説明

車両用バンパ構造

【課題】車両衝突時にロアアブソーバの車両幅方向外側の端部付近に衝突体が衝突しても、衝突体がロアアブソーバの車両幅方向外側に回転しながら移動するのを抑えることができる車両用バンパ構造を得る。
【解決手段】フロントバンパカバー24の下壁部34には、フロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位で下壁部34を弱体化させる切欠部36が形成されている。また、フロントバンパカバー24には切欠部36に連続してノッチ38が形成されている。これらにより、フロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部付近に衝突体40が衝突した場合には、切欠部36が破断の起点となってフロントバンパカバー24の下端部側に破断が発生し、フロントバンパカバー24は衝突荷重を受けた方向に凹むように曲げ変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロアアブソーバを備えた車両用バンパ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用バンパ構造においては、フロントバンパカバーの内側下部にロアアブソーバが配置されている場合がある(例えば、特許文献1参照)。このような構造では、車両が歩行者に衝突した場合、ロアアブソーバがフロントバンパカバーの内面に接触して衝突荷重を受け止めることで、歩行者保護を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両衝突時にロアアブソーバの車両幅方向外側の端部付近に衝突体が衝突すると、衝突体がロアアブソーバの車両幅方向外側に回転しながら移動する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、車両衝突時にロアアブソーバの車両幅方向外側の端部付近に衝突体が衝突しても、衝突体がロアアブソーバの車両幅方向外側に回転しながら移動するのを抑えることができる車両用バンパ構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の車両用バンパ構造は、車両の車両前後方向外側の端部に配置されると共に車両幅方向に沿って延在されたバンパ骨格部材と、前記バンパ骨格部材の車両下方側に間隔を開けて設けられて車両幅方向に沿って延在されると共に、車両前後方向内側の端部が車体側構成部材に固定されかつ衝突体の衝突時に荷重を受け止めるロアアブソーバと、前記バンパ骨格部材及び前記ロアアブソーバに対してさらに車両前後方向外側に配置されて車両幅方向に沿って延在されると共に、下端部に車両内側に曲げられた下壁部が形成されたバンパカバーと、前記バンパカバーの前記下壁部に形成され、前記ロアアブソーバの車両幅方向外側の端部に隣接する部位で前記下壁部を弱体化させて衝突体の衝突時に前記バンパカバーの下端部側に破断を発生させる破断発生手段と、を有する。
【0007】
請求項1に記載する本発明の車両用バンパ構造によれば、バンパカバーの下端部には車両内側に曲げられた下壁部が形成されているので、所定の剛性が確保され、通常の車両走行時にはバンパカバーの変形が抑えられる。このバンパカバーは、バンパ骨格部材及びロアアブソーバに対して車両前後方向外側に配置されて車両幅方向に沿って延在されるので、車両衝突時の衝突荷重はまずバンパカバーに作用する。そしてバンパカバーの下部に作用する衝突荷重はロアアブソーバによって受け止められる。
【0008】
ここで、バンパカバーの下壁部には、ロアアブソーバの車両幅方向外側の端部に隣接する部位で当該下壁部を弱体化させる破断発生手段が形成されているので、ロアアブソーバの車両幅方向外側の端部付近に衝突体が衝突した場合には、破断発生手段によりバンパカバーの下端部側に破断が発生する。このようにバンパカバーの下端部側に破断が発生することで、バンパカバーは衝突荷重を受けた方向に凹むように曲げ変形する。このため、衝突体が車両幅方向外側へ回転しながらの移動しようとしても、バンパカバーにおいて曲げ変形位置よりも車両幅方向外側の部位によって、衝突体が車両幅方向外側から押し返されるので、衝突体の回転が抑えられる。
【0009】
請求項2に記載する本発明の車両用バンパ構造は、請求項1記載の構成において、前記破断発生手段は、前記下壁部における車両前後方向内側の端部側から切り欠かれて衝突体の衝突時に前記バンパカバーの破断の起点となる切欠部を含んで構成されている。
【0010】
請求項2に記載する本発明の車両用バンパ構造によれば、破断発生手段を構成する切欠部は、下壁部における車両前後方向内側の端部側から切り欠かれて衝突体の衝突時にバンパカバーの破断の起点となるので、ロアアブソーバの車両幅方向外側の端部付近に衝突体が衝突した場合には、切欠部を起点として、より安定的にバンパカバーの下端部側に破断が発生する。このため、バンパカバーは衝突荷重を受けた方向に凹むように安定的に曲げ変形する。
【0011】
請求項3に記載する本発明の車両用バンパ構造は、請求項2記載の構成において、前記バンパカバーには、前記切欠部に連続して設けられて衝突体の衝突時に前記バンパカバーの破断の進行方向を誘導する脆弱部が形成されている。
【0012】
請求項3に記載する本発明の車両用バンパ構造によれば、バンパカバーには切欠部に連続して脆弱部が形成されており、衝突体の衝突時にはバンパカバーの破断の進行方向が脆弱部によって誘導される。このため、ロアアブソーバの車両幅方向外側の端部付近に衝突体が衝突した場合には、バンパカバーが安定した曲げ変形モードで変形する。これにより、衝突体の車両幅方向外側への回転しながらの移動がより安定的に抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両用バンパ構造によれば、車両衝突時にロアアブソーバの車両幅方向外側の端部付近に衝突体が衝突しても、衝突体がロアアブソーバの車両幅方向外側に回転しながら移動するのを抑えることができるという優れた効果を有する。
【0014】
請求項2に記載の車両用バンパ構造によれば、車両衝突時にロアアブソーバの車両幅方向外側の端部付近に衝突体が衝突した場合、バンパカバーの下端部側をより安定的に破断させることで、バンパカバーを安定的に曲げ変形させることができるという優れた効果を有する。
【0015】
請求項3に記載の車両用バンパ構造によれば、車両衝突時にロアアブソーバの車両幅方向外側の端部付近に衝突体が衝突した場合、破断の進行方向を脆弱部によって誘導することで、バンパカバーをより安定した曲げ変形モードで変形させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用バンパ構造の左半分を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用バンパ構造の一部を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両用バンパ構造を示す縦断面図(図1の3−3線に沿って切断した状態の拡大断面図)である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両用バンパ構造の作用状態を示す模式的な平断面図である。図4(A)はフロントバンパカバーが変形する前の状態を示す。図4(B)は衝突によってフロントバンパカバーが変形した状態を示す。
【図5】フロントバンパカバーの変形例を示す斜視図である。図5(A)は第1の変形例、図5(B)は第2の変形例、図5(C)は第3の変形例、図5(D)は第4の変形例をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態の構成)
本発明の一実施形態に係る車両用バンパ構造について図1〜図4を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0018】
図1には、本発明の一実施形態に係る車両用バンパ構造の左半分が正面図にて示されており、図2には、車両用バンパ構造の一部が斜視図にて示され、図3には、車両用バンパ構造が縦断面図(図1の3−3線に沿って切断した状態の拡大断面図)にて示されている。
【0019】
これらの図に示されるように、車両前部10の前面部側にはフロントバンパ16が配置されている。図3に示されるように、フロントバンパ16は、バンパ骨格部材としてのフロントバンパリインフォース18、フロントバンパアッパアブソーバ20、フロントバンパロアアブソーバ22、及びフロントバンパカバー24を含んで構成されている。
【0020】
フロントバンパリインフォース18は、車両前部10の前端部(車両前後方向外側の端部)に配置されると共に、車両幅方向に沿って延在されている。このフロントバンパリインフォース18は、金属製(例えば、鋼製、アルミニウム合金製等)とされ、長尺状で断面形状が車両後方側に開口したハット形状に形成された高剛性部材として構成されている。なお、フロントバンパリインフォース18の構成は種々あり、二枚の板材を使って閉断面構造に形成されたもの等であってもよい。
【0021】
フロントバンパリインフォース18の長手方向の両端部寄りの部位には、左右一対のフロントサイドメンバ12の前端部が接合されている。なお、フロントバンパリインフォース18とフロントサイドメンバ12との間にクラッシュボックス等のエネルギー吸収部材が介在されてもよい。
【0022】
フロントバンパアッパアブソーバ20は、フロントバンパリインフォース18に対して車両前方側(車両前後方向外側)に配置されてフロントバンパリインフォース18の前面に固定されると共に、車両幅方向に沿って延在されている(図1参照)。このフロントバンパアッパアブソーバ20は、ウレタンフォーム等の発泡性材料によって所定の硬度に構成されており、衝突体(歩行者の脚部を模擬した脚部インパクタ)40との衝突時に車両前後方向に圧縮変形して所定のエネルギー吸収を行うようになっている。
【0023】
一方、フロントバンパロアアブソーバ22は、フロントバンパリインフォース18及びフロントバンパアッパアブソーバ20の車両下方側に間隔を開けて設けられて車両幅方向に沿って延在されている(図1参照)。このフロントバンパロアアブソーバ22は、一例として樹脂製とされており、車両側断面視で車両前後方向に長い偏平形状を成している。具体的には、フロントバンパロアアブソーバ22は、平板状に形成されて略水平(路面に対して平行)に配置された上板22Aと、この上板22Aの周囲部から車両下方側に延出された枠状の枠板22Bと、を備えている。さらに、枠板22Bの内側には、所要の強度(反力)を確保するために、車両前後方向に延びる複数のリブ22C(図4(A)参照)が形成されている。
【0024】
図4(A)に示されるように、フロントバンパロアアブソーバ22の前端面は、車両平面視で車両前方側に凸とされた緩やか湾曲形状とされ、フロントバンパロアアブソーバ22の後端面が車両平面視で車両幅方向に沿って延在されている。フロントバンパロアアブソーバ22の後端部(車両前後方向内側の端部)は、車体側構成部材の一部としてのラジエータサポートロアクロス14Aに固定されている。これにより、フロントバンパロアアブソーバ22は、衝突体40の衝突時(車両前面衝突時)に荷重を受け止めると共に、変形することで衝撃を吸収するようになっている。また、フロントバンパロアアブソーバ22は、衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24を介して衝突体40の下部に当たることで、衝突体40を車両前部10のフード11(図1参照)の上に載せるのに寄与する構成とされている。
【0025】
一方、図3に示されるように、フロントバンパカバー24は、フロントバンパリインフォース18、フロントバンパアッパアブソーバ20及びフロントバンパロアアブソーバ22に対して、車両前方側(車両前後方向外側)、すなわち、車両前部10の最前端に配置されており、車両幅方向に沿って帯状に延在されている(図1参照)。このフロントバンパカバー24は、樹脂製とされて意匠面を構成しており、長手方向(車両幅方向)の両端部が車両後方側へ緩やかに曲げられた三次元形状を成している(図2参照)。
【0026】
フロントバンパカバー24には、フロントバンパリインフォース18及びフロントバンパアッパアブソーバ20の車両前方側で車両前方側に膨出した第一膨出部26Aが形成されると共に、フロントバンパロアアブソーバ22の車両前方側で車両前方側に膨出した第二膨出部26Bが形成されている。また、フロントバンパカバー24の上部には、第一膨出部26Aの上方側に第一空気導入口28Aが形成されている。この第一空気導入口28Aには、格子状に形成されたアッパグリル25Aが装着される。これに対して、フロントバンパカバー24の下部には、第一膨出部26Aと第二膨出部26Bとの間に第二空気導入口28Bが形成されている。この第二空気導入口28Bには、格子状に形成されたアッパグリル25Bが装着される。
【0027】
また、フロントバンパカバー24の上端部には、車両後下方側に屈曲されたうえで略車両後方側に屈曲された締結用のフランジ部30が形成されている。このフランジ部30は、フロントバンパリテーナ32を介してラジエータサポート14の上端側に固定されたブラケット33A、33Bに取り付けられている。これにより、フロントバンパカバー24は、車体側構成部材であるラジエータサポート14に支持されるようになっている。なお、フロントバンパリテーナ32は、板金が屈曲されることで形成された長尺状部材であり、車幅方向を長手方向として配置されている。
【0028】
一方、フロントバンパカバー24の下端部には、第二膨出部26Bの一部を構成して車両内側(車両幅方向中間部では車両後方側、車両幅方向両端部では車両幅方向内側)に曲げられた下壁部34が形成されている。フロントバンパカバー24は、下壁部34が形成されることで、所要の剛性が確保されるようになっている。また、この下壁部34の上面には、フロントバンパロアアブソーバ22の前端部が固定されている。
【0029】
また、図2及び図3に示されるように、下壁部34にはフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位で下壁部34を弱体化させる破断発生手段としての切欠部36が形成されている。この切欠部36は、下壁部34における後端側(車両前後方向内側の端部側)から下壁部34における車両前後方向中間部まで車両平面視でV字状に切り欠かれたものであり、衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の破断の起点となってフロントバンパカバー24の下端部側に破断を発生させるようになっている。
【0030】
切欠部36の車両幅方向における形成位置は、フロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向最外側位置を基準位置として、前記基準位置を中心とした所定幅(衝突体40の幅方向の寸法)の範囲内に設定することが可能である。
【0031】
また、フロントバンパカバー24には、切欠部36に前端側で連続する脆弱部としてのノッチ38(広義には「破断促進部」として把握される要素である。)が形成されている。図3に示されるように、ノッチ38は、下壁部34の車両前後方向中間部から第二膨出部26Bの縦壁下部側までの範囲に形成され、下壁部34の前端部に形成された第一ノッチ部38Aと、第一ノッチ部38Aに連続して第二膨出部26Bの縦壁下部に形成された第二ノッチ部38Bと、で構成されている。ノッチ38(第一ノッチ部38A及び第二ノッチ部38B)は、フロントバンパカバー24の裏側(下壁部34の上面側及び縦壁部背面側)がV字状に薄肉化されることで形成されている。これにより、ノッチ38は、衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の破断の進行方向をノッチ38の形成ラインに沿う方向に誘導するようになっている。
【0032】
なお、本実施形態では、ノッチ38のうち第一ノッチ部38Aは、前述した切欠部36と共に、下壁部34においてフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位で下壁部34を弱体化させて衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の下端部側に破断を発生させる破断発生手段をも構成している。
【0033】
また、ノッチ38の形成範囲について付言すると、ノッチ38の形成範囲は、切欠部36に前端側で連続する下壁部34の前端部のみ(第二膨出部26Bの下端部で曲げラウンドを含まない平坦部分のみ)であってもよいし、切欠部36に前端側で連続する下壁部34の前端部から第二空気導入口28Bの開口下端縁部までの範囲であってもよい。ノッチ38の延びる方向は、車両平面視では車両前後方向、車両正面視では車両上下方向であるのが好ましい。
【0034】
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0035】
図2に示されるように、フロントバンパカバー24の下端部には車両内側に曲げられた下壁部34が形成されているので、所定の剛性が確保され、通常の車両走行時にはフロントバンパカバー24の変形が抑えられる。図3に示されるように、フロントバンパカバー24は、フロントバンパリインフォース18及びフロントバンパロアアブソーバ22に対して車両前方側に配置されて車両幅方向に沿って延在されるので、図4(A)に示されるように、車両前面衝突時の衝突荷重Fはまずフロントバンパカバー24に作用する。そしてフロントバンパカバー24の下部に作用する衝突荷重Fは、フロントバンパロアアブソーバ22によって受け止められる。
【0036】
ここで、図2に示されるように、フロントバンパカバー24の下壁部34には、フロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位で下壁部34を弱体化させる切欠部36が形成されているので、フロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部付近に衝突体40が衝突した場合には、切欠部36がフロントバンパカバー24の破断の起点となってフロントバンパカバー24の下端部側に破断が発生する。また、フロントバンパカバー24には切欠部36に連続してノッチ38が形成されており、衝突体40の衝突時にはフロントバンパカバー24の破断の進行方向がノッチ38によってその形成ラインに沿う方向に誘導される。
【0037】
このようにフロントバンパカバー24の下端部側に破断が発生することで、図4(B)に示されるように、フロントバンパカバー24は衝突荷重Fを受けた方向に凹むように(押し込まれるように)曲げ変形する。このため、衝突体40が車両幅方向外側への回転しながらの移動しようとしても、フロントバンパカバー24において曲げ変形位置よりも車両幅方向外側の部位24Xによって、衝突体40が車両幅方向外側から押し返されるので、衝突体40の回転が抑えられる。換言すれば、フロントバンパカバー24は、衝突体40を車両幅方向外側へ移動させてしまうような変形が抑制され、衝突体40を言わば包み込むように変形するので、衝突体40の車両幅方向外側への移動が抑えられる。
【0038】
また、フロントバンパカバー24の破断の進行方向がノッチ38によって誘導されることで、フロントバンパカバー24の曲げ変形モードがコントロールされるので、フロントバンパカバー24が安定した曲げ変形モードで変形する。従って、衝突体40の車両幅方向外側への回転しながらの移動がより安定的に抑えられる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用バンパ構造によれば、車両前面衝突時にフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部付近に衝突体40が衝突しても、衝突体40がフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側に回転しながら移動するのを抑えることができる。
【0040】
(実施形態の変形例)
なお、図2等に示されるフロントバンパカバー24においてフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位を含む下端部側の構成は、上記実施形態の構成に代えて、図5(A)〜図5(D)に示される構成としてもよい。図5(A)〜図5(D)は、図2と同じ方向から見た斜視図である。これらの図に示される構成で上記実施形態と同様の構成部については同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
図5(A)に示される構成では、フロントバンパカバー24の下壁部34にはフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位で下壁部34を弱体化させて衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の下端部側に破断を発生させる破断発生手段としてのノッチ42(「破断促進部」としても把握される要素である。)が形成されている。ノッチ42は、フロントバンパカバー24の裏側(下壁部34の上面側)がV字状に薄肉化されることで形成されている。
【0042】
図5(B)に示される構成では、フロントバンパカバー24の下壁部34にはフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位で下壁部34を弱体化させる破断発生手段としての切欠部44が形成されている。切欠部44は、下壁部34における後端側(車両前後方向内側の端部側)から下壁部34における最前端まで車両平面視でV字状に切り欠かれたものであり、衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の破断の起点となってフロントバンパカバー24の下端部側に破断を発生させるようになっている。
【0043】
図5(C)に示される構成では、上記実施形態と同様の切欠部36が形成されると共に、ノッチ38(図2参照)に代えて、脆弱部としてのノッチ46が形成されている。ノッチ46は、切欠部36に前端側で連続して車両平面視で曲線状とされると共に、フロントバンパカバー24の裏側(下壁部34の上面側)がV字状に薄肉化されることで形成されており、衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の破断の進行方向をノッチ46の形成ラインに沿う方向に誘導するようになっている。ノッチ46は、前述した切欠部36と共に、下壁部34においてフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位で下壁部34を弱体化させて衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の下端部側に破断を発生させる破断発生手段をも構成している。
【0044】
なお、他の変形例として、破断発生手段かつ脆弱部としてのノッチの延びる方向は、車両平面視で車両前後方向に対して斜めに傾斜した方向(例えば、フロントバンパカバー24の車両平面視における表面のラウンド曲線に対する接線に直交する方向)でもよい。
【0045】
図5(D)に示される構成では、フロントバンパカバー24の下壁部34にはフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位で下壁部34を弱体化させて衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の下端部側に破断を発生させる破断発生手段としての貫通孔48が貫通形成されている。この貫通孔48は、車両平面視で円形状の円孔部の後端側が切り欠かれて車両後方側に凹んだ切欠部分とされている。貫通孔48の前記切欠部分は衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の破断の起点となる。
【0046】
また、貫通孔48に前端側で連続する脆弱部としてのノッチ50がフロントバンパカバー24には形成されている。ノッチ50は、下壁部34の車両前後方向中間部から第二空気導入口28Bの開口下端縁部までの範囲に形成され、下壁部34の前端部に形成された第一ノッチ部50Aと、第一ノッチ部50Aに連続して第二膨出部26Bの縦壁部側に形成された第二ノッチ部50Bと、で構成されている。ノッチ50(第一ノッチ部50A及び第二ノッチ部50B)は、フロントバンパカバー24の裏側(下壁部34の上面側及び縦壁部背面側)がV字状に薄肉化されることで形成されており、衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の破断の進行方向をノッチ50の形成ラインに沿う方向に誘導するようになっている。また、ノッチ50のうち第一ノッチ部50Aは、前述した貫通孔48と共に、下壁部34においてフロントバンパロアアブソーバ22の車両幅方向外側の端部に隣接する部位で下壁部34を弱体化させて衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の下端部側に破断を発生させる破断発生手段をも構成している。
【0047】
なお、図5(D)の貫通孔48に代えて、車両前後方向に長い楕円形状の貫通孔等のような他の貫通孔が形成されてもよい。
【0048】
(実施形態の補足説明)
また、上記実施形態等では、ノッチ38、42、46、50は、フロントバンパカバー24の裏側がV字状に薄肉化されることで形成されているが、ノッチ38、42、46、50は、フロントバンパカバー24の表側がV字状に薄肉化されることで形成されてもよいし、フロントバンパカバー24の表側及び裏側がそれぞれ接近するようにV字状に薄肉化されることで形成されてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、図1及び図5等に示されるように、車両用バンパ構造がフロントバンパ16に適用されているが、車両用バンパ構造は、リヤバンパに適用されてもよい。リヤバンパに適用される場合、バンパ骨格部材は、車両の後端部(車両前後方向外側の端部)に配置されると共に車両幅方向に沿って延在されたリヤバンパリインフォースとされ、ロアアブソーバは、前端部(車両前後方向内側の端部)が車体側構成部材に固定されるリヤバンパロアアブソーバとされ、バンパカバーは、リヤバンパリインフォース及びリヤバンパロアアブソーバに対してさらに車両後方側(車両前後方向外側)に配置されて車両幅方向に沿って延在されるリヤバンパカバーとされる。
【0050】
また、上記実施形態では、衝突体40の衝突時にフロントバンパカバー24の破断の進行方向を誘導する脆弱部がノッチ38、46、50とされているが、脆弱部は、例えば、フロントバンパカバー24の破断の進行方向を誘導する仮想ラインに沿って薄肉部と貫通部とが交互に形成された脆弱部等のような他の脆弱部であってもよい。
【0051】
また、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【符号の説明】
【0052】
14A ラジエータサポートロアクロス(車体側構成部材)
18 フロントバンパリインフォース(バンパ骨格部材)
22 フロントバンパロアアブソーバ
24 フロントバンパカバー
34 下壁部
36 切欠部(破断発生手段)
38 ノッチ(脆弱部)
38A 第一ノッチ部(破断発生手段)
40 衝突体
42 ノッチ(破断発生手段)
44 切欠部(破断発生手段)
46 ノッチ(破断発生手段、脆弱部)
48 貫通孔(破断発生手段)
50 ノッチ(脆弱部)
50A 第一ノッチ部(破断発生手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車両前後方向外側の端部に配置されると共に車両幅方向に沿って延在されたバンパ骨格部材と、
前記バンパ骨格部材の車両下方側に間隔を開けて設けられて車両幅方向に沿って延在されると共に、車両前後方向内側の端部が車体側構成部材に固定されかつ衝突体の衝突時に荷重を受け止めるロアアブソーバと、
前記バンパ骨格部材及び前記ロアアブソーバに対してさらに車両前後方向外側に配置されて車両幅方向に沿って延在されると共に、下端部に車両内側に曲げられた下壁部が形成されたバンパカバーと、
前記バンパカバーの前記下壁部に形成され、前記ロアアブソーバの車両幅方向外側の端部に隣接する部位で前記下壁部を弱体化させて衝突体の衝突時に前記バンパカバーの下端部側に破断を発生させる破断発生手段と、
を有する車両用バンパ構造。
【請求項2】
前記破断発生手段は、前記下壁部における車両前後方向内側の端部側から切り欠かれて衝突体の衝突時に前記バンパカバーの破断の起点となる切欠部を含んで構成されている、請求項1記載の車両用バンパ構造。
【請求項3】
前記バンパカバーには、前記切欠部に連続して設けられて衝突体の衝突時に前記バンパカバーの破断の進行方向を誘導する脆弱部が形成されている、請求項2記載の車両用バンパ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−254696(P2012−254696A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128357(P2011−128357)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)