車両制御システム、車両制御装置、及び、車両制御方法
【課題】合流車線において自車線に進入する他車両に対して、自車両が適切な車両制御を行うことを目的とする技術を提供する。
【解決手段】車両が走行する車線に合流する合流車線を検出し、合流車線に存在する物体を検出する。そして、合流車線に存在する物体を検出した場合に、この物体をACCの制御対象、及び、PCSの制御対象のいずれか一つに設定する。これにより、合流車線から自車線に進入する物体を自車線に進入する前に制御対象とできる。
【解決手段】車両が走行する車線に合流する合流車線を検出し、合流車線に存在する物体を検出する。そして、合流車線に存在する物体を検出した場合に、この物体をACCの制御対象、及び、PCSの制御対象のいずれか一つに設定する。これにより、合流車線から自車線に進入する物体を自車線に進入する前に制御対象とできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺の情報に基づく車両制御の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーダ装置及び画像処理装置を使用したシステムとしては車間自動制御システム(ACC:Adaptive Cruise Control)があり、自車両の走行する自車線内の前方を走行する他車両との車間距離が所定距離以下であることを検知すると、予め設定された速度の範囲内で自車両と他車両との距離を所定距離とするように車両制御を行っていた。また、自車両と自車両の走行する自車線内の前方及び後方を走行する他車両との衝突を防止するために車両と他車両との車間距離が一定の距離を下回った場合に、衝突に備えて自車両の速度を減速するブレーキ制御などのPCS(Pre−Crush Safty)制御を行うシステムがあった。なお、本発明と関連する技術を説明する資料としては特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−321299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自車両が自車線の前方を走行する車両をACCの制御対象とし、一定の車間距離を保つように所定の速度範囲内で走行している場合に、合流車線を走行している車両が自車線内に進入するときがある。このようなときに、ACCの制御部がこれまで制御対象としていた車両から自車線へ進入してきた車両に制御対象を切り替えて、車間距離を所定距離に保つ制御を行おうとしても、車間距離が短すぎて車両を減速する制御が間に合わずに自車線に侵入してきた車両と衝突する可能性があった。
【0005】
また、PCS制御は自車線を走行する車両を制御対象とし、自車線以外の合流車線を走行する車両は制御対象とはしていない。そのため、合流車線から自車線に車両が進入してきた場合に、その車両を制御対象としても車間距離が短すぎて、衝突に備えて車両を減速するなどの制御が十分に機能しない可能性があった。
【0006】
本発明は、合流車線に存在する物体に対して、車両が適切な車両制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、車両の挙動を制御する車両制御システムであって、前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象との相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する車線検出手段と、前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の車両制御システムにおいて、前記制御手段は、前記車両が前記制御対象との進行方向の距離を所定の距離とするように前記車両の挙動を制御する第1制御手段を含む。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の車両制御システムにおいて、前記制御手段は、前記車両が制御対象との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるように前記車両の挙動を制御する第2制御手段を含む。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の車両制御システムにおいて、前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体と前記車両との進行方向の距離が第1距離を下回る場合で、前記合流車線に存在する物体と前記車両との車幅方向の距離が第2距離を下回るときに、前記合流車線に存在する物体を前記第2制御手段の制御対象に設定する。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の車両制御システムにおいて、前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体に対する前記車両の相対速度に応じて前記第1距離、及び、前記第2距離の少なくとも一つを変更する。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の車両制御システムにおいて、前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体を前記制御対象に設定した後に、ユーザの操作により前記車両が車線変更することを検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を制御対象とする設定を解除する。
【0013】
また、請求項7の発明は、車両の挙動を制御する車両制御システムであって、前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線の情報を受信する受信手段と、前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、を備える。
【0014】
また、請求項8の発明は、車両の挙動を制御する車両制御装置であって、前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線の情報、及び、前記車両の前方に存在する物体の情報を受信する受信手段と、前記受信手段が前記合流車線に存在する物体の情報を受信した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、を備える。
【0015】
また、請求項9の発明は、車両の挙動を制御する車両制御方法であって、前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する工程と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する工程と、前記車両の前方を走行する物体を検出する工程と、前記物体を検出する工程が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する工程と、を備える。
【0016】
また、請求項10の発明は、車両の挙動を制御する車両制御システムであって、前記車両の前方に存在する物体のうち前記車両が走行する車線の範囲内に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する車線検出手段と、前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、前記車線検出手段が、前記合流車線を検出した場合に、前記制御対象とする物体を前記車両が走行する車線に存在する物体に加えて、前記合流車線に存在する物体を含むこととする対象設定手段と、を備える。
【0017】
また、請求項11の発明は、請求項10に記載の車両制御システムにおいて、前記制御手段は、前記車両と前記物体との相対距離が第3距離を下回らないように前記車両の挙動を制御する第3制御手段を含む。
【0018】
さらに、請求項12の発明は、請求項11に記載の車両制御システムにおいて、前記制御手段は、前記物体との相対距離が前記第3距離よりも短い第4距離となった場合に、前記車両と前記制御対象との衝突に備えるように前記車両の挙動を制御する第4制御手段を含む。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし12の発明によれば、物体検出手段が合流車線に存在する物体を検出した場合に、合流車線に存在する物体を制御手段の制御対象に設定することで、合流車線に存在する物体が自車線に進入する前に制御対象とできる。
【0020】
また、特に請求項2の発明によれば、制御手段は、車両が制御対象との進行方向の距離を所定の距離とするように車両の挙動を制御する第1制御手段を含むことで、車両は衝突の危険がない状態で物体と合流した後、物体と所定の距離を保った状態で走行できる。
【0021】
また、特に請求項3の発明によれば、制御手段は、車両が制御対象との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるように車両の挙動を制御することで、自車線に合流する物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0022】
また、特に請求項4の発明によれば、設定手段は、合流車線に存在する物体と車両との進行方向の距離が第1距離を下回る場合で、合流車線に存在する物体と車両との車幅方向の距離が第2距離を下回るときに、合流車線に存在する物体を第2制御手段の制御対象に設定することで、車両との進行方向及び車幅方向の間隔が接近している物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0023】
また、特に請求項5の発明によれば、設定手段は、合流車線に存在する物体に対する車両の相対速度に応じて第1距離、及び、第2距離の少なくとも一つを変更することで、車両の速度に応じた車両制御を行える。
【0024】
また、特に請求項6の発明によれば、設定手段は、合流車線に存在する物体を制御対象に設定した後に、ユーザの操作により車両が車線変更することを検出した場合に、合流車線に存在する物体を制御対象とする設定を解除することで、合流車線に存在する物体が合流しても車両は合流した物体とは異なる車線を走行するため、制御の必要のない対象への設定を解除できる。
【0025】
また、特に請求項10の発明によれば、車線検出手段が、前記合流車線を検出した場合に、前記制御対象とする物体を前記車両が走行する車線に存在する物体に加えて、合流車線に存在する物体を含むことで、自車線だけではなく合流車線に存在する物体も制御対象とできる。
【0026】
また、特に請求項11の発明によれば、制御手段は、車両と物体との相対距離が第3距離を下回らないように前記車両の挙動を制御する第3制御手段を含むことで、車両は物体との距離を所定距離に保った状態で走行できる。
【0027】
さらに、特に請求項12の発明によれば、制御手段は、車両と物体との相対距離が第3距離よりも短い第4距離となった場合に、車両と制御対象との衝突に備えるように車両の挙動を制御する第4制御手段を含むことで、車両が物体と衝突する可能性がある場合に確実に衝突に備えた制御を行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、車両の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、車両制御システムのブロック図である。
【図3】図3は、レーダ装置及びカメラを備えた画像処理装置の物体検出範囲を示す図である。
【図4】図4は、車両制御部の処理フローチャートである。
【図5】図5は、車両制御部の処理フローチャートである。
【図6】図6は、車両が自車線内の前方を走行する車両を追従走行する状態を示す図である。
【図7】図7は、合流車線の車両を制御対象とする状態を示す図である。
【図8】図8は、合流車線の車両との縦距離及び横距離の検出を示す図である。
【図9】図9は、過去の物体検出処理により検出された横距離と今回の物体検出処理により検出された横距離とを示す図である。
【図10】図10は、合流車線の車両との予測横距離の検出を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態の車両制御部の処理フローチャートである。
【図12】図12は、第2の実施の形態の車両制御部の処理フローチャートである。
【図13】図13は、車両制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
<第1の実施の形態>
<1−1.構成>
図1は、車両10の全体図である。車両10には、レーダ装置2、画像処理装置3、車両制御装置11、及び、カメラ13が設けられている。
【0031】
レーダ装置2は、車両10の前方のフロント部分に設けられる。また、レーダ装置2は、車両10と車両10の前方の物体との距離以下、「縦距離」ともいう。)、および、車両10に対する物体の角度に基づく、車両10と物体との車幅方向の左右の横位置(以下、「横距離」ともいう。)を検出する。さらに、レーダ装置2が検出した物体に対する車両10の相対速度を検出する。なお、車両10の前方とは、車両10の自車線の領域のみではなく、車両10の前側方の領域も含む。つまり、後に説明する図3の自車線MRの範囲に加えて合流車線CRの範囲も含む。また、レーダ装置2の車両10への搭載位置は車両前方のフロント部分に限らず、車両10の後方及び側方などの車両10の車体のどの位置に設けても良い。
【0032】
画像処理装置3は、車両10の車室内に設けられている。画像処理装置3は、電子的に画像を取得するカメラ13が撮影した撮影画像の処理を行い、撮影により得られた撮影画像内の物体の位置や種類などを検出する。また、カメラ13はフロントガラスの天井付近に設けられている。なお、カメラ13の搭載位置はフロントガラスの車室内天井付近限らず、車両の内外で後方及び側方などの車両10の車体のどの位置に設けても良い。また、画像処理装置3の位置は車両10の車室内に限らず、カメラ13と一体型するなど他の位置に配置してもよい。
【0033】
車両制御装置11は、車両10の車両本体内部に設けられており、車両10の各部から出力される情報に基づいて車両10の挙動を制御する。
【0034】
図2は、車両制御システム100のブロック図である。車両制御システム100は、物体の位置などを検出するレーダ装置2と、物体の位置及び種類などを検出する画像処理装置3と、車両の各部からの出力される情報に基づいて車両10を制御する車両制御装置11とを備えている。
【0035】
レーダ装置2は、アンテナ12、レーダ制御部22、及び、レーダメモリ32を備えている。アンテナ12は車両10の外部へ送信波を送信し、車外の物体に当たってはね返った電波を受信波として受信する。
【0036】
レーダ制御部22は、送信波及び受信波の時間差及びドップラーシフトの情報などに基づいて、車両10と物体との縦距離、横距離、及び、相対速度の情報を検出して、車両制御装置11へこれらの物体情報を出力する。
【0037】
レーダメモリ32は、レーダ制御部22が物体情報を検出するための各種パラメータ、及び、検出した物体情報を記録する。
【0038】
画像処理装置3は、画像制御部23、及び、画像メモリ33を備えている。画像制御部23は、カメラ13が撮影した撮影画像の中から例えばパターンマッチングの画像検出により、合流路の標識105、白線WL1、及び、白線WL2(図3に示す。)などを検出する。
【0039】
詳細には画像処理装置3は、カメラ13が撮影した画像を走査し、画像の輝度の変化に基づいて対象となる画像の大きさを検出し、画像メモリ33に記録された物体の種類に応じた形状及び大きさなどのパターンに基づいてパターンマッチングを行い、対象の画像の物体の種類を判別する。また、画像処理装置3は画像の大きさに基づいて対象の画像の位置を検出する。そして、画像処理装置3は検出した情報を車両制御装置11に出力する。
【0040】
画像メモリ33は、画像制御部23が物体を検出するための各種パラメータ、及び、検出した物体情報を記録する。
カメラ13は車両10の前方を撮影して、撮影情報を画像制御部23へ出力する。また、カメラ13のレンズは、カメラ13を車両10に搭載した位置の車両10の直進する方向(図3に示すxy軸の+y方向)を0度とした約±40度の撮影範囲を有する単眼レンズである。また、その他に車両10の直進する方向を0度とした約±95度の撮影範囲を有する魚眼レンズなど車両10の周囲を撮影できるレンズであれば各種レンズの使用が可能である。
【0041】
車両制御装置11は、受信部21、車両制御部31、及び、車両メモリ41を備えている。受信部21はレーダ制御部22、及び、画像制御部23により出力される車両10が走行する車線に合流する合流車線の情報、及び、合流車線に存在する物体の情報を受信する。また、受信部21はこれ以外にも、レーダ制御部22、及び、画像制御部23により出力される各種情報を受信する。なお、合流車線に存在する物体とは合流車線上の移動物及び合流車線上の静止物のいずれか一つをいう。さらに、移動物とは、合流車線上を走行している車両など(車両及びバイクのいずれか一つ)をいい、静止物とは合流車線上にある停止した車両などをいう。
【0042】
車両制御部31は、受信部21が受信した情報に基づいて車両10の各部の制御を行う。また、車両制御部31はACC制御部211、及び、PCS制御部212を備える。
【0043】
ACC制御部211はACC(Adaptive Cruise Control)に関する制御を行う。詳細にはACC制御部211は、車両10が制御対象との進行方向の距離を所定の距離とするように車両10の挙動を制御する。そして、車両10が走行する車線に合流する合流車線を画像処理装置3が検出し、合流車線に存在する物体をレーダ装置2が検出した場合は、ACC制御部211は合流車線に存在する物体を制御対象とする。これにより、合流車線に存在する物体が自車線に進入する前に制御対象とできる。
【0044】
詳細には、受信部21が画像制御部23から、車両10が走行する車線に合流する合流車線を検出する情報を受信する。そして、受信部21がレーダ制御部22から合流車線に存在する物体の情報を受信した場合、ACC制御部211は合流車線に存在する物体をACCの制御対象として車間距離を所定速度内で所定距離に保って走行するように車両10の挙動を制御する。
【0045】
つまり、ACC制御部211は車両10が合流車線に存在する物体と所定距離を保つようにブレーキ27及びアクセル37のスロットル開度の制御を行う。これにより、車両10は衝突の危険がない状態で物体と合流した後、物体と所定距離を保った状態で走行できる。
【0046】
PCS制御部212は、PCS(Pre−Crash Safty)に関する制御を行う。つまり、制御対象との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるようにするために、PCS制御部212は、合流車線に存在する物体を車両10の制御対象とする。これにより、自車線に合流する物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0047】
詳細には、受信部21が画像制御部23から車両10が走行する車線に合流する合流車線を検出する情報を受信する。そして、受信部21がレーダ制御部22から合流車線にある物体の存在を示す情報を受信する。その結果、PCS制御部212は合流車線から自車線に進入する物体との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるようにするためにブレーキを制御するなどの車両10の挙動を制御する
また、PCS制御部212は、受信部21を介してレーダ制御部22から、車両10と合流車線に存在する物体との距離(図8に示す縦距離DL3。)が例えば、約10mを下回わったことを示す情報を受信する。また、PCS制御部212は、受信部21を介してレーダ制御部22から合流車線に存在する物体と車両10との車幅方向の距離(図8に示す横距離DS1)が所定の距離(図8に示すレーン距離DR、及び、道路中央距離DCの合計の距離)を下回わったことを示す情報を受信する。
【0048】
PCS制御部212は少なくとも車両10と合流車線に存在する物体との距離の条件(車両10と物体との距離が約10mを下回る、及び、車幅方向の距離が所定距離を下回る)を満たした場合、車両10を制御対象である物体との衝突の可能性がある場合、衝突に備えるようにブレーキ制御などを行い、車両10の挙動を制御する。
【0049】
PCS制御における車両の挙動例は、後述する警報機17によりユーザへの警告音を出力したり、ブレーキ27により車両10の走行速度を減速したり、ステアリングホイール47を自動的に操作して合流車線から自車線へ進入する物体との衝突を回避する車両制御を行う挙動がある。これにより、車両10との進行方向及び車幅方向の間隔が接近している物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0050】
なお、別のPCS制御としては、座席のシートベルトを自動的に引いて衝突時にドライバーなどの乗員の体を固定したり、衝突時に座席のヘッドレストを移動させて衝突の衝撃を緩和し、ドライバーなどの乗員の安全を確保する車両制御も行える。
【0051】
車両メモリ41は、車両制御部31が車両10の各部を制御するための各種パラメータ、及び、各制御部がACC制御及びPCS制御を行う際の車両制御データを記録する。
【0052】
また、車両制御部31は、車両10の前方に存在する物体のうち車両10が走行する車線の範囲内に存在する物体を制御対象とし、その制御対象の相対距離に応じて車両10の挙動を制御する。
【0053】
つまり、車両制御部31は画像制御部23が検出した合流車線の情報を受信部21を介して受信する。また、車両制御部31はレーダ制御部22が検出した車両10の前方に存在する物体情報を受信する。そして、車両制御部31は画像制御部23が検出した合流車線の情報を受信した場合に、車両制御部31は制御対象とする物体を車両10が走行する車線に存在する物体に加えて、合流車線に存在する物体を含むこととする設定を行う。これにより、車両制御部31は自車線だけではなく合流車線に存在する物体も制御対象とできる。
【0054】
また、ACC制御部211は、車両10と合流車線に存在する物体との相対距離が所定距離を下回らないように車両の挙動を制御する。これにより、車両10は物体との距離を所定距離に保った状態で走行できる。
【0055】
また、PCS制御部212は、車両10と合流車線に存在する物体との相対距離が所定距離よりも短い距離となった場合に車両10と制御対象との衝突に備えるように車両10の挙動を制御する。これにより、車両10が物体と衝突する可能性がある場合は、確実に衝突に備えた制御を行える。
【0056】
警報機17はPCS制御部212からの信号により作動する。警報機17は、車両10と合流車線から自車線に進入する物体との衝突可能性がある場合に衝突に備えて、ユーザへ警告音を出力する。
【0057】
ブレーキ27はACC制御部211及びPCS制御部212の信号により作動する。車両10と合流車線に存在する物体との距離を所定距離とするために車両10の速度を減速させる。
【0058】
アクセル37は、ACC制御部211の信号によりスロットル開度が制御される。アクセル37は、車両10と合流する物体との距離を所定距離とするために車両10の速度を加速させる。
【0059】
ステアリングホイール47は、PCS制御部212の信号により作動する。ステアリングホイール47は、車両10と合流車線から自車線へ進入する物体との衝突を回避するため車両10の進行方向を変更する。
【0060】
ウインカー48は、ユーザの操作により作動信号(ターンシグナル)が車両制御装置11へ出力される。
<1−2.物体の検出範囲>
図3は、レーダ装置2及びカメラ13を備えた画像処理装置3の物体検出範囲を示す図である。なお、以下においては、図中に示すxy座標軸を用いて、方向を適宜示す。このxy座標軸は車両10に対して相対的に固定されるものであり、車両10の車幅方向がx方向、車両10の進行方向がy方向にそれぞれ対応する。詳細には、車両10の左方向が−x方向、車両10の右方向が+x方向となる。また車両10が前進する方向が+y方向、車両10が後退する方向が−y方向となる。
【0061】
車両10のレーダ装置2はレーダ検出範囲RWを物体検出範囲とする。図3では、レーダ装置2はレーダ装置2を備えた車両10の走行する車線MR内で、車両10と同方向(+y方向)に走行する車両TA11を検出範囲に含んでいる。
【0062】
また、車両10はカメラ13を備えた画像処理装置3を備えている。カメラ13は図3に示す画像検出範囲CWを検出範囲とし、車両TA11、合流路を示す標識105、及び、車両10の左方向(−x方向)の白線WL1、及び、車両10の右方向(+x方向)の白線WL2を検出範囲に含んでいる。
【0063】
なお、レーダ検出範囲RWと画像検出範囲CWとを比較すると、検出可能な距離(+y方向)は、レーダ2の検出距離がカメラ13の検出距離よりも遠方の検出が可能である。また、レーダ装置2及び画像処理装置3の位置の車両10が直進する方向(+y方向)を0度とした場合の検出角度(±x方向)は、画像検出範囲CWがレーダ検出範囲RWよりも広い角度となる。
<1−3−1.処理>
図4、及び、図5は車両制御部31の処理フローチャートである。以下、図4及び図5を用いて車両制御部31の処理について説明する。
【0064】
車両制御部31のACC制御部211は、車両10の前方で自車線MR内を走行している車両TA11(図6に示す。)を制御対象としている。つまり、車両10が車両TA11をACC制御対象とし、所定の速度内で所定の車間距離を保つように走行している。その際に、画像処理装置3から車両制御部31が合流車線の存在を示す情報(図6に示す合流路の標識105の情報。)を受信した場合(ステップS101がYes)は、ステップS102の処理へ進む。なお、合流車線の存在を示す情報を車両制御部31が受信していない場合(ステップS101がNo)は、車両TA11を制御対象としたACC制御を継続する(ステップS118)。
【0065】
ステップS102では、カメラ13を備えた画像処理装置3が検出した白線WL1及び白線WL2(図6に示す。)の位置に基づいて、車両10が走行する自車線MR(図6に示す。)の位置の情報を車両制御部31が受信して、ステップS103の処理へ進む。
【0066】
ステップS103では、合流車線CRに車両TA12(図7に示す。)が存在する場合(ステップS103がYes)は、車両10と合流車線CR(図7に示す。)に存在する車両TA12との距離が10mよりも大きいか否かを検出する(ステップS104)。
【0067】
そして、車両10と合流車線CRに存在する車両TA12との距離が、基準距離(例えば、10m)よりも大きい場合(ステップS104がYes)は、ステップS105の処理へ進む。
【0068】
ステップS105では、車両TA11と車両10との距離が、車両TA12と車両10との距離よりも大きい場合、つまり、車両TA12が車両TA11よりも車両10に対して近い位置にある場合(ステップS105がYes)は、ステップS106の処理へ進む。
【0069】
なお、ステップS103において、合流車線CRに存在する車両TA12が存在しない場合(ステップS103がNo)は、車両TA11を制御対象としたACC制御を継続する(ステップS118)。
【0070】
また、車両TA11及び車両10の距離よりも車両TA12及び車両10の距離のほうが大きい場合、つまり、車両TA12が車両TA11よりも車両10に対して遠い位置にある場合(ステップS105がNo)は、車両TA11を制御対象としたACC制御を継続する(ステップS118)。
【0071】
なお、ステップS104において、車両10と車両TA12との距離が10mよりも小さい場合については、後に詳述する。
【0072】
ステップS106では、車両10のウインカー48がOFFの場合(ステップS106がYes)で、ユーザによる車両10のステアリングホイール47の操作がない場合(ステップS107がYes)は、これまで制御対象としていた車両TA11の制御対象の設定を解除する。つまり、車両10が車線AR(図7に示す車線AR)に車線変更することを検出していない場合は車両TA11の制御対象の設定を解除する。
【0073】
そして、合流車線CRに存在する車両TA12を新たな制御対象としてACC制御部211が設定する(ステップS108)。車両TA12を制御対象として設定した後は、ACC制御部211は車両TA12と車両10との距離を一定に保つようにACC制御を行う(ステップS109)。
【0074】
なお、ステップS106において車両10のウインカー48がONの場合(ステップS106がNo)、及び、ユーザにより車両10のステアリングホイール47の操作が行われた場合(ステップS107がNo)は車両TA11を制御対象としたACC制御を継続する(ステップS119)。つまり、車両10が車線ARに車線変更することを検出した場合は車両TA11の制御対象としたACC制御を継続する。
<1−4−1.合流車線の車両へのACC制御>
以下、これまで説明した処理(ステップS101〜ステップS109の処理)について詳細に説明する。図6は、車両10が自車線MR内の前方を走行する車両TA11をACC制御対象とする状態を示す図である。
【0075】
ACC制御部211は、車両10の走行する車線MR内で車両10の前方を車両10と同方向(+y方向)に走行する車両TA11を制御対象として所定速度内で所定の車間距離を保つように車両10の挙動を制御する。
【0076】
ACC制御部211は、車両10が車両TA11との距離(y方向)を縦距離DL1として所定距離を保つようにブレーキ27及びアクセル37のスロットルを制御する。
【0077】
また、カメラ13は画像検出範囲CWに車両TA11、合流路の標識105、白線WL1、及び、白線WL2を含んでいる。画像制御部23はカメラ13の撮影画像から白線WL1、WL2の位置、合流路の標識105の情報、及び、車両TA11の情報などを車両制御装置11の受信部21に出力する。
【0078】
図7は、合流車線CRに存在する車両TA12を制御対象とする状態を示す図である。ACC制御部211は、受信部21が受信した合流路の存在を示す情報、白線WL1、WL2、及び、レーダ装置2の物体の位置情報などに基づいて、合流車線CRに存在する車両TA12を検出する。
【0079】
詳細には、合流車線CRの位置を画像制御部23が受信部21を介して車両制御部31に出力する。レーダ装置2は車両10からみた車両TA11及び車両TA12の縦距離、横距離、及び、相対速度などの物体情報をレーダ制御部22から受信部21を介して車両制御部31に出力する。
【0080】
そして、レーダ制御部22の検出結果に基づいて、ACC制御部211は車両10と車両TA11との縦距離の値が10mよりも大きい場合に、制御対象としている車両10及び車両TA11との縦距離DL1と、車両10及び車両TA12との縦距離DL2とを比較する。
【0081】
車両TA12の縦距離DL2の値が車両TA11の縦距離DL1の値よりも小さい場合で、車両10が車線ARに車線変更しない場合は、ACC制御部211の制御対象を車両TA11から車両TA12へと変更する。そして、ACC制御部211は車両TA12を制御対象としたACC制御を行う。これにより、車両10は衝突の危険がない状態で物体と合流した後、物体と所定距離を保った状態で走行できる。
<1−3−2.処理>
図4に戻り、車両制御部31が行う残りの処理について説明する。ステップS104において、車両10と車両TA12との距離の値が10mよりも小さい場合(ステップS104がNo)について説明する。この場合、次の処理であるステップS110の処理に進む。
【0082】
ステップS110では、車両TA12と車両10との車幅方向の距離(±x方向)である横距離DS1(図8に示す。)の値をレーダ制御部22から受信部21を介して車両制御部31が受信する。そして、車両10のカメラ13の搭載位置から車両10の左側(−x方向)の白線WL1(図8に示す。)と車両10とのレーン距離DR(図8に示す。)の値を画像制御部23から受信部21を介して車両制御部31が受信する。さらに、合流車線の幅(±x方向)を例えば3.6mとした場合の合流車線の白線WL1から合流車線CRの略中央までの距離(約1.8m)である道路中央距離DC(図8に示す)の値を画像制御部23から受信部21を介して車両制御部31が受信する。
【0083】
そして、横距離DS1がレーン距離DRと道路中央距離DCとの合計の値よりも小さい場合(ステップS110がYes)は、次の処理であるステップS111に進む。
【0084】
ステップS111では、車両10と車両TA12との横距離DS1の値について、レーダ制御部22が過去の物体検出となる前回の物体検出を行った際の車両10と車両TA12との横距離DS1(図9に示す。)と、今回の物体検出を行った際の車両10と車両TA12との横距離DS2(図9に示す。)とを比較して、今回の物体検出による横距離DS2の値が前回の物体検出による横距離DS1の値よりも小さい値の場合(ステップS111がYes)は、ステップS112の処理へ進む。
【0085】
なお、ステップS110において横距離DS1の値がレーン距離DRの値と道路中央距離DCの値との合計の値よりも大きい場合は、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS120)。
【0086】
また、ステップS111において、今回横距離DS2の値が前回横距離DS1の値よりも大きい値の場合(ステップS111がNo)は、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS120)。
【0087】
ステップS112では、レーダ制御部22が今回の物体検出処理の車両TA12の位置から、次の物体検出処理の車両10と車両TA12との横距離を予測して算出する。つまり、次の物体検出処理における車両10とTA12との予測横距離DS3(図10に示す。)をレーダ制御部22からPCS制御部212が受信する(ステップS112)。なお、この予測横距離DS3の算出をPCS制御部212が行うこととしてもよい。
【0088】
そして、予測横距離DS3の値がレーン距離DR(図10に示す。)の値よりも小さい場合(ステップS113がYes)は、ステップS114に進む。
【0089】
ステップS114では、車両10のウインカー48がOFFの場合(ステップS114がYes)で、ユーザによる車両10のステアリングホイール47の操作がない場合(ステップS115がYes)は、合流車線CRに存在する車両TA12を制御対象としてPCS制御部212が設定する(ステップS116)。車両TA12を制御対象として設定した後、PCS制御部212はブレーキ27の制御を行い車両10の速度を減速する制御などを行う(ステップS117)。
【0090】
なお、ステップS113において予測横距離DS3の値よりもレーン距離DRの値が小さい場合は、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS121)。
【0091】
また、ステップS114において車両10のウインカー48がONの場合(ステップS106がNo)は、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS121)。
【0092】
また、ステップS115においてユーザにより車両10のステアリングホイール47の操作が行われた場合(ステップS115がNo)のは、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS121)。
<1−4−2.合流車線の車両へのPCS制御>
以下、これまで説明した処理(ステップS110〜ステップS117の処理)について詳細に説明する。図8は、合流車線CRの車両TA12との縦距離DL3及び横距離DS1の検出を示す図である。PCS制御部212は、受信部21が受信した合流路の存在を示す情報、及び、レーダ装置2が物体を検出した情報に基づいて、合流車線CRに存在する車両TA12を検出する。
【0093】
そして、レーダ制御部22から受信部21を介してPCS制御部212が受信した縦距離DL3の値は、所定の間隔(例えば10m)を下回っている場合にPCS制御を行うか否かの判定(図4に示すステップS110に対応)を以下のように行う。
【0094】
レーダ制御部22から合流車線CRに存在する車両TA12と車両10との横距離DS1の値をPCS制御部212が受信する。
【0095】
車両10のカメラ13の搭載位置から車両10の左側(−x方向)の白線WL1と車両10との間隔であるレーン距離DR(x方向)の値は、カメラ13の撮影画像に基づいて画像処理装置3により検出される。また、白線WL1から合流車線CRの幅の略中央の間隔である道路中央距離DCはカメラ13の撮影画像に基づいて画像処理装置3により検出される。
【0096】
このようにレーダ制御部22により算出された横距離DS1の値が、画像制御部23により算出されたレーン距離DRの値、及び、道路中央距離DCの値の合計値よりも小さい場合に、PCS制御部212は制御を行うための次の条件判定(図4に示すステップS111に対応)を行う。
【0097】
図9は、過去の物体検出処理により検出された横距離DS1と今回の物体検出処理により検出された横距離DS2とを示す図である。図9に示す横距離DS1は、レーダ制御部22より過去(例えば前回)の物体検出処理に検出された車両10と車両12との車幅方向(±x方向)の距離である。そして、横距離DS2は、レーダ制御部22により過去に検出された物体情報よりも時間が経過しているタイミング(例えば今回)の物体検出より検出された車両10と車両TA12aとの車幅方向(±x方向)の距離である。
【0098】
PCS制御部212は横距離DS1と横距離DS2とを比較する。そして、横距離DS2の値が横距離DS1の値よりも小さいため、つまり、車幅方向では前回検出した車両TA12よりも今回検出した車両TA12aが車両10に接近しているため、PCS制御部212は、制御を行うための次の条件判定(図5に示すステップS113の処理に対応)を行う。
【0099】
図10は、合流車線の車両TA12との予測横距離DS3の検出を示す図である。図10に示す予測横距離DS3は、次の物体検出処理で検出されると予想される車両TA12bと車両10との横距離を予測したものである。つまり、レーダ制御部22により過去(例えば前回)の物体検出処理により検出された車両TA12aの位置情報から、次にレーダ制御部22が物体検出処理を行った際に、検出される可能性のある車両TA12bの位置を算出する。
【0100】
そして、車両TA12bの予測位置から車両10と車両12bとの横距離の値の予測値(予測横距離DS3)を算出した情報PCS制御部212が受信する。
【0101】
次に、図10では予測横距離DS3の値がレーン距離DRの値よりも小さいか否かを判定する。図10では、予測横距離DS3の値がレーン距離DRの値よりも小さいため、車両10のウインカー48がOFFで、ユーザによるステアリングホイール47の操作がない場合、PCS制御部212は車両TA12を制御対象として設定する。
【0102】
つまり、車幅方向の距離でみた場合に、時間が経過するごとに車両TA12の位置が車両10に接近している場合で、車両10が車線ARに車線変更しないときに、PCS制御部212は車両TA12をPCS制御の対象に設定する。そして、PCS制御部212はブレーキ27を制御して車両10の速度を減速するなどのPCS制御を行う。
【0103】
なお、上記の図4のステップS104で説明した基準距離(例えば、10m)は車両10の速度に応じて変更できる。例えば、車両制御部31が合流車線CRに存在する車両TA12を検出した場合に、車両10の速度が60km/hの場合は基準距離を10mとする。そして、車両10の速度が70km/hの場合は基準距離を20mとし、車両10の速度が80km/hの場合は基準距離を30mとする。
【0104】
つまり、合流車線CRを走行している車両TA12を検出した場合に、車両10の速度に応じて車両制御装置11の車両メモリ41に記録されている複数の基準距離の値のうち車両10の速度に対応した値が車両制御部31により選択され、設定される。このように、車両10の速度の変化に適した基準距離に基づいて、車両制御部31による制御が行われる。
【0105】
また、基準距離は合流車線CRに存在する車両TA12に対する車両10の相対速度に応じて変更できる。たとえば、車両TA12が80km/hで走行している場合に、車両10が80km/hで走行している場合(相対速度0km/h)よりも、車両TA12が60km/hで車両10が80km/hで走行している場合(相対速度20km/h)に基準となる距離の値を大きくする。
【0106】
車両TA12よりも速度の速い車両10が時間経過ごとに車両進行方向の距離(縦距離)を縮めて車両TA12へ接近することから、相対速度が小さい場合と比べて基準距離の値を大きく設定する。これにより、車両10が車両TA12を検出した後、早期にPCS制御を行える。
【0107】
そのため、車両TA12よりも車両10の速度が大きい場合で、車両TA12のような合流車線に存在する物体に対する車両10の相対速度が大きいほど車両メモリ41に記録されている相対速度に対応する基準距離の値が大きくなっている。このように、車両TA12に対する車両10の相対速度に応じて、基準距離の設定を変更することで車両10の適正な制御が行える。また、車両TA12に対する車両10の相対速度に応じて基準距離を変更することで、車両10の速度に応じた車両制御が行える。
【0108】
また、ACC及びPCSの制御判定において、その他の距離条件を車両TA12に対する車両10の相対速度応じて変更することも可能である。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の車両制御システム100の構成及び処理は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、車両制御部31の処理が一部相違する。このため以下、相違点を中心に説明する。
<2−1.処理>
図11及び図12は、第2の実施の形態の車両制御部31の処理フローチャートである。この処理フローチャートにおける第1の実施の形態で図4及び図5により説明した処理との相違点の一つは、図12におけるステップS108、及び、ステップS109の処理がステップS106の処理前に行われることである。つまり、車両制御部31が車両10のウインカー48及びステアリングホイール47の操作の有無を判定する前に、ACC制御部211が車両12TAをACC制御の対象とする点が相違している。また、その他の相違点はステップS119の処理内容が変更されたことである。
【0109】
詳細には、図11のステップS105において、車両10と車両TA11との距離(縦距離DL1)の値よりも、車両10と車両TA12との距離(縦距離DL2)の値が小さい場合(ステップS105がYes)、ステップS106の処理を行うのではなく、ステップS108の処理を行う。
【0110】
つまり。車両TA12をACC制御部211が制御対象に設定する(ステップS108)。そして、ACC制御部211は所定速度内で車両TA12と車両10との間隔を一定に保つようにACC制御を行い(ステップS109)、ステップS106の処理に進む。
【0111】
ステップS106では、車両10のウインカー48がONの場合(ステップS106がNo)は、すなわち車両10が車線変更をすることを検知した場合は、車両TA12をACC制御の制御対象とする設定をACC制御部211が解除する(ステップS119)。
【0112】
また、ユーザによる車両10のステアリングホイール47の操作が有る場合(ステップS107がNo)は、車両TA12をACC制御の制御対象とする設定をACC制御部211が解除する(ステップS119)。これにより、合流車線に存在する物体が合流しても車両10は合流した物体とは異なる車線を走行するため、制御の必要のない対象への設定を解除できる。
【0113】
さらに、別の相違点としては、図12に示すようにステップS116、及び、ステップS117の処理がステップS113の処理とステップS114との間で行われ、ステップS122の処理が新たに設けられたことである。つまり、車両制御部31が車両10のウインカー48及びステアリングホイール47の操作の有無を判定する前に、PCS制御部212が車両12TAをPCS制御の対象とする点が相違している。
【0114】
詳細には、ステップS113では予測横距離DS3の値がレーン距離DRの値よりも小さい場合(ステップS113がYes)は、ステップS114の処理を行うのではなく、ステップS116の処理へ進む。つまり、車両TA12をPCS制御部212が制御対象に設定する(ステップS116)。
【0115】
そして、PCS制御部212はブレーキ27の制御を行い車両10の速度を減速する制御などを行い(ステップS117)、ステップS114の処理へ進む。
【0116】
また、ステップS114において車両10のウインカー48がONの場合(ステップS114がNo)は、すなわち、車両10が車線変更をすることを検知した場合は、車両TA12をPCS制御の制御対象とする設定をPCS制御部212が解除する(ステップS122)。
【0117】
また、ステップS115においてユーザにより車両10のステアリングホイール47の操作が行われた場合(ステップS115がNo)の場合は、車両TA12をPCS制御の制御対象とする設定をPCS制御部212が解除する(ステップS122)。これにより、合流車線に存在する物体が合流しても車両10は合流した物体とは異なる車線を走行するため、制御の必要のない対象への設定を解除できる。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態の車両制御システム100の構成及び処理は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、新たにナビゲーション装置4を備えている点が一部相違する。このため以下、相違点を中心に説明する。
【0118】
図13は車両制御システム100aのブロック図である。この車両システム100aは第1の実施の形態で説明した図2に示す車両制御システム100にナビゲーション装置4を加えたシステムである。
【0119】
ナビゲーション装置4は、車両10の運転席及び助手席のユーザの手が届きやすいダッシュボード上などに設けられ、車両10の現在地表示、目的地への経路案内、及び、その他の機能により画像及び音声の出力を行う。なお、ナビゲーション装置4はダッシュボード上以外にもダッシュボード内に設置してもよく、運転席及び助手席のユーザが視認及び操作のしやすい位置であれば他の場所に設置してもよい。
【0120】
また、ナビゲーション装置4は、GPS(Global Positioning System)14、ナビ制御部24、及び、ナビメモリ34を備えている。GPS14は地球を周回する多数のGPS衛星のうち少なくとも3つ以上の衛星からの電波に基づいて車両10の位置を測位するシステムである。
【0121】
ナビ制御部24は、ナビメモリ34に記録されている地図情報の中から車両10が現在走行している車線に隣接して合流する合流車線を検出して、その合流車線の検出情報を車両制御装置11に出力する。また、その他に車両10の現在位置やユーザが設定した目的地までの案内を画像及び音声を用いて行う。さらに、各種オーディオコンテンツの再生及び放送波を受信して、ユーザへの画像及び音声の出力を行う。
【0122】
ナビメモリ34はナビ制御部24が処理を行うための各種パラメータ、及び、各種機能の設定値などを記録する。
【0123】
そして、第1の実施の形態で説明した画像制御部23による合流路の検出はナビ制御部24により合流路の検出するようにしてもよい。つまり、車両10が合流車線CRの近傍に位置することをカメラ13が合流路の標識105を撮影して画像処理装置が処理を行って検出する以外に、ナビゲーション装置4がナビメモリ34に記録されている地図情報と、GPS14を用いた車両10の現在位置を示す情報に基づいて合流路の位置を検出するようにしてもよい。これにより、合流車線の検出を正確に、及び、確実に行える。
<変形例>
以下、変形例について説明する。なお、上記の実施の形態、及び、下記で説明する形態を含む全ての形態は適宜に組み合わせ可能である。
【0124】
上記の実施の形態では、車両制御部31はACC制御部211、及び、PCS制御部212を備えることとして説明したが、車両制御部31がACC制御部211のみを備えるようにしてもよい。つまり、車両10が合流車線に存在する物体を制御対象として設定し、車両10が合流車線から自車線に進入する物体を追従走行するように車両10の挙動を制御するようにしてもよい。これにより、車両10は合流車線から自車線に進入する物体との衝突の危険がない状態で合流車線から自車線に物体が進入した後、進入した物体を対象として所定速度内で所定距離を保つ走行ができる。
【0125】
また、上記の実施の形態では、車両制御部31はACC制御部211、及び、PCS制御部212を備えることとして説明したが、車両制御部31がPCS制御部212のみを備えるようにしてもよい。つまり、車両10が合流車線に存在する物体を制御対象として設定し、車両10が制御対象との衝突を防止するよう車両10の挙動を制御するようにしてもよい。これにより、合流車線から自車線に進入する物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0126】
また、上記実施の形態で説明したレーダ制御部22による物体検出の処理は画像制御部23による物体検出の処理としても良い。つまり、車両10と車両TA11、及び、車両TA12との縦距離、及び、横距離などの情報はレーダ装置2以外にカメラ13を備えた画像処理装置3により検出するようにしてもよい。
【0127】
また、上記実施の形態で説明した白線WL1及びWL2は、自車線MR、隣接車線AR、及び、合流車線CRの境界を示す。そのため、白線以外にも各車線の境界を示すものであれば、白線以外であってもよい。
【0128】
また、ACC制御の車両10と制御対象との間隔はユーザが任意に設定できる。例えば、間隔を60m、80m、及び100mなど複数の間隔のうちからユーザの任意の間隔に設定できる。
【符号の説明】
【0129】
2・・・・・レーダ装置
3・・・・・画像処理装置
4・・・・・ナビゲーション装置
11・・・・車両制御装置
13・・・・カメラ
100・・・車両制御システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺の情報に基づく車両制御の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーダ装置及び画像処理装置を使用したシステムとしては車間自動制御システム(ACC:Adaptive Cruise Control)があり、自車両の走行する自車線内の前方を走行する他車両との車間距離が所定距離以下であることを検知すると、予め設定された速度の範囲内で自車両と他車両との距離を所定距離とするように車両制御を行っていた。また、自車両と自車両の走行する自車線内の前方及び後方を走行する他車両との衝突を防止するために車両と他車両との車間距離が一定の距離を下回った場合に、衝突に備えて自車両の速度を減速するブレーキ制御などのPCS(Pre−Crush Safty)制御を行うシステムがあった。なお、本発明と関連する技術を説明する資料としては特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−321299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自車両が自車線の前方を走行する車両をACCの制御対象とし、一定の車間距離を保つように所定の速度範囲内で走行している場合に、合流車線を走行している車両が自車線内に進入するときがある。このようなときに、ACCの制御部がこれまで制御対象としていた車両から自車線へ進入してきた車両に制御対象を切り替えて、車間距離を所定距離に保つ制御を行おうとしても、車間距離が短すぎて車両を減速する制御が間に合わずに自車線に侵入してきた車両と衝突する可能性があった。
【0005】
また、PCS制御は自車線を走行する車両を制御対象とし、自車線以外の合流車線を走行する車両は制御対象とはしていない。そのため、合流車線から自車線に車両が進入してきた場合に、その車両を制御対象としても車間距離が短すぎて、衝突に備えて車両を減速するなどの制御が十分に機能しない可能性があった。
【0006】
本発明は、合流車線に存在する物体に対して、車両が適切な車両制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、車両の挙動を制御する車両制御システムであって、前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象との相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する車線検出手段と、前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の車両制御システムにおいて、前記制御手段は、前記車両が前記制御対象との進行方向の距離を所定の距離とするように前記車両の挙動を制御する第1制御手段を含む。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の車両制御システムにおいて、前記制御手段は、前記車両が制御対象との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるように前記車両の挙動を制御する第2制御手段を含む。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の車両制御システムにおいて、前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体と前記車両との進行方向の距離が第1距離を下回る場合で、前記合流車線に存在する物体と前記車両との車幅方向の距離が第2距離を下回るときに、前記合流車線に存在する物体を前記第2制御手段の制御対象に設定する。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の車両制御システムにおいて、前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体に対する前記車両の相対速度に応じて前記第1距離、及び、前記第2距離の少なくとも一つを変更する。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の車両制御システムにおいて、前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体を前記制御対象に設定した後に、ユーザの操作により前記車両が車線変更することを検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を制御対象とする設定を解除する。
【0013】
また、請求項7の発明は、車両の挙動を制御する車両制御システムであって、前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線の情報を受信する受信手段と、前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、を備える。
【0014】
また、請求項8の発明は、車両の挙動を制御する車両制御装置であって、前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線の情報、及び、前記車両の前方に存在する物体の情報を受信する受信手段と、前記受信手段が前記合流車線に存在する物体の情報を受信した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、を備える。
【0015】
また、請求項9の発明は、車両の挙動を制御する車両制御方法であって、前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する工程と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する工程と、前記車両の前方を走行する物体を検出する工程と、前記物体を検出する工程が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する工程と、を備える。
【0016】
また、請求項10の発明は、車両の挙動を制御する車両制御システムであって、前記車両の前方に存在する物体のうち前記車両が走行する車線の範囲内に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する車線検出手段と、前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、前記車線検出手段が、前記合流車線を検出した場合に、前記制御対象とする物体を前記車両が走行する車線に存在する物体に加えて、前記合流車線に存在する物体を含むこととする対象設定手段と、を備える。
【0017】
また、請求項11の発明は、請求項10に記載の車両制御システムにおいて、前記制御手段は、前記車両と前記物体との相対距離が第3距離を下回らないように前記車両の挙動を制御する第3制御手段を含む。
【0018】
さらに、請求項12の発明は、請求項11に記載の車両制御システムにおいて、前記制御手段は、前記物体との相対距離が前記第3距離よりも短い第4距離となった場合に、前記車両と前記制御対象との衝突に備えるように前記車両の挙動を制御する第4制御手段を含む。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし12の発明によれば、物体検出手段が合流車線に存在する物体を検出した場合に、合流車線に存在する物体を制御手段の制御対象に設定することで、合流車線に存在する物体が自車線に進入する前に制御対象とできる。
【0020】
また、特に請求項2の発明によれば、制御手段は、車両が制御対象との進行方向の距離を所定の距離とするように車両の挙動を制御する第1制御手段を含むことで、車両は衝突の危険がない状態で物体と合流した後、物体と所定の距離を保った状態で走行できる。
【0021】
また、特に請求項3の発明によれば、制御手段は、車両が制御対象との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるように車両の挙動を制御することで、自車線に合流する物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0022】
また、特に請求項4の発明によれば、設定手段は、合流車線に存在する物体と車両との進行方向の距離が第1距離を下回る場合で、合流車線に存在する物体と車両との車幅方向の距離が第2距離を下回るときに、合流車線に存在する物体を第2制御手段の制御対象に設定することで、車両との進行方向及び車幅方向の間隔が接近している物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0023】
また、特に請求項5の発明によれば、設定手段は、合流車線に存在する物体に対する車両の相対速度に応じて第1距離、及び、第2距離の少なくとも一つを変更することで、車両の速度に応じた車両制御を行える。
【0024】
また、特に請求項6の発明によれば、設定手段は、合流車線に存在する物体を制御対象に設定した後に、ユーザの操作により車両が車線変更することを検出した場合に、合流車線に存在する物体を制御対象とする設定を解除することで、合流車線に存在する物体が合流しても車両は合流した物体とは異なる車線を走行するため、制御の必要のない対象への設定を解除できる。
【0025】
また、特に請求項10の発明によれば、車線検出手段が、前記合流車線を検出した場合に、前記制御対象とする物体を前記車両が走行する車線に存在する物体に加えて、合流車線に存在する物体を含むことで、自車線だけではなく合流車線に存在する物体も制御対象とできる。
【0026】
また、特に請求項11の発明によれば、制御手段は、車両と物体との相対距離が第3距離を下回らないように前記車両の挙動を制御する第3制御手段を含むことで、車両は物体との距離を所定距離に保った状態で走行できる。
【0027】
さらに、特に請求項12の発明によれば、制御手段は、車両と物体との相対距離が第3距離よりも短い第4距離となった場合に、車両と制御対象との衝突に備えるように車両の挙動を制御する第4制御手段を含むことで、車両が物体と衝突する可能性がある場合に確実に衝突に備えた制御を行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、車両の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、車両制御システムのブロック図である。
【図3】図3は、レーダ装置及びカメラを備えた画像処理装置の物体検出範囲を示す図である。
【図4】図4は、車両制御部の処理フローチャートである。
【図5】図5は、車両制御部の処理フローチャートである。
【図6】図6は、車両が自車線内の前方を走行する車両を追従走行する状態を示す図である。
【図7】図7は、合流車線の車両を制御対象とする状態を示す図である。
【図8】図8は、合流車線の車両との縦距離及び横距離の検出を示す図である。
【図9】図9は、過去の物体検出処理により検出された横距離と今回の物体検出処理により検出された横距離とを示す図である。
【図10】図10は、合流車線の車両との予測横距離の検出を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態の車両制御部の処理フローチャートである。
【図12】図12は、第2の実施の形態の車両制御部の処理フローチャートである。
【図13】図13は、車両制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
<第1の実施の形態>
<1−1.構成>
図1は、車両10の全体図である。車両10には、レーダ装置2、画像処理装置3、車両制御装置11、及び、カメラ13が設けられている。
【0031】
レーダ装置2は、車両10の前方のフロント部分に設けられる。また、レーダ装置2は、車両10と車両10の前方の物体との距離以下、「縦距離」ともいう。)、および、車両10に対する物体の角度に基づく、車両10と物体との車幅方向の左右の横位置(以下、「横距離」ともいう。)を検出する。さらに、レーダ装置2が検出した物体に対する車両10の相対速度を検出する。なお、車両10の前方とは、車両10の自車線の領域のみではなく、車両10の前側方の領域も含む。つまり、後に説明する図3の自車線MRの範囲に加えて合流車線CRの範囲も含む。また、レーダ装置2の車両10への搭載位置は車両前方のフロント部分に限らず、車両10の後方及び側方などの車両10の車体のどの位置に設けても良い。
【0032】
画像処理装置3は、車両10の車室内に設けられている。画像処理装置3は、電子的に画像を取得するカメラ13が撮影した撮影画像の処理を行い、撮影により得られた撮影画像内の物体の位置や種類などを検出する。また、カメラ13はフロントガラスの天井付近に設けられている。なお、カメラ13の搭載位置はフロントガラスの車室内天井付近限らず、車両の内外で後方及び側方などの車両10の車体のどの位置に設けても良い。また、画像処理装置3の位置は車両10の車室内に限らず、カメラ13と一体型するなど他の位置に配置してもよい。
【0033】
車両制御装置11は、車両10の車両本体内部に設けられており、車両10の各部から出力される情報に基づいて車両10の挙動を制御する。
【0034】
図2は、車両制御システム100のブロック図である。車両制御システム100は、物体の位置などを検出するレーダ装置2と、物体の位置及び種類などを検出する画像処理装置3と、車両の各部からの出力される情報に基づいて車両10を制御する車両制御装置11とを備えている。
【0035】
レーダ装置2は、アンテナ12、レーダ制御部22、及び、レーダメモリ32を備えている。アンテナ12は車両10の外部へ送信波を送信し、車外の物体に当たってはね返った電波を受信波として受信する。
【0036】
レーダ制御部22は、送信波及び受信波の時間差及びドップラーシフトの情報などに基づいて、車両10と物体との縦距離、横距離、及び、相対速度の情報を検出して、車両制御装置11へこれらの物体情報を出力する。
【0037】
レーダメモリ32は、レーダ制御部22が物体情報を検出するための各種パラメータ、及び、検出した物体情報を記録する。
【0038】
画像処理装置3は、画像制御部23、及び、画像メモリ33を備えている。画像制御部23は、カメラ13が撮影した撮影画像の中から例えばパターンマッチングの画像検出により、合流路の標識105、白線WL1、及び、白線WL2(図3に示す。)などを検出する。
【0039】
詳細には画像処理装置3は、カメラ13が撮影した画像を走査し、画像の輝度の変化に基づいて対象となる画像の大きさを検出し、画像メモリ33に記録された物体の種類に応じた形状及び大きさなどのパターンに基づいてパターンマッチングを行い、対象の画像の物体の種類を判別する。また、画像処理装置3は画像の大きさに基づいて対象の画像の位置を検出する。そして、画像処理装置3は検出した情報を車両制御装置11に出力する。
【0040】
画像メモリ33は、画像制御部23が物体を検出するための各種パラメータ、及び、検出した物体情報を記録する。
カメラ13は車両10の前方を撮影して、撮影情報を画像制御部23へ出力する。また、カメラ13のレンズは、カメラ13を車両10に搭載した位置の車両10の直進する方向(図3に示すxy軸の+y方向)を0度とした約±40度の撮影範囲を有する単眼レンズである。また、その他に車両10の直進する方向を0度とした約±95度の撮影範囲を有する魚眼レンズなど車両10の周囲を撮影できるレンズであれば各種レンズの使用が可能である。
【0041】
車両制御装置11は、受信部21、車両制御部31、及び、車両メモリ41を備えている。受信部21はレーダ制御部22、及び、画像制御部23により出力される車両10が走行する車線に合流する合流車線の情報、及び、合流車線に存在する物体の情報を受信する。また、受信部21はこれ以外にも、レーダ制御部22、及び、画像制御部23により出力される各種情報を受信する。なお、合流車線に存在する物体とは合流車線上の移動物及び合流車線上の静止物のいずれか一つをいう。さらに、移動物とは、合流車線上を走行している車両など(車両及びバイクのいずれか一つ)をいい、静止物とは合流車線上にある停止した車両などをいう。
【0042】
車両制御部31は、受信部21が受信した情報に基づいて車両10の各部の制御を行う。また、車両制御部31はACC制御部211、及び、PCS制御部212を備える。
【0043】
ACC制御部211はACC(Adaptive Cruise Control)に関する制御を行う。詳細にはACC制御部211は、車両10が制御対象との進行方向の距離を所定の距離とするように車両10の挙動を制御する。そして、車両10が走行する車線に合流する合流車線を画像処理装置3が検出し、合流車線に存在する物体をレーダ装置2が検出した場合は、ACC制御部211は合流車線に存在する物体を制御対象とする。これにより、合流車線に存在する物体が自車線に進入する前に制御対象とできる。
【0044】
詳細には、受信部21が画像制御部23から、車両10が走行する車線に合流する合流車線を検出する情報を受信する。そして、受信部21がレーダ制御部22から合流車線に存在する物体の情報を受信した場合、ACC制御部211は合流車線に存在する物体をACCの制御対象として車間距離を所定速度内で所定距離に保って走行するように車両10の挙動を制御する。
【0045】
つまり、ACC制御部211は車両10が合流車線に存在する物体と所定距離を保つようにブレーキ27及びアクセル37のスロットル開度の制御を行う。これにより、車両10は衝突の危険がない状態で物体と合流した後、物体と所定距離を保った状態で走行できる。
【0046】
PCS制御部212は、PCS(Pre−Crash Safty)に関する制御を行う。つまり、制御対象との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるようにするために、PCS制御部212は、合流車線に存在する物体を車両10の制御対象とする。これにより、自車線に合流する物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0047】
詳細には、受信部21が画像制御部23から車両10が走行する車線に合流する合流車線を検出する情報を受信する。そして、受信部21がレーダ制御部22から合流車線にある物体の存在を示す情報を受信する。その結果、PCS制御部212は合流車線から自車線に進入する物体との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるようにするためにブレーキを制御するなどの車両10の挙動を制御する
また、PCS制御部212は、受信部21を介してレーダ制御部22から、車両10と合流車線に存在する物体との距離(図8に示す縦距離DL3。)が例えば、約10mを下回わったことを示す情報を受信する。また、PCS制御部212は、受信部21を介してレーダ制御部22から合流車線に存在する物体と車両10との車幅方向の距離(図8に示す横距離DS1)が所定の距離(図8に示すレーン距離DR、及び、道路中央距離DCの合計の距離)を下回わったことを示す情報を受信する。
【0048】
PCS制御部212は少なくとも車両10と合流車線に存在する物体との距離の条件(車両10と物体との距離が約10mを下回る、及び、車幅方向の距離が所定距離を下回る)を満たした場合、車両10を制御対象である物体との衝突の可能性がある場合、衝突に備えるようにブレーキ制御などを行い、車両10の挙動を制御する。
【0049】
PCS制御における車両の挙動例は、後述する警報機17によりユーザへの警告音を出力したり、ブレーキ27により車両10の走行速度を減速したり、ステアリングホイール47を自動的に操作して合流車線から自車線へ進入する物体との衝突を回避する車両制御を行う挙動がある。これにより、車両10との進行方向及び車幅方向の間隔が接近している物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0050】
なお、別のPCS制御としては、座席のシートベルトを自動的に引いて衝突時にドライバーなどの乗員の体を固定したり、衝突時に座席のヘッドレストを移動させて衝突の衝撃を緩和し、ドライバーなどの乗員の安全を確保する車両制御も行える。
【0051】
車両メモリ41は、車両制御部31が車両10の各部を制御するための各種パラメータ、及び、各制御部がACC制御及びPCS制御を行う際の車両制御データを記録する。
【0052】
また、車両制御部31は、車両10の前方に存在する物体のうち車両10が走行する車線の範囲内に存在する物体を制御対象とし、その制御対象の相対距離に応じて車両10の挙動を制御する。
【0053】
つまり、車両制御部31は画像制御部23が検出した合流車線の情報を受信部21を介して受信する。また、車両制御部31はレーダ制御部22が検出した車両10の前方に存在する物体情報を受信する。そして、車両制御部31は画像制御部23が検出した合流車線の情報を受信した場合に、車両制御部31は制御対象とする物体を車両10が走行する車線に存在する物体に加えて、合流車線に存在する物体を含むこととする設定を行う。これにより、車両制御部31は自車線だけではなく合流車線に存在する物体も制御対象とできる。
【0054】
また、ACC制御部211は、車両10と合流車線に存在する物体との相対距離が所定距離を下回らないように車両の挙動を制御する。これにより、車両10は物体との距離を所定距離に保った状態で走行できる。
【0055】
また、PCS制御部212は、車両10と合流車線に存在する物体との相対距離が所定距離よりも短い距離となった場合に車両10と制御対象との衝突に備えるように車両10の挙動を制御する。これにより、車両10が物体と衝突する可能性がある場合は、確実に衝突に備えた制御を行える。
【0056】
警報機17はPCS制御部212からの信号により作動する。警報機17は、車両10と合流車線から自車線に進入する物体との衝突可能性がある場合に衝突に備えて、ユーザへ警告音を出力する。
【0057】
ブレーキ27はACC制御部211及びPCS制御部212の信号により作動する。車両10と合流車線に存在する物体との距離を所定距離とするために車両10の速度を減速させる。
【0058】
アクセル37は、ACC制御部211の信号によりスロットル開度が制御される。アクセル37は、車両10と合流する物体との距離を所定距離とするために車両10の速度を加速させる。
【0059】
ステアリングホイール47は、PCS制御部212の信号により作動する。ステアリングホイール47は、車両10と合流車線から自車線へ進入する物体との衝突を回避するため車両10の進行方向を変更する。
【0060】
ウインカー48は、ユーザの操作により作動信号(ターンシグナル)が車両制御装置11へ出力される。
<1−2.物体の検出範囲>
図3は、レーダ装置2及びカメラ13を備えた画像処理装置3の物体検出範囲を示す図である。なお、以下においては、図中に示すxy座標軸を用いて、方向を適宜示す。このxy座標軸は車両10に対して相対的に固定されるものであり、車両10の車幅方向がx方向、車両10の進行方向がy方向にそれぞれ対応する。詳細には、車両10の左方向が−x方向、車両10の右方向が+x方向となる。また車両10が前進する方向が+y方向、車両10が後退する方向が−y方向となる。
【0061】
車両10のレーダ装置2はレーダ検出範囲RWを物体検出範囲とする。図3では、レーダ装置2はレーダ装置2を備えた車両10の走行する車線MR内で、車両10と同方向(+y方向)に走行する車両TA11を検出範囲に含んでいる。
【0062】
また、車両10はカメラ13を備えた画像処理装置3を備えている。カメラ13は図3に示す画像検出範囲CWを検出範囲とし、車両TA11、合流路を示す標識105、及び、車両10の左方向(−x方向)の白線WL1、及び、車両10の右方向(+x方向)の白線WL2を検出範囲に含んでいる。
【0063】
なお、レーダ検出範囲RWと画像検出範囲CWとを比較すると、検出可能な距離(+y方向)は、レーダ2の検出距離がカメラ13の検出距離よりも遠方の検出が可能である。また、レーダ装置2及び画像処理装置3の位置の車両10が直進する方向(+y方向)を0度とした場合の検出角度(±x方向)は、画像検出範囲CWがレーダ検出範囲RWよりも広い角度となる。
<1−3−1.処理>
図4、及び、図5は車両制御部31の処理フローチャートである。以下、図4及び図5を用いて車両制御部31の処理について説明する。
【0064】
車両制御部31のACC制御部211は、車両10の前方で自車線MR内を走行している車両TA11(図6に示す。)を制御対象としている。つまり、車両10が車両TA11をACC制御対象とし、所定の速度内で所定の車間距離を保つように走行している。その際に、画像処理装置3から車両制御部31が合流車線の存在を示す情報(図6に示す合流路の標識105の情報。)を受信した場合(ステップS101がYes)は、ステップS102の処理へ進む。なお、合流車線の存在を示す情報を車両制御部31が受信していない場合(ステップS101がNo)は、車両TA11を制御対象としたACC制御を継続する(ステップS118)。
【0065】
ステップS102では、カメラ13を備えた画像処理装置3が検出した白線WL1及び白線WL2(図6に示す。)の位置に基づいて、車両10が走行する自車線MR(図6に示す。)の位置の情報を車両制御部31が受信して、ステップS103の処理へ進む。
【0066】
ステップS103では、合流車線CRに車両TA12(図7に示す。)が存在する場合(ステップS103がYes)は、車両10と合流車線CR(図7に示す。)に存在する車両TA12との距離が10mよりも大きいか否かを検出する(ステップS104)。
【0067】
そして、車両10と合流車線CRに存在する車両TA12との距離が、基準距離(例えば、10m)よりも大きい場合(ステップS104がYes)は、ステップS105の処理へ進む。
【0068】
ステップS105では、車両TA11と車両10との距離が、車両TA12と車両10との距離よりも大きい場合、つまり、車両TA12が車両TA11よりも車両10に対して近い位置にある場合(ステップS105がYes)は、ステップS106の処理へ進む。
【0069】
なお、ステップS103において、合流車線CRに存在する車両TA12が存在しない場合(ステップS103がNo)は、車両TA11を制御対象としたACC制御を継続する(ステップS118)。
【0070】
また、車両TA11及び車両10の距離よりも車両TA12及び車両10の距離のほうが大きい場合、つまり、車両TA12が車両TA11よりも車両10に対して遠い位置にある場合(ステップS105がNo)は、車両TA11を制御対象としたACC制御を継続する(ステップS118)。
【0071】
なお、ステップS104において、車両10と車両TA12との距離が10mよりも小さい場合については、後に詳述する。
【0072】
ステップS106では、車両10のウインカー48がOFFの場合(ステップS106がYes)で、ユーザによる車両10のステアリングホイール47の操作がない場合(ステップS107がYes)は、これまで制御対象としていた車両TA11の制御対象の設定を解除する。つまり、車両10が車線AR(図7に示す車線AR)に車線変更することを検出していない場合は車両TA11の制御対象の設定を解除する。
【0073】
そして、合流車線CRに存在する車両TA12を新たな制御対象としてACC制御部211が設定する(ステップS108)。車両TA12を制御対象として設定した後は、ACC制御部211は車両TA12と車両10との距離を一定に保つようにACC制御を行う(ステップS109)。
【0074】
なお、ステップS106において車両10のウインカー48がONの場合(ステップS106がNo)、及び、ユーザにより車両10のステアリングホイール47の操作が行われた場合(ステップS107がNo)は車両TA11を制御対象としたACC制御を継続する(ステップS119)。つまり、車両10が車線ARに車線変更することを検出した場合は車両TA11の制御対象としたACC制御を継続する。
<1−4−1.合流車線の車両へのACC制御>
以下、これまで説明した処理(ステップS101〜ステップS109の処理)について詳細に説明する。図6は、車両10が自車線MR内の前方を走行する車両TA11をACC制御対象とする状態を示す図である。
【0075】
ACC制御部211は、車両10の走行する車線MR内で車両10の前方を車両10と同方向(+y方向)に走行する車両TA11を制御対象として所定速度内で所定の車間距離を保つように車両10の挙動を制御する。
【0076】
ACC制御部211は、車両10が車両TA11との距離(y方向)を縦距離DL1として所定距離を保つようにブレーキ27及びアクセル37のスロットルを制御する。
【0077】
また、カメラ13は画像検出範囲CWに車両TA11、合流路の標識105、白線WL1、及び、白線WL2を含んでいる。画像制御部23はカメラ13の撮影画像から白線WL1、WL2の位置、合流路の標識105の情報、及び、車両TA11の情報などを車両制御装置11の受信部21に出力する。
【0078】
図7は、合流車線CRに存在する車両TA12を制御対象とする状態を示す図である。ACC制御部211は、受信部21が受信した合流路の存在を示す情報、白線WL1、WL2、及び、レーダ装置2の物体の位置情報などに基づいて、合流車線CRに存在する車両TA12を検出する。
【0079】
詳細には、合流車線CRの位置を画像制御部23が受信部21を介して車両制御部31に出力する。レーダ装置2は車両10からみた車両TA11及び車両TA12の縦距離、横距離、及び、相対速度などの物体情報をレーダ制御部22から受信部21を介して車両制御部31に出力する。
【0080】
そして、レーダ制御部22の検出結果に基づいて、ACC制御部211は車両10と車両TA11との縦距離の値が10mよりも大きい場合に、制御対象としている車両10及び車両TA11との縦距離DL1と、車両10及び車両TA12との縦距離DL2とを比較する。
【0081】
車両TA12の縦距離DL2の値が車両TA11の縦距離DL1の値よりも小さい場合で、車両10が車線ARに車線変更しない場合は、ACC制御部211の制御対象を車両TA11から車両TA12へと変更する。そして、ACC制御部211は車両TA12を制御対象としたACC制御を行う。これにより、車両10は衝突の危険がない状態で物体と合流した後、物体と所定距離を保った状態で走行できる。
<1−3−2.処理>
図4に戻り、車両制御部31が行う残りの処理について説明する。ステップS104において、車両10と車両TA12との距離の値が10mよりも小さい場合(ステップS104がNo)について説明する。この場合、次の処理であるステップS110の処理に進む。
【0082】
ステップS110では、車両TA12と車両10との車幅方向の距離(±x方向)である横距離DS1(図8に示す。)の値をレーダ制御部22から受信部21を介して車両制御部31が受信する。そして、車両10のカメラ13の搭載位置から車両10の左側(−x方向)の白線WL1(図8に示す。)と車両10とのレーン距離DR(図8に示す。)の値を画像制御部23から受信部21を介して車両制御部31が受信する。さらに、合流車線の幅(±x方向)を例えば3.6mとした場合の合流車線の白線WL1から合流車線CRの略中央までの距離(約1.8m)である道路中央距離DC(図8に示す)の値を画像制御部23から受信部21を介して車両制御部31が受信する。
【0083】
そして、横距離DS1がレーン距離DRと道路中央距離DCとの合計の値よりも小さい場合(ステップS110がYes)は、次の処理であるステップS111に進む。
【0084】
ステップS111では、車両10と車両TA12との横距離DS1の値について、レーダ制御部22が過去の物体検出となる前回の物体検出を行った際の車両10と車両TA12との横距離DS1(図9に示す。)と、今回の物体検出を行った際の車両10と車両TA12との横距離DS2(図9に示す。)とを比較して、今回の物体検出による横距離DS2の値が前回の物体検出による横距離DS1の値よりも小さい値の場合(ステップS111がYes)は、ステップS112の処理へ進む。
【0085】
なお、ステップS110において横距離DS1の値がレーン距離DRの値と道路中央距離DCの値との合計の値よりも大きい場合は、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS120)。
【0086】
また、ステップS111において、今回横距離DS2の値が前回横距離DS1の値よりも大きい値の場合(ステップS111がNo)は、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS120)。
【0087】
ステップS112では、レーダ制御部22が今回の物体検出処理の車両TA12の位置から、次の物体検出処理の車両10と車両TA12との横距離を予測して算出する。つまり、次の物体検出処理における車両10とTA12との予測横距離DS3(図10に示す。)をレーダ制御部22からPCS制御部212が受信する(ステップS112)。なお、この予測横距離DS3の算出をPCS制御部212が行うこととしてもよい。
【0088】
そして、予測横距離DS3の値がレーン距離DR(図10に示す。)の値よりも小さい場合(ステップS113がYes)は、ステップS114に進む。
【0089】
ステップS114では、車両10のウインカー48がOFFの場合(ステップS114がYes)で、ユーザによる車両10のステアリングホイール47の操作がない場合(ステップS115がYes)は、合流車線CRに存在する車両TA12を制御対象としてPCS制御部212が設定する(ステップS116)。車両TA12を制御対象として設定した後、PCS制御部212はブレーキ27の制御を行い車両10の速度を減速する制御などを行う(ステップS117)。
【0090】
なお、ステップS113において予測横距離DS3の値よりもレーン距離DRの値が小さい場合は、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS121)。
【0091】
また、ステップS114において車両10のウインカー48がONの場合(ステップS106がNo)は、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS121)。
【0092】
また、ステップS115においてユーザにより車両10のステアリングホイール47の操作が行われた場合(ステップS115がNo)のは、車両制御部31はアクセル37のスロットル開度を制御して車両10の速度を制御する。また、車両制御部31はそのままの速度を維持して車両TA12を追い越す制御を行う(ステップS121)。
<1−4−2.合流車線の車両へのPCS制御>
以下、これまで説明した処理(ステップS110〜ステップS117の処理)について詳細に説明する。図8は、合流車線CRの車両TA12との縦距離DL3及び横距離DS1の検出を示す図である。PCS制御部212は、受信部21が受信した合流路の存在を示す情報、及び、レーダ装置2が物体を検出した情報に基づいて、合流車線CRに存在する車両TA12を検出する。
【0093】
そして、レーダ制御部22から受信部21を介してPCS制御部212が受信した縦距離DL3の値は、所定の間隔(例えば10m)を下回っている場合にPCS制御を行うか否かの判定(図4に示すステップS110に対応)を以下のように行う。
【0094】
レーダ制御部22から合流車線CRに存在する車両TA12と車両10との横距離DS1の値をPCS制御部212が受信する。
【0095】
車両10のカメラ13の搭載位置から車両10の左側(−x方向)の白線WL1と車両10との間隔であるレーン距離DR(x方向)の値は、カメラ13の撮影画像に基づいて画像処理装置3により検出される。また、白線WL1から合流車線CRの幅の略中央の間隔である道路中央距離DCはカメラ13の撮影画像に基づいて画像処理装置3により検出される。
【0096】
このようにレーダ制御部22により算出された横距離DS1の値が、画像制御部23により算出されたレーン距離DRの値、及び、道路中央距離DCの値の合計値よりも小さい場合に、PCS制御部212は制御を行うための次の条件判定(図4に示すステップS111に対応)を行う。
【0097】
図9は、過去の物体検出処理により検出された横距離DS1と今回の物体検出処理により検出された横距離DS2とを示す図である。図9に示す横距離DS1は、レーダ制御部22より過去(例えば前回)の物体検出処理に検出された車両10と車両12との車幅方向(±x方向)の距離である。そして、横距離DS2は、レーダ制御部22により過去に検出された物体情報よりも時間が経過しているタイミング(例えば今回)の物体検出より検出された車両10と車両TA12aとの車幅方向(±x方向)の距離である。
【0098】
PCS制御部212は横距離DS1と横距離DS2とを比較する。そして、横距離DS2の値が横距離DS1の値よりも小さいため、つまり、車幅方向では前回検出した車両TA12よりも今回検出した車両TA12aが車両10に接近しているため、PCS制御部212は、制御を行うための次の条件判定(図5に示すステップS113の処理に対応)を行う。
【0099】
図10は、合流車線の車両TA12との予測横距離DS3の検出を示す図である。図10に示す予測横距離DS3は、次の物体検出処理で検出されると予想される車両TA12bと車両10との横距離を予測したものである。つまり、レーダ制御部22により過去(例えば前回)の物体検出処理により検出された車両TA12aの位置情報から、次にレーダ制御部22が物体検出処理を行った際に、検出される可能性のある車両TA12bの位置を算出する。
【0100】
そして、車両TA12bの予測位置から車両10と車両12bとの横距離の値の予測値(予測横距離DS3)を算出した情報PCS制御部212が受信する。
【0101】
次に、図10では予測横距離DS3の値がレーン距離DRの値よりも小さいか否かを判定する。図10では、予測横距離DS3の値がレーン距離DRの値よりも小さいため、車両10のウインカー48がOFFで、ユーザによるステアリングホイール47の操作がない場合、PCS制御部212は車両TA12を制御対象として設定する。
【0102】
つまり、車幅方向の距離でみた場合に、時間が経過するごとに車両TA12の位置が車両10に接近している場合で、車両10が車線ARに車線変更しないときに、PCS制御部212は車両TA12をPCS制御の対象に設定する。そして、PCS制御部212はブレーキ27を制御して車両10の速度を減速するなどのPCS制御を行う。
【0103】
なお、上記の図4のステップS104で説明した基準距離(例えば、10m)は車両10の速度に応じて変更できる。例えば、車両制御部31が合流車線CRに存在する車両TA12を検出した場合に、車両10の速度が60km/hの場合は基準距離を10mとする。そして、車両10の速度が70km/hの場合は基準距離を20mとし、車両10の速度が80km/hの場合は基準距離を30mとする。
【0104】
つまり、合流車線CRを走行している車両TA12を検出した場合に、車両10の速度に応じて車両制御装置11の車両メモリ41に記録されている複数の基準距離の値のうち車両10の速度に対応した値が車両制御部31により選択され、設定される。このように、車両10の速度の変化に適した基準距離に基づいて、車両制御部31による制御が行われる。
【0105】
また、基準距離は合流車線CRに存在する車両TA12に対する車両10の相対速度に応じて変更できる。たとえば、車両TA12が80km/hで走行している場合に、車両10が80km/hで走行している場合(相対速度0km/h)よりも、車両TA12が60km/hで車両10が80km/hで走行している場合(相対速度20km/h)に基準となる距離の値を大きくする。
【0106】
車両TA12よりも速度の速い車両10が時間経過ごとに車両進行方向の距離(縦距離)を縮めて車両TA12へ接近することから、相対速度が小さい場合と比べて基準距離の値を大きく設定する。これにより、車両10が車両TA12を検出した後、早期にPCS制御を行える。
【0107】
そのため、車両TA12よりも車両10の速度が大きい場合で、車両TA12のような合流車線に存在する物体に対する車両10の相対速度が大きいほど車両メモリ41に記録されている相対速度に対応する基準距離の値が大きくなっている。このように、車両TA12に対する車両10の相対速度に応じて、基準距離の設定を変更することで車両10の適正な制御が行える。また、車両TA12に対する車両10の相対速度に応じて基準距離を変更することで、車両10の速度に応じた車両制御が行える。
【0108】
また、ACC及びPCSの制御判定において、その他の距離条件を車両TA12に対する車両10の相対速度応じて変更することも可能である。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の車両制御システム100の構成及び処理は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、車両制御部31の処理が一部相違する。このため以下、相違点を中心に説明する。
<2−1.処理>
図11及び図12は、第2の実施の形態の車両制御部31の処理フローチャートである。この処理フローチャートにおける第1の実施の形態で図4及び図5により説明した処理との相違点の一つは、図12におけるステップS108、及び、ステップS109の処理がステップS106の処理前に行われることである。つまり、車両制御部31が車両10のウインカー48及びステアリングホイール47の操作の有無を判定する前に、ACC制御部211が車両12TAをACC制御の対象とする点が相違している。また、その他の相違点はステップS119の処理内容が変更されたことである。
【0109】
詳細には、図11のステップS105において、車両10と車両TA11との距離(縦距離DL1)の値よりも、車両10と車両TA12との距離(縦距離DL2)の値が小さい場合(ステップS105がYes)、ステップS106の処理を行うのではなく、ステップS108の処理を行う。
【0110】
つまり。車両TA12をACC制御部211が制御対象に設定する(ステップS108)。そして、ACC制御部211は所定速度内で車両TA12と車両10との間隔を一定に保つようにACC制御を行い(ステップS109)、ステップS106の処理に進む。
【0111】
ステップS106では、車両10のウインカー48がONの場合(ステップS106がNo)は、すなわち車両10が車線変更をすることを検知した場合は、車両TA12をACC制御の制御対象とする設定をACC制御部211が解除する(ステップS119)。
【0112】
また、ユーザによる車両10のステアリングホイール47の操作が有る場合(ステップS107がNo)は、車両TA12をACC制御の制御対象とする設定をACC制御部211が解除する(ステップS119)。これにより、合流車線に存在する物体が合流しても車両10は合流した物体とは異なる車線を走行するため、制御の必要のない対象への設定を解除できる。
【0113】
さらに、別の相違点としては、図12に示すようにステップS116、及び、ステップS117の処理がステップS113の処理とステップS114との間で行われ、ステップS122の処理が新たに設けられたことである。つまり、車両制御部31が車両10のウインカー48及びステアリングホイール47の操作の有無を判定する前に、PCS制御部212が車両12TAをPCS制御の対象とする点が相違している。
【0114】
詳細には、ステップS113では予測横距離DS3の値がレーン距離DRの値よりも小さい場合(ステップS113がYes)は、ステップS114の処理を行うのではなく、ステップS116の処理へ進む。つまり、車両TA12をPCS制御部212が制御対象に設定する(ステップS116)。
【0115】
そして、PCS制御部212はブレーキ27の制御を行い車両10の速度を減速する制御などを行い(ステップS117)、ステップS114の処理へ進む。
【0116】
また、ステップS114において車両10のウインカー48がONの場合(ステップS114がNo)は、すなわち、車両10が車線変更をすることを検知した場合は、車両TA12をPCS制御の制御対象とする設定をPCS制御部212が解除する(ステップS122)。
【0117】
また、ステップS115においてユーザにより車両10のステアリングホイール47の操作が行われた場合(ステップS115がNo)の場合は、車両TA12をPCS制御の制御対象とする設定をPCS制御部212が解除する(ステップS122)。これにより、合流車線に存在する物体が合流しても車両10は合流した物体とは異なる車線を走行するため、制御の必要のない対象への設定を解除できる。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態の車両制御システム100の構成及び処理は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、新たにナビゲーション装置4を備えている点が一部相違する。このため以下、相違点を中心に説明する。
【0118】
図13は車両制御システム100aのブロック図である。この車両システム100aは第1の実施の形態で説明した図2に示す車両制御システム100にナビゲーション装置4を加えたシステムである。
【0119】
ナビゲーション装置4は、車両10の運転席及び助手席のユーザの手が届きやすいダッシュボード上などに設けられ、車両10の現在地表示、目的地への経路案内、及び、その他の機能により画像及び音声の出力を行う。なお、ナビゲーション装置4はダッシュボード上以外にもダッシュボード内に設置してもよく、運転席及び助手席のユーザが視認及び操作のしやすい位置であれば他の場所に設置してもよい。
【0120】
また、ナビゲーション装置4は、GPS(Global Positioning System)14、ナビ制御部24、及び、ナビメモリ34を備えている。GPS14は地球を周回する多数のGPS衛星のうち少なくとも3つ以上の衛星からの電波に基づいて車両10の位置を測位するシステムである。
【0121】
ナビ制御部24は、ナビメモリ34に記録されている地図情報の中から車両10が現在走行している車線に隣接して合流する合流車線を検出して、その合流車線の検出情報を車両制御装置11に出力する。また、その他に車両10の現在位置やユーザが設定した目的地までの案内を画像及び音声を用いて行う。さらに、各種オーディオコンテンツの再生及び放送波を受信して、ユーザへの画像及び音声の出力を行う。
【0122】
ナビメモリ34はナビ制御部24が処理を行うための各種パラメータ、及び、各種機能の設定値などを記録する。
【0123】
そして、第1の実施の形態で説明した画像制御部23による合流路の検出はナビ制御部24により合流路の検出するようにしてもよい。つまり、車両10が合流車線CRの近傍に位置することをカメラ13が合流路の標識105を撮影して画像処理装置が処理を行って検出する以外に、ナビゲーション装置4がナビメモリ34に記録されている地図情報と、GPS14を用いた車両10の現在位置を示す情報に基づいて合流路の位置を検出するようにしてもよい。これにより、合流車線の検出を正確に、及び、確実に行える。
<変形例>
以下、変形例について説明する。なお、上記の実施の形態、及び、下記で説明する形態を含む全ての形態は適宜に組み合わせ可能である。
【0124】
上記の実施の形態では、車両制御部31はACC制御部211、及び、PCS制御部212を備えることとして説明したが、車両制御部31がACC制御部211のみを備えるようにしてもよい。つまり、車両10が合流車線に存在する物体を制御対象として設定し、車両10が合流車線から自車線に進入する物体を追従走行するように車両10の挙動を制御するようにしてもよい。これにより、車両10は合流車線から自車線に進入する物体との衝突の危険がない状態で合流車線から自車線に物体が進入した後、進入した物体を対象として所定速度内で所定距離を保つ走行ができる。
【0125】
また、上記の実施の形態では、車両制御部31はACC制御部211、及び、PCS制御部212を備えることとして説明したが、車両制御部31がPCS制御部212のみを備えるようにしてもよい。つまり、車両10が合流車線に存在する物体を制御対象として設定し、車両10が制御対象との衝突を防止するよう車両10の挙動を制御するようにしてもよい。これにより、合流車線から自車線に進入する物体に対して、衝突に備えたユーザへの早期の警報、及び、車両へのブレーキ制御などを行うことで衝突した場合の被害を軽減できる。
【0126】
また、上記実施の形態で説明したレーダ制御部22による物体検出の処理は画像制御部23による物体検出の処理としても良い。つまり、車両10と車両TA11、及び、車両TA12との縦距離、及び、横距離などの情報はレーダ装置2以外にカメラ13を備えた画像処理装置3により検出するようにしてもよい。
【0127】
また、上記実施の形態で説明した白線WL1及びWL2は、自車線MR、隣接車線AR、及び、合流車線CRの境界を示す。そのため、白線以外にも各車線の境界を示すものであれば、白線以外であってもよい。
【0128】
また、ACC制御の車両10と制御対象との間隔はユーザが任意に設定できる。例えば、間隔を60m、80m、及び100mなど複数の間隔のうちからユーザの任意の間隔に設定できる。
【符号の説明】
【0129】
2・・・・・レーダ装置
3・・・・・画像処理装置
4・・・・・ナビゲーション装置
11・・・・車両制御装置
13・・・・カメラ
100・・・車両制御システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の挙動を制御する車両制御システムであって、
前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象との相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する車線検出手段と、
前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記車両が前記制御対象との進行方向の距離を所定の距離とするように前記車両の挙動を制御する第1制御手段を含むこと、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記車両が制御対象との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるように前記車両の挙動を制御する第2制御手段を含むこと、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両制御システムにおいて、
前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体と前記車両との進行方向の距離が第1距離を下回る場合で、前記合流車線に存在する物体と前記車両との車幅方向の距離が第2距離を下回るときに、前記合流車線に存在する物体を前記第2制御手段の制御対象に設定すること、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御システムにおいて、
前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体に対する前記車両の相対速度に応じて前記第1距離、及び、前記第2距離の少なくとも一つを変更すること、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の車両制御システムにおいて、
前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体を前記制御対象に設定した後に、ユーザの操作により前記車両が車線変更することを検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を制御対象とする設定を解除すること、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項7】
車両の挙動を制御する車両制御システムであって、
前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線の情報を受信する受信手段と、
前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項8】
車両の挙動を制御する車両制御装置であって、
前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線の情報、及び、前記車両の前方に存在する物体の情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記合流車線に存在する物体の情報を受信した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項9】
車両の挙動を制御する車両制御方法であって、
前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する工程と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する工程と、
前記車両の前方を走行する物体を検出する工程と、
前記物体を検出する工程が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する工程と、
を備えることを特徴とする車両制御方法。
【請求項10】
車両の挙動を制御する車両制御システムであって、
前記車両の前方に存在する物体のうち前記車両が走行する車線の範囲内に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する車線検出手段と、
前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、
前記車線検出手段が、前記合流車線を検出した場合に、前記制御対象とする物体を前記車両が走行する車線に存在する物体に加えて、前記合流車線に存在する物体を含むこととする対象設定手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項11】
請求項10に記載の車両制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記車両と前記物体との相対距離が第3距離を下回らないように前記車両の挙動を制御する第3制御手段を含むこと、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項12】
請求項11に記載の車両制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記物体との相対距離が前記第3距離よりも短い第4距離となった場合に、前記車両と前記制御対象との衝突に備えるように前記車両の挙動を制御する第4制御手段を含むこと、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項1】
車両の挙動を制御する車両制御システムであって、
前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象との相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する車線検出手段と、
前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記車両が前記制御対象との進行方向の距離を所定の距離とするように前記車両の挙動を制御する第1制御手段を含むこと、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記車両が制御対象との衝突の可能性がある場合に衝突に備えるように前記車両の挙動を制御する第2制御手段を含むこと、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両制御システムにおいて、
前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体と前記車両との進行方向の距離が第1距離を下回る場合で、前記合流車線に存在する物体と前記車両との車幅方向の距離が第2距離を下回るときに、前記合流車線に存在する物体を前記第2制御手段の制御対象に設定すること、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御システムにおいて、
前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体に対する前記車両の相対速度に応じて前記第1距離、及び、前記第2距離の少なくとも一つを変更すること、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の車両制御システムにおいて、
前記設定手段は、前記合流車線に存在する物体を前記制御対象に設定した後に、ユーザの操作により前記車両が車線変更することを検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を制御対象とする設定を解除すること、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項7】
車両の挙動を制御する車両制御システムであって、
前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線の情報を受信する受信手段と、
前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項8】
車両の挙動を制御する車両制御装置であって、
前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線の情報、及び、前記車両の前方に存在する物体の情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記合流車線に存在する物体の情報を受信した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する設定手段と、
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項9】
車両の挙動を制御する車両制御方法であって、
前記車両の前方に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する工程と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する工程と、
前記車両の前方を走行する物体を検出する工程と、
前記物体を検出する工程が前記合流車線に存在する物体を検出した場合に、前記合流車線に存在する物体を前記制御手段の制御対象に設定する工程と、
を備えることを特徴とする車両制御方法。
【請求項10】
車両の挙動を制御する車両制御システムであって、
前記車両の前方に存在する物体のうち前記車両が走行する車線の範囲内に存在する物体を制御対象とし、該制御対象の相対距離に応じて前記車両の挙動を制御する制御手段と、
前記車両が走行する車線に合流する合流車線を検出する車線検出手段と、
前記車両の前方に存在する物体を検出する物体検出手段と、
前記車線検出手段が、前記合流車線を検出した場合に、前記制御対象とする物体を前記車両が走行する車線に存在する物体に加えて、前記合流車線に存在する物体を含むこととする対象設定手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項11】
請求項10に記載の車両制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記車両と前記物体との相対距離が第3距離を下回らないように前記車両の挙動を制御する第3制御手段を含むこと、
を特徴とする車両制御システム。
【請求項12】
請求項11に記載の車両制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記物体との相対距離が前記第3距離よりも短い第4距離となった場合に、前記車両と前記制御対象との衝突に備えるように前記車両の挙動を制御する第4制御手段を含むこと、
を特徴とする車両制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−51503(P2012−51503A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196884(P2010−196884)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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