説明

車両用シート部材及び車両用シート

【課題】カバーを容易に装着でき、製造が容易で軽量化できる車両用シート部材及び車両用シートを提供する。
【解決手段】支持体22に支持したシートパッド21と、シートパッド21の表面を被覆するカバー23と、カバー23に取り付けた吊込用部材26と、シートパッド21の表面に設けた窪み24内に吊込用部材26を保持する保持部材27と、を備え、カバー23によりシートパッド21を被覆して、保持部材27により吊込用部材26を窪み24内に保持することで、カバー23を吊込状態でシートパッド21に装着した車両用シート部材11であり、シートパッド21が窪み24から裏面まで貫通する貫通孔31を有し、保持部材27を貫通孔31の全長より長く形成して貫通孔31に挿通し、保持部材27の一方側を吊込用部材26に接続し、他方側を貫通孔31から離間した位置の支持体22に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートパッドを被覆するカバーがシートパッドの窪みに吊込まれて装着された車両用シート部材と、この車両用シート部材を用いた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
シートクッション、シートバック等の車両用シート部材として、例えば発泡樹脂からなるシートパッドの表面をシート用表皮材からなるカバーで被覆したものが多用されている。シートパッドの表面形状が凹面形状のため、カバーをシートパッド表面に密着させて装着するには、シートパッド表面に窪みを設け、この窪みにカバーの一部を吊込んで装着することが必要である(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
図4乃至図6に示すように、車両用シート40は表面が凹面形状に成形されたシートパッド51にカバー53を被覆した構成を有する。
シートパッド51はシートフレーム63やシートフレーム63間に架設されるシートスプリング62のような各種の支持体により支持されている。このシートパッド51は内部にシートスプリング62を埋設した状態で一体成形されている。シートパッド51の表面にはスリット状の窪み54が複数設けられており、各窪み54内にシートスプリング62の一部が露出している。
【0004】
カバー53には、シートパッド51の窪み54に対応する位置に、吊込ワイヤー56のような吊込用部材が取り付けられている。カバー53によりシートパッド51を被覆し、吊込ワイヤー56を窪み54に収容し、窪み54内のシートスプリング62と吊込ワイヤー56との間をホグリング部材60により接続することで、カバー53が窪み54に吊込状態で装着されている。
このような車両用シート40では、表面が凹面形状であっても、シートパッド51にカバー53を密着させて装着できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−59962号公報
【特許文献2】特開2009−100924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の車両用シート40では、カバー53を吊込状態でシートパッド51に装着するには、多数の位置で窪み54内のシートスプリング62と吊込ワイヤー56とをホグリング部材60により接続しなければならなかった。
各ホグリング部材60を接続するには、専用の工具が必要であり、窪み54付近のシートパッド51を弾性変形させつつ接続作業を行わなければならず、カバー53の装着には手間を要していた。特に、意匠性を向上するために窪み54を深くして深吊込構造にする場合には、著しく手間を要していた。
【0007】
しかも、カバー53を吊込状態で装着するためにシートスプリング62をシートパッド51に埋設して多数の位置で部分的に露出させなければならず、シートパッド51の製造にも手間を要していた。またシートパッド51内の所定位置にシートスプリング62を配置しなければならず、その分シートパッド51の重量も重くなっていた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、カバーを容易に装着でき、製造が容易で軽量化できる車両用シート部材または車両用シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の車両用シート部材は、シートパッドと、シートパッドを支持するための支持体と、シートパッドの表面を被覆するカバーとを備え、シートパッドには表面に窪みが設けられ、カバーには窪みに対応する位置に吊込用部材が取り付けられ、吊込用部材が窪み内に収容されて保持部材により保持されることで、カバーが吊込状態でシートパッドに装着された車両用シート部材において、シートパッドは窪み部の底部からシートパッドの裏面まで貫通する貫通孔を有し、保持部材は貫通孔の全長より長く形成されて貫通孔に挿通され、保持部材の一方側が吊込用部材に接続され、且つ、他方側が貫通孔から離間した位置の支持体に接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用シート部材によれば、カバーを装着する際、例えば保持部材の一方側を吊込用部材に接続した状態で他方側をシートパッドの外側に引き出して接続できるため、シートパッドの内部で保持部材を接続する必要がなく保持部材を容易に接続できる。深吊込構造であっても、同様に保持部材を支持体や吊込用部材に容易に接続できる。そのためカバーの装着作業が容易である。
シートパッド内部に保持部材を接続する構造を設ける必要がないためシートパッドの製造が容易であり、しかもそのような構造を設けるためにシートパッド内に金属部材を埋設する必要がなく、その分シートパッドを軽量化できる。
従って、本発明によれば、カバーを容易に装着でき、製造が容易で軽量化できる車両用シート部材を提供することができる。
【0011】
このような車両用シート部材では、支持体の一部はシートパッドの裏面における貫通孔の開口に対応するように配置され、支持体の一部に保持部材が長手方向に摺動自在に係止されているのがよい。
支持体はシートパッドの裏面に配置されたシートスプリングからなるのがよい。
保持部材は、吊込用部材に接続可能なフックと、支持部材に接続可能なフックと、両フック間を連結する変形自在な長尺体と、を有するのがよい。
【0012】
上記目的を達成する本発明の車両用シートは、シートクッションとシートクッションの一端側に連結されたシートバックとを備え、シートクッション及びシートバックの一方又は双方が上述のような車両用シート部材からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用シート部材及び車両用シートによれば、保持部材をシートパッドの外側に引き出して接続作業を行うことができるため、カバーの装着作業が容易である。しかもシートパッド内部に保持部材を接続する構造を設ける必要がないため、シートパッドの製造が容易で軽量化も図れる。従って、カバーを容易に装着でき、製造が容易で軽量化できる車両用シート部材または車両用シートを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用シートを示す図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両用シートの窪みに沿う部分断面図であり、図2のB−B断面を示す。
【図4】従来の車両用シートの斜視図である。
【図5】従来の車両用シートを示す図4のC−C断面図である。
【図6】従来の車両用シートに係る窪みに沿う部分断面図であり、図5のD−D断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
この実施形態は、図1乃至図3に示すように、シートクッション11とシートクッション11の一端側に連結されたシートバック12とを備えたセパレートタイプの車両用シート10の例であり、シートクッション11に本発明を適用している。
【0016】
[シートクッション]
シートクッション11は、所定形状に形成されたシートパッド21と、シートパッド21を支持するための支持体22と、シートパッド21の表面を被覆するカバー23とを備える。シートパッド21の表面には窪み24が設けられ、カバー23には窪み24に対応する位置に吊込用部材26が取り付けられている。吊込用部材26は周囲のカバー23と共に窪み24内に収容されて保持部材27により保持されている。
【0017】
[シートパッド]
シートパッド21は例えば発泡樹脂により弾性を有して所定形状に形成され、座面となる上面11aは中央部から後縁側までが前縁側及び両側縁側より凹んだ凹面形状となっている。上面11aには複数の窪み24が形成されている。各窪み24の位置や形状は任意であるが、吊込用部材26をカバー23と共に収容可能なものとなっている。例えば、局部的に凹んだ穴形状、所定長さの溝形状又はスリット形状としてもよい。
本実施形態では、窪み24は上面から所望の吊込量が得られる深さに形成されたスリット形状となっている。
【0018】
シートパッド21には、図2及び図3に示すように、窪み24の底部からシートパッド21の裏面まで貫通する貫通孔31が複数個、互いに間隔を開けて設けられている。各貫通孔31は保持部材27を挿通可能な大きさ及び形状に形成されている。シートパッド21が弾性を有するため、例えば保持部材27のフック28a,28bが挿通可能であれば、フック28a,28bの外形形状より小さい断面形状としてもよい。
【0019】
各貫通孔31の向きは、カバー23を吊込状態で装着した際、シートパッド21の表面形状に外観品質を低下させるような歪みが生じないようカバー23を吊り込める向きとするのがよい。例えばシートパッド21の表面と略直交する方向や鉛直方向としてもよい。
窪み24及び貫通孔31は、シートパッド21を成形する際同時に形成してもよく、成形後に加工して形成してもよい。
【0020】
[支持体]
支持体22は、シートパッド21を支持する部材であり、使用時に負荷される荷重を支持可能な剛性を有する。このような支持体22であれば、保持部材27が接続されて張力が作用しても変形を確実に防止できる。
【0021】
本実施形態では支持体22として、シートパッド21の周縁の下側に配置されたシートフレーム33と、シートパッド21の裏面を支持する複数本のシートスプリング32とを備える。特に限定されるものではないが、例えばシートスプリング32は鋼線を蛇行させたもので、シートパッド21の裏面に接するようにシートフレーム33間に互いに間隔を開けて複数本架け渡されている。
【0022】
シートスプリング32は、各貫通孔31の裏面側開口31aに対応する位置に配置された開口対応部32aと、開口対応部32aから離間した位置に配置されて後述する保持部材27を接続できる裏面接続部32bとを有する。裏面側開口31aに対応する位置とは、例えば貫通孔31の裏面側開口31aに対向する位置や、貫通孔31の裏面側開口31aに略隣接する位置であればよい。必ずしも裏面側開口31aの周縁に接する必要はないが、保持部材27に張力が負荷された際に裏面側開口31aの周囲のシートパッド21が変形される量が少ないほど好適である。
開口対応部32aと裏面接続部32bとは同一のシートスプリング32に設けられていてもよいが、ここでは別のシートスプリング32に設けられている。
【0023】
開口対応部32a及び裏面接続部32bは何れもシートスプリング32の一部位であっても、シートスプリング32に装着された別部材であってもよい。これらはシートスプリング32の他の部位における断面形状と同じ形状を有して他の部位と境界なく連続していていてもよく、保持部材27のフック28a,28bや長尺体29の横ずれを防止可能な突起、凹部、段差、孔などの形状を有していてもよい。
【0024】
[カバー]
カバー23は、シート用表皮材を例えば縫製によりシートパッド21に対応した略袋状に形成されている。例えば尻下部、腿下部、サイドサポート部等のようなシートパッド21における複数の部位21a,21b…毎に表面を被覆する被覆片23a,23b…を互いに縫着することで形成されていてもよい。各被覆片23a,23b…は別のシート用表皮材により形成されていてもよく、連続したシート用表皮材を折り曲げることで形成されていてもよい。
【0025】
本実施形態では隣接する被覆片23a,23b…の表面同士を互いに対向させて重ねることで裏側に筋状突部23zが突設され、筋状突部23zにおいて縫着されている。各筋状突部23zはシートパッド21の各窪み24に対応する位置に設けられている。
【0026】
各筋状突部23zの略全長には、連続した中空部23yを有する袋状筋部23xが設けられている。袋状筋部23xは帯状の布片を折り返して両側部を筋状突部23zに縫着することで形成されている。各袋状筋部23xは各窪み24の全長に略対応する長さに設けられており、貫通孔31に対応する位置に切り欠き部23wが設けられることで該切り欠き部23wを介して中空部23yと外部とが連通している。
【0027】
各筋状突部23z及び袋状筋部23xは、カバー23をシートパッド21に装着した状態で、各筋状突部23zの突出量が窪み24の深さより小さくなる範囲で形成されているのが好適である。これにより各筋状突部23z及び袋状筋部23xに保持部材27から十分に引張力を負荷することができる。
【0028】
[吊込用部材]
吊込用部材26は、袋状筋部23xの中空部23yに収容され、袋状筋部23xの切り欠き部23wにおいて露出されるように配置されている。この吊込用部材26は保持部材27が接続されて該保持部材27からの張力でカバー23を吊り込むための部材である。
【0029】
吊込用部材26は、保持部材27の張力により破損しない強度を有することが必要で、例えばピンであってもよいが、本実施形態ではシートパッド21の窪み24に沿って変更可能なワイヤー部材を使用している。吊込用部材26としてワイヤー部材を使用すると、カバー23の広い範囲に張力を負荷できる。吊込用部材26として弾性材料からなるものを用いてもよい。
【0030】
[保持部材]
保持部材27は吊込用部材26と支持体22とを連結してその間に張力を負荷する部材である。この保持部材27は貫通孔31の全長より長く形成されて貫通孔31に挿通されている。そして一方側が吊込用部材26に接続され、他方側が貫通孔31から離間した位置の支持体22に接続されている。
本実施形態では、保持部材27は、吊込用部材26に係止可能なフック28aと、シートスプリング32の裏面接続部32bに係止可能なフック28bと、両フック28a,28b間を連結する変形自在な長尺体29と、を有している。
【0031】
各フック28a,28bは、吊込用部材26又はシートスプリング32に係止可能な形状を有すればよく、例えば断面略U字状の樹脂成形体からなる。
長尺体29は、金属若しくは樹脂等の変形可能な材料からなる線材、帯材等であり、各フック28a,28bと接着、溶着、縫着等適宜な方法で接合されている。長尺材29は、シートパッド21の貫通孔31を通り、シートスプリング32の開口対応部32aに、長手方向に移動可能な状態で外側から係止されて配置されている。
【0032】
保持部材27の長さは、一方のフック28aを吊込用部材26に係止してシートパッド21の窪み24内に収容した状態で、他方のフック28b全体をシートパッド21の裏面側に引き出し得る長さとするのがよく、長尺体29が該長尺体29の配置部位におけるシートクッション11の厚みより長く形成されていてもよい。このような長さであれば、シートパッド21の外側にフック28a,28bを引き出した状態で、吊込用部材26やシートスプリング32の裏面接続部32bに係止させることができる。
【0033】
[カバーの装着方法]
このようなシートクッション11において、シートパッド21にカバー23を装着するには、まずカバー23の吊込用部材26を袋状筋部23xの中空部23yに収容する。
各保持部材27の一方のフック28aを、カバー23における袋状筋部23xの切り欠き部23wの位置で吊込用部材26にそれぞれ係止する。吊込用部材26を、カバー23の筋状突部23z及び袋状筋部23xと共にシートパッド21の窪み24に収容し、各保持部材27を対応する貫通孔31に貫通させて、各保持部材27の他方のフック28bをシートパッド21の裏面に引き出す。保持部材27が十分に長い場合には、各保持部材27を貫通孔31に貫通させた状態で両方のフック28a,28bをシートパッド21の外側に配置してから一方のフック28aを吊込用部材26に係止してもよい。
【0034】
吊込用部材26を窪み24に収容し、カバー23をシートパッド21の各部に被せ、各部の表面に密着するようにカバー23を被覆する。
シートパッド21の裏面側で各保持部材27の長尺体29をシートスプリング32の開口対応部32aに外側から略1/4回巻き付けるようにして、それぞれ摺動自在に係止し、各保持部材27の他方のフック28b側を順次把持して引張り、他方のフック28bをシートスプリング32の裏面接続部32bに接続する。
全ての保持部材27の両フック28a,28bを吊込用部材26とシートスプリング32の裏面接続部32bとに接続することで、カバー23のシートパッド21への装着を完了する。これによりカバー23でシートパッド21が被覆され、保持部材27により吊込用部材26が窪み24内に保持されることで、カバー23が吊込状態でシートパッド21に装着される。
【0035】
[作用効果]
以上のような構成を有するシートクッション11によれば、シートパッド21の貫通孔31の全長より長い保持部材27が貫通孔31に挿通され、この保持部材27の一方側がカバー23の吊込用部材26に接続されると共に、他方側が貫通孔31から離間した位置の支持体22に接続されている。そのため、カバー23を装着する際、例えば保持部材27の一方側を吊込用部材26に接続した状態で、他方側をシートパッド21の外側に引き出して自由に移動できるようにして、支持体22に接続できる。よって、従来のようにシートパッド21の内部で保持部材27を接続する必要がなく、保持部材27を容易に接続できる。上述のように深吊込構造であっても、保持部材27を支持体22や吊込用部材26に容易に接続できる。
【0036】
本発明では、シートパッド21の内部に保持部材27を接続するための構造を設ける必要がないため、シートパッド21の製造が容易であり、しかもシートスプリング32をシートパッド21内に埋設しないためシートパッド21を軽量化できる。
【0037】
このシートクッション11では、シートスプリング32の開口対応部32aがシートパッド21の貫通孔31の裏面側開口31aに対応するように配置され、この開口対応部32aに保持部材27が長手方向に摺動自在に係止されている。そのため、保持部材27により吊込用部材26を貫通孔31に沿う方向に引張ることができ、張力が負荷されたカバー23によりシートパッド21に意匠性を低下させるような歪みを生じることを防止できる。
シートスプリング32の開口対応部32aと裏面接続部32bとの間の距離に対応する長さ分だけ保持部材27をシートパッド21の背面側に引き出すことができ、裏面接続部32bに接続する際に保持部材27を移動できる。
【0038】
このシートクッション11では、シートパッド21を支持するための支持体がシートスプリング32であるため、シートパッド21の裏面において広い範囲に配置される。そのため保持部材27の接続位置に自由度が大きく、保持部材27を適切な位置で係止したり接続したりできる。
またシートスプリング32では、適度な曲げ剛性を確保できるため接続部分に保持部材27の張力による変形が生じない。そのため保持部材27によりカバー23に安定して張力を負荷できる。
しかもシートスプリング32であれば、着座時にシートパッド21と共に弾性変形できるので、吊込用部材26とシートスプリング32との間の距離の変化を少なく抑え、各保持部材27を安定して維持でき、カバー23のずれを防止できる。
【0039】
このシートクッション11では、保持部材27が吊込用部材26と支持体22とに係止可能な各フック28a,28bと、両フック28a,28b間を連結する変形自在な長尺体29とを有するので、保持部材27を吊込用部材26及び支持体22に簡単に確実に接続できる。
長尺体29が変形自在であるため、保持部材27をシートパッド21の裏面に引き出して向きや位置を自在に調整できる。保持部材27に張力を負荷すると、長尺体29が開口対応部32aで容易に摺動できる。そのため、保持部材27の接続作業をより容易に行える。
【0040】
このシートクッション11では、吊込用部材26がカバー23の表面に沿って取り付けられたワイヤー部材からなり、シートクッション11の窪み24が吊込用部材26を収容するスリットからなる。そのため、カバー23を線状に連続する位置で広い範囲で均等に吊り込むことができ、シートクッション11の外観品質や耐久性を向上できる。
【0041】
上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、上記ではセパレートタイプの車両用シート10について説明したが、ベンチタイプの車両用シートであってもよい。また、上記ではシートクッション11に本発明を適用したが、シートバックでもよく、シートクッション11及びシートバック12の双方に適用してもよい。
【0042】
上記ではシートパッド21の内部に、シートスプリング32のような金属部材を埋設しない例について説明したが、シートパッド21の内部にシートスプリング32や他の部剤が埋設されていてもよい。その場合であっても窪み24に露出させて配置する必要はない。
上記では支持体がシートスプリング32であるが、シートパッド21の裏面を支持可能な他の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 車両用シート
11 シートクッション
12 シートバック
21 シートパッド
21a,21b… 複数の部位
22 支持体
23 カバー
23a,23b… 被覆片
23w 切り欠き部
23x 袋状筋部
23y 中空部
23z 筋状突部
24 窪み
26 吊込用部材
27 保持部材
28a,28b フック
29 長尺体
31 貫通孔
31a 裏面側開口
32 シートスプリング
32a 開口対応部
32b 裏面接続部
33 シートフレーム
40 車両用シート
51 シートパッド
54 窪み
53 カバー
56 吊込ワイヤー
60 ホグリング部材
63 シートフレーム
62 シートスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートパッドと、該シートパッドを支持するための支持体と、該シートパッドの表面を被覆するカバーとを備え、上記シートパッドには表面に窪みが設けられ、上記カバーには上記窪みに対応する位置に吊込用部材が取り付けられ、該吊込用部材が上記窪み内に収容されて保持部材により保持されることで、上記カバーが吊込状態で上記シートパッドに装着された車両用シート部材において、
上記シートパッドは上記窪み部の底部から該シートパッドの裏面まで貫通する貫通孔を有し、
上記保持部材は上記貫通孔の全長より長く形成されて該貫通孔に挿通され、該保持部材の一方側が上記吊込用部材に接続され且つ他方側が上記貫通孔から離間した位置の上記支持体に接続されていることを特徴とする、車両用シート部材。
【請求項2】
前記支持体の一部は前記シートパッドの裏面における前記貫通孔の開口に対応するように配置され、該支持体の一部に前記保持部材が長手方向に摺動自在に係止されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート部材。
【請求項3】
前記支持体は、前記シートパッドの裏面に配置されたシートスプリングからなることを特徴とする、請求項2に記載の車両用シート部材。
【請求項4】
前記保持部材は、前記吊込用部材に接続可能なフックと、前記支持部材に接続可能なフックと、両フック間を連結する変形自在な長尺体と、を有することを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の車両用シート部材。
【請求項5】
シートクッションと該シートクッションの一端側に連結されたシートバックとを備え、
該シートクッション及びシートバックの一方又は双方が請求項1乃至4の何れかに記載の車両用シート部材からなることを特徴とする、車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−176139(P2012−176139A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40972(P2011−40972)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)