説明

車両制御システム及び車両制御ユニット

【課題】二輪車の解施錠の手間を省き、かつ安全性の高いシステムを提供すること。
【解決手段】走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図1(a)の場合には、停止中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から停止中の旨の情報を得た場合、施錠を行ってもよいと判断し、解施錠部3に施錠の指示を出す。解施錠部3は、入力部4から施錠の指示を受け取ると、自転車1の施錠を行う。このようにして、利用者は自転車1に施錠されたことを確認し、その場を後にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の使用者にとって最適な制御を行うための車両制御システムを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題や個人の健康が重要視される中、自転車の利用が高まってきている。最近の自転車では、坂道を登る際のアシストを行う電動自転車も増えてきており、高価格化が進んでいる。このような中で、自転車の盗難件数も増えてきている。よって、利用者は、自転車に鍵をつけ、解施錠を行うことが一般的になっている。この場合、利用者は駐輪時に自転車の前輪または後輪に取り付けられている鍵を使って施錠し、施錠した鍵を持ち歩く。そして、自転車に乗る際には、所持している鍵を鍵穴に指して解錠する。
【0003】
ここで、従来の解施錠の方法では、自転車の前輪または後輪に取り付けられている鍵部のロック爪を押し込むことで施錠して鍵を抜き取り、解錠時は持ち歩いた鍵を鍵部に挿入してロック爪をはずすことにより解錠することとなるが、無理な体勢での解施錠を強いられると共に、手先や腕が車輪その他と接触する可能性が高く、衣服が汚れたりする場合が散見される。これに対して、遠隔から解施錠できるようなシステムが検討されている。これは、利用者が無線通信可能なキーを有し、キーに付属するボタン等を押下するだけで、遠隔で自転車の解施錠ができる仕組みである。
【特許文献1】特開平10−196188号公報
【特許文献2】特開2000−190885号公報
【特許文献3】特開2000−213217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の遠隔解施錠には、以下のような問題点がある。第1に、遠隔でキーのボタン等を押下して解施錠を行うが、走行中に誤ってキーのボタンを押下した場合、施錠機構が動作して、転倒等の重大事故を引き起こす可能性がある。よって、遠隔での操作は解錠のみに限定しているものもあるが、施錠は手動とすると従来の問題を解決することができない。第2に、キー側のボタン等を押下して自転車の解施錠を行う場合、利用者は解施錠時にキーを探す必要があるということである。例えば、自転車施錠後に、キーをカバン等に入れている場合、駐輪場に戻ってきた場合にカバンの中からキーを探すことになるが、どこに入れたか忘れる場合が考えられ、探すのに手間がかかる、特に、夜間は探すのが大変である。このように、せっかく解施錠を遠隔でできるようにしても、遠隔で行う為のキーを探す手間は、従来の手動で解施錠を行う場合と同様に発生する。以上にように、上記従来の遠隔解施錠には大きな問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、使用者にとって最適な制御を行うための車両制御システム、及び車両制御ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両制御システム及び車両制御ユニットでは、車両外部から送信されてくる電文を受信する無線通信部と、車両が走行中か否かを判断する走行検知部とを備えている。このため車両の走行状態に応じて、外部から送信されてくる電文の受信を制限することができる。したがって、車両が駐車中であれば、使用者が携帯無線装置を持って近づいた際に、自動的に車両を制御することができる。また、同時に携帯無線装置内に使用者に合った仕様を組み込んでおけば、使用者が車両に近づいただけで
、カスタマイズされた仕様を車両に反映させることが可能になる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両制御システム及び車両制御ユニットによれば、個々人の嗜好や安全性に沿った最適制御を自動で行うことができ、利用者の利便性がいちじるしく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、車両と、前記車両に取り付けた無線通信部と無線通信を行う携帯無線装置とから構成される車両制御システムであって、前記車両には、前記車両が走行中か否かを検知する走行検知部と、前記車両を駆動またはそれを補助する駆動手段と、駆動手段を制御するための制御手段とを備え、前記走行検知部によって車両が走行中でないと判断した場合には、前記制御手段は前記携帯無線装置からの走行条件入力信号に応じて前記駆動手段を制御し走行条件を可変とし、前記走行検知部によって車両が走行中と判断した場合には、前記制御手段は前記携帯無線装置からの走行条件入力信号に応じないよう制御を行なうことで、車両が停車中のみ、車両に搭載されている走行条件を更新することができ、安全に配慮した最適制御が可能となる。
【0009】
第2の発明は、車両が走行中か否かを検知する走行検知部と、携帯無線装置との通信を行なう無線通信部と、前記車両を駆動またはそれを補助する駆動手段と、駆動手段を制御するための制御手段とで構成される車両制御ユニットであって、前記走行検知部によって前記車両が走行中でないと判断した場合には、前記制御手段は前記携帯無線装置からの走行条件入力信号に応じて前記駆動手段を制御する走行条件を可変とし、前記走行検知部によって車両が走行中と判断した場合には、前記制御手段は前記携帯無線装置からの走行条件入力信号に応じないように制御することで、車両に搭載されている走行条件を車両が停車しているときのみ更新することができ、安全に配慮した最適制御ができるとともに、単純なアルゴリズムで情報を反映させることが可能となる。
【0010】
第3の発明は、走行検知部は、速度検知手段を備え、前記制御手段は、前記携帯無線装置から送信されてくる電文と前記速度検知手段の出力に応じて、前記駆動手段を制御する制御量を可変させることで、使用者の嗜好の設定を固定値だけでなく、車両の速度に応じて可変することができ、より多彩な使用者の嗜好および、最適性を実現することができる。
【0011】
第4の発明は、走行検知部は、車両の走行時間、走行距離、前記踏力検知手段で検出される踏力情報のいずれかを前記無線通信部を介して、前記携帯無線装置へ送信することで、使用者が車両をどのように利用しているかを知り得ることができ、使用者の健康状態、体力の把握、維持、管理に役立てることができる。加えて、送信された情報を用いれば、次回、使用者が車両を利用する際に、反映する走行条件を学習させることができる。
【0012】
第5の発明は、携帯無線装置から前記車両へ送信される電文には、前記制御手段の制御量または、制御時間情報を含んでいることで、車両の走行条件を設定する際に、使用者の嗜好設定を時間に関係した最適制御をすることができ、より多彩な設定が可能になる。
【0013】
第6の発明は、携帯無線装置は、携帯無線装置が運動した量を検出する運動量検出手段と、運動量検出手段に応じて車両制御ユニット内の駆動手段の制御量を算出する携帯演算手段とを備えることで、使用者が車両に乗っていないときの運動状態や、行動パターンを把握することができる。これにより、使用者が車両に乗っていない期間の行動パターン等を踏まえ、車両の走行条件を携帯無線装置内で学習することができ、次回、使用者が車両へ乗る際により多彩な最適制御が可能となる。
【0014】
第7の発明は、携帯無線装置は、時刻情報を出力する時刻出力手段と、時刻出力手段に応じて前記解施錠ユニットの駆動手段の制御量を算出するための携帯演算手段とを備えることで、時刻に応じ車両の走行条件を更新することができ、より使用者にあった最適制御が可能となる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1のシステム構成図を示す。図1において、1は自転車である。2は走行検知部である。3は解施錠部である。4は入力部である。なお、図1において、(a)は自転車1が停止中の場合であり、(b)は自転車1が走行中の場合である。
【0017】
図1(a)において、動作を図3のフローチャートを用いながら説明する。利用者が自転車1を停めてスタンドを立てた状態でまだ施錠をしていない(解錠中)の場合、利用者は、その後、自転車1に施錠を行う。この場合、利用者は自転車1の入力部4を操作して自転車1を施錠する。具体的には、例えば、入力部4は押しボタン式のスイッチになっており、利用者は当該スイッチを押すことにより施錠を行う(図3のS31)。このようにして利用者が施錠操作を行った場合、入力部4は現在「解錠中」である状態で入力信号を受信したことで、施錠動作を行おうとする(図3のS32)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0018】
図1において、走行検知部2は自転車1のスタンドに取り付けられている。そして、走行検知部2は、自転車1のスタンドが立っているかいないかを検知している。これは、スタンドが立っている場合は、自転車1は停止中、すなわち走行していない状態であり、スタンドが立っていない場合は、自転車1は走行中の状態とみなすことができる為である。
【0019】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図1(a)の場合には、停止中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から停止中の旨の情報を得た場合(図3のS33)、施錠を行ってもよいと判断し、解施錠部3に施錠の指示を出す。解施錠部3は、入力部4から施錠の指示を受け取ると、自転車1の施錠を行う(図3のS34)。
【0020】
なお、図1では、解施錠部3は自転車1の後輪に取り付けられており、何らかの方法で自転車1の後輪をロック状態にして施錠する。これで、自転車1は「解錠中」から「施錠中」に遷移する。このようにして、利用者は自転車1に施錠されたことを確認し、その場を後にする。
【0021】
次に、利用者が自分の自転車1の場所に戻ってきて、これから自転車1に乗ろうとする場合について説明する。利用者が今から自転車1に乗ろうとする場合、先程と同じように、入力部4のスイッチを押す(図3のS31)。ここで、入力部4は、現在「施錠中」である状態で入力信号を受信したことで、解錠動作を行おうとする(図3のS32)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0022】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか
否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図1(a)の場合には、停止中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から停止中の旨の情報を得た場合(図3のS33)、解錠を行ってもよいと判断し、解施錠部3に解錠の指示を出す。解施錠部3は、入力部4から解錠の指示を受け取ると、自転車1の解錠を行う(図3のS34)。これで、自転車1は「施錠中」から「解錠中」に遷移する。このようにして、利用者は自転車1が解錠されたことを確認し、スタンドをはずして自転車に乗る。
【0023】
次に、利用者が走行中に誤って施錠ボタンを押下した場合について、図1(b)及び図3のフローチャートを用いながら説明する。入力部4は、現在「解錠中」である状態で入力信号を受信したことで(図3のS31)、施錠動作を行おうとする(図3のS32)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0024】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図1(b)の場合には、走行中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から走行中の旨の情報を得た場合、施錠を行ってはいけないと判断し(図3のS33)、解施錠部3に施錠の指示を出さない。結果として、自転車1は施錠されない。これにより、利用者が走行中に誤って施錠ボタンを押下した場合でも、自転車1が施錠されない為、図1では後輪がロックされることがなく、重大事故を防ぐことができる。
【0025】
以上のように、利用者は、自転車を1タッチで容易に施錠したり解錠したりすることができると共に、誤った操作による施錠の結果の重大事故を防ぐことができる。
【0026】
なお、上記実施の形態において、入力部4と走行検知部2、入力部4と解施錠部3の情報のやり取りは、それぞれを有線で接続して行ってもよいし、無線で接続して行ってもよい。
【0027】
また、上記実施の形態においては、入力部4が自転車1の現在の状態、すなわち「解錠中」か「施錠中」かの状態を有し、それに応じて入力部4に入力があった場合に、その入力が解錠要求なのか施錠要求なのかを判断する構成としたが、入力部4に、解錠スイッチと施錠スイッチを設け、どちらのスイッチが操作されたかによって解錠要求なのか施錠要求なのかを判断する構成としてもよいし、入力部4は、「解錠中」か「施錠中」かの状態を有せず、解施錠部3が有してもよい。
【0028】
さらに、上記実施の形態では、入力部4が走行検知部2に走行状態を問い合わせし、その結果を取得して解施錠部3に指示を出すか否かを判断する構成としたが、走行検知部2が常時、もしくは走行状態に変化があった時にその旨を入力部4または解施錠部3に送り、入力部4または解施錠部3で走行中か否かの状態を保持する方法でもよい。
【0029】
(実施の形態2)
図2に、本発明の実施の形態2のシステム構成図を示す。なお、図1と同じ役割のものは説明を省略する。図2において、5は無線キーである。
【0030】
図2において、動作を図4のフローチャートを用いながら説明する。自転車1の利用者は、無線キー5を常に携帯している。すなわち、自転車1の利用者は、カバンやポケット等に常に無線キー5を携帯しており、無線キー5は自転車1の所有者本人であることを証明するものとみなすことができる。
【0031】
ここで、実施の形態1と同様に、利用者が自転車1を停める場合を考える。図2において、利用者が自転車1を停めてスタンドを立てた状態でまだ施錠をしていない(解錠中)の場合、利用者は、その後、自転車1に施錠を行う。
【0032】
この場合、利用者は自転車1の入力部4を操作して自転車1を施錠する。具体的には、例えば、入力部4は押しボタン式のスイッチになっており、利用者は当該スイッチを押すことにより施錠を行う(図4のS41)。このようにして利用者が施錠操作を行った場合、入力部4は現在「解錠中」である状態で入力信号を受信したことで、施錠動作を行おうとする(図4のS42)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0033】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図2の場合には、停止中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から停止中の旨の情報を得た場合(図4のS43)、次に無線キー5に対して無線通信を行う。
【0034】
ここで、利用者が自転車1の解錠中に施錠を行う場合、前述のように利用者が入力部4のスイッチを押下するので、利用者は自転車1の傍にいるはずである。よって、当該利用者が所持している無線キー5も自転車1の傍にあるはずである。
【0035】
ゆえに、自転車1の入力部4が無線キー5に対して無線通信を行おうとした場合、電波が十分届く範囲内に無線キー5は存在しているはずなので、入力部4と無線キー5の無線通信は成功する。ここで、入力部4は無線キー5との無線通信が成功した場合、先程入力部4のスイッチを押下したのが利用者本人であると認識する。すなわち、本人認証が成立したこととなる(図4のS44)。
【0036】
入力部4は、無線キー5との無線通信が成功し本人認証が成立した場合、施錠を行ってもよいと判断し、解施錠部3に施錠の指示を出す。解施錠部3は、入力部4から施錠の指示を受け取ると、自転車1の施錠を行う(図4のS45)。これで、自転車1は「解錠中」から「施錠中」に遷移する。このようにして、利用者は自転車1に施錠されたことを確認し、その場を後にする。
【0037】
一方、利用者が自分の自転車1の場所に戻ってきて、これから自転車1に乗ろうとする場合についても同様である。すなわち、利用者が今から自転車1に乗ろうとする場合、先程と同じように、入力部4のスイッチを押す(図4のS41)。ここで、入力部4は、現在「施錠中」である状態で入力信号を受信したことで、解錠動作を行おうとする(図4のS42)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0038】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図2の場合には、停止中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から停止中の旨の情報を得た場合(図4のS43)、次に無線キー5に対して無線通信を行う。入力部4は無線キー5との無線通信が成功した場合、先程入力部4のスイッチを押下したのが利用者本人であると認識する。すなわち、本人認証が成立したこととなる(図4のS44)。
【0039】
入力部4は、無線キー5との無線通信が成功し本人認証が成立した場合、解錠を行ってもよいと判断し、解施錠部3に解錠の指示を出す。解施錠部3は、入力部4から解錠の指示を受け取ると、自転車1の解錠を行う(図4のS45)。これで、自転車1は「施錠中」から「解錠中」に遷移する。このようにして、利用者は自転車1が解錠されたことを確
認し、スタンドをはずして自転車に乗る。
【0040】
次に、悪意を持った人が、自転車1を盗もうとした場合を考える。自転車1が「施錠中」に、悪意を持った人が入力部4のスイッチを押下した場合(図4のS41)、走行検知部2は自転車1が停止中と判断する(図4のS43)が、入力部4と無線キー5との無線通信は成功しない。なぜなら、自転車1の利用者が傍にいない為で、その為本人認証ができないこととなる(図4のS44)。よって、解施錠部3が動作することはなく、結果として、自転車1は解錠されない。
【0041】
以上のように、無線キー5を使った本人認証の仕組みを構築することで、自転車1の停止中のみ可能な解施錠が、自転車1の所有者本人しか実現できないこととなり、解施錠の安全性に加え、盗難防止観点からのセキュリティ性の向上も実現することが可能となる。なお、自転車1を停めて施錠する場合においても、無線キー5との本人認証を行うこともできる。こうすることで、他人がいたずら目的で施錠するといったことを防ぐことができる。
【0042】
また、本実施の形態においては、自転車1の所有者が携帯している無線キー5には、ボタン等のスイッチがついておらず、自転車1の解施錠は、自転車1に付属している入力部4のスイッチ操作で実現できる。すなわち、無線キー5に付属しているスイッチで自転車1の解施錠を行う方式ではない。これは、自転車1の解施錠を行う場合に、利用者は無線キー5をカバンやポケット等から探す必要がないことを意味する。つまり、自転車1の所有者は、無線キー5をどこでもよいから携帯しているのみで、自転車1の解施錠が手軽にできることとなる。これは、鍵を探す手間や鍵を挿入したり抜いたりする手間が必要ないことを意味し、ユーザーの利便性を大幅に向上させることができる。
【0043】
以上、本実施の形態では、入力部4が走行検知部2の状態を把握した後、無線キー5と本人認証を行う方式で説明したが、入力部4に利用者スイッチ押下が発生した時点で、先に無線キー5と本人認証を行った後、本人認証が成功したら走行検知部2に対して走行状態を確認する手順としてもよい。
【0044】
また、実施の形態1で説明したように、入力部4と走行検知部2、入力部4と解施錠部3の情報のやり取りは、それぞれを有線で接続して行ってもよいし、無線で接続して行ってもよい。
【0045】
また、入力部4が自転車1の現在の状態、すなわち「解錠中」か「施錠中」かの状態を有し、それに応じて入力部4に入力があった場合に、その入力が解錠要求なのか施錠要求なのかを判断する構成としたが、入力部4に、解錠スイッチと施錠スイッチを設け、どちらのスイッチが操作されたかによって解錠要求なのか施錠要求なのかを判断する構成としてもよいし、入力部4は、「解錠中」か「施錠中」かの状態を有せず、解施錠部3が有してもよい。
【0046】
さらに、入力部4が走行検知部2に走行状態を問い合わせし、その結果と、無線キー5との本人認証の結果を合わせて、解施錠部3に指示を出すか否かを判断する構成としたが、走行検知部2が常時、もしくは走行状態に変化があった時にその旨を入力部4または解施錠部3に送り、入力部4または解施錠部3で走行中か否かの状態を保持する方法でもよい。また、無線キー5との本人認証を行うのが、入力部4でなくても、走行検知部2であったり、解施錠部3であったりしてもよい。
【0047】
ところで、入力部4と無線キー5間で無線で行われる本人認証であるが、具体的には、自転車1のIDや無線キー5のIDを無線通信し、当該IDの照合を用いて本人認証を行
う、といった方式が考えられる。
【0048】
例えば、自転車1には、何らかの方法で事前に無線キー5のIDが記憶されており、無線キー5からの送信電波に搭載されている無線キー5のIDが、自ら記憶しているIDと一致した場合に、本人認証が成功とみなす方式や、逆に無線キー5には予め自転車1のIDが何らかの方法で事前に記憶されており、無線キー5は自転車1に対する送信電波に当該自転車1のIDを搭載し、自転車1は受信時に受信したIDと自らのIDを照合することで本人認証を行う方式もある。
【0049】
同様のことが無線キー5側でも実現でき、自転車1から無線キー5に送信される送信電波に搭載されている自転車1のID、もしくは無線キー5のIDを、無線キー5は受信時に照合することもできる。このようにすることで、自転車1と無線キー5間の無線通信の信頼性が高まり、本人認証精度が向上する。
【0050】
また、自転車1は無線キー5からの電波を受信する際の受信電界強度を測定し、その結果で本人認証の成功可否を判断することもできる。具体的には、自転車1には予め決められた受信電界強度閾値が記憶されており、無線キー5から電波を受信する際に受信電界強度を測定して、その結果が予め記憶されている閾値を上回った場合に本人認証を成功とみなすといった方法である。これは、受信電界強度をベースに距離検知を行う考え方であり、受信電界強度が低ければ、自転車1と無線キー5との距離が離れており、逆に受信電界強度が高ければ、自転車1と無線キー5との距離が近いという判断である。これにより、自転車1の所有者が自転車1の近傍にいるかいないかを判別することができ、本人認証の確実性を高めると共に、例えば、悪意を持った人物が、自転車1を盗もうとした場合に、所有者が自転車1から離れる微妙なタイミングで解錠をするといった手口を防ぐことができる。ここで、受信電界強度の判断は、1度の測定で判断をしてもよいし、複数回測定してその中央値や平均値で判断してもよい。複数回測定することで、フェージングによる受信電界強度変動の影響を排除し、判断精度を高めることができる。
【0051】
さらに、自転車1と無線キー5間の無線通信においては、通信データに暗号化を施すこともできる。例えば、予め自転車1と無線キー5双方に共通した鍵(暗号鍵)を持たせ、当該暗号鍵を使って、無線通信の暗号化や復号化を行うことで、データの秘匿性が高まり、それによって、他人が悪意を持ってデータを操作するといったことができにくくなる。しいては、本人認証の精度を大きく高めることができる。
【0052】
なお、自転車1と無線キー5間の無線通信に用いる電波は、例えば、400MHz帯に代表されるような特定小電力無線を用いて行うことも可能である。それ以外にも、微弱電波、赤外線、無線LAN、無線タグ、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)と言ったような通信媒体を利用してもよい。
【0053】
以上、実施の形態1、実施の形態2において、走行検知部2は自転車のスタンドが立っているか否かを利用して判断する説明をしたが、他の方法で走行中か否かを検出してもよい。例えば、自転車1の車輪部にセンサーを設けて、車輪が回転しているか否かを検知するような方法でもよい。
【0054】
(実施の形態3)
図5に、第3の実施の形態のシステム概要図を示す。図5において、自転車1には無線装置が搭載されており、当該自転車を複数の使用者でシェアして使用しているとする。そして、各個人が無線キー5を所有している。この無線キー5は、各個人が自転車に乗降する場合に無線通信を利用して、手動で自転車の解施錠を行わなくても、自動で解施錠が実現される。いわゆる、スマートエントリー機能の自転車版である。
【0055】
複数(図5では4人)の使用者は、それぞれ年齢も体格も異なる。そして、趣味嗜好も異なり、それぞれが、自分の好みに合ったスタイルで1台の共用自転車に乗車したいと考えている。ここで、自転車1にサドル高の自動調整機能が付加されているとする。
【0056】
次に、ある使用者が自転車1に乗車する場合を考える。その使用者は、自らの無線キー5を有して自転車1に近づく。そうすると、自転車1と使用者が有する無線キー5間で無線通信を行い、自転車1は使用者が近づいた(乗車しようとしている)と認識する。そうすると、自転車1はサドル高の自動調整機能を動作させ、サドル高を高くする(使用者の体格に合わせた最適なサドル高にする)。
【0057】
一方、他の使用者が同様に自転車1に乗車しようとした時は、サドル高を低くする(他の使用者の体格に合わせた最適なサドル高にする)。このように、乗車する人に合わせた最適なサドル高を自動的に調整することで、利用者の使い勝手が非常に向上する。
【0058】
図6に実施の形態3にける自転車1に搭載する解施錠ユニットおよび無線キーの内部ブロックを示す。
【0059】
自転車1に搭載する解施錠ユニットは、外部の無線キー5と無線通信を行なうための無線通信部601と自転車1が走行しているか否かを判断する走行検知部2と自転車1のサドル604の高さを調節する駆動手段603と、前記走行検知部2で自転車1が走行していない状態下で、外部の無線キー5からサドル604の高さ情報が送信され、前記無線通信部601で受信し、かつ無線キー5と自転車1との距離があらかじめ定められた距離あるいは電界強度レベルになったと判断し、前記電文に含まれているサドル604の高さ情報に応じて、前記駆動手段603を制御する制御手段602から構成されている。
【0060】
無線通信部601は、アンテナを介してRFID(Radio Frequency Identification:無線周波数識別)で使用されている短距離用電波やUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)、微弱、特定小電力無線等を用いてペアリング処理によるキーユニット120と対に設定した識別コードが含まれる信号の送受信を所定のプロトコルに基づき制御を行い、増幅回路、変調回路、復調回路、位相同期回路、振幅制限回路、フィルタ回路、発振回路、位相比較回路、計数回路、アナログ・ディジタル変換回路、ディジタル変換回路、ミクサ、レベル検波回路などの回路が含まれる。
【0061】
走行検出手段2は、自転車1の後輪に取り付けられている車両固定手段の位置情報によって自転車1が地面に固定されているかで走行状態を判断する方法や、自転車1の車輪に磁気を発する素子を、車輪を固定するフォークにリードスイッチを取り付け、車輪が回転することで速度を検知し走行を検知する方法、車軸に発電装置を取り付け、車輪が回転すると電圧検知ができる仕組にし、自転車1が走行しているか否かを判断するような構成をとる。
【0062】
駆動手段603は、サドル604の高さを制御するためモータ、サドル604の高さを検出する位置検出手段から構成されている。
【0063】
制御手段602は、前記無線通信部602を介して、所定のプロトコルで通信するための情報や、外部の無線キー5から送信されたサドル604の高さ情報をもとに駆動手段603を制御するためのデータ生成、前記走行検出手段2の情報を処理するために半導体等で構成したマイクロコンピュータ等の演算装置で構成されている。
【0064】
一方、無線キー5は、自転車1内の無線通信部601と所定のプロトコルに沿って通信するために、キー無線通信手段650と、無線キー5の固有IDや、無線キー5の所有者が自転車1に搭乗する際のサドル604の高さ情報を記憶する記憶手段651から構成されている。
【0065】
キー無線通信手段650は、アンテナを介してRFID(Radio Frequency Identification:無線周波数識別)で使用されている短距離用電波やUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)、微弱、特定小電力無線等を用いてペアリング処理によるキーユニット120と対に設定した識別コードが含まれる信号の送受信を所定のプロトコルに基づき制御を行い、増幅回路、変調回路、復調回路、位相同期回路、振幅制限回路、フィルタ回路、発振回路、位相比較回路、計数回路、アナログ・ディジタル変換回路、ディジタル変換回路、ミクサ、レベル検波回路などの回路が含まれる。
【0066】
記憶手段651は、無線キー5の固有IDや、無線キー5の所有者情報、自転車1のサドル604の高さ情報を記憶するための半導体メモリー等で構成されている。
【0067】
続いて、実施の形態3における自転車1のサドル604の高さ調整フローをについて図7を用いて説明していく。
【0068】
はじめに自転車1の走行状態を走行検知部2で検出を行い、自転車1が走行していな状態を検出した場合は次ステップへ進み、走行状態にある場合は、このステップにとどまる(S701)。次に無線通信部601をあらかじめ定められた周期で起動し、外部の無線キーから送信されてくる電文を受信するために、キャリアセンス(CS確認)を行なう。ここであらかじめ定められた周期というのは、たとえば4秒周期で行なった場合や、はじめの24時間は、4秒周期で、それ以降は8秒周期のように可変してもよい。
【0069】
ここで、キャリアセンスを確認できない場合は、前ステップS701へ戻る。電波を検出できた場合には、次ステップへ進む(S702)。続いて、無線キー5との間で、認証通信を行なう。ここでは、自転車1とあらかじめ縁組みされた無線キー5とのみ認証通信が成立するような仕組みとなっている。また、同時に、無線キー5から送信されてくる電文から電界強度レベルを検出し、あらかじめ定められたレベル以上の電界強度を検出できた際に認証通信が成立する。これにより、自転車1と無線キー5の位置関係があらかじめ定められた距離、あるいはエリアに入ってこないと認証通信が成立しないことになる。ここで、認証通信が成立しない場合は、S701へ戻り、成立した場合は、次ステップへ遷移する(S703)。S703のステップで受信した電文には、無線キー5のIDの他に使用者の情報、サドル604の高さ情報が入っており、無線通信部601で復調を行なう(S704)。続いて、前ステップS704で受信したサドル604の高さ情報に応じて、駆動手段603でサドル604を制御する制御量を、制御手段602で生成する(S705)。S705で生成した制御量に応じて駆動手段603は、サドル604の高さを調整する(S706)。
【0070】
以上のことから、図5のように自転車1に対し複数の無線キー5に個別のサドル高さ情報を記憶しておけば、使用者ごとに最適のサドルの高さを、自転車1に乗る前に自動調整することが可能となり、使用者の利便性が向上する。
【0071】
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態3と同様、図5に示すように自転車1には、無線装置が搭載されており、当該自転車を複数の使用者でシェアして使用しているとする。その際、使用者各人が無線キー5を所有している。使用者ごとに自転車1の仕様を個別設定できる
ようになっている。実施の形態4では、電動自転車において、使用者ごとにそのアシスト量を可変するし仕組みを具備している。
【0072】
図8に実施の形態4の自転車1に搭載する解施錠ユニットと無線キーの内部ブロック図を示す。実施の形態3と同様の機能を有する構成に関する説明は省略し図6と相違する自転車1内のブロック及び、無線キー5について説明を行なう。
【0073】
図8において、自転車1の速度検出手段608は車輪や車軸の回転数より速度を検出する。制御手段602は、あらかじめ車両記憶手段609に記憶されている情報を基に、前記速度検出手段608で検知された速度量に応じて補助駆動手段606を制御する制御データを演算する。補助駆動手段606は、制御手段602で演算された制御データを基にペダル車軸607を制御する。
【0074】
速度検出手段608は、車軸にホール素子等を用いた検出回路を組み、車軸の位置情報からパルスを生成し、パルスをカウントして速度に換算したり、リードスイッチを磁気素子でON/OFFし、その回数を単位時間当たりでカウント、あるいは周期を算出し速度に換算する。
【0075】
補助駆動手段606は、制御手段602で算出された制御データを基に、ペダルが接続されているペダル車軸に直接あるいは間接的に回転力を加えるための動力であり、たとえばDCモータ等で構成されている。
【0076】
車両記憶手段609は、フラッシュメモリー等の半導体素子で構成されている。また、ここには、入力が速度検出手段608で検出された速度情報、出力が補助駆動手段606の制御量になるような伝達関数、あるいは伝達関数の係数等が記憶されている。その表現方法はテーブルデータや関数等で表現されている。この伝達関数の一部は、無線キー5から送信される電文内に個別仕様設定情報として含まれている。無線キー5から送信されてくる個人仕様設定情報は、無線通信部601で受信・復調された後に制御手段602において、あらかじめ車両記憶手段609に記憶された伝達関数等とあわせて、個別仕様を反映した伝達関数を生成する。
【0077】
図9(a)に自転車1内の車両記憶手段609に記憶されている速度検出手段608で検出した速度を補助駆動手段606へ加える制御量に変換するテーブルを示す。また、図9(b)には無線キー5内の記憶手段651に記憶されている個別仕様設定情報を示す。
【0078】
図9(a)では、伝達関数がテーブル形式で表現され、速度検出手段608で検出された速度0〜4に対して、補助制御手段606へ加えられる補助制御量C0〜C4が記憶されている。ここでC0〜C4は初期状態であり一般的な数値が入力されている。一方図9(b)に示した個別仕様設定情報は、無線キー5を所有している使用者にカスタマイズされた速度に対する補助制御量が記載されている。ここでは補助制御量C0〜C4に対して、0、2、4、2、1という固有値が記憶されている。図9(b)に記憶された個別仕様設定情報は、無線キー5のキー無線通信手段650から変調され、自転車1へ送信される。送信された情報は、自転車1内の無線通信部601で受信・復調され、制御手段602において、車両記憶手段609から読み出したデータ形式にあわせて、更新される。
【0079】
無線キー5の記憶手段651に記憶されている情報は、使用者の個別情報、無線キーの識別ID、無線キー5の所有者情報、自転車1の車体情報などに加え、使用者の嗜好や健康状態、体力に応じて個別設定され情報が記憶され、これらを複数の情報を考慮し、自転車1内の補助駆動手段606の制御量を出力する伝達関数の係数を生成してもよい。これにより、無線キー5を保持した使用者が停車している自転車1にあらかじめ定められた距
離、エリアに近づいた際に、無線通信を行ない、無線キー5の記憶手段に記憶されている前記伝達関数の係数を電文に含め、自転車1と通信を行なうことで、電動自転車の補助駆動手段606の制御のカスタマイズを行い、利用者に合った仕様にすることが可能となる。
【0080】
次に自転車1内の車両記憶手段609に記憶されている伝達関数に関し、無線キー5の記憶手段611に記憶されている使用者固有の伝達関数の係数を反映させる際のシーケンスを説明する。図10はその際の処理フローを示している。
【0081】
はじめに自転車1の走行状態を走行検知部2で検出を行い、自転車1が走行していない状態を検出した場合は次ステップへ進み、走行状態にある場合は、このステップにとどまる(S1001)。次に無線通信部601をあらかじめ定められた時間に起動し、外部の無線キーから送信されてくる電文を受信するために、キャリアセンス(CS確認)を行なう。
【0082】
ここで、キャリアセンスを確認できない場合は、前ステップS1001へ戻る。電波を検出できた場合には、次ステップへ進む(S1002)。続いて、無線キー5との間で、認証通信を行なう。ここでは、自転車1とあらかじめ縁組された無線キー5とのみ認証通信が成立するような仕組みとなっている。また、同時に、無線キー5から送信されてくる電文から電界強度レベルを検出し、あらかじめ定められたレベル以上の電界強度を検出できた際に認証通信が成立する。これにより、自転車1と無線キー5の位置関係があらかじめ定められた距離、あるいはエリアに入ってこないと認証通信が成立しないことになる。
【0083】
ここで、認証通信が成立しない場合は、S1001へ戻り、成立した場合は、次ステップへ遷移する(S1003)。S1003のステップで受信した電文には、無線キー5のIDの他に使用者の情報、速度検出手段608で検出した速度から補助駆動手段606の制御量を算出する伝達関数の係数が含まれており、無線通信部601で復調を行なう(S1004)。続いて、車両記憶手段609に記憶されている伝達関数及び係数を制御手段602へ読み出し(S1005)、S1004のステップで受信した伝達関数の係数と比較し更新する必要があれば、係数を書換え、記憶されている情報と同等であればデータを保持する(S1006)。前ステップS1006で書き換えたデータを改めて車両記憶手段609へ記憶する。
【0084】
以上のことから、図5のように自転車1に対し複数の無線キー5に個別の伝達関数の係数を記憶しておけば、使用者ごとに速度に対する補助駆動の制御量を可変することができ使用者にあった仕様の自転車を実現することができる。ここでは、速度に対する補助駆動手段の制御量に関する伝達関数を制御したが、走行時間、踏力、回転数、体重、運動量等で補助駆動手段の制御量を決める伝達関数でもよいし、上記であげた量を複数用いて制御量を算出する伝達関数でもよい。したがって無線キーから送信される電文内の情報もこれらの伝達関数の係数、あるいは伝達関数そのもの、あるいは、上記情報を直接含んだ情報でもかまわない。
【0085】
(実施の形態5)
図11に実施の形態5における自転車1およぶ無線キー5の内部ブロック図を示す。ここでは、実施の形態3および4と同様の機能を有する構成に関する説明は省略し、図6および図8と相違する自転車1内のブロックと無線キー5について説明を行う。
【0086】
自転車1内の踏力検出手段610は、自転車1のペダルに接続されている車軸にかかる力を検出する。また制御手段602は、前記踏力検出手段610で取得した踏力情報の他に、速度検出手段608から得られた速度情報、使用者が走行した距離、時間等の走行情
報データを含んだ電文を生成し、無線通信手段601で所定のプロトコルに合わせ変調し、無線キー5へ送信する。
【0087】
前記踏力検出手段610は、自転車1のペダルに接続される車軸にかかる力を、ピエゾ素子等で応力を電圧に変換し算出を行う。
【0088】
一方、無線キー5内のキー演算手段652では、キー無線通信部601を介して自転車1へ送信する自転車1の個別仕様設定情報を生成する。個別仕様設定情報は、自転車1内で、速度検出手段608等から出力される情報から補助駆動手段606の制御量に算出する伝達関数、またはその係数に関するものである。キー演算手段652では、記憶手段651内に記憶されている個別仕様設定情報を自転車1から送信されてくる走行情報データで更新する。
【0089】
次に図12、図13を用いて、キー演算手段652で個別仕様設定情報を更新する方法について説明する。図12は、自転車1から送信されてくる走行情報データのうち踏力情報を使って、前記伝達関数の係数の倍率を算出するグラフを示している。図12によると踏力情報が5のときは、倍率0.4の数値を得る。続いて図13では、前回までに使用していた個別仕様設定情報C0〜C4の値に、倍率0.4を掛け合わせ個別仕様設定情報を更新していることを示している。更新した個別仕様設定情報は、記憶手段651に記憶され、自転車1へも送信される。
【0090】
次に図14を用いて、自転車1と無線キー5間で走行情報データから個別仕様設定情報を更新するシーケンスについて説明していく。自転車1と無線キー5間では、チャレンジアンドレスポンス方式を用い周期的に認証通信をおこなっている。無線キー5はあらかじめ定められた周期でサーチ電文を送信する(S1401)。自転車1では、S1401の電文を受信するとあらかじめ識別IDを含む電文を無線キー5へ送信する(S1402)。無線キー5では、あらかじめ自転車1と縁組された際の識別IDと一致した際には、識別IDが一致した旨を通信する信号を自転車1へ送信する(S1403)。自転車1では、S1403で送信された電文を受信するとチャレンジリクエストを無線キー5へ送信する(S1404)。チャレンジリクエストを受信した無線キー5は、乱数を発生させ生成したチャレンジ信号を自転車1へ返し(S1405)、チャレンジ信号を受信した自転車1は、この信号に対して暗号化処理を行なって生成したレスポンス信号を無線キー5へ送信する(S1406)。続いて、レスポンス信号を受信した無線キー5は、復号化したレスポンス信号とチャレンジ信号とが一致するか確認し、一致すれば認証に成功したと判断しその旨を自転車1へ送信する(S1407)。認証が成立した際には、自転車1から走行情報データを無線キー5へ送信する(S1408)。無線キー5では、走行情報データをもとに記憶手段651に記憶されている個別仕様設定データを更新し、記憶手段651に記憶しなおすとともに、キー無線通信手段650を介して自転車1へ送信する(S1409)。自転車1では、無線キー5より送信された個別仕様設定データを無線通信部601で受信し、制御手段602で、あらかじめ記憶されていた車両記憶手段609の情報を個別使用設定データで更新する。
【0091】
一方、認証に失敗した場合には、無線キー5はサーチ電文を送信するモードへ待ち受けモードに移行する。なお、自転車1−無線キー5間でのチャレンジアンドレスポンス方式を用いた認証中に、上述の信号の送受が途絶えた場合でも、自転車1は待ち受けモードに移行して識別IDの送信を開始することになる。
【0092】
以上のことから、自転車1に対し複数の無線キー5に個別の伝達関数の係数を記憶しておけば、使用者ごとに速度に対する補助駆動の制御量を可変することができ、かつ使用者の利用状況に応じて、走行時間、走行距離、踏力情報を取得しその情報を使って前記制御
量を更新していくことができる。これにより使用者の体の状態、嗜好等によってきめ細かいカスタマイズが可能となる。ここでは、速度に対する補助駆動手段の制御量に関する伝達関数を制御したが、走行時間、踏力、回転数、体重、運動量等で補助駆動手段の制御量を決める伝達関数でもよいし、上記であげた量を複数用いて制御量を算出する伝達関数でもよい。したがって無線キーから送信される電文内の情報もこれらの伝達関数の係数、あるいは伝達関数そのもの、あるいは、上記情報を直接含んだ情報でもかまわない。
【0093】
(実施の形態6)
図15に実施の形態6における自転車1および無線キー5の内部ブロック図を示す。ここでは、実施の形態3、4および5と同様の機能を有する構成に関する説明は省略し、図6、図8、図11と相違する無線キー5について説明を行う。
【0094】
無線キー5内の運動量検出手段653は、無線キー5が使用者に保持され、かつ自転車1に搭乗していない状態での使用者の運動量を検出する。ここで言う運動量とは、使用者が徒歩等で移動した距離、そのときの消費カロリー、歩数等を検出する。
【0095】
また、キー演算手段652は、運動量検出手段653の出力を基にあらかじめ決められた時間内で使用者が運動自転車1に登場していない状態で運動積算量を算出する。加えて、記憶手段651に記憶されている個別仕様設定情報を運動積算量に基づいて更新する。
【0096】
運動量検出手段653は、加速度センサー、角度センサー、圧力センサー、重力センサー、方向センサー等でいずれかで構成され、無線キー5を保持している使用者が、運動するとセンサー出力においてレベル変動が生る。このレベル変動をキー演算手段652に入力し、演算手段652でセンサー出力の変動回数を捕らえ運動積算量を算出する。
【0097】
以上のことから、無線キー5を保持した使用者が、自転車1に搭乗していない状態で、どの程度運動しているかを把握することができ、その情報を基に、個別仕様設定情報を作成する。さらに個別仕様設定情報を基に速度検出手段の出力に対する自転車1の補助駆動手段の制御量を算出する伝達関数を生成することができ、たとえば使用者が運動不足と判断すれば、前記制御量を小さくしたり、使用者が十分運動していると判断できれば、制御量を多く設定することができる。つまり、使用者の固有情報を、使用者の状態に応じて細かく可変することができ、きめ細かいカスタマイズ化が図れる。
【0098】
(実施の形態7)
図16に実施の形態7における自転車1および無線キー5の内部ブロック図を示す。ここでは実施の形態3、4,5、6と同様の機能を有する要素に関する説明は省略し、図6、図8、図11、図15と相違する無線キー5について説明を行う。
【0099】
無線機5内の時刻出力手段654は、水晶振動子、セラミック振動子、発振回路、または水晶、セラミック素子を用いた発振回路で構成されており、時刻を出力する。記憶手段には、個別仕様設定情報および、時刻に対する倍率を出力する関数が記憶されている。キー演算手段652は、個別仕様設定情報を自転車1へ送信する際には、送信する時刻にあわせて、補正をかけ送信を行なう。
【0100】
個別仕様設定情報の補正について図17を用いて説明を行なう。記憶手段651には、個別仕様設定情報(アドレスC0〜C4に対して補助制御量0、2、4、2、1)と時刻に対する倍率を記載したテーブルを記憶している。キー演算手段652では、はじめに、個別仕様設定情報を読み出し、続いて時刻出力手段654から時刻を読み出す。図17では、18:45という時刻を読み出す。次にキー演算手段652は、18:45という時刻に該当する倍率を、記憶手段651に記憶されている倍率のテーブルを探索する。ここ
では18:45という時刻は17:00〜24:00という範囲に当てはまり倍率2を読み出す。続いて、倍率2をすでに読み出している個別仕様設定情報のアドレスC0〜C4の値全てに掛け算し、補正を完了する。
【0101】
以上のことから、無線キー5を保持した使用者が、自転車1に搭乗しようとする時刻にあった個別仕様設定を行い自転車の乗ることができる。これにより使用者の行動パターンを予測し仕様を自動的に可変することができる。たとえば、朝は、急いでいることが多く補助制御量も多く、できるだけ楽に自転車を運転できるように、午後は時間に余裕があると予測し、速く運転するよりは健康維持のことを考えて、補助制御量を少なく、夕方は、一日の疲れがたまっているので、楽に自転車を運転できるように補助制御量をきめるなど、きめ細かい仕様を決めることができる。
【0102】
なお、本実施の形態で説明した内容は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の鍵施錠システム、及びプログラムによれば、車両の解施錠に、車両が走行中か否かを連携させることで、安全な解施錠を実現することができる。
【0104】
さらに、車両の所有者が携帯する無線キーを利用した本人認証を行うことで、利用者の煩わしさを大幅に軽減できると共に、解施錠の信頼性を向上させるという効果を奏し、無線通信を利用して認証を行う車両の携帯無線装置、認証対象装置、及び認証制御方法の分野に関して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】(a)本発明の実施の形態1の解施錠システムの状態図(b)本発明の実施の形態1の解施錠システムの状態図
【図2】本発明の実施の形態2の解施錠システムの状態図
【図3】本発明の実施の形態2の解施錠システムの動作フロー図
【図4】本発明の実施の形態2の解施錠システムの動作フロー図
【図5】本発明の実施の形態3のシステム外略図
【図6】本発明の実施の形態3における自転車と無線キーの内部ブロック図
【図7】本発明の実施の形態3におけるサドル自動調整フロー図
【図8】本発明の実施の形態4における自転車と無線キーの内部ブロック図
【図9】本発明の実施の形態4における車両記憶手段と記憶手段に記憶されている伝達関数の図
【図10】本発明の実施の形態4における伝達関数の更新フロー図
【図11】本発明の実施の形態5における自転車と無線キーの内部ブロック図
【図12】本発明の実施の形態5における踏力から倍率を算出するグラフ
【図13】本発明の実施の形態5の記車両記憶手段内データの更新方法に関する図
【図14】本発明の実施の形態5における伝達関数更新時の通信フロー図
【図15】本発明の実施の形態6における自転車と無線キーの内部ブロック図
【図16】本発明の実施の形態7における自転車と無線キーの内部ブロック図
【図17】本発明の実施の形態7における記憶手段内データの更新方法に関する図
【符号の説明】
【0106】
1 自転車
2 走行検知部
3 解施錠部
4 入力部
5 無線キー
601 無線通信部
602 制御手段
603 駆動手段
604 サドル
606 補助駆動手段
607 ペダル車軸
608 速度検出手段
609 車両記憶手段
610 踏力検出手段
650 キー無線通信手段
651 記憶手段
652 キー演算手段
653 運動量検出手段
654 時刻検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、前記車両に取り付けた無線通信部と無線通信を行う携帯無線装置とから構成される車両制御システムであって、
前記車両には、前記車両が走行中か否かを検知する走行検知部と、前記車両を駆動またはそれを補助する駆動手段と、前記駆動手段を制御するための制御手段とを備え、
前記走行検知部によって車両が走行中でないと判断した場合には、前記制御手段は前記携帯無線装置からの走行条件入力信号に応じて前記駆動手段を制御し走行条件を可変とし、前記走行検知部によって車両が走行中と判断した場合には、前記制御手段は前記携帯無線装置からの走行条件入力信号に応じない車両制御システム。
【請求項2】
車両が走行中か否かを検知する走行検知部と、携帯無線装置との通信を行なう無線通信部と、前記車両を駆動またはそれを補助する駆動手段と、前記駆動手段を制御するための制御手段とで構成される車両制御ユニットであって、
前記走行検知部によって前記車両が走行中でないと判断した場合には、前記制御手段は前記携帯無線装置からの走行条件入力信号に応じて前記駆動手段を制御する走行条件を可変とし、
前記走行検知部によって車両が走行中と判断した場合には、前記制御手段は前記携帯無線装置からの走行条件入力信号に応じない車両制御ユニット。
【請求項3】
走行検知部は速度検知手段を備え、
制御手段は、携帯無線装置から送信されてくる電文と前記速度検知手段の出力に応じて、駆動手段を制御する制御量を可変させる請求項2の車両制御ユニット。
【請求項4】
走行検知部は、車両の走行時間、走行距離、前記踏力検知手段で検出される踏力情報のいずれかを前記無線通信部を介して、前記携帯無線装置へ送信する請求項2から4のいずれか1項に記載の車両制御ユニット。
【請求項5】
携帯無線装置から車両へ送信される電文には、制御手段の制御量または制御時間情報を含んでいる請求項2から5のいずれか1項に記載の車両制御ユニット。
【請求項6】
携帯無線装置は、前記携帯無線装置が運動した量を検出する運動量検出手段と、運動量検出手段に応じて車両制御ユニット内の駆動手段の制御量を算出する携帯演算手段とを備える請求項2から6のいずれか1項に記載の車両制御ユニット。
【請求項7】
携帯無線装置は、時刻情報を出力する時刻出力手段と、時刻出力手段に応じて前記解施錠ユニットの駆動手段の制御量を算出するための携帯演算手段とを備える請求項2から7のいずれか1項に記載の車両制御ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate