説明

車両用コンビネーションコネクター

【課題】各種電装品に延長される配線の締結部分であるコネクターを一つに統合して、インライン組立ラインでのコネクター組立作業が容易に行われるようにした車両用コンビネーションコネクターを提供する。
【解決手段】車両用コンビネーションコネクターにおいて、多数の接続ポートを有する第1コネクターを具備し、前記第1コネクター内の各接続ポートにキャップハウジング及びプラグハウジングに分けられた第2コネクターを導電及び分離可能となるように挿入締結し、前記第1コネクター及び第2コネクターに第3コネクターを同時に導電及び分離可能となるように挿入締結されてからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用コンビネーションコネクターに係り、より詳しくは、各種電装品の配線の締結部分であるコネクターを一つに統合して、インライン組立ラインでのコネクター組立作業が容易に行われるようにする車両用コンビネーションコネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジン性能が向上し、高級化及び多機能化の趨勢に伴い、車両内には多くの電装品及び制御装置が搭載され、各種電装品の電源線及び制御信号線、そして制御装置間の通信線などを含むワイヤリングハーネスをはじめとして、ケーブルなどが設置されている。
各種電装品をはじめとする制御装置間の電気的連結のために、ワイヤリングハーネスまたはケーブルなどの一先端にはコネクターが装着されるが、このコネクターは電装品の定格容量及び使用電線の規格に応じて互いに異なる形状となっており、各種ワイヤリングハーネスなどを連結するための多数のコネクターを装着するため作業工数が増加する原因となっている。
【0003】
図4に示す通り、電源供給のためのメイン配線1と車体フロント部分に延長されるフロント配線2との間、メイン配線1と車体の底側に延長されるフロア配線3との間、そしてフロント配線2とフロア配線3との間などは相互連結のためのコネクター4が必要であり、各コネクター4の組立位置が互いに異なるためコネクター組立工数が増加する問題点があった。
特に、コネクターの組立位置が車体のダッシュパネル及びフロントピラー部分に存在する場合、作業者の組立空間が狭く頭を下げるなどの不自然な姿勢で組み立てる必要があるため、コネクター締結作業に困難を伴い、作業効率が大きく低下する問題があった。
【0004】
このような点を考慮して、図5に示す通り、大きい体積を有するマルチボックスを具備して、多数個のコネクター4をマルチバックス5内に無作為に集めた構造が提案された。しかし、体積が大きいマルチボックスを設置するために、インラインでコネクター組立が可能な位置(ダッシュパネルまたはフロントピラーなど)に大きい孔6を開けなければならないなど、体積が大きいマルチボックスを設置するのに様々な制約条件が伴い、原価面で不利という短所があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−136579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述の諸問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、一つのコネクター内に別の複数のコネクターを接続可能に配置して、コネクター相互間の電気的な連結が一つのコネクター内で行われるようにし、インライン組立ラインでコネクターの組立が1か所で行われるため作業性を向上させることができる車両用コンビネーションコネクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明は、多数の接続ポートを有する第1コネクターを具備し、前記第1コネクター内の各接続ポートにキャップハウジング及びプラグハウジングに分けられた第2コネクターを導電及び分離可能となるように挿入締結し、前記第1コネクター及び第2コネクターに第3コネクターを同時に導電及び分離可能となるように挿入締結することを特徴とする。
【0008】
前記第1コネクターの上部には開放された装着部、第1接続ポート及び第2接続ポートが区画形成され、底部には第1ワイヤリングハーネスが連結されることを特徴とする。
【0009】
前記第1コネクターの第1接続ポートに第2コネクターのプラグハウジングが導電可能となるように締結されると同時に、第1コネクターの装着部内に第2コネクターのキャップハウジングが安着され、第3コネクターが第1コネクターの第2接続ポート及び第2コネクターのキャップハウジングに同時に導電可能となるように締結されるようにすることを特徴とする。
【0010】
前記第1コネクターに連結される第1ワイヤリングハーネスはフロアワイヤリングとして採択され、第2コネクターに連結される第2ワイヤリングハーネスはフロントワイヤリングとして採択され、第3コネクターに連結される第3ワイヤリングハーネスはメインワイヤリングとして採択されることを特徴とする。
【0011】
前記第1コネクターのみがコネクター組立対象の車体パネルに装着固定されることを特徴とする。
【0012】
前記第3コネクターの両側上端には組立作業用取っ手の役割をするレバーがヒンジにて装着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用コンビネーションコネクターによると、一つのコネクター内に数個のコネクターを電気的接続が可能となるように締結されることで、インライン組立でのコネクター組立過程が1か所に集中して作業工数を減少させると同時に、作業性を向上させることができる。
また、各種配線の経路が単純化されると同時にすっきり整理され、配線設計を効率的に行うことができる。
さらに、既存の大きい体積のマルチボックスなどを必要しないため、原価節減を実現することができる。
特に、最上側に締結されるコネクターに別途の加圧用レバーを付着して、コネクターに電気的接続のための加圧力を容易に加えることができるようにすることで、コネクター相互間の電気的接続が保障される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による車両用コンビネーションコネクターを表す分離斜視図である。
【図2】本発明による車両用コンビネーションコネクターを表す組立斜視図である。
【図3】本発明による車両用コンビネーションコネクターの組立過程を順次的に表す斜視図である。
【図4】従来のコネクターを説明する概略図である。
【図5】従来のコネクターを説明する概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して詳しく説明する。
本発明は一つのコネクター内に数個のコネクターを挿入、装着させて、数個のコネクター間の電気的な連結が1か所で容易に行われ、またはインライン組立ラインでコネクターの組立が1か所で行われるようにして組立作業性を向上させた点に主眼点がある。
このために、図1乃至図3に示すように、本発明の好ましい実施例として3個のコネクターが具備される。
【0016】
3個のコネクターのうち第1コネクター10は上部が開放されたボックス型構造であり、底部には車体のフロア側に延長されるフロアワイヤリングである第1ワイヤリングハーネス12が連結され、上部開放部には空間である装着部18と、電気的接続のための端子数85ピンを有するキャップ構造からなる第1接続ポート14及び第2接続ポート16が区画形成される。
【0017】
更に、3個のコネクターのうち第2コネクター20は電気的接続のための端子数65ピンを有するキャップハウジング24と、端子数24ピンを有するプラグハウジング26にて構成され、キャップハウジング24及びプラグハウジング26の上面には車体フロント側に延長されるフロントワイヤリングである第2ワイヤリングハーネス22が連結される。
また、3個のコネクターのうち第3コネクター30は電気的接続のための端子数126ピンを有するプラグ構造であり、その上面にはメインワイヤリングである第3ワイヤリングハーネス32が連結される。
【0018】
次に第1乃至第3コネクター間の組立過程を図3を参照して説明する。
まず、第1コネクター10を通常の締結器具(スクリュー、ファスナー、ブラケットなど)を利用して所望する車体パネル(例えば、ダッシュパネル、フロントピラーなど)に装着して固定させる。
その後、第1コネクター10内に第2コネクター20を挿入させ、導電可能となるように締結させる。
即ち、第1コネクター10の第1接続ポート14に第2コネクター20のプラグハウジング26が導電可能となるように締結させると同時に、第1コネクター10の装着部18内に第2コネクター20のキャップハウジング24が挿入されるようにする。
【0019】
次に、第3コネクター30を第1コネクター10内に挿入させるが、第1コネクター10と第2コネクター20に同時に、導電可能となるように挿入締結させる。
より詳しくは、第3コネクター30は電気的接続のために端子数126ピンを有しており、端子ピンの一部は第1コネクター10の第2接続ポート16に導電可能となるように締結され、端子ピンの残りの一部は第2コネクター20のキャップハウジング24に導電可能となるように締結されるようにする。
このとき、第3コネクター30の両側上端には組立作業用取っ手の役割をするレバー34がヒンジで装着されることで、第3コネクター30を挿入させる力を下方向に容易に伝達することができ、伝達された加圧力は第1及び第2コネクター10,20にまで伝達され、第1乃至第3コネクター間の締結が完全に行われ、コネクター相互間の電気的接続が保証される。
【0020】
このように、第1乃至第3コネクター10,20,30間の電気的な接続締結が第1コネクター10内で行われることによって、インライン組立でのコネクター組立過程が1か所に集中されて作業工数を節減させると同時に、作業性を向上させることができ、第1コネクター10に連結されたフロアワイヤリングハーネスをはじめとして、第2コネクター20に連結されたフロントワイヤリングハーネス及び第3コネクター30に連結されたメインワイヤリングハーネスなどの配線経路が単純化されると同時に、すっきり整理される。
【0021】
以上のように、本発明では3個のコネクターを具備して相互導電可能となるように組み立てられる構造にて説明したが、3個のコネクターに局限されず、それ以上のコネクターを組み合わせることも本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0022】
10 第1コネクター
12 第1ワイヤリングハーネス
14 第1接続ポート
16 第2接続ポート
18 装着部
20 第2コネクター
22 第2ワイヤリングハーネス
24 キャップハウジング
26 プラグハウジング
30 第3コネクター
32 第3ワイヤリングハーネス
34 レバー
40 車体パネル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の接続ポートを有する第1コネクターを具備し、
前記第1コネクター内の各接続ポートにキャップハウジング及びプラグハウジングに分けられた第2コネクターを導電及び分離可能となるように挿入締結し、
前記第1コネクター及び第2コネクターに第3コネクターを同時に導電及び分離可能となるように挿入締結することを特徴とする車両用コンビネーションコネクター。
【請求項2】
前記第1コネクターの上部には開放された装着部、第1接続ポート及び第2接続ポートが区画形成され、底部には第1ワイヤリングハーネスが連結されることを特徴とする請求項1記載の車両用コンビネーションコネクター。
【請求項3】
前記第1コネクターの第1接続ポートに第2コネクターのプラグハウジングが導電可能となるように締結されると同時に、第1コネクターの装着部内に第2コネクターのキャップハウジングが安着され、第3コネクターが第1コネクターの第2接続ポート及び第2コネクターのキャップハウジングに同時に導電可能となるように締結されるようにすることを特徴とする請求項1または2記載の車両用コンビネーションコネクター。
【請求項4】
前記第1コネクターに連結される第1ワイヤリングハーネスはフロアワイヤリングとして採択され、第2コネクターに連結される第2ワイヤリングハーネスはフロントワイヤリングとして採択され、第3コネクターに連結される第3ワイヤリングハーネスはメインワイヤリングとして採択されることを特徴とする請求項3記載の車両用コンビネーションコネクター。
【請求項5】
前記第1コネクターのみがコネクター組立対象の車体パネルに装着固定されることを特徴とする請求項1記載の車両用コンビネーションコネクター。
【請求項6】
前記第3コネクターの両側上端には組立作業用取っ手の役割をするレバーがヒンジにて装着されることを特徴とする請求項1記載の車両用コンビネーションコネクター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−79672(P2012−79672A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273732(P2010−273732)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【出願人】(503473149)タイコ エレクトロニクス アンプ コリア リミテッド (21)
【住所又は居所原語表記】1191 Shinsang‐ri,Jinryang‐eub,Kyungsan‐si,Kyungsangbuk‐do 712‐838 Republic of Korea
【Fターム(参考)】