説明

車両用カーテンレールのエンドキャップ

【課題】 本発明は車両用カーテンレールのエンドキャップに係り、カーテンレールの端末を確実にカバーして見栄えの向上を図ったエンドキャップを提供することを目的とする。
【解決手段】 車両用カーテンレールの端末に固定する樹脂製のエンドキャップであって、カーテンレールの端末からランナー溝内に係合可能なキャップ本体と、前記キャップ本体の外周に沿って一体形成され、カーテンレールのランナーガイド溝を挿通可能な連結片と、前記連結片の先端に該連結片よりも幅広な断面略L字状に一体形成され、カーテンレール端末のランナーガイド溝端部のエッジを外方から被覆するカバー片とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カーテンレールのエンドキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の居住性を高めるため、従来、サイドウインドやリヤウインドの上部にカーテンレールを取り付け、このカーテンレールにカーテンを吊り下げて、仮眠時等にサイドウインドやリヤウインドをカーテンで覆う車両用カーテン装置が大型トラック等で広く使用されている。
【0003】
従来の一般的なカーテン装置と同様、この種の車両用カーテン装置も、中空断面ロ字状の長尺部材にスリット状のランナーガイド溝を長手方向に形成したカーテンレールにカーテンランナを配設し、カーテンレールの端末にエンドキャップを固定してカーテンランナの脱落防止を図っている。
【0004】
図9乃至図11は特許文献1に開示されたカーテンレールの端末構造を示し、この従来例は、カーテンレール1の端末を固定するエンドキャップ3として、裏面側を肉抜きした椀形の本体部5と、該本体部5から前方へ突出する突出部7と、前記本体部5の裏面から下方へ突出する係止ピン9を備え、前記突出部7を平面視コ字状として左右の縦片7a、7bの先端部と根元部の厚さをカーテンレール1のランナー溝11の深さと同等とし中間部を薄くしたエンドキャップ3を用いたもので、図11に示すように前記突出部7をカーテンレール1の端末からランナー溝11に挿入しつつ、係止ピン9をトリム13に設けた穴15に嵌入してエンドキャップ3をトリム13に固定すると共に、カーテンレール1の端末をエンドキャップ3で固定した構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−39566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし乍ら、前記従来例にあっては、カーテンレール1端末のランナーガイド溝17端部のエッジE部分をエンドキャップ3で完全にカバーすることができず、また、エンドキャップ3の組み付け時のズレによって、カーテンレール1の端末とエンドキャップ3との間に隙間が生じて見栄えが悪くなってしまう欠点があった。
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、カーテンレールの端末を確実にカバーして見栄えの向上を図った車両用カーテンレールのエンドキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、車両用カーテンレールの端末に固定する樹脂製のエンドキャップであって、カーテンレールの端末からランナー溝内に係合可能なキャップ本体と、前記キャップ本体の外周に沿って一体形成され、カーテンレールのランナーガイド溝を挿通可能な連結片と、前記連結片の先端に該連結片よりも幅広な断面略L字状に一体形成され、カーテンレール端末のランナーガイド溝端部のエッジを外方から被覆するカバー片とからなることを特徴とする。
【0009】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車両用カーテンレールのエンドキャップに於て、前記キャップ本体に、カーテンレールに形成された車体取付孔に対応してネジ挿通孔を設けると共に、該車体取付孔の周縁部に係止可能な仮保持用の係止爪を設けたことを特徴とし、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の車両用カーテンレールのエンドキャップに於て、前記カバー片及び前記キャップ本体の外周から連結片に亘って、成形時の型抜き方向に抜き角が設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、エンドキャップの組み付け時のズレによって、カーテンレール端末との間に多少の隙間が生じても、カバー片がカーテンレール端末の多くの部分を外方から塞ぎ、そして、カバー片がランナーガイド溝端部の左右のエッジを外方から被覆するため、隙間やエッジが外部に露出することがなく、この結果、従来に比し見栄えが良好となって商品品質の向上が可能となる。
【0011】
そして、請求項2に係る発明によれば、カーテンレール端末へのエンドキャップの取付けに当たり、係止爪が車体取付孔の周縁部に係止してエンドキャップの仮保持を図るため、従来使用していた仮保持用のテープ等が不要となって部品費、加工費の削減が図れる利点を有する。
【0012】
また、請求項3に係る発明によれば、エンドキャップの製造に当たり、高価なスライド型等を使用することなく2個の型のみによる上下型割りが可能となるため、安価な型構造とすることができる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】請求項1乃至請求項3の一実施形態に係るエンドキャップの全体斜視図である。
【図2】カバー片の一部を省略したエンドキャップの他の角度からの全体斜視図である。
【図3】エンドキャップの側面図である。
【図4】カーテンレール端末とこれに挿着したエンドキャップの斜視図である。
【図5】エンドキャップのカバー片の一部を省略したカーテンレール端末とエンドキャップの斜視図である。
【図6】カーテンレール端末の斜視図である。
【図7】エンドキャップを挿着したカーテンレール端末の斜視図である。
【図8】車体への取付方法を示すカーテンレール端末の斜視図である。
【図9】従来のエンドキャップの平面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】従来のエンドキャップの取付状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1乃至図3は請求項1乃至請求項3の一実施形態に係る車両用カーテンレール(以下、「カーテンレール」という)のエンドキャップを示し、一例としてエンドキャップは射出成形によって製造されている。
【0016】
図1乃至図3に於て、21は図4乃至図8に示すようにカーテンレール23の端末25からランナー溝27内に係合可能なエンドキャップ29のキャップ本体(カーテンレール差込部)で、キャップ本体21は、ランナー溝27の内周に沿って形成された上面部31と左右の側面部33、35、そして、上面部31と両側面部33、35からキャップ本体21の一端側に延設された正面部37とで構成され、裏面側は肉抜きされてランナー溝27内への挿入側先端39側は開口している。
【0017】
そして、キャップ本体21の上面部31には、図6に示すランナー溝27の底部に形成された1個の長孔形状の車体取付孔41に対応して1個の長孔形状のネジ挿通孔43が同方向に設けられており、図4、図5及び図7の如くキャップ本体21をカーテンレール23の端末25からランナー溝27内に挿入、係合させてエンドキャップ29を所定の位置に挿着すると、前記ネジ挿通孔43と車体取付孔41の中心が一致するようになっている。
【0018】
更に、キャップ本体21の上面部31には、ランナー溝27内へのキャップ本体21の挿入時に弾性変形可能な1個の断面略三角形状の係止爪45が突設されており、既述したようにキャップ本体21をランナー溝27内に係合させてエンドキャップ29を所定の位置に挿着すると、係止爪45が車体取付孔41の周縁部に係止して、カーテンレール23に対しエンドキャップ29の仮保持を図っている。
【0019】
一方、図2及び図3に示すようにキャップ本体21の正面部37の下部には、該正面部37に沿って(正面部37と面一に)連結片47が下方へ一体に延設されており、図2、図5及び図7に示すように該連結片47は、カーテンレール23のランナーガイド溝49を挿通可能な幅寸法(図5中、符号L)で形成されている。
【0020】
従って、既述したようにキャップ本体21をランナー溝27内に係合させてエンドキャップ29を所定の位置に挿着すると、図5及び図7に示すように連結片47はランナーガイド溝49を挿通してカーテンレール23の下方に突出するようになっている。
【0021】
そして、図2及び図3に示すように連結片47の先端に、該連結片47よりも横方向に幅広な断面略L字状のカバー片51が一体形成されており、カバー片51は正面視矩形状に形成されている。そして、図4に示すようにキャップ本体21をランナー溝27内に係合させてエンドキャップ29を所定の位置に挿着すると、前記カバー片51がカーテンレール23の端末25の多くの部分を外方から塞ぐようになっている。
【0022】
また、斯様にランナーガイド溝49を挿通してカーテンレール23の下方に突出する連結片47の先端に、該連結片47よりも横方向に幅広な断面略L字状のカバー片51を形成した結果、図5及び図7に示すようにキャップ本体21をランナー溝27内に係合させてエンドキャップ29を所定の位置に挿着すると、図7の如くカーテンレール23の下方に突出する連結片47から横方向に広がるカバー片51の左右の角部51a、51bが、夫々、ランナーガイド溝49端部の左右のエッジ(図6中、E)を外方から被覆するようになっている。
【0023】
尚、カバー片51の左右の角部51a、51bとランナーガイド溝49端部の左右のエッジEとの間隔は、カーテンレール23の端末25の断面寸法のばらつきを考慮して一例として0.5mm以上が確保されている。
【0024】
そして、本実施形態に係るエンドキャップ29は射出成形によって製造されるが、上下型割り可能とするため、図3に示すようにカバー片51及びキャップ本体21の正面部37から連結片47に亘って、夫々、成形時の型抜き方向(図3中、矢印方向)に抜き角θ1、θ2が設定されている。
【0025】
本実施形態に係るエンドキャップ29はこのように構成されており、エンドキャップ29はメーカー側で予めカーテンレール23の端末25に仮付けされ、これらが納品されて工場のラインで車体(車室内)に取り付けられるが、図4、図5及び図7に示すようにキャップ本体21をランナー溝27内に係合させてエンドキャップ29をカーテンレール23の端末25に挿着すると、係止爪45が車体取付孔41の周縁部に係止してエンドキャップ29の仮保持を図り、また、図7に示すようにネジ挿通孔43と車体取付孔41の中心が一致する。
【0026】
従って、図8に示すように工場のラインでネジ挿通孔43と車体取付孔41にネジSを通してカーテンレール23を車体にネジ止めすればよく、これによりエンドキャップ29がカーテンレール23に共締めされる。
【0027】
そして、図7、図8に示すように、エンドキャップ29のカバー片51がカーテンレール23の端末25の多くの部分を外方から塞ぎ、カバー片51の左右の角部51a、51bが、夫々、ランナーガイド溝49端部の左右のエッジEを外方から被覆する。
【0028】
このように本実施形態によれば、カーテンレール23の端末25へのエンドキャップ29の取付けに当たり、係止爪45が車体取付孔41の周縁部に係止してエンドキャップ29の仮保持を図るため、従来使用していた仮保持用のテープ等が不要となって部品費、加工費の削減が図れる利点を有する。
【0029】
また、エンドキャップ29の組み付け時のズレによって、カーテンレール23の端末25との間に多少の隙間が生じても、カバー片51がカーテンレール23の端末25の多くの部分を外方から塞ぎ、カバー片51の左右の角部51a、51bがランナーガイド溝49端部の左右のエッジEを外方から被覆するため、隙間やエッジEが外部に露出することがなく、この結果、従来に比し見栄えが良好となって商品品質の向上が可能となる。
【0030】
而も、本実施形態は、カバー片51とキャップ本体21の正面部37から連結片47に亘って、夫々、成形時の型抜き方向に抜き角θ1、θ2を設定しているので、メーカーでのエンドキャップ29の製造に当たり、高価なスライド型等を使用することなく2個の型のみによる上下型割りが可能となるため、安価な型構造とすることができる利点を有する。
【0031】
そして、図示しないが前記カバー片51は、衣服等を引っ掛けるフックとして機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
21 キャップ本体
23 カーテンレール
25 端末
27 ランナー溝
29 エンドキャップ
41 車体取付孔
43 ネジ挿通孔
45 係止爪
47 連結片
49 ランナーガイド溝
51 カバー片
51a、51b 角部
θ1、θ2 抜き角


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用カーテンレールの端末に固定する樹脂製のエンドキャップであって、カーテンレールの端末からランナー溝内に係合可能なキャップ本体と、前記キャップ本体の外周に沿って一体形成され、カーテンレールのランナーガイド溝を挿通可能な連結片と、前記連結片の先端に該連結片よりも幅広な断面略L字状に一体形成され、カーテンレール端末のランナーガイド溝端部のエッジを外方から被覆するカバー片とからなることを特徴とする車両用カーテンレールのエンドキャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体に、カーテンレールに形成された車体取付孔に対応してネジ挿通孔を設けると共に、該車体取付孔の周縁部に係止可能な仮保持用の係止爪を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用カーテンレールのエンドキャップ。
【請求項3】
前記カバー片及び前記キャップ本体の外周から連結片に亘って、成形時の型抜き方向に抜き角が設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用カーテンレールのエンドキャップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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