説明

車両室内の意匠用照明構造

【課題】発光していないときでも見栄えを損なわない車両室内の意匠用照明構造を提供する。
【解決手段】車両室内の内装構成10に組み込まれる車両室内の意匠用照明構造30であって、車両室内の内装構成10の意匠面より内部位置に光を発することのできる長尺棒状の導光棒32eが配設されており、該導光棒32eはその端部に光源を備えて該光源の発光を長尺棒状内部を伝達しながら周方向へ散乱させることにより発光する構成とされており、内装構成10の意匠面には導光棒32eの発する光を透過することのできる光透過部36が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内の意匠用照明構造に関する。より詳しくは、車両室内の内装構成に組み込まれる車両室内の意匠用照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の照明構造として、車両のシートに組み込まれた照明構造が下記特許文献1に記載されている。下記特許文献1に記載のシートは、電界発光ファイバを透明な樹脂製のカバーで覆うことにより形成された玉縁がシート表皮の縫い合わせ部分に縫着されたものであり、玉縁を発光させることにより装飾効果が期待されるものである。
【0003】
【特許文献1】特開2001−186965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のシートでは、電界発光ファイバが、玉縁としてシートの意匠面を構成するシート表皮の外表面の一部として組み込まれており、シートの意匠面に露出している。そのため、玉縁を発光させているときは装飾効果が期待されるものの、玉縁を発光させていないときはむしろシートの見栄えが損なわれる傾向にあった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、発光していないときでも見栄えを損なわない車両室内の意匠用照明構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両室内の内装構成に組み込まれる車両室内の意匠用照明構造であって、前記車両室内の内装構成の意匠面より内部位置に光を発することのできる長尺棒状の導光棒が配設されており、該導光棒はその端部に光源を備えて該光源の発光を長尺棒状内部を伝達しながら周方向へ散乱させることにより発光する構成とされており、前記内装構成の意匠面には前記導光棒の発する光を透過することのできる光透過部が形成されていることを特徴とする車両室内の意匠用照明構造である。
【0007】
本発明における車両室内の内装構成とは、車両室内の設備および車両室内面を構成する部材のことであり、例えば、シート、トリム等が挙げられる。本発明によれば、導光棒は車両室内の内装構成の意匠面より内部位置に配設されている。車両室内の内装構成の意匠面とは、該車両室内の内装構成の通常の設置構造において視認される外表面のことである。つまり、導光棒は意匠面より内部位置に配置され露出していないため、当該導光棒により発光していないときの車両室内の内装構成の見栄えが損なわれることがない。しかし、導光棒の発する光は車両室内の内装構成の意匠面に形成された光透過部を透過して車両室内に漏れ出されるため、導光棒の発する光を発光させることによりに光による意匠表現は可能である。したがって、本発明の車両室内の意匠用照明構造によれば、車両室内の内装構成の意匠面から光を発すること可能でありながらも発光してないときでも見栄えを損なわない。
【0008】
本発明の車両用の意匠用照明構造は、導光棒が前記車両室内の内装構成の表皮内部のパッド材に埋没されていることが望ましい。この場合、導光棒が車両室内の内装構成の意匠面に出っ張らないので破損しにくい。この車両用の意匠用照明構造は、前記車両室内の内装構成が車両用シートであり、乗員が座るものであっても、導光棒が出っ張っていないので乗り心地を低下させる恐れがない。
【0009】
本発明の車両室内の意匠用照明構造は、車両室内の内装構成の意匠面には表皮カバーが配設されており、前記光透過部は該表皮カバーを構成する表皮ピースの継ぎ目とすることが望ましい。例えば、前記車両室内の内装構成は車両室内に装備される車両用シートであり、該車両用シートには意匠面として表皮カバーが配設されており、前記光透過部は該表皮カバーを構成する表皮ピースの継ぎ目とすることができる。ここで、光透過部である表皮ピースの継ぎ目は縫合により接続された表皮ピースの縫い目(表皮の縫い目)とするのが好ましい。このような表皮ピースの縫い目は一般に車両用シートの輪郭に沿って形成されるため、縫い目から光を発することにより、例えば、着座面の輪郭を光らせることができる。また、光透過部である表皮ピースの継ぎ目は、表皮ピースを接続するスライドファスナとしてもよい。
【0010】
本発明の車両室内の意匠用照明構造は、前記車両室内の内装構成の意匠面を構成する複数の部材間の間隙を前記光透過部とすることも望ましい。例えば、前記車両室内の内装構成は車両室内に装備される車両用シートであり、該車両用シートは座面となるシートクッションの外周にシールド部材が配設されており、前記光透過部は前記シートクッションと前記シールド部材との間隙とすることができる。また、前記車両室内の内装構成は車両室内に装備される車両用シートであり、前記光透過部は該車両用シートの座面となるシートクッションと背凭れとなるシートバックとの間隙とすることもできる。
【0011】
本発明の車両室内の意匠用照明構造は、前記車両室内の内装構成の意匠面には少なくとも一部が前記導光棒の発する光を透過することのできる光透過性表皮材で構成された表皮カバーが配設されており、前記光透過部は該表皮カバーの光透過性表皮材で構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両室内の意匠用照明構造によれば、車両室内の内装構成の意匠面から光を発すること可能でありながらも発光してないときでも見栄えを損なわない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施形態1]
以下、図1,2を参照しながら本発明の実施形態1について説明する。本実施形態は、車両室内に装備される車両用シート10に本発明を適用した実施形態である。図1に示されるように、車両用シート10は、基本的構成として座面となるシートクッション20、背凭れとなるシートバック14、ヘッドレスト16を備え、シートクッション20の周囲を一部隠すように合成樹脂製のシールド12が取付けらていれる。各図において矢印で示すF,Uは車両用シート10の前方,上方を示している。
【0014】
本実施形態の意匠用照明構造30は車両用シート10の着座面の縁に沿って該車両用シート10に組み込まれている。そして、意匠用照明構造30の発光により車両用シート10は着座面の縁が発光可能となっている。ここでいう着座面とは、着座した際に接触することがある外表面(意匠面)であり、シートクッション20では座面を構成する上側の面22である。シートバック14では背凭れ面を構成する前側の面18である。意匠用照明構造30は座面22の両側縁と前縁および背凭れ面18の両側縁に設けられている。
【0015】
意匠用照明構造30は発光体として複数の導光棒32a〜eを有する。導光棒32a〜eは、断面円形の長尺棒状であり、その端部に光源を備え、該光源の発光を長尺棒状内部を伝達しながら周方向へ散乱させることにより発光可能なものである。詳細は後述するが、本実施形態において導光棒32a〜eは、シートクッション20及びシートバック14の内部位置においてシートクッション20及びシートバック14の外形形状に沿って配設されている。そのため、導光棒32a〜eは、シートクッション20及びシートバック14の外形形状に追従して容易に変形させることのできる柔軟性に優れるものが望ましい。また、導光棒32a〜eは全周方向に発光可能なものが望ましい。このような導光棒として、例えば、株式会社クラベの商品名Flexlightが挙げられる。このような導光棒の他に、周方向の特定方向にのみ光を散乱させることのできる指向性を有する導光棒を使用することもできる。図2において、指向性を有する導光棒における反射層hを模式的に示した。この導光棒の端部から導入された光源の発光を反射層hで反射させ、導光棒の反射層hの設けられていない周面からその反射光を発することができる。他の各図においても反射層hを示すことにより、指向性を有する導光棒を使用する場合の導光棒の好ましい配設状態を例示した。
【0016】
各導光棒32a〜eの両端には光源34a〜fが備えられている。光源34a〜fは、着座面である座面22及び背凭れ面18において着座者が通常姿勢状態で着座する際に直接接触することがほとんどない表面位置に対応するシートクッション20およびシートバック14の内部位置に配設されている。すなわち、光源34a,bはシートバック14の上端の側方位置、光源34c,dはシートバック14とシートクッション20との境界の側方位置、光源34e,fはシートクッション20の前方の側方位置に配設されている。各導光棒32a〜eには、長手方向の両端から光源の発光が導入されるようになっており、光源からの距離の違いによる散乱光のムラが低減されている。すなわち、背凭れ面18の側縁に配設された導光棒32a,bには、その一端から光源34a,bの発光が導入され、他端から光源34c,dの発光が導入される。座面22の側縁に配設された導光棒32c,dには、その一端から光源34c,dの発光が導入され、他端から光源34e,fの発光が導入される。座面22の前端位置に設けられた導光棒32eには、その一端から光源34eの発光が導入され、他端から光源34fの発光が導入される。光源34a〜fは特に限定されるものではないが、例えば、LEDは一般に低消費電力であり、寿命が長いため、好適である。
【0017】
各導光棒32a〜eにかかる意匠用照明構造30の基本構成は同じであるから、以下、シートクッション20の座面22の前端位置に配設された導光棒32eにかかる構成を取り上げて詳細に説明する。
シートクッション20の座面22の外形形状は、中央部が略平らで側部が盛り上がっている。シートクッション20は、該シートクッション20の外形形状に形成されたシートパッド24(図2参照)と、シートパッド24を被覆する表皮カバー26とを備えている。表皮カバー26は、ファブリックや皮革等の布状の材料からなり、該布状の材料を裁断した複数の構成ピース(表皮ピース)を継ぎ合わせてシートパッド24の立体形状に沿う形状とされている。各表皮ピース40,42,44,46・・・は、縫合により継ぎ合わせられており、導光棒32eは座面中央を構成する第1の表皮ピース40とシートクッション20の前面を構成する第2の表皮ピース42の継ぎ目(縫い目)36の裏面側に保持されている。表皮カバー26における「裏面側」とはシートパッド24に沿う方の面側のことである。
【0018】
図2に示すように、第1の表皮ピース40と第2の表皮ピース42とは、継ぎ目36において、シートクッション20の意匠面を構成する面同士を向かい合わせた状態として縫合されている。すなわち、継ぎ目36では、座面22を構成する面40aと前面23を構成する面42aとが向かい合わされた状態で縫合糸38により縫合されている。導光棒32eは、継ぎ目36の裏面側において導光棒保持機構50により保持され継ぎ目36に沿って配設されている。導光棒保持機構50に関係し、導光棒32eには、該導光棒32eの長手方向に沿い、中心から外側に向かう方向に突出するひれ状の止着部33が予め形成一体的に形成されている。第1の表皮ピース40及び第2の表皮ピース42の縫い代40b,42bの間に導光棒32eを挟み、止着部33を縫い代40b,42bの裁断端部と縫合する(縫い目52)ことにより、導光棒32eが継ぎ目36の裏面側に保持されている。かかる構成が導光棒保持機構50をなす。ここで、導光棒32eが指向性を有する場合、発光が継ぎ目36の方向へ指向するように導光棒保持機構50により保持される。導光棒保持機構50は、縫い代40b,42bの裁断端部を縫合(縫い目52)して挿通孔54を形成し、該挿通孔54に導光棒32eを通すことによっても成し得る。このような導光棒保持機構50は導光棒32eが指向性を有しない場合に適しており、止着部33の形成を要しない。
【0019】
本実施形態の意匠用照明構造30では、導光棒32eは表皮カバー26の裏面側に配置されているため座面22に露出していないが、導光棒32eの発光は継ぎ目36を透過して車両室内に漏れ出るようになっている。本実施形態の継ぎ目36が本発明の光透過部である縫い目に相当する。
【0020】
以上の構成の意匠用照明構造30によれば以下の作用効果を奏する。
まず、導光棒32a〜eの発光は表皮カバー26の継ぎ目36から漏れ出て座面22を光らせることができる。しかし、導光棒32a〜eは、それ自体は表皮カバー26に覆われて意匠面(表皮カバー26に覆われて意匠面(座面22)に露出せず、視認することができないため、意匠用照明構造30により発光していないときの車両用シート10の見栄えが損なわれない。
また、導光棒32a〜eは柔軟性があり、シートパッド24の外形形状に沿うことができるとともに、シートパッド24の変形に追従して変形することができるため、着座者に異物感を生じさせにくい。また、導光棒32a〜eに光を導入する光源34a〜fは着座面である座面22及び背凭れ面18において着座者が通常姿勢状態で着座する際に直接接触することがほとんどない表面位置に対応するシートクッション20およびシートバック14の内部位置に配設されているから、光源34a〜fによっても着座者に違和感を生じさせにくい。
【0021】
[実施形態2]
図3を参照しながら本発明の実施形態2について説明する。本実施形態は上記実施形態1の構成を一部変更したものであり、上記実施形態1とは導光棒32eの保持形態が異なる実施形態である。変更を要しない部材については図中に同じ符号で示し詳細な説明を省略する。
本実施形態では、導光棒32eがシートパッド24に埋没されている。すなわち、導光棒32eは、表皮カバー26の継ぎ目36に対応するシートパッド24の表面位置においてシートパッド24に一体成形され、その周方向の一部がシートパッド24の表面に露出した状態で埋め込み保持されている。導光棒32eが指向性を有する場合、その発光が表皮カバー26の継ぎ目36の方向へ指向するようにシートパッド24に埋め込み保持されている。第1の表皮ピース40と第2の表皮ピース42とは継ぎ目36において座面22を構成する面40aと前面23を構成する面42aとが突き合わされた状態で縫合され、縫い代40b,42bはそれぞれ折り返されている。導光棒32eは表皮カバー26に覆われてそれ自体を視認することはできないが、導光棒32eの発光は継ぎ目36を透過して継ぎ目36を透過して車両室内に漏れ出るようになっている。本実施形態においても、第1の表皮ピース40と第2の表皮ピース42との縫い目である継ぎ目36が本発明の光透過部に相当する。
【0022】
本実施形態の意匠用照明構造によれば、導光棒32eがシートパッド24に埋没されており、座面22に出っ張ることがないため、乗り心地を低下させる恐れがない。
なお、本実施形態においては、継ぎ目36に対応するシートパッド24の表面位置に溝25を形成し、該溝25に導光棒32eを嵌めこむことによりシートパッド24で導光棒32eを保持する構成とすることも可能である。
【0023】
[実施形態3]
図4を参照しながら本発明の実施形態3について説明する。本実施形態は上記実施形態1の構成を一部変更したものであり、上記実施形態1とは、光透過部の構成および導光棒32eの保持形態が異なる実施形態である。変更を要しない部材については図中に同じ符号で示し詳細な説明を省略する。
第1の表皮ピース40と第2の表皮ピース42との継ぎ目60はスライドファスナ62により接続されている。本実施形態においては、この継ぎ目60が本発明の光透過部に相当する。導光棒32eは、スライドファスナ62を構成する咬合する対のファスナ片62a,bに対応して2本設けられている。導光棒32eはそれぞれ透明樹脂フィルム等の導光棒32eの発光を透過することのできる光透過性の表皮64で包まれ、該表皮64がファスナ片62a,bとともに第1の表皮ピース40又は第2の表皮ピース42に縫合されて継ぎ目60の裏面側に固定されて表皮カバー26に保持されている。ここで、導光棒32eが指向性を有する場合、その発光がスライドファスナ62の継ぎ目60の方向へ指向するように、導光棒32eは表皮カバー26の裏面側に固定されている。導光棒32eは表皮カバー26の裏面側に配設されており視認することはできないが、導光棒32eの発光が咬合するファスナ片62a,bの隙間(継ぎ目60)を透過して車両室内に漏れ出るようになっている。本実施形態では、スライドファスナ62の継ぎ目60が本発明の光透過部に相当する。
【0024】
[実施形態4]
図5を参照しながら本発明の実施形態4について説明する。本実施形態は上記実施形態3の構成を一部変更したものであり、上記実施形態1とは、導光棒32eの保持形態が異なる実施形態である。変更を要しない部材については図中に同じ符号で示し詳細な説明を省略する。
導光棒32eは保持部材66に支持されてスライドファスナ62の継ぎ目60の直下に配設されている。保持部材66は、その一端が第1の表皮ピース40に固定され、他端が第2の表皮ピース42に固定されて第1の表皮ピース40と第2の表皮ピース42とに掛け渡された状態として表皮カバー26の裏面側に設けられている。導光棒32eは保持部材66に保持されて継ぎ目60と保持部材66との間に配置されている。ここで、導光棒32eが指向性を有する場合、その発光が継ぎ目60の方向へ指向するように保持される。導光棒32eは表皮カバー26の裏面側に配設されており、それ自体を視認することはできないが、導光棒32eの発光が咬合するファスナ片62a,bの隙間(継ぎ目60)を透過して車両室内に漏れ出るようになっている。本実施形態では、スライドファスナ62の継ぎ目60が本発明の光透過部に相当する。
【0025】
[実施形態5]
図6,7を参照しながら本発明の実施形態5について説明する。
本実施形態の意匠用照明構造70は図1に示される基本構成の車両用シート10に組み込まれ、車両用シート10の側面から光を放つことを可能とするものである。図6に示されるように、導光棒32は、シールド12とシートクッション20の側面21の間の空間においてシールド12に保持されている。シールド12の上端部12aはシートクッション20の側面21に向かって緩やかに湾曲した形状である。導光棒32はかかるシールド12の立体形状により隠れて視認できない内部位置において、図7に示されるように、該内部位置に形成された爪72により爪72とシールド12の内面との間で挟持されている。本実施形態では、シールド12は不透明な樹脂で形成されており、シールド12の外側から透かして導光棒32を視認することもできない。しかし、導光棒32の端部に設けられた光源(図示省略)から導光棒32へ光を導入して導光棒32を発光させると、その発光はシールド12とシートクッション20の側面21との間隙74を透過して車両室内に漏れ出すようになっている。本実施形態において、シールド12とシートクッション20の側面21との間隙74が本発明の光透過部に相当する。なお、本実施形態の意匠用照明構造70は、導光棒32を車両用シート10の全周に設けてもよいし、一部のみに設けてもよい。
【0026】
[実施形態6]
図8,9を参照しながら本発明の実施形態6について説明する。図8には車両用シート10の簡略化された側面図が示されている。図8に示されるように、本実施形態の意匠用照明構造80は図1に示される基本構成の車両用シート10に組み込まれている。本実施形態の意匠用照明構造80はシートクッション20とシートバック14の間から光を放つことを可能とするものである。図9に示されるように、導光棒32はシートクッション20の後端部のシートバック14に面する位置において、シートパッド24に埋め込み保持されている。導光棒32はその周方向の一部がシートパッド24の表面に露出した状態で埋め込み保持されている。シートパッド24から導光棒32が脱落するのを防ぐため、導光棒32には、断面T字形状の抜け止め部31を一体的に突出形成しておくのが望ましい。表皮カバー26には、導光棒32の保持された位置に沿って孔82が形成されており、導光棒32の発光が孔82を透過してシートクッション20とシートバック14との隙間84に放たれるようになっている。導光棒32が指向性を有する場合には、その発光が表皮カバー26の孔82を透過してシートバック14との隙間84の方向へ指向するようにシートパッド24に埋め込み保持されている。導光棒32はシートクッション20のシートバック14に面する位置に保持されているため視認することができない。しかし、導光棒32の発光はシートクッション20とシートバック14との隙間84から車両室内に漏れ出すようになっている。本実施形態において、シートクッション20とシートバック14との隙間84が本発明の光透過部に相当する。
【0027】
[実施形態7]
図10を参照しながら本発明の実施形態6について説明する。本実施形態の意匠用照明構造90は図1に示される基本構成の車両用シート10に組み込まれている。本実施形態の意匠用照明構造90はシートクッション20の表面から光を発することを可能とするものである。導光棒32はシートパッド24に形成された溝94に嵌め込まれてシートパッド24の表面から突起しない状態で保持され、シートパッド24とともに表皮カバー26で覆われている。導光棒32が指向性を有する場合には、その発光が表皮カバー26の方向へ指向するようにシートパッド24に保持されている。表皮カバー26を構成する複数の表皮ピースのうち、少なくとも導光棒32を覆う表皮ピース92は該導光棒32の発光を透過することのできる光透過性表皮材で構成されている。この光透過性表皮材は、例えば、ファブリック等からなり、導光棒32およびシートパッド24はこれを透かして視認することはできないが、導光棒32の発光を透過させることが可能なものである。導光棒32の発光は該光透過性表皮材からなる表皮ピース92を透過して車両室内に漏れ出すようになっており、それにより、シートクッション20の意匠面を光らせることができる。本実施形態において、光透過性表皮材からなる表皮ピース92が本発明の光透過部に相当する。
【0028】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でその他種々の実施形態が考えられるものである。
例えば、本発明の意匠用照明構造は車両用シートのシートクッション20、シートバック14に限らず、ヘッドレスト16、オットマン等に適用することも可能である。
本発明の意匠用照明構造は連続的に点灯させるだけでなく、光源を点滅させることにより導光棒の発光を点滅させ、異なる光の演出効果を得ることも可能である。
本発明の意匠用照明構造は、例えば、車両のドアが開くのに対応して点灯させることにより、乗員に車両用シート10の位置を視認させることが可能となる。それにより、お出迎えの演出効果を発揮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態1に係る意匠用照明構造を備える車両用シートの斜視図である。
【図2】図1に示される車両用シートのII−II線断面図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る意匠用照明構造を備えた車両用シートの断面を図2に対応させて示した図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る意匠用照明構造を備えた車両用シートの断面を図2に対応させて示した図である。
【図5】本発明の実施形態4に係る意匠用照明構造を備えた車両用シートの断面を図2に対応させて示した図である。
【図6】本発明の実施形態5に係る意匠用照明構造を備える車両用シートの断面を図1のVI−VI線断面に対応して示した図である。
【図7】図6に示される車両用シートのVII部分を拡大して示す図である。
【図8】本発明の実施形態6に係る意匠用照明構造を備えた車両用シートを簡略化して示す側面図である。
【図9】図8に示される車両用シートのIX部分の断面を拡大して示す図である。
【図10】本発明の実施形態7に係る意匠用照明構造を備えた車両用シートの断面を図2に対応させて示した図である。
【符号の説明】
【0030】
10 車両用シート
12 シールド
14 シートバック
18 背凭れ面
20 シートクッション
21 側面
22 座面
24 シートパッド
26 表皮カバー
30 意匠用照明構造
32,32a〜e 導光棒
34a〜f 光源
36 継ぎ目(縫い目)
40 第1の表皮ピース
42 第2の表皮ピース
50 導光棒保持機構
60 継ぎ目
62 スライドファスナ
70 意匠用照明構造
74 間隙
80 意匠用照明構造
84 隙間
90 意匠用照明構造
92 表皮ピース(光透過性表皮材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内の内装構成に組み込まれる車両室内の意匠用照明構造であって、
前記車両室内の内装構成の意匠面より内部位置に光を発することのできる長尺棒状の導光棒が配設されており、該導光棒はその端部に光源を備えて該光源の発光を長尺棒状内部を伝達しながら周方向へ散乱させることにより発光する構成とされており、前記車両室内の内装構成の意匠面には前記導光棒の発する光を透過することのできる光透過部が形成されていることを特徴とする車両室内の意匠用照明構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両室内の意匠用照明構造であって、
前記導光棒が前記車両室内の内装構成の表皮内部のパッド材に埋没されていることを特徴とする車両室内の意匠用照明構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両室内の意匠用照明構造であって、
前記車両室内の内装構成が車両用シートであることを特徴とする車両室内の意匠用照明構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の車両室内の意匠用照明構造であって、
前記導光棒の発する光を透過することのできる光透過部が前記車両室内の内装構成の表皮の縫い目であることを特徴とする車両室内の意匠用照明構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−279999(P2009−279999A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131957(P2008−131957)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】