説明

車両玩具

【課題】電気をつくりだしたり蓄えたり、変換したりするなどの電気の性質や働きに対する児童の理解を促すことができ、かつ安全性を向上させた車両玩具を提供する。
【解決手段】走行部材2で支持された車体1に、走行部材2を駆動する電動モーター3と、第一電源4と、蓄電池5と、走行部材2による略進行方向へ延びるレール61及びこのレール61に配置された移動体62からなりレール61の傾斜に伴う移動体62の移動によって第一電源4又は蓄電池5へ選択的に接続可能な第一切換スイッチ6と、電動モーター3を蓄電池5又は第一切換スイッチ6へ選択的に接続可能な第二切換スイッチ7が配置され、蓄電池5に、第二電源10を接続して充電可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーにより駆動する車両玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願の出願人は、複数の電気エネルギー源(乾電池と太陽電池)を組み合わせて効率的に走行することができ、児童が車両の仕組みやエネルギーの利用について学習するための小学校理科の教材としても使用可能な車両玩具を開発した(下記の特許文献1参照)。
【0003】
すなわち図8及び図9に示されるように、この車両玩具100は、車体101と、車輪102とを備え、車体101上に、車輪102を駆動する電動モーター103と、この電動モーター103に電力を供給する乾電池104及び太陽電池105と、車体101の走行方向に沿って設けられたレール106が搭載され、レール106にはその長手方向へ転動可能な球体107が配置されたものである。
【0004】
図9及び図10に示される例では、レール106は、その長手方向へ延びる導体106aと、長手方向両端に位置すると共に前記導体106aと離間した第一及び第二端子106b,106cが設けられており、導電性金属からなる球体107の移動によって、電源の切換スイッチ110として機能するものである。
【0005】
したがって、この車両玩具100を走行させる走行面がほぼ水平あるいは下り坂である場合は、球体107がレール106の長手方向一端へ移動することにより、電動モーター103は導体106a、球体107及び第一端子106bを介して太陽電池105と接続されるので、車両玩具100は、太陽電池105の電力によって走行するようになっている。また、走行面がある程度以上の勾配の上り坂になると、球体107が、図9及び図10に一点鎖線で示されるようにレール106の長手方向他端へ移動することによって、電動モーター103が導体106a、球体107及び第二端子106cを介して乾電池104と接続されるので、車両玩具100は、乾電池104の電力によって走行するようになっている。
【0006】
すなわちこの車両玩具100は、負荷が大きい上り坂では乾電池104からの安定した大きな電力を供給し、水平面や下り坂ではクリーンエネルギーである太陽電池105からの電力を利用するということで、異なるエネルギー源をその特性を生かすように切り換えながら走行するハイブリッドカーの模型となっており、複数のエネルギー源を利用することに関する児童の理解を促すための理科教材としても適したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4255445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献に記載された従来の車両玩具によれば、エネルギーがつくり出され蓄えられることについての理解を促すものではなく、また、室内で走行させる場合、太陽電池105へ向けて例えば150W程度の電球で光を照射して発電させるが、所要の電力を得るには、走行する車両玩具100を、電球を持って追いかける必要があるため、電球の熱でやけどをしたり、過って電球を落としたりするおそれがあった。
【0009】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、複数のエネルギー源を組み合わせて効率的に走行する車両玩具において、児童が、エネルギーが蓄えられることや変換されることについて体験的に捉えるための理科教材としても使用することができるようにし、かつ安全性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る車両玩具は、走行部材で支持された車体に、前記走行部材を駆動する電動モーターと、第一電源と、蓄電池と、前記走行部材による略進行方向へ延びるレール及びこのレールに配置された移動体からなりレールの傾斜に伴う移動体の移動によって第一電源又は蓄電池へ選択的に接続可能な第一切換スイッチと、前記電動モーターを蓄電池又は第一切換スイッチへ選択的に接続可能な第二切換スイッチが配置され、前記蓄電池に、第二電源を接続して充電可能であることを特徴とするものである。
【0011】
上記構成の車両玩具によれば、第二切換スイッチをオープン状態にすると共に、蓄電池に第二電源を接続することによって、蓄電池に所定の電力を充電することができる。そして第二切換スイッチを蓄電池側に接続すると、蓄電池からの電力によって電動モーターが駆動して走行部材により走行し、第二切換スイッチを第一切換スイッチ側に接続すると、この第一切換スイッチにおけるレールの傾斜に伴う移動体の移動によって、電動モーターが第二切換スイッチ及び第一切換スイッチを介して蓄電池又は第一電源へ選択的に接続されるので、走行面の勾配に応じて電源を蓄電池又は第一電源に切り換えながら走行する。
【0012】
請求項2の発明に係る車両玩具は、請求項1に記載の車両玩具において、蓄電池がコンデンサからなることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の発明に係る車両玩具は、請求項1に記載の車両玩具において、第二電源が太陽電池、手回し発電機又は乾電池等の直流電源からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両玩具は、蓄電池に蓄えた電力のみで走行させたり、走行面の勾配に応じて電源を蓄電池又は第一電源に切り換えながら走行させたりするのを選択することができるため、複数のエネルギー源を組み合わせて効率良く走行することを学習するのに適した理科教材として使用することができ、特に、太陽電池あるいは手回し発電機などのように、発電力の不安定な第二電源から得られた電力を蓄電池にいったん蓄積するため、電気をつくりだしたり蓄えたり、変換したりするなどの電気の性質や働きに対する児童の理解を促すことができる。
【0015】
また、第二電源でつくりだされた電力をいったん蓄電池に蓄えるため、第二電源が太陽電池からなる場合、当該車両玩具を室内で走行させるときに電球などで太陽電池に光を照射し続ける必要がなく、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車両玩具の好ましい第一の形態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車両玩具の好ましい第一の形態を示す平面図である。
【図3】本発明に係る車両玩具の好ましい第一の形態の電気回路を示す図である。
【図4】本発明に係る車両玩具の好ましい第一の形態における走行時の動作を示す説明図である。
【図5】本発明に係る車両玩具の好ましい第二の形態を示す側面図である。
【図6】本発明に係る車両玩具の好ましい第三の形態の電気回路を示す図である。
【図7】本発明に係る車両玩具の好ましい第四の形態の電気回路を示す図である。
【図8】従来の技術による車両玩具の一例を示す側面図である。
【図9】従来の技術による車両玩具の一例を示す平面図である。
【図10】従来の技術による車両玩具の一例の電気回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための好ましい形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、本発明に係る車両玩具の好ましい第一の形態を示す側面図、図2は、同じく平面図、図3は、同じく電気回路を示す図、図4は、同じく走行時の動作を示す説明図である。
【0018】
図1及び図2に示される車両玩具は四輪自動車を模したものであって、車体1と、これを支持する前後二軸の車輪2とを有する。なお、図1における右側が車両の進行方向(前方)であり、車輪2は、請求項1に記載された走行部材に相当するものである。
【0019】
車体1には、車輪2を駆動する電動モーター3と、第一電源4と、蓄電池5と、第一切換スイッチ6と、第二切換スイッチ7と、充電端子8が配置されている。
【0020】
電動モーター3としては模型玩具用の小型の直流モーターが用いられる。そして前後二軸の車輪2のうちの一方の車輪2Aと、電動モーター3の出力軸との間にはゴム製の無端ベルト9が巻き掛けられており、電動モーター3の駆動力が、この無端ベルト9を介して車輪2Aへ伝達されるようになっている。
【0021】
第一電源4としては乾電池が用いられる。また、蓄電池5は充電池(充電式電池)でも良いが、好ましくは2.3V 10F程度のキャパシタ(電解二重層コンデンサ)が用いられる。キャパシタは安価で小型であり、しかも内部抵抗が著しく低いため充電効率が高く、短時間(数十秒〜数分)で充電できるからである。
【0022】
第一切換スイッチ6は、車体1上に、車輪2による車体1の進行方向にほぼ沿って延びるように取り付けられたレール61と、このレール61に配置されてその長手方向へ転動可能な導電性金属からなる球体62とを備える。レール61の内面には、その長手方向へ延びる薄い金属板からなる導体6aが設けられ、レール61の長手方向両端61a,61bには前記導体6aと離間した第一及び第二端子6b,6cが設けられ、前記球体62がレール61の一端(前端)61aにあるときには、この球体62を介して導体6aと第一端子6bが電気的に接続状態となり、球体62がレール61の他端(後端)61bにあるときには、この球体62を介して導体6aと第二端子6cが電気的に接続状態となるものである。なお、球体62は請求項1に記載された移動体に相当する。
【0023】
また、この第一切換スイッチ6におけるレール61は、図1に示されるように、車体1に対して、前端61aが低くなるように僅かに傾斜した状態で取り付けられている。したがって、車体1がほぼ水平面上にある場合、及び車体1が下り坂にあるような場合には、球体62がレール61の前端61aに位置し、導体6aと第一端子6bが電気的に接続された状態に保持されるようになっている。
【0024】
一方、第二切換スイッチ7は車体1の後端部に設けられ、図3に示されるように、可動接点7aと第一〜第三の固定端子7b〜7dを有するものであって、図1又は図2に示されるレバー71を手動で操作することによって、接続が第一〜第三の固定端子7b〜7dに切り換えられるものである。
【0025】
そして第二切換スイッチ7における可動接点7aは電動モーター3の一方の端子3aに接続され、第一の固定端子7bはキャパシタからなる蓄電池5の一方の電極5aに接続され、第二の固定端子7cはオープン端子であり、第三の固定端子7dは第一切換スイッチ6におけるレール61に設けられた導体6aに接続されている。一方、第一切換スイッチ6における第一端子6bは蓄電池5の一方の電極5aに接続され、第二端子6cは乾電池からなる第一電源4の一方の電極4aに接続されている。また、第一電源4の他方の電極4bと蓄電池5の他方の電極5bは電動モーター3の他方の端子3bに接続されている。
【0026】
充電端子8は車体1の前端部に一対設けられ、それぞれ蓄電池5の電極5a,5bに接続されている。そしてこの充電端子8,8には、太陽電池からなる第二電源10の出力端子11,11を接続可能となっている。なお、図1及び図2に示される例では、充電端子8がピン状をなし、第二電源10の出力端子11が鰐口クリップとなっているが、ジャックとプラグによる挿し込み式など、他の接続方式であっても良い。
【0027】
以上のように構成された本発明の第一の形態の車両玩具は、第二切換スイッチ7における可動接点7aをオープン端子である第二の固定端子7cに保持すると共に、充電端子8,8に第二電源10の出力端子11,11を接続することによって、蓄電池5に第二電源10を接続する。そしてこの状態で太陽電池からなる第二電源10に太陽光又は電球などの光を照射すると、これにより発生した電力が蓄電池5に充電される。
【0028】
蓄電池5が十分に充電されたら、充電端子8,8から第二電源10の出力端子11,11を取り外し、第二切換スイッチ7における可動接点7aの接続をレバー71の操作によって第一の固定端子7bへ切り換えると、電動モーター3は、第二切換スイッチ7を介して蓄電池5と接続されることになるので、この蓄電池5から供給される電力によって駆動し、そのトルクが無端ベルト9を介して車輪2Aへ伝達され、車両玩具が走行する。
【0029】
また、第二切換スイッチ7における可動接点7aの接続をレバー71の操作によって第三の固定端子7dに切り換えると、電動モーター3の電源が走行面の勾配によって蓄電池5と第一電源4が自動的に切り換わるハイブリッド走行となる。
【0030】
詳しくは、走行面が水平である場合は、先に説明したように第一切換スイッチ6におけるレール61が、車体1に対して、前端61aが低くなるように僅かに傾斜した状態で取り付けられているので、図4の(A)に示されるように、球体62はレール61の前端61a上に位置している。このため、図3に示されるように、球体62を介して導体6aと第一端子6bが電気的に接続され、導体6aと第二端子6c間は電気的に遮断された状態にある。したがって第二切換スイッチ7を第三の固定端子7d側に切り換えた状態では、電動モーター3は、第二切換スイッチ7と、第一切換スイッチ6における導体6a、球体62、第一端子6bを介して蓄電池5に接続されることになるので、車両玩具は蓄電池5から供給される電力によって走行する。
【0031】
走行面が下り坂である場合も同様であり、すなわち図4の(B)に示されるように、球体62はレール61の前端61a上に位置するため、車両玩具は蓄電池5から供給される電力によって走行する。
【0032】
これに対し、走行面が上り坂になり、その勾配によってレール61の前端61aより後端61bが低くなると、図4の(C)に示されるように、球体62はレール61の後端61bへ移動する。このため、球体62を介して導体6aと第二端子6cが電気的に接続される一方、導体6aと第一端子6b間は電気的に遮断される。したがって電動モーター3は、第二切換スイッチ7と、第一切換スイッチ6における導体6a、球体62、第二端子6cを介して乾電池からなる第一電源4に接続されることになるので、負荷の大きい上り坂では、車両玩具は第一電源4から供給される電力によって走行する。
【0033】
また、レール61上の球体62の移動によって、第一電源4の電力による走行状態にあるか、蓄電池5の電力による走行状態にあるかを、視覚的に確認することができる。
【0034】
すなわち、この形態の車両玩具は、第二切換スイッチ7によって、太陽電池からなる第二電源10から蓄電池5への充電と、蓄電池5の電力のみによる走行と、走行面の勾配によって蓄電池5と第一電源4が自動的に切り換わるハイブリッド走行を選択することができるものであるため、プラグイン・ハイブリッドカーの模型となっている。このため、家庭用コンセント等の外部電源から夜間電力などでバッテリーに充電し、モーターのみで電気自動車として近距離走行可能である一方、バッテリーの電力が不足している場合や長距離走行時にはガソリンエンジン等によって走行するプラグイン・ハイブリッドカーに関する児童の理解を促すことができ、発電力の不安定な太陽電池である第二電源10から得られた電力を蓄電池5にいったん充電することで、エネルギーがつくり出され蓄えられることについて学ぶための小学校理科の教材としても適している。
【0035】
また、室内で走行させる場合、太陽電池からなる第二電源10を発電させるのに例えば150W程度の電球で光を照射するが、第二電源10の発電による蓄電池5の充電は電球などの照明器具を設置した所定の位置で行うことができ、車両玩具を、電球を持って追いかける必要がないため、電球の熱でやけどをしたり、過って電球を落としたりするおそれがなく、安全性が著しく向上する。
【0036】
次に図5は、本発明に係る車両玩具の好ましい第二の形態を示す側面図である。
【0037】
すなわち、上述した第一の形態では、外部電源からバッテリーに充電するプラグイン・ハイブリッドカーの特徴を有する模型とするため、太陽電池からなる第二電源10が充電端子8,8と出力端子11,11を介して着脱可能に外付けされるように構成したのに対し、図5に示される第二の形態は、第二電源10が車体1に搭載され、スイッチ12を介して蓄電池5と接続又は遮断されるようになっているものである。その他の部分は、第一の形態と同様に構成することができる。
【0038】
したがってこの構成によれば、充電のたびに第二電源10を取り付けたり取り外したりせずに、第二電源10を搭載したままで走行させることができる。
【0039】
次に図6は、本発明に係る車両玩具の好ましい第三の形態の電気回路を示す図である。
【0040】
この形態では、第一切換スイッチ6におけるレール61が、車体に立設された支柱63に設けられた水平軸63aにシーソー状に揺動可能に支持されており、このレール61には、その長手方向へ転動可能な球体62が配置されている。レール61の内面に設けられた金属板からなる導体6aの両端には第一及び第二可動接点6d,6eが取り付けられ、レール61のシーソー運動と共に上下動することによって、その下側に位置して車体側に取り付けられた第一及び第二固定端子6f,6gと接離されるようになっている。したがってこの形態では、球体62は接点を構成するものではないので、導電性金属からなるものである必要はなく、例えばガラスなどの絶縁体からなるものであっても良い。
【0041】
また、レール61は水平軸63aによる支持位置よりも一端(前端)61a側が他端(後端)61b側より僅かに重く、したがって走行面が水平又は下り坂などの場合には、球体62がレール61の前端61a側に位置するように設定されている。その他の部分は、第一の形態あるいは第二の形態と同様に構成することができる。
【0042】
すなわち第三の形態によれば、第二電源10によって蓄電池5へ充電した後、第二切換スイッチ7における可動接点7aの接続を第三の固定端子7dに切り換えた状態においては、走行面が水平又は下り坂であれば、球体62がレール61の前端61a側に位置しているので、レール61はその前端61a側が下がり、第一可動接点6dと第一固定端子6fが接触する。したがって、電動モーター3は、第二切換スイッチ7と、第一切換スイッチ6における導体6a、第一可動接点6d、第一固定端子6fを介して蓄電池5に接続される一方、第一電源4側の第二固定端子6gとの間は電気的に遮断された状態にあり、車両玩具は蓄電池5から供給される電力によって走行する。
【0043】
また、上り坂になることによってレール61の前端61aが高くなって行き、上り坂の勾配が一定以上になると、レール61の前端61aが後端61bより高くなるので、その時点で、球体62は前端61aから後端61bへ移動する。このため、球体62の重量によってレール61は水平軸63aによる支持位置を中心に揺動し、後端61b側が下がって、第二可動接点6eと第二固定端子6gが接触する。したがって、電動モーター3は、第二切換スイッチ7と、第一切換スイッチ6における導体6a、第二可動接点6e、第二固定端子6gを介して第一電源4に接続される一方、第一可動接点6dが蓄電池5側の第一固定端子6fから離れて電気的に遮断されるので、車両玩具は第一電源4から供給される電力によって走行する。
【0044】
さらに図7は、本発明に係る車両玩具の好ましい第四の形態を示す側面図である。
【0045】
この形態も、上述した第三の形態と同様、第一切換スイッチ6におけるレール61が、車体に立設された支柱63に設けられた水平軸63aにシーソー状に揺動可能に支持されたものである。第三の形態と異なるところは、レール61の内面には金属板からなる導体が設けられておらず、すなわち第一可動接点6dと第二可動接点6eの間が絶縁されており、第一可動接点6dが、その下側に配置されると共に第二切換スイッチ7における第三の固定端子7dと接続された第一接点6hと、蓄電池5に接続されると共に第一接点6hと対峙した第二接点6iに接離可能であり、第二可動接点6eが、その下側に配置されて第二切換スイッチ7における第三の固定端子7dと接続された第三接点6jと、第一電源4に接続されると共に第三接点6jと対峙した第四接点6kに接離可能となっている点にある。
【0046】
したがってこの形態でも、球体62は接点を構成するものではないので、導電性金属からなるものである必要はなく、ガラスなどの絶縁体からなるものであっても良い。
【0047】
すなわち第四の形態によれば、第二電源10によって蓄電池5へ充電した後、第二切換スイッチ7における可動接点7aの接続を第三の固定端子7dに切り換えた状態においては、走行面が水平又は下り坂であれば、球体62がレール61の前端61a側に位置しているので、レール61はその前端61a側が下がり、第一可動接点6dが第一接点6h及び第二接点6iに接触する。したがって、電動モーター3は、第二切換スイッチ7と、第一切換スイッチ6における第一接点6h、第一可動接点6d及び第二接点6iを介して蓄電池5に接続される一方、第一電源4側は第二可動接点6eが第三接点6j及び第四接点6kから離れて電気的に遮断された状態にあるので、車両玩具は蓄電池5から供給される電力によって走行する。
【0048】
また、上り坂になることによってレール61の前端61aが高くなって行き、上り坂の勾配が一定以上になると、レール61の前端61aが後端61bより高くなるので、その時点で、球体62は前端61aから後端61bへ移動する。このため、球体62の重量によってレール61は水平軸63aによる支持位置を中心に揺動し、後端61b側が下がって、第二可動接点6eが第三接点6j及び第四接点6kに接触する。したがって、電動モーター3は、第二切換スイッチ7と、第一切換スイッチ6における第三接点6j、第二可動接点6e及び第四接点6kを介して第一電源4に接続される一方、蓄電池5側は第一可動接点6dが第一接点6h及び第二接点6iから離れて電気的に遮断されるので、車両玩具は第一電源4から供給される電力によって走行する。
【0049】
なお、上述した各形態では、第二電源10として太陽電池を用いたが、これを例えば手回し式発電機や乾電池など、他の直流電源を用いることもできる。
【0050】
また、蓄電池5には充電池を採用しても良いが、上述の各形態のように、充電効率が高く、短時間で充電できるキャパシタを用いることが好ましい。
【0051】
蓄電池5として例えば2.3V 10Fのキャパシタを用い、第二電源10として最大1.7V 415mAの太陽電池を接続して、100V 300Wの電球による光源から15cmの距離でこの太陽電池に光を照射し、前記キャパシタの電圧を測定したところ、30〜40秒で1.3〜1.5Vに達し、電動モーター3として例えば模型玩具用の直流モーターFA130(マブチモーター株式会社製)を駆動させて走行可能な十分な充電量が得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の車両玩具は、玩具としてばかりでなく、電気をつくりだしたり蓄えたり、変換したりするなどの電気の性質や働きに対する児童の理解を促すための理科教材として利用することができ、外部電源からバッテリーに充電し、モーターのみで電気自動車として近距離走行可能であると共に、バッテリーの電力が不足している場合や長距離走行時にはガソリンエンジン等によって走行するプラグイン・ハイブリッドカーの理解のために利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 車体
2 車輪(走行部材)
3 電動モーター
4 第一電源
5 蓄電池
6 第一切換スイッチ
61 レール
62 球体(移動体)
7 第二切換スイッチ
8 充電端子
10 第二電源
11 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部材で支持された車体に、前記走行部材を駆動する電動モーターと、第一電源と、蓄電池と、前記走行部材による略進行方向へ延びるレール及びこのレールに配置された移動体からなりレールの傾斜に伴う移動体の移動によって第一電源又は蓄電池へ選択的に接続可能な第一切換スイッチと、前記電動モーターを蓄電池又は第一切換スイッチへ選択的に接続可能な第二切換スイッチが配置され、前記蓄電池に、第二電源を接続して充電可能であることを特徴とする車両玩具。
【請求項2】
蓄電池がコンデンサからなることを特徴とする請求項1に記載の車両玩具。
【請求項3】
第二電源が太陽電池、手回し発電機又は乾電池等の直流電源からなることを特徴とする請求項1に記載の車両玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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