車両用バンパー
【課題】少ない製造工数で作製できて、車幅方向に沿った広い範囲に亘ってエネルギー吸収量を均一化させることができる車両用バンパーを提供する。
【解決手段】バンパーアブソーバー9は、上下および車幅方向に沿って延在する縦面と、該縦面の上端および下端から後方に延在する上面12および下面と、から断面コ字状に形成されている。前記バンパーアブソーバー9は、前記上面12および下面が複数の取付部材23〜27を介してバンパーレインフォース10に支持されており、車幅方向に隣接する取付部材同士の間隔を、車幅方向端部9bから車幅方向中央部9aに向かうにつれて小さくなるように設定している。
【解決手段】バンパーアブソーバー9は、上下および車幅方向に沿って延在する縦面と、該縦面の上端および下端から後方に延在する上面12および下面と、から断面コ字状に形成されている。前記バンパーアブソーバー9は、前記上面12および下面が複数の取付部材23〜27を介してバンパーレインフォース10に支持されており、車幅方向に隣接する取付部材同士の間隔を、車幅方向端部9bから車幅方向中央部9aに向かうにつれて小さくなるように設定している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バンパーレインフォースの前側にエネルギー吸収体を配設したフロントバンパーが知られている。前記エネルギー吸収体の前面は、平面視で円弧状に形成されているため、車両が前面衝突を起こした際に、エネルギー吸収体における車幅方向中央部が最も圧縮変形し、車幅方向端部の圧縮変形量は小さくなる。そこで、車幅方向全体に亘って衝突エネルギーの吸収量を均一化するために、エネルギー吸収体の断面積を、車幅方向中央部に向かうにつれて大きく設定したバンパーが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−341634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたエネルギー吸収体を製造する場合、金型内部の形状を車幅方向端部から中央部にかけて徐々に変化させる等、製造技術上、工数がかかるという問題があった。
そこで、本発明は、少ない製造工数で作製できて、車幅方向に沿った広い範囲に亘ってエネルギー吸収量を均一化させることができる車両用バンパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両用バンパーは、車両の前端または後端に車幅方向に沿って延在し、かつ、その車幅方向中央部が車幅方向端部よりも車両の前後方向の外側に配置された車両用バンパーである。車両の前端または後端にバンパーフェイシアを設け、該バンパーフェイシアの前後方向内側にバンパーアブソーバーを設け、該バンパーアブソーバーの前後方向内側に、バンパーアブソーバーを支持するバンパーレインフォースを設けた。前記バンパーアブソーバーは、上下および車幅方向に沿って延在する縦面と、該縦面の上端および下端から屈曲して前後方向内側に延在する上面および下面と、から断面コ字状に形成されている。そして、前記バンパーアブソーバーのバンパーレインフォースに対する支持剛性が、車幅方向端部よりも車幅方向中央部が高くなるように設定している。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車幅方向に沿った広い範囲に亘ってエネルギー吸収量をより均一化させることができる車両用バンパーを少ない製造工数で作製することができる。前記バンパーアブソーバーのバンパーレインフォースに対する支持剛性を変えるには、簡単な構造変更ですむため、非常に効率的となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態による車両前端部を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線による断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるバンパーアブソーバーとバンパーレインフォースを示す斜視図である。
【図4】本図のうち、(a)は図3のB−B線による断面図、(b)は図3のC−C線による断面図である。
【図5】図3の分解斜視図である。
【図6】図3を上から見た平面図である。
【図7】図3を前から見た正面図である。
【図8】(a)は第1の実施形態によるバンパーアブソーバーに衝突荷重が入力された場合における変形後の荷重分布図、(b)は比較例によるバンパーアブソーバーに衝突荷重が入力された場合における変形後の荷重分布図である。
【図9】第2の実施形態によるバンパーアブソーバーを示す斜視図である。
【図10】図9を上から見た平面図である。
【図11】第3の実施形態によるバンパーアブソーバーを示す斜視図である。
【図12】(a)は図11のD−D線による拡大断面図、(b)はE−E線による拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。なお、以下の各実施形態では、フロントバンパーを一例にするが、車両後端に配設されるリアバンパーにも本発明は適用可能である。
【0009】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態について説明する。
【0010】
図1,2に示すように、車両前端部1には、車幅方向に沿って延在するフロントバンパー2と、該フロントバンパー2の上側に配置した上側フロントグリル3と、フロントバンパー2の下側に配置した下側フロントグリル4と、該下側フロントグリル4の下端から後方に延在するアンダーカバー5とが設けられている。
【0011】
前記上側フロントグリル3および下側フロントグリル4には、複数の通気口6,7が形成され、車両走行風が通気口6,7を介してエンジンルーム内に流入する。
【0012】
図2〜図4に示すように、前記フロントバンパー2は、車両前端に配置したバンパーフェイシア8と、該バンパーフェイシア8の後側(前後方向内側)にバンパーフェイシア8と対向して配置されたバンパーアブソーバー9と、該バンパーアブソーバー9の後側(前後方向内側)に配置されてバンパーアブソーバー9を支持するバンパーレインフォース10とを備えている。なお、前記下側フロントグリル4は、バンパーフェイシア8に形成されている。
【0013】
前記バンパーアブソーバー9は、上下および車幅方向に沿って延在する縦面11と、該縦面11の上端および下端から後方(前後方向内側)に延在する上面12および下面13と、から断面コ字状に形成されている。
【0014】
前記バンパーフェイシア8は、上下および車幅方向に沿って延在する縦壁面14と、該縦壁面14の上端から後方に屈曲して延在し、前記バンパーアブソーバー9の上面12の上側に対向配置される上壁面15と、前記縦壁面14の下端から後方に屈曲して延在し、前記バンパーアブソーバー9の下面13の下側に対向配置される下壁面17と、から構成されている。
【0015】
また、図3,6に示すように、バンパーアブソーバー9およびバンパーレインフォース10は平面視で弧状に湾曲して形成されており、車幅方向中央部9a,10aが車幅方向の両端部9b,10bよりも車両前方側に配置されている。なお、バンパーアブソーバー9における車幅方向の両端部9b,9bは、車幅方向外側に向かうにつれて前後方向の厚さが薄くなる傾斜面18に形成されている。
【0016】
そして、バンパーレインフォース10は、図4(a)(b)に示すように、縦長の長方形断面に構成され、上下の中間高さ位置にリブ19が設けられている。このリブ19によって、バンパーレインフォース10は、上下2つの閉断面構造に構成されている。さらに、図4(b)に示すように、バンパーレインフォース10の前面20の上端および下端には、後方に窪んだ溝21,22が上下一対に形成されており、バンパーアブソーバー9の上面12および下面13の後端が嵌合されている。また、図4(a)に示すように、車幅方向中央部においては、バンパーアブソーバー9の上面12および下面13に一体形成された取付部材24,24がバンパーレインフォース10の上壁29および下壁30にボルト28を介して締結されている。
【0017】
そして、図3,5〜7に示すように、バンパーアブソーバー9の上面12には、車幅方向に沿って5箇所の取付部材23〜27が前記上面12および下面13に一体に形成されている。
【0018】
具体的には、車幅方向中央部には、3つの取付部材23,24,25が上下一対に配設されており、車幅方向両端部には、2つの取付部材26,27が上下一対に配設されている。これらの取付部材23〜27は、断面L字状に屈曲しており、ボルト28を介してバンパーレインフォース10の上壁29および下壁30に締結されている。
【0019】
ここで、図6に示すように、取付部材23,24の車幅方向に沿った距離はL1であり、取付部材24,25の車幅方向に沿った距離もL1に設定されている。また、取付部材26,23の車幅方向に沿った距離はL2であり、取付部材27,25の車幅方向に沿った距離もL2に設定されている。L1はL2よりも小さい距離であるため、車幅方向中央部における隣接する取付部材23,25の距離L1は、車幅方向端部における隣接する取付部材26,23および27,25の距離L2よりも小さく設定されている。このように、車幅方向端部から車幅方向中央部に向かうにつれて隣接する取付部材23〜27の間隔(距離)が小さくなるように構成されている。従って、同時に、バンパーアブソーバー9のバンパーレインフォース10に対する支持剛性も車幅方向端部から車幅方向中央部に向かうにつれて大きくなるように構成されている。
【0020】
図8を用いて、本実施形態によるバンパーアブソーバー9と比較例によるバンパーアブソーバー109に対して円筒状の衝突体Pを衝突させた場合における衝撃荷重の分布を説明する。なお、比較例によるバンパーアブソーバー109は、車幅方向に沿って等間隔に4箇所の取付部材23,25,26,27が配設されている。具体的には、車幅方向中央部における取付部材23,25、および、車幅方向両端部における取付部材26,27は、全て、前述したL1よりも大きな距離L3をおいて等間隔に配置されている。
【0021】
図8(a)に示すように、衝突体Pがバンパーアブソーバー9に衝突すると、大きな荷重F1がバンパーアブソーバー9の縦面11の上端部と下端部に車幅方向に沿って長い範囲に亘って入力される。また、小さい荷重F2もバンパーアブソーバー9の上下方向中間部に車幅方向に沿って長い範囲に亘って入力される。
【0022】
一方、図8(b)に示すように、衝突体Pがバンパーアブソーバー109に衝突すると、大きな荷重F1がバンパーアブソーバー109の縦面11の上端部と下端部に車幅方向に沿って短い範囲に亘って入力される。また、小さい荷重F2もバンパーアブソーバー109の縦面11の上下方向中間部に車幅方向に沿って短い範囲に亘って入力される。
【0023】
このように、本実施形態によるバンパーアブソーバー9の方が車幅方向に沿った広い範囲で入力荷重を受けることができることが判明した。
【0024】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0025】
本実施形態に係る車両用バンパーは、車両の前端に配置されて車幅方向に延在すると共に、車幅方向中央部が車幅方向端部よりも前後方向外側に配置されたフロントバンパー(車両用バンパー)2である。車両の前端に配設されたバンパーフェイシア8と、該バンパーフェイシア8の後方(前後方向内側)に配置されたバンパーアブソーバー9と、該バンパーアブソーバー9の後方に配置されてバンパーアブソーバー9を支持するバンパーレインフォース10とを備え、前記バンパーアブソーバー9は、上下および車幅方向に沿って延在する縦面11と、該縦面11の上端および下端から後方に延在する上面12および下面13と、から断面コ字状に形成され、前記バンパーアブソーバー9のバンパーレインフォース10に対する支持剛性を、車幅方向端部9bから車幅方向中央部9aに向かうにつれて高くなるように設定している。
【0026】
具体的には、前記バンパーアブソーバー9は、前記上面12および下面13が複数の取付部材23〜27を介してバンパーレインフォース10に支持されており、車幅方向に隣接する取付部材同士の間隔を、車幅方向端部9bから車幅方向中央部9aに向かうにつれて小さくなるように設定している。
【0027】
このように、隣接する取付部材同士の間隔を変えてバンパーアブソーバー9のバンパーレインフォース10に対する支持剛性を、車幅方向端部9bから車幅方向中央部9aに向かうにつれて高くなるように設定している。従って、本実施形態によれば、少ない製造工数で、車幅方向に亘る広い範囲でエネルギー吸収量を均一化させることができる車両用バンパーを得ることができる。特に、隣接する取付部材同士の間隔を変えるという簡単な構造変更によって、エネルギー吸収量を広い範囲で均一化することができて効率的である。
【0028】
[第2の実施形態]
次いで、本発明の第2の実施形態を説明するが、前述した第1の実施形態と同一構造の部位には、同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
図9に示すように、本実施形態によるバンパーアブソーバー31においては、車幅方向中央部に取付部材32が一つ配置され、車幅方向両端部にも取付部材33,34が左右一対に配置されている。これらの取付部材32〜34は、第1実施形態と同様に、バンパーアブソーバー31をバンパーレインフォース10の上壁29に支持する部材である。
【0030】
図10に示すように、車幅方向中央部の取付部材32における車幅方向に沿った幅寸法は、L4であり、車幅方向両端部の取付部材33,34における車幅方向に沿った幅寸法は、L5である。L4は、L5よりも大幅に大きく形成されている。従って、バンパーアブソーバー31のバンパーレインフォース10に対する支持剛性も車幅方向端部から車幅方向中央部に向かうにつれて大きくなるように構成されている。
【0031】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0032】
本実施形態では、車幅方向中央部に配置された取付部材32の車幅方向の幅寸法L4を、車幅方向端部に配置された取付部材33,34の車幅方向の幅寸法L5よりも大きく設定している。このような簡単な構造変更によって、車幅方向に沿った広い範囲でエネルギー吸収量の均一化を図ることができて効率的である。
【0033】
[第3の実施形態]
次いで、本発明の第3の実施形態を説明するが、前述した第1および第2の実施形態と同一構造の部位には、同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
図11に示すように、本実施形態に係るバンパーアブソーバー41では、車幅方向中央部に、3つの取付部材42〜44が配設されており、車幅方向両端部には、2つの取付部材45,46が配設されている。これらの取付部材42〜46を配設する位置は、第1実施形態と同一である。
【0035】
しかし、図12(a)に示すように、車幅方向中央部に配置された3つの取付部材42〜44の厚さは、ともにT1である。一方、図12(b)に示すように、車幅方向両端部の取付部材45,46における厚さは、T2である。T1は、T2よりも厚く形成されている。従って、バンパーアブソーバー41のバンパーレインフォース10に対する支持剛性も車幅方向端部から車幅方向中央部に向かうにつれて大きくなるように構成されている。
【0036】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0037】
本実施形態では、車幅方向中央部に配置された取付部材42〜44の厚さT1を、車幅方向端部に配置された取付部材45,46の厚さT2よりも大きく設定している。このような簡単な構造変更によって、車幅方向に沿った広い範囲でエネルギー吸収量の均一化を図ることができて効率的である。
【符号の説明】
【0038】
2 フロントバンパー(車両用バンパー)
8 バンパーフェイシア
9,31,41 バンパーアブソーバー
10 バンパーレインフォース
11 縦面
12 上面
13 下面
23〜27,32〜34,42〜46 取付部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バンパーレインフォースの前側にエネルギー吸収体を配設したフロントバンパーが知られている。前記エネルギー吸収体の前面は、平面視で円弧状に形成されているため、車両が前面衝突を起こした際に、エネルギー吸収体における車幅方向中央部が最も圧縮変形し、車幅方向端部の圧縮変形量は小さくなる。そこで、車幅方向全体に亘って衝突エネルギーの吸収量を均一化するために、エネルギー吸収体の断面積を、車幅方向中央部に向かうにつれて大きく設定したバンパーが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−341634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたエネルギー吸収体を製造する場合、金型内部の形状を車幅方向端部から中央部にかけて徐々に変化させる等、製造技術上、工数がかかるという問題があった。
そこで、本発明は、少ない製造工数で作製できて、車幅方向に沿った広い範囲に亘ってエネルギー吸収量を均一化させることができる車両用バンパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両用バンパーは、車両の前端または後端に車幅方向に沿って延在し、かつ、その車幅方向中央部が車幅方向端部よりも車両の前後方向の外側に配置された車両用バンパーである。車両の前端または後端にバンパーフェイシアを設け、該バンパーフェイシアの前後方向内側にバンパーアブソーバーを設け、該バンパーアブソーバーの前後方向内側に、バンパーアブソーバーを支持するバンパーレインフォースを設けた。前記バンパーアブソーバーは、上下および車幅方向に沿って延在する縦面と、該縦面の上端および下端から屈曲して前後方向内側に延在する上面および下面と、から断面コ字状に形成されている。そして、前記バンパーアブソーバーのバンパーレインフォースに対する支持剛性が、車幅方向端部よりも車幅方向中央部が高くなるように設定している。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車幅方向に沿った広い範囲に亘ってエネルギー吸収量をより均一化させることができる車両用バンパーを少ない製造工数で作製することができる。前記バンパーアブソーバーのバンパーレインフォースに対する支持剛性を変えるには、簡単な構造変更ですむため、非常に効率的となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態による車両前端部を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線による断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるバンパーアブソーバーとバンパーレインフォースを示す斜視図である。
【図4】本図のうち、(a)は図3のB−B線による断面図、(b)は図3のC−C線による断面図である。
【図5】図3の分解斜視図である。
【図6】図3を上から見た平面図である。
【図7】図3を前から見た正面図である。
【図8】(a)は第1の実施形態によるバンパーアブソーバーに衝突荷重が入力された場合における変形後の荷重分布図、(b)は比較例によるバンパーアブソーバーに衝突荷重が入力された場合における変形後の荷重分布図である。
【図9】第2の実施形態によるバンパーアブソーバーを示す斜視図である。
【図10】図9を上から見た平面図である。
【図11】第3の実施形態によるバンパーアブソーバーを示す斜視図である。
【図12】(a)は図11のD−D線による拡大断面図、(b)はE−E線による拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。なお、以下の各実施形態では、フロントバンパーを一例にするが、車両後端に配設されるリアバンパーにも本発明は適用可能である。
【0009】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態について説明する。
【0010】
図1,2に示すように、車両前端部1には、車幅方向に沿って延在するフロントバンパー2と、該フロントバンパー2の上側に配置した上側フロントグリル3と、フロントバンパー2の下側に配置した下側フロントグリル4と、該下側フロントグリル4の下端から後方に延在するアンダーカバー5とが設けられている。
【0011】
前記上側フロントグリル3および下側フロントグリル4には、複数の通気口6,7が形成され、車両走行風が通気口6,7を介してエンジンルーム内に流入する。
【0012】
図2〜図4に示すように、前記フロントバンパー2は、車両前端に配置したバンパーフェイシア8と、該バンパーフェイシア8の後側(前後方向内側)にバンパーフェイシア8と対向して配置されたバンパーアブソーバー9と、該バンパーアブソーバー9の後側(前後方向内側)に配置されてバンパーアブソーバー9を支持するバンパーレインフォース10とを備えている。なお、前記下側フロントグリル4は、バンパーフェイシア8に形成されている。
【0013】
前記バンパーアブソーバー9は、上下および車幅方向に沿って延在する縦面11と、該縦面11の上端および下端から後方(前後方向内側)に延在する上面12および下面13と、から断面コ字状に形成されている。
【0014】
前記バンパーフェイシア8は、上下および車幅方向に沿って延在する縦壁面14と、該縦壁面14の上端から後方に屈曲して延在し、前記バンパーアブソーバー9の上面12の上側に対向配置される上壁面15と、前記縦壁面14の下端から後方に屈曲して延在し、前記バンパーアブソーバー9の下面13の下側に対向配置される下壁面17と、から構成されている。
【0015】
また、図3,6に示すように、バンパーアブソーバー9およびバンパーレインフォース10は平面視で弧状に湾曲して形成されており、車幅方向中央部9a,10aが車幅方向の両端部9b,10bよりも車両前方側に配置されている。なお、バンパーアブソーバー9における車幅方向の両端部9b,9bは、車幅方向外側に向かうにつれて前後方向の厚さが薄くなる傾斜面18に形成されている。
【0016】
そして、バンパーレインフォース10は、図4(a)(b)に示すように、縦長の長方形断面に構成され、上下の中間高さ位置にリブ19が設けられている。このリブ19によって、バンパーレインフォース10は、上下2つの閉断面構造に構成されている。さらに、図4(b)に示すように、バンパーレインフォース10の前面20の上端および下端には、後方に窪んだ溝21,22が上下一対に形成されており、バンパーアブソーバー9の上面12および下面13の後端が嵌合されている。また、図4(a)に示すように、車幅方向中央部においては、バンパーアブソーバー9の上面12および下面13に一体形成された取付部材24,24がバンパーレインフォース10の上壁29および下壁30にボルト28を介して締結されている。
【0017】
そして、図3,5〜7に示すように、バンパーアブソーバー9の上面12には、車幅方向に沿って5箇所の取付部材23〜27が前記上面12および下面13に一体に形成されている。
【0018】
具体的には、車幅方向中央部には、3つの取付部材23,24,25が上下一対に配設されており、車幅方向両端部には、2つの取付部材26,27が上下一対に配設されている。これらの取付部材23〜27は、断面L字状に屈曲しており、ボルト28を介してバンパーレインフォース10の上壁29および下壁30に締結されている。
【0019】
ここで、図6に示すように、取付部材23,24の車幅方向に沿った距離はL1であり、取付部材24,25の車幅方向に沿った距離もL1に設定されている。また、取付部材26,23の車幅方向に沿った距離はL2であり、取付部材27,25の車幅方向に沿った距離もL2に設定されている。L1はL2よりも小さい距離であるため、車幅方向中央部における隣接する取付部材23,25の距離L1は、車幅方向端部における隣接する取付部材26,23および27,25の距離L2よりも小さく設定されている。このように、車幅方向端部から車幅方向中央部に向かうにつれて隣接する取付部材23〜27の間隔(距離)が小さくなるように構成されている。従って、同時に、バンパーアブソーバー9のバンパーレインフォース10に対する支持剛性も車幅方向端部から車幅方向中央部に向かうにつれて大きくなるように構成されている。
【0020】
図8を用いて、本実施形態によるバンパーアブソーバー9と比較例によるバンパーアブソーバー109に対して円筒状の衝突体Pを衝突させた場合における衝撃荷重の分布を説明する。なお、比較例によるバンパーアブソーバー109は、車幅方向に沿って等間隔に4箇所の取付部材23,25,26,27が配設されている。具体的には、車幅方向中央部における取付部材23,25、および、車幅方向両端部における取付部材26,27は、全て、前述したL1よりも大きな距離L3をおいて等間隔に配置されている。
【0021】
図8(a)に示すように、衝突体Pがバンパーアブソーバー9に衝突すると、大きな荷重F1がバンパーアブソーバー9の縦面11の上端部と下端部に車幅方向に沿って長い範囲に亘って入力される。また、小さい荷重F2もバンパーアブソーバー9の上下方向中間部に車幅方向に沿って長い範囲に亘って入力される。
【0022】
一方、図8(b)に示すように、衝突体Pがバンパーアブソーバー109に衝突すると、大きな荷重F1がバンパーアブソーバー109の縦面11の上端部と下端部に車幅方向に沿って短い範囲に亘って入力される。また、小さい荷重F2もバンパーアブソーバー109の縦面11の上下方向中間部に車幅方向に沿って短い範囲に亘って入力される。
【0023】
このように、本実施形態によるバンパーアブソーバー9の方が車幅方向に沿った広い範囲で入力荷重を受けることができることが判明した。
【0024】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0025】
本実施形態に係る車両用バンパーは、車両の前端に配置されて車幅方向に延在すると共に、車幅方向中央部が車幅方向端部よりも前後方向外側に配置されたフロントバンパー(車両用バンパー)2である。車両の前端に配設されたバンパーフェイシア8と、該バンパーフェイシア8の後方(前後方向内側)に配置されたバンパーアブソーバー9と、該バンパーアブソーバー9の後方に配置されてバンパーアブソーバー9を支持するバンパーレインフォース10とを備え、前記バンパーアブソーバー9は、上下および車幅方向に沿って延在する縦面11と、該縦面11の上端および下端から後方に延在する上面12および下面13と、から断面コ字状に形成され、前記バンパーアブソーバー9のバンパーレインフォース10に対する支持剛性を、車幅方向端部9bから車幅方向中央部9aに向かうにつれて高くなるように設定している。
【0026】
具体的には、前記バンパーアブソーバー9は、前記上面12および下面13が複数の取付部材23〜27を介してバンパーレインフォース10に支持されており、車幅方向に隣接する取付部材同士の間隔を、車幅方向端部9bから車幅方向中央部9aに向かうにつれて小さくなるように設定している。
【0027】
このように、隣接する取付部材同士の間隔を変えてバンパーアブソーバー9のバンパーレインフォース10に対する支持剛性を、車幅方向端部9bから車幅方向中央部9aに向かうにつれて高くなるように設定している。従って、本実施形態によれば、少ない製造工数で、車幅方向に亘る広い範囲でエネルギー吸収量を均一化させることができる車両用バンパーを得ることができる。特に、隣接する取付部材同士の間隔を変えるという簡単な構造変更によって、エネルギー吸収量を広い範囲で均一化することができて効率的である。
【0028】
[第2の実施形態]
次いで、本発明の第2の実施形態を説明するが、前述した第1の実施形態と同一構造の部位には、同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
図9に示すように、本実施形態によるバンパーアブソーバー31においては、車幅方向中央部に取付部材32が一つ配置され、車幅方向両端部にも取付部材33,34が左右一対に配置されている。これらの取付部材32〜34は、第1実施形態と同様に、バンパーアブソーバー31をバンパーレインフォース10の上壁29に支持する部材である。
【0030】
図10に示すように、車幅方向中央部の取付部材32における車幅方向に沿った幅寸法は、L4であり、車幅方向両端部の取付部材33,34における車幅方向に沿った幅寸法は、L5である。L4は、L5よりも大幅に大きく形成されている。従って、バンパーアブソーバー31のバンパーレインフォース10に対する支持剛性も車幅方向端部から車幅方向中央部に向かうにつれて大きくなるように構成されている。
【0031】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0032】
本実施形態では、車幅方向中央部に配置された取付部材32の車幅方向の幅寸法L4を、車幅方向端部に配置された取付部材33,34の車幅方向の幅寸法L5よりも大きく設定している。このような簡単な構造変更によって、車幅方向に沿った広い範囲でエネルギー吸収量の均一化を図ることができて効率的である。
【0033】
[第3の実施形態]
次いで、本発明の第3の実施形態を説明するが、前述した第1および第2の実施形態と同一構造の部位には、同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
図11に示すように、本実施形態に係るバンパーアブソーバー41では、車幅方向中央部に、3つの取付部材42〜44が配設されており、車幅方向両端部には、2つの取付部材45,46が配設されている。これらの取付部材42〜46を配設する位置は、第1実施形態と同一である。
【0035】
しかし、図12(a)に示すように、車幅方向中央部に配置された3つの取付部材42〜44の厚さは、ともにT1である。一方、図12(b)に示すように、車幅方向両端部の取付部材45,46における厚さは、T2である。T1は、T2よりも厚く形成されている。従って、バンパーアブソーバー41のバンパーレインフォース10に対する支持剛性も車幅方向端部から車幅方向中央部に向かうにつれて大きくなるように構成されている。
【0036】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0037】
本実施形態では、車幅方向中央部に配置された取付部材42〜44の厚さT1を、車幅方向端部に配置された取付部材45,46の厚さT2よりも大きく設定している。このような簡単な構造変更によって、車幅方向に沿った広い範囲でエネルギー吸収量の均一化を図ることができて効率的である。
【符号の説明】
【0038】
2 フロントバンパー(車両用バンパー)
8 バンパーフェイシア
9,31,41 バンパーアブソーバー
10 バンパーレインフォース
11 縦面
12 上面
13 下面
23〜27,32〜34,42〜46 取付部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前端または後端に配置されて車幅方向に延在すると共に、車幅方向中央部が車幅方向端部よりも前後方向外側に配置された車両用バンパーであって、
車両の前端または後端に配設されたバンパーフェイシアと、該バンパーフェイシアの前後方向内側に配置されたバンパーアブソーバーと、該バンパーアブソーバーの前後方向内側に配置されてバンパーアブソーバーを支持するバンパーレインフォースとを備え、
前記バンパーアブソーバーは、上下および車幅方向に沿って延在する縦面と、該縦面の上端および下端から前後方向内側に延在する上面および下面と、から断面コ字状に形成され、
前記バンパーアブソーバーのバンパーレインフォースに対する支持剛性が、車幅方向端部よりも車幅方向中央部が高くなるように設定したことを特徴とする車両用バンパー。
【請求項2】
前記バンパーアブソーバーは、前記上面および下面が複数の取付部材を介してバンパーレインフォースに支持されており、
車幅方向に隣接する取付部材同士の間隔が、車幅方向端部よりも車幅方向中央部が小さくなるように設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパー。
【請求項3】
前記バンパーアブソーバーは、前記上面および下面が複数の取付部材を介してバンパーレインフォースに支持されており、
車幅方向中央部に配置された取付部材の車幅方向の幅寸法を、車幅方向端部に配置された取付部材の車幅方向の幅寸法よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパー。
【請求項4】
前記バンパーアブソーバーは、前記上面および下面が複数の取付部材を介してバンパーレインフォースに支持されており、
車幅方向中央部に配置された取付部材の厚さを、車幅方向端部に配置された取付部材の厚さよりも大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパー。
【請求項1】
車両の前端または後端に配置されて車幅方向に延在すると共に、車幅方向中央部が車幅方向端部よりも前後方向外側に配置された車両用バンパーであって、
車両の前端または後端に配設されたバンパーフェイシアと、該バンパーフェイシアの前後方向内側に配置されたバンパーアブソーバーと、該バンパーアブソーバーの前後方向内側に配置されてバンパーアブソーバーを支持するバンパーレインフォースとを備え、
前記バンパーアブソーバーは、上下および車幅方向に沿って延在する縦面と、該縦面の上端および下端から前後方向内側に延在する上面および下面と、から断面コ字状に形成され、
前記バンパーアブソーバーのバンパーレインフォースに対する支持剛性が、車幅方向端部よりも車幅方向中央部が高くなるように設定したことを特徴とする車両用バンパー。
【請求項2】
前記バンパーアブソーバーは、前記上面および下面が複数の取付部材を介してバンパーレインフォースに支持されており、
車幅方向に隣接する取付部材同士の間隔が、車幅方向端部よりも車幅方向中央部が小さくなるように設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパー。
【請求項3】
前記バンパーアブソーバーは、前記上面および下面が複数の取付部材を介してバンパーレインフォースに支持されており、
車幅方向中央部に配置された取付部材の車幅方向の幅寸法を、車幅方向端部に配置された取付部材の車幅方向の幅寸法よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパー。
【請求項4】
前記バンパーアブソーバーは、前記上面および下面が複数の取付部材を介してバンパーレインフォースに支持されており、
車幅方向中央部に配置された取付部材の厚さを、車幅方向端部に配置された取付部材の厚さよりも大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−81837(P2012−81837A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228568(P2010−228568)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
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