車両用ドア
【課題】車両用ドアの剛性を確保しつつ、その重量を効果的に低減できるとともに、熱膨張率が異なる材料で構成されたアウタパネルおよびインナパネルを有する車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装後の焼付工程でドア本体部が変形するのを簡単な構成で効果的に抑制できるようにする。
【解決手段】アウタパネル3とインナパネル4とを有する車両用ドアであって、上記アウタパネル3がインナパネル4よりも熱膨張率が大きい素材で形成されるとともに、該アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネル4の下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部5が上記アウタパネル3に設けられたものである。
【解決手段】アウタパネル3とインナパネル4とを有する車両用ドアであって、上記アウタパネル3がインナパネル4よりも熱膨張率が大きい素材で形成されるとともに、該アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネル4の下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部5が上記アウタパネル3に設けられたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウタパネルとインナパネルとを有する車両用ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車を利用する際に生じる環境負荷を低減する方法としては、駆動源であるエンジンの燃費性能を向上したり、電動モータとエンジンとを併用したり、あるいは電気自動車としたりすること等が考えられているが、車体を軽量化すれば、燃費性能を効果的に向上することができ、ひいては環境負荷の低減に対する寄与度も大きくなる。そこで、車体鋼板材料をハイテン化(高張力鋼化)して薄肉化すること、あるいは軽合金材料であるアルミニウム合金の適用や、樹脂材の適用等が検討されている。
【0003】
一方、自動車の車体には高い安全性が求められるため、フレーム等の骨格部材をスチールで形成するとともに、パネル部品をアルミニウム合金や合成樹脂材で形成し、あるいはドア、トランクリッド等のクロージャ部材からなるアウタパネルとインナパネルとの連結構造体をスチール材とアルミニウム合金または樹脂材との組合せで形成することが行われている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、アウタパネルとインナパネルとを備えた車両用ドアにおいて、上記アウタパネルとインナパネルとを熱膨張係数の異なる材料で構成するとともに、上記両パネルの外周側を締結部材により結合し、上記締結部材を、上記両パネルが車体に取り付けられる際の第1締結状態と、上記両パネルの塗装工程の加熱時における熱膨張差を許容する第2締結状態とに切り替えるように構成することにより、アウタパネルとインナパネルとを異種材料にすることでドアの軽量化と剛性の確保とを両立させる場合に、アウタパネルとインナパネルとを同時に塗装して色調を合わせることができ、かつその塗装工程の加熱時に起こる不具合を抑制できるようにした車両用ドアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−173079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、車両用ドアを構成するアウタパネルとインナパネルとにより構成された車両用ドアは、その端部に位置するアウタパネル部材を車室内側に向けて、つまりインナパネルの端部を覆うようにヘミング加工されるとともに、そのヘミング加工部における両パネル間のシール性を確保するために接着剤を充填すること等が行われている。
【0007】
そして、上記車両用ドアのアウタパネルをアルミニウム合金板材で形成するとともに、インナパネルをスチール板材で形成した場合には、両材の熱膨張率が大きく異なり、かつ上記接着剤が塗装焼付工程で硬化することに起因して、該塗装焼付工程でアウタパネルとインナパネルとが熱膨張差を生じた状態で固着され、焼付工程が終わって車両用ドアが常温に戻るのに応じて変形することが避けられない。
【0008】
上記特許文献1に開示された車両用ドアでは、塗装焼付工程で熱膨張することが許容されるため、焼付工程後における変形を抑制することが可能である。しかし、車両用ドアの製造工程で、上記のようにアウタパネルとインナパネルを第1締結状態と第2締結状態とに切り替えるという繁雑な作業が必要であった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、車両用ドアの剛性を確保しつつ、その重量を効果的に低減できるとともに、熱膨張率が異なる材料で構成されたアウタパネルおよびインナパネルを有する車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程でドア本体部が変形するのを簡単な構成で効果的に抑制できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、アウタパネルとインナパネルとを有する車両用ドアであって、上記アウタパネルがインナパネルよりも熱膨張率が大きい素材で形成されるとともに、該アウタパネルとインナパネルとの熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネルの下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部が上記アウタパネルに設けられたものである。ここで、オープンヘム加工部とは、従来のような、一方のパネル部材の端部を他方のパネル部材の端部を覆うように約180°程度折り返して完全にカシメ成形するのではなく、例えば5°〜45°の角度をもって両パネル間がルーズとなるように折り返した加工部である。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両用ドアにおいて、上記アウタパネルがアルミニウム合金で形成されるとともに、上記インナパネルが鋼合金で形成されたものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に記載の車両用ドアにおいて、上記アウタパネルがAl−Mg系合金もしくはAl−Mg−Si系合金で形成されるとともに、上記インナパネルが低炭素鋼で形成されたものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ドアにおいて、上記オープンヘム加工部が、少なくともドア下辺部の両側方部分に設けられたものである。
【0014】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ドアにおいて、上記オープンヘム加工部が、ドア下辺部の全域と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けられたものである。
【0015】
請求項6に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ドアにおいて、上記オープンヘム加工部が、ドア下辺部の両側方部分と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けられたものである。
【0016】
請求項7に係る発明は、上記請求項5または6に記載の車両用ドアにおいて、上記ドア下辺部の両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分には、該側辺部の上下寸法の40%以下の領域に上記オープンヘム加工部が設けられたものである。
【0017】
請求項8に係る発明は、上記請求項5〜7のいずれか1項に記載の車両用ドアにおいて、上記ドア下辺部の両側方部分には、該ドア下辺部の全長の25%以上の領域に上記オープンヘム加工部が設けられたものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、上記アウタパネルとインナパネルとの熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネルの下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部を上記アウタパネルに設けたため、該アウタパネルおよびインナパネルが車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程で加熱されることに起因した変形がドア本体部に生じるのを簡単な構成で効果的に抑制できるという利点がある。
【0019】
請求項2に係る発明では、ドア本体部の外面全体を覆うように設置されたアウタパネルをアルミニウム合金で形成したため、ドア本体部の重量を効果的に低減できるとともに、各種部品の取付孔等が設けられた上記インナパネルを剛性の高い鋼合金で形成したため、複雑な形状を有する該インナパネルを容易かつ適正に成形できるとともに、車両用ドアの剛性を充分に確保できるという利点がある。
【0020】
請求項3に係る発明では、ドア本体部のアウタパネルをAl−Mg系合金もしくはAl−Mg−Si系合金で形成するとともに、上記インナパネルを低炭素鋼で形成したため、ドア本体部の重量を、より効果的に低減しつつ、車両用ドアの剛性を充分に向上できるという利点がある。
【0021】
請求項4に係る発明では、上記オープンヘム加工部を、少なくともドア下辺部の両側方部分に設けたため、上記アウタパネルおよびインナパネルが車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程で加熱されることに起因した変形が上記ドア本体部の下辺部に生じるのを簡単な構成で効果的に抑制することができる。
【0022】
請求項5に係る発明では、上記オープンヘム加工部を、ドア下辺部の全域と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けたため、上記車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程が終了した後に、アウタパネルおよびインナパネルに大きな熱収縮量の差が生じるのを効果的に防止してドア本体部が平面視で湾曲した状態に変形すること等を効果的に防止できるという利点がある。
【0023】
請求項6に係る発明では、上記オープンヘム加工部を、ドア下辺部の両側方部分と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けたため、上記車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程が終了した後に、アウタパネルおよびインナパネルに大きな熱収縮量の差が生じるのを効果的に防止してドア本体部が平面視で湾曲した状態に変形すること等を効果的に防止できるとともに、上記ドア下辺部の中央部分を、アウタパネルとインナパネルとの熱膨張差に起因した相対変位を規制したヘム構造とすることにより、車両用ドアの剛性を効果的に確保できるという利点がある。
【0024】
請求項7に係る発明では、上記ドア下辺部の両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分において、該側辺部の上下寸法の40%以下の領域に上記オープンヘム加工部を設けたため、上記車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程が終了した後に、アウタパネルおよびインナパネルに大きな熱収縮量の差が生じるのを効果的に防止ししつつ、車両用ドアの剛性を充分に確保できるという利点がある。
【0025】
請求項8に係る発明では、上記ドア下辺部の両側方部分において、該ドア下辺部の全長の25%以上の領域に上記オープンヘム加工部を設けたため、上記アウタパネルおよびインナパネルが車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程で加熱されることにより生じる変形を簡単な構成で効果的に抑制できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る車両用ドアの第1実施形態を示す外側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】ドア本体部の構造を示す内側面図である。
【図4】ドア本体部の下辺部を示す斜視図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】本発明に係る車両用ドアの比較例を示す図4相当図である。
【図7】車両用ドアの比較例における変形状態を示す説明図である。
【図8】車両用ドアの変形データを示す表である。
【図9】車両用ドアの比較例における変形作用を示す平面断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態における変形状態を示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施形態における変形状態を示す説明図である。
【図12】本発明の第3実施形態における変形状態を示す説明図である。
【図13】本発明の第4実施形態における変形状態を示す説明図である。
【図14】本発明に係る車両用ドアをバックドアに適用した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜図3は、本発明に係る車両用ドアの第1実施形態を示している。該第1実施形態における車両用ドアは、車室の側面部に設置されるサイドドアであって、その略下半部を構成するドア本体部1と、その上方に設置された窓枠部2とを備えている。上記ドア本体部1は、車外側に位置するアウタパネル3と、車内側に位置するインナパネル4とを有し、該アウタパネル3がAl−Mg系合金等からなるアルミニウム合金で構成されるとともに、上記インナパネル4がアウタパネル3の構成材料よりも熱膨張率が小さい素材、例えば低炭素鋼等からなる鋼合金で構成されている。
【0028】
上記ドア本体部1の下辺部には、図4に示すように、アウタパネル3の下端部をインナパネル4側へ所定の角度をもって折り返すことによりインナパネル4を係合するオープンヘム加工部5が形成されている。そして、該オープンヘム加工部5により上記インナパネル4の下辺部が完全にはカシメ成形されることなく、アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容するための隙間Sを上記オープンヘム加工部5と上記インナパネル4の下辺部との間に形成した状態で、上記インナパネル4を係合するように構成されている。そして、上記車両用ドアの塗装工程が終了した後に、合成ゴムを主成分としたシーラが上記隙間Sに充填される等により、上記オープンヘム加工部5とインナパネル4の下辺部とが接着されるようになっている。
【0029】
一方、上記ドア本体部1の下辺部の前後両側端部から上方に延びる側辺部、つまりドア本体部1の前辺部および後辺部には、図5に示すように、アウタパネル3の側端部をインナパネル4側へ約180°の角度をもって折り返すことにより、該インナパネル4の側辺部を完全にカシメ成形してアウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を規制した状態で、インナパネル4を係止するヘム加工部6が形成されている。
【0030】
また、上記ドア本体部1の前辺部および後辺部におけるアウタパネル3の裏面(車室内側面)とインナパネル4の表面(車室外側面)とは、熱硬化性のエポキシ系接着剤7により接合されている。上記熱硬化性の接着剤は、ドア本体部1に施された電着塗装後の焼付工程で所定温度(例えば約140℃)に加熱されることにより硬化する性質を有している。
【0031】
さらに、図2〜図3に示すように、上記ドア本体部1内には、アウタパネル3とインナパネル4との間に配設されてレインフォースメント8からなるアウタパネル3の振動防止用強度部材が車両の前後方向に延びるように設置されるとともに、その下方においてインパクトバー9からなる側突時の変形防止用強度部材が車両の前後方向に延びるように設置されている。そして、上記レインフォースメント8およびインパクトバー9からなる強度部材の表面と、上記アウタパネル3の裏面とは、JIS規格のK6253で規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が10〜12範囲内のマスチックシーラ10により接合されるようになっている。
【0032】
上記のようにアウタパネル3とインナパネル4とを有する車両用ドアにおいて、上記ドア本体部1のアウタパネル3を、インナパネル4よりも熱膨張率が大きい素材で形成するとともに、上記アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネル4の下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部5を上記アウタパネル3に設けたため、車両用ドアの剛性を確保しつつ、その重量を効果的に低減できるとともに、車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程でドア本体部1に変形が生じるのを簡単な構成で効果的に抑制できるという利点がある。
【0033】
すなわち、上記第1実施形態では、ドア本体部1の外面全体を覆うように設置されたアウタパネル3をアルミニウム合金で形成したため、ドア本体部1の重量を効果的に低減することができる。また、ドア本体部1の車室内側に配設されるとともに、各種部品の取付孔等が設けられた上記インナパネル4を剛性の高い鋼合金で形成したため、複雑な形状を有する該インナパネル4を容易かつ適正に成形できるとともに、車両用ドアの剛性を充分に確保できるという利点がある。特に、上記のようにドア本体部1のアウタパネル3をAl−Mg系合金もしくはAl−Mg−Si系合金からなるアルミニウム合金で形成するとともに、上記インナパネル4を低炭素鋼で形成した場合には、ドア本体部1の重量を、より効果的に低減しつつ、車両用ドアの剛性を充分に向上できるという利点がある。
【0034】
図6に示すように、ドア本体部1′の下辺部に位置するアウタパネル3′とインナパネル4′との間に接着剤7′を塗布した状態で、アウタパネル3′の下辺部に設けられたヘム加工部6′によりインナパネル4′の端部を完全にカシメ成形して係止し、かつドア本体部1′の前後両側辺部に位置するアウタパネル3′とインナパネル4′との間に接着剤7′を塗布した状態で、アウタパネル3′の前後両辺部に設けられたヘム加工部6′によりインナパネル4′の端部を完全にカシメ成形して係止した場合には、上記ドア本体部1′に電着塗装を施した後に、その焼付工程でドア本体部1′が高温に加熱されることにより生じる上記アウタパネル3′およびインナパネル4′の熱膨張差に応じ、ドア本体部1′を車外側から見て、その前後両側辺部の下方部分が車外側に大きく突出するように変形するとともに、ドア本体部1′の下辺部中央部分が車室内側に大きく凹入するように変形するという事態が生じていた。
【0035】
例えば、上記ドア本体部1′のアウタパネル3′を、Al−Mg−Si系合金板で0.9mmの板厚を有するものを使用して形成するとともに、ドア本体部1′のインナパネル4′を、GAメッキ鋼板で0.6mmの板厚を有するものを用いてドア本体部1′を形成し、該ドア本体部1′の下辺部および前後両側辺部のアウタパネル3′とインナパネル4′との間に上記熱硬化性のエポキシ系接着剤7′を塗布した状態で、アウタパネル3′の下辺部および前後両側辺部に設けられたヘム加工部6′によりインナパネル4′の端部を完全にカシメ成形してなる比較例の第1,第2試験品において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1′を180℃に加熱した後、その温度を常温に低下させて変形を測定するシミュレーション実験を行ったところ、図7(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1′の前後両側辺部下方部分が大きく車外側に大きく突出してその最大突出量A1,A2が2.1mmおよび1.3mmとなるとともに、ドア本体部1′の下辺部中央部分が車内側に大きく凹入してその最大凹入量B1,B2がそれぞれ−1.2mmとなることが確認された。
【0036】
その理由は、上記車両用ドアの電着塗装後の焼付工程でドア本体部1′が180℃に加熱されることにより、図9(a)に示すように、アウタパネル3′およびインナパネル4′間に熱膨張差が生じた状態で、上記接着剤7′が硬化するとともに、上記ドア本体部1′の下辺部および前後両側辺部に位置するアウタパネル3′とインナパネル4′とが上記ヘム加工部6′により強固に係止されてその相対変位が規制された状態で、上記ドア本体部1′の温度が常温に低下するのに応じ、アウタパネル3′およびインナパネル4′間に熱膨張率差が生じてアウタパネル3′がインナパネル4′よりも大きく熱収縮し、図9(a)の熱膨張量の差に対応して、図9(b)に示すように、ドア本体部1′が平面視で湾曲した状態に変形するためである。
【0037】
これに対して上記第1実施形態のようにドア本体部1の下辺部をオープンヘム構造とし、インナパネル4の下辺部を完全にはカシメ成形することなく、アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容した状態で、上記オープンヘム加工部5によりインナパネル4を係合するように構成した場合には、該アウタパネル3およびインナパネル4が車両用ドアの電着塗装後の焼付工程で加熱されることに起因した変形が上記ドア本体部1の下辺部等に生じるのを簡単な構成で効果的に抑制することができる。
【0038】
例えば、ドア本体部1を上記比較例と同様の材料で形成するとともに、アウタパネル3の下辺部に設けられたオープンヘム加工部5によりインナパネル4の下端部を係合するとともに、アウタパネル3の前後両側辺部に設けられたヘム加工部6によりインナパネル4の前後両側辺部を完全にカシメ成形してなる上記第1実施形態の第1,第2試験品において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1を180℃に加熱した後、上記ドア本体部1の温度を常温に低下させて変形を測定するシミュレーション実験を行ったところ、図10(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1における車外側への最大突出量A1,A2が1.0mmおよび1.3mmとなるとともに、ドア本体部1における車内側への最大凹入量B1,B2が−0.9mmおよび−0.8mmとなり、その最大変形量の平均値を上記比較例よりも41.2%低減できることが確認された。
【0039】
また、上記ドア本体部1の下辺部全域をオープンヘム構造とするとともに、アウタパネル3の前後両側辺部に設けられたヘム加工部6によりインナパネル4の前後両側辺部を完全にカシメ成形してなる上記第1実施形態に代え、図11(a),(b)に示す第2実施形態のように、上記ドア本体部1の下辺部全域と、その両側端部から上方に延びる前後両側辺部における下方部分とにそれぞれオープンヘム加工部5を設けた構造としてもよい。このように構成した場合には、上記車両用ドアの電着塗装後の焼付工程が終了した後に、アウタパネル3およびインナパネル4に大きな熱収縮量の差が生じるのを効果的に防止してドア本体部1が平面視で湾曲した状態に変形するのを効果的に防止することができる。
【0040】
例えば、上記比較例および第1実施形態と同様の材料で形成されたドア本体部1の下辺部および上記ドア本体部1の前後両側辺部における下方領域をオープンヘム構造とするとともに、該前後両側辺部の下方に設けられたオープンヘム加工部5の設置領域を、該側辺部の上下寸法の40%に設定した第2実施形態の第1,第2試験品において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1を180℃に加熱した後、上記ドア本体部1の温度を常温に低下させて変形を測定するシミュレーション実験を行ったところ、図11(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1における車外側への最大突出量A1,A2が0.7mmおよび0.8mmとなるとともに、ドア本体部1における車内側への最大凹入量B1,B2が−0.5mmおよび−0.4mmとなり、その最大変形量の平均値が上記比較例よりも64.7%低減されることが確認された。
【0041】
なお、上記ドア本体部1の前後両側辺部における下方領域に設けられたオープンヘム加工部を、該前後両側辺部の上下寸法の40%よりも広い領域に設けると、ドア本体部1の強度を充分に確保することが困難となる傾向があるため、上記ドア下辺部の両側端部から上方に延びる前後両側辺部の下方領域において、該前後両側辺部の上下寸法の40%以下の領域に上記オープンヘム加工部5を設置した構造とすることが望ましい。
【0042】
また、上記第2実施形態では、ドア本体部1の下辺部全域をオープンヘム構造とした例について説明したが、この構成に代えて下記第3実施形態に示すように、ドア下辺部の中央領域にヘム加工部6を設けて該中央領域におけるアウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を規制するとともに、上記ドア下辺部の前後両側方部分とその両側端部から上方に延びる前後両側辺部の下方領域にオープンヘム加工部5を設けてアウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容するように構成してもよい。
【0043】
例えば、上記ドア下辺部の左右両側方部分においてドア下辺部の全長の25%の領域にオープンヘム加工部5を設けた第3実施形態の第1,第2試験品において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1を180℃に加熱した後、上記ドア本体部1の温度を常温に低下させて変形を測定するシミュレーション実験を行ったところ、図12(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1における車外側への最大突出量A1,A2が1.1mmおよび0.9mmとなるとともに、ドア本体部1における車内側への最大凹入量B1,B2が−0.7mmおよび−1.1mmとなり、その最大変形量の平均値が上記比較例よりも44.1%低減されることが確認された。
【0044】
なお、上記ドア本体部1の下辺部左右両側方部分に設けられたオープンヘム加工部5の設置領域がドア下辺部の全長の25%未満である場合には、上記アウタパネル3およびインナパネル4が車両用ドアの電着塗装後の焼付工程で加熱されることにより生じる変形を効果的に抑制できない可能性があるため、上記ドア本体部1の下辺部左右両側方部分において、そのドア下辺部全長の25%以上の領域に上記オープンヘム加工部5を設置した構造とすることが望ましい。
【0045】
また、上記ドア本体部1の下辺部全域をオープンヘム構造とするとともに、該ドア本体部1の下辺部全域におけるアウタパネル3とインナパネル4との間に上記熱硬化性のエポキシ系接着剤を塗布して接着した点を除き、上記第1実施形態と同様に構成された第4実施形態において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1を180℃に加熱した後、ドア本体部1の温度を常温に低下させて変形を測定する実験を行ったところ、図13(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1における車外側への最大突出量A1,A2が1.1mmおよび0.9mmとなるとともに、ドア本体部1における車内側への最大凹入量B1,B2が−0.5mmおよび−0.5mmとなり、その最大変形量の平均値が上記比較例よりも55.9%低減されることが確認された。
【0046】
なお、上記実施形態では、車室の側面部に設置されるサイドドアからなる車両用ドアについて本発明を適用した例ついて説明したが、車体の後部に設置されるバックドアについても本発明を適用可能である。例えば、図14に示すように、バックドア本体部1aの下辺部全域に、アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容した状態で係合するオープンヘム加工部5aを設けるとともに、バックドア本体部1aのアウタパネル3に設けられたヘム加工部6aによりバックドア本体部1aの左右両側辺部におけるアウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を規制した状態で係合した構造としてもよい。
【0047】
また、上記オープンヘム加工部5aを、バックドア本体部1aの下辺部全域と、その両側端部から上方に延びる左右両側辺部の下方部分に設けた構造とし、あるいは上記オープンヘム加工部5aを、バックドア本体部1aの下辺部左右両側方部分と、その両側端部から上方に延びる左右両側辺部の下方部分に設けた構造としてもよい。この場合には、バックドア本体部1aの強度を維持し得るように、その左右両側辺部に設けられる上記オープンヘム加工部5aの設置領域を、該左右側辺部の上下寸法の40%以下に設定することが好ましい。
【0048】
なお、上記のようにバックドア本体部1aの下辺部左右両側方部分にオープンヘム加工部5aを設けるとともに、バックドア本体部1aの下辺部中央にヘム加工部6aを設けた構造とする場合には、上記オープンヘム加工部5aの設置領域をドア下辺部の全長の25%以上の領域に設定することにより、上記アウタパネル3およびインナパネル4が車両用ドアの電着塗装後の焼付工程で加熱されることにより生じる変形を簡単な構成で効果的に抑制できるようにすることが望ましい。
【符号の説明】
【0049】
1 ドア本体
3 アウタパネル
4 インナパネル
5 オープンヘム加工部
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウタパネルとインナパネルとを有する車両用ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車を利用する際に生じる環境負荷を低減する方法としては、駆動源であるエンジンの燃費性能を向上したり、電動モータとエンジンとを併用したり、あるいは電気自動車としたりすること等が考えられているが、車体を軽量化すれば、燃費性能を効果的に向上することができ、ひいては環境負荷の低減に対する寄与度も大きくなる。そこで、車体鋼板材料をハイテン化(高張力鋼化)して薄肉化すること、あるいは軽合金材料であるアルミニウム合金の適用や、樹脂材の適用等が検討されている。
【0003】
一方、自動車の車体には高い安全性が求められるため、フレーム等の骨格部材をスチールで形成するとともに、パネル部品をアルミニウム合金や合成樹脂材で形成し、あるいはドア、トランクリッド等のクロージャ部材からなるアウタパネルとインナパネルとの連結構造体をスチール材とアルミニウム合金または樹脂材との組合せで形成することが行われている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、アウタパネルとインナパネルとを備えた車両用ドアにおいて、上記アウタパネルとインナパネルとを熱膨張係数の異なる材料で構成するとともに、上記両パネルの外周側を締結部材により結合し、上記締結部材を、上記両パネルが車体に取り付けられる際の第1締結状態と、上記両パネルの塗装工程の加熱時における熱膨張差を許容する第2締結状態とに切り替えるように構成することにより、アウタパネルとインナパネルとを異種材料にすることでドアの軽量化と剛性の確保とを両立させる場合に、アウタパネルとインナパネルとを同時に塗装して色調を合わせることができ、かつその塗装工程の加熱時に起こる不具合を抑制できるようにした車両用ドアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−173079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、車両用ドアを構成するアウタパネルとインナパネルとにより構成された車両用ドアは、その端部に位置するアウタパネル部材を車室内側に向けて、つまりインナパネルの端部を覆うようにヘミング加工されるとともに、そのヘミング加工部における両パネル間のシール性を確保するために接着剤を充填すること等が行われている。
【0007】
そして、上記車両用ドアのアウタパネルをアルミニウム合金板材で形成するとともに、インナパネルをスチール板材で形成した場合には、両材の熱膨張率が大きく異なり、かつ上記接着剤が塗装焼付工程で硬化することに起因して、該塗装焼付工程でアウタパネルとインナパネルとが熱膨張差を生じた状態で固着され、焼付工程が終わって車両用ドアが常温に戻るのに応じて変形することが避けられない。
【0008】
上記特許文献1に開示された車両用ドアでは、塗装焼付工程で熱膨張することが許容されるため、焼付工程後における変形を抑制することが可能である。しかし、車両用ドアの製造工程で、上記のようにアウタパネルとインナパネルを第1締結状態と第2締結状態とに切り替えるという繁雑な作業が必要であった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、車両用ドアの剛性を確保しつつ、その重量を効果的に低減できるとともに、熱膨張率が異なる材料で構成されたアウタパネルおよびインナパネルを有する車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程でドア本体部が変形するのを簡単な構成で効果的に抑制できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、アウタパネルとインナパネルとを有する車両用ドアであって、上記アウタパネルがインナパネルよりも熱膨張率が大きい素材で形成されるとともに、該アウタパネルとインナパネルとの熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネルの下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部が上記アウタパネルに設けられたものである。ここで、オープンヘム加工部とは、従来のような、一方のパネル部材の端部を他方のパネル部材の端部を覆うように約180°程度折り返して完全にカシメ成形するのではなく、例えば5°〜45°の角度をもって両パネル間がルーズとなるように折り返した加工部である。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両用ドアにおいて、上記アウタパネルがアルミニウム合金で形成されるとともに、上記インナパネルが鋼合金で形成されたものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に記載の車両用ドアにおいて、上記アウタパネルがAl−Mg系合金もしくはAl−Mg−Si系合金で形成されるとともに、上記インナパネルが低炭素鋼で形成されたものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ドアにおいて、上記オープンヘム加工部が、少なくともドア下辺部の両側方部分に設けられたものである。
【0014】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ドアにおいて、上記オープンヘム加工部が、ドア下辺部の全域と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けられたものである。
【0015】
請求項6に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ドアにおいて、上記オープンヘム加工部が、ドア下辺部の両側方部分と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けられたものである。
【0016】
請求項7に係る発明は、上記請求項5または6に記載の車両用ドアにおいて、上記ドア下辺部の両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分には、該側辺部の上下寸法の40%以下の領域に上記オープンヘム加工部が設けられたものである。
【0017】
請求項8に係る発明は、上記請求項5〜7のいずれか1項に記載の車両用ドアにおいて、上記ドア下辺部の両側方部分には、該ドア下辺部の全長の25%以上の領域に上記オープンヘム加工部が設けられたものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、上記アウタパネルとインナパネルとの熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネルの下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部を上記アウタパネルに設けたため、該アウタパネルおよびインナパネルが車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程で加熱されることに起因した変形がドア本体部に生じるのを簡単な構成で効果的に抑制できるという利点がある。
【0019】
請求項2に係る発明では、ドア本体部の外面全体を覆うように設置されたアウタパネルをアルミニウム合金で形成したため、ドア本体部の重量を効果的に低減できるとともに、各種部品の取付孔等が設けられた上記インナパネルを剛性の高い鋼合金で形成したため、複雑な形状を有する該インナパネルを容易かつ適正に成形できるとともに、車両用ドアの剛性を充分に確保できるという利点がある。
【0020】
請求項3に係る発明では、ドア本体部のアウタパネルをAl−Mg系合金もしくはAl−Mg−Si系合金で形成するとともに、上記インナパネルを低炭素鋼で形成したため、ドア本体部の重量を、より効果的に低減しつつ、車両用ドアの剛性を充分に向上できるという利点がある。
【0021】
請求項4に係る発明では、上記オープンヘム加工部を、少なくともドア下辺部の両側方部分に設けたため、上記アウタパネルおよびインナパネルが車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程で加熱されることに起因した変形が上記ドア本体部の下辺部に生じるのを簡単な構成で効果的に抑制することができる。
【0022】
請求項5に係る発明では、上記オープンヘム加工部を、ドア下辺部の全域と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けたため、上記車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程が終了した後に、アウタパネルおよびインナパネルに大きな熱収縮量の差が生じるのを効果的に防止してドア本体部が平面視で湾曲した状態に変形すること等を効果的に防止できるという利点がある。
【0023】
請求項6に係る発明では、上記オープンヘム加工部を、ドア下辺部の両側方部分と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けたため、上記車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程が終了した後に、アウタパネルおよびインナパネルに大きな熱収縮量の差が生じるのを効果的に防止してドア本体部が平面視で湾曲した状態に変形すること等を効果的に防止できるとともに、上記ドア下辺部の中央部分を、アウタパネルとインナパネルとの熱膨張差に起因した相対変位を規制したヘム構造とすることにより、車両用ドアの剛性を効果的に確保できるという利点がある。
【0024】
請求項7に係る発明では、上記ドア下辺部の両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分において、該側辺部の上下寸法の40%以下の領域に上記オープンヘム加工部を設けたため、上記車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程が終了した後に、アウタパネルおよびインナパネルに大きな熱収縮量の差が生じるのを効果的に防止ししつつ、車両用ドアの剛性を充分に確保できるという利点がある。
【0025】
請求項8に係る発明では、上記ドア下辺部の両側方部分において、該ドア下辺部の全長の25%以上の領域に上記オープンヘム加工部を設けたため、上記アウタパネルおよびインナパネルが車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程で加熱されることにより生じる変形を簡単な構成で効果的に抑制できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る車両用ドアの第1実施形態を示す外側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】ドア本体部の構造を示す内側面図である。
【図4】ドア本体部の下辺部を示す斜視図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】本発明に係る車両用ドアの比較例を示す図4相当図である。
【図7】車両用ドアの比較例における変形状態を示す説明図である。
【図8】車両用ドアの変形データを示す表である。
【図9】車両用ドアの比較例における変形作用を示す平面断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態における変形状態を示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施形態における変形状態を示す説明図である。
【図12】本発明の第3実施形態における変形状態を示す説明図である。
【図13】本発明の第4実施形態における変形状態を示す説明図である。
【図14】本発明に係る車両用ドアをバックドアに適用した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜図3は、本発明に係る車両用ドアの第1実施形態を示している。該第1実施形態における車両用ドアは、車室の側面部に設置されるサイドドアであって、その略下半部を構成するドア本体部1と、その上方に設置された窓枠部2とを備えている。上記ドア本体部1は、車外側に位置するアウタパネル3と、車内側に位置するインナパネル4とを有し、該アウタパネル3がAl−Mg系合金等からなるアルミニウム合金で構成されるとともに、上記インナパネル4がアウタパネル3の構成材料よりも熱膨張率が小さい素材、例えば低炭素鋼等からなる鋼合金で構成されている。
【0028】
上記ドア本体部1の下辺部には、図4に示すように、アウタパネル3の下端部をインナパネル4側へ所定の角度をもって折り返すことによりインナパネル4を係合するオープンヘム加工部5が形成されている。そして、該オープンヘム加工部5により上記インナパネル4の下辺部が完全にはカシメ成形されることなく、アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容するための隙間Sを上記オープンヘム加工部5と上記インナパネル4の下辺部との間に形成した状態で、上記インナパネル4を係合するように構成されている。そして、上記車両用ドアの塗装工程が終了した後に、合成ゴムを主成分としたシーラが上記隙間Sに充填される等により、上記オープンヘム加工部5とインナパネル4の下辺部とが接着されるようになっている。
【0029】
一方、上記ドア本体部1の下辺部の前後両側端部から上方に延びる側辺部、つまりドア本体部1の前辺部および後辺部には、図5に示すように、アウタパネル3の側端部をインナパネル4側へ約180°の角度をもって折り返すことにより、該インナパネル4の側辺部を完全にカシメ成形してアウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を規制した状態で、インナパネル4を係止するヘム加工部6が形成されている。
【0030】
また、上記ドア本体部1の前辺部および後辺部におけるアウタパネル3の裏面(車室内側面)とインナパネル4の表面(車室外側面)とは、熱硬化性のエポキシ系接着剤7により接合されている。上記熱硬化性の接着剤は、ドア本体部1に施された電着塗装後の焼付工程で所定温度(例えば約140℃)に加熱されることにより硬化する性質を有している。
【0031】
さらに、図2〜図3に示すように、上記ドア本体部1内には、アウタパネル3とインナパネル4との間に配設されてレインフォースメント8からなるアウタパネル3の振動防止用強度部材が車両の前後方向に延びるように設置されるとともに、その下方においてインパクトバー9からなる側突時の変形防止用強度部材が車両の前後方向に延びるように設置されている。そして、上記レインフォースメント8およびインパクトバー9からなる強度部材の表面と、上記アウタパネル3の裏面とは、JIS規格のK6253で規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬度が10〜12範囲内のマスチックシーラ10により接合されるようになっている。
【0032】
上記のようにアウタパネル3とインナパネル4とを有する車両用ドアにおいて、上記ドア本体部1のアウタパネル3を、インナパネル4よりも熱膨張率が大きい素材で形成するとともに、上記アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネル4の下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部5を上記アウタパネル3に設けたため、車両用ドアの剛性を確保しつつ、その重量を効果的に低減できるとともに、車両用ドアの塗装焼付工程、特に電着塗装工程後の焼付工程でドア本体部1に変形が生じるのを簡単な構成で効果的に抑制できるという利点がある。
【0033】
すなわち、上記第1実施形態では、ドア本体部1の外面全体を覆うように設置されたアウタパネル3をアルミニウム合金で形成したため、ドア本体部1の重量を効果的に低減することができる。また、ドア本体部1の車室内側に配設されるとともに、各種部品の取付孔等が設けられた上記インナパネル4を剛性の高い鋼合金で形成したため、複雑な形状を有する該インナパネル4を容易かつ適正に成形できるとともに、車両用ドアの剛性を充分に確保できるという利点がある。特に、上記のようにドア本体部1のアウタパネル3をAl−Mg系合金もしくはAl−Mg−Si系合金からなるアルミニウム合金で形成するとともに、上記インナパネル4を低炭素鋼で形成した場合には、ドア本体部1の重量を、より効果的に低減しつつ、車両用ドアの剛性を充分に向上できるという利点がある。
【0034】
図6に示すように、ドア本体部1′の下辺部に位置するアウタパネル3′とインナパネル4′との間に接着剤7′を塗布した状態で、アウタパネル3′の下辺部に設けられたヘム加工部6′によりインナパネル4′の端部を完全にカシメ成形して係止し、かつドア本体部1′の前後両側辺部に位置するアウタパネル3′とインナパネル4′との間に接着剤7′を塗布した状態で、アウタパネル3′の前後両辺部に設けられたヘム加工部6′によりインナパネル4′の端部を完全にカシメ成形して係止した場合には、上記ドア本体部1′に電着塗装を施した後に、その焼付工程でドア本体部1′が高温に加熱されることにより生じる上記アウタパネル3′およびインナパネル4′の熱膨張差に応じ、ドア本体部1′を車外側から見て、その前後両側辺部の下方部分が車外側に大きく突出するように変形するとともに、ドア本体部1′の下辺部中央部分が車室内側に大きく凹入するように変形するという事態が生じていた。
【0035】
例えば、上記ドア本体部1′のアウタパネル3′を、Al−Mg−Si系合金板で0.9mmの板厚を有するものを使用して形成するとともに、ドア本体部1′のインナパネル4′を、GAメッキ鋼板で0.6mmの板厚を有するものを用いてドア本体部1′を形成し、該ドア本体部1′の下辺部および前後両側辺部のアウタパネル3′とインナパネル4′との間に上記熱硬化性のエポキシ系接着剤7′を塗布した状態で、アウタパネル3′の下辺部および前後両側辺部に設けられたヘム加工部6′によりインナパネル4′の端部を完全にカシメ成形してなる比較例の第1,第2試験品において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1′を180℃に加熱した後、その温度を常温に低下させて変形を測定するシミュレーション実験を行ったところ、図7(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1′の前後両側辺部下方部分が大きく車外側に大きく突出してその最大突出量A1,A2が2.1mmおよび1.3mmとなるとともに、ドア本体部1′の下辺部中央部分が車内側に大きく凹入してその最大凹入量B1,B2がそれぞれ−1.2mmとなることが確認された。
【0036】
その理由は、上記車両用ドアの電着塗装後の焼付工程でドア本体部1′が180℃に加熱されることにより、図9(a)に示すように、アウタパネル3′およびインナパネル4′間に熱膨張差が生じた状態で、上記接着剤7′が硬化するとともに、上記ドア本体部1′の下辺部および前後両側辺部に位置するアウタパネル3′とインナパネル4′とが上記ヘム加工部6′により強固に係止されてその相対変位が規制された状態で、上記ドア本体部1′の温度が常温に低下するのに応じ、アウタパネル3′およびインナパネル4′間に熱膨張率差が生じてアウタパネル3′がインナパネル4′よりも大きく熱収縮し、図9(a)の熱膨張量の差に対応して、図9(b)に示すように、ドア本体部1′が平面視で湾曲した状態に変形するためである。
【0037】
これに対して上記第1実施形態のようにドア本体部1の下辺部をオープンヘム構造とし、インナパネル4の下辺部を完全にはカシメ成形することなく、アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容した状態で、上記オープンヘム加工部5によりインナパネル4を係合するように構成した場合には、該アウタパネル3およびインナパネル4が車両用ドアの電着塗装後の焼付工程で加熱されることに起因した変形が上記ドア本体部1の下辺部等に生じるのを簡単な構成で効果的に抑制することができる。
【0038】
例えば、ドア本体部1を上記比較例と同様の材料で形成するとともに、アウタパネル3の下辺部に設けられたオープンヘム加工部5によりインナパネル4の下端部を係合するとともに、アウタパネル3の前後両側辺部に設けられたヘム加工部6によりインナパネル4の前後両側辺部を完全にカシメ成形してなる上記第1実施形態の第1,第2試験品において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1を180℃に加熱した後、上記ドア本体部1の温度を常温に低下させて変形を測定するシミュレーション実験を行ったところ、図10(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1における車外側への最大突出量A1,A2が1.0mmおよび1.3mmとなるとともに、ドア本体部1における車内側への最大凹入量B1,B2が−0.9mmおよび−0.8mmとなり、その最大変形量の平均値を上記比較例よりも41.2%低減できることが確認された。
【0039】
また、上記ドア本体部1の下辺部全域をオープンヘム構造とするとともに、アウタパネル3の前後両側辺部に設けられたヘム加工部6によりインナパネル4の前後両側辺部を完全にカシメ成形してなる上記第1実施形態に代え、図11(a),(b)に示す第2実施形態のように、上記ドア本体部1の下辺部全域と、その両側端部から上方に延びる前後両側辺部における下方部分とにそれぞれオープンヘム加工部5を設けた構造としてもよい。このように構成した場合には、上記車両用ドアの電着塗装後の焼付工程が終了した後に、アウタパネル3およびインナパネル4に大きな熱収縮量の差が生じるのを効果的に防止してドア本体部1が平面視で湾曲した状態に変形するのを効果的に防止することができる。
【0040】
例えば、上記比較例および第1実施形態と同様の材料で形成されたドア本体部1の下辺部および上記ドア本体部1の前後両側辺部における下方領域をオープンヘム構造とするとともに、該前後両側辺部の下方に設けられたオープンヘム加工部5の設置領域を、該側辺部の上下寸法の40%に設定した第2実施形態の第1,第2試験品において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1を180℃に加熱した後、上記ドア本体部1の温度を常温に低下させて変形を測定するシミュレーション実験を行ったところ、図11(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1における車外側への最大突出量A1,A2が0.7mmおよび0.8mmとなるとともに、ドア本体部1における車内側への最大凹入量B1,B2が−0.5mmおよび−0.4mmとなり、その最大変形量の平均値が上記比較例よりも64.7%低減されることが確認された。
【0041】
なお、上記ドア本体部1の前後両側辺部における下方領域に設けられたオープンヘム加工部を、該前後両側辺部の上下寸法の40%よりも広い領域に設けると、ドア本体部1の強度を充分に確保することが困難となる傾向があるため、上記ドア下辺部の両側端部から上方に延びる前後両側辺部の下方領域において、該前後両側辺部の上下寸法の40%以下の領域に上記オープンヘム加工部5を設置した構造とすることが望ましい。
【0042】
また、上記第2実施形態では、ドア本体部1の下辺部全域をオープンヘム構造とした例について説明したが、この構成に代えて下記第3実施形態に示すように、ドア下辺部の中央領域にヘム加工部6を設けて該中央領域におけるアウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を規制するとともに、上記ドア下辺部の前後両側方部分とその両側端部から上方に延びる前後両側辺部の下方領域にオープンヘム加工部5を設けてアウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容するように構成してもよい。
【0043】
例えば、上記ドア下辺部の左右両側方部分においてドア下辺部の全長の25%の領域にオープンヘム加工部5を設けた第3実施形態の第1,第2試験品において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1を180℃に加熱した後、上記ドア本体部1の温度を常温に低下させて変形を測定するシミュレーション実験を行ったところ、図12(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1における車外側への最大突出量A1,A2が1.1mmおよび0.9mmとなるとともに、ドア本体部1における車内側への最大凹入量B1,B2が−0.7mmおよび−1.1mmとなり、その最大変形量の平均値が上記比較例よりも44.1%低減されることが確認された。
【0044】
なお、上記ドア本体部1の下辺部左右両側方部分に設けられたオープンヘム加工部5の設置領域がドア下辺部の全長の25%未満である場合には、上記アウタパネル3およびインナパネル4が車両用ドアの電着塗装後の焼付工程で加熱されることにより生じる変形を効果的に抑制できない可能性があるため、上記ドア本体部1の下辺部左右両側方部分において、そのドア下辺部全長の25%以上の領域に上記オープンヘム加工部5を設置した構造とすることが望ましい。
【0045】
また、上記ドア本体部1の下辺部全域をオープンヘム構造とするとともに、該ドア本体部1の下辺部全域におけるアウタパネル3とインナパネル4との間に上記熱硬化性のエポキシ系接着剤を塗布して接着した点を除き、上記第1実施形態と同様に構成された第4実施形態において、その電着塗装後の焼付工程でドア本体部1を180℃に加熱した後、ドア本体部1の温度を常温に低下させて変形を測定する実験を行ったところ、図13(a),(b)および図8に示すように、ドア本体部1における車外側への最大突出量A1,A2が1.1mmおよび0.9mmとなるとともに、ドア本体部1における車内側への最大凹入量B1,B2が−0.5mmおよび−0.5mmとなり、その最大変形量の平均値が上記比較例よりも55.9%低減されることが確認された。
【0046】
なお、上記実施形態では、車室の側面部に設置されるサイドドアからなる車両用ドアについて本発明を適用した例ついて説明したが、車体の後部に設置されるバックドアについても本発明を適用可能である。例えば、図14に示すように、バックドア本体部1aの下辺部全域に、アウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を許容した状態で係合するオープンヘム加工部5aを設けるとともに、バックドア本体部1aのアウタパネル3に設けられたヘム加工部6aによりバックドア本体部1aの左右両側辺部におけるアウタパネル3とインナパネル4との熱膨張差に起因した相対変位を規制した状態で係合した構造としてもよい。
【0047】
また、上記オープンヘム加工部5aを、バックドア本体部1aの下辺部全域と、その両側端部から上方に延びる左右両側辺部の下方部分に設けた構造とし、あるいは上記オープンヘム加工部5aを、バックドア本体部1aの下辺部左右両側方部分と、その両側端部から上方に延びる左右両側辺部の下方部分に設けた構造としてもよい。この場合には、バックドア本体部1aの強度を維持し得るように、その左右両側辺部に設けられる上記オープンヘム加工部5aの設置領域を、該左右側辺部の上下寸法の40%以下に設定することが好ましい。
【0048】
なお、上記のようにバックドア本体部1aの下辺部左右両側方部分にオープンヘム加工部5aを設けるとともに、バックドア本体部1aの下辺部中央にヘム加工部6aを設けた構造とする場合には、上記オープンヘム加工部5aの設置領域をドア下辺部の全長の25%以上の領域に設定することにより、上記アウタパネル3およびインナパネル4が車両用ドアの電着塗装後の焼付工程で加熱されることにより生じる変形を簡単な構成で効果的に抑制できるようにすることが望ましい。
【符号の説明】
【0049】
1 ドア本体
3 アウタパネル
4 インナパネル
5 オープンヘム加工部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネルとインナパネルとを有する車両用ドアであって、上記アウタパネルがインナパネルよりも熱膨張率が大きい素材で形成されるとともに、該アウタパネルとインナパネルとの熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネルの下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部が上記アウタパネルに設けられたことを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
上記アウタパネルがアルミニウム合金で形成されるとともに、上記インナパネルが鋼合金で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア。
【請求項3】
上記アウタパネルがAl−Mg系合金もしくはAl−Mg−Si系合金で形成されるとともに、上記インナパネルが低炭素鋼で形成されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用ドア。
【請求項4】
上記オープンヘム加工部が、少なくともドア下辺部の両側方部分に設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【請求項5】
上記オープンヘム加工部が、ドア下辺部の全域と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【請求項6】
上記オープンヘム加工部が、ドア下辺部の両側方部分と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【請求項7】
上記ドア下辺部の両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分にオープンヘム加工部の設置領域を、該側辺部の上下寸法の40%以下に設定したことを特徴とする請求項5または6に記載の車両用ドア。
【請求項8】
上記ドア下辺部の両側方部分には、該ドア下辺部の全長の25%以上の領域に上記オープンヘム加工部が設けられたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【請求項1】
アウタパネルとインナパネルとを有する車両用ドアであって、上記アウタパネルがインナパネルよりも熱膨張率が大きい素材で形成されるとともに、該アウタパネルとインナパネルとの熱膨張差に起因した相対変位を許容し、該インナパネルの下辺部の少なくとも一部を係合するオープンヘム加工部が上記アウタパネルに設けられたことを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
上記アウタパネルがアルミニウム合金で形成されるとともに、上記インナパネルが鋼合金で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア。
【請求項3】
上記アウタパネルがAl−Mg系合金もしくはAl−Mg−Si系合金で形成されるとともに、上記インナパネルが低炭素鋼で形成されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用ドア。
【請求項4】
上記オープンヘム加工部が、少なくともドア下辺部の両側方部分に設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【請求項5】
上記オープンヘム加工部が、ドア下辺部の全域と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【請求項6】
上記オープンヘム加工部が、ドア下辺部の両側方部分と、その両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【請求項7】
上記ドア下辺部の両側端部から上方に延びる側辺部の下方部分にオープンヘム加工部の設置領域を、該側辺部の上下寸法の40%以下に設定したことを特徴とする請求項5または6に記載の車両用ドア。
【請求項8】
上記ドア下辺部の両側方部分には、該ドア下辺部の全長の25%以上の領域に上記オープンヘム加工部が設けられたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−140057(P2012−140057A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292822(P2010−292822)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【出願人】(000135999)株式会社ヒロテック (62)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【出願人】(000135999)株式会社ヒロテック (62)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
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