説明

車両用充電器

【課題】 低圧バッテリの消費を低減させることが可能な車両用充電器を提供すること。
【解決手段】 マイクロコンピュータと、充電回路と、車両の低圧バッテリからの電圧を上記マイクロコンピュータに供給するとともに非充電時には車両の低圧バッテリからの電圧を遮断する遮断機能付き電源回路と、AC電源が供給されたことを示す信号又はAC電源側に設けられているコントロールパイロット回路からの信号又は車両のイグニッションスイッチがオンされたことを示す信号の入力により上記遮断機能付き電源回路の遮断機能を解除して車両の低圧バッテリからの電圧を上記マイクロコンピュータ供給する遮断機能解除回路と、を具備したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、各種の電気自動車やハイブリッド車等に搭載される車両用充電器に係り、特に、低圧バッテリの電力の消費を低減させることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用充電器の構成を開示するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−81734号公報
【特許文献2】特開2009−171733号公報
【特許文献3】特開2010−283944号公報
【特許文献4】特開2011−15548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、特許文献1に記載された発明の場合には、CPLT(ControlPilot:パイロット)信号によりバッテリECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)を起動させ、充電動作を開始するか否かの判別を行った上で、必要な場合に起動するという構成をなしている。
しかしながら、この場合には、バッテリECUを常時起動させておく必要があり、低圧バッテリの電力を常時消費してしまうという問題があった。
又、CCID(Charge Circuit Interrupt Device:充電遮断装置)がない場合には充電器を起動させることができないという問題があった。
又、コンデンサに過大な電流が流れることになり、コンデンサが破損してしまうおそれがあった。
さらに、車両に複数のプラグ(充電用接続ボックス)が設けられている場合について検討が施されていないという問題もあった。
【0005】
次に、特許文献2に記載された発明の場合には、CPLT信号をトリガ信号として使用して充電システムを起動させるという構成をなしている。
しかしながら、この場合にも、バッテリECUを常時起動させておく必要があり、低圧バッテリの電力を常時消費してしまう等、上記特許文献1に記載された発明の場合と同様の問題があった。
【0006】
次に、特許文献3に記載された発明の場合には、CPLT信号やCHG(Charge)信号によりバッテリECUを起動させ、充電動作を開始させるという構成をなしている。
しかしながら、この場合にも、バッテリECUを常時起動させておく必要があり、低圧バッテリの電力を常時消費してしまう等、上記特許文献1、特許文献2に記載された発明の場合と同様の問題があった。
さらに、特許文献4に記載された発明の場合には、複数のプラグが設置された構成において、検出装置によりバッテリECUを適宜切り換えながら起動させ、充電動作を開始させるという構成をなしている。
しかしながら、この場合にも、バッテリECUを常時起動させておく必要があり、低圧バッテリの電力を常時消費してしまう等、上記特許文献1〜特許文献3に記載された発明の場合と同様の問題があった。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、低圧バッテリの電力の消費を低減させることが可能な車両用充電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による車両用充電器は、マイクロコンピュータと、車両の高圧バッテリに充電する時に機能する充電回路と、車両の低圧バッテリから上記マイクロコンピュータに電圧を供給すると共に非充電時にはその電圧の供給を遮断する遮断機能付電源回路と、AC電源側に設けられているコントロールパイロット回路から出力される信号又は上記AC電源の供給により出力される信号又は車両のイグニッションスイッチがオンされることにより出力される信号の何れかの信号を遮断解除信号として入力し上記遮断機能付電源回路の遮断機能を解除して車両の低圧バッテリからの電圧を上記マイクロコンピュータに供給する遮断機能解除回路と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2による車両用充電器は、請求項1記載の車両用充電器において、 フォトボルが設置されていて、AC電源側にコントロールパイロット回路がない場合において、AC電源が供給されることにより上記フォトボルから信号が出力され、該信号が上記遮断機能解除回路を介して遮断解除信号として入力され、それによって、上記遮断機能付電源回路の遮断機能を解除し、車両の低圧バッテリからの電圧を上記マイコンに供給することを特徴とするものである。
又、請求項3による車両用充電器は、請求項1又は請求項2記載の車両用充電器において、上記遮断機能解除回路は複数のダイオードから構成されたオア回路であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように本願発明の請求項1による車両用充電器によると、マイクロコンピュータと、車両の高圧バッテリに充電する時に機能する充電回路と、車両の低圧バッテリから上記マイクロコンピュータに電圧を供給すると共に非充電時にはその電圧の供給を遮断する遮断機能付電源回路と、AC電源側に設けられているコントロールパイロット回路から出力される信号又は上記AC電源の供給により出力される信号又は車両のイグニッションスイッチがオンされることにより出力される信号の何れかの信号を遮断解除信号として入力し上記遮断機能付電源回路の遮断機能を解除して車両の低圧バッテリからの電圧を上記マイクロコンピュータに供給する遮断機能解除回路と、を具備した構成になっているので、非充電時には低圧バッテリからの電力の供給が遮断されるものであり、それによって、低圧バッテリの電力の消費を低減させることができる。
又、請求項2による車両用充電器によると、請求項1記載の車両用充電器において、フォトボルが設置されていて、AC電源側にコントロールパイロット回路がない場合において、AC電源が供給されることにより上記フォトボルから信号が出力され、該信号が上記遮断機能解除回路を介して遮断解除信号として入力され、それによって、上記遮断機能付電源回路の遮断機能を解除し、車両の低圧バッテリからの電圧を上記マイコンに供給するように構成しているので、簡単な構成で、常時は低圧バッテリからの電力の供給を遮断し、充電時のみに低圧バッテリからの電力の供給を許容する構成を実現することができる。
又、請求項3による車両用充電器によると、請求項1又は請求項2記載の車両用充電器において、上記遮断機能解除回路は複数のダイオードから構成されたオア回路であるので、比較的簡単な構成によって所望の構成をなす車両用充電器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、車両用充電器の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するための図であって、車両用充電器の一部の機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するための図であって、車両用充電器の一部の機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するための図であって、車両用充電器の一部の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1乃至図4を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は本実施の形態による車両用充電器1をSAE(Society of Automotive Engineers:米国自動車技術者協会)の規格に準拠したSAE準拠型の充電用ケーブルを介してAC電源に接続しようとする様子を示すブロック図であり、図2は車両用充電器1をSAEの規格に準拠したSAE準拠型の充電用ケーブルを介してAC電源に接続した様子を示す一部のブロック図である。又、図3は本実施の形態による車両用充電器1をSAEの規格に準拠していないSAE非準拠型の充電用ケーブルを介してAC電源に接続しようとする様子を示すブロック図であり、図4は車両用充電器1をSAEの規格に準拠していないSAE非準拠型の充電用ケーブルを介してAC電源に接続した様子を示す一部のブロック図である。
【0012】
以下、車両用充電器1の構成を中心にしてその構成を詳細に説明していく。まず、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する。)3がある。上記マイコン3には、充電回路5、遮断機能付電源回路7が接続されている。上記充電回路5には高圧バッテリ9が接続されていて、これら充電回路5と高圧バッテリ9は充電ライン11、13に介挿されている。上記高圧バッテリ9は主に車両の動力用の電力を蓄えておくためのものである。
【0013】
上記充電ライン11、13とは別に接地ライン15が設けられていて、これら充電ライン11、13、接地ライン15の先端部は充電用接続ボックス17内に収容されている。又、上記充電ライン11、13にはフォトボル19が接続されているとともに、充電ライン13には接点21が介挿されている。この接点21には抵抗23が並列・接続されている。上記フォトボル19は後述するAC電源43からの入力により絶縁された電圧が出力されるように動作する素子である。
【0014】
又、車両ECU25が設けられていて、この車両ECU25には上記マイコン3から信号が出力される構成になっている。この車両ECU25には車両ECU用電源回路27が接続されている。上記車両ECU25は、後述するイグニッションスイッチ39が「オン」されて車両が走行を開始するときに起動するものである。又、既に説明した高圧バッテリ9にはインバータ回路29を介して駆動モータ31が接続されている。上記インバータ回路29は駆動モータ31を駆動するための回路であり、駆動モータ31は車両を走行させるためのものである。又、上記遮断機能付電源回路7には低圧バッテリ33が接続されていて、この低圧バッテリ33は上記車両ECU用電源回路27にライン35、37を介して接続されている。上記ライン35にはイグニッションスイッチ39が介挿されている。上記低圧バッテリ33は車両の各種補機に供給する電力を蓄えておくためのものである。
【0015】
上記遮断機能付電源回路7は、非充電時における上記低圧バッテリ33からの電源供給を遮断する機能を備えていて、充電時に所定の遮断解除信号を入力することによってその遮断を解除する構成になっている。以下詳細に説明する。
【0016】
まず、前提として、充電を行うためには充電用ケーブル41が必要となり、この充電用ケーブル41を介して、車両用充電器1をAC電源43に接続するものである。
尚、上記充電用ケーブル41はAC電源43側に既設されている場合と、充電時に接続する場合の二通りがある。
【0017】
又、上記充電用ケーブル41には「SAE準拠型」と「SAE非準拠型」の二通りがある。まず、SAE準拠型の場合から説明する。SAE準拠型の場合には、充電用ケーブル41にCP(Control Pilot:コントロールパイロット)回路45が設けられている。又、充電用ケーブル41の充電ライン47、49には接点51、53が介挿されている。充電用ケーブル41には別の接地ライン52が設けられている。
【0018】
そして、図2に示すように、充電用接続ボックス17を充電用ケーブル41に接続すると、CP回路45から遮断解除信号が出力される。この遮断解除信号は充電器1側の信号ライン55及びこの信号ライン55に介挿されたダイオード57を介して遮断機能付電源回路7に入力される。この遮断解除信号の入力により遮断機能付電源回路7の遮断機能が解除され、低圧バッテリ33から上記マイコン3への電源供給が開始される。
【0019】
上記低圧バッテリ33からマイコン3への電源供給が開始されると、マイコン3が起動して、接点21、充電用ケーブル41側の接点51、53を閉接させる。それによって、充電回路5を介しての高圧バッテリ9への充電が開始される構成になっている。
【0020】
次に、SAE非準拠型の場合について説明する。この場合には、図3に示すように、充電用ケーブル41にCP回路45が設けられていない構成になっている。この場合には、図4に示すように、充電用接続ボックス17を充電用ケーブル41に接続すると、フォトボル19にAC電源43が供給される。AC電源43の供給によりフォトボル19からは遮断解除信号が出力される。遮断解除信号は信号ライン59及びこの信号ライン59に介挿されたダイオード61を介して遮断機能付電源回路7に入力される。この遮断解除信号の入力により遮断機能付電源回路7の遮断機能が解除され、低圧バッテリ33から上記マイコン3への電源供給が開始される。
【0021】
上記低圧バッテリ33からマイコン3への電源供給が開始されると、マイコン3が起動して、接点21を閉接させる。それによって、充電回路5を介しての高圧バッテリ9への充電が開始される構成になっている。
【0022】
次に、イグニッションスイッチ39を「オン」させた場合について説明する。この場合には、イグニッションスイッチ39を「オン」させることにより、車両ECU用電源回路27に低圧バッテリ33から電源が供給され、それによって、車両ECU25が起動する。この車両ECU25が起動することにより遮断解除信号が出力され、この遮断解除信号は信号ライン63及びこの信号ライン63に介挿されたダイオード65を介して遮断機能付電源回路7に入力される。この遮断解除信号の入力により遮断機能付電源回路7の遮断機能が解除され、低圧バッテリ33から上記マイコン3への電源供給が開始される。
【0023】
上記低圧バッテリ33からマイコン3への電源供給が開始されると、マイコン3が起動して、インバータ回路29を介しての高圧バッテリ9への充電が開始される構成になっている。
尚、上記ダイオード57、ダイオード61、ダイオード65からなるオア回路によって遮断機能解除回路を構成している。
【0024】
又、既に説明した充電用ケーブル41には、図示しない操作者が充電用接続ボックス17を握っている場合の充電動作を規制するをことを目的としたロック解除スイッチ71が設けられている。このロック解除スイッチ71は、ノーマルクローズタイプの接点73と、抵抗75、77とから構成されている。上記接点73は常時は閉接されていて、操作者が充電用接続ボックス17を握っている場合に開成される構成になっている。それによって、操作者が充電用接続ボックス17を握っている場合における充電動作を規制する構成になっている。
【0025】
又、充電用接続ボックス17とマイコン3との間にはライン81が設けられていて、このライン81には抵抗83が介挿されているとともに、抵抗85が分岐・接続されている。これらライン81、抵抗83、85の機能は次のようなものである。まず、プラグ未接続の状態(充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41側に接続されていない状態)では、ライン81の電位はマイコン3用の電源電圧と同一となっている。これに対して、プラグ接続の状態(充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41側に接続されている状態)であってロック解除スイッチ71が「オン」している場合には、ライン81の電位は抵抗85〜抵抗77で分圧された電位となる。又、プラグ接続の状態(充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41側に接続されている状態)であってロック解除スイッチが「オフ」している場合には、ライン81の電位は抵抗85〜抵抗75〜抵抗77で分圧された電位となる。このように、ライン81の電位の変化によって、プラグ未接続の状態(充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41側に接続されていない状態)、プラグ接続の状態(充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41側に接続されている状態)であってロック解除スイッチが「オン」の状態、プラグ接続の状態(充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41側に接続されている状態)であってロック解除スイッチが「オフ」の状態、といった3つの状態を検知することができる。又、マイコン3と遮断機能付電源回路7との間には別の信号ライン91とダイオード93が設けられている。
【0026】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、AC電源43にSAE準拠型の充電用ケーブル41が既設されていて、そこに充電用接続ボックス17を接続する場合から説明する。図2に示すように、充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41に接続されると、CP回路45から遮断解除信号が出力される。この遮断解除信号は信号ライン55及びダイオード57を介して遮断機能付電源回路7に入力される。この遮断解除信号の入力により遮断機能付電源回路7の遮断機能が解除され、低圧バッテリ33から上記マイコン3への電源供給が開始される。
【0027】
上記低圧バッテリ33からマイコン3への電源供給が開始されると、マイコン3が起動して、マイコン3からライン91及びダイオード93を介して、遮断機能付電源回路7に遮断解除信号が出力される。又、マイコン3は信号ライン55に接続されている図示しない別の制御回路を駆動させて信号ライン55の出力電圧を変更させる。この出力電圧の変更を上記CP回路45が検知して充電用ケーブル41側の接点51、53を閉接させる。それによってフォトボル19にAC電源が供給される。フォトボル19はAC電源の供給を受けて遮断解除信号を出力する。マイコン3はフォトボル19から遮断解除信号が出力されていることを検知して接点21閉接させる。同時に、充電回路5を介しての高圧バッテリ9への充電が開始される。
又、高圧バッテリ9への充電が完了すると、マイコン3は他の電源起動要因がなくなったことを確認してから、ライン91及びダイオード96を介して出力している遮断解除信号を「オフ」とする。それによって、遮断機能付電源回路7の遮断機能が働いて、低圧バッテリ33からの電源の供給は再び遮断されることになる。
このような処理を行うことにより、電源起動要因がなくなったことを確認した後電源を遮断することが可能となり、つまり、車両用充電器1が安全な状態になったことを確認してから電源を遮断することができ、より安全な状態で電源を遮断することができる。
【0028】
次に、AC電源43にSAE非準拠型の充電用ケーブル41が既設されていて、そこに充電用接続ボックス17を接続する場合を説明する。図4に示すように、充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41に接続されると、フォトボル19にAC電源が供給される。AC電源の供給によりフォトボル19からは遮断解除信号が出力される。この遮断解除信号は信号ライン59及びダイオード61を介して遮断機能付電源回路7に入力される。この遮断解除信号の入力により遮断機能付電源回路7の遮断機能が解除され、低圧バッテリ33から上記マイコン3への電源供給が開始される。
【0029】
上記低圧バッテリ33からマイコン3への電源供給が開始されると、マイコン3が起動して接点21を閉接させる。同時に、マイコン3からライン91及びダイオード93を介して、遮断機能付電源回路7に遮断解除信号が出力される。又、充電回路5を介しての高圧バッテリ9への充電が開始される。
そして、高圧バッテリ9への充電が完了すると、マイコン3は他の電源起動要因がなくなったことを確認してから、ライン91及びダイオード96を介して出力している遮断解除信号を「オフ」とする。それによって、遮断機能付電源回路7の遮断機能が働いて、低圧バッテリ33からの電源の供給は再び遮断されることになる。
【0030】
次に、イグニッションスイッチ39を「オン」させた場合について説明する。イグニッションスイッチ39を「オン」させることにより、車両ECU用電源回路27に低圧バッテリ33から電源が供給され、それによって、車両ECU25が起動する。この車両ECU25が起動することにより遮断解除信号が出力され、この遮断解除信号は信号ライン63及びダイオード65を介して遮断機能付電源回路7に入力される。この遮断解除信号の入力により遮断機能付電源回路7の遮断機能が解除され、低圧バッテリ33からマイコン3への電源供給が開始される。
【0031】
低圧バッテリ33からマイコン3への電源供給が開始されると、マイコン3が起動して、充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41に接続されているかどうかをマイコン3が判断し、車両ECU25に通信で伝える。それによって、車両ECU25は、ロック解除スイッチ71の押下状態を検出するための検出回路を別途設けることなく、車両走行開始時に、充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41に接続されていないことを確認することができる。又、フォトボル19からの遮断解除信号の入力がないことにより、マイコン3はAC電源43から通電されていないことも確認することができる。また、車両走行開始後に、充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41に接続されることはないと考えられるので、車両走行中については、車両ECU25からの遮断解除信号を電源遮断することにより、充電器システムを停止し、不必要な電力消費を抑えることができる。
【0032】
尚、車両を停止させてAC電源43からの充電を行った後、仮に、充電用接続ボックス17を充電用ケーブル41に接続したままの状態で走行を開始しようとする場合について若干説明を補充する。この場合には、上記したように、マイコン3は、充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41に接続されているかどうかを判断できるので、例えば、図示しない車両のモニタ上に充電用接続ボックス17が充電用ケーブル41に接続されたままの状態であることを示す警告表示を行い、走行開始を規制することが考えられる。
【0033】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、充電時、車両走行時の充電ケーブル接続検知時のみに低圧バッテリ33から遮断機能付電源回路27に電源が供給される構成になっているので、無駄な電力の消費を低減させることができる。
又、AC電源43と車両用充電器1側を接続する充電用ケーブル41がSAE準拠型であってもSAE非準拠型であっても対応可能であるので、良好な使い勝手を提供すすることができる。
又、複数のプラグを接続する場合にも、ダイオード回路を増設するだけで対応することができる。
又、充電用接続ボックス17を充電用ケーブル41に接続したままの状態で車両の走行を開始することを規制することができる。
【0034】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
前記一実施の形態の場合には、SAE非準拠型の充電用ケーブルへの対応策として、フォトボルを使用した例を挙げて説明したが、それに限定されるものではない。要は、何等かの信号により遮断機能付電源回路の遮断機能を解除できればよい。
前記一実施の形態の場合には電気自動車を例に挙げて説明したが、ハイブリッド車についても同様に適用可能である。
その他、図示した構成をあくまで一例であり、それに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、例えば、車両用充電器に係り、特に、消費電力の低減を図ることができるように工夫したものに関し、例えば、各種の電気自動車やハイブリッド車などに搭載される車両用充電器に好適である。
【符号の説明】
【0036】
1 車両用充電器
3 マイコン(マイクロコンピュータ)
5 充電回路
7 遮断機能付電源回路
9 高圧バッテリ
17 充電用接続ボックス
25 車両ECU
27 車両ECU用電源回路
33 低圧バッテリ
39 イグニッションスイッチ
41 充電用ケーブル
43 AC電源
45 CP回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコンピュータと、
車両の高圧バッテリに充電する時に機能する充電回路と、
車両の低圧バッテリから上記マイクロコンピュータに電圧を供給すると共に非充電時にはその電圧の供給を遮断する遮断機能付電源回路と、
AC電源側に設けられたコントロールパイロット回路から出力される信号又は上記AC電源の供給により出力される信号又は車両のイグニッションスイッチがオンされることにより出力される信号の何れかの信号を遮断解除信号として入力し上記遮断機能付電源回路の遮断機能を解除して車両の低圧バッテリからの電圧を上記マイクロコンピュータに供給する遮断機能解除回路と、
を具備したことを特徴とする車両用充電器。
【請求項2】
請求項1記載の車両用充電器において、
フォトボルが設置されていて、AC電源側にコントロールパイロット回路がない場合において、AC電源が供給されることにより上記フォトボルから信号が出力され、該信号が上記遮断機能解除回路を介して遮断解除信号として入力され、それによって、上記遮断機能付電源回路の遮断機能を解除し、車両の低圧バッテリからの電圧を上記マイコンに供給することを特徴とする車両用充電器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車両用充電器において、
上記遮断機能解除回路は複数のダイオードから構成されたオア回路であることを特徴とする車両用充電器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−257432(P2012−257432A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130090(P2011−130090)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(391008537)ASTI株式会社 (73)
【Fターム(参考)】