説明

車両用バンパ

【課題】側面部材への取付箇所近傍において、高い排水性能を確保しながら剛性の向上を図ることが可能な車両用バンパを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる車両用バンパ100の構成は、車幅方向に延びる中央部110と、中央部の両端から側面部材(フロントフェンダパネル104)に向かって延びる2つの側方部120aおよび120bと、側方部の上縁から車体内方に張り出す上部フランジ130と、側方部の端部近傍で上部フランジに連続していてそれよりも更に車体内方に張り出す取付フランジ132と、取付フランジ近傍の上部フランジの上面を側方部の上縁124に沿うように下方に窪ませた長溝部140と、長溝部を車幅方向に仕切って複数の窪み140aおよび140bに分割する1つ以上のリブ142と、複数の窪み内に各々形成された複数の水抜孔144aおよび144bとを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前面または後面を構成する車両用バンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体の前面および後面を構成するバンパ(前面であればフロントバンパ、後面であればリヤバンパ)は、車体の側面を構成する部材(以下、側面部材と称する)に取り付けられる。例えば、フロントバンパであれば、車体前部の側面を構成するフロントフェンダパネルに取り付けられ、リヤバンパであれば、車体後部の側面を構成するサイドボディパネルに取り付けられる。
【0003】
一般に、バンパの側縁のうち車輪近傍の部分は、車輪の形状に対応するように湾曲していて、側面部材にも設けられた湾曲した縁とともにホイールアーチを形成する。このようにバンパは車輪の近傍に配置される部材であるため、雨天時の走行中に巻き上げられた泥水がバンパ内部に浸入することがある。また走行風により、バンパの上方に配置されるランプや、バンパと接続される側面部材との隙間を通過した雨水がバンパ内部に浸入することもある。バンパ内部に浸入した泥水や雨水(以下、単に水と称する)が、バンパ内部、特にバンパと側面部材との接続部分に滞留すると錆の発生原因となってしまい、バンパの表面に流れ落ちるとそこを汚染してしまう。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、バンパフェイシア(バンパ)およびフェンダパネル(側面部材)の各々のフランジ部を上下で締め付けるバンパサイドの取付部構造において、バンパフェイシアのフランジ部に切欠部を形成し、フェンダパネルおよびバンパフェイシアの間に配置されるシールラバーの外側縁をそれらの外面よりも車両内側に設定して溝を形成している。特許文献1によれば、溝に流れ込んだ水が切欠部から下方に排出されるため、その水がバンパフェイシアの外面に垂れることを防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−5609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように、バンパは、側面部材への取付に用いられるフランジを備える構成が一般的である。このようにバンパの内側の壁面から車室内方に立設するフランジを設けると、バンパの外側の壁面にはヒケが生じることがある。このため、特許文献1では詳述されていないが、上記のようにフランジを設ける場合には、かかるフランジの根元部の肉抜きが行われる。これにより、ヒケの発生が抑制され、バンパの外観意匠を良好に維持することができる。
【0007】
しかし、肉抜きをするとその近傍の剛性は当然にして低下するため、バンパが側面部材(車体)に固定された際に、そのフランジがバンパの荷重により変形してしまうおそれがある。したがって、肉抜きされた箇所近傍に、剛性を補うための構造、例えばリブを設ける必要が生じる。しかしながら、リブを設けると、それが水の排出経路を塞いでしまい排水性能が低下するおそれがある。すると、排水性能を確保するために新たに排水孔が必要になり、この排水孔を形成するとまたも剛性の低下を招いてしまう。このように、従来のバンパでは、排水性能と剛性の両立を図ることが困難であった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、側面部材への取付箇所近傍において、高い排水性能を確保しながら剛性の向上を図ることが可能な車両用バンパを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用バンパの代表的な構成は、車幅方向に延び車体の前面または後面に取り付けられる中央部と、中央部の両端各々から、車体の側面を構成する側面部材に向かって延びる2つの側方部と、側方部の上縁から車体内方に向かって張り出す上部フランジと、側方部の端部近傍で上部フランジに連続していて上部フランジよりも更に車体内方に向かって張り出し側面部材に取り付けられる取付フランジと、取付フランジ近傍の上部フランジの上面を側方部の上縁に沿うように下方に窪ませた長溝部と、長溝部を車幅方向に仕切って複数の窪みに分割する1つ以上のリブと、複数の窪み内に各々形成された複数の水抜孔とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、車両用バンパ(以下、単にバンパと称する)の側方部に形成された上部フランジと、バンパにおいて側面部材への取付箇所となる取付フランジとが連続している。このため、取付フランジは上部フランジにより支持され、取付フランジにかかる荷重を上部フランジに分散することができる。したがって、取付フランジの剛性を高めることが可能となる。かかる取付フランジの根元部分の上部フランジには長溝部が設けられている、すなわち長溝部によって肉抜きされているため、バンパ外面におけるヒケの発生が抑制される。そして、この長溝部内に形成されているリブにより、長溝部によって低下しがちな剛性が補われる。また長溝部には、リブによって複数に分割された窪み(領域)各々に水抜孔が形成されている。したがって、リブを設けたとしても排水経路を好適に確保することができ、長溝部内の水抜孔を通じて水をバンパ外に排出することが可能となる。故に、側面部材への取付箇所近傍において、高い排水性能を確保しながら剛性の向上を図ることができる。
【0011】
上記の取付フランジは、当該車両用バンパを側面部材に取り付ける際に用いられるスクリューを挿入可能なスクリュー穴を有し、リブの少なくとも1つは、車体側面視においてスクリュー穴と重なる位置に配置されているとよい。
【0012】
かかる構成によれば、リブとスクリュー穴とが車幅方向において隣接する。したがって、リブによって、長溝部(水抜孔)近傍のみならずスクリュー穴近傍の剛性をも向上させることができる。
【0013】
上記の取付フランジは、車体内方に向かうにしたがって厚みが薄くなる先細り形状であるとよい。これにより、バンパホルダを用いてバンパを側面部材に取り付ける場合において、バンパの取付フランジにバンパホルダを容易に組付けることが可能となる。
【0014】
上記の取付フランジおよび取付フランジ近傍の上部フランジは、車長方向の中央側に向かうにしたがって下方に傾斜していて、複数の水抜孔は、複数の窪み内において車長方向の中央側に形成されているとよい。
【0015】
取付フランジおよびその近傍の上部フランジが車長方向の中央側に向かうにしたがって下方に傾斜しているということは、すなわちバンパの見切りが下方に傾斜しているということである。このような場合、上記のように複数の水抜孔を、複数の長溝部内の車長方向の中央側に形成すれば、それらの水抜孔は、それぞれの長溝部内においても最も低い位置に設けられることになる。これにより、長溝部に至った水が水抜孔に到達しやすくなるため、排水効率を高めることができる。
【0016】
当該車両用バンパは、ホイールアーチを形成する側方部の端部から車体内方に向かって張り出す側部フランジを更に有し、取付フランジは、その車長方向の中央側の縁から下方に向かって張り出し側部フランジに連続する下降フランジを有するとよい。
【0017】
かかる構成により、取付フランジにかかる荷重を、下降フランジを介して側部フランジに分散することができるため、取付フランジの剛性の更なる向上が図られる。特に、下降フランジがバンパの側縁に形成された側部フランジに連続するということは、換言すれば、長溝部がリブによって分割された複数の窪みのうち、バンパの側縁側の窪みの近傍に下降フランジが配置されているということである。したがって、バンパの側縁に近い、すなわち車輪に近く泥水が浸入し易い側の窪みおよびその水抜孔近傍の強度を向上可能であるため、かかる水抜孔を拡大することができ、泥水の排出促進が図れる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、側面部材への取付箇所近傍において、高い排水性能を確保しながら剛性の向上を図ることが可能な車両用バンパを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態にかかる車両用バンパを備える車体の側方図である。
【図2】図1のバンパの前方斜視図である。
【図3】図2の破線内のD方向からの斜視図である。
【図4】図3の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
図1は、本実施形態にかかる車両用バンパを備える車体102の側方図である。図1に示すように、本実施形態の車両用バンパ(以下、バンパ100と称する)は、車体102の前部においてその前面を構成するフロントバンパである。なお、本実施形態においてはバンパ100としてフロントバンパを例示するが、これに限定するものではなく、バンパ100の形態を、車体102の後部においてその後面を構成するリヤバンパに適用してもよい。
【0022】
図1に示す車体102の前部において、バンパ100は、車体102の側面を構成する側面部材であるフロントフェンダパネル104に取り付けられる。またバンパ100の上方且つフロントフェンダパネル104の前端にはヘッドランプ106が配置されている。
【0023】
なお、図1では、車体前方視において車体102の右側となる面を例示し、その面について説明するが、左側となる面においては左右対称に同一の構成である。また本実施形態では側面部材としてフロントフェンダパネル104を例示したが、必ずしもこれに限定されず、側面部材は車体のレイアウトに応じて適宜変更可能である。例えば、バンパ100の形態をリヤバンパに適用した場合には、サイドボディパネル(不図示)を側面部材としてよい。
【0024】
バンパ100において、後述する側方部120a(図2参照)の端部の縁(以下、端縁122と称する)は、車輪108(破線で図示)の形状に対応するように湾曲している。一方、フロントフェンダパネル104の下縁104aも車輪108の形状に対応するように湾曲している。これらの端縁122および下縁104aによってホイールアーチが形成される。
【0025】
上記のようにバンパ100は車輪108の近傍に配置される部材である。このため、バンパ100とヘッドランプ106との接合部102aやバンパ100の内部に、雨天時等の走行中に車輪108によって巻き上げられた泥水がA方向から侵入することがある。また走行風によりヘッドランプ106やフロントフェンダパネル104との隙間を通過した雨水が、B方向から接合部102aやバンパ100の内部に侵入することもある。それらの泥水や雨水(水)が、接合部102aに滞留すると錆の発生原因となり、またC方向に流れ落ちるとバンパ100の表面を汚染してしまう。したがって、接合部102a近傍、すなわちバンパ100の側方部120aの端部近傍(図2の破線内)では高い排水性能が求められる。
【0026】
図2は、図1のバンパ100の前方斜視図である。図2に示すように、バンパ100は、中央部110(一点鎖線にて囲った領域)と、2つの側方部120aおよび120bとを備える。中央部110は、車幅方向に延び車体102の前面(バンパ100がリヤバンパである場合においては後面)に取り付けられる部位である。側方部120aおよび120bは、中央部110の両端各々から、フロントフェンダパネル104(側面部材)に向かって延びる部位である。
【0027】
図3は、図2の破線内のD方向からの斜視図である。図4は、図3の断面図であり、図4(a)は図3のE−E断面図であり、図4(b)は図3のF−F断面図である。なお、理解を容易にするために、図4(a)では、バンパホルダ190およびスクリュー192を側方部120a(厳密には取付フランジ132)に取り付け、バンパ100をフロントフェンダパネル104に取り付けた状態を図示している。
【0028】
図3に示すように、側方部120aの上縁124には、そこから車体内方に向かって張り出す上部フランジ130が形成されている。また側方部120aの端縁122には、そこから車体内方に向かって張り出す側部フランジ134が形成されている。これらにより、側方部120aの剛性を向上させることができる。
【0029】
上記の上部フランジ130には、側方部120aの端部近傍において、かかる上部フランジ130よりも更に車体内方に向かって張り出した取付フランジ132が連続している。取付フランジ132は、バンパ100の端部(側方部120aの端部)をフロントフェンダパネル104に取り付ける際に用いられる取付箇所である。このように取付フランジ132を上部フランジ130に連続させることにより、取付フランジ132にかかるバンパ100全体の荷重を上部フランジ130に分散することができ、取付フランジ132の剛性を高めることが可能となる。
【0030】
また図3および図4(a)に示すように、取付フランジ132は、その上面を上方に向かって突出させた取付用座面132aを有し、この取付用座面132aの略中央に、バンパ100をフロントフェンダパネル104(側面部材)に取り付ける際に用いられるスクリュー192を挿入可能なスクリュー穴132bが形成されている。これにより、取付フランジ132の取付用座面132aをフロントフェンダパネル104に当接させた後、そこにバンパホルダ190を嵌めこみ、スクリュー穴132bにスクリュー192を挿入することにより、バンパ100がフロントフェンダパネル104に取り付けられる。
【0031】
更に本実施形態では、図4(a)に示すように、取付フランジ132を、車体内方に向かうにしたがって厚みが薄くなる先細り形状、いわゆる楔形状としている。これにより、上述したようにフロントフェンダパネル104へのバンパの取付時にバンパホルダ190を用いる場合に、取付フランジ132へのバンパホルダ190の嵌めこみが容易となる。
【0032】
ここで、上記のように車体内方に向かう上部フランジ130を上縁124の内側に形成すると、側方部120aの外面にヒケが生じてしまい、外観意匠を損なうことがある。そこで、図3に示すように、本実施形態では取付フランジ132近傍の上部フランジ130の上面を側方部120aの上縁124に沿うように下方に窪ませることにより長溝部140を形成し、肉抜きを行っている。この肉抜きにより、バンパ100の外面におけるヒケの発生が抑制される。
【0033】
しかしながら、肉抜きを行うとその近傍の剛性が低下する傾向がある。そこで、本実施形態では、長溝部140の内部に、その車体外方側の面と内方側の面に掛け渡されるように立設するリブ142を形成している。これにより、肉抜きによる剛性の低下を抑制することができ、長溝部140近傍の上部フランジ130および取付フランジ132の強度を確保することが可能となる。
【0034】
また本実施形態において、図3および図4(a)に示すように、リブ142は、車体側面視においてスクリュー穴132bと重なる位置に配置されている。換言すれば、リブ142とスクリュー穴132bは、車幅方向においてほぼ同一直線上に配置されている。これにより、リブ142とスクリュー穴132bとが車幅方向において隣接するため、リブ142によって、長溝部140近傍のみならずスクリュー穴132b近傍の剛性をも向上させることができる。
【0035】
なお、本実施形態では長溝部140内のリブ142は1つだが、かかる構成は一例であり、リブ142の数は、長溝部140近傍の上部フランジ130および取付フランジ132に求められる強度に応じて適宜変更することが可能である。また、リブ142を複数設ける場合、その少なくとも1つがスクリュー穴132bと車体側面視において重なる位置に配置されていればよい。
【0036】
上記のようにリブ142を設けると、長溝部140は、車幅方向に仕切られて複数の窪み140aおよび140bに分割される。この複数の窪み140aおよび140b内には水抜孔144aおよび144bが各々形成される。これにより、長溝部140内にリブ142を設けたとしても排水経路を阻害することがなく、長溝部140内に入りこんだ水を水抜孔144aおよび144bを通じてバンパ100外に排出することができる。したがって、取付フランジ132近傍、すなわちバンパ100の側方部120aの端部近傍において、剛性の向上を図りつつ高い排水性能を確保することが可能となる。
【0037】
特に本実施形態では、取付フランジ132およびその近傍の上部フランジ130が車長方向の中央側に向かうにしたがって下方に傾斜している。すなわち、バンパ100の端部の見切りが、車長方向の中央側に向かうにしたがって下方に傾斜している。このような場合、複数の水抜孔144aおよび144bは、それぞれの窪み140aおよび140b内において車長方向の中央側に形成されているとよい。
【0038】
詳細には、本実施形態のバンパ100はフロントバンパであるため、バンパ100は車体102の前部に配置される。したがって、バンパ100に対する車長方向の中央側とは車体前後方向の後方側(以下、車体後方側と称する)である。故に取付フランジ132およびその近傍の上部フランジ130は、図3に示すように車体後方側に向かうにしたがって下方に傾斜していて、バンパ100の端部の見切り(接合部102a近傍)が車体後方側に向かうにしたがって下方に傾斜している(図1参照)。
【0039】
そこで、本実施形態のバンパ100における水抜孔144aおよび144bは、図4(b)に示すように窪み140aおよび140b内のそれぞれの車体後方側に形成されている。このため、水抜孔144aおよび144bはそれぞれの窪み140aおよび140b内においても最も低い位置に配置されることとなる。これにより、B方向から窪み140aに浸入した水が水抜孔144aに、A方向から窪み140bに浸入した水が水抜孔144bに到達しやすくなるため、排水効率の向上を図ることができる。
【0040】
上述したように、水抜孔144aはB方向からの水すなわち雨水の排出に主に寄与し、水抜孔144bはA方向からの水すなわち泥水の排出に主に寄与する。これらの雨水および泥水はもちろんいずれもバンパ100外に排出されるべきであるが、特に泥水は砂や泥等が混ざっているため排出をより一層促進する必要がある。このような要請に対し、本実施形態のように水抜孔144aおよび144bが分けて配置されていれば、水抜孔144bのみを拡大することができるため、排出性能の調整が容易に可能である。そして、拡大の必要がない水抜孔144aはそのままの大きさに留めることができ、水抜穴に起因する剛性の低下を必要最小限に留めることができる。
【0041】
ここで、上記のように窪み140aおよび140b内に水抜孔144aおよび144bを設けた場合、特に水抜孔144bを広く設定した場合、その近傍の剛性が若干ながら低下する可能性がある。そのため本実施形態では、取付フランジ132に、その車長方向の中央側(本実施形態においては車体後方側)の縁から下方に向かって張り出す下降フランジ136を設け、この下降フランジ136を側部フランジ134に連続させている。
【0042】
取付フランジ132の車体後方側の縁に形成された下降フランジ136は、長溝部140の複数の窪み140aおよび140bに対しては、バンパ100の端縁122に近い車体後方側の窪み140bの近傍に位置する。このため、下降フランジ136によって、バンパ100の端縁122に近い、すなわち車輪108(図1参照)に近く泥水が浸入し易い側の窪み140bおよびその水抜孔144b近傍の剛性を向上可能である。したがって、水抜孔144bを拡大してもそれに伴って低下しがちな剛性を補うことができる。そして、下降フランジ136を側部フランジ134に連続させることにより、フロントフェンダパネル104に取り付けられることによって取付フランジ132にかかるバンパ100の荷重を、下降フランジ136を介して側部フランジ134に分散し、取付フランジ132の剛性の更なる向上を図ることができる。
【0043】
上記説明したように、本実施形態にかかるバンパ100(車両用バンパ)によれば、その側方部120aの上部フランジと取付フランジ132とが連続しているため、フロントフェンダパネル104(側面部材)への取付箇所の剛性が向上される。また取付フランジ132の根元部分の上部フランジ130を長溝部140によって肉抜きすることでバンパ100の外面におけるヒケの発生を抑制しつつ、長溝部140内に形成したリブ142により、肉抜きに起因する剛性の低下を抑制することができる。長溝部140の窪み140aおよび140bには水抜孔144aおよび144bが各々形成されているため、それらを通じて水をバンパ100外に好適に排出することができる。したがって、側面部材への取付箇所近傍において、高い排水性能を確保しつつ剛性の向上が図られる。
【0044】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、車体の前面または後面を構成する車両用バンパに利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
100…バンパ、102…車体、102a…接合部、104…フロントフェンダパネル、104a…下縁、106…ヘッドランプ、108…車輪、110…中央部、120a…側方部、120b…側方部、122…端縁、124…上縁、130…上部フランジ、132…取付フランジ、132a…取付用座面、132b…スクリュー穴、134…側部フランジ、136…下降フランジ、140…長溝部、140a…窪み、140b…窪み、142…リブ、144a…水抜孔、144b…水抜孔、190…バンパホルダ、192…スクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延び車体の前面または後面に取り付けられる中央部と、
前記中央部の両端各々から、車体の側面を構成する側面部材に向かって延びる2つの側方部と、
前記側方部の上縁から車体内方に向かって張り出す上部フランジと、
前記側方部の端部近傍で前記上部フランジに連続していて該上部フランジよりも更に車体内方に向かって張り出し前記側面部材に取り付けられる取付フランジと、
前記取付フランジ近傍の上部フランジの上面を前記側方部の上縁に沿うように下方に窪ませた長溝部と、
前記長溝部を車幅方向に仕切って複数の窪みに分割する1つ以上のリブと、
前記複数の窪み内に各々形成された複数の水抜孔とを備えることを特徴とする車両用バンパ。
【請求項2】
前記取付フランジは、当該車両用バンパを前記側面部材に取り付ける際に用いられるスクリューを挿入可能なスクリュー穴を有し、
前記リブの少なくとも1つは、車体側面視において前記スクリュー穴と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパ。
【請求項3】
前記取付フランジは、車体内方に向かうにしたがって厚みが薄くなる先細り形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用バンパ。
【請求項4】
前記取付フランジおよび該取付フランジ近傍の上部フランジは、車長方向の中央側に向かうにしたがって下方に傾斜していて、
前記複数の水抜孔は、前記複数の窪み内において車長方向の中央側に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用バンパ。
【請求項5】
当該車両用バンパは、ホイールアーチを形成する前記側方部の端部から車体内方に向かって張り出す側部フランジを更に有し、
前記取付フランジは、その車長方向の中央側の縁から下方に向かって張り出し前記側部フランジに連続する下降フランジを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用バンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−240585(P2012−240585A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114041(P2011−114041)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)