説明

車両用コンソールパネル

【課題】簡便な構造で車両用コンソールパネルのプラグ収納室の蓋を閉止状態に保持する保持力を向上させる。
【解決手段】車両用のコンソールパネル10において、回転自在となるように取付アーム45を介してプラグ収納室19に取り付けられて開口を閉じる蓋12と、蓋12のプラグ収納室19側面に形成され、蓋12が閉められた際に端子筒に押し広げられて端子筒外面に対して締付力を発生させる弾性体の外周リブ41と、蓋が閉められた際に端子穴に圧縮されて差し込まれ端子穴内面に対して反発力を発生させる弾性体のピン42とを含み、外周リブ41の締付力とピン42の反発力とによって蓋12を閉状態に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用コンソールパネルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、他の電子機器との信号送受を行う信号線を接続するために信号線の端子(オス側端子)が差し込まれるコネクタ装置が組み込まれている。このようなコネクタ装置には信号線の端子が差し込まれる端子穴(メス側端子)が形成されている。この端子穴に差し込まれたオス側端子は、当該端子穴を介してコネクタ装置の内部に設けられた信号処理基板と電気的に接続され、各種信号の入出力が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この端子穴は、オス側端子が差し込まれている場合には問題ないが、オス側端子が差し込まれていないときには、端子穴が外部に完全に露出することになる。この場合、外部に露出した端子穴の内部に粉塵等が侵入してしまい、電気的接続の不良や、コネクタ装置そのものの故障などを招く恐れがある。
【0004】
そこで、端子の接続を行わない場合にこの端子穴を覆う蓋が提案されている。例えば、特許文献2にはテレビ受像機のフロントパネルに設けられたピンジャックを覆う蓋が記載されている。フロントパネルのピンジャックの取付けられる部分は段差加工され、蓋はこの段差部を覆うように構成されている。蓋は平板であって、長手方向の一側縁に厚みを薄くすることによって形成した弾性ヒンジ部を介してフロントパネルに回転自在に取付けられている。そして、蓋がフロントパネルのピンジャックを覆うように閉じられる際には、蓋に設けられたロック爪がフロントパネルに設けられたロック爪係止穴に嵌まり込んで弾性ヒンジ部の変形抵抗による蓋の開方向への反発力に打ち勝って蓋が閉止状態を保つように構成されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−238992号公報
【特許文献2】特開平5−152035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、近年の電子機器の発達によって、オーディオケーブルのように端子穴に嵌まり込むピンによって同軸ケーブルの芯線の接続を行い、端子外側に設けられた電気接続部によってシールド線の接続を行うような端子が用いられるようになってきている。このような端子穴と外面とを同時に電気的に接続する端子では、外面の接続を行うために端子外周にオス側プラグの入り込むスペースが必要となってくる。このため、パネルに設けられる接続端子用の穴は従来のピンジャックに対応するものよりも大きくする必要がある。更に、ステレオの信号線を接続しようとすると2本の接続端子が必要となり、ビデオ信号を接続しようとする場合には更に多くの端子が必要となってくる。
【0007】
このように複数の端子が必要になる場合に、複数の端子を連続して配置して配置スペースを減少させる多連端子が用いられることが多い。しかし、多連端子を用いた場合には、端子間隔が狭くなるので、パネルに設けられる接続端子用の穴は複数の穴を配置したものではなく、複数の端子がまとめて配置されるスペースを持つプラグ収納室とすることが必要となってくる。このプラグ収納室は内部に配置された各メス側端子に各オス側端子を接続することのできるスペースが必要となることから大きな開口と奥行きを持つものとなる。そして、各端子穴への異物の侵入や各端子の外面の電気接続面の保護のために、パネルに設けられた開口全体を覆う大きな蓋を設けることが必要となってくる。
【0008】
しかし、特許文献2に記載されたような蓋の構造では、プラグ収納室の内側にロック爪係合穴を持ち、蓋が閉止された際に蓋を保持する蓋受け部を設ける必要があり、構造が複雑になってしまうと共により大きなスペースが必要となるという問題がある。また、蓋の大型化によって蓋の一端面全部に渡って設けられている弾性ヒンジ部の変形抵抗が大きくなり、蓋の開方向への反発力が大きくなることから蓋を閉状態に保持するために必要な力が大きくなり、大きなロック爪あるいは複数のロック爪を設けることが必要となる。このため、更に大きなスペースが必要となるという問題がある。この点は、特にスペースに制限のある車両用コンソールパネルにプラグ収納室を設ける場合には大きな問題となる。
【0009】
一方、特許文献2に記載された構造において、蓋の大型化に合わせて弾性ヒンジ部の長さを長くしなければ変形抵抗の増加を抑えられ、蓋の開方向への反発力の増加も抑制することができるが、ヒンジ部が蓋の一端面全部に渡って設けられないことから、蓋が開状態になった際に蓋がグラついて端子の差込の際に邪魔になり、端子挿入の操作性が低下するという問題がある。つまり、蓋の開方向への反発力を抑制すると蓋の開状態におけるグラつきが発生するという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、簡便な構造で車両用コンソールパネルのプラグ収納室の蓋を閉止状態に保持する保持力を向上させることを目的とする。また、本発明の他の目的は、蓋の開方向への反発力の増加を抑制しつつ蓋の開状態におけるグラつきを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両用コンソールパネルは、基体部と、基体部の車室内側に設けられた化粧面と、化粧面に設けられた開口と、開口を含み、内部に多連プラグ端子の各端子筒を収納するプラグ収納室と、各端子筒の配列方向に沿った軸の周りに回転自在となるように取付アームを介してプラグ収納室に取り付けられて開口を閉じる蓋と、を備える車両用コンソールパネルであって、蓋のプラグ収納室側面に形成され、蓋が閉められた際に端子筒に押し広げられて端子筒外面に対して締付力を発生させる弾性体の外周リブと、蓋が閉められた際にプラグ端子筒の端子穴に圧縮されて差し込まれ端子穴内面に対して反発力を発生させる弾性体のピンとを含み、外周リブの締付力とピンの反発力とによって蓋を閉状態に保持すること、を特徴とする。
【0012】
本発明の車両用コンソールパネルにおいて、取付アームは、蓋のプラグ収納室側面に形成された弾性体の板状部材で、板面がプラグ収納室の内面に沿うようにプラグ収納室に取付けられ、蓋の開閉の際に蓋との接続部近傍が弾性変形することにより蓋を回動させること、としても好適であるし、取付アームの側端面と板面とに沿うようにプラグ収納室の内面に形成され、取付アームの幅方向及び厚さ方向の位置を制限すると共に取付アームの長手方向に沿った軸の周りの回転を制限する保持ツメを備えること、としても好適である。
【0013】
また、本発明の車両用コンソールパネルにおいて、ピンは円筒又は円柱形状で、外面に端子穴内面に当接する突起を備えていること、としても好適であるし、ピンは、少なくともひとつの側端面が端子穴内面に当接する十字型断面のリブであること、としても好適であるし、ピンは、蓋の回転軸に近づくほど長さが長いこと、としても好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、簡便な構造で車両用コンソールパネルのプラグ収納室の蓋を閉止状態に保持する保持力を向上させることができるという効果を奏する。また、本発明は、蓋の開方向への反発力の増加を抑制しつつ蓋の開状態におけるグラつきを抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態である車両用のコンソールパネル10の意匠面11を示す平面図である。意匠面11は車室側に向いた面で、各種のスイッチのコントロールボタンや端子あるいはスイッチなどの位置を示すインジケータなどが配置されている。本実施形態のコンソールパネル10はその中央に3連プラグ端子であるVTR用の端子が配置され、その端子をカバーする蓋12が取付けられている。蓋12は意匠面11と面一になるように配置されている蓋板13と蓋12を開ける際に指を掛けるつまみ14とを備えている。また、意匠面11の両側にはオーディオ信号用の単端子をカバーする蓋15と、音量を調整するボリューム17とが設けられている。
【0016】
図2に示すように、コンソールパネル10は意匠面11を有する基体部である本体21と上カバー23と下カバー25とVTR用の3連プラグ端子27と蓋12とが組み合わされて構成されている。VTR用の3連プラグ端子27は上カバー側に回路基板が取り付けられ、意匠面11に向かって外面が電気的に接続される端子筒28が突出するように取付けられている。
【0017】
図2に示すように、蓋12は蓋板13と蓋板13のプラグ収納室19側に形成された3つの円環状の外周リブ41と、外周リブ41の中心にプラグ収納室19の方向に向かって形成された3つの円筒状のピン42と、を備えている。また、蓋板13の下端側には、板状の取付アーム45がプラグ収納室19に向かって形成されている。取付アーム45は、先端にV字形に形成された返りツメ46を備えている。蓋板13と蓋板13に形成された外周リブ41、ピン42、取付アーム45及び取付アーム45の先端の設けられた返りツメ46は、例えばエラストマーなどの弾性材料によって一体成形によって構成されていてもよい。一体成形によって構成する場合には、蓋板13に形成された外周リブ41、ピン42、取付アーム45などは一番厚い蓋板13の厚さの60%以下の肉厚となるようにして一体成形の際の蓋板13の意匠面11側の変形を防止するように構成されている。
【0018】
図3を参照しながら蓋12の構成について詳細に説明する。図3に示すように、蓋12の蓋板13のプラグ収納室19の側に形成された各外周リブ41は図2に示す各端子筒28の外面に嵌まり込むように円環状で、端子筒28への着脱が容易になるように下部にスリットが設けられている。また、各外周リブ41の中心には端子筒28の中心に設けられた図4に示す端子穴29に差し込まれるピン42が設けられている。ピン42の蓋板13との接続部分にはピン42の固定度を増加させるためのリブ44が設けられている。ピン42は中心に穴の開いた筒状で、その外表面には長手方向に沿って突起43が設けられている。この突起43はピンが端子穴29に嵌まり込んだ際に端子穴の内面に当接する。突起43はピン42の長手方向に連続して設けられていてもよいし部分的に設けられていてもよい。
【0019】
図3に示すように、プラグ収納室19の取付アーム45が取付けられている内面には、略L字形の保持ツメ35が形成されている。保持ツメ35は取付アーム45の各側端面の位置を制限し、取付アーム45の幅方向の移動を制限すると共に板状の取付アーム45の板面の位置を制限している。このため、取付アーム45は2つの保持ツメ35とプラグ収納室19の内面との間に挟まれて厚さ方向の移動が制限されるので、取付アーム45は蓋板13との接合部近傍において取付アーム45の板厚方向に曲がり変形する弾性ヒンジを形成する。この弾性ヒンジの弾性変形によって蓋板13は取付アーム45との接合部近傍を回転軸として回転自在となる。この回転軸は図2に示す3連プラグ端子27の配列方向に沿った軸となる。また、取付アーム45は2つの保持ツメ35とプラグ収納室19の内面との間に挟まれているため、その長手方向軸の周りの回転を抑制するよう構成されている。このため、蓋12が開いた状態であっても蓋板13がグラついて端子の接続の操作性を低下させることを防止することができる。
【0020】
また、図3に示すように、組み付け状態では、蓋板13は図2に示す意匠面11から若干飛び出した状態となっている。これは、蓋板13を開状態とした場合にオス側の端子の差込性を考慮しているためである。一方、蓋板13と取付アーム45の接続部近傍に構成されるヒンジは弾性ヒンジであることから、この組み付け状態から蓋12を閉める場合には弾性ヒンジの変形抵抗によって発生する開方向への反発力に対抗する力が必要となる。このため、蓋12は閉状態に保持する力が無ければ開いた状態となる。
【0021】
図4はコンソールパネルの組立手順を示す。図4に示すように、本体21の開口22を含むプラグ収納室19の下側の内面に設けられた保持ツメ35と内面との間に蓋12の取付アーム45を挿入していく。すると、取付アーム45の先端に設けられた返りツメ46は保持ツメ35とプラグ収納室19の内壁との間でV字型が閉じるように圧縮される。そして、その状態で蓋12を更に本体21に押込むと、取付アーム45と返りツメ46とはプラグ収納室19の開口22と反対側の面に設けられたスロット31に差し込まれる。スロット31の中では、保持ツメ35とプラグ収納室19内面との間と同様に、返りツメ46がスロット31の内側に向けて圧縮される。そして、蓋12が更に本体21に押込まれると、返りツメ46はスロット31を通り抜け、スロット31の裏側に達する。返りツメ46がスロット31の裏側に達すると、返りツメ46の圧縮が開放され、返りツメ46はV字形状に戻る。そして、返りツメ46はスロット31の裏側に形成された係合リブ33に係合する。係合リブ33の先端は返りツメ46のV字形形状に対応した山形となっており、返りツメ46が係合すると取付アーム45が抜けなくなるように構成されている。
【0022】
図4に示すように、VTR用の3連プラグ端子27は上カバー23と下カバー25とを組み合わせる際に挟み込まれて上カバー23と下カバー25との間に固定される。そして、3連プラグ端子27を固定した上カバー23と下カバー25とは一体となって本体21の意匠面11と反対側から組みつけられる。上カバー23と下カバー25とが本体21に組みつけられるとVTR用の3連プラグ端子27の端子筒28は本体21の意匠面11から凹んで設けられた箱型のプラグ収納室19の意匠面11と反対側の面に設けられた穴30からプラグ収納室19の中に突出し、意匠面11の蓋12が開けられるとオス側の端子を端子筒28の外面及び中心の端子穴29に接続することができるように構成されている。
【0023】
また、下カバー25が本体21に組みつけられると、取付アーム45は下カバー25のリブ26と係合リブ33との間に挟まれ、返りツメ46が係合リブ33から外れないような構成となっている。
【0024】
以上説明した構成によるコンソールパネル10の蓋12の開閉動作について図5、6を参照しながら説明する。図5に示すように、組立が終わったコンソールパネル10の蓋板13の表面は意匠面11から飛び出して、若干開いた状態となっている。蓋板13のつまみ14を意匠面11に向かって押すと、蓋12には意匠面11に向かう押し付け力がかかる。この押し付け力は取付アーム45に伝達され、取付アーム45を差し込み方向に押す。しかし、取付アーム45の先端部は下カバー25によって差し込み方向への移動が制限されているので、差し込み方向には移動しない。一方、蓋板13と取付アーム45との接続部近傍には蓋板13を3連プラグ端子の配列方向に沿った軸、図5では紙面に垂直な軸の周りに回転させる弾性ヒンジが形成されている。この弾性ヒンジの回転軸とつまみ14との間には距離があることから、つまみ14に掛かった意匠面11に向かう方向の押し付け力は、弾性ヒンジの周りに蓋板13を回転させる回転モーメントとして作用する。そして、この回転モーメントの大きさが蓋板13と取付アーム45の接続部近傍に形成される弾性ヒンジの変形抵抗モーメントよりも大きくなると、蓋板13は弾性ヒンジの周りに回転し、意匠面11に近づいていく。蓋板13が意匠面11に近づくほど弾性ヒンジの変形抵抗による開方向への反発力が大きくなってくる。そして、更に、つまみ14を意匠面11に向かって押し続けると蓋板13のプラグ収納室19の側に形成された各円環状の外周リブ41の内面と各端子筒28の外面とが接触し始める。外周リブ41の内径は端子筒28の外径よりも小さく形成されているので、外周リブ41が端子筒28の外面に嵌まり込むにつれて端子筒28は外周リブ41を押し広げ、これによって外周リブ41は端子筒28の外面を締め付ける締付力を発生する。
【0025】
一方、外周リブ41の中心に形成されたピン42は、蓋板13が回転して意匠面11に近づくにつれ、端子筒28に設けられた端子穴29に入り込み、その先端が端子穴29の内面と接触する。ピン42の先端は弾性ヒンジに向かうほど高くなるように斜めに形成されている。このため、蓋板13が意匠面11との間に角度があり、端子穴29内面とピンの先端に角度がある場合でもピン42の弾性ヒンジから遠い位置にある部分と端子穴29の周縁とが干渉せずにスムーズにピン42が端子穴29の中に入り込むことができる。ピン42は外周に図3で説明した突起43が形成されており、この突起43の外径は端子穴29の内径よりも大きくなっている。このため端子穴29の中にピン42が入り込んでいくと、弾性体のピン42は圧縮され、その反発力によって端子穴29の内面に向かう反発力が発生する。
【0026】
そして、更に、蓋板13が意匠面11と略同一面になると、外周リブ41は端子筒28によって更に押し広げられて、端子筒28の外面に大きな締付力を発生させる。また、ピン42は更に端子穴29に差し込まれて圧縮され、その内面に反発力を発生させる。そして、蓋板13が意匠面11と略同一面となると、外周リブ41による締付力とピン42による反発力による蓋板13を閉状態に保持する保持力が、蓋板13と取付アーム45の接合部近傍に形成される弾性ヒンジの変形抵抗による開方向の反発力よりも大きくなり、蓋板13は、上カバー23と下カバー25とで固定されて本体21に組みつけられている3連プラグ端子27に保持される。
【0027】
このように、外周リブ41による締付力とピン42による反発力により蓋板13が3連プラグ端子27に保持されるので保持力が大きくなり、蓋板13に形成された取付アーム45の幅が広く、蓋板13と取付アーム45の接合部近傍に形成される弾性ヒンジの変形抵抗による開方向の反発力が大きい場合であっても、蓋板13を閉状態に保持してその表面を意匠面11と略同一に保持することができる。
【0028】
図6に示すように、蓋12を開く場合には、閉じる際の動作と逆に、つまみ14を引き出して、蓋板13に掛かった引き出し方向の力が外周リブ41による締付力とピン42による反発力による蓋12を閉状態に保持する保持力を上回ると、蓋板13は意匠面11から徐々に引き出される。一方、蓋12に設けられた取付アーム45は先端の返りツメ46が係合リブ33に係合して引き出し方向には移動しないことから、蓋板13は弾性ヒンジの回転軸の周りに回転して開きだす。
【0029】
蓋板13が開くと共に、外周リブ41が端子筒28によって押し広げられている部分とピン42の端子穴29に差し込まれて圧縮による反発力を発生している部分とが減少し、蓋板13を3連プラグ端子27に保持しておく保持力が低下してくる。そして、更に蓋板13が回転すると、外周リブ41とピン42は端子筒28の外面と端子穴29の内面からはずれる。すると蓋板13を閉状態に保持しようとする力がなくなるので、蓋12が開き、内部に設けられた3連プラグ端子27にオス側プラグを差し込めるようになる。蓋12を開く場合でも、ピン42の先端が斜めに形成されていることからその先端が端子穴29の周縁に干渉することなく蓋12を開くことができる。
【0030】
以上述べたように、本実施形態では、蓋板13に外周リブ41とピン42とを形成するという簡便な構成により蓋板13を閉状態に保持することができるという効果を奏する。また、外周リブ41による締付力とピン42による反発力により蓋板13を3連プラグ端子27に保持させるので保持力を向上させることができ、蓋板13に形成された取付アーム45の幅が広く、蓋板13と取付アーム45の接合部近傍に形成される弾性ヒンジの変形抵抗による開方向の反発力が大きい場合であっても、蓋板13を閉状態に保持することができるという効果を奏する。また、本実施形態では、ピン42の先端は弾性ヒンジに向かうほど高くなるように斜めに形成されているので、蓋板13が意匠面11との間に角度があり、端子穴29とピン42の先端に角度がある場合でもピン42の弾性ヒンジから遠い位置にある部分と端子穴29の周縁とが干渉せずにスムーズにピン42が端子穴29の中に入り込むことができるという効果を奏する。更に本実施形態では、取付アーム45は2つの保持ツメ35とプラグ収納室19の内面との間に挟まれて、その長手方向軸の周りに回転することを抑制するよう構成されている。このため、蓋12が開いた状態であっても蓋板13がグラついて端子の接続の操作性を低下させることを防止することができるという効果を奏する。
【0031】
本実施形態では、ピン42は円筒形状で外面に端子穴29と当接する突起43を有するものとして説明したが、ピン42はこの形状に限らず、十字型の断面を持ち少なくとも1つの側端面が端子穴29の内面に当接して圧縮されたピン42の反発力を端子穴29の内面に伝達することができるように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態におけるコンソールパネルの意匠面を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態におけるコンソールパネルの構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態におけるコンソールパネルのプラグ収納室に蓋を組み付けた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態におけるコンソールパネルの組立を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態におけるコンソールパネルの蓋の閉動作を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態におけるコンソールパネルの蓋の開動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
10 コンソールパネル、11 意匠面、12,15 蓋、13 蓋板、17 ボリューム、19 プラグ収納室、21 本体、22 開口、23 上カバー、25 下カバー、26,44 リブ、27 3連プラグ端子、28 端子筒、29 端子穴、30 穴、31 スロット、33 係合リブ、35 保持ツメ、41 外周リブ、42 ピン、43 突起、45 取付アーム、46 返りツメ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体部と、
基体部の車室内側に設けられた化粧面と、
化粧面に設けられた開口と、
開口を含み、内部に多連プラグ端子の各端子筒を収納するプラグ収納室と、
各端子筒の配列方向に沿った軸の周りに回転自在となるように取付アームを介してプラグ収納室に取り付けられて開口を閉じる蓋と、
を備える車両用コンソールパネルであって、
蓋のプラグ収納室側面に形成され、蓋が閉められた際に端子筒に押し広げられて端子筒外面に対して締付力を発生させる弾性体の外周リブと、蓋が閉められた際に端子筒の端子穴に圧縮されて差し込まれ端子穴内面に対して反発力を発生させる弾性体のピンとを含み、外周リブの締付力とピンの反発力とによって蓋を閉状態に保持すること、
を特徴とする車両用コンソールパネル。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用コンソールパネルであって、
取付アームは、蓋のプラグ収納室側面に形成された弾性体の板状部材で、板面がプラグ収納室の内面に沿うようにプラグ収納室に取付けられ、蓋の開閉の際に蓋との接続部近傍が弾性変形することにより蓋を回動させること、
を特徴とする車両用コンソールパネル。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用コンソールパネルであって、
取付アームの側端面と板面とに沿うようにプラグ収納室の内面に形成され、取付アームの幅方向及び厚さ方向の位置を制限すると共に取付アームの長手方向に沿った軸の周りの回転を制限する保持ツメを備えること、
を特徴とする車両用コンソールパネル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用コンソールパネルであって、
ピンは円筒又は円柱形状で、外面に端子穴内面に当接する突起を備えていること、
を特徴とする車両用コンソールパネル。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用コンソールパネルであって、
ピンは、少なくともひとつの側端面が端子穴内面に当接する十字型断面のリブであること、
を特徴とする車両用コンソールパネル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用コンソールパネルであって、
ピンは、蓋の回転軸に近づくほど長さが長いこと、
を特徴とする車両用コンソールパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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