車両用バンパーリインフォースメント
【課題】優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるとともに、部品点数や重量の増加を招くことなく車両の乗り上げ・潜り込み防止機能が得られるようにする。
【解決手段】車幅方向の中心に対して対称的な2箇所に低強度の湾曲部18が設けられているため、その湾曲部18で変形し易くなり、荷重入力部位の座屈で荷重が一気に低下することが抑制されて、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようになる。その場合に、湾曲部18は、単一の突出部40にて構成されることにより、その突出部40の突出方向(車両前方)からの衝突荷重に対する強度が低下させられ、車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅されているため、その湾曲部18によって乗り上げ・潜り込み防止機能が得られるようになり、部品点数や重量の増加を招くことなく車両の乗り上げや潜り込みを抑制できる。
【解決手段】車幅方向の中心に対して対称的な2箇所に低強度の湾曲部18が設けられているため、その湾曲部18で変形し易くなり、荷重入力部位の座屈で荷重が一気に低下することが抑制されて、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようになる。その場合に、湾曲部18は、単一の突出部40にて構成されることにより、その突出部40の突出方向(車両前方)からの衝突荷重に対する強度が低下させられ、車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅されているため、その湾曲部18によって乗り上げ・潜り込み防止機能が得られるようになり、部品点数や重量の増加を招くことなく車両の乗り上げや潜り込みを抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用バンパーリインフォースメントに係り、特に、車両の乗り上げ・潜り込み防止機能を有するバンパーリインフォースメントの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属板材にて構成されているとともに、車両上下方向に隔てて車両外側へ突き出す複数の突出部を有するようにプレス加工された車幅方向に長い長手形状の車両用バンパーリインフォースメントが提案されている。特許文献1に記載の装置はその一例で、熱間プレス成形(ホットスタンピング成形)により引張強度が高い高強度のバンパーリインフォースメントが得られるようになっている。特許文献2には、熱間プレス成形により焼入れ硬化させる場合に、荷重入力部位の座屈(折れ曲がり)で荷重が一気に低下することを防止するため、局部的に焼入れが緩和された低強度部を設け、荷重の急低下を抑制して優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようにする技術が提案されている。また、特許文献3には、車両の潜り込みを防止するための嵩上げ壁をバンパーリインフォースメントに一体的に固設する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−38756号公報
【特許文献2】特開2007−290582号公報
【特許文献3】特開2009−1199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、引用文献2に記載の技術を引用文献1に適用することにより、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようにできるが、車両の乗り上げや潜り込みを防止する機能は得られず、引用文献3のように別部材を固設すると、部品点数や重量の増加を招いて必ずしも十分に満足できないという問題があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるとともに、部品点数や重量の増加を招くことなく車両の乗り上げ・潜り込み防止機能が得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第1発明は、金属板材にて構成されているとともに、車両上下方向に隔てて車両外側へ突き出す複数の突出部を有するようにプレス加工された車幅方向に長い長手形状の車両用バンパーリインフォースメントであって、車幅方向において車体に固定される一対の支持部よりも内側であって車幅方向の中心に対して対称的な複数箇所に、車両上下方向へ拡幅されるとともに、前記突出部の数が少ないかその突出部の突出寸法が小さくされた低強度部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の車両用バンパーリインフォースメントにおいて、(a) 前記低強度部を除く一般部は、前記突出部が一対設けられて車両上下方向の断面がM字形状を成している一方、(b) 前記低強度部は、前記突出部の突出寸法は前記一般部と同じであるが数が一つで、車両上下方向に延びた浅い逆皿形状の断面を有しており、(c) 前記一般部および前記低強度部の車両上下方向の断面長さは略同じであることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第1発明または第2発明の車両用バンパーリインフォースメントにおいて、前記低強度部は、車両上下方向の上方または下方へ拡幅されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような車両用バンパーリインフォースメントにおいては、一対の支持部よりも内側であって車幅方向の中心に対して対称的な複数箇所に低強度部が設けられているため、その低強度部で変形し易くなり、荷重入力部位の座屈で荷重が一気に低下することが抑制されて、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようになる。その場合に、本発明の低強度部は、突出部の数が少ないかその突出部の突出寸法が小さくされることで、その突出部の突出方向からの衝突荷重に対する強度が低下させられ、車両上下方向へ拡幅されているため、その低強度部によって乗り上げ・潜り込み防止機能が得られるようになり、部品点数や重量の増加を招くことなく車両の乗り上げや潜り込みを抑制できる。
【0010】
第2発明では、低強度部を除く一般部は突出部が一対設けられて断面がM字形状を成しているのに対し、低強度部は突出部が一つで車両上下方向に延びた浅い逆皿形状の断面を有しているため、その低強度部の衝突荷重に対する強度が一般部に比較して適切に低下させられる。また、それ等の一般部および低強度部の車両上下方向の断面長さは略同じであるため、車両上下方向の素材幅寸法が一定の金属板材を用いてプレス加工することが可能で、材料歩留りが向上して製造コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例である車両用バンパーリインフォースメントを示す図で、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるIB−IB断面の拡大図、(c) は(a) におけるIC−IC断面の拡大図である。
【図2】図1の車両用バンパーリインフォースメントを示す図で、(a) は車両への配設状態において上方から見た平面図、(b) は車両の前側から見た正面図である。
【図3】図1の車両用バンパーリインフォースメントの素材である長方形の金属板材を示す平面図である。
【図4】図1の車両用バンパーリインフォースメントおよび比較品を用いて荷重およびEA量(エネルギー吸収量)の特性を調べた結果を説明する図で、(a) は試験方法を説明する図、(b) は試験結果を示した図である。
【図5】図4の試験で用いた比較品を示す斜視図である。
【図6】図4の試験後のテスト品を示す図で、それぞれ図1(a) 、図5に対応する斜視図であり、(a) は本発明品、(b) は比較品である。
【図7】本発明の他の実施例を説明する図で、図1(c) に対応する湾曲部(低強度部)の断面図である。
【図8】本発明の更に別の実施例を説明する図で、図1に対応する図であり、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるVIIIB −VIIIB 断面の拡大図、(c) は(a) におけるVIIIC −VIIIC 断面の拡大図である。
【図9】図8の実施例の車両用バンパーリインフォースメントを示す図で、図2に対応する図であり、(a) は車両への配設状態において上方から見た平面図、(b) は車両の前側から見た正面図である。
【図10】本発明の更に別の実施例を説明する図で、図1に対応する図であり、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるXB−XB断面の拡大図、(c) は(a) におけるXC−XC断面の拡大図である。
【図11】図10の実施例の車両用バンパーリインフォースメントを示す図で、図2に対応する図であり、(a) は車両への配設状態において上方から見た平面図、(b) は車両の前側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の車両用バンパーリインフォースメントは、車両前側に取り付けられるバンパーにも車両後側に取り付けられるバンパーにも適用され得るが、何れか一方のみに適用するだけでも差し支えない。
【0013】
また、バンパーリインフォースメントの長手方向の形状、すなわち車両の上方から見た平面視の形状は、例えば中央部が車両の外方向(前方または後方)へ突き出すように滑らかに湾曲した形状とされるが、略直線状であっても良いし、両端部のみ車体側へ傾斜させたり湾曲させたりするなど、種々の態様が可能である。
【0014】
複数の低強度部は、例えば車幅方向の中心に対して対称的な2箇所に中心から離間して設けられるが、4箇所以上に設けることも可能である。この低強度部は、低強度部以外の一般部との境界で応力集中が生じないように、一般部から滑らかに形状変化するように設けることが望ましく、例えば車両上下方向へ円弧状に膨出させられる。低強度部以外は、支持部を含めてM字形状等の同一断面形状であっても良いが、支持部では異なる断面形状とすることもできる。
【0015】
低強度部は、例えば第2発明のように突出部が一つで車両上下方向に延びた浅い逆皿形状(皿の底部側が車両外側へ突き出す形状)の断面を有するように構成されるが、突出部の数は一般部と同じで、突出部の突出寸法を小さくして車両上下方向へ拡幅するようにしても良い。また、第2発明では、一般部および低強度部の車両上下方向の断面長さが略同じであるが、第1発明の実施に際しては、一般部および低強度部の車両上下方向の断面長さが同じである必要はなく、適宜定められる。第2発明ではまた、一般部および低強度部における突出部の突出寸法が同じであるが、低強度部の突出部の突出寸法を一般部より小さくすることもできるなど、種々の態様が可能である。
【0016】
第3発明では、車両上下方向の上方または下方へ拡幅されて低強度部が設けられているが、車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅して低強度部を設けることもできる。低強度部による乗り上げ・潜り込み防止機能は、必ずしも乗り上げ防止および潜り込み防止の両方の作用が得られる必要はなく、乗り上げ防止および潜り込み防止の少なくとも一方の作用が得られれば良い。車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅して低強度部を設ければ、乗り上げ防止および潜り込み防止の両方の作用が得られる。
【0017】
バンパーリインフォースメントを形成するためのプレス加工は、例えば曲げ加工を主体として行われるものでも良いが、絞り加工の要素を含んでいても良く、目的とする断面形状の成形面を有する一対の金型を用いて1回のプレス加工で形成することが望ましい。バンパーリインフォースメントの車両上下方向の両側部には、必要に応じて平坦なフランジが車両の上方側および下方側へ突き出すように設けられても良い。金属板材としては、熱間プレス成形により焼入れ硬化させることができる熱間プレス成形用鋼板が好適に用いられる。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1の車両用バンパーリインフォースメント(以下、単にバンパーリインフォースメントともいう)10は、車両のフロント側に配設されるもので、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるIB−IB断面の拡大図、(c) は(a) におけるIC−IC断面の拡大図である。図2は、同じくバンパーリインフォースメント10を示す図で、(a) は車両への配設状態において上方から見た平面図、(b) は車両の前側から見た正面図である。また、図3は、バンパーリインフォースメント10の素材である長方形の金属板材12を示す平面図で、本実施例では熱間プレス成形により所定形状に曲げ加工されるとともに、焼入れ硬化により引張強度が1400MPa以上まで高強度化される熱間プレス成形用鋼板が用いられる。
【0019】
バンパーリインフォースメント10は、図2(a) の左右方向である車幅方向に長い長手形状を成しているとともに、図2の(a) に示す平面視において、車幅方向の中央部分に位置する直線部14と、両端部に位置する一対の傾斜部16と、それ等の直線部14および傾斜部16を滑らかに接続する一対の湾曲部18とを備えている。このバンパーリインフォースメント10は、車幅方向の中心に対して左右対称に構成されており、両端の一対の傾斜部16は車体側へ後退する部分で、バンパーステイ20を介して車体側部材である左右のサイドメンバ22に固定される。傾斜部16の中バンパーステイ20に固定される部分が支持部に相当する。そして、このようなバンパーリインフォースメント10の外側には、合成樹脂製のバンパー本体24が配設される。
【0020】
上記バンパーリインフォースメント10の中、直線部14および一対の傾斜部16は、図1の(b) に示すように車両外側(この実施例では前方)へ逆U字形状に突き出す一対の突出部30、32が連結部34を介して車両上下方向に隔てて設けられ、全体としてM字型断面形状を成しているとともに、その両端部、すなわち車両上下方向の上下の側部には、それぞれ平坦なフランジ36、38が上下に突き出すように設けられている。M字型断面の各折れ曲がり部分は、何れも比較的角張るように曲げ加工されており、一対の突出部30、32は、それぞれ先端側程幅寸法が狭くなる台形状を成している。また、連結部34は一直線すなわち平坦面で、フランジ36、38と共通の平面内に位置させられ、それ等が略垂直となる姿勢で配設される。なお、図1(b) の左方向が車両前側である。
【0021】
バンパーリインフォースメント10の一対の湾曲部18は、車幅方向の中心に対して対称的な2位置に設けられているとともに、図1(c) に示す車両上下方向の断面から明らかなように単一の突出部40にて構成されている。この突出部40の車両前方への突出寸法は前記突出部30、32と同じであるが、車両上下方向の幅寸法が大きく、図1(c) に示す車両上下方向の断面において浅い逆皿形状を成している。すなわち、この湾曲部18の上下方向寸法は前記直線部14や傾斜部16よりも大きく、車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅しているが、図1(a) および図2(b) から明らかなように、それ等の直線部14および傾斜部16の上下の端縁に滑らかに接続されるように、上方および下方へそれぞれ滑らかに円弧状に膨出させられている。図1の(b) および(c) に示す車両上下方向の断面形状における断面長さは略同じで、図3に示すように車両上下方向の素材幅寸法(図3における上下方向の幅寸法)が一定の長方形の金属板材12をプレス加工することによって製造できる。また、上記湾曲部18の上下の両端には、前記フランジ36、38が前記直線部14、傾斜部16から連続して設けられている。本実施例では、単一の突出部40にて構成されている湾曲部18が低強度部で、一対の突出部30、32を有する直線部14および傾斜部16が一般部に相当する。図1の(b) および(c) の中心線Sは、(b) に示す直線部14および傾斜部16における上下方向の中心線で、(c) の湾曲部18は上下方向へ略均等に拡幅されている。
【0022】
このような本実施例の車両用バンパーリインフォースメント10においては、車幅方向の中心に対して対称的な2箇所に低強度の湾曲部18が設けられているため、その湾曲部18で変形し易くなり、荷重入力部位の座屈で荷重が一気に低下することが抑制されて、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようになる。その場合に、湾曲部18は、単一の突出部40にて構成されることにより、その突出部40の突出方向(車両前方)からの衝突荷重に対する強度が低下させられ、車両上下方向へ拡幅されているため、その湾曲部18によって車両の乗り上げ・潜り込み防止機能が得られるようになり、部品点数や重量の増加を招くことなく車両の乗り上げや潜り込みを抑制できる。本実施例では車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅されているため、車両の乗り上げ防止および潜り込み防止の両方の作用が適切に得られる。
【0023】
また、本実施例では、低強度の湾曲部18を除く直線部14および傾斜部16では一対の突出部30、32が設けられて断面がM字形状を成しているのに対し、湾曲部18は単一の突出部40にて構成されており、車両上下方向に延びた浅い逆皿形状の断面を有しているため、その湾曲部18の衝突荷重に対する強度が直線部14および傾斜部16にに比較して適切に低下させられる。
【0024】
また、本実施例では、上記直線部14、傾斜部16、および湾曲部18の車両上下方向の断面長さが略同じであるため、車両上下方向の素材幅寸法が一定の金属板材12を用いてプレス加工することが可能で、材料歩留りが向上して製造コストが低減される。
【0025】
図4は、本実施例のバンパーリインフォースメント10と図5に示す比較品50とを用いて、衝突エネルギー吸収性能の違いを調べた結果を説明する図である。比較品50は、湾曲部52の断面形状が前記直線部14、傾斜部16と同じで、図1(b) に示すようにM字形断面とされているものである。図4の(a) は試験方法を説明する図で、前記傾斜部16の支持部付近を一対の支持台60上に載置して固定し、先端が半円弧形状の衝突片62を所定速度で車幅方向の中央部分に衝突させ、その時の荷重変化を測定してEA量(エネルギー吸収量)を求めた。EA量は荷重の積分値に相当する。
【0026】
図4の(b) は試験結果で、本発明品(バンパーリインフォースメント10)すなわち低強度部有りの場合は実線で示し、比較品50すなわち低強度部無しの場合は破線で示した。この結果から、低強度部無しの比較品50の場合、強度が高いことから荷重が急激に立ち上がるが、車幅方向の中央の荷重入力部で座屈(折れ曲がり)し始める変位70mm付近から荷重が急に低下してEA量の伸びが鈍くなる。これに対し、低強度部有りの本発明品は、低強度の湾曲部18を有するため、その湾曲部18が変形することにより荷重の立ち上がりが緩やかになるが、荷重のピークはなだらかで比較的長く、滑らかな荷重特性になるとともに、最終的なEA量は比較品50と同程度以上で、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られる。また、図6は試験後の試験品の斜視図で、(a) は本発明品(バンパーリインフォースメント10)、(b) は比較品50であり、比較品50は荷重入力部である直線部14の中央付近で座屈しているのに対し、本発明品は、湾曲部18が逆向きに変形しているものの、直線部14は座屈することなく緩やかに湾曲しているだけであった。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0028】
前記実施例の湾曲部18は単一の突出部40にて構成されていたが、図7に示す湾曲部70のように、一対の突出部72、74を比較的浅い連結部76によって連結した場合も、前記直線部14、傾斜部16に比較して車両前方からの衝突荷重に対する強度が低くなり、低強度部として用いることができる。図7は前記図1の(c) に対応する断面図である。
【実施例3】
【0029】
また、図8および図9に示す車両用バンパーリインフォースメント80の湾曲部82は、図8(c) に示す断面形状そのものは前記湾曲部18と同じであるが、上方側へのみ拡幅されている点が相違する。この場合は、前方車両への乗り上げ防止作用は得られないものの、上方への突出寸法は湾曲部18よりも大きいため、前方車両に対する潜り込み防止作用が一層適切に得られるようになり、例えばバンパー位置が低い車両に積極的に適用される。図8および図9は前記図1および図2に対応する図である。
【実施例4】
【0030】
図10および図11に示す車両用バンパーリインフォースメント90の湾曲部92は、上記湾曲部82とは逆に下方側へのみ拡幅されている場合で、前方車両への潜り込み防止作用は得られないものの、下方への突出寸法は湾曲部18よりも大きいため、前方車両に対する乗り上げ防止作用が一層適切に得られるようになり、例えばバンパー位置が高い車両に積極的に適用される。図10および図11は前記図1および図2に対応する図である。
【0031】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
10、80、90:車両用バンパーリインフォースメント 12:金属板材 14:直線部(支持部、一般部) 16:傾斜部(一般部) 18、70、82、92:湾曲部(低強度部) 30、32、40、72、74:突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用バンパーリインフォースメントに係り、特に、車両の乗り上げ・潜り込み防止機能を有するバンパーリインフォースメントの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属板材にて構成されているとともに、車両上下方向に隔てて車両外側へ突き出す複数の突出部を有するようにプレス加工された車幅方向に長い長手形状の車両用バンパーリインフォースメントが提案されている。特許文献1に記載の装置はその一例で、熱間プレス成形(ホットスタンピング成形)により引張強度が高い高強度のバンパーリインフォースメントが得られるようになっている。特許文献2には、熱間プレス成形により焼入れ硬化させる場合に、荷重入力部位の座屈(折れ曲がり)で荷重が一気に低下することを防止するため、局部的に焼入れが緩和された低強度部を設け、荷重の急低下を抑制して優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようにする技術が提案されている。また、特許文献3には、車両の潜り込みを防止するための嵩上げ壁をバンパーリインフォースメントに一体的に固設する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−38756号公報
【特許文献2】特開2007−290582号公報
【特許文献3】特開2009−1199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、引用文献2に記載の技術を引用文献1に適用することにより、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようにできるが、車両の乗り上げや潜り込みを防止する機能は得られず、引用文献3のように別部材を固設すると、部品点数や重量の増加を招いて必ずしも十分に満足できないという問題があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるとともに、部品点数や重量の増加を招くことなく車両の乗り上げ・潜り込み防止機能が得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第1発明は、金属板材にて構成されているとともに、車両上下方向に隔てて車両外側へ突き出す複数の突出部を有するようにプレス加工された車幅方向に長い長手形状の車両用バンパーリインフォースメントであって、車幅方向において車体に固定される一対の支持部よりも内側であって車幅方向の中心に対して対称的な複数箇所に、車両上下方向へ拡幅されるとともに、前記突出部の数が少ないかその突出部の突出寸法が小さくされた低強度部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の車両用バンパーリインフォースメントにおいて、(a) 前記低強度部を除く一般部は、前記突出部が一対設けられて車両上下方向の断面がM字形状を成している一方、(b) 前記低強度部は、前記突出部の突出寸法は前記一般部と同じであるが数が一つで、車両上下方向に延びた浅い逆皿形状の断面を有しており、(c) 前記一般部および前記低強度部の車両上下方向の断面長さは略同じであることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第1発明または第2発明の車両用バンパーリインフォースメントにおいて、前記低強度部は、車両上下方向の上方または下方へ拡幅されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような車両用バンパーリインフォースメントにおいては、一対の支持部よりも内側であって車幅方向の中心に対して対称的な複数箇所に低強度部が設けられているため、その低強度部で変形し易くなり、荷重入力部位の座屈で荷重が一気に低下することが抑制されて、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようになる。その場合に、本発明の低強度部は、突出部の数が少ないかその突出部の突出寸法が小さくされることで、その突出部の突出方向からの衝突荷重に対する強度が低下させられ、車両上下方向へ拡幅されているため、その低強度部によって乗り上げ・潜り込み防止機能が得られるようになり、部品点数や重量の増加を招くことなく車両の乗り上げや潜り込みを抑制できる。
【0010】
第2発明では、低強度部を除く一般部は突出部が一対設けられて断面がM字形状を成しているのに対し、低強度部は突出部が一つで車両上下方向に延びた浅い逆皿形状の断面を有しているため、その低強度部の衝突荷重に対する強度が一般部に比較して適切に低下させられる。また、それ等の一般部および低強度部の車両上下方向の断面長さは略同じであるため、車両上下方向の素材幅寸法が一定の金属板材を用いてプレス加工することが可能で、材料歩留りが向上して製造コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例である車両用バンパーリインフォースメントを示す図で、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるIB−IB断面の拡大図、(c) は(a) におけるIC−IC断面の拡大図である。
【図2】図1の車両用バンパーリインフォースメントを示す図で、(a) は車両への配設状態において上方から見た平面図、(b) は車両の前側から見た正面図である。
【図3】図1の車両用バンパーリインフォースメントの素材である長方形の金属板材を示す平面図である。
【図4】図1の車両用バンパーリインフォースメントおよび比較品を用いて荷重およびEA量(エネルギー吸収量)の特性を調べた結果を説明する図で、(a) は試験方法を説明する図、(b) は試験結果を示した図である。
【図5】図4の試験で用いた比較品を示す斜視図である。
【図6】図4の試験後のテスト品を示す図で、それぞれ図1(a) 、図5に対応する斜視図であり、(a) は本発明品、(b) は比較品である。
【図7】本発明の他の実施例を説明する図で、図1(c) に対応する湾曲部(低強度部)の断面図である。
【図8】本発明の更に別の実施例を説明する図で、図1に対応する図であり、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるVIIIB −VIIIB 断面の拡大図、(c) は(a) におけるVIIIC −VIIIC 断面の拡大図である。
【図9】図8の実施例の車両用バンパーリインフォースメントを示す図で、図2に対応する図であり、(a) は車両への配設状態において上方から見た平面図、(b) は車両の前側から見た正面図である。
【図10】本発明の更に別の実施例を説明する図で、図1に対応する図であり、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるXB−XB断面の拡大図、(c) は(a) におけるXC−XC断面の拡大図である。
【図11】図10の実施例の車両用バンパーリインフォースメントを示す図で、図2に対応する図であり、(a) は車両への配設状態において上方から見た平面図、(b) は車両の前側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の車両用バンパーリインフォースメントは、車両前側に取り付けられるバンパーにも車両後側に取り付けられるバンパーにも適用され得るが、何れか一方のみに適用するだけでも差し支えない。
【0013】
また、バンパーリインフォースメントの長手方向の形状、すなわち車両の上方から見た平面視の形状は、例えば中央部が車両の外方向(前方または後方)へ突き出すように滑らかに湾曲した形状とされるが、略直線状であっても良いし、両端部のみ車体側へ傾斜させたり湾曲させたりするなど、種々の態様が可能である。
【0014】
複数の低強度部は、例えば車幅方向の中心に対して対称的な2箇所に中心から離間して設けられるが、4箇所以上に設けることも可能である。この低強度部は、低強度部以外の一般部との境界で応力集中が生じないように、一般部から滑らかに形状変化するように設けることが望ましく、例えば車両上下方向へ円弧状に膨出させられる。低強度部以外は、支持部を含めてM字形状等の同一断面形状であっても良いが、支持部では異なる断面形状とすることもできる。
【0015】
低強度部は、例えば第2発明のように突出部が一つで車両上下方向に延びた浅い逆皿形状(皿の底部側が車両外側へ突き出す形状)の断面を有するように構成されるが、突出部の数は一般部と同じで、突出部の突出寸法を小さくして車両上下方向へ拡幅するようにしても良い。また、第2発明では、一般部および低強度部の車両上下方向の断面長さが略同じであるが、第1発明の実施に際しては、一般部および低強度部の車両上下方向の断面長さが同じである必要はなく、適宜定められる。第2発明ではまた、一般部および低強度部における突出部の突出寸法が同じであるが、低強度部の突出部の突出寸法を一般部より小さくすることもできるなど、種々の態様が可能である。
【0016】
第3発明では、車両上下方向の上方または下方へ拡幅されて低強度部が設けられているが、車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅して低強度部を設けることもできる。低強度部による乗り上げ・潜り込み防止機能は、必ずしも乗り上げ防止および潜り込み防止の両方の作用が得られる必要はなく、乗り上げ防止および潜り込み防止の少なくとも一方の作用が得られれば良い。車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅して低強度部を設ければ、乗り上げ防止および潜り込み防止の両方の作用が得られる。
【0017】
バンパーリインフォースメントを形成するためのプレス加工は、例えば曲げ加工を主体として行われるものでも良いが、絞り加工の要素を含んでいても良く、目的とする断面形状の成形面を有する一対の金型を用いて1回のプレス加工で形成することが望ましい。バンパーリインフォースメントの車両上下方向の両側部には、必要に応じて平坦なフランジが車両の上方側および下方側へ突き出すように設けられても良い。金属板材としては、熱間プレス成形により焼入れ硬化させることができる熱間プレス成形用鋼板が好適に用いられる。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1の車両用バンパーリインフォースメント(以下、単にバンパーリインフォースメントともいう)10は、車両のフロント側に配設されるもので、(a) は斜視図、(b) は(a) におけるIB−IB断面の拡大図、(c) は(a) におけるIC−IC断面の拡大図である。図2は、同じくバンパーリインフォースメント10を示す図で、(a) は車両への配設状態において上方から見た平面図、(b) は車両の前側から見た正面図である。また、図3は、バンパーリインフォースメント10の素材である長方形の金属板材12を示す平面図で、本実施例では熱間プレス成形により所定形状に曲げ加工されるとともに、焼入れ硬化により引張強度が1400MPa以上まで高強度化される熱間プレス成形用鋼板が用いられる。
【0019】
バンパーリインフォースメント10は、図2(a) の左右方向である車幅方向に長い長手形状を成しているとともに、図2の(a) に示す平面視において、車幅方向の中央部分に位置する直線部14と、両端部に位置する一対の傾斜部16と、それ等の直線部14および傾斜部16を滑らかに接続する一対の湾曲部18とを備えている。このバンパーリインフォースメント10は、車幅方向の中心に対して左右対称に構成されており、両端の一対の傾斜部16は車体側へ後退する部分で、バンパーステイ20を介して車体側部材である左右のサイドメンバ22に固定される。傾斜部16の中バンパーステイ20に固定される部分が支持部に相当する。そして、このようなバンパーリインフォースメント10の外側には、合成樹脂製のバンパー本体24が配設される。
【0020】
上記バンパーリインフォースメント10の中、直線部14および一対の傾斜部16は、図1の(b) に示すように車両外側(この実施例では前方)へ逆U字形状に突き出す一対の突出部30、32が連結部34を介して車両上下方向に隔てて設けられ、全体としてM字型断面形状を成しているとともに、その両端部、すなわち車両上下方向の上下の側部には、それぞれ平坦なフランジ36、38が上下に突き出すように設けられている。M字型断面の各折れ曲がり部分は、何れも比較的角張るように曲げ加工されており、一対の突出部30、32は、それぞれ先端側程幅寸法が狭くなる台形状を成している。また、連結部34は一直線すなわち平坦面で、フランジ36、38と共通の平面内に位置させられ、それ等が略垂直となる姿勢で配設される。なお、図1(b) の左方向が車両前側である。
【0021】
バンパーリインフォースメント10の一対の湾曲部18は、車幅方向の中心に対して対称的な2位置に設けられているとともに、図1(c) に示す車両上下方向の断面から明らかなように単一の突出部40にて構成されている。この突出部40の車両前方への突出寸法は前記突出部30、32と同じであるが、車両上下方向の幅寸法が大きく、図1(c) に示す車両上下方向の断面において浅い逆皿形状を成している。すなわち、この湾曲部18の上下方向寸法は前記直線部14や傾斜部16よりも大きく、車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅しているが、図1(a) および図2(b) から明らかなように、それ等の直線部14および傾斜部16の上下の端縁に滑らかに接続されるように、上方および下方へそれぞれ滑らかに円弧状に膨出させられている。図1の(b) および(c) に示す車両上下方向の断面形状における断面長さは略同じで、図3に示すように車両上下方向の素材幅寸法(図3における上下方向の幅寸法)が一定の長方形の金属板材12をプレス加工することによって製造できる。また、上記湾曲部18の上下の両端には、前記フランジ36、38が前記直線部14、傾斜部16から連続して設けられている。本実施例では、単一の突出部40にて構成されている湾曲部18が低強度部で、一対の突出部30、32を有する直線部14および傾斜部16が一般部に相当する。図1の(b) および(c) の中心線Sは、(b) に示す直線部14および傾斜部16における上下方向の中心線で、(c) の湾曲部18は上下方向へ略均等に拡幅されている。
【0022】
このような本実施例の車両用バンパーリインフォースメント10においては、車幅方向の中心に対して対称的な2箇所に低強度の湾曲部18が設けられているため、その湾曲部18で変形し易くなり、荷重入力部位の座屈で荷重が一気に低下することが抑制されて、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られるようになる。その場合に、湾曲部18は、単一の突出部40にて構成されることにより、その突出部40の突出方向(車両前方)からの衝突荷重に対する強度が低下させられ、車両上下方向へ拡幅されているため、その湾曲部18によって車両の乗り上げ・潜り込み防止機能が得られるようになり、部品点数や重量の増加を招くことなく車両の乗り上げや潜り込みを抑制できる。本実施例では車両上下方向の上方および下方へそれぞれ拡幅されているため、車両の乗り上げ防止および潜り込み防止の両方の作用が適切に得られる。
【0023】
また、本実施例では、低強度の湾曲部18を除く直線部14および傾斜部16では一対の突出部30、32が設けられて断面がM字形状を成しているのに対し、湾曲部18は単一の突出部40にて構成されており、車両上下方向に延びた浅い逆皿形状の断面を有しているため、その湾曲部18の衝突荷重に対する強度が直線部14および傾斜部16にに比較して適切に低下させられる。
【0024】
また、本実施例では、上記直線部14、傾斜部16、および湾曲部18の車両上下方向の断面長さが略同じであるため、車両上下方向の素材幅寸法が一定の金属板材12を用いてプレス加工することが可能で、材料歩留りが向上して製造コストが低減される。
【0025】
図4は、本実施例のバンパーリインフォースメント10と図5に示す比較品50とを用いて、衝突エネルギー吸収性能の違いを調べた結果を説明する図である。比較品50は、湾曲部52の断面形状が前記直線部14、傾斜部16と同じで、図1(b) に示すようにM字形断面とされているものである。図4の(a) は試験方法を説明する図で、前記傾斜部16の支持部付近を一対の支持台60上に載置して固定し、先端が半円弧形状の衝突片62を所定速度で車幅方向の中央部分に衝突させ、その時の荷重変化を測定してEA量(エネルギー吸収量)を求めた。EA量は荷重の積分値に相当する。
【0026】
図4の(b) は試験結果で、本発明品(バンパーリインフォースメント10)すなわち低強度部有りの場合は実線で示し、比較品50すなわち低強度部無しの場合は破線で示した。この結果から、低強度部無しの比較品50の場合、強度が高いことから荷重が急激に立ち上がるが、車幅方向の中央の荷重入力部で座屈(折れ曲がり)し始める変位70mm付近から荷重が急に低下してEA量の伸びが鈍くなる。これに対し、低強度部有りの本発明品は、低強度の湾曲部18を有するため、その湾曲部18が変形することにより荷重の立ち上がりが緩やかになるが、荷重のピークはなだらかで比較的長く、滑らかな荷重特性になるとともに、最終的なEA量は比較品50と同程度以上で、優れた衝突エネルギー吸収性能が得られる。また、図6は試験後の試験品の斜視図で、(a) は本発明品(バンパーリインフォースメント10)、(b) は比較品50であり、比較品50は荷重入力部である直線部14の中央付近で座屈しているのに対し、本発明品は、湾曲部18が逆向きに変形しているものの、直線部14は座屈することなく緩やかに湾曲しているだけであった。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0028】
前記実施例の湾曲部18は単一の突出部40にて構成されていたが、図7に示す湾曲部70のように、一対の突出部72、74を比較的浅い連結部76によって連結した場合も、前記直線部14、傾斜部16に比較して車両前方からの衝突荷重に対する強度が低くなり、低強度部として用いることができる。図7は前記図1の(c) に対応する断面図である。
【実施例3】
【0029】
また、図8および図9に示す車両用バンパーリインフォースメント80の湾曲部82は、図8(c) に示す断面形状そのものは前記湾曲部18と同じであるが、上方側へのみ拡幅されている点が相違する。この場合は、前方車両への乗り上げ防止作用は得られないものの、上方への突出寸法は湾曲部18よりも大きいため、前方車両に対する潜り込み防止作用が一層適切に得られるようになり、例えばバンパー位置が低い車両に積極的に適用される。図8および図9は前記図1および図2に対応する図である。
【実施例4】
【0030】
図10および図11に示す車両用バンパーリインフォースメント90の湾曲部92は、上記湾曲部82とは逆に下方側へのみ拡幅されている場合で、前方車両への潜り込み防止作用は得られないものの、下方への突出寸法は湾曲部18よりも大きいため、前方車両に対する乗り上げ防止作用が一層適切に得られるようになり、例えばバンパー位置が高い車両に積極的に適用される。図10および図11は前記図1および図2に対応する図である。
【0031】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
10、80、90:車両用バンパーリインフォースメント 12:金属板材 14:直線部(支持部、一般部) 16:傾斜部(一般部) 18、70、82、92:湾曲部(低強度部) 30、32、40、72、74:突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板材にて構成されているとともに、車両上下方向に隔てて車両外側へ突き出す複数の突出部を有するようにプレス加工された車幅方向に長い長手形状の車両用バンパーリインフォースメントであって、
車幅方向において車体に固定される一対の支持部よりも内側であって車幅方向の中心に対して対称的な複数箇所に、車両上下方向へ拡幅されるとともに、前記突出部の数が少ないか該突出部の突出寸法が小さくされた低強度部が設けられている
ことを特徴とする車両用バンパーリインフォースメント。
【請求項2】
前記低強度部を除く一般部は、前記突出部が一対設けられて車両上下方向の断面がM字形状を成している一方、
前記低強度部は、前記突出部の突出寸法は前記一般部と同じであるが数が一つで、車両上下方向に延びた浅い逆皿形状の断面を有しており、
前記一般部および前記低強度部の車両上下方向の断面長さは略同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパーリインフォースメント。
【請求項3】
前記低強度部は、車両上下方向の上方または下方へ拡幅されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用バンパーリインフォースメント。
【請求項1】
金属板材にて構成されているとともに、車両上下方向に隔てて車両外側へ突き出す複数の突出部を有するようにプレス加工された車幅方向に長い長手形状の車両用バンパーリインフォースメントであって、
車幅方向において車体に固定される一対の支持部よりも内側であって車幅方向の中心に対して対称的な複数箇所に、車両上下方向へ拡幅されるとともに、前記突出部の数が少ないか該突出部の突出寸法が小さくされた低強度部が設けられている
ことを特徴とする車両用バンパーリインフォースメント。
【請求項2】
前記低強度部を除く一般部は、前記突出部が一対設けられて車両上下方向の断面がM字形状を成している一方、
前記低強度部は、前記突出部の突出寸法は前記一般部と同じであるが数が一つで、車両上下方向に延びた浅い逆皿形状の断面を有しており、
前記一般部および前記低強度部の車両上下方向の断面長さは略同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパーリインフォースメント。
【請求項3】
前記低強度部は、車両上下方向の上方または下方へ拡幅されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用バンパーリインフォースメント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−18297(P2013−18297A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150617(P2011−150617)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000241496)豊田鉄工株式会社 (104)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000241496)豊田鉄工株式会社 (104)
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