説明

車両後方撮影装置

【課題】 バックラッシュを含む歯車機構を用いてカメラ位置を回動させながらも、その回動範囲途中の基準位置に正確に位置決めする。
【解決手段】 車両の後方の視界を撮影するカメラ22を、モータ28等の駆動源と、バックラッシュをもつ歯車機構を含む駆動変換機構30とによって特定方向に回動させることにより、そのカメラ位置を、予め設定された基準位置と、この基準位置から前記特定方向の両側にそれぞれ離れた位置とに切換える。前記カメラ22を、ばね44等の弾性部材を含む弾性保持機構40により前記基準位置に弾性保持し、その弾性復帰力に抗してカメラ22が基準位置から離れるようにすることにより、前記バックラッシュにかかわらずカメラ22が正確に基準位置に保持されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後進運転の支援等を目的として車両後方の視界を撮影する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車庫入れ等における車両の後方運転を支援する手段として、車両後部にその後方視界を撮影するためのカメラを固定し、その撮影画像を運転室内に提供する装置が知られている。さらに、下記特許文献1では、前記カメラにより撮影可能となる角度範囲を拡大すべく、当該カメラを左右方向に回動可能となるように設置し、例えばステアリングホイールの操舵角に応じてカメラの向きを中央の基準位置から左右に振ることにより、その運転状態に適した撮影画像の提供を図るようにしたものが、開示されている。
【特許文献1】特開2004−274618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
実際に前記カメラの角度を切換える手段として、モータ等の回転駆動源と、この回転駆動源が出力する回転力を前記カメラを回動させる力に変換する駆動変換機構とを備え、前記モータの駆動のオンオフによってカメラを適当な角度に位置決めすることが考えられる。しかしながら、このような構成によってカメラの角度位置を正確に得るためには、次のような克服すべき課題がある。
【0004】
a)前記駆動変換機構において、適正な減速比及び駆動方向の変換をコンパクトな構造で行うためには、歯車機構を用いるのが非常に有効である。しかしながら、このような歯車機構にはバックラッシュが存在するため、そのバックラッシュ分だけモータの停止位置と実際のカメラの停止位置との間にずれが生じるおそれがある。
【0005】
b)カメラの基準位置(通常使用される位置)を回動経路の途中の位置に設定する場合、そのカメラの回動中に当該カメラが前記基準位置に到達した段階でモータをオフにしてカメラを停止させるという制御が行われることになるが、このカメラの停止タイミングが慣性等の影響で少しでもずれると、そのずれ分だけカメラの停止位置は前記基準位置から外れてしまうことになる。特に、この基準位置については高い精度が要求されることが多く、その精度向上は大きな課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、車両の後方の視界を撮影するカメラと、前記車両に取付けられ、前記カメラをこのカメラが特定方向に回動可能となるように支持する支持部材とを備え、前記カメラの位置が、予め設定された基準位置と、この基準位置から前記特定方向の両側にそれぞれ離れた位置とに切換えられる車両後方撮影装置であって、前記カメラを前記特定方向に回動させるための駆動源と、バックラッシュをもつ歯車機構を含み、前記駆動源の出力する駆動力を前記カメラを前記特定方向に回動させる力に変換する駆動変換機構と、弾性部材を含み、この弾性部材の弾性変形量が最も少ない状態で前記カメラを前記基準位置に保持する弾性保持機構とを備え、前記カメラが前記基準位置から前記弾性部材の弾性変形量の増加を伴いながらその弾性復帰力に抗して前記駆動源及び駆動変換機構により回動駆動されるように構成されているものである。
【0007】
この構成において、前記カメラが前記基準位置にあるときには、弾性保持機構における弾性部材の弾性変形量が最も少ない状態にある。そして、この状態から駆動源及び駆動変換機構が作動して前記カメラが前記特定方向に回動駆動される際には、これに伴って前記弾性部材の弾性変形量が増加するため、その弾性復帰力がカメラの回動の抵抗力すなわち前記カメラを基準位置側に戻そうとする力として作用することになる。すなわち、前記カメラにはその回動位置にかかわらず常に当該カメラを基準位置に戻そうとする弾性復帰力が与えられることになるため、適当な回動位置でカメラを止めた状態でのバックラッシュによるガタツキが解消される。
【0008】
逆に、前記カメラが前記基準位置から外れた位置より前記基準位置に近づき、その基準位置に到達した時点もしくはその直前で前記駆動源及び駆動変換機構によるカメラの駆動が停止されると、その駆動停止のタイミングに対応した位置でカメラが静止しようとするが、このとき、前記駆動変換機構に含まれる歯車機構のバックラッシュや慣性等に起因して前記駆動停止時のカメラの位置が前記基準位置から僅かにずれていても、そのずれた範囲が前記バックラッシュ分よりも小さい場合には、前記弾性保持機構から前記カメラに与えられる弾性復帰力によって当該カメラは自動的に基準位置に保持されることになる。
【0009】
すなわち、この装置によれば、前記弾性保持機構から前記カメラにこのカメラを基準位置に戻そうとする弾性復帰力を与えることにより、当該カメラの回動駆動を停止させたときの前記バックラッシュに起因するカメラの位置ずれを解消するのみならず、逆にそのバックラッシュ分だけ前記カメラが前記駆動源に対してフリーの状態で回動可能となることを利用して、このカメラを正確に基準位置に位置決めすることが可能となる。
【0010】
ここで、前記特定方向が車両の左右方向であり、前記基準位置が前記カメラが左右方向の略中央を向く位置に設定されているものであれば、例えば車庫入れ等において車両を左側または右側に後進させる場合にも、その後進の向きにカメラを回動させて有用な画像を撮影することができる。
【0011】
その場合、略垂直方向を向く前記カメラの支軸及び前記駆動変換機構が前記カメラよりも上側または下側の位置に設けられ、前記弾性保持機構が前記カメラよりも車両進行方向前側の位置に設けられている構成とすれば、車両左右後方へのカメラの視野を確保しながら前記駆動変換機構路及び弾性保持機構をコンパクトに配置することができる。
【0012】
また、前記カメラを前記基準位置に弾性保持するための具体的な構成としては、前記カメラまたはこのカメラとともに回動する部材に被保持部が設けられるとともに、前記弾性保持機構は、前記カメラが前記基準位置にあるときの前記被保持部に対してその回動方向の一方の側から当接する第1当接部を有し、かつ、その位置から一方の側に被保持部が回動する際に当該被保持部と前記第1当接部とが当接する状態を維持しながらその回動の向きと同じ向きにスライド可能となるように前記支持部材に取付けられた第1スライド部材と、前記カメラが前記基準位置にあるときの前記被保持部に対してその回動方向の他方の側から当接する第2当接部を有し、かつ、その他方の側に被保持部が回動する際に当該被保持部と前記第2当接部とが当接する状態を維持しながらその回動の向きと同じ向きにスライド可能となるように前記支持部材に取付けられた第2スライド部材とを備え、これらの第1スライド部材及び第2スライド部材をそれぞれ前記カメラが前記基準位置にあるときの前記被保持部に対して当接する位置の側に付勢するように前記弾性部材が配設されているものが、好適である。
【0013】
この構成によれば、前記カメラの回動を、その回動の向きにそれぞれスライドする第1スライド部材及び第2スライド部材の単純な直線運動に変換することができ、よって、これらのスライド部材を弾性部材によって特定方向に付勢するだけの簡単な構造で、前記カメラを正確に前記基準位置に弾性的に保持することが可能になる。
【0014】
特に、前記弾性部材は、前記第1スライド部材と前記第2スライド部材との間に介在するばねにより構成され、このばねは、前記カメラが前記基準位置にあるときに前記第1当接部と前記第2当接部との双方が前記被保持部に接触する状態を保持するとともにこの基準位置から前記カメラが回動するときに弾性変形量が増大してその回動の向きにスライドするスライド部材に対してその回動の向きとは逆向きの抵抗力を与えるように、両スライド部材間に介在している構成とすれば、共通のばねを用いて双方のスライド部材を基準位置側に付勢することが可能となり、構造がより簡素化される。
【0015】
また、前記カメラの回動に連動してその回動の向きに対応したスライド部材のみがスライド運動するため、前記第1スライド部材のスライド位置を検出する第1のスライド位置検出手段と、前記第2スライド部材のスライド位置を検出する第2のスライド位置検出手段とを備えることにより、両スライド位置検出手段の検出結果に基づいて前記カメラの回動位置を把握することが可能となる。
【0016】
具体的には、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材にそれぞれ被検出部が設けられるとともに、前記第1のスライド位置検出手段は、前記カメラが前記基準位置にあるときに前記第1スライド部材の被検出部を検出する位置に設けられた第1の基準位置センサと、前記カメラが前記第1スライド部材側への回動端位置まで回動したときにこの第1スライド部材の被検出部を検出する位置に設けられた第1の回動端位置センサとを含み、前記第2のスライド位置検出手段は、前記カメラが前記基準位置にあるときに前記第2スライド部材の被検出部を検出する位置に設けられた第2の基準位置センサと、前記カメラが前記第2スライド部材側への回動端位置まで回動したときにこの第2スライド部材の被検出部を検出する位置に設けられた第2の回動端位置センサとを含み、前記第1の基準位置センサ、第1の回動端位置センサ、第2の基準位置センサ、及び第2の回動端位置センサが前記両スライド部材のスライド方向と平行な方向に配列されているものが、好適である。
【0017】
この構成によれば、各スライド部材に設けられている被検出部の存在を検出する4つのセンサを両スライド部材のスライド方向と平行な方向に配列するだけの簡単かつコンパクトな構造で、カメラが基準位置、第1スライド部材側への回動端位置、第2スライド部材側への回動端位置のいずれの位置にあるのか、あるいは、どの位置にも存しないのかを認識することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、前記弾性保持機構から前記カメラにこのカメラを基準位置に戻そうとする弾性復帰力を与えることにより、当該カメラの回動駆動を停止させたときの前記バックラッシュに起因するカメラの位置ずれを解消するのみならず、逆にそのバックラッシュを利用してカメラを正確に基準位置に位置決めすることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第1の実施の形態を図1〜図11を参照しながら説明する。
【0020】
図1(a)(b)に示す車両10の後部には、3つの障害物検知センサ(左側障害物検知センサ12L、中央障害物検知センサ12C、及び右側障害物検知センサ12R)が設けられるとともに、本発明に係る車両後方撮影装置20が設けられている。
【0021】
前記各障害物検知センサ12L,12C,12Rは、超音波センサ等で構成されている。このうち中央障害物検知センサ12Cは、車両後部中央に配設され、その配設位置から所定距離離れた検知エリア13Cに障害物が存在する場合に検知信号を出力する。同様に、中央障害物検知センサ12L,12Rは、車両後部の左右端にそれぞれ配設され、その配設位置から車両斜め後方に所定距離離れた検知エリア13L,13Rに障害物が存在する場合にそれぞれ検知信号を出力する。
【0022】
前記車両後方撮影装置20は、後に詳述する図3〜図11に示すように斜め後方向きに設置されるカメラ22を備え、このカメラ22は、水平方向については図1(a)に示す視野角θ、垂直方向については同図(b)に示す視野角φを有している。さらに、このカメラ22は左右方向中央の基準位置から左右にそれぞれ角度αずつ首振り(回動)した左回動端位置及び右回動端位置へ位置切換可能となっている。
【0023】
各障害物検知センサ12L,12C,12Rの出力する検知信号は、図2に示すようなコントローラ16に入力される。このコントローラ16には、前記検知信号の他、運転室内に設けられた手動切換スイッチ14の出力する切換指令信号が入力される。この手動切換スイッチ14は、前記カメラ位置を手動で指定するためのものである。
【0024】
前記コントローラ16は、カメラ位置判定手段17と、カメラ位置切換手段18とを備えている。
【0025】
カメラ位置判定手段17は、手動切換スイッチ14によりカメラ位置が指定されている場合にはその指定された位置を優先し、手動切換スイッチ14によりカメラ位置が指定されていない場合には、各障害物検知センサ12L,12C,12Rの検知信号に基づいて次のようにカメラ位置を判定する。
【0026】
1)各障害物検知センサ12L,12C,12Rのうち、いずれか一つのセンサが障害物を検知した場合には、その検知センサに対応するカメラ位置(例えば左側障害物検知センサ12Lが障害物を検知した場合には左回動端位置)を切換えるべきカメラ位置とする。
【0027】
2)各障害物検知センサ12L,12C,12Rのうち、複数のセンサが障害物を検知した場合には、そのセンサの組合わせによってカメラ位置を判定する。また、どのセンサも障害物を検知していない場合には、カメラ位置を基準位置すなわち中央位置とする。
【0028】
カメラ位置切換手段18は、前記カメラ位置判定手段17により決められたカメラ位置に実際のカメラ位置を切換えるための切換指令信号を前記車両後方撮影装置20に出力する。
【0029】
なお、本発明において、カメラ位置の切換制御の内容は特に問わない。例えば、手動切換スイッチ14の指令信号のみを基準にしてカメラ位置を決定するものにおいても、本発明装置を有効に適用することが可能である。
【0030】
次に、前記車両後方撮影装置20の具体的な構造を図3〜図11を参照しながら説明する。
【0031】
この車両後方撮影装置20は、前記カメラ22と、このカメラ22を収容するケース24とを備え、このケース24内には前記カメラ22を回動可能に支持する支持フレーム(支持部材)26が収容されている。そして、この支持フレーム26に、前記カメラ22の回動中心軸となる略垂直方向の支軸27と、カメラ22を回動させるための駆動源であるモータ28と、その駆動力をカメラ22を回動させる力に変換する駆動変換機構30と、前記カメラ22を前記基準位置に弾性的に保持する弾性保持機構40と、前記コントローラ16からの切換指令信号を受けて前記モータ28の駆動制御を行う制御回路基板50とが取付けられている。
【0032】
前記ケース24は、前記カメラ22を収容した状態で車両後部に固定される。このケース24は車両後方に向かって開口しており、この開口を塞ぐように透明カバー25がケース24に装着されている。そして、このケース24内において、前記カメラ22は、そのレンズ23が車両後方に対して斜め下方を向く姿勢で収容されており、前記透明カバー25を通じて車両後方の主として下側領域を撮影することが可能となっている。
【0033】
前記支持フレーム26は、垂直方向に配せられる垂直壁26aと、この垂直壁26aの上端から車両後方に向かって水平に延びる天壁26bとを有し、この天壁26bに前記支軸27及びモータ28が固定されるとともに前記駆動変換機構30が取付けられ、前記垂直壁26aに前記弾性保持機構40及び制御回路基板50が取付けられている。
【0034】
前記駆動変換機構30は、前記モータ28の出力軸に固定されるウォーム31と、二重歯車32,33,34と、揺動歯車35とを備え、この揺動歯車35の下面にブラケット36を介して前記カメラ22が吊下げ状態で取付けられている。
【0035】
前記二重歯車32は、ウォームホイール32aと小径の平歯車32bとが互いに同軸となるように配列されたものであり、前記ウォームホイール32aが前記ウォーム31に噛合されている。二重歯車33は大径の平歯車33aと小径の平歯車33bとが互いに同軸となるように配列されたものであり、前記平歯車33aが前記平歯車32bに噛合されている。同様に二重歯車34は大径の平歯車34aと小径の平歯車34bとが互いに同軸となるように配列されたものであり、前記平歯車34aが前記平歯車33bに噛合され、前記平歯車34bが前記揺動歯車35に噛合されている。
【0036】
この揺動歯車35は、前記カメラ22の回動角度範囲すなわち左回動端位置から右回動端位置までの角度範囲(=2α)に対応する周長の円弧状の歯部を有し、その円弧中心に対応する箇所(図例では揺動歯車35の車両前側端部;図3では上側端部)が前記支軸27に回転可能に取付けられている。そして、この揺動歯車35に当該揺動歯車35と一体に回転するようにブラケット36が固定され、このブラケット36により前記カメラ22が前記支軸27よりも車両後側寄りの位置に吊下げ支持されている。
【0037】
従って、この駆動変換機構30では、前記モータ28の出力がウォーム31、二重歯車32,33,34、及び揺動歯車35を順に介して前記カメラ22に伝達され、同カメラ22を回動させる力として作用する。
【0038】
前記ブラケット36は前記支軸27を境として前記揺動歯車35及びカメラ22と反対側(車両前側;図3では上側)に突出しており、その回動方向の両端部にはそれぞれ径方向外側に突出する回動当接部36a,36bが形成されている。これに対し、前記支持フレーム26の垂直壁26aにはストッパ38が固定されており、このストッパ38に前記回動当接部36aが当接する位置(図8(a)(b)に示す位置)が前記カメラ22の右回動端位置に設定され、前記ストッパ38に前記回動当接部36bが当接する位置(図11(a)(b)に示す位置)が前記カメラ22の左回動端位置に設定されており、両回動端位置のちょうど中間位置が前記基準位置に設定されている。
【0039】
前記ブラケット36の車両前側端部(図3では上側の端部)からは下向きに被保持ピン37が突出しており、この被保持ピン37が前記カメラ22とは左右逆向きに回動するようになっている。そして、この被保持ピン37を弾性保持するように前記弾性保持機構40が構成されている。
【0040】
具体的に、この弾性保持機構40は、第1スライド部材41及び第2スライド部材42と、両スライド部材41,42同士を連結する弾性部材である引張コイルばね44とを備えている。
【0041】
両スライド部材41,42は、図例では板状をなし、その板厚方向に互いに重ねられた状態で、かつ、前記支持フレーム26の垂直壁26aに沿う立直姿勢で、当該垂直壁26aに取付けられ、かつ、車両幅方向(左右方向)にそれぞれスライド可能となるように支持されている。
【0042】
第1スライド部材41は、車両左右方向に延びる左右一対の貫通長孔41hを有し、これらの貫通長孔41hにそれぞれ前記垂直壁26aから突出するスライド部材支持ピン26cが挿通されることにより、当該垂直壁26aに前記第1スライド部材41がスライド可能に支持されるとともにそのスライドストロークが前記貫通長孔41hの長さに相当するストロークに制限されている。このスライドストロークは、前記カメラ22が前記基準位置から前記右回動端位置まで回動するストローク(=α)に対応するストロークよりも若干大きめに設定されている。
【0043】
この第1スライド部材41の本体部分からは車両後側に向けて第1当接部41a及び第1ばね取付部41bが突出している。前記第1当接部41aは、車両後方からみて前記被保持ピン37に対して左側(図4の左側)から当接可能な位置に形成され、前記第1ばね取付部41bは前記第1当接部41aと同じ側の端部(図4では左側端部)で前記第1当接部41bよりも一段低い位置に形成されている。そして、前記カメラ22が基準位置にあるときに前記被保持ピン37に対して前記第1当接部41aが前記被保持ピン37に車両後方から見て左側から当接した状態(図4の状態)で第1スライド部材41が車両後方から見て最も右端の位置(前記各貫通長孔41hの左側終端縁部が前記スライド部材支持ピン26cに当接する位置)に存するように、当該第1スライド部材41の取付位置が設定されている。
【0044】
同様に、第2スライド部材42も左右方向に延びる貫通長孔42hを有し、この貫通長孔42hに前記スライド部材支持ピン26cが挿通されることにより当該垂直壁26aにスライド可能に第2スライド部材42が支持されるとともに、そのスライドストロークが前記貫通長孔42hの長さに相当するストロークに制限されている。このスライドストロークは、前記カメラ22が前記基準位置から前記左回動端位置まで回動するストローク(=α)に対応するストロークよりも若干大きめに設定されている。
【0045】
この第2スライド部材42の本体部分からは車両後側に第2当接部42a及び第2ばね取付部42bが突出している。前記第2当接部42aは、車両後方からみて前記被保持ピン37に対して右側(図4の右側)から当接可能な位置に形成され、前記第2ばね取付部42bは前記第2当接部42aと同じ側の端部(図4では右側端部)で前記第2当接部42bよりも一段低い位置に形成されている。そして、前記カメラ22が基準位置にあるときに前記被保持ピン37に対して前記第2当接部42aが前記被保持ピン37に車両後方から見て右側から当接した状態(図4の状態)で第2スライド部材42が車両後方から見て最も左側の位置(前記各貫通長孔42hの右側終端縁部が前記スライド部材支持ピン26cに当接する位置)に存するように、当該第2スライド部材42の取付位置が設定されている。
【0046】
前記引張コイルばね44は、その両端が前記第1ばね取付部41bと第2ばね取付部42bとに取付けられている。よって、この引張コイルばね44の弾性復帰力は両ばね取付部41b,42b同士を引き寄せ合う力として作用し、図3〜図5に示すように前記カメラ22が基準位置にある状態では、前記被保持ピン37に対して前記第1当接部41a及び第2当接部42aが左右両側から同時に当接する(すなわち被保持ピン37を挟持する)状態が保持されるとともに、この状態で引張コイルばね44の弾性変形量は最小(すなわちばね長が最短)となる。
【0047】
さらに、この車両後方撮影装置20では、前記両スライド部材41,42のスライド運動を利用して前記カメラ22の回動位置を検出する手段が組み込まれている。
【0048】
具体的に、前記第1スライド部材41及び第2スライド部材42の本体部分からはそれぞれ下方に第1被検出部41f及び第2被検出部42fが突出する一方、前記支持フレーム26の垂直壁26aに取付けられている前記制御回路基板50上には、前記被検出部41f,42fと同じ高さ位置に、右回動端位置センサ(第1の回動端位置センサ)53、第1の基準位置センサ51、第2の基準位置センサ52、及び左回動端位置センサ(第2の回動端位置センサ)54が車両後方から見て左から順に配列されている。
【0049】
これらの位置センサ51〜54は、反射型光センサにより構成され、前記被検出部41f,42fからの光の反射の有無によって当該センサの配設位置における当該被検出部41f,42fの存否を検出する。すなわち、反射光を検知したときにのみオン信号を出力する。
【0050】
このうち第1の基準位置センサ51は、図3〜図7及び図9,図10に示すようにカメラ22が基準位置にあって前記第1スライド部材41が車両後方から見て右端に位置するときの、当該第1スライド部材41における第1の被検出部41fを検出する位置に設けられ、同様に第2の基準位置センサ52は、前記カメラ22が基準位置にあって前記第2スライド部材42が車両後方から見て左端に位置するときの、当該第2スライド部材42における第2の被検出部42fを検出する位置に設けられている。
【0051】
また、右回動端位置センサ53は、図8(a)(b)に示すようにカメラ22が右回動端位置にあって前記第1スライド部材41が車両後方から見て左端に位置するときの、当該第1スライド部材41における第1の被検出部41fを検出する位置に設けられ、右回動端位置センサ54は、図11(a)(b)に示すようにカメラ22が左回動端位置にあって前記第2スライド部材42が車両後方から見て右端に位置するときの、当該第2スライド部材42における第2の被検出部42fを検出する位置に設けられている。
【0052】
制御回路基板50には、前記各位置センサ51〜54の他、前記モータ28の駆動を制御するモータ制御回路が組み込まれている。このモータ制御回路は、前記各位置センサ51〜54の出力信号に基づいてカメラ22の現在位置を判定するとともに、その現在位置が前記コントローラ16から入力される切換指令信号により指定されたカメラ位置と異なる場合には、両位置を近づける方向に前記モータ28を作動させ、両位置が合致した時点で前記モータ28の駆動を停止させる制御動作を行う。
【0053】
具体的に、このモータ制御回路は、前記各位置センサ51〜54の出力信号すなわち検出信号に基づいて、カメラ位置を次のように判定する。
【0054】
1)両基準位置センサ51,52がオンで両端位置センサ53,54がオフのときは、カメラ22が基準位置にあると判定する(図4,図9,図10)。
【0055】
2)第2基準位置センサ52及び右回動端位置センサ53がオンで第1基準位置センサ51及び左回動端位置センサ54がオフのときは、カメラ22が右回動端位置にあると判定する(図8)。
【0056】
3)第1基準位置センサ51及び左回動端位置センサ54がオンで第2基準位置センサ52及び右回動端位置センサ53がオフのときは、カメラ22が左回動端位置にあると判定する(図11)。
【0057】
4)第2基準位置センサ52のみがオンのときは、カメラ22が基準位置と右回動端位置との間に位置していると判定する。
【0058】
5)第1基準位置センサ51のみがオンのときは、カメラ22が基準位置と左回動端位置との間に位置していると判定。
【0059】
6)前記以外の場合は故障と判定する。
【0060】
次に、この車両後方撮影装置20の作用を説明する。
【0061】
カメラ22が基準位置で停止しているときは、このカメラ22が固定されているブラケット36の被保持ピン37も中央位置にあり、この被保持ピン37に対して第1スライド部材41の第1当接部41aと第2スライド部材42の第2当接部42aが左右両側から同時に当接するとともに、その当接状態が引張コイルばね44の弾性復帰力(引張力)によって保持される。すなわち、カメラ22は前記基準位置に弾性保持される。
【0062】
このとき、カメラ22は車両の後方視界中央領域を撮影する。また、両スライド部材41,42の被検出部41f,42fはそれぞれ第1基準位置センサ51の配設位置および第2基準位置センサ52の配設位置にそれぞれ存在しており、これら基準位置センサ51,52のみがオン信号を出力する状態となる。
【0063】
この状態で、前記コントローラ16からカメラ位置を右回動端位置に切換える旨の切換指令信号が制御回路基板50の制御回路に入力されると、この制御回路は、カメラ22を車両右側に回動させる向き(図3ではスライドギア35、ブラケット36及びカメラ22を反時計回りに回転させる向き)にモータ28を作動させる。このモータ28の駆動力は駆動変換機構30を介してブラケット36に伝達され、このブラケット36とカメラ22とが一体に右回動端位置へ回動し始める。
【0064】
このとき、前記ブラケット36に突設された被保持ピン37は、車両後方からみて図3等に示す中央位置から左側に移動し始める。このとき、第2スライド部材42はその貫通長孔42hの右側終端の縁部がスライド部材支持ピン26cに当接しているためにその位置に取り残され、よって当該第2スライド部材42の第2当接部42aは前記被保持ピン37から離間するが、第1スライド部材41はその第1当接部41aが引張コイルばね44の弾性引張力を受けて前記被保持ピン37に圧接する状態を維持しながら前記引張コイルばね44を伸ばすようにして当該被保持ピン37とともに左側へスライドする。すなわち、カメラ22は引張コイルばね44の弾性引張力による抵抗を受けながら右回動端位置に向かって回動する。
【0065】
そして、その右回動端位置、すなわち図8(a)(b)に示すようにブラケット36の回動当接部36aがストッパ38に当接する位置にカメラ22が到達すると、前記第1スライド部材41の被検出部41fが右回動端位置検出センサ53の配設位置に到達して当該センサ53がオンに切換わり、これに対応して制御回路はモータ28の駆動を停止させる。これにより、カメラ22は前記右回動端位置に固定され、車両の右斜め後方を撮影する状態となる。
【0066】
なお、モータ28の駆動を停止させる方法としては、前記右回動端位置検出センサ53がオンに切換わった時点で直ちにモータ28への電源供給を停止させるようにしてもよいし、当該センサ53がオンに切換わった時点からモータ28の電圧値を下げてトルクを低下させ、微小時間(例えば0.5秒間)だけモータ28を回して位置調整をした後に当該モータ28を完全停止させるようにしてもよい。
【0067】
次に、前記コントローラ16からカメラ位置を基準位置に切換える旨の切換指令信号が制御回路基板50の制御回路に入力されると、この制御回路は、カメラ22を今度は車両左側に回動させる向き(図3ではスライドギア35、ブラケット36及びカメラ22を時計回りに回転させる向き)にモータ28を作動させる。
【0068】
このとき、カメラ22は前記基準位置に戻る向きに回動するが、前記ブラケット36に突設された被保持ピン37は、車両後方からみて図8(a)(b)に示す左回動端位置から中央位置に逆行する。このとき、第1スライド部材41には引張コイルばね44の弾性引張力すなわち当該第1スライド部材41を基準位置側に戻そうとする付勢力が作用しているので、このときも第1スライド部材41はその第1当接部41aが前記被保持ピン37に圧接する状態を維持しながらこの被保持ピン37とともにスライドする。
【0069】
そして、図9(a)(b)に示すように前記第1スライド部材41の被検出部41fが第1基準位置検出センサ51の配設位置に到達して当該センサ51がオンに切換わると、制御回路はカメラ22が基準位置に復帰したと判断してモータ28の駆動を停止させる。これにより、カメラ22は前記基準位置に位置決めされる。
【0070】
ここで、前記駆動変換機構30は歯車機構を含んでいるので、その総バックラッシュ分だけモータ28の出力軸とカメラ22の位置との間に位相差が生じ得るが、上記のようにカメラ22には弾性保持機構40により当該カメラ22を基準位置に保持する弾性復帰力が与えられているので、前記バックラッシュにかかわらずカメラ22を正確に基準位置に位置決めし、かつ同位置に保持してガタツキを抑止することができる。そればかりか、逆に前記バックラッシュによるカメラ22の空転現象(すなわちモータ28が停止しているにもかかわらず前記バックラッシュ分だけカメラ22が回動できる現象)を利用して、モータ28の停止タイミングのずれによる基準位置への位置決め誤差を吸収することが可能となる。
【0071】
すなわち、前記右回動端位置から基準位置に復帰する際、カメラ22には当該カメラ22を基準位置へ戻そうとする弾性復帰力が常に与えられているので、このカメラ22が基準位置に到達した瞬間での回転位置(図9(a)(b)の位置)からさらに前記バックラッシュ分だけモータ28が回転しても(図10(a)(b)の位置)カメラ22は弾性保持機構40によって基準位置に保持される。つまり、図9(a)(b)に示す回転位置と図10(a)(b)に示す回転位置との間の範囲(すなわち前記バックラッシュ相当分の角度範囲)内であれば、その範囲内のどの回転位置でモータ28の出力軸が停止してもカメラ22は弾性保持機構40によって正確に基準位置に保持されるのであり、これにより基準位置へのカメラ22の位置決め精度は格段に向上する。
【0072】
この場合も、モータ28の駆動を停止させる方法としては、第1基準位置検出センサ51がオンに切換わった時点で直ちにモータ28への電源供給を停止させるようにしてもよいし、当該センサ53が基準位置よりも手前でオンに切換わるように予め設定しておき、そのオンに切換わった時点からモータ28の電圧を低下させてカメラ22の位置調整(例えば前記バックラッシュ領域の中央位置までカメラ22を進める調整)をした後に完全停止させるようにしてもよい。
【0073】
この基準位置からカメラ位置を左回動端位置に切換える旨の切換指令信号が制御回路基板50の制御回路に入力された場合には、この制御回路が図3の時計回り方向にスライドギア35、ブラケット36及びカメラ22を回転させる向きにモータ28を作動させてカメラ22をさらに車両左側に回動させる。
【0074】
このとき、前記ブラケット36に突設された被保持ピン37は、車両後方からみて図3等に示す中央位置から右側に移動し、前記とは逆に第1スライド部材41が取り残されて第2スライド部材42のみその第2当接部42aが被保持ピン37に圧接する状態を維持しながら当該被保持ピン37とともに右側へスライドする。そして、図11(a)(b)に示すようにブラケット36の回動当接部36bがストッパ38に当接する左回動端位置にカメラ22が到達すると、前記第2スライド部材42の被検出部42fが左回動端位置検出センサ54の配設位置に到達して当該センサ54がオンに切換わり、これに対応してモータ28の駆動が停止され、カメラ22は前記左回動端位置、すなわち、車両の左斜め後方を撮影する位置に固定される。
【0075】
以上説明したように、この実施の形態では、前記カメラ22の回動が、その回動の向きにそれぞれスライドする第1スライド部材41及び第2スライド部材42の単純な直線運動に変換されているので、これらのスライド部材41,42の間に引張コイルばね44(配置によっては圧縮コイルばねを用いてもよい。)を介在させるだけの簡単な構造で、前記カメラ22を正確に前記基準位置に弾性的に保持することが可能となっているが、両スライド部材41,42にそれぞれ別のばねを連結して各ばねにより各スライド部材41,42を個別に基準位置側に付勢するようにしてもよい。
【0076】
また、本発明に係る弾性保持機構40は、例えば弾性部材単体でカメラ22を基準位置に弾性保持するものであってもよい。その例を第2の実施の形態として図12(a)(b)及び図13に示す。
【0077】
この例では、弾性部材としてねじりコイルばね60が用いられている。このねじりコイルばね60は、その中間部分がコイル状に複数回巻かれていて支軸27の周囲に取付けられており、両端部が被保持ピン37側に向かって直線状に延びる第1当接部61及び第2当接部62とされている。そして、図示のようにカメラ22が中央の基準位置にあり、これに対応して前記被保持ピン37が中央位置にある状態では、この被保持ピン37に対して前記両当接部61,62が左右から当接して当該ピン37を挟持する一方、この状態からカメラ22が左側または右側に回動してこれと一体に被保持ピン37が回動すると、その回動先側の当接部(例えば図12(a)の反時計回り方向に被保持ピン37が回動する場合には第1当接部61)がねじりコイルばね60の弾性変形量の増加を伴いながらその被保持ピン37の回動の向きと同じ向きに拡開し、その弾性復帰力が被保持ピン37及びブラケット36を通じてカメラ22に当該カメラ22を基準位置に戻そうとする力として作用する。
【0078】
このように、本発明に係る弾性保持機構は、少なくとも弾性部材を含んでいてその弾性復帰力がカメラを基準位置に戻そうとする力として作用するものであれば具体的な構造は問わない。
【0079】
なお、前記第2の実施の形態では、カメラ位置を検出する手段として、その検出専用のスライド部材70が支持フレーム62の垂直壁62bに左右方向にスライド可能に取付けられている。このスライド部材70の上端には、前記被保持ピン37の下端を左右から挟持する形状の一対の挟持片72を有し、前記被保持ピン37の回動に連動してその回動の向きと同じ向きにスライドするようになっている。そして、このスライド部材70の下端から下方に被検出部74が突出する一方、制御回路基板50には、カメラ22が右回動端位置にあるときに前記被検出部74を検出する右回動端位置検出センサ53と、カメラ22が基準位置にあるときに前記被検出部74を検出する基準位置検出センサ55と、カメラ22が左回動端位置にあるときに前記被検出部74を検出する左回動端位置検出センサ55とが順に配列されている。
【0080】
ここで、前記スライド部材70は例えば図14(a)(b)に示すようなリニアセンサ76の検出スライド部78に連結するようにしてもよい。この場合には、カメラ22の位置が連続的に検出可能となる。
【0081】
その他、本発明は例えば次のような実施の形態をとることも可能である。
【0082】
・本発明において、駆動変換機構30や弾性保持機構40の配設位置は適宜設定可能である。ただし、図示のようにカメラ22が斜め下向きの姿勢で略垂直方向の支軸27回りに左右方向に回動可能に設けられるものにおいては、前記支軸27とともに駆動変換機構30をカメラ22の上方に設け、車両前側に弾性保持機構40を設けることによって、カメラ22の良好な視界を確保しながら両機構30,40をコンパクトに配置することができる。また、カメラ22が水平向きまたは若干上向きに設けられる場合には、当該カメラ22の下側に前記駆動変換機構30を設けるようにしてもよい。
【0083】
・カメラ位置検出手段は適宜省略可能である。その場合、カメラを駆動するモータの位相等からカメラ位置を推定するようにしてもよい。
【0084】
・本発明における駆動変換機構は、バックラッシュをもった歯車機構を含んでいればよく、その具体的な構成は問わない。例えばモータに内蔵される減速機であってもよい。
【0085】
・本発明においてカメラを回動させる方向は左右方向に限らない。例えば手動操作でカメラを上下方向に回動させるものにおいても、その回動範囲の途中に基準位置を設定する場合に本発明を有効に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る車両後方撮影装置を装備した車両の平面図、(b)はその側面図である。
【図2】前記車両に装備されるコントローラの機能構成を示すブロック図である。
【図3】前記車両後方撮影装置の一部断面平面図である。
【図4】前記車両後方撮影装置のカバーを取り除いた状態を示す正面図である。
【図5】前記車両後方撮影装置の一部断面下面図である。
【図6】前記車両後方撮影装置の一部断面左側面図である。
【図7】前記車両後方撮影装置の一部断面右側面図である。
【図8】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが右回動端位置にある状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図9】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが右回動端位置から基準位置に到達した瞬間の状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図10】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが右回動端位置から基準位置に到達した瞬間からモータが駆動変換機構のバックラッシュ分だけ回転した状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図11】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが左回動端位置にある状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図12】(a)は第2の実施の形態に係る車両後方撮影装置の要部を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図13】前記第2の実施の形態に係る車両後方撮影装置の要部を示す右側面図である。
【図14】(a)はカメラの位置検出にリニアセンサを用いた実施の形態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【符号の説明】
【0087】
10 車両
16 コントローラ
20 車両後方撮影装置
22 カメラ
26 支持フレーム(支持部材)
27 支軸
28 モータ(駆動源)
30 駆動変換機構
31 ウォーム
32〜34 二重歯車
35 揺動歯車
37 被保持ピン(被保持部)
40 弾性保持機構
41 第1スライド部材
41a 第1当接部
41f 第1の被検出部
42 第2スライド部材
42a 第2当接部
42f 第2の被検出部
44 引張コイルばね(弾性部材)
50 制御回路基板
51 第1基準位置センサ
52 第2基準位置センサ
53 右回動端位置センサ(第1の回動端位置センサ)
54 左回動端位置センサ(第2の回動端位置センサ)
55 基準位置センサ
60 ねじりコイルばね(弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方の視界を撮影するカメラと、前記車両に取付けられ、前記カメラをこのカメラが特定方向に回動可能となるように支持する支持部材とを備え、前記カメラの位置が、予め設定された基準位置と、この基準位置から前記特定方向の両側にそれぞれ離れた位置とに切換えられる車両後方撮影装置であって、前記カメラを前記特定方向に回動させるための駆動源と、バックラッシュをもつ歯車機構を含み、前記駆動源の出力する駆動力を前記カメラを前記特定方向に回動させる力に変換する駆動変換機構と、弾性部材を含み、この弾性部材の弾性変形量が最も少ない状態で前記カメラを前記基準位置に保持する弾性保持機構とを備え、前記カメラが前記基準位置から前記弾性部材の弾性変形量の増加を伴いながらその弾性復帰力に抗して前記駆動源及び駆動変換機構により回動駆動されるように構成されていることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両後方撮影装置において、前記特定方向は車両の左右方向であり、前記基準位置は前記カメラが左右方向の略中央を向く位置に設定されていることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両後方撮影装置において、略垂直方向を向く前記カメラの支軸及び前記駆動変換機構が前記カメラよりも上側または下側の位置に設けられ、前記弾性保持機構が前記カメラよりも車両進行方向前側の位置に設けられていることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車両後方撮影装置において、前記カメラまたはこのカメラとともに回動する部材に被保持部が設けられるとともに、前記弾性保持機構は、前記カメラが前記基準位置にあるときの前記被保持部に対してその回動方向の一方の側から当接する第1当接部を有し、かつ、その位置から一方の側に被保持部が回動する際に当該被保持部と前記第1当接部とが当接する状態を維持しながらその回動の向きと同じ向きにスライド可能となるように前記支持部材に取付けられた第1スライド部材と、前記カメラが前記基準位置にあるときの前記被保持部に対してその回動方向の他方の側から当接する第2当接部を有し、かつ、その他方の側に被保持部が回動する際に当該被保持部と前記第2当接部とが当接する状態を維持しながらその回動の向きと同じ向きにスライド可能となるように前記支持部材に取付けられた第2スライド部材とを備え、これらの第1スライド部材及び第2スライド部材をそれぞれ前記カメラが前記基準位置にあるときの前記被保持部に対して当接する位置の側に付勢するように前記弾性部材が配設されていることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両後方撮影装置において、前記弾性部材は、前記第1スライド部材と前記第2スライド部材との間に介在するばねにより構成され、このばねは、前記カメラが前記基準位置にあるときに前記第1当接部と前記第2当接部との双方が前記被保持部に接触する状態を保持するとともにこの基準位置から前記カメラが回動するときに弾性変形量が増大してその回動の向きにスライドするスライド部材に対してその回動の向きとは逆向きの抵抗力を与えるように、両スライド部材間に介在していることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の車両後方撮影装置において、前記第1スライド部材のスライド位置を検出する第1のスライド位置検出手段と、前記第2スライド部材のスライド位置を検出する第2のスライド位置検出手段とを備え、両スライド位置検出手段の検出結果に基づいて前記カメラの回動位置が把握できるように構成されていることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項7】
請求項6記載の車両後方撮影装置において、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材にそれぞれ被検出部が設けられるとともに、前記第1のスライド位置検出手段は、前記カメラが前記基準位置にあるときに前記第1スライド部材の被検出部の存在を検出する位置に設けられた第1の基準位置センサと、前記カメラが前記第1スライド部材側への回動端位置まで回動したときにこの第1スライド部材の被検出部の存在を検出する位置に設けられた第1の回動端位置センサとを含み、前記第2のスライド位置検出手段は、前記カメラが前記基準位置にあるときに前記第2スライド部材の被検出部の存在を検出する位置に設けられた第2の基準位置センサと、前記カメラが前記第2スライド部材側への回動端位置まで回動したときにこの第2スライド部材の被検出部の存在を検出する位置に設けられた第2の回動端位置センサとを含み、前記第1の基準位置センサ、第1の回動端位置センサ、第2の基準位置センサ、及び第2の回動端位置センサが前記第1スライド部材及び第2スライド部材のスライド方向と平行な方向に配列されていることを特徴とする車両後方撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−129129(P2006−129129A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315442(P2004−315442)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】