説明

車両用ドアバイザ

【目的】 ドアバイザの外観処理を容易にし、空力特性の向上等を図る。
【構成】 ドアバイザ1の前端部に電動式バックミラー4を一体化し、最上部近傍に発光体5を設ける。電動式バックミラー4の通電コード13及び発光体5の通電コード18はそれぞれドアバイザ1の中空空間内を利用して配線する。これにより、外観処理が容易になり、空力特性が向上し、かつ被視認性も高まる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、ドアの縁部に取付けられる車両用ドアバイザに関する。
【0002】
【従来の技術】
車体の乗降口へ開閉自在に設けられたドアの縁部に対してその上部から前部までの範囲に取付けられるドアバイザは公知である。この種のドアバイザは、一般にスモーク調等に着色されたプラスチックを略板状に成形したものである。
【0003】
【考案の解決しようとする課題】
ところで従来のドアバイザは、前端部がバックミラー近傍位置で終っており、この前端部はバックミラーと分離した状態になっているため、この部分の外観処理や空力特性の向上が難しかった。そこで本考案はかかる問題点の解決を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】 上記の問題を解決するため、本願に係る車両用ドアバイザは、車体の乗降口へ開閉自在に設けられたドアの縁部に対してその上部から前部までの範囲に取付けられるドアバイザにおいて、前端部に電動式バックミラーを一体に設け、かつ最上部近傍に発光体を取付けるとともに、電動式バックミラーと発光体に対する配線用の中空空間を内部に設けたことを特徴とする。
【作用】
【0005】
前端部が電動式バックミラーと一体になって連続しているため、この部分のデザイン処理が容易かつ優れたものになるとともに空力特性が向上する。しかも、最上部近傍に発光体を設けることにより周囲からの被視認性が高まる。そのうえ内部に中空空間を設け、これを電動式バックミラーと発光体の配線に利用したので、配線によって外観を損うようなこともない。
【0006】
【実施例】
図1乃至図4に基づいて一実施例を説明する。図1は車体左側前部に設けられたドアバイザ1の透視図、図2はその外観図である。
【0007】
まず図1において、ドア2には窓ガラス3が昇降自在に設けられ、かつドア2の縁部に沿ってドアバイザ1が前方から上方まで連続して覆い、その前端部には電動式バックミラー4が、最上部には発光体5が設けられている。本実施例の発光体5はウィンカとして構成されている。
【0008】
ドアバイザ1は車体へ接する側が不透明部分6をなし、これから車体側方へ張り出す部分がスモーク調などの着色透明部7(半透明を含む)となっている。
【0009】
なおドアバイザ1の後端部は、予め車体側へ取付けられているリヤバイザ8の前端部と当接し、外観状ドアバイザ1とリヤバイザ8が連続一体品であるかのように見える。リヤバイザ8は固定式窓ガラス9上方の車体側へ取り付けられている。
【0010】
図1において、電動式バックミラー4は、電動による可倒式並びにミラー角度可変式であり、ミラー10、小型モータ11及び可倒機構12が内蔵され、通電コード13はピラー14に設けられた貫通孔15からエンジンルーム(図示せず)内へ入り、バッテリ(図示省略)へ接続されている。
【0011】 発光体5はドアバイザ1へ密着して設けられたレンズ16内にバルブ17を設け、これに対する通電コード18は、後述するドアバイザ1の中空空間内を利用して下向きに配線され、その一端は通電コード13と同様に貫通孔15を通ってエンジンルーム内へ入り、必要により切換スイッチ19を介してバッテリへ接続されている。
【0012】
図3は図2のA−A線に沿う要部の拡大断面であり、ドア2を半開きした状態を示している。この図において、ドアの上部枠をなすドアアビーム20には、窓ガラス3の上端部が嵌合する溝ゴム21、車体の屋根22へ当接するクッションゴム23が設けられ、さらにネジ24によりバイザ取付ブラケット25の一端が取付けられている。
【0013】
バイザ取付ブラケット25の他端は着色透明部7の上端部に重ねられ、さらにこれら両者を挟んで不透明部分6を構成するアッパー部26及びロアー部27の各縁部で挟み、ネジ28で全体を一体に取付けてある。
【0014】 アッパー部26とロアー部27の上部側は、例えばロアー部27の縁部に形成された突部29aを、これに対応して形成されたアッパー部26側の凹部29bへ嵌合することにより、一体化されている。但し、アッパー部26とロアー部27の一体化方法は任意であり、例えば接着やネジ止めなど種々可能である。
【0015】
不透明部分6内には中空空間30が構成され、この中に発光体5が一部を外方へ突出させて嵌合され、底部を枠部材31によって例えばネジなどの適宣手段で固定されている。
【0016】
不透明部分6の上端にも、クッションゴム23へ当接するクッションゴム32が設けられている。
【0017】
図4は図2のB−B線に沿うドアバイザ1の拡大断面であり、アッパー部26と一体に設けられて中空空間30内へ突出するクリップ部33が設けられ、これに通電コード18が係止されている。なお、中空空間30及びクリップ部33はドアバイザ1のほぼ全長にわたって形成される。
【0018】
次に、本実施例の作用を説明する。まず図1に明らかなように、ドアバイザ1は前端部で電動式バックミラー4と一体であり、後端部でリヤバイザ8と連続しているため、外観処理が容易かつ優れたものなりかつ空力特性も向上する。そのうえ外観上あたか全体が一体品のように見えるので、外観性が向上する。
【0019】
また、電動式バックミラー4の通電コード13並びに発光体5の通電コード18をそれぞれドアバイザ1内の中空空間30を利用して配線したので、外観から見えなくなり、これらを設けても通電コード13及び同18の処理に悩む必要がなく、この点でも外観処理が容易になる。
【0020】
また、ドアバイザ1の最上部にウィンカ式の発光体5を設けたので、周囲からの被視認性が向上する。さらに、発光体5はドア開放警告灯として構成でき、この場合には、ドアの開放と連動して点滅等させるようにすることができる。
【0021】
また発光体5を太陽電池により夜間のみ点滅する表示灯にすることもでき、この場合には、夜間の駐車場等で自車の駐車位置を容易に確認できる。この場合、切換えスイッチ19により電源を切換えて点灯させることも可能である。
【0022】
なお、本願の考案は前記実施例に限定されず種々に変更可能であり、例えば、ドアバイザ−1を一体の電動式バックミラー4とともにドア2側でなく、車体側へ取付けることもできる。
【0023】
【考案の効果】
本考案に係る車両用ドアバイザは、前端部で電動式バックミラーと一体にし、かつ最上部近傍に発光体を設け、さらに内部の中空空間を利用して電動式バックミラー及び発光体の通電コードを配線したので、外観処理が容易になり、かつ電気部品を取付けても外観性を良好に保つことができ、しかも発光体によって周囲からの被視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の透視図
【図2】実施例の装着状態を示す外観斜視図
【図3】図2のA−A線に沿う要部のドア半開き状態における拡大断面図
【図4】図2のB−B線に沿う要部の半開き状態拡大断面図
【符号の説明】
1:ドアバイザ、2:ドア、3:窓ガラス、4:電動式バックミラー、5:発光体、30:中空空間

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 車体の乗降口へ開閉自在に設けられたドアの縁部に対してその上部から前部までの範囲に取付けられるドアバイザにおいて、前端部に電動式バックミラーを一体に設け、かつ最上部近傍に発光体を取付けるとともに、電動式バックミラーと発光体に対する配線用の中空空間を内部に設けたことを特徴とする車両用ドアバイザ。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【公開番号】実開平7−5835
【公開日】平成7年(1995)1月27日
【考案の名称】車両用ドアバイザ
【国際特許分類】
【出願番号】実願平5−41905
【出願日】平成5年(1993)6月30日
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)