修正する。例えば、車両カーペットは、車両に嵌め込むトレイに再生すべきでないうねりやしわを有しうる。この段階ではまた、表面取得段階および再構成段階700〜702のアーチファクトであるこれらの表面の不規則性が平滑化される。
【0091】
車両フロア・トレイの基本的な形状が形成された後、709で、リザーバ110および流路104(図1〜4参照)を作製するようにこの形状を修正する。この修正が必要であるのは、前述のように、一方の側のフロア・トレイの外面または下面の大部分と他方の側の車両フット・ウェル表面の上面または内面とが厳密に一致または整合するが、この態様では、リザーバおよび流路が必要とする特性を作製するためにこの厳密な一致から逸脱しなければならないからである。好ましい態様では、リザーバおよび流路表面の外面を含む所定のファイルがトレイ固体の床に組み込まれる。この設計をトレイ固体の床にインポートすることによって、リザーバ周辺領域において、イメージ化された車両表面の床から1/4インチ(0.64cm)程度のずれが起こる。このずれはインポートされたパターンからの距離の関数として減少する。これにもかかわらず、作製された車両フロア・トレイは車両フット・ウェルにぴったりと嵌る。というのは、(1)フロア・カーペットの周辺領域(例えば、図10の領域1004を参照されたい)内よりもリザーバの下の部分が強く押され、(2)直立側壁が引き続き、車両フット・ウェルの対応する表面に厳密に一致するからである。
【0092】
段階711で、後述のようにSLAモデルまたはプロトタイプを作製するために、段階703〜707、709で作り出されたトレイ固体の「外被を形成する(shell)」。これは、外面から一様な厚さ(好ましくは約0.120インチ〜0.125インチ)である薄い層を残すように固体を刻むことを意味する。
【0093】
この結果、車両フット・ウェルのそれぞれの表面の大部分からのずれをわずか1/8インチ(0.317cm)とする十分な精度でフロア・トレイの上面と下面の両方を完全に表すトレイ・データ・ファイル708が得られる。このデータ・ファイルは、通常、多数の小さな三角形を有する表面を近似する.stlフォーマットに変換され、ステレオリソグラフィック装置(SLA)に命令を与えるのに710で用いられる。SLAは、レーザを用いて液体感光性ポリマーを選択的に硬化することによって設計の固体プラスチック像、モデル、またはプロトタイプを作製する。SLAプロトタイプを用いて実際の車両フット・ウェルに合うかどうかを判定し、任意の必要な調整を施す。
【0094】
SLAプロトタイプを合わせることによって得られた経験による修正のように、外被を形成していない車両トレイ・データ・ファイル(フロア・トレイの下面または外面のみを定義する)を用いて、712で、車両フロア・トレイまたはカバーを作製するための商業的な真空雌型を作製する。716で、3層押出しシートまたはブランク714を型に入れ加熱して車両フロア・トレイを作製する。
【0095】
この方法を用いて、多数の異なる車両モデル用の立体車両フロア・トレイを迅速にかつ正確に製造することができる。この方法は、運転者と乗員の両方の車両フット・ウェルと介在するトランスミッショントンネルとを覆う単一のトレイが設けられる二重トレイを作製するように修正することもできる。この技術を用いて第2列トレイのような他の車両フロア・カバー、ならびにミニバンおよびSUVの荷物領域に使用されるライナとを作製することができる。
【0096】
図15〜24は、図1〜14に示されているモデル車両とは異なるモデル車両用の、いくらか異なる方法で作られた代表的な車両フロア・トレイ1500を示している。前述のように、トレイ1500は好ましくは、この図示の態様では0.125インチ(0.317cm)または0.120インチ(0.305cm)である実質的に一様な厚さを有する、熱可塑性の、好ましくは3層押出し材料の平坦なブランクから成形された一体的な部材である。トレイ1500は、下面1502および上面1504を有している。トレイ1500は一般に、車両の走行方向に平行な軸1506に沿った前後方向に向けられる。図示のトレイ1500は、床部1508と直立周辺側壁1510、1512、1514、および1516とを有している。
【0097】
トレイ1500の上面1504は、実質的に互いに平行であり、細長く、長手方向に向けられた複数の流路1524から流体が流れ込むリザーバ1522を有している。リザーバ1522の横方向範囲は、周方向の境界壁1526によって定められる。壁1526は、上部トレイ一般表面1504の隣接する部分とリザーバ1522内のフロア・トレイの上面1528(リザーバ「底部」を形成する上面1528)との間に所定の深さを有している。この深さまたは段は好ましくは、0.25インチ(0.64cm)であるが、0.050インチ(0.13cm)程度であってよい。リザーバは、トレイの、後端部からファイア・ウォールではなくシートに向かって3分の2以内に位置し、好ましくは後部の2分の1以内に位置している。リザーバは、トレイ上面1504の10%から50%の間、より典型的には約25%〜45%を占有する。リザーバ1524の形状および範囲は、異なる車両モデル間で実質的に異なる。リザーバ境界は、横方向に後部内壁1510(シート・ペデスタルの最も近く)および任意の構造から側面まで変位されることが好ましい。特に好ましい態様では、リザーバの境界は、トレイの縁部から所定の差し引きよりも離れている。
【0098】
流路1524の各底部1530は、一般のトレイ上面1504から、リザーバ壁1526の深さよりも浅いものとして事前に選択された、好ましくは一様な深さだけ押される。好ましくは、この深さは、0.125インチ(0.317cm)となるよう選択される。前述のように、リザーバ1522は、複数の直立組合せトレッドおよびバッフル1532を有しており、これらの大部分または全ては、長手方向部分1534と、長手方向部分1534に接合された横方向部分1536との両方を有し、長手方向部分1534および横方向部分1536は、リザーバに流入した流体がはねるのを抑制するように位置している。
【0099】
トレイ1500の下面1502は、トレイ1500のカスタム設計の対象である車両フット・ウェルの表面の取り込まれたデジタル・モデルに実質的に一致する。トレイ1500の下面上のほぼ全ての点は、モデル上の最も近い点から0.5インチ(1.3cm)以下であり、大部分の例では、0.25インチ(0.64cm)または0.125インチ(0.317cm)など、これよりもずっと近い。図15および16には、車両フット・ウェル表面のデジタル的に取り込まれ格納されたモデルがトレイの下面1502に重ね合わせられて下面502と最もうまく合わせられた後、下面がこのモデルから所定の公差1/8インチ(0.317cm)以内に入らない陰影の付いた部分1538、1540が示されている。陰影の付いていない部分(トレイ下面の大部分)はこの公差の範囲内である。トレイ下面1502の少なくとも90%が車両フロアの像から0.25インチ(0.64cm)以内に位置し、トレイ下面の少なくとも50%が車両フロアの像から0.125インチ(0.317cm)以内に位置することが好ましい。車両フット・ウェル表面モデル自体は図15および16には示されていない。公差逸脱部には通常、床1508ならびに壁1516および1512などの壁の深いコーナー部の領域1538と、リザーバ1522およびいくつかの流路1524に隣接する領域1540が含まれる。領域1538は、深い垂直な壁の成形の難しさに対処するために厳密な公差から意図的に逸脱している。領域1540は、流路1524、リブ1532、およびリザーバ1522を、実質的に一様なシート厚さのブランクから作られる部分に含めることによって得られる。
【0100】
図17および18は、同じトレイ1500を示しているが、1/4インチ(0.64cm)のような事前に選択された比較的甘い公差に一致しない陰影の付いた領域1700、1702を有しており、トレイ1500の下面1502の陰影の付いていない領域は車両フット・ウェル表面モデル(これらの図には直接示されていない)に対するこの公差内に入っている。公差逸脱領域は、図15および16に示されている陰影の付いた領域1538〜1540よりもサイズがずっと小さくなっていることに留意されたい。
【0101】
図19〜22は、様々な長手方向平面および横方向平面上でのトレイ1500の断面図である。それぞれの場合に、トレイ1500は、単一の連続した曲線としてこれらの断面図に示されている車両フット・ウェル表面モデル1900に重ね合わせられた状態で示されている。この重ね合わせは、実際の車両内に存在する際の車両フット・ウェル表面のCMM取込みによって得られたこの表面の数学的構成またはモデル1900が、トレイ下面1502に最もうまく合うように行われる。後で図23および24に関して詳しく説明するように、この最もうまく合った重ね合わせによって、車両フロア・トレイ下面1502のいくつかの部分はモデル表面1900よりも上方に位置し、一方、他の部分は、モデル表面1900よりも下方に位置するか、またはモデル表面1900に対して干渉位置または負の離隔位置に位置する。
【0102】
特に図19は、長手方向流路1524を切り離すようにリザーバ1522の前方で得たトレイ1500の横断面図である。好ましい態様では、トレイ1500が実質的に一様な厚さの熱可塑性材料のブランクで形成され、かつトレイを形成する際にこのブランクが加熱され雌型に引き込まれるため、上面1504の形状は常に、下面1502の形状を反映する。したがって、流路1524の深さと同じ距離だけ一般の下面1502からずれた下面部1902が各流路底部1530よりも下方に位置している。図示の態様では、この距離は1/8インチ(0.317cm)であり、他の態様では、この距離は0.120インチ(0.305cm)である。
【0103】
車両フット・ウェル表面モデル1900がトレイ下面1502に最もうまく合うとき、下面部1902が、数学的なモデル表面1900の非常に近くに位置するかまたは数学的なモデル表面1900よりも下方に変位される傾向があり、一方、トレイ下面1502の他の部分はモデル表面1900かまたはモデル表面1900よりも上方に配置される。この特定の断面図では、トレイ下面1502は床モデル1900かまたは床モデル1900よりも上方に位置している。前述のように、表面1900は、カーペット・パイルの層、すなわち、マット、トレイ、または他の実質的な荷重が層上に配置された場合にいくつかの特定の場所で圧縮される傾向があるが他の場所ではこの傾向はない可縮可能な層のCMM測定から取り込まれる。カーペット・パイルが(最適な態様として厳密な一致が必要とされる硬質表面ではなく)可縮可能であることの実現化は、実質的に一様な厚さの熱可塑性材料のブランクから作製され、実際の車両のフット・ウェルにうまく合い、同時に、流路1524、リザーバ1522、およびトレッド1532などの望ましい深い上面特性を含む、フロア・トレイの設計を可能にする。図23および24に示されているように、本発明によるプロセスは、カーペット付きの車両表面モデル1900に対して負の離隔または干渉の領域を意図的に作製する。このプロセスは、車両カーペットの選択的な局部圧縮可能性を活用し、よりうまく合うトレイを作製する。このトレイは、それにもかかわらず流体リザーバや流水路のような望ましい特性を組み込んでいる。
【0104】
図20に示されている断面図は、リザーバ1522を横方向または側面から側面方向から見た断面図である。図20Aは、トレイの下面および上面1502、1504と車両フロア・モデル水平軸1900との関係をより具体的に示す図20の拡大詳細図である。トレイ1500の一般の上面1504の下方のリザーバ「底部」1528の押下げは、一般のトレイ下面1502に対するトレイ下面の相対的に押される部分2000の結果である。図示の態様では、この押下げ量は約0.25インチ(0.64cm)である。車両フット・ウェル表面モデル1900を最もうまく合うようにトレイ1500に重ね合わせると、押される部分2000は通常、モデル1900の水平軸よりも下方に位置するか、または水平軸に干渉する。下面部2002は、長手方向リブ部1534の直接下に位置し、数学的表面1900のより近くに配置され、ある例では、これよりも上方に位置する(この図には示されていない。図23および24の領域2300を参照されたい)。トレイ1500を実際のカーペット付き車両フロアに嵌め込むと、カーペット・パイル(およびその下の任意の詰物)は、部分2000の下で選択的に圧縮されるが、部分2202の下ではそれほど圧縮されない。再構成された表面1900からの表面1502の図示のずれの大部分は無くなる。
【0105】
図21は、流路1524および長手方向リブ部1534に沿った縦断面図である(図示の態様では、これらの構造が意図的に揃えられ、したがって、流路1524内の任意の流水の力はトレッドまたはバッフル1534によって遮られる)。この断面図ならびにその詳細図の図21Aおよび21Bは、トレイ1500の一般の下面1502が、数学的に再構成された車両フット・ウェル表面モデル1900に厳密に一致することを示している。特に、図21Aは、前部リザーバ壁1526を含む詳細図である。モデル表面1900がこの断面内ではリザーバ底部1528よりも上方に位置することが分かる。モデル表面は、他の場合は、すなわち、流路1524およびリブまたはトレッド1534の下では、トレイ下面1502に非常に近くなっている。
【0106】
図21Bは、流路1524の前端部と、床からファイア・ウォールまでのトレイ1500の遷移部とを含む領域の詳細図である。この図を見ると分かるように、車両フロア表面モデル1900は、前部パネル1514を上昇していくにつれて下面1502と、場合によっては上面1504を通過する。この意図的な負の離隔によって、この点で車両フロアのカーペットが圧縮され、望ましくは、アクセル・ペダルおよびブレーキ・ペダルの領域で非常にぴったりとした嵌め合わせが実現される。
【0107】
図22は、流路1524同士の間およびトレッド1532同士の間の、トレイ1500および重ね合わせられたフット・ウェル表面モデル1900の縦断面図である。細部を見ると最もよく分かるように、この断面では、表面1900がトレイ1500に最もうまく合った場合にリザーバ底部1528が数学的表面1900よりも下方に配置され、一方、リザーバ1522の前方の領域内の、一般のトレイ下面1502は、このモデル表面よりも上方に位置する。
【0108】
図23および24は、トレイ1500と車両フット・ウェルモデル表面1900が最もうまく合うように車両フット・ウェルモデル表面1900に重ね合わせられたトレイ1500の異なる角度からの等角図である。表面モデル1900の外縁部が示されている。トレイ1500の横方向境界内において、陰影は、モデル表面1900がトレイ下面1502に対して「負の離隔」状態である部分を示している。これらの領域には、リザーバ1522の大部分が含まれるが、特に厳密に合わせることが望ましい前方パネル1514の大部分も含まれる。
【0109】
本発明による第2のプロセスでは、図25を参照すると分かるように、段階2500で、図7に関連して説明した段階と同様に車両フット・ウェル表面モデル1900を取得する。このモデルを構成するためのデータを取得するのに用いられる方法は好ましくは、通常は車両カーペット・パイルである測定中の表面を圧縮しない方法である。これは、レーザCMM装置を使用することによって行うことができる。
【0110】
段階2502で、車両フット・ウェル表面モデル1900を用いて、B-スプラインおよび上昇工程を使用することなどによって開始トレイ下面を作成する。段階2504で、頂部スケッチ面を選択する。このスケッチ面はトレイの頂縁部を構築する。前述のように、結果として得られるトレイが、シート・ペデスタルに隣接する部分よりもファイア・ウォールの近くの方が深くなるようにこのスケッチ面を前方上向きに傾斜させることが好ましい。頂部スケッチ面をこのように傾斜させると、車両フット・ウェル側面の保護が改善され、同時に、トレイが、シートをそのペデスタル上で前後に滑らせることにより、シート調整の妨害が確実に無くなるようにする。
【0111】
このトレイ下面は、表面モデル1900の厳密な模写として開始され、次いで、いくつかの方法で修正される。まず、段階2506で、所定の深さ(キック・プレートなど)よりも深い任意の垂直壁を、それがもはや垂直ではなくなり、かつ許容されないほど薄くすることなく好ましい雌型真空成形プロセスによって複製することができるように、頂縁部から床まで内側に抜き勾配だけ傾斜させる。段階2508で、初期下面2502内の任意の鋭いコーナーに丸み付けし、(カーペットのしわによって生じるような)表面の不規則性を平滑化する。
【0112】
段階2510で、トレイ上のリザーバのサイズ、形状、および位置を、リザーバ内のリブまたはトレッドのサイズ、形状、および位置と一緒に決定する。一態様では、リザーバと、リザーバ内のトレッドおよびバッフルとは、異なる車両モデル間で実質的に一様な外観を有する。後に目的の車両フット・ウェルに合うように変更することのできる基本的なリザーバ形状を含む事前に格納された電子ファイルを使用することができる。例えば、リザーバとしては、凸状の弧状前部壁(例えば、図15の壁1526を参照されたい)を常に有するものを選択することができ、かつトレッドの間隔および形状を一様に維持することができる。しかし、好ましくは、リザーバは、フロア・トレイの縁部から所定量だけ横方向にずれた後部およびその他の縁部を有し、この場合、目的の車両モデルに合うように、事前に格納されたリザーバ・テンプレートを修正する必要がある。
【0113】
リザーバの横方向境界が固定された後、2512で、一般のトレイ下面を直交方向下向きに一様な段の分(0.25インチ(0.64cm)など、しかし、いずれの場合も少なくとも0.05インチ(0.13cm))だけ突き出させ、成形プロセスが完了した後でリザーバ「底部」1528を定める下面2000を作製する。例えば図20Aを見ると分かるように、下向きに突き出した低面部2000は、任意の断面方向において、シートにより形成される上面1504の部分よりもシート2枚分の厚さだけ広くなっている。したがって、下向きに突き出した部分2000は、結果として得られるリザーバ・フロア1528内の対応する「谷」の厚さよりもシート2枚分の厚さだけ広くなるような寸法を有している。同時に、リブ1534の下の部分2002は、リブ1534自体の横方向厚さよりもシート2枚分の厚さだけ細くなっている。
【0114】
図25の段階2514で、流路1524を同様に特徴付けしかつ配置する。好ましい態様では、流路1524の間隔および深さは異なる車両形式間で一様になるように維持され、したがって、これらの詳細は電子テンプレートとして事前に格納することができる。一態様では、基本リザーバ形状を格納する電子テンプレートは、異なる車両モデル間で同様にリザーバに適合する流路1524の基本的なアレイを格納することもできる。
【0115】
流路1524の間隔、幅、および平行度はほぼ同じに維持されるが、これらが覆う上面1504の前方領域は異なる車両間で大きく異なる。このため、流路1524の長さおよび流路1524の前端部の位置は、注文に応じて選択される。図1〜14に示されている態様と同様に、段階2516で、左手側の(運転者の)トレイについて、「踵が引っかかる」可能性を除くためにアクセル・ペダルの近くの円形の空間を流路1524から引き離す。
【0116】
段階2518で、適切に指定された流路1524を一般のトレイ底面1502から指定された好ましい一定量だけ「下向きに突き出させ」、下向きに突き出た部分1902を作製する。好ましくは、この量は、リザーバ深さが0.25インチ(0.64cm)である場合の0.125インチ(0.317cm)のような、リザーバ底部1528を作製するのに用いられる下向き突出量よりも少ない量として指定される。図20Aを見ると最もよく分かるように、これらの下向きに突き出た部分1902を意図的に、その部分が形成する流路1524の幅よりも横方向に広くする。下向きに突き出た部分1902と対応する流路1524との幅の差は、この部分を形成するのに用いられるシート・ブランク約2枚分の厚さである。この下向き突出段階によって、この部分の下面用のドラフト・ファイルまたはトライアル・ファイル2520が完成する。
【0117】
段階2522で、ドラフト・ファイルまたはトライアル・ファイルからSLAファイルを作成する。ドラフト・ファイルまたはトライアル・ファイル2520は下面を有するだけでよい。なぜなら、上面の特性は、シート・ブランクを熱可塑性に基づいて片側の雌型に一致させることによって自動的に作成されるからである。一方、SLAファイルは、別個に指定しなければならない上面を有する。これは例えば、下部表面をSLAシート厚さに等しい量だけ上向き内側に突き出させることなどにより、一部表面の「外被を形成して」上面部を作製することによって行うことができる。
【0118】
段階2524で、SLAファイルを用いてプロトタイプを作り、試験的に車両フット・ウェルに嵌め込み、任意の必要な修正を施す。段階2526で最終的なファイルが得られる。段階2528で、最終的なファイルを用いて雌型の内面を作製する。段階2530で、好ましくは本明細書において前に述べたプロセスに従った3層押出しによる、一様な厚さの熱可塑性材料のシートまたはブランクを真空型2528に送る。立体トレイ1500が得られる。段階2530でのシートまたはブランクは、成形前にその頂面に刻印されたヘアセル・パターンまたはその他のテクスチャ化されたパターンを有してよい。このパターンは、シートを熱可塑性に基づいて型の山および谷に一致させるにもかかわらず存続する。
【0119】
簡単に言えば、車両フロア・トレイの作製対象である車両フット・ウェルに厳密な公差内で嵌る新規な車両フフロア・トレイについて図示し説明した。本発明によるフロア・トレイは、流水をフット・ウェル内ではねないように保持するリザーバおよび流路システムを含んでいる。3層押出しによるシート・ブランクを用いることによって、トレイは、熱可塑性エラストマの望ましい摩擦係数および可縮可能性と、ポリオレフィンのより低いコストと、単独での各材料を上回る靭性とを併せ持つ。車両のフット・ウェルの初期に取り込まれた像を用いてフロア・トレイの下面を電子的に形作ることによって、より良好な嵌合をもたらす。負の隔離を用いて車両カーペットの選択的な圧縮可能性を活用することによって、リザーバ、流路、およびぴったりと把持するための表面を成形される部分に作製することができる。
【0120】
本発明の例示的な態様について説明し、添付の図面に示したが、本発明はそれらに限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲および精神によってのみ制限される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、車両フロア・カバー:
頂面および底面を有する熱可塑性ポリマー中央層;
中央層の頂面に接着され、中央層とは異なる組成を有し、頂部層の頂面が、ショアAデュロメータ読取り値が60のネオプレンゴムに対して少なくとも約0.82の動摩擦係数を示す熱可塑性ポリマー頂部層;ならびに
中央層の底面に接着され、中央層とは異なる組成を有する熱可塑性ポリマー底部層。
【請求項2】
中央層の大部分がポリオレフィンで構成される、請求項1記載のカバー。
【請求項3】
中央層の大部分が、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選択される、請求項2記載のカバー。
【請求項4】
大部分が高分子量ポリエチレン(HMPE)である、請求項3記載のカバー。
【請求項5】
中央層が、小部分が熱可塑性エラストマから成るポリマー混合物で構成される、請求項2記載のカバー。
【請求項6】
中央層がポリマー混合物で構成され、混合物の小部分が同時押出しにおける頂部層および底部層とのその適合性によって事前に選択される、請求項2記載のカバー。
【請求項7】
中央層において、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比が約3:1である、請求項5記載のカバー。
【請求項8】
熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、請求項5記載のカバー。
【請求項9】
頂部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される、請求項1記載のカバー。
【請求項10】
熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、請求項9記載のカバー。
【請求項11】
頂部層が、ポリオレフィンの小部分を含むポリマー混合物で構成される、請求項9記載のカバー。
【請求項12】
ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、請求項11記載のカバー。
【請求項13】
ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、請求項12記載のカバー。
【請求項14】
頂部層が、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択されたポリマーの小部分を含むポリマー混合物で構成される、請求項9記載のカバー。
【請求項15】
底部層の大部分は熱可塑性エラストマで形成される、請求項1記載のカバー。
【請求項16】
熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、請求項15記載のカバー。
【請求項17】
底部層がポリマー混合物であり、ポリマーの小部分がポリオレフィンから成る、請求項15記載のカバー。
【請求項18】
ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、請求項17記載のカバー。
【請求項19】
ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、請求項18記載のカバー。
【請求項20】
底部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、請求項17記載のカバー。
【請求項21】
ポリマー混合物の小部分としては、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択される、請求項17記載のカバー。
【請求項22】
車両フロア・マットまたは車両フロア・トレイである、請求項1記載のカバー。
【請求項23】
カバーの断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの1つまたは複数が、頂部層、中央層、および底部層のうちのどれか単独よりも高い、請求項1記載のカバー。
【請求項24】
中央層が、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー混合物(ABS)およびスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)からなる群より選択され、頂部層および底部層が、ポリブタジエンの重量が中央層内のポリブタジエンの重量よりも大きいABSを含む、請求項1記載のカバー。
【請求項25】
以下を含む、車両フロア・カバー:
頂面および底面を有する熱可塑性ポリマー中央層;
中央層とは異なる組成を有し、中央層の頂面に接着され、頂部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される熱可塑性ポリマー頂部層;ならびに
中央層とは異なる組成を有し、中央層の底面に接着され、底部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される熱可塑性ポリマー底部層。
【請求項26】
中央層の大部分がポリオレフィンで構成される、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項27】
ポリオレフィンが、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選択される、請求項26記載のフロア・カバー。
【請求項28】
中央層の大部分が高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、請求項27記載のフロア・カバー。
【請求項29】
中央層がポリマー混合物であり、混合物の小部分が熱可塑性エラストマから成る、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項30】
熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、請求項29記載のフロア・カバー。
【請求項31】
中央層において、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比が約3:1である、請求項29記載のフロア・カバー。
【請求項32】
中央層がポリマー混合物であり、中央層の小部分としては、その同時押出しにおいて頂部層および底部層に適合するものが事前に選択される、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項33】
頂部層の大部分が、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される熱可塑性エラストマである、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項34】
頂部層がポリマー混合物であり、混合物の小部分がポリオレフィンから成る、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項35】
ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、請求項34記載のフロア・カバー。
【請求項36】
ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)である、請求項35記載のフロア・カバー。
【請求項37】
頂部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、請求項34記載のフロア・カバー。
【請求項38】
底部層の大部分が、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される熱可塑性エラストマである、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項39】
底部層がポリマー混合物であり、底部層の小部分がポリオレフィンから成る、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項40】
ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、請求項39記載のフロア・カバー。
【請求項41】
ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)である、請求項40記載のフロア・カバー。
【請求項42】
底部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、請求項39記載のフロア・カバー。
【請求項43】
底部層がポリマー混合物であり、底部層の小部分としては、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択される、請求項38記載のフロア・カバー。
【請求項44】
車両フロア・マットまたは車両フロア・トレイである、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項45】
フロア・カバーの断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの1つまたは複数が、フロア・カバーを構成するどの層のものよりも高い、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項46】
中央層がアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)およびスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)からなる群より選択される材料で構成され、頂部層および底部層がポリブタジエンの重量比が中央層内のポリブタジエンの重量比よりも大きい1つの等級のABSで構成される、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項47】
車両と車両のフット・ウェル用の取外し可能なトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、床から上向きに延びる直立し概ね長手方向の第1の壁、床から延びかつ実質的に第1の壁に対して傾斜して形成された直立し概ね横方向の第2の壁を含む表面を有する車両フット・ウェル;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの該第1の壁に実質的に一致し、直立し概ね横方向に向けられたトレイの第2の壁がトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの該第2の壁に実質的に一致するトレイとを含む、車両フット・ウェルに嵌め込むためのトレイ;
それぞれが頂縁部と車両フット・ウェルのそれぞれの壁に面する外面とを有し、トレイの該各直立壁に関して、トレイ壁の頂縁部に隣接するトレイ壁の外面の面積の少なくとも3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルのそれぞれの壁の表面から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、トレイの第1および第2の直立壁。
【請求項48】
車両フット・ウェルが車両フット・ウェルの床から延びかつ表面を有する第3の概ね横方向に向けられた壁を有し、トレイがトレイの床から延びる第3の概ね横方向に向けられた壁をさらに含み、トレイの第3の壁が頂縁部と車両フット・ウェルの第3の壁に面する外面とを有し、トレイの壁の頂縁部に隣接する外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの第3の壁の表面から8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、請求項47記載のシステム。
【請求項49】
頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、請求項47記載のシステム。
【請求項50】
トレイの第1の壁の外面が車両のトランスミッショントンネルに面する、請求項47記載のシステム。
【請求項51】
トレイの第1の壁の外面が、車両フット・ウェルのキック・プレートに面する、請求項47記載のシステム。
【請求項52】
トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、請求項47記載のシステム。
【請求項53】
トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのシート・ペデスタルまたは車両シートの表面に面する、請求項47記載のシステム。
【請求項54】
車両フット・ウェル表面のうちの少なくとも1つは曲面であり、トレイのそれぞれの直立壁の外面は曲面に一致する、請求項47記載のシステム。
【請求項55】
各曲面が凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、請求項54記載のシステム。
【請求項56】
車両フット・ウェルが、実質的に水平方向に配置されたドア・シル・プレート表面を含み、車両トレイが合わせシル・プレート壁を含み、車両トレイ・シル・プレート壁の下面がドア・シル・プレート表面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、請求項47記載のシステム。
【請求項57】
車両フット・ウェルが前方に実質的な水平位置から実質的な直立位置まで湾曲するドア・シル曲面を含み、車両トレイが合わせシル湾曲壁を含み、トレイのシル湾曲壁の外面がドア・シル曲面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、請求項47記載のシステム。
【請求項58】
車両と車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、床から延びる少なくとも1つの直立し概ね長手方向の第1の壁、および床によって第1の壁から間隔を置いて配置された、床から延びる少なくとも1つの直立し概ね長手方向の第2の壁を含む、車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェル表面の該第1の壁に面する第1の外面を有し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第2の壁がトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、トレイの第1および第2の各壁が頂縁部を有し、頂縁部に隣接する第1および第2のトレイ壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルのそれぞれの壁から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
【請求項59】
頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その壁の最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、請求項58記載のシステム。
【請求項60】
トレイの第1の壁の外面は、車両のトランスミッショントンネルに面する、請求項58記載のシステム。
【請求項61】
トレイの第1の壁の外面が、車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、請求項58記載のシステム。
【請求項62】
車両フット・ウェル壁のうちの少なくとも1つが曲面を有し、トレイのそれぞれの直立壁の外面が、一致する曲面である、請求項58記載のシステム。
【請求項63】
車両フット・ウェルの少なくとも1つの曲面が、凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、請求項62記載のシステム。
【請求項64】
車両フット・ウェルが実質的に水平方向に配置されたドア・シル・プレート表面を含み、車両トレイが合わせシル・プレート壁を含み、車両トレイ・シル・プレート壁の下面がドア・シル・プレート表面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、請求項58記載のシステム。
【請求項65】
車両フット・ウェルが前方に実質的な水平位置から実質的な直立位置まで湾曲するドア・シル曲面を含み、車両トレイが合わせシル湾曲壁を含み、トレイのシル湾曲壁の外面がドア・シル曲面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、請求項58記載のシステム。
【請求項66】
車両フット・ウェル表面が車両フット・ウェルの第1および第2の壁に対して実質的に傾斜するように形成された直立する第3の壁と車両フット・ウェルの第1および第2の壁に対して実質的に傾斜するように形成された直立する第4の壁とを有し、トレイの直立する第3の壁がトレイの床から延び、トレイの直立する第4の壁がトレイの床から延び、トレイの第3および第4の壁が上縁部および外面を有し、上縁部に隣接するトレイの第3の壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの上面の第3の壁から8分の1インチ以下しかずれず、上縁部に隣接するトレイの第4の壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの第4の壁から8分の1インチ(0.317cm)以下しかずれない、請求項58記載のシステム。
【請求項67】
以下を含む、車両フロア・トレイ:
車両フット・ウェルの床に実質的に一致し、長手方向に配置された少なくとも1つの横方向側面および横方向に配置された少なくとも1つの横方向側面を有する床;
床と一体的に形成されかつ床の第1の横方向側面から上向きに延びる第1の壁;
床および第1の壁と一体的に形成されかつ床の第2の横方向側面から上向きに延びる第2の壁;
リザーバ部分の一般的表面がトレイの床の上面の一般的部分よりも低くかつこの部分に囲まれる、一般的部分およびリザーバ部分を含む上面を有するトレイの床;
トレイ上面の一般的部分に成形され、流路の底部がトレイの上面の一般的部分よりも低いがリザーバ部分の一般的表面よりも高い複数の流路;ならびに
流路が流路の水滴をリザーバ部に導くように働き、バッフルが車両の動きのために起こる水滴の横方向への移動を抑制する働きをする、リザーバ部分に配置された長手方向に向けられた複数のバッフルおよび長手方向に配置されたバッフルの1つに接合されたリザーバ部分に配置された横方向に向けられた複数のバッフル。
【請求項68】
車両フロア・トレイが、運転者のフット・ウェルに取外し可能に設置されるように設計され、フロア・トレイの設計対象である車両が運転者の足によって操作できるアクセル・ペダルおよびブレーキ・ペダルを有し、運転者の右足の踵を収容するようなサイズを有する空間がトレイ上面の一般的部分に形成され、空間が流路のどれも有さない、請求項67記載の車両フロア・トレイ。
【請求項69】
空間が円弧で区切られる、請求項68記載の車両フロア・トレイ。
【請求項70】
円の半径が約4インチ(10.1cm)である、請求項69記載の車両フロア・トレイ。
【請求項71】
車両フット・ウェルに取外し可能に設置することのできる取外し可能な車両フロア・トレイであって、以下を含むフロア・トレイ:
水平平面を実質的に占有する床;ならびに
床から頂縁部まで延びる長手方向に向けられた直立する第1の側壁、および床から頂縁部まで延びる実質的に横方向に向けられた直立する第2の側壁を含む複数の側壁であって、互いに傾斜して接合され、第1の側壁の頂縁部が第2の側壁の頂縁部に連続し、各頂縁部が該水平面に対して前方上向きに傾斜する平面内に実質的に配置される、側壁。
【請求項72】
トレイの側壁が床から頂縁部まで延びる第3の直立側壁と床から頂縁部まで延びる第4の直立側壁とを含み、第3および第4の側壁の頂縁部が第1および第2の側壁の頂縁部と連続しかつそれらと実質的に共面である、請求項71記載のフロア・トレイ。
【請求項73】
第3の直立側壁が車両フット・ウェルのキック・プレートに一致し、第4の直立側壁が車両フット・ウェルのシート・ペデスタルに一致し、第3の直立側壁および第4の直立側壁がトレイの実質的に水平のドア・シル・プレートによって間隔を置いて配置される、請求項71記載のフロア・トレイ。
【請求項74】
車両内の消費者によって設置可能でかつ取外し可能である水不浸透性の車両フロア・カバーであって、以下を含むフロア・カバー:
ポリマー材料で形成され、頂面および底面を有する中央層;
ポリマー材料で形成され、中央層の頂面に接着された頂部層;ならびに
ポリマー材料で形成され、中央層の底面に接着され、頂部層および底部層が中央層の組成とは異なる組成を有する底部層。
【請求項75】
頂部層の少なくとも一部はエラストマ材料から成り、底部層の少なくとも一部はエラストマ材料から成る、請求項74記載の車両フロア・カバー。
【請求項76】
エラストマ材料が、ポリブタジエン、EPDM、SBR、天然ゴム、NBR、および熱可塑性エラストマからなる群より選択される、請求項75記載の車両フロア・カバー。
【請求項77】
車両と消費者によって車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、および床から延びる少なくとも第1および第2の直立壁を含む車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、トレイの直立する第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第1の壁に面する第1の外面を有し、トレイの直立する第2の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、トレイの第1および第2の壁が頂縁部を有し、頂縁部に隣接する第1および第2の外面の面積の2分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの最も近い表面から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
【請求項78】
車両と消費者によって車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイをを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、および床から延びる少なくとも第1および第2の直立壁を含む車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、トレイの直立する第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第1の壁に面する第1の外面を有し、トレイの直立する第2の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、第1および第2の外面の面積の少なくとも50%が車両フット・ウェルの最も近い表面から8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
【請求項79】
以下の段階を含む、車両フロア・トレイを製造するプロセス:
車両フロア・トレイを提供する車両フット・ウェル表面上の複数の点の立体位置をデジタル的に測定する段階;
該点をメモリに格納する段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面のモデルを構築する段階と、
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階;
格納された三次元画像を用いて車両フロア・トレイ用の型を構築する段階;ならびに
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階。
【請求項80】
車両フット・ウェル表面上の点の立体位置をデジタル的に測定する段階が、座標測定機(CMM)を用いることを含む、請求項79記載のプロセス。
【請求項81】
以下の段階をさらに含む、請求項79記載のプロセス:
格納された点の群をB-スプラインに連結する段階;および
B-スプライン同士の間を上昇(loft)させて車両フット・ウェル・モデル表面の領域セグメントを作成する段階。
【請求項82】
車両フロア・トレイの立体像を構築する段階が、以下の段階をさらに含む、請求項79記載のプロセス:
車両フット・ウェル・モデルと交差しかつ車両フロア・トレイの頂縁部を確立するように頂部スケッチ面を確立する段階;
作製する車両フロア・トレイ像の最低高度に位置するように底部スケッチ面を確立する段階;および
頂部スケッチ面と底部スケッチ面との間に側壁を描画し、車両フット・ウェル・トレイの対応する側壁に近似させる段階。
【請求項83】
頂部スケッチ面を傾斜させることにより、これを、車両フット・ウェル・モデルの床に対して、作製される車両フロア・トレイが乗員のシートに向かう方向よりも車両ファイア・ウォールに向かう方向の方が深くなるような角度とする段階をさらに含む、請求項79記載のプロセス。
【請求項84】
頂縁部の最も近くの側壁の外面の面積の少なくとも上3分の2を車両フット・ウェル・モデルのそれぞれの表面に一致させ、これらの領域を通して、車両フロア・トレイの側壁が車両フット・ウェルの対応する表面から8分の1インチを超える程度にずれないようにする、車両フロア・トレイの立体像の描画された側壁を修正する段階をさらに含む、請求項79記載のプロセス。
【請求項85】
車両と車両のフット・ウェル用の取外し可能なトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、床から上向きに延びる直立し概ね長手方向の第1の壁、および床から延びかつ実質的に第1の壁に対して傾斜して形成された直立し概ね横方向の第2の壁を含む表面を有し、車両の走行方向に実質的に平行な長手方向または前後方向に概ね配置された車両フット・ウェル;
車両フット・ウェル表面を模写した車両フット・ウェル表面モデル;ならびに
トレイの下面の少なくとも90%が車両フット・ウェル表面モデルをトレイの下面に最もうまく合うように数学的に重ね合わせた場合に車両フット・ウェル表面モデルから0.25インチ(0.64cm)以内に入り、リザーバがトレイの上面の後端部から3分の2以内に配置されかつトレイの上面の10%から50%の間の領域を占有するようにトレイの上面に形成され、周方向の壁がリザーバの横方向境界を定め、壁が少なくとも0.050インチ(0.013cm)の深さを有し、トレイが床、床から延びかつ車両フット・ウェルの第1の壁に実質的に一致するトレイの直立する概ね長手方向に向けられた第1の壁、およびトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの第2の壁に実質的に一致するトレイの直立する概ね横方向に向けられた第2の壁を有する、ポリマー材料で形成され、車両フット・ウェルに嵌め込まれる、上面および下面を有するトレイ。
【請求項86】
車両フット・ウェル表面モデルをトレイの下面に最もうまく合うように重ね合わせた場合に、トレイの下面の少なくとも50%が車両フット・ウェル表面モデルから0.125インチ(0.317cm)以内に位置する、請求項85記載のシステム。
【請求項87】
頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、請求項85記載のシステム。
【請求項88】
トレイの第1の壁の外面は車両のトランスミッショントンネルに面する、請求項85記載のシステム。
【請求項89】
トレイの第1の壁の外面が車両フット・ウェルのキック・プレートに面する、請求項85記載のシステム。
【請求項90】
トレイの第2の壁の外面が車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、請求項85記載のシステム。
【請求項91】
トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのシート・ペデスタルまたは車両シートの表面に面する、請求項85記載のシステム。
【請求項92】
少なくとも1つの車両フット・ウェル表面が曲面であり、トレイのそれぞれの直立壁の外面が、一致する曲面である、請求項85記載のシステム。
【請求項93】
少なくとも1つの曲面が凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、請求項92記載のシステム。
【請求項94】
車両フット・ウェル表面モデルがデジタル機械読取り可能レコードである、請求項85記載のシステム。
【請求項95】
車両フット・ウェル表面が圧縮可能な表面であり、モデルが実質的に圧縮されていない状態で存在する際の車両フット・ウェル表面を模写し、車両フット・ウェル表面がトレイが車両に設置された時点でトレイにより選択的に圧縮される、請求項85記載のシステム。
【請求項96】
周方向の壁が約0.25インチ(0.64cm)の深さを有する、請求項85記載のシステム。
【請求項97】
リザーバ下の下面であるフロア・トレイ下面の部分が対応するフット・ウェル表面の突起部である、請求項85記載のシステム。
【請求項98】
概ね長手方向に向けられ、細長く、かつ概ね平行な複数の流路がトレイの上面にリザーバの終端部として形成され、各流路がリザーバの周方向の壁の深さよりも小さい深さを有する、請求項85記載のシステム。
【請求項99】
流路の下のフロア・トレイ表面の部分が車両フット・ウェル表面のそれぞれの部分の突起部である、請求項98記載のシステム。
【請求項100】
車両フット・ウェル表面モデルが、トレイに最もうまく合うようにトレイ上に重ね合わせられた場合に、車両フット・ウェル表面モデルの一部がトレイの底面に対して負の離隔状態である、請求項85記載のシステム。
【請求項101】
車両フロア・トレイを製造するプロセスであって、以下を含むプロセス:
車両フット・ウェル表面上の点をデジタル的に測定し格納する段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面モデルを構築する段階;
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階であって、モデルを用いる該段階が
車両フット・ウェル表面モデルを模写して車両フロア・トレイの一般の下面を作製する段階と、
所定のリザーバ領域内に、車両フット・ウェル表面モデルを車両フロア・トレイの一般の下面から少なくとも0.050インチ(0.13cm)だけ下方向に突き出させてリザーバ領域内にトレイ像の下面を作製する段階と、
格納された三次元画像を用いて車両フロア・トレイ用の型を構築する段階と、
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階
を含む段階。
【請求項102】
以下の段階をさらに含む、請求項101記載のプロセス:
車両フロア・トレイの立体像の、リザーバ領域の前方に位置する領域内に、細長く、概ね長手方向に揃えられた、概ね平行な複数の流路を定める段階;および
車両フロア・トレイの一般下面モデルから車両フット・ウェル表面モデルを下向きに突き出させ、流路の下の領域に車両フロア・トレイの下面を作製する段階。
【請求項103】
車両フット・ウェルの表面上の点をデジタル的に測定する段階が座標測定機(CMM)を用いる段階を含む、請求項101記載のプロセス。
【請求項104】
車両フット・ウェルの表面上の点をデジタル的に測定する段階が実質的に圧縮されていない状態の車両カーペットの表面上の点を測定する段階を含む、請求項101記載のプロセス。
【請求項105】
車両フロア・トレイを製造するプロセスであって、以下の段階を含むプロセス:
選択的に圧縮可能な車両フット・ウェル表面上の点をデジタル的に測定し格納する段階であって、該点が得られる表面が実質的に圧縮されていない段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面モデルを構築する段階;
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階であって、モデルを用いる該段階が車両フロア・トレイの立体像を車両フット・ウェル表面モデルに最もうまく合わせる場合に該立体像の表面の一部を車両フット・ウェル表面の対応する部分に対する意図的な負の離隔に配置する段階を含む段階;
格納された立体像を用いて車両フロア・トレイの型を構築する段階;
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階と;ならびに
車両フット・ウェル表面モデルの対応する部分に対して負の離隔状態にある立体像の部分に対応する車両フット・ウェル表面の部分を選択的に圧縮することによって、トレイを車両フット・ウェルに嵌め込む段階。
【請求項1】
以下を含む、車両フロア・カバー:
頂面および底面を有する熱可塑性ポリマー中央層;
中央層の頂面に接着され、中央層とは異なる組成を有し、頂部層の頂面が、ショアAデュロメータ読取り値が60のネオプレンゴムに対して少なくとも約0.82の動摩擦係数を示す熱可塑性ポリマー頂部層;ならびに
中央層の底面に接着され、中央層とは異なる組成を有する熱可塑性ポリマー底部層。
【請求項2】
中央層の大部分がポリオレフィンで構成される、請求項1記載のカバー。
【請求項3】
中央層の大部分が、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選択される、請求項2記載のカバー。
【請求項4】
大部分が高分子量ポリエチレン(HMPE)である、請求項3記載のカバー。
【請求項5】
中央層が、小部分が熱可塑性エラストマから成るポリマー混合物で構成される、請求項2記載のカバー。
【請求項6】
中央層がポリマー混合物で構成され、混合物の小部分が同時押出しにおける頂部層および底部層とのその適合性によって事前に選択される、請求項2記載のカバー。
【請求項7】
中央層において、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比が約3:1である、請求項5記載のカバー。
【請求項8】
熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、請求項5記載のカバー。
【請求項9】
頂部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される、請求項1記載のカバー。
【請求項10】
熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、請求項9記載のカバー。
【請求項11】
頂部層が、ポリオレフィンの小部分を含むポリマー混合物で構成される、請求項9記載のカバー。
【請求項12】
ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、請求項11記載のカバー。
【請求項13】
ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、請求項12記載のカバー。
【請求項14】
頂部層が、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択されたポリマーの小部分を含むポリマー混合物で構成される、請求項9記載のカバー。
【請求項15】
底部層の大部分は熱可塑性エラストマで形成される、請求項1記載のカバー。
【請求項16】
熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、請求項15記載のカバー。
【請求項17】
底部層がポリマー混合物であり、ポリマーの小部分がポリオレフィンから成る、請求項15記載のカバー。
【請求項18】
ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、請求項17記載のカバー。
【請求項19】
ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、請求項18記載のカバー。
【請求項20】
底部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、請求項17記載のカバー。
【請求項21】
ポリマー混合物の小部分としては、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択される、請求項17記載のカバー。
【請求項22】
車両フロア・マットまたは車両フロア・トレイである、請求項1記載のカバー。
【請求項23】
カバーの断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの1つまたは複数が、頂部層、中央層、および底部層のうちのどれか単独よりも高い、請求項1記載のカバー。
【請求項24】
中央層が、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー混合物(ABS)およびスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)からなる群より選択され、頂部層および底部層が、ポリブタジエンの重量が中央層内のポリブタジエンの重量よりも大きいABSを含む、請求項1記載のカバー。
【請求項25】
以下を含む、車両フロア・カバー:
頂面および底面を有する熱可塑性ポリマー中央層;
中央層とは異なる組成を有し、中央層の頂面に接着され、頂部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される熱可塑性ポリマー頂部層;ならびに
中央層とは異なる組成を有し、中央層の底面に接着され、底部層の大部分が熱可塑性エラストマで構成される熱可塑性ポリマー底部層。
【請求項26】
中央層の大部分がポリオレフィンで構成される、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項27】
ポリオレフィンが、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選択される、請求項26記載のフロア・カバー。
【請求項28】
中央層の大部分が高分子量ポリエチレン(HMPE)から成る、請求項27記載のフロア・カバー。
【請求項29】
中央層がポリマー混合物であり、混合物の小部分が熱可塑性エラストマから成る、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項30】
熱可塑性エラストマが、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される、請求項29記載のフロア・カバー。
【請求項31】
中央層において、ポリオレフィンと熱可塑性エラストマの重量比が約3:1である、請求項29記載のフロア・カバー。
【請求項32】
中央層がポリマー混合物であり、中央層の小部分としては、その同時押出しにおいて頂部層および底部層に適合するものが事前に選択される、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項33】
頂部層の大部分が、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される熱可塑性エラストマである、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項34】
頂部層がポリマー混合物であり、混合物の小部分がポリオレフィンから成る、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項35】
ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、請求項34記載のフロア・カバー。
【請求項36】
ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)である、請求項35記載のフロア・カバー。
【請求項37】
頂部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、請求項34記載のフロア・カバー。
【請求項38】
底部層の大部分が、SANTOPRENE(登録商標)、GEOLAST(登録商標)、およびVYRAM(登録商標)からなる群より選択される熱可塑性エラストマである、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項39】
底部層がポリマー混合物であり、底部層の小部分がポリオレフィンから成る、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項40】
ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンからなる群より選択される、請求項39記載のフロア・カバー。
【請求項41】
ポリオレフィンが高分子量ポリエチレン(HMPE)である、請求項40記載のフロア・カバー。
【請求項42】
底部層において、熱可塑性エラストマとポリオレフィンの重量比が約3:1である、請求項39記載のフロア・カバー。
【請求項43】
底部層がポリマー混合物であり、底部層の小部分としては、その同時押出しにおいて中央層に適合するものが事前に選択される、請求項38記載のフロア・カバー。
【請求項44】
車両フロア・マットまたは車両フロア・トレイである、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項45】
フロア・カバーの断面積当たりのせん断強度、断面積当たりの引張り強度、および断面積当たりの剛性のうちの1つまたは複数が、フロア・カバーを構成するどの層のものよりも高い、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項46】
中央層がアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)およびスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)からなる群より選択される材料で構成され、頂部層および底部層がポリブタジエンの重量比が中央層内のポリブタジエンの重量比よりも大きい1つの等級のABSで構成される、請求項25記載のフロア・カバー。
【請求項47】
車両と車両のフット・ウェル用の取外し可能なトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、床から上向きに延びる直立し概ね長手方向の第1の壁、床から延びかつ実質的に第1の壁に対して傾斜して形成された直立し概ね横方向の第2の壁を含む表面を有する車両フット・ウェル;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの該第1の壁に実質的に一致し、直立し概ね横方向に向けられたトレイの第2の壁がトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの該第2の壁に実質的に一致するトレイとを含む、車両フット・ウェルに嵌め込むためのトレイ;
それぞれが頂縁部と車両フット・ウェルのそれぞれの壁に面する外面とを有し、トレイの該各直立壁に関して、トレイ壁の頂縁部に隣接するトレイ壁の外面の面積の少なくとも3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルのそれぞれの壁の表面から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、トレイの第1および第2の直立壁。
【請求項48】
車両フット・ウェルが車両フット・ウェルの床から延びかつ表面を有する第3の概ね横方向に向けられた壁を有し、トレイがトレイの床から延びる第3の概ね横方向に向けられた壁をさらに含み、トレイの第3の壁が頂縁部と車両フット・ウェルの第3の壁に面する外面とを有し、トレイの壁の頂縁部に隣接する外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの第3の壁の表面から8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、請求項47記載のシステム。
【請求項49】
頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、請求項47記載のシステム。
【請求項50】
トレイの第1の壁の外面が車両のトランスミッショントンネルに面する、請求項47記載のシステム。
【請求項51】
トレイの第1の壁の外面が、車両フット・ウェルのキック・プレートに面する、請求項47記載のシステム。
【請求項52】
トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、請求項47記載のシステム。
【請求項53】
トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのシート・ペデスタルまたは車両シートの表面に面する、請求項47記載のシステム。
【請求項54】
車両フット・ウェル表面のうちの少なくとも1つは曲面であり、トレイのそれぞれの直立壁の外面は曲面に一致する、請求項47記載のシステム。
【請求項55】
各曲面が凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、請求項54記載のシステム。
【請求項56】
車両フット・ウェルが、実質的に水平方向に配置されたドア・シル・プレート表面を含み、車両トレイが合わせシル・プレート壁を含み、車両トレイ・シル・プレート壁の下面がドア・シル・プレート表面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、請求項47記載のシステム。
【請求項57】
車両フット・ウェルが前方に実質的な水平位置から実質的な直立位置まで湾曲するドア・シル曲面を含み、車両トレイが合わせシル湾曲壁を含み、トレイのシル湾曲壁の外面がドア・シル曲面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、請求項47記載のシステム。
【請求項58】
車両と車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、床から延びる少なくとも1つの直立し概ね長手方向の第1の壁、および床によって第1の壁から間隔を置いて配置された、床から延びる少なくとも1つの直立し概ね長手方向の第2の壁を含む、車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェル表面の該第1の壁に面する第1の外面を有し、直立し概ね長手方向に向けられたトレイの第2の壁がトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、トレイの第1および第2の各壁が頂縁部を有し、頂縁部に隣接する第1および第2のトレイ壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルのそれぞれの壁から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
【請求項59】
頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その壁の最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、請求項58記載のシステム。
【請求項60】
トレイの第1の壁の外面は、車両のトランスミッショントンネルに面する、請求項58記載のシステム。
【請求項61】
トレイの第1の壁の外面が、車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、請求項58記載のシステム。
【請求項62】
車両フット・ウェル壁のうちの少なくとも1つが曲面を有し、トレイのそれぞれの直立壁の外面が、一致する曲面である、請求項58記載のシステム。
【請求項63】
車両フット・ウェルの少なくとも1つの曲面が、凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、請求項62記載のシステム。
【請求項64】
車両フット・ウェルが実質的に水平方向に配置されたドア・シル・プレート表面を含み、車両トレイが合わせシル・プレート壁を含み、車両トレイ・シル・プレート壁の下面がドア・シル・プレート表面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、請求項58記載のシステム。
【請求項65】
車両フット・ウェルが前方に実質的な水平位置から実質的な直立位置まで湾曲するドア・シル曲面を含み、車両トレイが合わせシル湾曲壁を含み、トレイのシル湾曲壁の外面がドア・シル曲面から約0.025インチ(0.064cm)以下しか離れない、請求項58記載のシステム。
【請求項66】
車両フット・ウェル表面が車両フット・ウェルの第1および第2の壁に対して実質的に傾斜するように形成された直立する第3の壁と車両フット・ウェルの第1および第2の壁に対して実質的に傾斜するように形成された直立する第4の壁とを有し、トレイの直立する第3の壁がトレイの床から延び、トレイの直立する第4の壁がトレイの床から延び、トレイの第3および第4の壁が上縁部および外面を有し、上縁部に隣接するトレイの第3の壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの上面の第3の壁から8分の1インチ以下しかずれず、上縁部に隣接するトレイの第4の壁の外面の面積の3分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの第4の壁から8分の1インチ(0.317cm)以下しかずれない、請求項58記載のシステム。
【請求項67】
以下を含む、車両フロア・トレイ:
車両フット・ウェルの床に実質的に一致し、長手方向に配置された少なくとも1つの横方向側面および横方向に配置された少なくとも1つの横方向側面を有する床;
床と一体的に形成されかつ床の第1の横方向側面から上向きに延びる第1の壁;
床および第1の壁と一体的に形成されかつ床の第2の横方向側面から上向きに延びる第2の壁;
リザーバ部分の一般的表面がトレイの床の上面の一般的部分よりも低くかつこの部分に囲まれる、一般的部分およびリザーバ部分を含む上面を有するトレイの床;
トレイ上面の一般的部分に成形され、流路の底部がトレイの上面の一般的部分よりも低いがリザーバ部分の一般的表面よりも高い複数の流路;ならびに
流路が流路の水滴をリザーバ部に導くように働き、バッフルが車両の動きのために起こる水滴の横方向への移動を抑制する働きをする、リザーバ部分に配置された長手方向に向けられた複数のバッフルおよび長手方向に配置されたバッフルの1つに接合されたリザーバ部分に配置された横方向に向けられた複数のバッフル。
【請求項68】
車両フロア・トレイが、運転者のフット・ウェルに取外し可能に設置されるように設計され、フロア・トレイの設計対象である車両が運転者の足によって操作できるアクセル・ペダルおよびブレーキ・ペダルを有し、運転者の右足の踵を収容するようなサイズを有する空間がトレイ上面の一般的部分に形成され、空間が流路のどれも有さない、請求項67記載の車両フロア・トレイ。
【請求項69】
空間が円弧で区切られる、請求項68記載の車両フロア・トレイ。
【請求項70】
円の半径が約4インチ(10.1cm)である、請求項69記載の車両フロア・トレイ。
【請求項71】
車両フット・ウェルに取外し可能に設置することのできる取外し可能な車両フロア・トレイであって、以下を含むフロア・トレイ:
水平平面を実質的に占有する床;ならびに
床から頂縁部まで延びる長手方向に向けられた直立する第1の側壁、および床から頂縁部まで延びる実質的に横方向に向けられた直立する第2の側壁を含む複数の側壁であって、互いに傾斜して接合され、第1の側壁の頂縁部が第2の側壁の頂縁部に連続し、各頂縁部が該水平面に対して前方上向きに傾斜する平面内に実質的に配置される、側壁。
【請求項72】
トレイの側壁が床から頂縁部まで延びる第3の直立側壁と床から頂縁部まで延びる第4の直立側壁とを含み、第3および第4の側壁の頂縁部が第1および第2の側壁の頂縁部と連続しかつそれらと実質的に共面である、請求項71記載のフロア・トレイ。
【請求項73】
第3の直立側壁が車両フット・ウェルのキック・プレートに一致し、第4の直立側壁が車両フット・ウェルのシート・ペデスタルに一致し、第3の直立側壁および第4の直立側壁がトレイの実質的に水平のドア・シル・プレートによって間隔を置いて配置される、請求項71記載のフロア・トレイ。
【請求項74】
車両内の消費者によって設置可能でかつ取外し可能である水不浸透性の車両フロア・カバーであって、以下を含むフロア・カバー:
ポリマー材料で形成され、頂面および底面を有する中央層;
ポリマー材料で形成され、中央層の頂面に接着された頂部層;ならびに
ポリマー材料で形成され、中央層の底面に接着され、頂部層および底部層が中央層の組成とは異なる組成を有する底部層。
【請求項75】
頂部層の少なくとも一部はエラストマ材料から成り、底部層の少なくとも一部はエラストマ材料から成る、請求項74記載の車両フロア・カバー。
【請求項76】
エラストマ材料が、ポリブタジエン、EPDM、SBR、天然ゴム、NBR、および熱可塑性エラストマからなる群より選択される、請求項75記載の車両フロア・カバー。
【請求項77】
車両と消費者によって車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、および床から延びる少なくとも第1および第2の直立壁を含む車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、トレイの直立する第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第1の壁に面する第1の外面を有し、トレイの直立する第2の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、トレイの第1および第2の壁が頂縁部を有し、頂縁部に隣接する第1および第2の外面の面積の2分の1の少なくとも90%が車両フット・ウェルの最も近い表面から約8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
【請求項78】
車両と消費者によって車両のフット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイをを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、および床から延びる少なくとも第1および第2の直立壁を含む車両フット・ウェル表面;ならびに
トレイの床がフット・ウェルの床に概ね一致し、トレイの直立する第1の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第1の壁に面する第1の外面を有し、トレイの直立する第2の壁がトレイの床と一体的に形成されかつトレイの床から延び、かつ車両フット・ウェルの第2の壁に面する第2の外面を有し、第1および第2の外面の面積の少なくとも50%が車両フット・ウェルの最も近い表面から8分の1インチ(0.317cm)以下しか離れない、車両フット・ウェルに取外し可能に設置されるトレイ。
【請求項79】
以下の段階を含む、車両フロア・トレイを製造するプロセス:
車両フロア・トレイを提供する車両フット・ウェル表面上の複数の点の立体位置をデジタル的に測定する段階;
該点をメモリに格納する段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面のモデルを構築する段階と、
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階;
格納された三次元画像を用いて車両フロア・トレイ用の型を構築する段階;ならびに
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階。
【請求項80】
車両フット・ウェル表面上の点の立体位置をデジタル的に測定する段階が、座標測定機(CMM)を用いることを含む、請求項79記載のプロセス。
【請求項81】
以下の段階をさらに含む、請求項79記載のプロセス:
格納された点の群をB-スプラインに連結する段階;および
B-スプライン同士の間を上昇(loft)させて車両フット・ウェル・モデル表面の領域セグメントを作成する段階。
【請求項82】
車両フロア・トレイの立体像を構築する段階が、以下の段階をさらに含む、請求項79記載のプロセス:
車両フット・ウェル・モデルと交差しかつ車両フロア・トレイの頂縁部を確立するように頂部スケッチ面を確立する段階;
作製する車両フロア・トレイ像の最低高度に位置するように底部スケッチ面を確立する段階;および
頂部スケッチ面と底部スケッチ面との間に側壁を描画し、車両フット・ウェル・トレイの対応する側壁に近似させる段階。
【請求項83】
頂部スケッチ面を傾斜させることにより、これを、車両フット・ウェル・モデルの床に対して、作製される車両フロア・トレイが乗員のシートに向かう方向よりも車両ファイア・ウォールに向かう方向の方が深くなるような角度とする段階をさらに含む、請求項79記載のプロセス。
【請求項84】
頂縁部の最も近くの側壁の外面の面積の少なくとも上3分の2を車両フット・ウェル・モデルのそれぞれの表面に一致させ、これらの領域を通して、車両フロア・トレイの側壁が車両フット・ウェルの対応する表面から8分の1インチを超える程度にずれないようにする、車両フロア・トレイの立体像の描画された側壁を修正する段階をさらに含む、請求項79記載のプロセス。
【請求項85】
車両と車両のフット・ウェル用の取外し可能なトレイとを含むシステムであって、以下を含むシステム:
床、床から上向きに延びる直立し概ね長手方向の第1の壁、および床から延びかつ実質的に第1の壁に対して傾斜して形成された直立し概ね横方向の第2の壁を含む表面を有し、車両の走行方向に実質的に平行な長手方向または前後方向に概ね配置された車両フット・ウェル;
車両フット・ウェル表面を模写した車両フット・ウェル表面モデル;ならびに
トレイの下面の少なくとも90%が車両フット・ウェル表面モデルをトレイの下面に最もうまく合うように数学的に重ね合わせた場合に車両フット・ウェル表面モデルから0.25インチ(0.64cm)以内に入り、リザーバがトレイの上面の後端部から3分の2以内に配置されかつトレイの上面の10%から50%の間の領域を占有するようにトレイの上面に形成され、周方向の壁がリザーバの横方向境界を定め、壁が少なくとも0.050インチ(0.013cm)の深さを有し、トレイが床、床から延びかつ車両フット・ウェルの第1の壁に実質的に一致するトレイの直立する概ね長手方向に向けられた第1の壁、およびトレイの床から延びかつ車両フット・ウェルの第2の壁に実質的に一致するトレイの直立する概ね横方向に向けられた第2の壁を有する、ポリマー材料で形成され、車両フット・ウェルに嵌め込まれる、上面および下面を有するトレイ。
【請求項86】
車両フット・ウェル表面モデルをトレイの下面に最もうまく合うように重ね合わせた場合に、トレイの下面の少なくとも50%が車両フット・ウェル表面モデルから0.125インチ(0.317cm)以内に位置する、請求項85記載のシステム。
【請求項87】
頂縁部から床まで測定されたトレイの第1の壁の深さが、その最も深い部分で少なくとも4インチ(10.1cm)である、請求項85記載のシステム。
【請求項88】
トレイの第1の壁の外面は車両のトランスミッショントンネルに面する、請求項85記載のシステム。
【請求項89】
トレイの第1の壁の外面が車両フット・ウェルのキック・プレートに面する、請求項85記載のシステム。
【請求項90】
トレイの第2の壁の外面が車両フット・ウェルのファイア・ウォールに面する、請求項85記載のシステム。
【請求項91】
トレイの第2の壁の外面が、車両フット・ウェルのシート・ペデスタルまたは車両シートの表面に面する、請求項85記載のシステム。
【請求項92】
少なくとも1つの車両フット・ウェル表面が曲面であり、トレイのそれぞれの直立壁の外面が、一致する曲面である、請求項85記載のシステム。
【請求項93】
少なくとも1つの曲面が凹状曲線と凸状曲線の両方を含む、請求項92記載のシステム。
【請求項94】
車両フット・ウェル表面モデルがデジタル機械読取り可能レコードである、請求項85記載のシステム。
【請求項95】
車両フット・ウェル表面が圧縮可能な表面であり、モデルが実質的に圧縮されていない状態で存在する際の車両フット・ウェル表面を模写し、車両フット・ウェル表面がトレイが車両に設置された時点でトレイにより選択的に圧縮される、請求項85記載のシステム。
【請求項96】
周方向の壁が約0.25インチ(0.64cm)の深さを有する、請求項85記載のシステム。
【請求項97】
リザーバ下の下面であるフロア・トレイ下面の部分が対応するフット・ウェル表面の突起部である、請求項85記載のシステム。
【請求項98】
概ね長手方向に向けられ、細長く、かつ概ね平行な複数の流路がトレイの上面にリザーバの終端部として形成され、各流路がリザーバの周方向の壁の深さよりも小さい深さを有する、請求項85記載のシステム。
【請求項99】
流路の下のフロア・トレイ表面の部分が車両フット・ウェル表面のそれぞれの部分の突起部である、請求項98記載のシステム。
【請求項100】
車両フット・ウェル表面モデルが、トレイに最もうまく合うようにトレイ上に重ね合わせられた場合に、車両フット・ウェル表面モデルの一部がトレイの底面に対して負の離隔状態である、請求項85記載のシステム。
【請求項101】
車両フロア・トレイを製造するプロセスであって、以下を含むプロセス:
車両フット・ウェル表面上の点をデジタル的に測定し格納する段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面モデルを構築する段階;
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階であって、モデルを用いる該段階が
車両フット・ウェル表面モデルを模写して車両フロア・トレイの一般の下面を作製する段階と、
所定のリザーバ領域内に、車両フット・ウェル表面モデルを車両フロア・トレイの一般の下面から少なくとも0.050インチ(0.13cm)だけ下方向に突き出させてリザーバ領域内にトレイ像の下面を作製する段階と、
格納された三次元画像を用いて車両フロア・トレイ用の型を構築する段階と、
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階
を含む段階。
【請求項102】
以下の段階をさらに含む、請求項101記載のプロセス:
車両フロア・トレイの立体像の、リザーバ領域の前方に位置する領域内に、細長く、概ね長手方向に揃えられた、概ね平行な複数の流路を定める段階;および
車両フロア・トレイの一般下面モデルから車両フット・ウェル表面モデルを下向きに突き出させ、流路の下の領域に車両フロア・トレイの下面を作製する段階。
【請求項103】
車両フット・ウェルの表面上の点をデジタル的に測定する段階が座標測定機(CMM)を用いる段階を含む、請求項101記載のプロセス。
【請求項104】
車両フット・ウェルの表面上の点をデジタル的に測定する段階が実質的に圧縮されていない状態の車両カーペットの表面上の点を測定する段階を含む、請求項101記載のプロセス。
【請求項105】
車両フロア・トレイを製造するプロセスであって、以下の段階を含むプロセス:
選択的に圧縮可能な車両フット・ウェル表面上の点をデジタル的に測定し格納する段階であって、該点が得られる表面が実質的に圧縮されていない段階;
格納された点を用いて車両フット・ウェル表面モデルを構築する段階;
車両フット・ウェル表面のモデルを用いて車両フロア・トレイの立体像を構築する段階であって、モデルを用いる該段階が車両フロア・トレイの立体像を車両フット・ウェル表面モデルに最もうまく合わせる場合に該立体像の表面の一部を車両フット・ウェル表面の対応する部分に対する意図的な負の離隔に配置する段階を含む段階;
格納された立体像を用いて車両フロア・トレイの型を構築する段階;
型でポリマー材料を成形することによって車両フロア・トレイを製造する段階と;ならびに
車両フット・ウェル表面モデルの対応する部分に対して負の離隔状態にある立体像の部分に対応する車両フット・ウェル表面の部分を選択的に圧縮することによって、トレイを車両フット・ウェルに嵌め込む段階。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図20A】
【図21】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図22A】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
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【図20A】
【図21】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図22A】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−98733(P2011−98733A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39529(P2011−39529)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【分割の表示】特願2011−15999(P2011−15999)の分割
【原出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(510135430)マクニール アイピー リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【分割の表示】特願2011−15999(P2011−15999)の分割
【原出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(510135430)マクニール アイピー リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】
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