説明

車両用ランプ

【課題】外観上の見栄えの低下を回避しつつ、特にランプボデー側面の結露による曇りを防止することができる車両用ランプを提供する。
【解決手段】ランプボデー70内にバルブ80、81を収容するとともに、バルブ光を反射するリフレクタ82を設け、このランプボデー70とリフレクタ82の間を覆うエクステンション部84Aを設け、ランプボデー70前面をレンズ74で覆うようにした車両用ランプ60において、エクステンション部84Aの内側に近接するリフレクタ82に開口部100を設け、この開口部100を通じてバルブ80の熱をエクステンション部84Aに導くようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ面の曇りを防止した車両用ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ランプボデー内にバルブを収容するとともに、バルブ光を反射するリフレクタを設け、このリフレクタを覆うエクステンション部を設け、ランプボデー前面をレンズで覆うようにした車両用ランプが知られている。この種の車両ランプには、エクステンション部に、下辺部に沿って外部に露見されにくい下枠部を設け、この下枠部に、レンズ内面の近傍領域とエクステンション背後領域とを連通する開口部を形成し、この開口部によりレンズ内面の近傍領域での空気通流を確保してレンズ内面での結露による曇りの発生を防止するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3308474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のものは、エクステンション部に開口部を設け、この開口部によりレンズ内側の空気通流を確保してレンズの曇り防止を図るものであるが、この場合、温度が低いときはその効果が十分ではない。また、従来のものは、エクステンション部の開口部がレンズを通して外部に露見してしまう場合があり、外観上の見栄えが低下してしまう問題があった。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、外観上の見栄えの低下を回避しつつ、温度が低いときでもレンズの曇りを防止することができる車両用ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述課題を解決するため、本発明は、ランプボデー内にバルブを収容するとともに、バルブ光を反射するリフレクタを設け、このランプボデーとリフレクタの間を覆うエクステンション部を設け、ランプボデー前面をレンズで覆うようにした車両用ランプにおいて、前記エクステンション部の内側に近接する前記リフレクタに開口部を設け、この開口部を通じて前記バルブの熱を前記エクステンション部に導くようにしたことを特徴とする。
この発明によれば、エクステンション部の内側に近接するリフレクタに開口部を設け、この開口部を通じてバルブの熱をエクステンション部に導くようにしたので、バルブの熱でエクステンション部の温度を上昇させ、温度が低いときでもレンズの曇りを防止することができる。また、開口部がエクステンション部の内側に位置するので、開口部が外部から視認されず、外観上の見栄えの低下を回避できると共に、エクステンション部やリフレクタの形状の自由度が向上する。
【0005】
この場合において、上記エクステンション部の裏面に熱伝導部材を設けることが好ましい。この構成によれば、熱伝導部材によりバルブの熱をエクステンション部全体に素早く伝熱させることができ、レンズ内面の曇り防止効果がより向上する。この場合、熱伝導部材をアルミ蒸着にすることにより、エクステンション部の内面の表面処理をリフレクタの反射面の表面処理と同じにすることができる。
【0006】
また、上記エクステンション部をリフレクタと一体に当該リフレクタの側面に設け、開口部をバルブの下方に位置して設けることが好ましい。この構成によれば、エクステンション部とリフレクタとを別体で製造する場合に比して、部品点数を低減することができ、また、開口部をバルブの下方に設けたので、バルブの熱の自然上昇によりエクステンション部全体を効率よく温度上昇させることができ、レンズ内面の曇り防止効果がより向上する。
【0007】
また、上記レンズの内側にインナーレンズを設けることも可能である。この構成によれば、インナーレンズの形状変更により、車両用ランプのデザイン変更を容易に行うことができる。また、上記リフレクタ上部及びランプボデー上部に放熱用の開口を設けることが好ましい。この構成によれば、バルブの熱をバルブ上方の放熱用の開口からスムーズに放熱させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、エクステンション部の内側に近接するリフレクタに開口部を設け、この開口部を通じてバルブの熱をエクステンション部に導くようにしたので、バルブの熱でエクステンション部の温度を上昇させ、温度が低いときでもレンズの曇りを防止することができ、かつ、開口部が外部から視認されないので、外観上の見栄えの低下を回避することができる。
また、エクステンション部の裏面に熱伝導部材を設けたので、レンズ内面の曇り防止効果がより向上する。
また、上記熱伝導部材をアルミ蒸着にしたので、エクステンション部の内面の表面処理をリフレクタの反射面の表面処理と同じにすることができる。
【0009】
また、エクステンション部をリフレクタと一体に当該リフレクタの側面に設け、開口部をバルブの下方に位置して設けたので、部品点数が低減すると共に、バルブの熱の自然上昇によりエクステンション部全体が効率よく温度上昇し、レンズの曇り防止効果がより向上する。
また、レンズの内側にインナーレンズを設けたので、インナーレンズの形状変更により、車両用ランプのデザイン変更を容易に行うことができる。
また、リフレクタ上部及びランプボデー上部に放熱用の開口を設けたので、バルブの熱をバルブ上方の放熱用の開口からスムーズに放熱させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を添付した図面を参照して説明する。なお説明中、前後及び左右といった方向の記載は、車体に対してのものとする。
図1は、本発明の実施形態に係る自動二輪車の全体構成の側面図を示し、図2は自動二輪車の上面図を示している。この自動二輪車10は、車体フレーム11と、車体フレーム11の前端部に取り付けられたヘッドパイプ12に回動自在に支持された左右一対のフロントフォーク13と、フロントフォーク13の上端部を支持するトップブリッジ14に取り付けられた操舵用のハンドル15と、フロントフォーク13に回転自在に支持された前輪16と、車体フレーム11に支持されたエンジン17と、エンジン17に排気管(不図示)を介して連結された排気マフラー18と、車体フレーム11の後下部のピボット19に上下に揺動自在に支持されたリアフォーク20と、このリアフォーク20の後端部に回転自在に支持された後輪21とを備え、リアフォーク20と車体フレーム11との間にリアクッション(不図示)が配設されている。
【0011】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ12から左右にわかれて後方斜め下方に延びる左右一対のメインフレーム25と、メインフレーム25の後端部から後方斜め上方に延びる左右一対のシートレール26とを備えている。このメインフレーム25の下部にエンジン17が支持され、メインフレーム25の上方に燃料タンク22が支持されている。また、シートレール26の上部には、乗員用シート23が取り付けられ、シートレール26の後部上方にはトランクボックス27が取り付けられている。
【0012】
乗員用シート23は、燃料タンク22の後方に延出して運転者が着座する前席23Aと、この前席23Aの後方に一段高く形成されて同乗者が着座する後席23Bと、同乗者用の背もたれ部23Cとを備えている。また、車体フレーム11には、上記前席23Aに着座した運転者用の左右一対のステップ28と、後席23Bに着座した同乗者用の左右一対のステップ29と、同乗者が握るグラブレール30が各々取り付けられる他、メインスタンド31やサブスタンド32や以下に述べる車体カバー40等が取り付けられている。
【0013】
本構成では、車体フレーム11が合成樹脂製の車体カバー40で覆われており、この車体カバー40は、車体前方を覆うフロントフェアリング41と、車体側部を覆う左右一対のサイドカバー42と、車体下部を覆うアンダーカバー43と、車体後部を覆うリアシートカウル44とを備えており、リアシートカウル44には、左右一対のサドルバック45が一体に形成されている。また、前輪16を覆うフロントフェンダ46がフロントフォーク13に取り付けられ、後輪21を覆うリアフェンダ47がリアシートカウル44に取り付けられている。
【0014】
図3は自動二輪車10の正面図である。図3に示すように、フロントフェアリング41の前面には、ヘッドライト50が設けられ、その上部にはウインドスクリーン51が取り付けられ、左右端には、フロントウィンカー52を内蔵する左右のミラー53とが各々配設されており、このフロントフェアリング41の内側には、図2に示すように、車両用メータ55が配設されている。また、サイドカバー42には、図3に示すように、車両前方からの外気をエンジン17の周囲に供給するための左右一対のエア開口42Aが設けられている。また、エンジン17の左右前方には、エンジンガード56が設けられ、このエンジンガード56には左右一対のフォグランプ57が取り付けられている。
【0015】
図4は自動二輪車10の背面図である。図4に示すように、トランクボックス27の背面には、左右一対のテールランプユニット60が配設され、サドルバック45の背面には、ウインカーランプユニット61が各々配設されている。
テールランプユニット60は、ヘッドライト50の点灯と連動して点灯するテールランプと、運転者がブレーキを操作した際に転倒するストップランプとを内蔵し、ウインカーランプユニット61は、ウインカーランプと、ストップランプとを内蔵している。このように、本構成では、車体背面の上下両側にランプユニット60、61を配設し、両ランプユニット60、61にストップランプを内蔵させたので、特にストップランプの視認性を向上させることができる。
また、トランクボックス27の右側部には、この自動二輪車10に内蔵される図示せぬオーディオユニットがラジオ放送を受信するために使用するロッドアンテナ58が取り付けられている。
【0016】
次にテールランプユニット60について詳述する。左右一対のテールランプユニット60は左右対称形状である点を除いて同一であるため、以下、左側のテールランプユニット60を例に説明する。
図5(A)はテールランプユニット60の正面図であり、図5(B)は図5(A)のa−a断面図であり、図6は図5(A)のb−b断面図であり、図7は、図5(A)のc−c断面図である。
テールランプユニット60は、図5(B)に示すように、車体後方に相当する前面が開口するように略コ字状の側断面形状を有するランプボデー70を備えている。このランプボデー70は、図6に示すように、車体幅方向に延在し、車体中心側(右側)が側壁70Aによって閉塞され、車体外側(左側)と前面とに渡って開口部71が形成されている。
この開口部71の周縁には、図5(B)及び図6に示すように、連続する溝72が形成され、この溝72には、シール部材73を間に挟んで、上面視で略L字断面形状のアウターレンズ74が固定され、このアウターレンズ74によってテールランプユニット60内のランプ室Lが区画されると共に、レンズ74及びシール部材73によってテールランプユニット60の前面側及び車体外側(外部露出側に相当)からランプ室L内への水等の侵入が防止されている。
【0017】
上記ランプ室Lには、図6に示すように、車体の略幅方向に間隔を空けてバルブ80、81が配置されており、これらバルブ80、81は、図5(B)に示すように、ランプボデー70の底板75に取り付けられたバルブソケット76に各々取り付けられている。本実施形態では、車体外側のバルブ80をストップランプとして使用し、車体中心側のバルブ81をテールランプとして使用している。なお、各バルブ80、81の位置は、各図において二点差線で示している。
【0018】
また、ランプ室Lには、図6に示すように、バルブ80、81の照射光を反射するリフレクタ82と、バルブ80、81の直接光及びリフレクタ82の反射光を、アウターレンズ74に形成された2つのレンズカット部74R(図5(A)参照)に向けて各々照射させるためのインナーレンズ83A、83Bと、ランプボデー70とリフレクタ82の間を覆ってランプボデー70の内面がアウターレンズ74を通して外部に露見されることを防止する第1エクステンション部84A及び第2エクステンション部84Bとが配設されている。
上記リフレクタ82は、バルブ80の照射光をインナーレンズ83Aに向けて反射する第1リフレクタ部82Aと、バルブ81の照射光をインナーレンズ83Bに向けて反射する第2リフレクタ部82Bと、バルブ80、81の間に位置して各バルブ80、81の照射光が隣のインナーレンズ83B又は83Aに向けて照射されるのを防止する第3リフレクタ部82Cとを一体に備え、図7に示すように、複数のタッピングスクリュー95によってランプボデー70に固定されている。
また、上記第3リフレクタ部82Cは、図6に示すように、インナーレンズ83A、83Bの一端側の位置決めを行う段差部90が形成され、インナーレンズ83A、83Bの位置決め部材としても機能している。
【0019】
上記第1リフレクタ部82Aは、バルブ80の背面側に配置される略放物面形状の背面側リフレクタ部82A1と、この背面側リフレクタ部82B1の車体外側の端部から屈曲してアウターレンズ74に向けて延出する側面側リフレクタ部82A2とを備えており、これらのバルブ80側の面にはアルミ蒸着が施され、このアルミ蒸着面によりバルブ80の照射光をインナーレンズ83Aに向けて反射している。
より具体的には、背面側リフレクタ部82A1は、バルブ80の背面側への照射光をインナーレンズ83Aに向けて反射し、側面側リフレクタ部82A2は、バルブ80の車体外側への照射光をインナーレンズ83Aに向けて反射している。また、側面側リフレクタ部82A2は、インナーレンズ83Aの他端側の位置決めを行うための段差部91が形成され、インナーレンズ83Aの位置決め部材を兼用している。
【0020】
また、第2リフレクタ部82Bについても、第1リフレクタ部82Aと略同様に、バルブ81の背面側に配置される略放物面形状の背面側リフレクタ部82B1と、この背面側リフレクタ部82B1の車体中心側の端部から屈曲して側壁70Aに沿ってアウターレンズ74に向けて延出する側面側リフレクタ部82B2とを備え、これらのバルブ81側の面についてもアルミ蒸着が施され、背面側リフレクタ部82B1により、バルブ81の背面側への照射光をインナーレンズ83Bに向けて反射し、側面側リフレクタ部82B2により、バルブ81の車体中心側への照射光をインナーレンズ83Bに向けて反射している。
また、上記背面側リフレクタ部82B2にも、インナーレンズ83Bの他端側の位置決めを行うための段差部92が形成され、インナーレンズ83Bの位置決め部材を兼用している。
【0021】
第1エクステンション部84Aは、第2リフレクタ部82Aの側面側リフレクタ部82A2と一体に形成され、図6に示すように、側面側リフレクタ部82A2のアウターレンズ74側の端部から折れ曲がってランプボデー70の奧の壁70Bに略当接する位置まで延在する略板形状を有し、側面側リフレクタ部82A2との間に間隙αが設けられると共に、アウターレンズ74との間に間隙α1が設けられている。
この第1エクステンション部84Aは、インナーレンズ83Aの一端側からランプボデー70の奧の壁70Bまでの間を覆うことにより、アウターレンズ74を介してランプボデー70の奧の壁70Bが外部から視認されるのを防止している。
【0022】
また、第2エクステンション部84Bは、第2リフレクタ部82Bの側面側リフレクタ部82B2と一体に形成され、図6に示すように、側面側リフレクタ部82B2からインナーレンズ83Bよりもアウターレンズ74側に延出し、その延出端からアウターレンズ74に沿って屈曲した略L字断面形状を有し、ランプボデー70の側壁70Aとの間に間隙βが設けられると共に、アウターレンズ74との間に間隙β1が設けられている。
この第2エクステンション部84Bは、インナーレンズ83Bの一端側からアウターレンズ74までの間を覆うことにより、アウターレンズ74を介してランプボデー70の側壁70Aが外部から視認されるのを防止している。
【0023】
ところで、外気温が低い場合等にテールランプユニット60のアウターレンズ74内面に結露による曇りが発生するおそれがあり、特に、テールランプユニット60のバルブ80、81から放射される熱が届きにくいテールランプユニット60の両端エリア(図5中、エリアAR1、AR2により示す)に結露による曇りが発生し易い。
そこで、本構成では、バルブ80用の第1リフレクタ部82Aには、図6に示すように、第1エクステンション部84Aの内面84ANに近接する側面側リフレクタ部82A2に、開口部100が形成されている。
この開口部100は、バルブ80の下方位置(例えば底板75近傍とバルブ80との間の高さ範囲)に形成され、第1エクステンション部84Aと側面側リフレクタ部82A2との間の間隙αと、ランプ80が配置された第1ランプ室LAとを下方位置で連通している。このため、ランプ80の放射熱が、上記開口部100を通って第1エクステンション部84Aの内面84ANに導かれる。
【0024】
また、本構成では、第1エクステンション部84Aの内面84ANに熱伝導部材としてアルミが蒸着されている。
これらの構成により、ランプ80の放射熱は、上記開口部100を通って第1エクステンション部84Aの内面84ANの下方に導かれた後、内面84ANに蒸着されたアルミを伝わって、第1エクステンション部84Aの下方側から全体の温度を迅速に上昇させる。このため、第1エクステンション部84Aとアウターレンズ74との間の間隙α1(図6参照)の温度が上昇し、外気温が低い場合でもアウターレンズ74の上記エリアAR1(図5(A)参照)及びその周辺領域の結露を回避し、アウターレンズ74の曇りを防止することができる。
【0025】
さらに、本構成では、図6に示すように、バルブ81用の第2リフレクタ部82Bにも、バルブ81の下方位置(例えば底板75近傍とバルブ81との間の高さ範囲)に開口部110が形成されると共に、第2エクステンション部84Bの内面84BNにアルミ蒸着が施されている。
このため、ランプ81の放射熱は、ランプ81が配置された第2ランプ室LBから、開口部110を通って第2エクステンション部84Bの内面84BNの下方に導かれ、この内面84BNに蒸着されたアルミを伝わって第2エクステンション部84B全体の温度を迅速に向上させる。これにより、第2エクステンション部84Bとアウターレンズ74との間の間隙β1(図6参照)の温度を上昇させることができ、外気温が低い場合でもアウターレンズ74の上記エリアAR2(図5(A)参照)及びその周辺領域の結露を回避し、アウターレンズ74の曇りを防止することができる。
【0026】
図8は、図5(A)のd−d断面図であり、図9は、図5(A)のe−e断面図である。図8に示すように、リフレクタ82の上部には開口部200Aが設けられると共に、図9に示すように、ランプボデー70の奧の壁70Bの上部におけるランプ80の近傍位置には、上記開口部200と連通するラビリンス部210Aが設けられている。このラビリンス部210Aは、略コ字状に屈曲した空気通路210A1を有し、この空気経路210A1を介して開口部200Aをランプボデー70の外空間に連通させている。
さらに、図8に示すように、リフレクタ82の下部にも開口部200Bが設けられると共に、図9に示すように、ランプボデー70の奧の壁70Bの下部におけるランプ81の近傍位置には、上記開口部200Bと連通するラビリンス部210Bが設けられている。このラビリンス部210Bも、ラビリンス部210Aと同様に、略コ字状に屈曲した空気通路210B1を有し、この空気経路210B1を介して開口部200Bをランプボデー70の外空間に連通させている。
【0027】
従って、上記開口部200A、200B及びラビリンス部210A、210Bによって、ランプボデー70内のランプ室Lと、ランプボデー70外の空間とを連通する空気通路が形成され、ランプ室L内のランプ80、81の発熱により生じる空気対流によりランプ80、81の熱が、リフレクタ82の開口部200Aとランプボデー70のラビリンス部210Aとを順に通って外に放出されると共に、外の空気が、ランプボデー70のラビリンス部210Bとリフレクタ82の開口部200Bとを順に通ってランプ室L内に流れるといった空気循環経路が形成され、放熱をスムーズに行うことができる。この場合、ラビリンス部210A、210Bの空気通路210A1及び210B1によって外からランプ室L内に水等が侵入するのを防止することができる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態では、図6に示すように、第1リフレクタ部82Aとランプボデー70との間を覆う第1エクステンション部84Aを設け、この第1リフレクタ部82Aの第1エクステンション部84Aの内側に近接する位置に開口部100を設けたので、開口部100によりバルブ80の放射熱を第1エクステンション部84Aの内面84ANに導いて第2エクステンション部84Aの温度を上げることができ、温度が低いときでも第1エクステンション部84A近傍のアウターレンズ74のエリアAR1の結露による曇りを防止することができる。
このように、第1エクステンション部84Aの内側に開口部100を設けているので、第1エクステンション部84Aによって上記開口部100が外部から視認されることがない。このため、エクステンション部に開口部を設けた従来のものに比して、外観上の見栄えが低下することがなく、また、第1エクステンション部84Aや第1リフレクタ部82Aの形状の自由度が制限されることがない。
【0029】
しかも、第1エクステンション部84Aの内面84ANにアルミ蒸着を施したので、第1エクステンション部84Aに導かれた熱を素早く全体に伝熱させることができる。さらに、上記開口部100をアウターレンズ74の下方側に設けたので、放射熱の自然上昇により第1エクステンション部84A全体を効率よく温度上昇させることができ、アウターレンズ74のエリアAR1の曇り防止効果をより向上させることができる。
また、第1エクステンション部84Aを第1リフレクタ部82Aと一体に形成すると共に、第1エクステンション部84Aの内面84ANに、第1リフレクタ部82Aの反射面に施されるのと同様のアルミ蒸着を施して熱伝導面としたので、部品点数を低減することができると共に、反射面と熱伝導面を共通の表面処理で作成でき、製造を容易にすることができる。
【0030】
また、本構成では、バルブ81の照明光を反射する第2リフレクタ部82Bにも、その側面側リフレクタ部82B2の下方側に開口部110を設け、この側面側リフレクタ部82B2からアウターレンズ74側に延出するように第2エクステンション部84Bを形成したので、開口部100によりバルブ80の放射熱を第2エクステンション部84Bの内面84BNに導いて第2エクステンション部84Bの温度を上げることができ、温度が低いときでも第2エクステンション部84B近傍のアウターレンズ74のエリアAR2の結露による曇りを防止することができる。
この場合も、アウターレンズ74側からは視認されない側面側リフレクタ部82B2に開口部110を設けているので、上記開口部110が外部から視認されることがなく、上述したと同様に、エクステンション部に開口部を設けた従来のものに比して、外観上の見栄えが低下することがなく、また、第2エクステンション部84Bや第2リフレクタ部82Bの形状の自由度が制限されることがない。
【0031】
また、第2エクステンション部84Bについても、第1エクステンション部84Aと同様に、内面84BNにアルミ蒸着を施すと共に、上記開口部110をアウターレンズ74の下方側に設けたので、アウターレンズ74のエリアAR2の曇り防止効果をより向上させることができる。
さらに、第2エクステンション部84Bを、第2リフレクタ部82Bと一体に形成すると共に、その内面84BNに、第2リフレクタ部82Bの反射面に施されるのと同様のアルミ蒸着を施して熱伝導面としたので、部品点数を低減し、かつ、反射面と熱伝導面とを共通の表面処理で作成でき、製造を容易にすることができる。
また、バルブ80、81の前面にインナーレンズ83A、83Bを設けたので、インナーレンズ83A、83Bの形状を変更することで、テールランプのデザイン変更を容易に行うことができる。
なお、上記エクステンション部84A、84Bをリフレクタ82と別体に設けてもよい。
【0032】
上記実施形態では、テールランプユニット60に本発明を適用する場合について説明したが、これに限定されず、ヘッドライトやウインカーランプユニット等の車両用ランプの全てに適用が可能である。また、自動二輪車について説明したが、これに限らず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両等にも適用が可能であり、また、エンジン駆動式の車両に限らず、燃料電池車両等、電動機で駆動する電動車両、或いは、電動機とエンジンを備えたハイブリッド車両にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る自動二輪車の全体構成の側面図である。
【図2】自動二輪車の上面図である。
【図3】自動二輪車の正面図である。
【図4】自動二輪車の背面図である。
【図5】(A)はテールランプユニットの正面図であり、(B)は(A)のa−a断面図である。
【図6】図5(A)のb−b断面図である。
【図7】図5(A)のc−c断面図である。
【図8】図5(A)のd−d断面図である。
【図9】図5(A)のe−e断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 自動二輪車
27 トランクボックス
45 サドルバック
60 テールランプユニット(車両用ランプ)
61 ウインカーランプユニット
70 ランプボデー
71、100、110、200A、200B 開口部
74 アウターレンズ
80、81 バルブ
82 リフレクタ
82A 第1リフレクタ部
82B 第2リフレクタ部
83A、83B インナーレンズ
84A 第1エクステンション部
84B 第2エクステンション部
210A、210B ラビリンス部
L ランプ室
LA 第1ランプ室
LB 第2ランプ室


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボデー内にバルブを収容するとともに、バルブ光を反射するリフレクタを設け、このランプボデーとリフレクタの間を覆うエクステンション部を設け、ランプボデー前面をレンズで覆うようにした車両用ランプにおいて、
前記エクステンション部の内側に近接する前記リフレクタに開口部を設け、この開口部を通じて前記バルブの熱を前記エクステンション部に導くようにしたことを特徴とする車両用ランプ。
【請求項2】
前記エクステンション部の裏面に熱伝導部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプ。
【請求項3】
前記熱伝導部材はアルミ蒸着であることを特徴とする請求項2に記載の車両用ランプ。
【請求項4】
前記エクステンション部はリフレクタと一体に当該リフレクタの側面に設けられ、前記開口部は前記バルブの下方に位置して設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用ランプ。
【請求項5】
前記レンズの内側にインナーレンズを設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用ランプ。
【請求項6】
前記リフレクタ上部及び前記ランプボデー上部に放熱用の開口を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用ランプ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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