説明

車両用シートのばね構造体

【課題】優れたエネルギ吸収性能を発揮する車両用シートのばね構造体を提供すること。
【解決手段】クッション材として車両用シートのシートフレーム90に取り付けられる金属線材10を含むばね構造体1であって、前記金属線材10の一部が並ぶように形成されるとともに、この金属線材の並ぶ部分に密着する保持部材12によってこの並ぶ部分同士が連結されている。金属線材10が引っ張られると金属線材10と保持部材12の摩擦により、ばね構造体に作用したエネルギの一部が吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション材として車両用シートに配されるばね構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるように、一般的な車両用シートでは、シートパッド(発泡体)の背面側を支持するクッション材として、コンターマットなどと称されるばね構造体が配される。かかるばね構造体は、ばね性のある金属線材が、シートフレームに取り付けられることにより構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−174044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなばね構造体は、後方からの車両衝突時の安全性を高めるため、クッション材としてのエネルギ吸収性能のさらなる向上が求められている。
【0005】
上記実情に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、優れたエネルギ吸収性能を発揮する車両用シートのばね構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、クッション材として車両用シートのシートフレームに取り付けられる金属線材を含むばね構造体であって、前記金属線材の一部が並ぶように形成されるとともに、この金属線材の並ぶ部分に密着する保持部材によってこの並ぶ部分同士が連結されていることを要旨とする。
【0007】
このように、金属線材の並ぶ部分に密着する保持部材によってこの並ぶ部分同士が連結されていれば、エネルギが作用してばね構造体を構成する金属線材が伸びるときに、金属線材と保持部材との摩擦によって当該エネルギの一部が吸収される(エネルギが摩擦熱に変換される)。したがって、従来よりもエネルギ吸収性能に優れる車両用シートのばね構造体となる。
【0008】
また、前記金属線材の一部がリング状に巻かれたリング部が形成され、そのリング部の巻き始めにおける金属線材の並ぶ部分同士が前記保持部材によって連結されていればよい。
【0009】
このようにリング部の巻き初めの部分が保持部材によって連結されていれば、エネルギによって金属線材が伸びようとする際にリング部が小さくなる。このリング部が小さくなるときに生じる金属線材と保持部材との摩擦によってエネルギが吸収されるばね構造体となる。
【0010】
この場合、前記リング部における金属線材の並ぶ部分を連結する前記保持部材を構成する部分と、前記リング部における金属線材の並ぶ部分の略反対側に位置する部分に密着する部分と、が金属材料で一体的に形成された第一の架橋部材を備えていればよい。
【0011】
このように、リング部の並ぶ部分を連結するとともにその反対側に位置する部分に密着する部分を有する第一の架橋部材を用いれば、この第一の架橋部材と金属線材の摩擦によるエネルギの吸収だけでなく、リング部の変形に伴う第一の架橋部材の変形によってもエネルギを吸収する。つまり、ばね構造体の本体部分にリング部が形成されていることを巧みに利用し、そのリング部を橋渡しするように第一の架橋部材を設けることで、第一の架橋部材の変形によってもエネルギを吸収することができるように構成されたものである。
【0012】
また、前記リング部同士を繋げるように設けられた一または複数の連結リング部材を備え、この連結リング部材は、金属線材の一部が並ぶように形成されるとともに、この金属線材の並ぶ部分に密着する保持部材によってこの並ぶ部分同士が連結されていればよい。
【0013】
このような構成とすれば、連結リング部材においても金属線材と保持部材の摩擦によってエネルギが吸収されるから、さらにエネルギ吸収性能を向上させることができる。つまり、ばね構造体の本体部分にリング部が形成されていることを巧みに利用し、そのリング部同士またはリング部と他の連結リング部材を繋げる連結リング部材を設けることで、この連結リング部材でもエネルギを吸収することができる。
【0014】
また、前記連結リング部材における金属線材の並ぶ部分を連結する前記保持部材を構成する部分と、前記連結リング部材における金属線材の並ぶ部分の略反対側に位置する部分に密着する部分と、が金属材料で一体的に形成された第二の架橋部材を備えていればよい。
【0015】
このように、連結リング部材における金属線材が並ぶ部分を連結するとともにその反対側に位置する部分に密着する部分を有する第二の架橋部材を用いれば、この第二の架橋部材と金属線材の摩擦によるエネルギの吸収だけでなく、連結リング部材の変形に伴う第二の架橋部材の変形によるエネルギ吸収性能を発揮する。つまり、連結リング部材が用いられていることを巧みに利用し、その連結リング部材を橋渡しするように第二の架橋部材を設けることで、第二の架橋部材の変形によってもエネルギを吸収することができるように構成されたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金属線材と金属線材に密着する保持部材との摩擦によってシートに作用したエネルギの一部が吸収されるから、優れたエネルギ吸収性能を発揮するばね構造体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態にかかるばね構造体と、このばね構造体が取り付けられるシートフレームの外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるばね構造体の外観斜視図である。
【図3】図3(a)は図2のA−A線断面図であり、図3(b)は保持部材として連結保持部材を用いた構成を説明するための断面図である。
【図4】リング部の作用を説明するための図である。
【図5】別の本発明の一実施形態にかかるばね構造体の外観斜視図である。
【図6】連結リング部材を用いたばね構造体(具体例1)の外観斜視図である。
【図7】連結リング部材を用いたばね構造体(具体例2)の外観斜視図である。
【図8】連結リング部材の作用を説明するための図である。
【図9】架橋部材を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明における上下方向(高さ方向)とは車両用シートの高さ方向をいい、前後方向とは車両用シートの前後方向をいい、幅方向とは車両用シートの幅方向をいう。
【0019】
(基本構成)
本実施形態にかかる車両用シートのばね構造体1は、図1に示すように、クッション材として車両用シートのシートフレーム90に取り付けられるものである。なお、以下の説明においては、車両用シートのシートバック(背もたれ部)に設けられるばね構造体を例として説明するが、車両用シートのその他の部分(例えばシートクッション(着座部))に設けられるばね構造体としても用いることができる。
【0020】
ばね構造体1は、例えばシートフレーム90の上下方向に延びる軸に取付孔91が形成され、この取付孔91に両端の引掛部13が引っ掛けられることによって幅方向に延びるように取り付けられる。ばね構造体1は、伸縮性のある金属線材10(例えば、鋼製の線材)が所定の形状に成形されたものを一または複数有する。各ばね構造体1は、金属線材10の一部が屈曲させられ(当該屈曲部分を図1および図2において符号19で示す)、エネルギが作用した際に容易に変形する(伸びる)ようになっている。ただし、この屈曲部分19の有無や形状等は特定のものに限定されない。
【0021】
ばね構造体1には、一部がリング状に巻かれたリング部11が形成されている。このようなリング部11を形成すれば、その巻き始めの部分の金属線材10同士が重なる(軸方向に金属線材が並ぶ)。本実施形態では、この重なった部分同士が密着するように金属材料で形成されたかしめ部材12(本発明における保持部材に相当する)によってかしめられている。詳しくは、図3(a)に示すように、金属製の板材によって重なった金属線材10を巻き付けるようにして金属線材10同士を密着させている。
【0022】
このような構成のばね構造体1を車両用シートに用いると、例えば後方からの車両衝突時に乗員がシートに対して相対的に後方に移動することによるエネルギがばね構造体1に作用したとき、ばね構造体1を構成する金属線材10は両端から引っ張られる。そうすると、図4に示すようにばね構造体1(金属線材10)は、そのリング部11の径を小さくするように変形する。このとき、かしめ部材12によってかしめられている部分において、重なった金属線材10同士の摩擦により(金属線材10同士の摩擦によって摩擦熱が生じ)、ばね構造体1に作用したエネルギの一部が吸収される。さらに、かしめ部材12と金属線材10の摩擦により(かしめ部材12と金属線材10の摩擦によって摩擦熱が生じ)、ばね構造体1に作用したエネルギの一部が吸収される。
【0023】
このように、本実施形態によれば、金属線材10全体の変形によってエネルギが吸収されるだけでなく、金属線材10同士の摩擦、および、金属線材10とかしめ部材12の摩擦によってもエネルギが吸収される。したがって、エネルギ吸収性能に優れたばね構造体1となる。
【0024】
上記構成の変形例としては、図3(b)に示す構成が考えられる。かかる変形例は、ばね構造体1を構成する金属線材10の一部が並ぶように形成され、この並ぶ部分が連結保持部材(本発明における保持部材に相当する)121によって連結された構成である。連結保持部材15は、弾性変形可能な金属材料で形成され、保持部151および保持部151同士を繋ぐ連結部152を有する。保持部151は、一部が開口した環状の部分である。この保持部151の開口を拡げるように弾性変形させつつ金属線材10を保持部151の内側に保持させる。これにより、金属線材10と保持部151が密着するとともに、金属線材10の並んだ部分同士が連結される。
【0025】
かかる構成とすれば、金属線材10全体の変形によってエネルギが吸収されるだけでなく、金属線材10と連結保持部材15の摩擦、および、連結保持部材15の変形(連結部152の変形)によってエネルギが吸収される。
【0026】
なお、以下の説明(ならびに当該説明に対応する図)では、保持部材としてかしめ部材12を用いた例を基に説明するが、保持部材として連結保持部材15を用いた構成にも応用可能である。
【0027】
一方、リング部11を形成しない例として図5に示すような構成も考えられる。すなわち、金属線材10の一部をUターンさせるように重ね合わせ、当該重なった部分14をかしめ部材12によってかしめた構成としても同様の効果が期待できる。
【0028】
なお、リング部11を形成する位置や、その数は適宜設定可能である。シート全体でバランスよくエネルギを吸収するため、乗員が接触する面において略均等にリング部11を形成することが望ましい。摩擦によってエネルギを吸収する箇所が均等に(バランスよく)シートに配置された構成となるからである。
【0029】
(連結リング部材を用いた構成)
次に、上記実施形態の変形例である連結リング部材20を用いた構成について説明する。なお、以下の説明において「ばね構造体の本体部分1a」とは、上記実施形態にかかるばね構造体1(基本構成部分)をいうものとする。本変形例は、上記リング部11の内側を通るように配される連結リング部材20をさらに備えるものである。連結リング部材20は、金属線材23の一部が重なるように形成され、その重なった部分同士が密着するようにかしめ部材24によってかしめられてリング状に形成された部材である。このかしめ方法は、上記リング部11のかしめ方法と同様の方法(図3(a)参照)が適用できる。この連結リング部材20は、上記リング部11同士を繋ぐように(各リング部11の内側を通るように)設けられる。
【0030】
具体例1として、図6に示すように、上下方向に並ぶ複数のばね構造体の本体部分1aが構成される場合において、一のばね構造体の本体部分1aに形成されたリング部11と、他のばね構造体の本体部分1aに形成されたリング部11とを繋ぐように連結リング部材20が設けられた構成を示すことができる。
【0031】
また、具体例2として、一のばね構造体の本体部分1aに形成されたリング部11と、他のばね構造体の本体部分1aに形成されたリング部11を複数の連結リング部材20で繋いだ構成を示すことができる。例えば、図7に示すように、一のばね構造体の本体部分1aに形成されたリング部11の内側や、他のばね構造体の本体部分1aに形成されたリング部11の内側を通る第一の連結リング部材21を設け、この各第一の連結リング部材21の全ての内側を通る第二の連結リング部材22を設けた構成とすればよい。
【0032】
また、図示しないが、一のばね構造体の本体部分1aに複数のリング部11が形成され、このリング部11同士を繋ぐように一または複数の連結リング部材20が設けられた構成としてもよい。
【0033】
このように、連結リング部材20は、リング部11同士、または、リング部11と他の連結リング部を繋ぐように設けられる。このような連結リング部材20が設けられたばね構造体に対し、車両衝突時にエネルギが作用したとき、ばね構造体の本体部分1aを構成する各金属線材10は両端から引っ張られる。このように金属線材10が引っ張られると、上述したように各リング部11がその径を小さくするように変形する。
【0034】
各リング部11がその径を小さくするように変形すると、各リング部11の内側を通るように設けられた連結リング部材20が引っ張られる。詳しくは、一のばね構造体の本体部分1aに形成されたリング部11同士の間隔が広がるから、そのリング部11を繋げる一または複数の連結リング部材20が図8に示すように細長く変形する。このように連結リング部材20が変形すると、連結リング部材20のかしめ部において、連結リング部材20を構成する重なった金属線材23同士の摩擦により(金属線材23同士の摩擦によって摩擦熱が生じ)、ばね構造体に作用したエネルギの一部が吸収される。さらに、連結リング部材20をかしめるかしめ部材24と金属線材23の摩擦により(かしめ部材24と金属線材23の摩擦によって摩擦熱が生じ)、ばね構造体に作用したエネルギの一部が吸収される。
【0035】
このように、本変形例にかかるばね構造体によれば、
1)ばね構造体の本体部分1aを構成する金属線材10全体の変形
2)ばね構造体の本体部分1aのリング部11のかしめ部における金属線材10同士の摩擦、および、当該部分における金属線材10とかしめ部材12の摩擦
に加え、
3)連結リング部材20の変形
4)連結リング部材20のかしめ部における金属線材23同士の摩擦、および、当該部分における金属線材23とかしめ部材24の摩擦
によってもエネルギが吸収される。したがって、エネルギ吸収性能に優れたばね構造体となる。
【0036】
(架橋部材を用いた構成)
次に、上記実施形態および連結リング部材20を用いた構成の変形例である架橋部材を用いた構成について説明する。図9に示す架橋部材は、ばね構造体の本体部分1aのリング部11、または、連結リング部材20を構成する金属線材23をかしめる部材である。以下の説明では、リング部11に用いられる架橋部材を第一の架橋部材31とし、連結リング部11に用いられる架橋部材を第二の架橋部材32として区別して記載することもある。
【0037】
第一の架橋部材31は、リング部11における金属線材10の重なる部分をかしめる部分(以下、一方側かしめ部311と称する)と、その重なる部分の略反対側に位置する部分に密着する部分(以下、他方側かしめ部312と称する)と、が金属材料で一体的に形成されたものである。
【0038】
第二の架橋部材32は、連結リング部材20を用いたばね構造体である場合に、連結リング部材20における金属線材23の重なる部分をかしめる部分(以下、一方側かしめ部321と称する)と、連結リング部材20の重なる部分の略反対側に位置する部分に密着する部分(以下、他方側かしめ部322と称する)と、が金属材料で一体的に形成されたものである。このように、第一の架橋部材31と第二の架橋部材32は、金属線材10が重なる部分と、その略反対側に密着する部分とを有しており、基本的な構成は共通したものである。
【0039】
架橋部材における一方側かしめ部311,321は、重なる二つの金属線材10,23を包み込むようにかしめ、両者を密着させる。一方、他方側かしめ部312,322は、一の金属線材10,23を包み込むようにかしめ、当該一の金属線材10,23に密着している。そして、この一方側かしめ部311,321と他方側かしめ部312,322とは、変形可能な連結部313,323によって繋がっている(一方側かしめ部311,321、他方側かしめ部312,322、および連結部313,323が一体的に形成されている)。
【0040】
第一の架橋部材31を用いた構成とすると、車両衝突時にエネルギが作用し各リング部11がその径を小さくするように変形したとき、一方側かしめ部311と他方側かしめ部312が近づくため、第一の架橋部材31の連結部313が屈曲する。したがって、この連結部313の変形によりばね構造体に作用したエネルギの一部が吸収される。また、他方側かしめ部312とそれに密着した金属線材10の摩擦によっても当該エネルギの一部が吸収される。
【0041】
したがって、上記実施形態にかかるばね構造体1に第一の架橋部材31を適用すれば、
1)ばね構造体の本体部分1aを構成する金属線材10全体の変形
2)ばね構造体の本体部分1aのリング部11のかしめ部(一方側かしめ部311)における金属線材10同士の摩擦、および、当該部分における金属線材10とかしめ部材12の摩擦
に加え、
3)第一の架橋部材31の連結部313の変形
4)第一の架橋部材31の他方側かしめ部312とそれに密着した金属線材10の摩擦
によってもエネルギが吸収される。ゆえに、さらにばね構造体のエネルギ吸収性能を向上させることができる。
【0042】
一方、第二の架橋部材32を用いた構成とすると、車両衝突時にエネルギが作用し各リング部11がその径を小さくするように変形したとき、一方側かしめ部321と他方側かしめ部322は近づくかまたは離れる。一方側かしめ部321と他方側かしめ部322が近づくと、第二の架橋部材32の連結部323は屈曲する。一方側かしめ部321と他方側かしめ部322が離れると、第二の架橋部材32の連結部323は両端が引っ張られて伸張する。いずれにしても、この連結部323の変形(屈曲または伸張)によりばね構造体に作用したエネルギの一部が吸収される。また、他方側かしめ部322とそれに密着した金属線材23の摩擦によっても当該エネルギの一部が吸収される。
【0043】
したがって、上記連結リング部材20を用いたばね構造体に第一の架橋部材31および第二の架橋部材32を適用すれば、
1)ばね構造体の本体部分1aを構成する金属線材10全体の変形
2)ばね構造体の本体部分1aのリング部11のかしめ部(一方側かしめ部311)における金属線材10同士の摩擦、および、当該部分における金属線材10とかしめ部材12の摩擦
3)連結リング部材20の変形
4)連結リング部材20のかしめ部(一方側かしめ部321)における金属線材23同士の摩擦、および、当該部分における金属線材23とかしめ部材24の摩擦
に加え、
5)第一の架橋部材31の連結部313の変形
6)第一の架橋部材31の他方側かしめ部312とそれに密着した金属線材10の摩擦
7)第二の架橋部材32の連結部323の変形
8)第二の架橋部材32の他方側かしめ部322とそれに密着した金属線材23の摩擦
によってもエネルギが吸収される。ゆえに、さらにばね構造体のエネルギ吸収性能を向上させることができる。
【0044】
なお、連結リング部材20を用いたばね構造体には、第一の架橋部材31および第二の架橋部材32の両方が適用できるが、かならず両方の架橋部材を適用した構成としなければならないわけではない。すなわち、第一の架橋部材31および第二の架橋部材32のいずれか一方のみを適用した構成としてもよい。
【0045】
また、連結部313,323を変形しやすくし、エネルギ吸収性能を高めるため、局所的に剛性が小さくなる部分(変形部)を連結部313,323に形成するとよい。このような変形部としては、図9に示されるように連結部の途中位置を屈曲させた構成が例示できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 ばね構造体
10 (ばね構造体の本体部分を構成する)金属線材
11 リング部
12 (ばね構造体の本体部分を構成する金属線材をかしめる)かしめ部材
20 連結リング部材
21 第一の連結リング部材
22 第二の連結リング部材
23 (連結リング部材を構成する)金属線材
24 (連結リング部材を構成する金属線材をかしめる)かしめ部材
31 第一の架橋部材
311 第一の架橋部材の一方側かしめ部
312 第一の架橋部材の他方側かしめ部
313 第一の架橋部材の連結部
32 第二の架橋部材
321 第二の架橋部材の一方側かしめ部
322 第二の架橋部材の他方側かしめ部
313 第二の架橋部材の連結部
90 シートフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッション材として車両用シートのシートフレームに取り付けられる金属線材を含むばね構造体であって、
前記金属線材の一部が並ぶように形成されるとともに、この金属線材の並ぶ部分に密着する保持部材によってこの並ぶ部分同士が連結されていることを特徴とする車両用シートのばね構造体。
【請求項2】
前記金属線材の一部がリング状に巻かれたリング部が形成され、そのリング部の巻き始めにおける金属線材の並ぶ部分同士が前記保持部材によって連結されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートのばね構造体。
【請求項3】
前記リング部における金属線材の並ぶ部分を連結する前記保持部材を構成する部分と、前記リング部における金属線材の並ぶ部分の略反対側に位置する部分に密着する部分と、が金属材料で一体的に形成された第一の架橋部材を備えることを特徴とする請求項2に記載のばね構造体。
【請求項4】
前記リング部同士を繋げるように設けられた一または複数の連結リング部材を備え、
この連結リング部材は、金属線材の一部が並ぶように形成されるとともに、この金属線材の並ぶ部分に密着する保持部材によってこの並ぶ部分同士が連結されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用シートのばね構造体。
【請求項5】
前記連結リング部材における金属線材の並ぶ部分を連結する前記保持部材を構成する部分と、前記連結リング部材における金属線材の並ぶ部分の略反対側に位置する部分に密着する部分と、が金属材料で一体的に形成された第二の架橋部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用シートのばね構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−91349(P2013−91349A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233067(P2011−233067)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】