説明

車両用フロアマット

【課題】所望の位置からずれない車両用フロアマットを提供する。
【解決手段】自動車のフロアカーペットに載置して、搭乗者または運転者が足を載せるための車両用フロアマットであって、上層14と、上層14の下に連続して設けられる中間層15と、中間層15の下に連続して設けられる下層16とで構成され、下層16の下面に、樹脂製の鉤状の複数の突起16Aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロアカーペットに載置して、搭乗者または運転者が足を載せるための車両用フロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用フロアマット(車両用フロアマット)は、靴を載せる側である第1層と、自動車内の床に敷かれたフロアカーペットに接する側である第2層とを備える。第1層は合成樹脂などからなる繊維シート、第2層はゴムなどからなる防水機能を有するシートで形成される。そして、第2層の表面には複数の突起を一体に形成する。この突起は、フロアカーペット上に載置したときに、自動車用フロアマットがすべることを防止するためのものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−31468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、フロアカーペットにはニードルパンチカーペットとタフテッドカーペットがあり、これらのカーペットの表層であるパイルには、ループパイル、カットパイルなどが用いられている。特許文献1に記載の自動車用フロアマットをフロアカーペット上に載置すると、マットの自重により突起がパイル部分に入り込む。これにより、自動車用フロアマットが水平方向に動こうとすると、パイルが突起に抵抗を与えてフロアマットの水平方向の移動を規制することが期待されている(突起があることで、自動車用フロアマットに滑り止め効果が発生することが期待されている)。
【0005】
しかし、このような自動車用フロアマットの突起は側面視が四角であるため、フロアカーペットのパイル部分が突起の動きに対して十分に抵抗を付与することができず、結果として、フロアカーペット上で自動車用フロアマットがずれ動いてしまい、所望の位置に自動車用フロアマットを配置できないという問題があった。そこでこの発明の目的は、所望の位置からずれない車両用フロアマットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため請求項1に記載の発明は、車両のフロアカーペットに載置して、搭乗者または運転者が足を載せるための車両用フロアマットであって、
上層と、
該上層の下に連続して設けられる中間層と、
該中間層の下に連続して設けられる下層とで構成される車両用フロアマットにおいて、
前記下層の下面に、樹脂製の鉤状の複数の突起を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用フロアマットにおいて、前記中間層が、さらに、上部に配置される第1中間層と下部に配置される第2中間層とで構成され、
前記第1中間層が消臭性のある物質を含んで形成されるとともに、
前記第2中間層が弾力性のある物質を含んで形成されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両用フロアマットにおいて、前 記上層が帯状に交互に並んだ凹部と凸部とで構成され、
該凸部は、長手方向に直交する方向に向けて円弧状に形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用フロアマットにおいて、前記上層の表面に樹脂製の針状の複数の突起を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の車両用フロアマットにおいて、前記上層を左右のパートに区分し、
前記左のパートに形成された帯状の前記凹部と、前記右のパートに形成された帯状の前記凹部とが所定の角度をもって連結されるとともに、
前記左のパートに形成された帯状の前記凸部と、前記右のパートに形成された帯状の前記凸部とが所定の角度をもって連結されることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用フロアマットにおいて、縁部と本体部とが連続して形成された車両用フロアマットであって、
前記本体部が略平坦に形成されるとともに、
前記縁部が前記本体部に対して所定の角度をもって上向きに形成され、
該本体部に、前記上層、前記中間層、前記下層を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の車両用フロアマットにおいて、縁部と本体部とが連続して形成された車両用フロアマットであって、
前記本体部が略平坦に形成されるとともに、
前記縁部が前記本体部に対して所定の角度をもって上向きに形成され、
該本体部に、前記上層、前記中間層、前記下層を備える車両用フロアマットであって、
前記帯状の凹部が中央から両端部に向かって下がるように傾斜して形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項3に記載の車両用フロアマットにおいて、縁部と本体部とが連続して形成された車両用フロアマットであって、
前記本体部が略平坦に形成されるとともに、
前記縁部が前記本体部に対して所定の角度をもって上向きに形成され、
該本体部に、前記上層、前記中間層、前記下層を備える車両用フロアマットであって、
前記帯状の凹部が一端から他端に向かって下がるように傾斜して形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の車両用フロアマットにおいて、運転者が足を載せるための車両用フロアマットであって、
前記本体部の右側略中央部に滑り止め部を設けることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の車両用フロアマットにおいて、前記滑り止め部がゴム製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、車両のフロアカーペットに載置して、搭乗者または運転者が足を載せるための車両用フロアマットであって、上層と、該上層の下に連続して設けられる中間層と、該中間層の下に連続して設けられる下層とで構成される車両用フロアマットにおいて、前記下層の下面に、樹脂製の鉤状の複数の突起を備える。
【0017】
したがって、従来の車両用フロアマットがフロアカーペットに対してズレ方向の抵抗を十分に付与することができず、結果として、フロアカーペット上で車両用フロアマットがずれ動いてしまうという問題を解消することができる。すなわち、樹脂製の鉤状の複数の突起がフロアカーペットに絡まることで車両用フロアマットがフロアカーペットに対してズレ方向の抵抗を十分に付与することができる。このように、所望の位置からずれない車両用フロアマットを提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記中間層が、さらに、上部に配置される第1中間層と下部に配置される第2中間層とで構成され、前記第1中間層が消臭性のある物質を含んで形成されるとともに、前記第2中間層が弾力性のある物質を含んで形成される。
【0019】
したがって、車内や靴(足)のにおいの消臭に寄与するとともに、運転者または搭乗者が座席に座って足を置いたとき、クッション性がよく快適である。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、前記上層が帯状に交互に並んだ凹部と凸部とで構成され、該凸部は、長手方向に直交する方向に向けて円弧状に形成される。したがって、運転者がアクセルやブレーキに足を掛ける際、凹部に靴の踵が配置され、靴がずれないので、安全である。また、凸部の上端が角ばっているのに比べて、円弧状であることで、靴の踵をずらすように動かした場合、踵が凸部に引っかからずにスムーズに動かすことができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、前記上層の表面に樹脂製の針状の複数の突起を備えるので、靴を載せた状態でずらしたとき、突起によって靴底についた泥などの汚れを取るブラシ効果がある。また、素足を載せたときには、突起によって肌触りがよい。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、前記上層を左右のパートに区分し、前記左のパートに形成された帯状の前記凹部と、前記右のパートに形成された帯状の前記凹部とが所定の角度をもって連結されるとともに、前記左のパートに形成された帯状の前記凸部と、前記右のパートに形成された帯状の前記凸部とが所定の角度をもって連結される。
【0023】
したがって、車両用フロアマットに水分が付着した靴が載置された場合、凹部に水を誘導し、凸部を乾燥した状態に保持することができる。凸部と凹部が一定間隔で交互に配置されているので、車両走行中に運転者または搭乗者の靴底は、複数の凸部上に載置される。これによって、運転者または搭乗者の靴底を乾燥させることができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、縁部と本体部とが連続して形成された車両用フロアマットであって、前記本体部が略平坦に形成されるとともに、前記縁部が前記本体部に対して所定の角度をもって上向きに形成され、該本体部に、前記上層、前記中間層、前記下層を備える。
【0025】
したがって、運転者または搭乗者の靴底が泥などで汚れていた場合であっても、縁部がその泥などの拡散を防止することができる。また、車両用フロアマットが立体構造となり、車両用フロアマットの形状を保持しやすくなる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、縁部と本体部とが連続して形成された車両用フロアマットであって、前記本体部が略平坦に形成されるとともに、前記縁部が前記本体部に対して所定の角度をもって上向きに形成され、該本体部に、前記上層、前記中間層、前記下層を備える車両用フロアマットであって、前記帯状の凹部が中央から両端部に向かって下がるように傾斜して形成される。
【0027】
したがって、運転者または搭乗者の靴に雪や氷などが付着していた場合、それが運転中に溶け出しても、運転者または搭乗者の靴が配置される場所に留まらず、両端部へと流れる。したがって、車両走行中に運転者または搭乗者の靴底を乾燥させることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、縁部と本体部とが連続して形成された車両用フロアマットであって、前記本体部が略平坦に形成されるとともに、前記縁部が前記本体部に対して所定の角度をもって上向きに形成され、該本体部に、前記上層、前記中間層、前記下層を備える車両用フロアマットであって、前記帯状の凹部が一端から他端に向かって下がるように傾斜して形成される。
【0029】
したがって、したがって、運転者または搭乗者の靴に雪や氷などが付着していた場合、それが運転中に溶け出しても、運転者または搭乗者の靴が配置される場所に留まらず、端部へと流れる。したがって、車両走行中に運転者または搭乗者の靴底を乾燥させることができる。
【0030】
請求項9に記載の発明によれば、運転者が足を載せるための車両用フロアマットであって、前記本体部の右側略中央部に滑り止め部を設けるので、運転者がアクセルやブレーキに足を掛ける際、靴の踵がずれないので、安全である。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、前記滑り止め部がゴム製であるので、汎用な部材を用いて、靴の踵がずれない車両用フロアマットを提供することができるため、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の一例の自動車用フロアマット(運転席、助手席用)の、(a)は斜視図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。
【図2】この発明の一例の自動車用フロアマット(後部座席用)の、(a)は斜視図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。
【図3】(a)は図1のA−A断面図、(b)は(a)の下層の部分拡大図、(c)は(a)の上層の部分拡大図である。
【図4】この発明の別の例の自動車用フロアマットの斜視図であり、(a)は運転席、助手席用、(b)は後部座席用である。
【図5】(a)は図4のB−B断面図、(b)は(a)の下層の部分拡大図、(c)は(a)の上層の部分拡大図である。
【図6】この発明のさらに別の例の自動車用フロアマットの斜視図であり、(a)は運転席、助手席用、(b)は後部座席用である。
【図7】この発明の別の例の自動車用フロアマットの斜視図(運転席、助手席用)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下では、「前」とは自動車の前進方向を、「後」とは自動車の後進方向を、「右」とは自動車の前進方向に対して右側を、「左」とは自動車の前進方向に対して左側を示すものとする。図1,2には、この発明の車両用フロアマットの一例を示す。図1(a)〜(c)には、運転席および助手席のフロアカーペット上に配置する自動車用フロアマット10を示す。自動車用フロアマット(車両用フロアマット)10は、運転者または搭乗者が自動車の座席に座ったときに、足(靴)を載置する場所に配置されるものであり、靴底の汚れや水分、靴の摩擦による老朽化からフロアカーペットを保護するためのものである。
【0034】
自動車用フロアマット10は、本体部12、本体部12を取り囲むように形成された縁部、本体部12の前側に連続して形成された前張出部13などで構成される。本体部12は運転者および搭乗者が足を載せるためのものであり、略平坦に形成される。縁部は、本体部12に対して所定の角度をもって上向きに形成される。縁部は、本体部12の左側に位置する左縁部11L、本体部12の右側に位置する右縁部11R、本体部12の前側に位置する前縁部11F、本体部12の後側に位置する後縁部11B、およびこれらを円弧状に連結する4つの角部とで構成される。前張出部13は、前縁部11Fに連続して形成され、運転席では、アクセルペダル、ブレーキペダルなどの下に配置される。
【0035】
なお、それぞれの縁部の上端には、本体部12を取り囲むようにアゴ部14が形成され、前張出部13はこのアゴ部14に連続して形成される。本体部12は、車幅方向の略中央から左右に分けて、左本体部(左のパート)12L、右本体部(右のパート)12Rとからなる。また、本体部12には、かまぼこ状の凸部Pと、平坦な凹部Gとが帯状に交互に並んで配置されている。凸部Pは、詳しくは、その表面が長手方向に直交する方向に向けて円弧状に形成される。
【0036】
図2(a)〜(c)には、後部座席のフロアカーペット上に配置する自動車用フロアマット20を示す。自動車用フロアマット20は、本体部22、本体部22を取り囲むように形成された縁部、本体部22の前側に連続して形成された前張出部23などで構成される。本体部22は後部座席の搭乗者が足を載せるためのものであり、略平坦に形成される。縁部は、本体部22に対して所定の角度をもって上向きに形成される。縁部は、本体部22の左側に位置する左縁部21L、本体部22の右側に位置する右縁部21R、本体部22の前側に位置する前縁部21F、本体部22の後側に位置する後縁部21B、およびこれらを円弧状に連結する4つの角部とで構成される。前張出部23は、前縁部21Fに連続して形成される。
【0037】
なお、それぞれの縁部の上端には、本体部22を取り囲むようにアゴ部24が形成され、前張出部23はこのアゴ部24に連続して形成される。本体部22は、車幅方向の略中央から左右に分けて、左本体部22L、右本体部22Rとからなる。左本体部(左のパート)12L、右本体部(右のパート)12Rとからなる。また、本体部22には、かまぼこ状の凸部Pと、平坦な凹部Gとが帯状に交互に並んで配置されている。凸部Pは、詳しくは、その表面が長手方向に直交する方向に向けて円弧状に形成される。
【0038】
左本体部22Lに形成された帯状の凹部Gと、右本体部12Rに形成された帯状の凹部Gとが中心線C近傍にて所定の角度をもって連結されるとともに、左本体部22Lに形成された帯状の凸部Pと、右本体部22Rに形成された帯状の凸部Pとが中心線C近傍にて所定の角度をもって連結されている。このため、ヘリンボーン(杉あや織り)様の模様となる。なお、左本体部22Lと右本体部22Rとは中心線C近傍が高くなるように傾斜して形成してもよい。このようにすると、運手者や搭乗者が濡れた靴などを本体部12に載せた場合、凹部Gに沿って水分が左右側に向けて流れ、水分は左縁部11Lまたは右縁部11R付近に溜まり、靴を載せている付近に水が溜まることがなくなる。また、本体部12の表面に凹凸が形成されるので、運転者がアクセルやブレーキに足を掛ける際、凹部Gに靴の踵が入って靴がずれないので、安全である(凹部Gと凸部Pが滑り止めの効果を奏する)。
【0039】
本体部12は、図3(a)に示すように、上層14、中間層15、下層16とが加熱プレスによって貼り合わされて一体的に形成される。上層14はポリエステル製(樹脂製)の絨毯で形成される。中間層15は、上層14に接する第1中間層15Aと第1中間層15Aの下に接する第2中間層15Bとで構成される。第1中間層15Aはポリエステル製の不織布で形成され、第2中間層15BはEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)で形成される。下層16はポリエステル製(樹脂製)の絨毯で形成される。
【0040】
上層14には、図3(b)に示すように、凸部Pと凹部Gとが交互に連続的に形成されている。なお、上層14と第1中間層15Aとの間には複数の凸部形成部材Rを備える。凸部形成部材Rはポリエステル製のかまぼこ状の棒状部材であり、これを長手方向と直交する方向に一定間隔に平行に並べて配置する。この上から上層14を載せることで、本体部12の表面上に凸部Pと凹部Gが形成される。凸部Pと凹部Gの表面には多数のカットパイル(針状の突起)14Aが配置されている。このため、上層14には、靴を載せてスライドさせたとき、カットパイル14Aによって靴底についた泥などの汚れを取るブラシ効果がある。また、素足を載せたときには、カットパイル14Aによって肌触りがよい。このカットパイル14Aの高さは1〜3mm程度であることが望ましい。
【0041】
第1中間層15Aは、活性炭を含有する不織布で構成される(活性炭に限定されるものではない。例えば、添着活性炭、活性白土、天然ゼオライト、合成ゼオライト(親水・疎水)、ベントナイト、セピオライト、シリカ、シリカ−マグネシアなど消臭効果がある物質であればどのようなものであってもよい)。具体的には、活性炭とバインダー樹脂の混合物を不織布に塗布したものである(活性炭を複数の不織布の間に挟んだものであってもよい)。このため、第1中間層15Aには消臭効果がある。第2中間層15Bは、EVAで構成されているため弾力性があり、衝撃などを効果的に吸収することができる(第2中間層15BはEVAで構成することに限定されるものではない。弾力性がある物質であればどのようなものであってもよい)。このため、自動車に乗車して足を載置したときに、クッション性がよく快適である。
【0042】
下層16は、上層14と同様の素材で形成されるが、そのカットパイルをガスバーナーにて焼いて加工している。カットパイルはポリエステル製であるので、直火によって高熱を与えると先端がちぢれて鉤針状(J字状)に丸まり、鉤針状の突起16Aとなる。このため、フロアカーペット上に自動車用フロアマット10を載置したとき、フロアカーペットの表層のパイルに突起16Aの先端が絡まりやすく、これが自動車用フロアマット10の滑り止め効果を奏する。この突起16Aの高さは1〜2mm程度であることが望ましい。なお、突起16Aを形成する際に直火を用いずに輻射熱などを用いてカットパイルの先端を丸めてもよい。また、熱を与えられたカットパイルのなかには、先端が鉤状に丸まらずに、無数の曲線を組み合わせたような不定形状にちぢれるものもある。このような不定形曲線状の突起もフロアカーペットの表層のパイルに絡まりやすく有効である。
【0043】
なお、上層14および下層16を構成する樹脂はポリエステルに限定されるものではない。また、上層14と下層16とは、それぞれ異なる樹脂を用いて形成してもよい。例えば、上層14には、アクリル、ポリプロピレンなどを用い、下層16には合成ゴム、TPR(熱可塑性ゴム)、SBS樹脂(スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体)などを用いてもよい。
【0044】
縁部(左縁部11L、右縁部11R、前縁部11F、後縁部11B)、前張出部13、アゴ部14の構成は、本体部12と同様の4層構造となっている。ただし、凸部形成部材Rは配置されていない。また、縁部(左縁部11L、右縁部11R、前縁部11F、後縁部11B)、本体部12、前張出部13、アゴ部14は加熱プレスによって接着されながら一体に形成される。
【0045】
なお、自動車用フロアマット20の本体部22の構成・作用・効果についても自動車用フロアマット10の本体部12と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
また、この発明の自動車用フロアマットは、本体部12(または本体部22)のみで構成されていてもよい。このとき、本体部12(または本体部22)の形状は平面視でどのような形状であってもよい。
【0047】
さらに、この発明の自動車用フロアマットは、本体部12(または本体部22)のみが、上層14、中間層15(第1中間層15A、第2中間層15B)、下層16によって一体的に形成され、それ以外の部分、すなわち、縁部(左縁部11L、右縁部11R、前縁部11F、後縁部11B)、前張出部13、アゴ部14は本体部12の構成に限定されるものではない。
【0048】
また、中間層15が第1中間層15Aと第2中間層15Bの2層構造で形成されることに限定されるものではない。例えば、中間層15が上述の第1中間層15Aのみで構成されてもよいし、上述の第2中間層15Bのみで構成されてもよい。また、別の材料によって構成されてもよい。さらに、中間層15は2層構造に限定されるものではなく、3層以上の多層構造で形成されていてもよい。
【0049】
図4,5には、この発明の別の例を示す。この例では、前述の例と異なり、本体部112,122の表面には凸部Pと凹部G形成されない(図5(a)参照)。それ以外の構成・作用・効果は、前述の例と同様である。なお、図4,5にある符号は、前述の例の符号に100番台を付したものである。
【0050】
図6には、この発明のさらに別の例を示す。この例では、図1〜3の例に比べて、本体部212,222の表面に形成される凸部Pと凹部Gのパターンが異なる。それ以外の構成・作用・効果は、前述の例と同様である。なお、図6にある符号は、図1〜3の例の符号に200番台を付したものである。また、符号G´は凹部を、符号P´は凸部を示す。この例の本体部212の上層には、帯状に交互に並んだ凸部P´と凹部G´を幅方向に一定の間隔で形成されている(なお、凸部P´の形成方法については、図1〜3の例と同様である)。
【0051】
そして、凸部P´と凹部G´は右縁部211Rから左縁部211Lに向かって下がるように傾斜して形成される。このように構成されているので、運手者や搭乗者が濡れた靴などを本体部212に載せた場合、凹部G´に沿って水分が左側に向けて流れ、水分は左縁部211L付近に溜まり、靴を載せている付近に水が溜まることがなくなる。また、本体部12の表面に凹凸が形成されるので、運転者がアクセルやブレーキに足を掛ける際、凹部Gに靴の踵が入って靴がずれないので、安全である(凹部Gと凸部Pが滑り止めの効果を奏する)。本体部222についても同様の構成であるので、説明を省略する。なお、凸部P´と凹部G´は左縁部211Lから右縁部211Rに向かって下がるように傾斜して形成されていてもよい。
【0052】
図7には、この発明のさらに別の例を示す。この例の自動車用フロアマット310は、運転者が足を載せるための車両用フロアマットであり、図4の例の自動車用フロアマット110に比べて、本体部312の右側略中央部にゴム製の滑り止め部STを設ける。滑り止め部STが配置される位置は、運転者が右足をアクセルペダル、または、ブレーキペダルに載せたとき、右足の靴の踵が配置される付近である。このようにすることで、運転者がアクセルやブレーキに足を掛ける際、靴の踵がずれないので、安全である。それ以外の構成・作用・効果は、図4の例と同様である。なお、図7にある符号は、図4の例の符号に300番台を付したものである。なお、滑り止め部STはゴム製に限定されるものではない。
【0053】
上述の全ての例では、車両用フロアマットの一例として、自動車に適用したが、この発明はこれに限定されるものではなく、バス、トラック、建設用車両、農業用車両などあらゆる車両のフロアマットに適用することができる。
【0054】
この発明は、上述の例に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲においていかなる形態をとってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10,20,110,120,210,220,310 自動車用フロアマット(車両用フロアマット)
11L,11R,11F,11B 縁部
12,22,112,212,222,312 本体部
12L,22L 左本体部(左のパート)
12R,22R 右本体部(右のパート)
14,114 上層
14A,114A 針状の突起
15,115 中間層
15A,115A 第1中間層
15B,115B 第2中間層
16,116 下層
16A,116A 鉤状の突起
G,G´ 凹部
P,P´ 凸部
ST 滑り止め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアカーペットに載置して、搭乗者または運転者が足を載せるための車両用フロアマットであって、
上層と、
該上層の下に連続して設けられる中間層と、
該中間層の下に連続して設けられる下層とで構成される車両用フロアマットにおいて、
前記下層の下面に、樹脂製の鉤状の複数の突起を備えることを特徴とする、車両用フロアマット。
【請求項2】
前記中間層が、さらに、上部に配置される第1中間層と下部に配置される第2中間層とで構成され、
前記第1中間層が消臭性のある物質を含んで形成されるとともに、
前記第2中間層が弾力性のある物質を含んで形成されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用フロアマット。
【請求項3】
前記上層が帯状に交互に並んだ凹部と凸部とで構成され、
該凸部は、長手方向に直交する方向に向けて円弧状に形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用フロアマット。
【請求項4】
前記上層の表面に樹脂製の針状の複数の突起を備えることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用フロアマット。
【請求項5】
前記上層を左右のパートに区分し、
前記左のパートに形成された帯状の前記凹部と、前記右のパートに形成された帯状の前記凹部とが所定の角度をもって連結されるとともに、
前記左のパートに形成された帯状の前記凸部と、前記右のパートに形成された帯状の前記凸部とが所定の角度をもって連結されることを特徴とする、請求項3に記載の車両用フロアマット。
【請求項6】
縁部と本体部とが連続して形成された車両用フロアマットであって、
前記本体部が略平坦に形成されるとともに、
前記縁部が前記本体部に対して所定の角度をもって上向きに形成され、
該本体部に、前記上層、前記中間層、前記下層を備えることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用フロアマット。
【請求項7】
縁部と本体部とが連続して形成された車両用フロアマットであって、
前記本体部が略平坦に形成されるとともに、
前記縁部が前記本体部に対して所定の角度をもって上向きに形成され、
該本体部に、前記上層、前記中間層、前記下層を備える車両用フロアマットであって、
前記帯状の凹部が中央から両端部に向かって下がるように傾斜して形成されることを特徴とする、請求項5に記載の車両用フロアマット。
【請求項8】
縁部と本体部とが連続して形成された車両用フロアマットであって、
前記本体部が略平坦に形成されるとともに、
前記縁部が前記本体部に対して所定の角度をもって上向きに形成され、
該本体部に、前記上層、前記中間層、前記下層を備える車両用フロアマットであって、
前記帯状の凹部が一端から他端に向かって下がるように傾斜して形成されることを特徴とする、請求項3に記載の車両用フロアマット。
【請求項9】
運転者が足を載せるための車両用フロアマットであって、
前記本体部の右側略中央部に滑り止め部を設けることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の車両用フロアマット。
【請求項10】
前記滑り止め部がゴム製であることを特徴とする、請求項9に記載の車両用フロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−39854(P2013−39854A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176240(P2011−176240)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(399063769)株式会社イエローハット (2)
【Fターム(参考)】